JP2934204B2 - 画像の符号化および復号方法と装置 - Google Patents

画像の符号化および復号方法と装置

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JP2934204B2
JP2934204B2 JP6183997A JP6183997A JP2934204B2 JP 2934204 B2 JP2934204 B2 JP 2934204B2 JP 6183997 A JP6183997 A JP 6183997A JP 6183997 A JP6183997 A JP 6183997A JP 2934204 B2 JP2934204 B2 JP 2934204B2
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公一 大山
政宏 岩橋
紀嘉 神林
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GURAFUITSUKUSU KOMYUNIKEESHON RABORATORIIZU KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像信号の回転変換
による符号化方法と装置および画像信号の逆回転変換に
よる復号方法と装置に関する。さらに具体的には、濃淡
画像信号の回転変換を用いた高速の可逆符号化方法と装
置、および、逆回転変換を用いた高速の可逆復号方法と
装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】濃淡画像信号の符号化に関する次の文献
がある。
【0003】文献1 太田,大網“ロスレスDCT符号
化方式” TV学会誌,Vol.50,No.8, 11
62〜1171頁 1996年8月
【0004】文献2 K. R. Rao, P. Yap“Discrete Co
sine Transform Algorithms ”Academic Press Inc.,
1990年(邦訳)安田,藤原“画像符号化技術” オ
ーム社, 95頁 1992年
【0005】文献1には、ロスの無いDCT(離散コサ
イン変換)に近似の符号化方式が開示されている。
【0006】文献2には、回転変換を用いたDCT符号
化方式が開示されている。ここで回転変換を用いたDC
T(文献2)について、さらに説明する。
【0007】図19(a)には入力信号の波形が、同図
(b)には回転角θ(ラジアン)だけ回転する演算回路
R(θ)が示されている。入力端子1および2に入力信
号Si とSj が印加され、回転角θだけ回転する演算が
なされて、出力端子3および4に回転出力Ri とRj
得ている。すなわち、(Si ,Sj )を回転角θだけ回
転して(Ri ,Rj )を得ている。
【0008】 Ri =Si cosθ+Sj sinθ Rj =−Si sinθ+Sj cosθ (1) この演算式(1)は、座標(Si ,Sj )を表す座標軸
をθだけ回転したときの座標(Ri ,Rj )の関係を表
している。
【0009】この演算式(1)による演算において、た
とえば、θ=4π/16(=π/4)とすると、sinθ
=cosθ=21/2 であり、無理数となる。そこで演算
は、上位の所定桁を得たところで打切られる、いわゆる
有限語長演算が行われる。
【0010】一旦、有限語長演算によって得た座標(R
i ,Rj )を用いて、演算式(1)からもとの座標(S
i ,Sj )を求めようとしても誤差を生ずる。すなわ
ち、可逆的ではなく、不可逆的であり、可逆性を有して
いない。このことは、回転の演算回路R(θ)を多段に
縦続接続して、回転出力を更に回転すると、誤差が段数
に応じて拡大することを意味する。
【0011】図20には、回転変換を用いたDCT(文
献2)の回路構成が示されている。8個の入力された信
号S0〜S7が印加され、θ=4π/16だけ回転演算
する4π/16演算回路50〜59,θ=5π/16だ
け回転演算する5π/16演算回路65,θ=6π/1
6だけ回転演算する6π/16演算回路66およびθ=
7π/16だけ回転演算する7π/16演算回路67が
図示のように接続されている。この接続により、回転演
算によるDCT変換がなされ、8個のDCTの変換係数
T0〜T7を得ている。
【0012】ここでは、入力の信号S0〜S7の組合せ
による座標の回転は、演算回路を3ないし4回経て、回
転演算が有限語長演算によりくり返されるから誤差が大
きくなる。そのために、可逆性は有していない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】文献1のロスレスDC
T符号化方式は変換行列を整数行列に変形することで可
逆符号化を可能とし、冗長性を減少させるために可逆量
子化を導入している。しかしながら各変換係数のダイナ
ミック・レンジが大きく、また、係数毎のダイナミック
・レンジも大きく異なる欠点があった。したがって入力
信号に、たとえば白色雑音のような信号が入力される
と、変換係数の情報量(エントロピー)が増大する可能
性があった。また整数行列演算および可逆量子化の演算
が複雑となる欠点も有していた。
【0014】一方、回転変換を用いたDCT(文献2)
は、回転変換は無理数あるいはそれを近似した有理数の
演算であり、その演算が複雑であり、可逆符号化を実現
できないという解決されねばならない課題があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】回転変換を用いた符号化
において、回転の演算回路に替えてマップド回路を用い
た。マップド回路では、量子化した整数の入力された信
号の対(Si ,Sj )を回転角θに応じて回転した回転
後整数対(Mi ,Mj )が、入力された回転前の整数対
(Si ,Sj )に対応してマップされている。回転前整
数対(Si ,Sj )が入力されると、それに対応する回
転後整数対(Mi ,Mj )を直ちに読み出すことができ
る。
【0016】入力された回転前整数対(Si ,Sj )と
マッピングされた回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
に対応しているから、一方(他方)の対が判れば直ちに
他方(一方)の対を特定することができる関係にある。
すなわち、可逆性がある。したがって、マップド回路を
多段に縦続接続しても誤差の増大は無く、変換符号化の
特徴であるスケーラビリティも有している。
【0017】入力された回転前整数対(Si ,Sj )と
マッピングされた回転後整数対(M i ,Mj )は1対1
に対応して可逆性があるから、マップド回路の入出力を
逆にして、回転後整数対(Mi ,Mj )を入力すれば、
回転前整数対(Si ,Sj )を直ちに出力として得るこ
とができる。すなわち、逆回転変換が可能である。この
逆回転変換を用いると、逆変換による復号も可能であ
る。
【0018】変換符号化により符号化された変換係数は
信号の周波数成分を大まかに表しているから、この変換
係数を選択的に逆変換して復号すると、種々の解像度の
画像信号を得ることができる。
【0019】入力信号および変換後の係数を整数化した
ために変換速度は速く、符号化装置の回路構成も簡単な
ものでよい。また、その可逆性から、復号装置も簡単に
構成することができる。多くの画像の中から、特定の画
像を選択する画像の検索など、画像中の大きな特徴を高
速で調査する場合等に特に有効である。このような特徴
が得られるのも、可逆性とスケーラビリティを有してい
るからである。
【0020】
【発明の実施の形態】図1には、本発明の実施の形態を
示す符号化装置の回路構成が示されている。この回路構
成は図20に対応しており、図20の各種の演算回路5
0〜59,65,67,69が、それぞれマップド回路
10〜19,25,27,29に置き換えられている。
【0021】8個(3ビット)の量子化された入力信号
S0〜S7(整数)が印加され、θ=4π/16だけ回
転した出力(整数)を得る4π/16マップド回路10
〜19,θ=5π/16だけ回転した出力(整数)を得
る5π/16マップド回路25,θ=6π/16だけ回
転した出力(整数)を得る6π/16マップド回路2
6,θ=7π/16だけ回転した出力(整数)を得る7
π/16マップド回路27が図示のように多段に縦続接
続されて変換符号化を実行している。
【0022】図2には、図1の構成要素の1つであるマ
ップド回路M(θ)が示されている。入力端子1および
2に量子化された3ビットの整数の入力信号の対
(Si ,Sj )が印加される。このSi およびSj の対
は、それぞれのマップド回路によって図1のS0〜S7
のペアの示すように定められている。たとえば、4π/
16マップド回路10の入力端子1と2には、それぞ
れ、Si ,Sj の対としてS4,S3が印加されてい
る。ここで、S0〜S7は図19(a)の入力信号から
順次に得た波高値である。
【0023】マップド回路M(θ)、たとえばマップド
回路10の出力端子3および4には、回転変換後の整数
対(Mi ,Mj )が出力される。この回転後整数対(M
i ,Mj )は、回転前整数対(Si ,Sj )の回転演算
の式(1)によって定まる値に応じてマップド回路M
(θ)、たとえばマップド回路10内にマップ(回転前
整数対に対応する位置に格納)されている。
【0024】図3には、3ビット(8レベル)の回転前
整数対(Si ,Sj )が示されている。Si ,Sj はと
もに0〜7の整数をとり得るから、その回転前整数対
(Si,Sj )の組合せは8×8=64組ある。Sj
0を含む回転前整数対をゾーンZS0で表し、Sj =1を
含む回転前整数対をゾーンZS1で表し、以下同様にして
ゾーンZS7までのゾーンに分類される。
【0025】図4には、θ=4π/16の場合の図3の
回転前整数対(Si ,Sj )に対応する回転後整数対
(Mi ,Mj )が示されている。すなわち、図3の回転
前整数対(Si ,Sj )が印加されたとき、それぞれ対
応する図4の位置の回転後整数対(Mi ,Mj )を出力
する。
【0026】たとえば、回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)が入力されると、これは図3の左下角にある
から、それに対応する図4の左下角の回転後整数対(M
i ,Mj )=(0,4)を出力する。さらに、図3の右
上角の回転前整数対(Si ,Sj )=(7,7)が入力
されると、それに対応する図4の右上角の位置の回転後
整数対(Mi ,Mj )=(7,3)を出力する。
【0027】このことから明らかなように、たとえば、
回転後整数対(Mi ,Mj )=(0,4)が与えられる
と、それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)であることが、直ちにわかる。回転前整数対
(Si ,Sj )と回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
の関係があり、可逆性がある。
【0028】入力信号の値も出力信号の値も3ビットの
整数値を用いているから、ダイナミック・レンジに変化
がなく、出力を更にマップド回路の入力として用いて次
の出力を得る多段の縦続接続をくり返しても、ダイナミ
ック・レンジが変化せずに、可逆性が保たれる。
【0029】図1において、多段の縦続接続によって構
成された符号化装置について説明する。第1段は4個の
4π/16マップド回路10〜13からなり、第2段は
3個の4π/16マップド回路14〜16からなり、第
3段は1個の6π/16マップド回路26と3個の4π
/16マップド回路17〜19からなり、第4段は1個
の5π/16マップド回路25と1個の7π/16マッ
プド回路27からなっている。
【0030】図4の太線枠で囲んだ各ゾーンZT0〜ZT7
の回転後整数対は、それぞれ図3のゾーンZS0〜ZS7
回転前整数対にその値が同じであり、ゾーンZS0〜ZS7
をθ=4π/16だけ左回転して、8×8の枠内にZT0
〜ZT7を配列したものとなっている。
【0031】図5には、θ=5π/16の場合の図3の
回転前整数対(Si ,Sj )に対応する回転後整数対
(Mi ,Mj )が示されている。すなわち、図3の回転
前整数対(Si ,Sj )が印加されたとき、それぞれ対
応する図5の位置の回転後整数対(Mi ,Mj )を出力
する。
【0032】たとえば、回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)が入力されると、これは図3の左下角にある
から、それに対応する図5の左下角の回転後整数対(M
i ,Mj )=(0,5)を出力する。さらに、図3の右
上角の回転前整数対(Si ,Sj )=(7,7)が入力
されると、それに対応する図5の右上角の位置の回転後
整数対(Mi ,Mj )=(7,2)を出力する。
【0033】このことから明らかなように、たとえば、
回転後整数対(Mi ,Mj )=(0,5)が与えられる
と、それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)であることが、直ちにわかる。回転前整数対
(Si ,Sj )と回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
の関係があり、可逆性がある。
【0034】入力信号の値も出力信号の値も3ビットの
整数値を用いているから、ダイナミック・レンジに変化
がなく、出力を更にマップド回路の入力として用いて次
の出力を得る多段の縦続接続をくり返しても、ダイナミ
ック・レンジが変化せずに、可逆性が保たれる。
【0035】図5の太線枠で囲んだ各ゾーンZT0〜ZT7
の回転後整数対は、それぞれ図3のゾーンZS0〜ZS7
回転前整数対にその値が同じであり、ゾーンZS0〜ZS7
をθ=5π/16だけ左回転して、8×8の枠内にZT0
〜ZT7を配列したものとなっている。
【0036】図6には、θ=6π/16の場合の図3の
回転前整数対(Si ,Sj )に対応する回転後整数対
(Mi ,Mj )が示されている。すなわち、図3の回転
前整数対(Si ,Sj )が印加されたとき、それぞれ対
応する図6の位置の回転後整数対(Mi ,Mj )を出力
する。
【0037】たとえば、回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)が入力されると、これは図3の左下角にある
から、それに対応する図6の左下角の回転後整数対(M
i ,Mj )=(0,5)を出力する。さらに、図3の右
上角の回転前整数対(Si ,Sj )=(7,7)が入力
されると、それに対応する図6の右上角の位置の回転後
整数対(Mi ,Mj )=(7,2)を出力する。
【0038】このことから明らかなように、たとえば、
回転後整数対(Mi ,Mj )=(0,5)が与えられる
と、それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)であることが、直ちにわかる。回転前整数対
(Si ,Sj )と回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
の関係があり、可逆性がある。
【0039】入力信号の値も出力信号の値も3ビットの
整数値を用いているから、ダイナミック・レンジに変化
がなく、出力を更にマップド回路の入力として用いて次
の出力を得る多段の縦続接続をくり返しても、ダイナミ
ック・レンジが変化せずに、可逆性が保たれる。
【0040】図6の太線枠で囲んだ各ゾーンZT0〜ZT7
の回転後整数対は、それぞれ図3のゾーンZS0〜ZS7
回転前整数対にその値が同じであり、ゾーンZS0〜ZS7
をθ=6π/16だけ左回転して、8×8の枠内にZT0
〜ZT7を配列したものとなっている。
【0041】図7には、θ=7π/16の場合の図3の
回転前整数対(Si ,Sj )に対応する回転後整数対
(Mi ,Mj )が示されている。すなわち、図3の回転
前整数対(Si ,Sj )が印加されたとき、それぞれ対
応する図7の位置の回転後整数対(Mi ,Mj )を出力
する。
【0042】たとえば、回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)が入力されると、これは図3の左下角にある
から、それに対応する図7の左下角の回転後整数対(M
i ,Mj )=(0,6)を出力する。さらに、図3の右
上角の回転前整数対(Si ,Sj )=(7,7)が入力
されると、それに対応する図7の右上角の位置の回転後
整数対(Mi ,Mj )=(7,1)を出力する。
【0043】このことから明らかなように、たとえば、
回転後整数対(Mi ,Mj )=(0,6)が与えられる
と、それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)であることが、直ちにわかる。回転前整数対
(Si ,Sj )と回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
の関係があり、可逆性がある。
【0044】入力信号の値も出力信号の値も3ビットの
整数値を用いているから、ダイナミック・レンジに変化
がなく、出力を更にマップド回路の入力として用いて次
の出力を得る多段の縦続接続をくり返してもダイナミッ
ク・レンジが変化せずに、可逆性が保たれる。
【0045】図7の太線枠で囲んだ各ゾーンZT0〜ZT7
の回転後整数対は、それぞれ図3のゾーンZS0〜ZS7
回転前整数対にその値が同じであり、ゾーンZS0〜ZS7
をθ=7π/16だけ左回転して、8×8の枠内にZT0
〜ZT7を配列したものとなっている。
【0046】図8には、θ=3π/16の場合の図3の
回転前整数対(Si ,Sj )に対応する回転後整数対
(Mi ,Mj )が示されている。すなわち、図3の回転
前整数対(Si ,Sj )が印加されたとき、それぞれ対
応する図8の位置の回転後整数対(Mi ,Mj )を出力
する。
【0047】たとえば、回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)が入力されると、これは図3の左下角にある
から、それに対応する図8の左下角の回転後整数対(M
i ,Mj )=(0,2)を出力する。さらに、図3の右
上角の回転前整数対(Si ,Sj )=(7,7)が入力
されると、それに対応する図8の右上角の位置の回転後
整数対(Mi ,Mj )=(7,5)を出力する。
【0048】このことから明らかなように、たとえば、
回転後整数対(Mi ,Mj )=(0,2)が与えられる
と、それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )=
(0,0)であることが、直ちにわかる。回転前整数対
(Si ,Sj )と回転後整数対(Mi ,Mj )は1対1
の関係があり、可逆性がある。
【0049】入力信号の値も出力信号の値も3ビットの
整数値を用いているから、ダイナミック・レンジに変化
がなく、出力を更にマップド回路の入力として用いて次
の出力を得る多段の縦続接続をくり返しても、ダイナミ
ック・レンジが変化せずに、可逆性が保たれる。
【0050】図8の太線枠で囲んだゾーンZT0〜ZT7
回転後整数対は、それぞれ図3のゾーンZS0〜ZS7の回
転前整数対にその値が同じであり、ゾーンZS0〜ZS7
θ=3π/16だけ左回転して、8×8の枠内にZT0
T7を配列したものとなっている。
【0051】図9には、回転前整数対から回転後整数対
を得る回転変換の原理が示されている。白丸で示したの
は回転前整数対(Si,Sj)のマップされた座標の一部
であり、その中の座標の点P0 〜P7 を用いて説明す
る。
【0052】2重丸で示したマップのセンターCと点P
0 を結ぶ線から左回りに、たとえば、θ=3π/16だ
け点P0 を回転すると黒点で示した点Q0 になる。同様
にして点P1 ,P2 ,P3 ,P4 をθ=3π/16だけ
回転すると、点Q1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 になる。点P5
および点Q5 以後は点P0 〜P4 および点Q0 〜Q4
1/4回転,2/4回転および3/4回転したものであ
り、白丸の枠ができあがる。そこで点P0 〜P4 および
点Q0 〜Q4 について考察する。
【0053】回転後の点Q0 〜Q4 に近いそれぞれの点
n 〜Pn+4 を探索する。たとえば、点Pn と点Q0
間の距離をD0 ,点Pn+1 と点Q1 の間の距離をD1
点Pn+ 2 と点Q2 との間の距離をD2 ,点Pn+3 と点Q
3 の間の距離をD3 ,点Pn+ 4 と点Q4 の間の距離をD
4 とすると、2乗誤差dは、 d=ΣDi 2 (2) と表される。ここでΣはi=0から4までの累和を表わ
す。
【0054】この式(2)で示した2乗誤差が最小とな
るようなnの値は、θ=3π/16の場合、2である。
そこでP0 のθだけ回転した後の点はP2 となる。同様
にして点P1 の回転後の点はP3 に、点P2 の回転後の
点はP4 に、点P3 の回転後の点はP5 に、点P4 の回
転後の点はP6 に写像される。丁度、回転前の白丸の枠
が、n=2だけ、すなわち、2点分だけ左回転したもの
が回転後の枠となる。
【0055】図10には、回転前整数対(Si ,Sj
を示したマップのセンターCを中心とした回転前整数の
枠FS0〜FS3が示されている。各回転前整数対(Si
j)の配列は図3に示したものと同じである。各回転
前整数対の枠FS0〜FS3の左下角の整数対(3,3)、
(2,2)、(1,1)および(0,0)には目印のた
めの下線が付してある。
【0056】図11には、図9で説明した原理による回
転角θ=4π/16の回転後整数対(Mi ,Mj )の枠
T0〜FT3がマップのセンターCを中心として示されて
いる。各回転後整数対(Mi ,Mj )の配列は図4に示
したものと同じである。
【0057】たとえば、回転整数対の枠FT0では、式
(2)で示した2乗誤差dを最小にするnの値は1であ
り、図10の回転前整数対の枠FS0をn=1だけ左回転
している。同様にFT1ではn=2に、FT2ではn=3
に、FT3ではn=4になっており、下線を付した(3,
3)、(2,2)、(1,1)および(0,0)のよう
に、図10に示した位置からθ=4π/16だけ回転し
た各回転後整数対の枠FT0〜FT3の位置に移動してい
る。
【0058】図12には、図9で説明した原理による回
転角θ=5π/16の回転後整数対(Mi ,Mj )の枠
T0〜FT3がマップのセンターCを中心として示されて
いる。各回転後整数対(Mi ,Mj )の配列は図5に示
したものと同じである。
【0059】たとえば、回転整数対の枠FT0では、式
(2)で示した2乗誤差dを最小にするnの値は1であ
り、図10の回転前整数対の枠FS0をn=1だけ左回転
している。同様にFT1ではn=2に、FT2ではn=3
に、FT3ではn=5になっており、下線を付した(3,
3)、(2,2)、(1,1)および(0,0)のよう
に、図10に示した位置からθ=5π/16だけ回転し
た各回転後整数対の枠FT0〜FT3の位置に移動してい
る。
【0060】図13には、図9で説明した原理による回
転角θ=6π/16の回転後整数対(Mi ,Mj )の枠
T0〜FT3がマップのセンターCを中心として示されて
いる。各回転後整数対(Mi ,Mj )の配列は図6に示
したものと同じである。
【0061】たとえば、回転整数対の枠FT0では、式
(2)で示した2乗誤差dを最小にするnの値は1であ
り、図10の回転前整数対の枠FS0をn=1だけ左回転
している。同様にFT1ではn=2に、FT2ではn=4
に、FT3ではn=5になっており、下線を付した(3,
3)、(2,2)、(1,1)および(0,0)のよう
に、図10に示した位置からθ=6π/16だけ回転し
た各回転後整数対の枠FT0〜FT3の位置に移動してい
る。
【0062】図14には、図9で説明した原理による回
転角θ=7π/16の回転後整数対(Mi ,Mj )の枠
T0〜FT3がマップのセンターCを中心として示されて
いる。各回転後整数対(Mi ,Mj )の配列は図7に示
したものと同じである。
【0063】たとえば、回転整数対の枠FT0では、式
(2)で示した2乗誤差dを最小にするnの値は1であ
り、図10の回転前整数対の枠FS0をn=1だけ左回転
している。同様にFT1ではn=3に、FT2ではn=5
に、FT3ではn=6になっており、下線を付した(3,
3)、(2,2)、(1,1)および(0,0)のよう
に、図10に示した位置からθ=7π/16だけ回転し
た各回転後整数対の枠FT0〜FT3の位置に移動してい
る。
【0064】図15には、図9で説明した原理による回
転角θ=3π/16の回転後整数対(Mi ,Mj )の枠
T0〜FT3がマップのセンターCを中心として示されて
いる。各回転後整数対(Mi ,Mj )の配列は図8に示
したものと同じである。
【0065】たとえば、回転整数対の枠FT0では、式
(2)で示した2乗誤差dを最小にするnの値は0であ
るから、図10の回転前整数対の枠FS0を回転してはい
ない。回転前整数対の枠FT1ではn=1だけ左回転して
いる。同様にFT2ではn=2に、FT3ではn=2になっ
ており、下線を付した(3,3)、(2,2)、(1,
1)および(0,0)のように、図10に示した位置か
らθ=3π/16だけ回転した各回転後整数対の枠FT0
〜FT3の位置に移動している。
【0066】
【実施例】図16には、図1に示したものとは異なる本
発明の符号化装置の回路構成が示されている。図1の構
成要素に同じものには同じ記号が付されている。ここで
は、図1にあった5π/16マップド回路が無く、3π
/16マップド回路43が使われている。この符号化装
置の機能は図1に示したものと同じである。
【0067】8個(3ビット)の量子化された入力信号
S0〜S7(整数)が印加され、θ=4π/16だけ回
転した出力(整数)を得る4π/16マップド回路30
〜40,θ=3π/16だけ回転した出力(整数)を得
る3π/16マップド回路43,θ=6π/16だけ回
転した出力(整数)を得る6π/16マップド回路4
6,θ=7π/16だけ回転した出力(整数)を得る7
π/16マップド回路47が図示のように多段に縦続接
続されて符号化を実行している。
【0068】図17には、図1に示した符号化装置にお
ける入出力を逆にした復号装置の回路構成が示されてい
る。ここでは、図1とは逆に変換係数T0〜T7を入力
して信号S0〜S7を得ている。各マップド回路(27
R〜25R,19R〜10R)は端子3,4に回転後整
数対(Mi ,Mj )が印加されると、それに対応する回
転前整数対(Si ,Sj )を出力する。
【0069】たとえば、4π/16マップド回路(10
R〜19R)のうちの1つを例にとると、図4(または
図11)の左下角の回転後整数対(Mi ,Mj )は
(0,4)であり、これを印加されると、回転前整数対
(Si ,Sj )として、マップの対応する位置の図3
(または図10)の左下角の(0,0)を出力する。各
マップド回路にマップされた回転前および回転後の整数
対の間には可逆性があるから、高速の逆変換による復号
装置も簡単に構成することができる。
【0070】図18には、図16に示した符号化装置に
おける入出力を逆にした復号装置の回路構成が示されて
いる。ここでは、図16とは逆に変換係数T0〜T7を
入力して信号S0〜S7を得ている。各マップド回路
(47R,46R,43R,40R〜30R)は端子
3,4に回転後整数対(Mi ,Mj )が印加されると、
それに対応する回転前整数対(Si ,Sj )を出力す
る。
【0071】たとえば、4π/16マップド回路(30
R〜40R)のうちの1つを例にとると、図4(または
図11)の左下角の回転後整数対(Mi ,Mj )は
(0,4)であり、これを印加されると、回転前整数対
(Si ,Sj )として、マップの対応する位置の図3
(または図10)の左下角の(0,0)を出力する。各
マップド回路にマップされた回転前および回転後の整数
対の間には可逆性があるから、高速の逆変換による復号
装置も簡単に構成することができる。
【0072】以上においては3ビットの場合を例示して
説明したが、これに限定されるものではなく、さらに大
きな(または小さな)ビット数の場合にも本発明は適用
可能であることは明らかである。
【0073】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によるならば、つぎのような効果を有している。
【0074】回転変換による変換符号化において、回転
変換手段として入力された回転前整数対に対応した回転
後整数対をマップされたマップド回路から出力するよう
にしたから、多段に縦続接続してもダイナミック・レン
ジの増大は無い。したがって、入力信号にたとえ白色雑
音のような信号が入力されても、変換係数の情報量(エ
ントロピー)が増大することは無い。また、DCTの特
徴であるスケーラビリティも有している。すなわち、一
部の係数を復号することで画像細部の情報は失われるも
のの、多くの画像の中から、特定の画像を選択する画像
検索など、画像中の大きな特徴を高速で調査することが
できる。
【0075】入出力ともに整数化したマップをマップド
回路に使用したから可逆性があり、変換速度は極めて速
く、演算も極めて簡単である。
【0076】整数化したマップの使用により、可逆性も
得ることができたから、高速の逆変換による復号装置も
実現可能となった。
【0077】したがって、本発明の効果は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回路構成図である。
【図2】図1の構成要素であるマップド回路の構成図で
ある。
【図3】図2の入力信号のマップを示す回転前整数対図
である。
【図4】図3の回転前整数対を受けたマップド回路のθ
=4π/16回転後のマップされた回転後整数対図であ
る。
【図5】図3の回転前整数対を受けたマップド回路のθ
=5π/16回転後のマップされた回転後整数対図であ
る。
【図6】図3の回転前整数対を受けたマップド回路のθ
=6π/16回転後のマップされた回転後整数対図であ
る。
【図7】図3の回転前整数対を受けたマップド回路のθ
=7π/16回転後のマップされた回転後整数対図であ
る。
【図8】図3の回転前整数対を受けたマップド回路のθ
=3π/16回転後のマップされた回転後整数対図であ
る。
【図9】本発明の回転前整数対から回転後整数対を得る
回転の原理が示されている。
【図10】図9の原理による回転前整数対の枠表示をし
た枠表示図である。
【図11】図9の原理によるθ=4π/16回転後の回
転後整数対図である。
【図12】図9の原理によるθ=5π/16回転後の回
転後整数対図である。
【図13】図9の原理によるθ=6π/16回転後の回
転後整数対図である。
【図14】図9の原理によるθ=7π/16回転後の回
転後整数対図である。
【図15】図9の原理によるθ=3π/16回転後の回
転後整数対図である。
【図16】本発明の符号化装置の他の回路構成図であ
る。
【図17】図1の入出力を逆にした復号装置の回路構成
図である。
【図18】図16の入出力を逆にした復号装置の回路構
成図である。
【図19】従来の演算回路の動作を説明するための波形
図(a)と回路構成図(b)である。
【図20】従来の回転変換による符号化演算装置の回路
構成図である。
【符号の説明】
10〜19 4π/16マップド回路 25 5π/16マップド回路 26 6π/16マップド回路 27 7π/16マップド回路 30〜40 4π/16マップド回路 43 3π/16マップド回路 46 6π/16マップド回路 47 7π/16マップド回路 50〜59 4π/16演算回路 65 5π/16演算回路 66 6π/16演算回路 67 7π/16演算回路 C センター FS 回転前整数対の枠 FT 回転後整数対の枠 M(θ) マップド回路 Mi ,Mj 回転後整数対 P,Q 点 R 回転出力 R(θ) 演算回路 S 信号 Si ,Sj 回転前整数対 T 変換係数 Z ゾーン θ 回転角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 K.R.PAO,P.Yip共著、安 田浩,藤原洋共訳、「画像符号化技術− DCTとその国際基準−」、オーム社、 p.89−95 1996年画像符号化シンポジウム(PC SJ96)、p.23−24 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04N 7/24 - 7/68

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 量子化することによって整数値化した入
    力信号(S0〜S7)の対である回転前整数対(Si
    j)から回転変換し整数値化した回転後整数対(M
    i ,Mj)を得る回転変換動作(10〜19,25〜2
    7,30〜40,43,46,47)を多段動作するこ
    とにより変換係数(T0〜T7)を得る画像の符号化方
    法において、 前記回転変換動作(10〜19,25〜27,30〜4
    0,43,46,47)が、 前記回転前整数対(Si,Sj)に対応して、前記回転後
    整数対(M i ,M j )が、 前記回転前整数対(S i
    j )をマップしたセンター(C)を囲む複数の回転前
    整数対の枠(F S0 〜F S3 )内の前記回転前整数対
    (S i ,S j )の配列順序と同じくしたまま、回転角
    (θ)に応じて、前記回転前整数対の枠(F S0 〜F S3
    内の前記回転前整数対(S i ,S j )を回転させた配列と
    して格納してあり、前記回転前整数対(Si,Sj)の入
    力に対して対応する前記マップされた回転後整数対(M
    i,Mj)を出力するようにする画像の符号化方法。
  2. 【請求項2】 前記マップされた回転後整数対(Mi
    j)と前記回転前整数対(Si,Sj)のとり得るダイ
    ナミック・レンジが不変である請求項1の画像の符号化
    方法。
  3. 【請求項3】 量子化することによって整数値化した入
    力信号(S0〜S7)の対である回転前整数対(Si
    j)から回転変換し整数値化した回転後整数対(Mi
    j)を得る回転変換手段(10〜19,25〜27,
    30〜40,43,46,47)を多段接続することに
    より変換係数(T0〜T7)を得る画像の符号化装置に
    おいて、 前記回転変換手段(10〜19,25〜27,30〜4
    0,43,46,47)が、 前記回転前整数対(Si,Sj)に対応して、前記回転後
    整数対(M i ,M j )が、 前記回転前整数対(S i
    j )をマップしたセンター(C)を囲む複数の回転前
    整数対の枠(F S0 〜F S3 )内の前記回転前整数対
    (S i ,S j )の配列順序と 同じくしたまま、回転角
    (θ)に応じて、前記回転前整数対の枠(F S0 〜F S3
    内の前記回転前整数対(S i ,S j )を回転させた配列と
    して格納してあり、前記回転前整数対(Si,Sj)の入
    力に対して対応する前記マップされた回転後整数対(M
    i,Mj)を出力するようにした画像の符号化装置。
  4. 【請求項4】 前記マップされた回転後整数対(Mi
    j)と前記回転前整数対(Si,Sj)のとり得るダイ
    ナミック・レンジが不変である請求項の画像の符号化
    装置。
  5. 【請求項5】 量子化することによって整数値化した信
    号(S0〜S7)の対である回転前整数対(Si,Sj
    を回転変換し整数値化した回転後整数対(Mi,Mj)を
    受けて、前記回転前整数対(Si,Sj)を得る逆回転変
    換動作(27R〜25R,19R〜10R,47R,4
    6R,43R,40R〜30R)を多段動作することに
    より前記整数値化した信号(S0〜S7)を得る画像の
    復号方法において、 前記逆回転変換動作(27R〜25R,19R〜10
    R,47R,46R,43R,40R〜30R)が、 前記回転前整数対(Si,Sj)に対応して、前記回転後
    整数対(M i ,M j )が、 前記回転前整数対(S i
    j )をマップしたセンター(C)を囲む複数の回転前
    整数対の枠(F S0 〜F S3 )内の前記回転前整数対
    (S i ,S j )の配列順序と同じくしたまま、回転角
    (θ)に応じて、前記回転前整数対の枠(F S0 〜F S3
    内の前記回転前整数対(S i ,S j )を回転させた配列と
    して格納してあり、前記マップされた回転後整数対(M
    i,Mj)の入力に対して対応する前記回転前整数対(S
    i,Sj)を出力するようにする画像の復号方法。
  6. 【請求項6】 前記マップされた回転後整数対(Mi
    j)と前記回転前整数対(Si,Sj)のとり得るダイ
    ナミック・レンジが不変である請求項の画像の復号方
    法。
  7. 【請求項7】 量子化することによって整数値化した信
    号(S0〜S7)の対である回転前整数対(Si,Sj
    を回転変換し整数値化した変換係数(T0〜T7)の対
    である回転後整数対(Mi,Mj)を受けて前記回転前整
    数対(Si,Sj)を得る逆回転変換手段(27R〜25
    R,19R〜10R,47R,46R,43R,40R
    〜30R)を多段接続することにより前記整数値化した
    信号(S0〜S7)を得る画像の復号装置において、 前記逆回転変換手段(27R〜25R,19R〜10
    R,47R,46R,43R,40R〜30R)が、 前記回転前整数対(Si,Sj)に対応して、前記回転後
    整数対(M i ,M j )が、 前記回転前整数対(S i
    j )をマップしたセンター(C)を囲む複数の回転前
    整数対の枠(F S0 〜F S3 )内の前記回転前整数対
    (S i ,S j )の配列順序と同じくしたまま、回転角
    (θ)に応じて、前記回転前整数対の枠(F S0 〜F S3
    内の前記回転前整数対(S i ,S j )を回転させた配列と
    して格納してあり、前記マップされた回転後整数対(M
    i,Mj)の入力に対して対応する前記回転前整数対(S
    i,Sj)を出力するようにする画像の復号装置。
  8. 【請求項8】 前記マップされた回転後整数対(Mi
    j)と前記回転前整数対(Si,Sj)のとり得るダイ
    ナミック・レンジが不変である請求項の画像の復号装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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1996年画像符号化シンポジウム(PCSJ96)、p.23−24
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