JP2937608B2 - 超音波探触子 - Google Patents

超音波探触子

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JP2937608B2
JP2937608B2 JP4059225A JP5922592A JP2937608B2 JP 2937608 B2 JP2937608 B2 JP 2937608B2 JP 4059225 A JP4059225 A JP 4059225A JP 5922592 A JP5922592 A JP 5922592A JP 2937608 B2 JP2937608 B2 JP 2937608B2
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孝悦 斎藤
純一 佐藤
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ソナーや超音波診断装
置などのセンサとして用いる超音波探触子に関する。
【0002】
【従来の技術】水や生体を対象としたソナーや超音波診
断装置などの超音波探触子において、圧電体に設ける電
極の形状により超音波に音圧分布を持たせて重みづけ
(アポダイジング)し、サイドローブ・レベルを低減し
て超音波ビーム・パターンを改善することにより、高分
解能の超音波画像を得ようとする試みがなされている。
【0003】このような超音波探触子の一例として、特
開昭61−76949号公報に記載され、図4に示すよ
うに、複数の振動子1をアレイ状に配列して超音波ビー
ムを制御する超音波探触子であって、各振動子1の電極
2の面積を変化させて重みづけを行なうことにより、不
要なサイドローブ・レベルを低下させるように構成した
ものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の超音波探触子は、アレイ状に配列した各振動子に対
し、電極の形状を考慮して超音波ビーム・パターンを形
成することは、製造技術上、極めて困難である。
【0005】そこで、本発明は、このような従来の問題
点を解決するために考えられたもので、圧電体と被検体
との間に2層以上の伝搬媒体を設け、これらの2層以上
の伝搬媒体の音波減衰係数がそれぞれ異なる値を有し、
曲面形状にして重みづけを行ない、サイドローブ・レベ
ルが小さい超音波探触子を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、圧電体と被検体との間に、2層以
上の伝搬媒体を備え、これら伝搬媒体は、音波減衰係数
が異なる値を有し、この2層以上の伝搬媒体の少なくと
も1層の伝搬媒体が、他の伝搬媒体より大きい音波減衰
係数を有し、この伝搬媒体の厚みが、中心付近において
最も薄く、外側にゆくにしたがって厚くなる曲面形状に
構成する。
【0007】また、圧電体と被検体との間に、曲面形状
を有する音響レンズと伝搬媒体を設け、音響レンズの音
波減衰係数が伝搬媒体の音波減衰係数より大きい値を有
し、音響レンズの厚みが、中心付近において最も薄く、
外側にゆくにしたがって厚くなる形状であるように構成
する。
【0008】
【作用】本発明は、このように、圧電体と被検体との間
に、曲面を有する2層以上の伝搬媒体または伝搬媒体と
音響レンズを設けているので、それぞれの厚みと音波減
衰係数を相違させることにより、超音波探触子の開口部
から放射される超音波の音圧に分布を持たせて重みづけ
(アポダイジング)し、サイドローブの少ない超音波ビ
ームを得ることができ、分解能の高い超音波画像を得る
ことができる。
【0009】
【実施例】(第1実施例)図1(a)に示すように、超
音波を送受信する圧電体11の前方には、音響レンズ13
と、この音響レンズ13の曲面に沿って設けられ、被検体
15と接触する伝搬媒体14とを備え、圧電体11の後方に
は、バッキング材12が設けられている。
【0010】圧電体11には、PZT系、チタン酸鉛系な
どの圧電セラミックス、LiNbO3などの単結晶、PV
DFなどの高分子、あるいは複合圧電体などの圧電材料
が用いられる。
【0011】そして、伝搬媒体14が、超音波ゲル(図示
せず)を介して被検体15と接触するように構成されてい
る。
【0012】バッキング材12には、圧電体11を保持し、
かつ、短いパルスを得るための機能を持つもので、ゴム
やエポキシ樹脂に無機物、有機物などの充填材を充填し
たものを用いる。
【0013】圧電体11と被検体15との間には、圧電体11
側に、超音波ビームを集束する凹面形状の音響レンズ13
を設け、被検体15側に、音波減衰係数α2が小さい凸面
形状の伝搬媒体14を設ける。
【0014】なお、この第1実施例においては、この伝
搬媒体14が、超音波の音圧に分布を持たせて重みづけす
る機能と、音響レンズとして超音波ビームを集束させる
機能との2つの機能有するものについて説明する。
【0015】この音響レンズ13としては、音速V2が被
検体15(生体においては約1535m/sec)および伝搬媒体
14の音速V3、V1よりも速い値を有し(V2>V1
3)、かつ、音波減衰係数α1が、伝搬媒体14の音波減
衰係数α2の値よりも大きいこと(α1>α2)が必要な
特性である。
【0016】伝搬媒体14としては、音響レンズ13の音響
インピーダンスとほぼ同じ値を有し、音響レンズ13の音
速より遅く、かつ、音響レンズ13の音波減衰係数α1
り小さいことが必要な特性である。
【0017】例えば、音響レンズ13、伝搬媒体14の音響
インピーダンスを生体に近い値(1.5〜1.65MRayl)に
設定した場合には、音響レンズ13としては、エポキシ樹
脂にプラスチック・マイクロバルーンもしくはガラス・
マイクロバルーンを充填したものを用いる。
【0018】次に、音響レンズ13の材料の具体例とし
て、スリーボンド社のエポキシ樹脂2023/2103と松本油
脂社のプラスチック・マイクロバルーンF−30Eを重量
比で100対3の割合で混合して硬化させたものを示すこ
とができる。この材料の音響インピーダンスは、1.66M
Rayl、音速は、2030m/sec、音波減衰係数α1は3MHz
で2.3dB/mmという値を有している。
【0019】また、エポキシテクノロジー社のエポキシ
樹脂EPOTEK301とグレース・ジャパン社のガラス
・マイクロバルーンIG101を重量比で100:3.5の割合
で混合し硬化させたものを示すことができる。この材料
の音響インピーダンスは、1.86MRayl、音速は、2550m
/sec、音波減衰係数α1は3MHzで1.4dB/mmという値
を有している。
【0020】一方、この音響レンズ13の材料に対して、
伝搬媒体14としては、ブタジエンゴムとカーボンブラッ
クを重量比で100対20の割合で混合し架橋した材料、も
しくはブタジエンゴムとケイ酸カルシウムを重量比で10
0対20の割合で混合し架橋した材料を用いる。これらの
音響インピーダンスは、両方ともほぼ1.56MRaylで、
音速は、それぞれ1576、1550m/secとなり、音波減衰係
数α2は、3MHzで0.23、0.33dB/mmという値を有して
いる。また、この他の材料としては、PVA、ポリウレ
タン、シリコーンなどのゲルタイプのものを用いてもよ
い。
【0021】このように、音響レンズ13と伝搬媒体14の
音響インピーダンスをほぼ同じ値に設定することによ
り、音響レンズ13と伝搬媒体14との境界部分において超
音波の反射をなくすことができるので特性劣化を生じな
い。また、伝搬媒体14の音速が音響レンズ13より遅い値
に設定しているので、音響レンズ13で超音波ビームを集
束させる機能も兼ね備えることができる。
【0022】以上のように、特性劣化を回避した構成に
おいて、音響レンズ13の音波減衰係数α1に比べて伝搬
媒体14の音波減衰係数α2は1桁前後小さい値となって
いるので、ほぼ音響レンズ13の減衰効果で超音波の音圧
を図1(b)に示す分布に調整することが可能である。
【0023】この第1実施例において、音響レンズ13の
形状は、生体の音速より速い材料を用いているので、中
央部の厚みが薄く、外側にゆくにしたがって厚くなるよ
うな凹面形状を有している。しかも、音響レンズ13はあ
る程度減衰する材料を用いているので、圧電体11から発
生される超音波は、音響レンズ13の中央付近の厚みが薄
い領域では減衰が小さいため音圧が高く、外側にゆくに
したがって厚くなると減衰が増加して超音波の音圧が低
下することになる。このことは、図1(b)に示すよう
に、超音波の音圧に分布を持たせていること、すなわ
ち、重みづけ(アポダイジング)ができることになる。
【0024】したがって、サイドローブの少ない超音波
ビームを得ることができ、分解能の高い超音波画像を得
ることができる。
【0025】なお、この第1実施例においては、圧電体
11側に音響レンズ13を設け、被検体15側に伝搬媒体14を
設けた構成について説明したが、圧電体11側に伝搬媒体
14を設け、被検体15側に音響レンズ13を設けた構成にお
いても、超音波の音圧に分布を持たせて重みづけができ
る。
【0026】また、圧電体11と被検体15との間に音響レ
ンズ13と伝搬媒体14を設ける代わりに、圧電体11と音響
レンズ13もしくは伝搬媒体14との間に音響整合層を設
け、あるいは、被検体15と音響レンズ13もしくは伝搬媒
体14との間に音響整合層を設けた場合においても同様の
特性を得ることができる。
【0027】以上の第1実施例においては、音響レンズ
13および伝搬媒体14が、被検体15である生体の音響イン
ピーダンスに近い値のものについて説明したが、音響レ
ンズ13および伝搬媒体14が、圧電体11と被検体15との間
の音響インピーダンスの値を有する場合においても同様
の特性を得ることができる。
【0028】また、音響レンズ13と伝搬媒体14と2層を
設ける代わりに、音響レンズ、伝搬媒体を3層以上にし
ても、超音波の音圧に分布を持たせて重みづけができ
る。
【0029】さらに、機械走査式超音波探触子の場合の
ように、伝搬媒体14を被検体15に直接接触させる代わり
に伝搬媒体14と被検体15との間に液体や液体を包含する
高分子などメンブレンの物質を介在させても重みづけが
できる。
【0030】(第2実施例)図2に示すように、超音波
を送受信する圧電体11と被検体15と間に、複数層の伝搬
媒体14、23を設け、これら伝搬媒体14、23は、異なる音
波減衰係数α2、α1を有しており、凹面形状をなしてい
る伝搬媒体23の方が大きい音波減衰係数α1を有してい
る。この伝搬媒体14は、超音波ゲル(図示せず)を介し
て被検体15と接触するように構成されている。そして、
圧電体11の後方には、バッキング材12が設けられてい
る。
【0031】第1実施例においては、伝搬媒体13に音響
レンズとしての機能を持たせていたが、第2実施例にお
いては、伝搬媒体23に音響レンズとしての機能を持たせ
ないで、超音波の音圧を調整して重みづけを行なう機能
を持たせたものである。
【0032】したがって、伝搬媒体23に限定される特性
の範囲が広くなり、材料の選択範囲が広くなる。
【0033】伝搬媒体14に第1実施例と同じ材料を用
い、伝搬媒体23に伝搬媒体14の音響インピーダンスと近
い値を有するものを採用した場合、例えば、伝搬媒体23
として合成ゴムのEDPMや国際ケミカル社のアダプト
E63A/E41Bのウレタンゴムなどが適し、これらの音
響インピーダンスは、それぞれ1.48、1.77MRaylで、
音速は、それぞれ1560、1700m/secであり、また、音波
減衰係数α1は、3MHzでそれぞれ1.7、3.56dB/mmとい
う値を有している。
【0034】これらの材料は、音速が伝搬媒体14の音速
(1550〜1576m/sec)に比べてあまり差がないので、伝
搬媒体23と伝搬媒体14との境界において音波は屈折せ
ず、そのまま伝搬することになり音響レンズとしての効
果はない。
【0035】このように構成することにより、伝搬媒体
23として伝搬媒体14より音波減衰係数の大きい材料を用
い、しかも、伝搬媒体23の厚みが、中央部で薄く、外側
にゆくにしたがって厚くなる形状にすると、圧電体11か
ら送信されて伝搬媒体23、14を伝搬し、被検体15に伝搬
する超音波の音圧は、中央部で高く、外側にゆくにした
がって低くなるような分布を持たせることができる、す
なわち、重みづけ(アポダイジング)ができることにな
る。
【0036】したがって、サイドローブの少ない超音波
ビームを得ることができて、分解能の高い超音波画像を
得ることができる。
【0037】なお、この第2実施例においては、音波減
衰係数が大きく凹面形状をした伝搬媒体23を圧電体11側
に設け、被検体15側には、伝搬媒体14を設けているが、
圧電体11側に伝搬媒体14を設け、被検体15側に音波減衰
係数が大きく凹面形状をした伝搬媒体23を設けても同様
の特性が得られる。
【0038】圧電体11と被検体15との間に2層の伝搬媒
体23、14を設ける代わりに、圧電体11と伝搬媒体23、14
との間に音響整合層を設けても同様の特性を得ることが
できる。
【0039】また、この第2実施例において、伝搬媒体
23、14が、被検体15である生体の音響インピーダンスと
同じかそれに近い値を有するものとして説明したが、伝
搬媒体23、14が、圧電体11と被検体15との間の音響イン
ピーダンスの値を有する場合も同様の特性を得ることが
できる。
【0040】さらに、圧電体11と被検体15と間に設ける
伝搬媒体23、14の層数は、2層に限ることなく、3層以
上の伝搬媒体を設けてもよいのである。
【0041】(第3実施例)図3に示すように、超音波
を送受信する圧電体11の前方には、第1の音響整合層1
6、音響レンズ13、この音響レンズ13の曲面に沿って設
けられた伝搬媒体14、第2の音響整合層17、第3の音響
整合層18が積層され、圧電体11の後方には、バッキング
材12が設けられている。そして、伝搬媒体14は、超音波
ゲル(図示せず)を介して被検体15と接触するように構
成されている。
【0042】音響レンズ13および伝搬媒体14は、圧電体
11と被検体15との中間のインピーダンスを有し、かつ、
音響レンズ13と伝搬媒体14は、音響インピーダンスがほ
ぼ等しいか近い値であればよいのである。
【0043】圧電体11として、PZT系のような圧電セ
ラミックス(音響インピーダンスは30MRayl前後)を
用い、被検体15を生体(音響インピーダンスは1.5〜1.6
5MRayl)として、音響レンズ13と伝搬媒体14の音響イ
ンピーダンスを約7MRaylに設定したものを例にあげ
て説明する。
【0044】第1の音響整合層16は、圧電体11と音響レ
ンズ13もしくは伝搬媒体14との間の音響インピーダンス
を有する材料を用いる。このインピーダンスの値の計算
方法は、公知の Z1=(Zp・Z21/2 (1) より求めることができる。ここで、Z1、Zp、Z2は、
それぞれ第1の音響整合層16、圧電体11および音響レン
ズ13もしくは伝搬媒体14の音響インピーダンスである。
【0045】式(1)より第1の音響整合層16の音響イ
ンピーダンスを求めると、約14MRaylという値にな
る。
【0046】また、音響レンズ13もしくは伝搬媒体14と
被検体15との間に設ける第2、第3の音響整合層17、18
のインピーダンスの値の計算方法は、公知の Z3=(Z2 3・Zb)1/4 (2) Z4=(Z2・Zb31/4 (3) より求めることができる。ここで、Z3、Z4、Zbは、
それぞれ第2、第3の音響整合層17、18および被検体15
の音響インピーダンスである。
【0047】式(2)(3)より第2、第3の音響整合
層17、18の音響インピーダンスを求めると、約4.8MRa
ylと約2.3MRaylという値になる。
【0048】以上のように第1、第2、第3の音響整合
層16、17、18、音響レンズ13および伝搬媒体14の音響イ
ンピーダンスは設定されるが、次に、これらの具体的な
材料の選定について説明する。
【0049】第1の音響整合層16としては、塩化ビニル
1に対して体積比でタングステン粉末1.5を充填したも
のを用いる。この材料の音響インピーダンスは14.6MR
aylとなる。また、ホトンセラミックス社のホトベール
・セラミックスは、14.5MRaylを有し、ガラス類とし
てショット社のBK3ガラスは、14.0MRaylを有して
いるので、何れの材料を用いてもよいのである。
【0050】第1、第2、第3の音響整合層16、17、18
の厚みは、公知のようにほぼ4分の1波長に選ぶことが
望ましい。
【0051】第2の音響整合層17(音響インピーダンス
は約4.8MRayl)としては、三井東圧社のエポキシ樹脂
ストラクトボンド7445(音響インピーダンスは約4.5M
Rayl)あるいはエポキシ樹脂にシリコーン・カーバイ
トを重量比で1:1の割合で混合硬化した材料(音響イ
ンピーダンスは約4.6MRayl)を用いる。
【0052】また、第3の音響整合層18(音響インピー
ダンスは約2.3MRayl)としては、ABS、ポリスチレ
ン、ポリプロピレンなどのプラスチック材もしくはチバ
ガイギー社のエポキシ樹脂アラルダイトAW106(音響
インピーダンスは約2.4MRayl)を用いる。
【0053】音響レンズ13(音響インピーダンスは約7
MRayl)としては、第1実施例において説明したとお
りレンズとしての機能を持たせるために音速と音波減衰
係数の制限がある。すなわち、音速については、伝搬媒
体14および被検体15より速い値を有すること、音波減衰
係数については、伝搬媒体14の音波減衰係数より大きい
値を有することである。
【0054】なお、音響レンズ13の形状は、中央部の厚
みが薄く、外側部にゆくにしたがって厚くなる凹面形状
に形成する必要があるので、音速V2は伝搬媒体14の音
速V1および被検体15の音速V3より速いこと(V2>V1
≧V3)が条件となる。
【0055】したがって、音響レンズ13は、音響インピ
ーダンス、音速、音波減衰係数の3つの特性を満足する
材料が必要となる。
【0056】この特性を満足する音響レンズ13の材料と
しては、例えば、日本デブコン社のエポキシ樹脂DEV
CON Bとタングステン粉末とを重量比で100対5
0の割合で混合し硬化したものを用いる。この材料の音
響インピーダンスは、7.52MRayl、音速は、2080m/se
c、音波減衰係数は、3MHzで2.05dB/mmという値を有
している。
【0057】伝搬媒体14(音響インピーダンスを約7M
Rayl)としては、音響レンズ13の音速より遅く、か
つ、音波減衰係数が小さい値を有することである。音響
レンズ13の材料の音速および音波減衰係数と対応させた
材料として、例えば、日本ペルノックス社のエポキシ樹
脂ME106とタングステン粉末を重量比で1:4の割合
で混合し硬化したものを用いる。この材料の音響インピ
ーダンスは、7.6MRayl、音速は、1610m/sec、音波減
衰係数は、3MHzで1.55dB/mmという値を有している
ので、伝搬媒体14の音響インピーダンス、音速、音波減
衰係数の3つの特性を満足したものである。
【0058】このような構成および材料を用いることに
よって、音響レンズ13には、減衰のある材料を用い、し
かも、中央部の厚みが薄く、外側部にゆくにしたがって
厚くなる凹面形状にしているので、圧電体11から発生さ
れる超音波は、音響レンズ13の中央部の厚みが薄い領域
では減衰が少なくて音圧は高く、外側部にゆくにしたが
って厚くなると減衰が増加して超音波の音圧が低下して
くることになる。
【0059】このことは、超音波の音圧に分布を持たせ
たことになる。すなわち、重みづけ(アポダイジング)
ができることになる。また、音響レンズ13、伝搬媒体14
の前後に音響整合層を設けているので、感度も良好で、
かつ、広帯域の周波数特性を有するものが得られる。
【0060】したがって、サイドローブの少ない超音波
ビームを得ることができ、かつ、高感度のものが得られ
るので、分解能が高く被検深度の深い超音波画像を得る
ことができる。
【0061】なお、この第3実施例において、圧電体11
側に音響レンズ13を設け、被検体15側に伝搬媒体14を設
けた場合について説明したが、この他に、圧電体11側に
伝搬媒体14を設け、被検体15側に音響レンズ13を設けて
も同様の特性を得ることができる。
【0062】また、この第3実施例において、音響レン
ズ13、伝搬媒体14の音響インピーダンスが、約7MRay
lであるものについて説明したが、この他に、圧電体11
と被検体15との間の音響インピーダンスを有するもので
も同様の特性を得ることができる。
【0063】この第3実施例においては、音響レンズ13
にレンズ機能と重みづけ機能の両方を持たせた場合につ
いて説明したが、この他に、音響レンズ13には、レンズ
機能を持たせないで、重みづけ機能のみを持たせるよう
に構成してもよい。この場合、音波集束のための凹面の
曲率および音速の制限がなくなるので、曲率を自由に変
えて目的とする重みづけを行なうことができ、材料の選
択範囲も広くなるという長所を有している。
【0064】
【発明の効果】以上の実施例に基づく説明から明らかな
ように、本発明の超音波探触子によると、圧電体と被検
体との間に、2層以上の伝搬媒体を備え、これらの2層
以上の伝搬媒体の音波減衰係数が異なる値を有し、か
つ、伝搬媒体の形状を曲面に形成し、少なくとも1つの
伝搬媒体が、他の伝搬媒体より音波減衰係数が大きい値
を有し、この伝搬媒体の厚みが圧電体の中央部において
薄く、外側にゆくにしたがって厚くなる形状にしている
ので、被検体に伝搬する超音波の音圧は、中央部で高
く、外側にゆくにしたがって低くなる分布を持たせ得る
から、サイドローブの少ない超音波ビームを得ることが
でき、分解能の高い超音波画像を得ることができる。
【0065】また、圧電体と被検体との間に、曲面に形
成した音響レンズと伝搬媒体を設け、音響レンズと伝搬
媒体の音波減衰係数が異なる値を有し、音響レンズが伝
搬媒体より音波減衰係数が大きい値を有し、音響レンズ
の厚みが圧電体の中央部において薄く、外側にゆくにし
たがって厚くなる形状にしたので、超音波の音圧に分布
を持たせることが可能となり、重みづけ(アポダイジン
グ)ができ、音響レンズにより超音波を集束しているの
で、サイドローブの少ない超音波ビームを得ることがで
き、分解能の高い超音波画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波探触子の第1実施例を示す縦断
面図(a)および超音波の音圧分布を示す特性曲線図、
【図2】本発明の超音波探触子の第2実施例を示す縦断
面図、
【図3】本発明の超音波探触子の第3実施例を示す縦断
面図、
【図4】従来の超音波探触子の一例を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
11 圧電体 12 バッキング材 13 音響レンズ 14、23 伝搬媒体 15 被検体 16、17、18 音響整合層

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体と被検体との間に、音波減衰係数
    が異なる値を有し、曲面形状をした2層以上の伝搬媒体
    を設けたことを特徴とする超音波探触子。
  2. 【請求項2】 伝搬媒体が2層であって、第1の伝搬媒
    体が中央部で薄く、外側にゆくにつれて厚くなる形状を
    有し、第2の伝搬媒体が中央部で厚く、外側にゆくにつ
    れて薄くなる形状を有し、かつ、前記第1の伝搬媒体の
    音波減衰係数α1と前記第2の伝搬媒体の音波減衰係数
    α2が、α1>α2なる関係を有することを特徴とする請
    求項1に記載の超音波探触子。
  3. 【請求項3】 第1の伝搬媒体が、エポキシ樹脂にマイ
    クロバルーンを充填し硬化させた材料であり、第2の伝
    搬媒体が、ブタジエンにカーボンブラック、珪酸カルシ
    ウムなどの無機物の粉体を充填し架橋させた材料である
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
  4. 【請求項4】 2層以上の伝搬媒体が、ほぼ等しい音響
    インピーダンスを有する材料であることを特徴とする請
    求項1に記載の超音波探触子。
  5. 【請求項5】 2層以上の伝搬媒体の音響インピーダン
    スが、圧電体の音響インピーダンスと被検体の音響イン
    ピーダンスとの間の値を有することを特徴とする請求項
    1に記載の超音波探触子。
  6. 【請求項6】 2層以上の伝搬媒体の音響インピーダン
    スが、被検体の音響インピーダンスと等しいか、ほぼ等
    しい値を有することを特徴とする請求項1に記載の超音
    波探触子。
  7. 【請求項7】 伝搬媒体のうち、少なくとも1層以上の
    伝搬媒体の音速が、他の伝搬媒体または被検体の音速と
    異なる値を有し、被検体内で超音波を集束させる機能を
    備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触
    子。
  8. 【請求項8】 圧電体の一方の面に少なくとも1層以上
    の音響整合層を設け、該音響整合層の面上に凹面形状を
    した音響レンズを設け、該音響レンズの面上に凸面形状
    をした伝搬媒体を設け、さらに該伝搬媒体の面上には少
    なくとも1層以上の音響整合層を設け、音響レンズの音
    波減衰係数が、前記伝搬媒体の音波減衰係数より大きい
    値を有することを特徴とする超音波探触子。
  9. 【請求項9】 伝搬媒体の音速V1と音響レンズの音速
    2と被検体の音速V3が、V2>V1≧V3なる関係を有
    することを特徴とする請求項8に記載の超音波探触子。
  10. 【請求項10】 伝搬媒体と音響レンズがほぼ等しい音
    響インピーダンスを有する材料であることを特徴とする
    請求項8に記載の超音波探触子。
  11. 【請求項11】 伝搬媒体と音響レンズが、圧電体と被
    検体との間の音響インピーダンスを有する材料であるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の超音波探触子。
  12. 【請求項12】 伝搬媒体と音響レンズの材料として、
    エポキシ樹脂にタングステン粉末を充填し硬化させた材
    料であることを特徴とする請求項8に記載の超音波探触
    子。
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