JP2932154B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2932154B2
JP2932154B2 JP26781094A JP26781094A JP2932154B2 JP 2932154 B2 JP2932154 B2 JP 2932154B2 JP 26781094 A JP26781094 A JP 26781094A JP 26781094 A JP26781094 A JP 26781094A JP 2932154 B2 JP2932154 B2 JP 2932154B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関に供給され
る空気と燃料との空燃比を内燃機関の運転状態に応じて
所定の目標空燃比に合致させるために、燃料供給手段を
フィードバック制御するようにした空燃比制御装置に係
る。更に詳しくは、理論空燃比(ストイキ)による空燃
比制御と希薄側(リーン)空燃比による空燃比制御とを
切り換えるようにした内燃機関の空燃比制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関の技術分野では、内燃機
関の出力性能や排気性能、或いは燃費やドライバビリテ
ィ等の各種性能を内燃機関の運転状態に応じて適正化さ
せることが課題である。この課題を解決する一つの手法
として、内燃機関に供給される空気と燃料との空燃比を
フィードバック(F/B)制御することがある。この制
御では、内燃機関の回転速度、負荷及び暖機等の状態に
応じた目標空燃比を算出する。そして、この制御では、
排気通路に設けられたセンサにより検出される実際の空
燃比と算出された目標空燃比とが合致するように、内燃
機関に対する燃料供給量を制御する。
【0003】この種の制御の一つとして、「理論空燃比
(ストイキ)フィードバック制御」がある。この制御
は、酸素センサを使用して空燃比がストイキとなるよう
に制御する。この制御は排気系に設けられ三元触媒と組
み合わせることにより排気浄化率を最適化する。
【0004】一方、別の制御として、「希薄側(リー
ン)フィードバック制御」がある。この制御は、特に内
燃機関の燃費向上を目的として、希薄燃焼(リーンバー
ン)下において空燃比を制御する。この制御は、リーン
バーン下で空燃比がリーン側になるほど排気ガス中の窒
素酸化物(NOx)が減少することに着目して、酸化触
媒と組み合わせて行われる。
【0005】リーンミクスチャセンサ(以下単に「リー
ンセンサ」と書きあらわす)は、ストイキフィードバッ
ク制御で用いられる酸素センサに代わってリーンフィー
ドバック制御で用いられるセンサである。このセンサは
電圧の印加に基づいてリーンな空燃比を検出することが
できる。このセンサはジルコニア固体電解質を用いた酸
素濃度センサであり、ストイキに相当する「14.4〜
15.0」程度からリーンに相当する「25」程度まで
空燃比を出力に対して曲線的な特性をもって検出する。
このセンサは酸素濃度の大きさにほぼ比例して増大する
電流を出力する。このことは、酸素センサが理論空燃比
のみに感応して電圧を出力するデジタル的な出力特性を
有することと原理的に異なる。
【0006】ところで、近年の空燃比制御として、スト
イキ及びリーンのフィードバック制御を一つの内燃機関
で切り換えて行うものがある。ここで、酸素センサとリ
ーンセンサとを別々に設けて各々のセンサの使用を切り
換える場合と、酸素センサ及びリーンセンサの機能を兼
ね備えた一つのセンサを設けて各機能の使用を切り換え
る場合とがある。何れの場合にも、制御を切り換えると
きに、内燃機関に対する燃料供給量(燃料噴射量)を切
り換えると共にセンサの使用を切り換え、フィードバッ
ク制御を連続的に行う。又、制御がリーンフィードバッ
ク制御に切り換わった場合には、リーンセンサに対する
電圧印加を同時に行う。
【0007】しかしながら、上記のように制御の切り換
えと同時に燃料噴射量を切り換えても、切り換え後の排
気ガスがセンサに当たるまでには時間がかかる。又、セ
ンサ自体にも応答遅れがある。更に、リーンセンサに
は、電圧が印加された直後に一瞬大きな電流が流れる傾
向があることから、そのときのセンサ出力は信頼性に欠
ける。
【0008】或いは、一つのセンサを設けてセンサ機能
の使用を切り換える場合には、ストイキフィードバック
制御への移行時にセンサに対する電圧の印加を停止す
る。このとき、センサでは切り換え直前に印加されてい
た電圧が零に収束するまでに時間がかかる。そのため、
酸素センサとして機能し始めるセンサの出力に対して印
加電圧が重なることになる。その結果、制御切り換え時
の空燃比が誤って補正され、その空燃比が目標空燃比か
らずれてしまい、内燃機関のドライバビリティやエミッ
ションが悪化するそれがある。
【0009】そこで、上記の問題を解決するために、ト
ヨタ技術公開集(昭和61年5月29日発行,発行番
号:0966)における「内燃機関の空燃比制御方法」
は一つの手法を開示する。この制御方法は酸素センサを
用いたストイキフィードバック制御と、リーンセンサを
用いたリーンフィードバック制御との間で制御を切り換
える。そして、制御の切り換え時にはセンサ出力が不安
定となることから、切り換え直後のフィードバック制御
を一旦中断してオープンループ制御とする。その後、所
定期間経過したところでフィードバック制御を再開す
る。この制御により、燃料噴射量の切り換え直後、又は
リーンセンサへの電圧印加直後にセンサ出力が不安定と
なる期間にフィードバック制御が行われず、空燃比の誤
補正を防止することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記技術公
開集の空燃比制御方法では、制御の切り換え直後の所定
期間をオープンループ制御としている。このオープンル
ープ制御の期間には、空燃比が予測を外れて変動するこ
ともあり得る。その結果、フィードバック制御の開始が
遅れることになり、その遅れに起因してエミッションが
悪化するおそれがある。特に、フィードバック制御の開
始が遅れて空燃比がストイキよりも若干リーンになる
と、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が増大するおそ
れがある。
【0011】一方、上記の空燃比制御方法において、一
つのセンサをリーンセンサ及び酸素センサとして兼用す
ることも考えられる。ここで、リーンフィードバック制
御からストイキフィードバック制御へ切り換わったと
き、その直前にセンサに印加されていた電圧が運転状態
によって異なる場合も考えられる。この場合、リーンセ
ンサから酸素センサへの切り換え直後にセンサに残留す
る電圧の大きさも異なる。その結果、センサが酸素セン
サとして信頼できる電圧値を出力するまでの期間が異な
ることから、その期間を一律に定めることは安定したフ
ィードバック制御を実行するために適切ではない。
【0012】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その第1の目的は、リーンセンサ及び酸
素センサの機能を兼ね備えた一個のセンサを用いると共
に、そのセンサに対する電圧の印加の有無を切り換える
ことによりセンサの機能を切り換えて空燃比を所定のリ
ーン空燃比又はストイキにフィードバック制御するよう
にした空燃比制御装置を前提とする。そして、リーン空
燃比からストイキへの制御切り換え時に、センサ機能の
切り換え遅れに起因して空燃比が誤補正されることを防
止する内燃機関の空燃比制御装置を提供することにあ
る。
【0013】更に、この発明の第2の目的は、センサ機
能の切り換え遅れ時間が変動するような場合でも第1の
目的の達成を適切に行うことを可能にした内燃機関の空
燃比制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の第1の発明では、図1に示すよ
うに、内燃機関M1から排出される排気ガス中に残存す
る酸素濃度を検出すると共に、所定の電圧が印加された
ときには希薄側空燃比に対応する酸素濃度に比例した電
流を出力するリーンミクスチャセンサとして機能し、且
つその電圧の印加が停止したときには空燃比が理論空燃
比よりも大きいか否かを示す電圧を出力する酸素センサ
として機能するように構成した酸素濃度検出手段M3
と、内燃機関M1の運転状態に応じて空燃比を希薄側空
燃比に制御すべきか理論空燃比に制御すべきかを判断す
るための制御判断手段M4と、少なくとも制御判断手段
M4の判断結果に基づいて酸素濃度検出手段M3の機能
を切り換えるために同検出手段M3に対する電圧の印加
を制御するための第1の制御手段M5と、制御判断手段
M4の判断結果が空燃比を希薄側空燃比に制御すべきと
きに酸素濃度検出手段M3から出力される電流値に基づ
いて空燃比の補正値を算出するための第1の補正値算出
手段M6と、制御判断手段M4の判断結果が空燃比を理
論空燃比に制御すべきときに酸素濃度検出手段M3から
出力される電圧値に基づいて空燃比の大きさを判断し、
空燃比が理論空燃比よりも濃密側空燃比であると判断し
たときには空燃比の補正値が経時的に減少するように同
補正値を算出し、空燃比が理論空燃比よりも希薄側空燃
比であると判断したときには補正値が経時的に増大する
ように同補正値を算出するための第2の補正値算出手段
M7と、第1又は第2の補正値算出手段M6,M7の算
出結果に基づいて内燃機関M1に供給すべき最終的な燃
料量を算出するための燃料量算出手段M8と、その燃料
量算出手段M8の算出結果に基づいて燃料供給手段M2
を制御するための第2の制御手段M9とを備えた内燃機
関の空燃比制御装置において、制御判断手段M4による
判断が希薄側空燃比の制御から理論空燃比の制御へ移行
したときに、空燃比が理論空燃比よりも希薄側空燃比で
あることを第2の補正値算出手段M7に所定期間だけ強
制的に判断させるための第1の判断強制手段M10とを
備えたことを趣旨とする。
【0015】第2の目的を達成するために、請求項2に
記載の第2の発明では、図2に示すように、第1の発明
の構成において、制御判断手段M4の判断結果が空燃比
を希薄側空燃比に制御すべきときに第1の制御手段M5
により酸素濃度検出手段M3に印加される電圧値を内燃
機関M1の運転状態に応じて変更するための電圧変更手
段M11と、第1の判断強制手段M10により強制され
る所定期間を電圧変更手段M11により酸素濃度検出手
段M3に印加される電圧値に応じて変更するための期間
変更手段M12とを備えたことを趣旨とする。
【0016】第1の目的を達成するために、請求項3に
記載の第3の発明では、図3に示すように、第1の発明
における第1の判断強制手段M10に代わり、第2の補
正値算出手段M7において空燃比に関する大小の判断が
反転したときに、同算出手段M7により算出される補正
値について増減を反転させる時期を所定期間だけ遅延さ
せるために計数を開始する遅延手段M13とを備え、制
御判断手段M4による判断が希薄側空燃比の制御から理
論空燃比の制御へ移行したときに、空燃比が理論空燃比
よりも希薄側空燃比であることを第2の補正値算出手段
M7に強制的に判断させると共に、その後に遅延手段M
13に計数を開始させるための第2の判断強制手段M1
4とを備えたことを趣旨とする。
【0017】
【作用】図1に示す第1の発明の作用を説明する。制御
判断手段M4が空燃比を希薄側空燃比に制御すべきと判
断したとする。その判断を受け、第1の制御手段M5が
酸素濃度検出手段M3をリーンミクスチャセンサの機能
に切り換えるために同検出手段M3に電圧を印加したと
する。このとき、第1の補正値算出手段M6は、排気ガ
ス中に残存する酸素濃度に比例して酸素濃度検出手段M
3から出力される電流値に基づいて空燃比の補正値を算
出する。その補正値に基づき、燃料量算出手段M8は最
終的な燃料量を算出する。更に、その燃料量に基づき、
第2の制御手段M9は燃料供給手段M2を制御する。つ
まり、空燃比を所定の希薄側空燃比に合致させるため
に、燃料供給手段M2がフィードバック制御される。
【0018】一方、制御判断手段M4が空燃比を理論空
燃比に制御すべきと判断したとする。その判断を受け、
第1の制御手段M5が酸素濃度検出手段M3を酸素セン
サの機能に切り換えるために同検出手段M3に対する電
圧の印加を停止したとする。このとき、第2の補正値算
出手段M7は、酸素濃度検出手段M3から出力される電
圧値に基づいて空燃比の大きさを判断する。この補正値
算出手段M7は空燃比が理論空燃比よりも濃密側空燃比
であると判断したときに、値が経時的に減少するように
補正値を算出する。又、この補正値算出手段M7は空燃
比が理論空燃比よりも希薄側空燃比であると判断したと
きに、値が経時的に増大するように補正値を算出する。
そして、その補正値に基づき、燃料量算出手段M8は最
終的な燃料量を算出する。更に、その燃料量に基づき、
第2の制御手段M9は燃料供給手段M2を制御する。つ
まり、空燃比を所定の理論空燃比に合致させるために、
燃料供給手段M2がフィードバック制御される。
【0019】ここで、制御判断手段M4による判断が希
薄側空燃比の制御から理論空燃比の制御へ移行したとす
る。そして、直前に印加された電圧が酸素濃度検出手段
M3に残留し、その電圧値が酸素センサとして機能する
同検出手段M3から誤って出力されたとする。このと
き、第1の判断強制手段M10は、空燃比が理論空燃比
よりも希薄側空燃比であることを第2の補正値算出手段
M7に所定期間だけ強制的に判断させる。尚、酸素濃度
検出手段M3に残留した電圧は時間の経過に伴って無く
なり、所定期間経過後には同検出手段M3の出力は正常
に戻る。
【0020】従って、この発明では、理論空燃比よりも
濃密側空燃比であることを示す電圧値を酸素濃度検出手
段M3が誤って出力しても、第2の補正値算出手段M7
がその電圧値に基づき、値が減少するように補正値を算
出することはない。その代わりに、第2の補正値算出手
段M7は値が増大するように補正値を算出する。そし
て、燃料量算出手段M8は値が増大するように燃料量を
算出し、その算出結果に基づき燃料供給手段M2が制御
される。このため、希薄側空燃比の制御から理論空燃比
の制御への移行後に、空燃比が過剰に希薄側空燃比とな
ることはない。そして、酸素濃度検出手段M3の出力が
正常に戻る頃に、第2の補正値算出手段M7は検出手段
M3の電圧値に基づく補正値の算出を再開する。
【0021】図2に示す第2の発明の作用を説明する。
この発明で、空燃比を希薄側空燃比に制御すべきとき
に、電圧変更手段M11は、第1の制御手段M5により
酸素濃度検出手段M3に印加される電圧値を内燃機関M
1の運転状態に応じて変更する。更に、期間変更手段M
12は、第1の判断強制手段M10により強制される所
定期間を酸素濃度検出手段M3に印加される電圧値に応
じて変更する。
【0022】従って、第1の発明の作用に加え、酸素濃
度検出手段M3の出力が正常に戻るまでの期間が同検出
手段M3における残留電圧の大きさにより変動する。し
かし、この発明では、第2の補正値算出手段M7におけ
る電圧値に基づく補正値の算出が、上記の期間の長短に
合わせて再開される。
【0023】図3に示す第3の発明の作用を説明する。
この発明では、第1の発明と異なり、遅延手段M13
は、第2の補正値算出手段M7で空燃比の大小の判断が
反転したときに、補正値について増減を反転させる時期
を所定期間だけ遅延させるために計数を開始する。第2
の判断強制手段M14は、希薄側空燃比の制御から理論
空燃比の制御へと移行したときに、空燃比が理論空燃比
よりも希薄側空燃比であることを第2の補正値算出手段
M7に強制的に判断させ、その後に遅延手段M13に計
数を開始させる。
【0024】従って、この発明でも第1の発明と同様の
作用が得られる。更に、第2の補正値算出手段M7にお
いて補正値の増減を反転させる時期が遅延することか
ら、酸素濃度検出手段M3の出力が短時間の間に不規則
に変動しても、算出される補正値が不必要な変動を示す
ことはない。
【0025】
【実施例】以下、上記第1〜第3の発明に係る内燃機関
の空燃比制御装置を自動車に具体化した一実施例を図4
〜図24を参照して詳細に説明する。
【0026】図4はガソリンエンジンシステムを示す概
略構成図である。内燃機関としてのエンジン1は燃焼室
1aを含む気筒を複数備える。各気筒に対応する吸気ポ
ート2には、エアクリーナ3から吸気通路4に吸入され
る外気が流れる。本発明における燃料供給手段として各
気筒毎に設けられたインジェクタ5は、各吸気ポート2
へ燃料を噴射する。そして、それら外気と燃料との混合
気は、各気筒毎に設けられた吸気バルブ6により吸気ポ
ート2が開かれるときに、燃焼室1aに導入される。更
に、各気筒毎に設けられた点火プラグ7が作動すること
により、燃焼室1aにて混合気が爆発・燃焼してピスト
ン8が作動し、エンジン1の駆動力が得られる。その
後、各気筒毎に設けられた排気バルブ9により排気ポー
ト10が開かれるときに、既燃焼ガスが排気ガスとして
燃焼室1aから排気通路11に導出され、更に触媒12
により浄化されて外部へ排出される。
【0027】吸気通路4の途中に設けられたスロットル
バルブ13は、アクセルペダル(図示しない)の操作に
連動して作動し、吸気通路4を開閉する。このスロット
ルバルブ13の作動により、吸気通路4に対する吸入空
気量Qが調節される。
【0028】エアクリーナ3の近傍に設けられた吸気温
センサ31は、吸気通路4に吸入される空気の温度(吸
入空気温度)THAを検出し、その温度に応じた信号を
出力する。エアクリーナ3の近傍に設けられたエアフロ
ーメータ32は、吸気通路4における吸入空気量Qを検
出し、その量に応じた信号を出力する。スロットルバル
ブ13の近傍に設けられたスロットルセンサ33は、同
バルブ13の開度(スロットル開度)TAを検出し、そ
の開度に応じた信号を出力する。このセンサ33は、ス
ロットルバルブ13が全閉となったことも検出する。
【0029】一方、排気通路11の途中に設けられた本
発明における酸素濃度検出手段としての酸素濃度センサ
34は、排気ガス中に残存する酸素濃度Oxを検出す
る。図5に示すように、このセンサ34は金属製のハウ
ジング21を備え、ハウジング21は酸素濃度Oxを感
知するための素子22を支持する。素子22はカップ状
をなし、加熱用の強力なヒータ23を内蔵する。ハウジ
ング21に支持された保護カバー24は素子22の周囲
を覆う。素子22の材料は焼結されたジルコニアやチタ
ン等の固体電解質である。素子22の外周面を覆うセラ
ミック25は多孔質をなす。このセラミック25に排気
ガスが当たる。素子22の内外両面は各々白金薄膜によ
り覆われた陽極26及び陰極27をなす。
【0030】ここで、両極26,27に電圧を印加す
る。このとき、排気ガス中の酸素分子はセラミック25
内を拡散により通過して陰極27に達する。その後、酸
素分子が素子22を通過して陽極26に達することによ
り、両極26,27の間に電流が発生する。図6は排気
ガス中の酸素濃度Ox(重量パーセント)と両極26,
27の間で発生する電流値IL(mA)との関係を示す
グラフである。同図に実線Kで示すように電流値ILは
酸素濃度Oxに対してほぼ比例することが分かる。そし
て、排気ガス中の酸素濃度Oxが分かることにより、各
燃焼室1aに供給される空燃比A/Fが分かる。この空
燃比A/Fと電流値ILとの関係を同図に示す。図6か
らも明らかなように、電流値ILに基づき算出可能な空
燃比A/Fは、希薄側空燃比(リーン)の範囲に対応す
ることが分かる。つまり、この酸素濃度センサ34は、
所定の電圧が印加されたときに、リーンに対応する酸素
濃度Oxに比例した電流値ILを出力するリーンミクス
チャセンサ(以下単に「リーンセンサ」と書きあらわ
す)として機能する。
【0031】一方、両極26,27に対する電圧の印加
を停止する。このとき、酸素濃度センサ34は濃淡電池
として機能する。そして、排気通路11内の酸素濃度と
大気中の酸素濃度、即ち素子22の両側面に接触する気
体間の酸素濃度差に基づき同素子22の両側面間に電圧
値ESが発生する。図7はその電圧値ESと空燃比A/
Fとの関係を示すグラフである。同図に示すように、空
燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ)の値P(この実施
例では「14.5」)よりも小さいとき、即ち空燃比が
濃密側(リッチ)であるときには、電圧値ESは「約
0.9V」となる。空燃比A/Fがストイキの値Pより
も大きいとき、即ちリーンであるときには、発生電圧値
ESは「約0.1V」となる。つまり、このセンサ34
は、電圧の印加を停止したときに、空燃比A/Fがスト
イキの値Pよりも大きいか否かを示す電圧値ESを出力
する酸素センサとして機能する。
【0032】この酸素濃度センサ34を有効に作動させ
るために、素子22を所定温度に昇温させて活性化させ
る必要がある。そのために、ヒータ23は同センサ34
の作動中に通電される。
【0033】エンジン1のブロックに設けられた水温セ
ンサ35は、ブロックを冷却するために流れる冷却水の
温度(冷却水温度)THWを検出し、その温度に応じた
信号を出力する。
【0034】ディストリビュータ14は各点火プラグ7
に印加されるべき点火信号を分配する。イグナイタ15
はエンジン1のクランク角度の変化に同期してディスト
リビュータ14へ高電圧を出力する。各点火プラグ7の
点火タイミングはイグナイタ15における高電圧の出力
タイミングにより決定される。
【0035】ディストリビュータ14に設けられた回転
速度センサ36は、ディストリビュータ14に内蔵され
るロータ(図示しない)の回転に基づいてエンジン1の
回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その速度
に応じた信号を出力する。同じくディストリビュータ1
4に設けられた気筒判別センサ37は、ロータの回転に
基づきエンジン1のクランク角度の変化を所定の割合で
検出し、その変化に応じた信号出力する。
【0036】そして、この実施例では、各種センサ等3
1〜37がエンジン1の運転状態を検出するための運転
状態検出手段を構成する。ここで、電子制御装置(EC
U)41は本発明における制御判断手段、第1及び第2
の制御手段、第1及び第2の補正値算出手段、第1及び
第2の判断強制手段、燃料量算出手段、電圧変更手段、
期間変更手段、並びに遅延手段を構成する。このECU
41は前述した各種センサ等31〜37から出力される
信号を入力する。ECU41はこれらの入力信号に基づ
き、各インジェクタ5、イグナイタ15を制御すると共
に、素子22に対する電圧の印加、並びにヒータ23に
対する通電をそれぞれを制御する。
【0037】図8のブロック図に示すように、ECU4
1は中央処理装置(CPU)42、読み出し専用メモリ
(ROM)43、ランダムアクセスメモリ(RAM)4
4及びバックアップRAM45及びタイマカウンタ46
等を備える。ECU41はこれら各部42〜46と、外
部入力回路47と、外部出力回路48等とをバス49に
より接続してなる論理演算回路を構成する。ここで、R
OM43は所定の制御プログラム等を予め記憶する。R
AM44はCPU42の演算結果等を一時記憶する。バ
ックアップRAM45は予め記憶したデータを保存す
る。タイマカウンタ46は、同時に複数のカウント動作
を行うことができる。このカウンタ46は、例えば1バ
イトの2進カウンタを備える。そして、このカウンタ4
6はある周期毎に「1」だけインクリメントを繰り返
し、その値が「256」に達すると一旦「0」に戻る。
又、このカンウタ46は、ある周期毎に「1」だけデク
リメントを繰り返し、その値が「0」に達すると所定の
値へ移行する。外部入力回路47はバッファ、波形整形
回路及びA/D変換器等を含む。外部出力回路48は駆
動回路等を含む。各種センサ等31〜37は外部入力回
路47につながる。各部材5,15,22,23は外部
出力回路48につながる。
【0038】CPU42は外部入力回路47を介して入
力する各種センサ等31〜37からの信号を入力値とし
て読み込む。CPU42はそれら入力値に基づき、空燃
比制御を含む燃料噴射量制御、点火時期制御及び燃料カ
ット制御等を実行するために、各部材5,15,22,
23等を制御する。ここで、ECU41には、車両に搭
載されたバッテリ(図示しない)が接続されている。C
PU42が行う各部材5,15,22,23等の制御
は、バッテリからこれらの部材5,15,22,23等
に対する通電及び電圧の印加を制御することを含む。
尚、この実施例で、酸素濃度センサ34はバッファ及び
A/D変換器を介してバス49につながる。CPU42
は、A/D変換器により変換された酸素濃度センサ34
からの信号を所定時間毎に読み込む。
【0039】ここで、燃料噴射量制御とは、エンジン1
の運転状態に応じて各インジェクタ5から噴射される燃
料量を制御することである。空燃比制御とは、少なくと
も酸素濃度センサ34の検出値に基づき、エンジン1に
おける空燃比A/Fを制御することである。この実施例
では、空燃比制御として、ストイキに基づくストイキフ
ィードバック制御と、希薄燃焼(リーンバーン)下にお
けるリーン空燃比に基づくリーンフィードバック制御と
を行う。点火時期制御とは、エンジン1の運転状態に応
じてイグナイタ15を制御することにより、各点火プラ
グ7を作動させて各燃焼室1aにおける点火時期を制御
することである。更に、燃料カット制御とは、各インジ
ェクタ5からの燃料噴射を強制的に停止する制御であ
る。
【0040】次に、前述したECU41により実行され
る各種制御のうち、燃料噴射量制御を含む空燃比制御の
処理内容について図9〜図24の各種フローチャート等
を参照して説明する。後述する各種ルーチンに関する制
御プログラム及び関数データ等はROM43が予め記憶
する。
【0041】図9は「燃料噴射量算出ルーチン」を示
し、ECU41はこのルーチンの処理を所定時間毎に周
期的に実行する。処理がこのルーチンへ移行するとステ
ップ100において、ECU41は各センサ等31,3
2,35,36からの信号に基づき吸入空気温度TH
A、吸入空気量Q、冷却水温度THW及びエンジン回転
速度NEの値をそれぞれ読込む。
【0042】続いて、ステップ110において、ECU
41は両パラメータQ,NEの値に基づき、基本となる
基本噴射量TAUbを算出する。ECU41はこの基本
噴射量TAUbを算出するために、ROM43に予め記
憶された両パラメータQ,NE及び基本噴射量TAUb
の関数データを用いる。この実施例では、このステップ
110の処理を実行するECU41は、エンジン1の運
転状態に応じた基本噴射量TAUbを算出するための基
本噴射量算出手段に相当する。
【0043】次に、ステップ120において、ECU4
1は両パラメータTHA,THWの値に基づき温度補正
値KTHを算出する。この温度補正値KTHは両パラメ
ータTHA,THWの程度に応じて基本噴射量TAUb
を補正するためのものである。ECU41はこの補正値
KTHを算出するために、ROM43に予め記憶された
両パラメータTHA,THW及び温度補正値KTHの関
数データを用いる。この実施例では、ステップ120の
処理を実行するECU41は、温度条件に応じた温度補
正値KTHを算出するための温度補正値算出手段に相当
する。
【0044】次いで、ステップ130において、ECU
41は空燃比A/Fをフィードバック制御するために使
用される空燃比補正値FAF、リーン補正値FLN、リ
ッチ補正値(燃料増量補正値)FOTPを読み込む。空
燃比補正値FAFは、実際の空燃比A/Fを所定の目標
空燃比に合致させるためのものである。ECU41はこ
の補正値FAFを、後述する図15,16に示す「空燃
比補正値算出ルーチン」に従って算出する。ECU41
は空燃比A/Fをオープンループ制御する場合に、この
補正値FAFを「1.0」に設定する。リーン補正値F
LNは目標空燃比をストイキよりもリーン側の値に制御
するためのものであり、リッチ補正値FOTPはストイ
キよりもリッチ側に制御するためのものである。ECU
41はこれら補正値FLN,FOTPを図10に示す
「目標空燃比算出ルーチン」に従って算出する。
【0045】即ち、図10のステップ210において、
ECU41は各種センサ等32,36の検出信号に基づ
き、吸入空気量Q及びエンジン回転速度NEの値をそれ
ぞれ読込む。次に、ステップ220において、ECU4
1は各種パラメータQ,NEの値に基づき、エンジン1
の運転状態に応じた目標空燃比を算出する。この実施例
で、エンジン回転速度NEが比較的高い場合や、吸入空
気量Qが比較的多い場合には、排気系を保護するため
に、ECU41は目標空燃比をストイキ「14.5」よ
りリッチ側の「11〜13」に設定する。この場合、E
CU41は空燃比A/Fのフィードバック制御を行わ
ず、空燃比補正値FAFを「1.0」に設定し、リッチ
補正値FOTPに基づき燃料の増量制御を行う。又、外
気温度が所定値以上で、エンジン1が暖機完了状態であ
り、両パラメータQ,NEに基づいて燃焼が安定状態に
達したと判断したときは、ECU41は目標空燃比を
「20〜23」に設定する。この場合、ECU41は空
燃比A/Fのリーンフィードバック制御を行う。更に、
上記条件以外の場合には、両パラメータQ,NEの関係
が所定の条件を満足したとき、ECU41は目標空燃比
をストイキである「14.5」とする。この場合、EC
U41はストイキフィードバック制御を行う。ROM4
3はエンジン回転速度NEに応じた第1のリーン補正値
FLN1の関数データ、負荷G(=Q/NE)に応じた
第2のリーン補正値FLN2及びリッチ補正値FOTP
の関数データを予め記憶する。これらの関数データを図
12,13(a),(b)に示す。ECU41はこれら
の関数データを用いることにより、ステップ230にお
いて、各リーン補正値FLN1,FLN2及びリッチ補
正値FOTPを算出し、更に両者FLN1,FL2を乗
算することによりリーン補正値FLNを算出する。ここ
で、リッチ補正値FOTPとリーン補正値FLNを同時
に目標噴射量TAU(後述する)に反映させないように
するために、リッチ補正値FOTPが「1.0」よりも
大きい場合にはリーン補正値FLNを「1.0」とす
る。一方、リーン補正値FLNが「1.0」よりも小さ
い場合にはリッチ補正値FOTPを「1.0」とする。
続いて、ステップ240において、ECU41は今回算
出したリーン補正値FLN及びリッチ補正値FOTPを
それぞれRAM44に一旦記憶し、その後の処理を一旦
終了する。ところで、ステップ230では、エンジン回
転速度NEと負荷Gとで異なる二つの関数データに基づ
いてリーン補正値FLNを算出した。これに対し、エン
ジン回転速度NEと負荷Gとの二次元関数データに基づ
きリーン補正値FLNを算出するようにしてもよい。
【0046】ECU41は上記のルーチンに従うことに
より、目標空燃比をストイキとする場合にリーン補正値
FLN及びリッチ補正値FOTPをそれぞれ「1.0」
に設定する。図11は設定すべき目標空燃比とリーン補
正値FLN及びリッチ補正値FOTPとの関係を示す。
この実施例で、ステップ220の処理を実行するECU
41は、エンジン1の運転状態に応じた目標空燃比を算
出するための目標空燃比算出手段に相当する。併せて、
ステップ220の処理を実行するECU41は、本発明
における制御判断手段に相当する。
【0047】図9に説明を戻し、ステップ140におい
て、ECU41は各種パラメータTAUb,KTH,F
AF,FLN,FOTPを乗算することにより、目標噴
射量TAUを算出する。即ち、このステップ140で
は、基本噴射量TAUbの値を温度補正値KTH、空燃
比補正値FAF、リーン補正値FLN及びリッチ補正値
FOTPに基づいて補正することにより、最終的な目標
噴射量TAUを算出する。この実施例では、ステップ1
40の処理を実行するECU41が、本発明における燃
料量算出手段に相当する。
【0048】そして、ステップ150において、ECU
41は目標噴射量TAUをRAM44に一旦記憶し、そ
の後の処理を一旦終了する。その後、ECU41は別途
の処理ルーチン(図示しない)に従い、RAM44から
読み出す目標噴射量TAUの値に基づき各インジェクタ
5を制御する。これにより、各インジェクタ5から吸気
ポート2へ噴射される燃料量が制御される。この燃料噴
射の実行に関する処理の手法は一般に周知であることか
ら、ここではその説明を省略する。このように各インジ
ェクタ5を制御するECU41は、本発明における第2
の制御手段に相当する。
【0049】上記のように、この実施例における酸素濃
度センサ34に対する電圧の印加の有無は、リーンフィ
ードバック制御を行うか否かにより異なる。更に、その
印加電圧の大きさはリーンフィードバック制御で設定さ
れるべき目標空燃比により異なる。
【0050】図14は酸素濃度センサ34に対する電圧
の印加を制御するための「電圧印加制御ルーチン」を示
す。ECU41はこのルーチンの処理を所定時間毎に周
期的に実行する。
【0051】処理がこのルーチンへ移行すると、ステッ
プ310において、ECU41は前述した「目標空燃比
算出ルーチン」において算出されたリーン補正値FLN
をRAM44から読み込む。
【0052】続いて、ステップ320において,ECU
41は今回読み込まれたリーン補正値FLNに応じて印
加すべき電圧値ERを算出し、その算出結果をRAM4
4に一旦記憶させる。ECU41はこの電圧値ERを算
出するために、ROM43に予め記憶されたリーン補正
値FLNに対する電圧値ERの関数データを用いる。こ
こでの設定は、「FLN=1.0」であるのに対して電
圧値ERが「0V」に、「1.0>FLN>0.9」で
あるのに対して電圧値ERが「0.45V」に、「FL
N≦0.9」であるのに対して電圧値ERが「0.75
V」となっている。この実施例で、このステップ330
の処理を実行するECU41は、本発明における電圧変
更手段に相当する。
【0053】続いて、ステップ340において、ECU
41は算出された電圧値ERに基づいて酸素濃度センサ
34の素子22対する電圧の印加を制御する。この実施
例で、このステップ340の処理を実行するECU4
1、本発明における第1の制御手段に相当する。ECU
41が上記ルーチンを実行することにより、ストイキフ
ィードバック制御を行うべきとき、或いはリッチ補正値
FOTPによるリッチ空燃比制御を行うべきときには、
酸素濃度センサ34の素子22に対する電圧の印加が停
止される。リーンフィードバック制御を行うべきときに
は、素子22に対する印加が行われ、その電圧値ERが
リーン補正値FLNに応じて段階的に変更される。
【0054】ところで、上記のルーチンでは、素子22
に印加すべき電圧ERをリーン補正値FLNに基づいて
算出した。これに対し、その電圧ERを、エンジン1の
運転状態を示す各種パラメータQ,NE等に基づいて算
出してもよい。
【0055】次に、前述した「燃料噴射量算出ルーチ
ン」で使用される空燃比補正値FAFの算出について説
明する。図15,16は「空燃比補正値算出ルーチン」
を示す。ECU41はこのルーチンの処理を所定時間毎
に周期的に実行する。
【0056】処理がこのルーチンへ移行すると、ステッ
プ400において、ECU41は各種センサ等32,3
5,36の検出信号に基づき、吸入空気量Q、冷却水温
度THW及びエンジン回転速度NE等の値をそれぞれ読
込む。併せて、RAM44に記憶されているリーン補正
値FLN及びリッチ補正値FOTPをそれぞれ読み込
む。
【0057】続いて、ステップ410において、ECU
41は空燃比A/Fのフィードバック(F/B)制御を
実行すべき条件が成立しているか否かを判断する。この
実施例では、例えば、エンジン1が始動中、冷却水温度
THWが「50℃以下」のとき、或いはエンジン1の始
動後「4秒」が経過していないとき及び燃料の増量制御
の実行条件が成立しているときには、ECU41はフィ
ードバック制御の実行条件が成立していないと判断す
る。その他の場合には、ECU41はフィードバック制
御の実行条件が成立していると判断する。ここで、上記
実行条件が成立していない場合には、ステップ415に
おいて、ECU41は空燃比A/Fをオープンループ制
御するために空燃比補正値FAFを「1.0」に設定
し、その後の処理を一旦終了する。上記の実行条件が成
立している場合に、ECU41は空燃比A/Fをフィー
ドバック制御するために処理をステップ420へ移行す
る。
【0058】ステップ420において、ECU41はリ
ーン補正値FLNが「1.0」であるか否かを判断す
る。前述したようにこの実施例では、目標空燃比をスト
イキとする場合に、リーン補正値FLNを「1.0」に
設定する。そのため、このステップ420で、ECU4
1は目標空燃比がストイキであるか、リーン空燃比であ
るかを判断することになる。この実施例では、このステ
ップ420の処理を実行するECU41が、本発明にお
ける制御判断手段に相当する。リーン補正値FLNが
「1.0」でない場合、即ち目標空燃比がリーン空燃比
である場合には、ECU41は処理をステップ436へ
移行する。この場合、ECU41は酸素濃度センサ34
をリーンセンサとして機能させるために、その素子22
に対する電圧の印加を開始する。そのとき印加されるべ
き電圧値ERについては前述した。一方、リーン補正値
FLNが「1.0」である場合、即ち目標空燃比がスト
イキである場合には、ECU41は処理をステップ46
0へ移行する。この場合、ECU41は酸素濃度センサ
34を酸素センサとして機能させるために素子22に対
する電圧の印加を停止する。
【0059】続いて、ステップ436において、ECU
41は判定フラグXORをRAM44から読み込む。こ
のフラグXORはフィードバック制御において、空燃比
補正値FAFの変更を許容するために、空燃比A/Fが
目標空燃比よりもリッチであるかリーンであるかを示
す。
【0060】ECU41はこの判定フラグXORを図1
7に示す「判定フラグ設定ルーチン」に従って設定す
る。ECU41はこのルーチンを所定時間(例えば「1
6ms」)毎に周期的に実行する。即ち、ステップ51
0において、ECU41はカウント値CDYを読み込
む。ECU41はこのカウント値CDYを後述する図2
0,21に示す「カウント値設定ルーチン」に従って設
定する。このカウント値CDYは、空燃比A/Fが目標
空燃比よりもリッチであるかリーンであるかの判断を、
酸素濃度センサ34の出力変化に対して所定期間だけ遅
延させるためにタイマカウンタ46によりカウントされ
る。続いて、ステップ520において、ECU41はそ
のカウント値CDYが所定の基準値T1(例えば「12
8」)以上であるか否かを判断する。ここで、カウント
値CDYが基準値T1以上である場合には、空燃比A/
Fがリッチ側であることから、ステップ530におい
て、ECU41は判定フラグXORを「1」に設定し、
その後の処理を一旦終了する。カウント値CDYが基準
値T1未満である場合には、空燃比A/Fがリーン側で
あることから、ステップ540において、ECU41は
判定フラグXORを「0」に設定し、その後の処理を一
旦終了する。
【0061】図15に説明を戻し、ステップ437にお
いて、ECU41は判定フラグXORが「0」であるか
否か、即ち空燃比A/Fが目標空燃比よりもリーン側で
あるかリッチ側であるかを判断する。ここで、判定フラ
グXORが「1」である場合には、空燃比補正値FAF
の減少変更を許容するために、ECU41は処理をステ
ップ446へ移行する。判定フラグXORが「0」であ
る場合には、空燃比補正値FAFの増加変更を許容する
ために、ECU41は処理をステップ438へ移行す
る。
【0062】ステップ438において、ECU41はス
キップフラグXSPをRAM44から読み込む。このフ
ラグXSPは空燃比A/Fがリッチからリーンへ、或い
はリーンからリッチへスキップするタイミングであるこ
とを示すものであり、後述する図20,21に示す「カ
ウント値設定ルーチン」において設定される。
【0063】続いて、ステップ440において、ECU
41はスキップフラグXSPが「1」であるか否か、即
ち空燃比A/Fのスキップタイミングであるか否かを判
断する。スキップフラグXSPが「1」である場合に
は、ステップ441において、ECU41は現在の空燃
比補正値FAFに今回算出した比例値RS1を加算し、
その加算結果を新たな空燃比補正値FAFとして設定す
る。そして、ステップ442において、スキップフラグ
XSPを「0」に設定してスキップ処理を終了し、その
後の処理を一旦終了する。スキップフラグXSPが
「0」である場合には、ステップ443において、EC
U41は現在の空燃比補正値FAFに今回算出した積分
値K1を加算し、その加算結果を新たな空燃比補正値F
AFとして設定する。そして、その後の処理を一旦終了
する。つまり、ステップ440〜443のルーチンで、
ECU41は空燃比補正値FAFを増大させる。
【0064】ここで、比例値RS1は空燃比A/Fが目
標空燃比に対してリッチからリーンへ、或いはその逆に
リーンからリッチへ移行したときに、空燃比補正値FA
Fを大きく増減(スキップ)させて制御性を向上させる
比例補正用のものである。積分値K1は空燃比補正値F
AFを徐々に増減させる積分補正用のものである。両値
RS1,K1とも適宜な値に定めることができる。更
に、比例値RS1及び積分値K1のそれぞれについて、
空燃比補正値FAFを増大させる場合と減少させる場合
とで、同じ値に設定したり、異なった値に設定したりし
てもよい。
【0065】一方、ステップ437において、判定フラ
グXORが「0」である場合、即ち空燃比A/Fが目標
空燃比よりもリッチ側である場合には、ECU41は処
理をステップ445へ移行する。このステップ445に
おいて、ECU41はスキップフラグXSPをRAM4
4から読み込む。
【0066】続いて、ステップ446において、ECU
41は今回読み込まれたスキップフラグXSPが「1」
であるか否か、即ち空燃比A/Fが目標空燃比に対して
リーンからリッチになって最初にこのステップ445を
経たか否かを判断する。即ち、ECU41は、空燃比A
/Fがスキップタイミングであるか否かを判断する。ス
キップフラグXSPが「1」である場合、即ちスキップ
タイミングである場合には、ステップ447において、
ECU41は現在の空燃比補正値FAFから比例値RS
1を減算し、その減算結果を新たな空燃比補正値FAF
として設定する。そして、ステップ448において、ス
キップフラグXSPを「0」に設定し、その後の処理を
一旦終了する。スキップフラグXSPが「0」、即ちス
キップタイミングでない場合には、ステップ449にお
いて、ECU41は現在の空燃比補正値FAFから積分
値K1を減算し、その減算結果を新たな空燃比補正値F
AFとして設定する。そして、その後の処理を一旦終了
する。つまり、ステップ446〜449のルーチンで、
ECU41は空燃比補正値FAFを減少させる。
【0067】図18はリーンフィードバック制御下にお
ける酸素濃度センサ34の出力電流値IL、判定フラグ
XOR及び空燃比補正値FAFの変化を示す。このタイ
ミングチャートからも分かるように、空燃比A/Fが目
標空燃比よりもリーン側となって電流値ILが基準値I
Rを上回ると、所定の遅延値TDL(例えば「16m
s」)だけ遅れて判定フラグXORが「1」から「0」
へ変わる。これと同時に、空燃比補正値FAFが増加方
向へ反転する。このとき、空燃比補正値FAFは比例値
RS1の分だけスキップした後、積分値K1だけ徐々に
増加する。一方、空燃比A/Fが目標空燃比よりもリッ
チ側となって電流値ILが基準値IRを下回ると、所定
の遅延値TDR(例えば「16ms」)だけ遅れて判定
フラグXORが「0」から「1」へ変わる。これと同時
に、空燃比補正値FAFが減少方向へ反転する。このと
き、空燃比補正値FAFは比例値RS1の分だけスキッ
プした後、積分値K1だけ徐々に減少する。このよう
に、電流値ILの変化に対して空燃比補正値FAFの増
減の反転を遅延させるのは、酸素濃度センサ34の出力
が短時間に不規則に変動した場合に対処するためであ
る。この実施例では、上記ステップ436〜449のル
ーチンを実行するECU41が、本発明における第1の
補正値算出手段に相当する。
【0068】ステップ420から移行してステップ46
0において、ECU41は判定フラグXORをRAM4
4から読み込む。そして、ステップ465において、E
CU41は判定フラグXORが「0」であるか否か、即
ち空燃比A/Fがストイキに対してリーンであるか否か
を判断する。ここで、判定フラグXORが「0」である
場合には、空燃比補正値FAFの増加変更を許容するた
めに、ECU41は処理をステップ485へ移行する。
判定フラグXORが「1」である場合には、空燃比補正
値FAFの減少変更を許容するために、ECU41は処
理をステップ466へ移行する。
【0069】ステップ466において、ECU41はス
キップフラグXSPをRAM44から読み込む。更に、
ステップ470において、ECU41はスキップフラグ
XSPが「1」であるか否か、即ち判定フラグXORが
「1」となって最初にこのステップ466を経たか否か
を判断する。最初の場合、即ちスキップフラグXSPが
「1」となるスキップタイミングである場合には、ステ
ップ471において、ECU41は現在の空燃比補正値
FAFから所定の比例値RS2を減算し、その減算結果
を新たな空燃比補正値FAFとして設定する。そして、
ステップ472において、スキップフラグXSPを
「0」に設定し、その後の処理を一旦終了する。最初で
ない場合、即ちスキップフラグXSPが「0」となるス
キップタイミングでない場合には、 ステップ473に
おいて、ECU41は現在の空燃比補正値FAFから所
定の積分値K2を減算し、その減算結果を新たな空燃比
補正値FAFとして設定する。そして、その後の処理を
一旦終了する。
【0070】ここで、比例値RS2及び積分値K2は前
述した比例値RS1及び積分値K1に準じ、両値RS
2,K2とも任意に設定することができる。この実施例
では、比例値RS2が比例値RS1よりも相対的に大き
く、積分値K2が積分値K1よりも相対的に大きく設定
されている。
【0071】一方、ステップ465から移行してステッ
プ485において、ECU41はスキップフラグXSP
をRAM44から読み込む。そして、ステップ490に
おいて、ECU41はスキップフラグXSPが「1」で
あるか否か、即ち判定フラグXORが「0」となって最
初にこのステップ490を経たか否かを判断する。即
ち、ECU41は空燃比A/Fがストイキよりもリーン
となって最初であるか否かを判断する。最初の場合、即
ちスキップフラグXSPが「1」である場合には、ステ
ップ491において、ECU41は現在の空燃比補正値
FAFに比例値RS2を加算し、その加算結果を新たな
空燃比補正値FAFとして設定する。そして、ステップ
493において、スキップフラグXSPに「0」を設定
し、その後の処理を一旦終了する。最初でない場合、即
ちスキップフラグXSPが「0」である場合には、ステ
ップ492において、ECU41は現在の空燃比補正値
FAFに積分値K2を加算し、その加算結果を新たな空
燃比補正値FAFとして設定する。そして、その後の処
理を一旦終了する。
【0072】図19はストイキフィードバック制御下に
おける酸素濃度センサ34の出力電圧値ES、判定フラ
グXOR及び空燃比補正値FAFの変化を示す。このタ
イミングチャートからも分かるように、空燃比A/Fが
ストイキよりもリッチとなって電圧値ESが基準値ED
以上となると、所定の遅延値TDR(例えば「72m
s」)だけ遅れて判定フラグXORが「0」から「1」
へ変わる。これと同時に、空燃比補正値FAFが減少方
向へ反転する。このとき、空燃比補正値FAFは比例値
RS2の分だけスキップした後、積分値K2だけ徐々に
減少する。一方、空燃比A/Fがストイキよりもリーン
となって電圧値ESが基準値EDを下回ると、所定の遅
延値TDL(例えば「16ms」)だけ遅れて判定フラ
グXORが「1」から「0」へ変わる。これと同時に、
空燃比補正値FAFが増加方向へ反転する。このとき、
空燃比補正値FAFは比例値RS2の分だけスキップし
た後、積分値K2だけ徐々に増加する。このように、電
圧値ESの変化に対して空燃比補正値FAFの増減の反
転を遅延させる。この実施例では、上記ステップ460
〜492のルーチンを実行するECU41が、本発明に
おける第2の補正値算出手段に相当する。
【0073】次に、前述した「判定フラグ設定ルーチ
ン」で使用されるカウント値CDYの処理について説明
する。図20,21は「カウント値処理ルーチン」を示
す。ECU41はこのルーチンの処理を所定時間(例え
ば「4ms」)毎に周期的に実行する。
【0074】処理がこのルーチンへ移行すると、ステッ
プ600において、ECU41は各種センサ等32,3
3,35,36の検出信号に基づき、運転状態に関する
各種パラメータQ,TA,THW,NEの値をそれぞれ
読み込む。併せて、RAM44に記憶されているリーン
補正値FLNを読み込む。更に、ステップ601におい
て、ECU41は現在のカウント値CDYを前回のカウ
ント値CDY1としてRAM44に記憶する。
【0075】続いて、ステップ602において、ECU
41はリーンフィードバック(リーンF/B)制御を実
行すべき条件が成立しているか否かを判断する。この判
断の内容は、前述した「空燃比補正値算出ルーチン」の
ステップ410及びステップ420のそれに準ずる。こ
の条件が成立している場合には、ECU41は処理をス
テップ630へ移行する。この条件が成立していない場
合には、ECU41は処理をステップ603へ移行す
る。
【0076】ステップ603において、ECU41は燃
料カット(F/C)を実行すべき条件が成立しているか
否かを判断する。この実施例で、ECU41はスロット
ル開度TA及びエンジン回転速度NEの値に基づき燃料
カット実行の条件成立を判断する。そして、この条件が
成立している場合には、ECU41は処理をステップ6
30へ移行する。この条件が成立していない場合には、
ECU41は処理をステップ604へ移行する。
【0077】ステップ604において、ECU41は前
回に燃料カットが実行されたか否かを判断する。前回に
燃料カットが行われた場合には、現在が空燃比A/Fの
オープンループ制御であることから、ECU41は処理
をステップ610へ移行する。前回に燃料カットが実行
されていない場合には、ECU41は処理をステップ6
05へ移行する。
【0078】ステップ610において、ECU41は酸
素濃度センサ34に印加された電圧値ERをRAM44
より読み込む。続いて、ステップ611において、EC
U41は電圧値ERの大きさに応じた設定値KDIを算
出する。この設定値KDIはカウント値CDYを強制的
にある値に置き換えるためのものである。例えば「1
9」から「127」の範囲で設定することができる。こ
の実施例では、電圧値ERが「0V」、「0.45V」
及び「0.75V」に段階的に設定されることから、こ
れに応じて設定値KDIが段階的に設定される。その
後、ステップ612において、ECU41はその設定値
KDIを前回のカウント値CDY1として設定する。更
に、ステップ660において、ECU41は前回のカウ
ント値CDY1を今回のカウント値CDYとして設定
し、その後の処理を一旦終了する。つまり、ステップ6
10〜612,660の一連のルーチンで、ECU41
は酸素濃度センサ34に印加されていた電圧値ERに応
じた設定値KDIをカウント値CDYとして強制的に設
定する。この実施例では、上記ステップ610,611
の処理を実行するECU41が、本発明における期間変
更手段に相当する。更に、上記ステップ612,660
の処理を実行するECU41が、本発明における第1及
び第2の判断強制手段に相当する。
【0079】一方、ステップ604から移行してステッ
プ605において、ECU41は前回にストイキフィー
ドバック(ストイキF/B)制御が実行されたか否かを
判断する。そして、前回にこの制御が実行されていない
場合には、ステップ606において、ECU41は前回
に燃料増量制御が行われたか否かを判断する。この制御
は目標噴射量TAUを強制的に増量補正するためのもの
である。この制御は前述した「目標空燃比算出ルーチ
ン」において算出されるリッチ補正値FOTPに基づい
て行われるものである。ここで、前回に燃料増量制御が
あった場合には、ECU41は処理をステップ620へ
移行する。前回に燃料増量制御がなかった場合には、E
CU41は処理をステップ607へ移行する。
【0080】ステップ607において、ECU41は今
回にストイキフィードバック制御を実行すべき条件が成
立しているか否かを判断する。今回この条件が成立して
いる場合には、ECU41は処理をステップ610へ移
行し、前述したようなステップ610〜612,660
のルーチンを実行する。今回この条件が成立していない
場合には、ECU41は処理をステップ620へ移行す
る。
【0081】ステップ620において、ECU41は酸
素濃度センサ34から出力される電圧値ESを読み込
む。ここでは前回にストイキフィードバック制御又は燃
料増量制御の実行条件が成立していたことから、前回に
酸素濃度センサ34に対して電圧が印加されていない状
態であることから、ECU41は酸素センサとして機能
する酸素濃度センサ34からの電圧値ESを読み込むこ
とができる。次に、ステップ621において、ECU4
1はその電圧値ESが基準値ED以上であるか否かを判
断する。電圧値ESが基準値ED以上である場合には、
空燃比A/Fがストイキよりもリッチであることから、
ECU41は処理をステップ640へ移行する。電圧値
ESが基準値ED未満である場合には、空燃比A/Fが
ストイキよりもリーンであることから、ECU41は処
理をステップ650へ移行する。
【0082】一方、ステップ602又はステップ603
から移行してステップ630において、ECU41は酸
素濃度センサ34から出力される電流値ILを読み込
む。ここでは、リーンフィードバック制御又は燃料カッ
トの実行条件が成立していることから、ECU41はリ
ーンセンサとして機能する酸素濃度センサ34の電流値
ILを読み込むことができる。次に、ステップ631に
おいて、ECU41は電流値ILが基準値IR(零では
ない値)よりも大きいか否かを判断する。電流値ILが
基準値IRよりも大きい場合には、空燃比A/Fが目標
空燃比よりもリッチ側であることから、ECU41は処
理をステップ640へ移行する。電流値ILが基準値I
R以上である場合には、空燃比A/Fが目標空燃比より
もリーン側であることから、ECU41は処理をステッ
プ650へ移行する。
【0083】ステップ640において、ECU41は前
述した遅延値TDLを目標のカウント値CDY2として
設定する。ここで、目標のカウント値CDY2とは、カ
ウント値CDYが「0」若しくは「FF(フル)」とな
ったときに、次に移行すべき値を意味する。この実施例
において、遅延値TDLは一定値である。これに対し
て、この遅延値TDLをエンジン1の運転状態、例えば
アイドリング時であるか否かで可変とすることもでき
る。
【0084】更に、ステップ641において、ECU4
1は前回のカウント値CDY1から「1」を減算して新
たなカウント値CDY1として設定する。つまり、カウ
ント値CDY1をデクリメントする。
【0085】続いて、ステップ642において、ECU
41は前回のカウント値CDY1が基準値T1以上であ
るか否かを判断する。前回のカウント値CDY1が基準
値T1以上である場合には、ステップ645において、
ECU41は目標のカウント値CDY2を前回のカウン
ト値CDY1として設定する。その後、ステップ660
において、ECU41は前回のカンウト値CDY1を今
回のカウント値CDYとして設定し、その後の処理を一
旦終了する。つまり、ステップ640〜642,64
5,660のルーチンでは、ECU41は所定の遅延値
TDLを今回のカウント値CDYとして設定する。
【0086】一方、ステップ642において、前回のカ
ウント値CDY1が基準値T1未満である場合には、ス
テップ643において、ECU41は前回のカウント値
CDY1が「0」でないか否かを判断する。前回のカウ
ント値CDY1が「0」でない場合には、ステップ66
0において、ECU41は前回のカンウト値CDY1を
今回のカウント値CDYとして設定し、その後の処理を
一旦終了する。つまり、ステップ640〜643,66
0のルーチンでは、ECU41は今回のカウント値CD
Yを「1」だけデクリメントする。
【0087】更に、ステップ643において、前回のカ
ウント値CDY1が「0」である場合には、ステップ6
44において、ECU41はスキップフラグXSPを
「1」に設定する。このスキップフラグXSPは空燃比
A/Fの変化がリーンからリッチへ、或いはリッチから
リーンへ移行したときに「1」に設定される。その後、
ECU41はステップ645,660のルーチンを実行
する。
【0088】一方、ステップ650において、ECU4
1は前述した所定の遅延値TDRを目標のカウント値C
DY2として設定する。この実施例において、遅延値T
DRは一定値である。これに対して、この遅延値TDR
をエンジン1の運転状態、例えばアイドリング時である
か否かで可変とすることもできる。この実施例では、遅
延値TDRが遅延値TDLよりも大きく設定されてい
る。これに対し、両者TDR,TDLを同じに設定する
こともできる。
【0089】更に、ステップ651において、ECU4
1は前回のカウント値CDY1に「1」を加算して新た
なカウント値CDY1として設定する。つまり、カウン
ト値CDY1をインクリメントする。
【0090】続いて、ステップ652において、ECU
41は前回のカウント値CDY1が基準値T1以上であ
るか否かを判断する。ここで、前回のカウント値CDY
1が基準値T1以上である場合には、ECU41はステ
ップ660のルーチンを経てその後の処理を一旦終了す
る。つまり、ステップ650〜642,660のルーチ
ンでは、ECU41は今回のカウント値CDYを「1」
だけインクリメントする。
【0091】一方、ステップ652において、前回のカ
ウント値CDY1が基準値T1未満である場合には、ス
テップ653において、ECU41は前回のカウント値
CDY1が「0」でないか否かを判断する。前回のカウ
ント値CDY1が「0」でない場合には、ECU41は
ステップ645,660のルーチンを経てその後の処理
を一旦終了する。つまり、ステップ650〜653,6
45,660のルーチンでは、ECU41は所定の遅延
値TDRを今回のカウント値CDYとして設定する。
【0092】更に、ステップ653において、前回のカ
ウント値CDY1が「0」である場合には、ECU41
はステップ644,645,660のルーチンを経てそ
の後の処理を一旦終了する。この実施例では、上記の
「カウント値処理ルーチン」を実行するECU41が、
本発明における遅延手段に相当する。
【0093】ここで、上記ルーチンに関し、酸素濃度セ
ンサ34が酸素センサとして機能するときの電圧値E
S、カウント値CDY、目標カウント値CDY2、判定
フラグXOR及び空燃比補正値FAFの変化を図22に
示す。
【0094】このタイミングチャートで、時刻t1に電
圧値ESがリーンを示す値からリッチを示す値へ変わる
と、ECU41はカウント値CDYのデクリメントを開
始し、目標カウント値CDY2を遅延値TDLとして設
定する。
【0095】その後、遅延値TDRだけ経過してカウン
ト値CDYが「0」に達すると(時刻t2)、ECU4
1はカウント値CDYを目標カウント値CDY2である
遅延値TDLに設定する。このとき、カウント値CDY
は基準値T1よりも一旦大きくなることから、ECU4
1は判定フラグXORをリッチを示す「1」に設定し、
空燃比補正値FAFを減少方向へ反転させる。
【0096】そして、時刻t3において、電圧値ESが
リッチを示す値からリーンを示す値へ変わると、ECU
41はカンウト値CDYのインクリメントを開始し、目
標カウント値CDY2を遅延値TDRとして設定する。
【0097】その後、遅延値TDLだけ経過してカウン
ト値CDYが「FF」に達すると(時刻t4)、ECU
41はカウント値CDYを「0」に一旦戻した後、目標
カウント値CDY2である遅延値TDRに設定する。こ
のとき、カウント値CDYは基準値T1よりも一旦小さ
くなることから、ECU41は判定フラグXORをリー
ンを示す「0」に設定し、空燃比補正値FAFを増加方
向へ反転させる。以後、各パラメータES,CDY,C
DY2,XOR,FAFは同様に推移する。一方、酸素
濃度センサ34がリーンセンサとして機能する際には、
電流値ILの変化と判定フラグXORの変化とが互いに
逆位相となる他は、各パラメータIL,CDY,CDY
2,XOR,FAFは上記に準ずる推移を示す。
【0098】以上説明したようにこの実施例の空燃比制
御装置によれば、ECU41はエンジン1の運転状態に
基づきリーンフィードバック制御を実行すべきか、スト
イキフィードバック制御を実行すべきかを判断する。そ
して、ストイキフィードバック制御を実行すべきと判断
したとき、ECU41は酸素濃度センサ34を酸素セン
サの機能に切り換えるために同センサ34に対する電圧
の印加を停止する。このとき、酸素濃度センサ34は空
燃比A/Fがストイキよりも大きいか否かを示す電圧値
ESを出力する。そして、ECU41はその電圧値ES
の変化に基づき、空燃比A/Fがストイキよりもリッチ
であるかリーンであるかを判断する。ECU41は空燃
比A/Fがストイキよりもリッチであると判断したと
き、値が経時的に減少するように空燃比補正値FAFを
算出する。又、空燃比A/Fがストイキよりもリーンで
あると判断したとき、ECU41は値が経時的に増大す
るように空燃比補正値FAFを算出する。更に、ECU
41は、算出された空燃比補正値FAF等に基づき目標
噴射量TAUを算出する。そして、ECU41はその目
標噴射量TAUに基づき各インジェクタ5を制御するこ
とにより、ストイキフィードバック制御を実行する。
【0099】一方、ECU41がリーンフィードバック
制御を実行すべきと判断したとき、ECU41は酸素濃
度センサ34をリーンセンサの機能に切り換えるために
同センサ34に所定の電圧を印加する。このとき、酸素
濃度センサ34は排気ガス中に残存する酸素濃度Oxに
比例した電流値ILを出力する。ECU41はその電流
値ILに基づき空燃比補正値FAFを算出する。併せ
て、ECU41はエンジン1の運転状態に応じたリーン
補正値FLNを算出する。更に、ECU41はそれらの
補正値FAF,FLN等に基づき目標噴射量TAUを算
出する。そして、ECU41はその目標噴射量TAUに
基づき各インジェクタ5を制御することにより、リーン
フィードバック制御を実行する。
【0100】ここで、空燃比補正値FAFの算出に当た
り、ECU41は酸素濃度センサ34の電流値IL又は
電圧値ESの変化に対し、リッチ又はリーンの判定を遅
延値TDR,TDLに対応する期間だけ遅延させる。従
って、空燃比補正値FAFの減少方向から増加方向への
反転、或いは増加方向から減少方向への反転が所定期間
だけ遅延される。このため、酸素濃度センサ34の出力
が短時間に不規則に変動したとしても、算出されるべき
空燃比補正値FAFが不必要な変動を示すことはない。
その結果、安定した空燃比補正値FAFを算出すること
ができ、リーン及びストイキのフィードバック制御にお
いて、空燃比A/Fの補正を安定して行うことができ
る。
【0101】このように、ECU41はエンジン1の運
転状態に応じてリーン及びストイキのフィードバック制
御等を選択的に実行する。ここで、エンジン1の運転状
態の変化に応じ、リーンフィードバック制御からストイ
キフィードバック制御へ移行したとする。このとき、リ
ーンセンサとして機能させるために酸素濃度センサ34
に直前まで印加されていた電圧は、同センサ34に残留
する。このため、制御移行後に、その電圧値が酸素セン
サとして機能すべき酸素濃度センサ34から誤って出力
されるおそれがある。この出力は空燃比A/Fがストイ
キよりもリッチであることを誤って示すことになる。
【0102】そこで、この実施例では、上記のような制
御移行時に、ECU41は空燃比A/Fがストイキより
もリーンであるという判断を自己に対して所定期間にわ
たって強制的に行わせる。この実施例では、ECU41
は上記の強制的判断をリッチ・リーンの判定を遅延させ
るためのカウント値CDYを使って実行する。
【0103】例えば、図23のタイミングチャートに示
すように、時刻t1において、リーンフィードバック
(リーンF/B)制御からストイキフィードバック(ス
トイキF/B)制御へ移行したとする。このとき、酸素
濃度センサ34に直前まで印加されていた電圧の残留分
は同図(a)に電圧値ESで示すように徐々に減少す
る。この残留電圧は時間の経過に伴い無くなることか
ら、所定期間経過後に酸素濃度センサ34の出力は正常
に戻る。しかし、その出力が正常に戻るまでの間で、酸
素濃度センサ34はその残留電圧を酸素センサとして機
能する電圧値ESとして誤って出力する。
【0104】ここで、ECU41はその電圧値ESをA
/D変換後の値(A/D値)として所定時間毎に周期的
に読み込む。このA/D値の段階的な推移を同図(b)
に示す。ECU41は、時刻t1にストイキフィードバ
ック制御へ移行した後に、時刻t2にて初めてA/D値
を読み込み、その後時刻t3,t4において順次に読み
込む。そして、ECU41は、時刻t3にその電圧値E
Sをリーンを示す値として初めて読み込む。
【0105】この実施例では、上記の電圧値ESの推移
の中で、制御が移行する時刻t1に、ECU41は同図
(c)に示すように、カウント値CDYを設定値KDI
に一旦設定する。このとき、カウント値CDYは基準値
T1よりも一旦小さくなることから、同図(d)に示す
ように、判定フラグXORは空燃比A/Fがリッチであ
ることを示す「1」からリーンであることを示す「0」
に変わる。つまり、ECU41はカウント値CDYを設
定値KDIに強制的に設定することにより、判定フラグ
XORをストイキよりもリーンであることを示す「0」
に強制的に設定する。これに伴い、ECU41は、同図
(e)に示すように、空燃比補正値FAFを増加方向へ
強制的に反転させる。その後、ECU41は時刻t2か
らカウント値CDYのデクリメントを開始し、時刻t3
にそのカウント値CDYを遅延値TDRに一旦戻す。こ
のように、ECU41はカウント値CDYの操作によっ
て空燃比A/Fがストイキよりもリーンであることの判
断を所定期間にわたって強制的に行い、空燃比補正値F
AFを増加させる。
【0106】一方、本実施例のようなカウント値CDY
の操作が行われなかったとする。このとき、各種パラメ
ータCDY,XOR,FAFは図23に破線で示す対比
例のように推移することになる。即ち、時刻t1にスト
イキフィードバック制御へ移行すると、空燃比補正値F
AFは直ちに減少方向へ反転する。このとき、カウント
値CDYは設定値KDIに強制的に設定されることはな
く、時刻t3にそのインクリメントが開始される。そし
て、カウント値CDYは、時刻t4に「FF」に達する
と、初めて「0」に戻される。これに伴い、判定フラグ
XORは初めて「0」に変わり、空燃比補正値FAFが
増加方向へ反転されることになる。
【0107】上記の対比からも明らかなように、この実
施例では、空燃比A/Fがストイキよりもリッチ側であ
ることを示す電圧値ESを酸素濃度センサ34が誤って
出力したとしても、ECU34はその電圧値ESを正規
の出力としては扱わず、空燃比補正値FAFを減少方向
へ反転させない。その代わりに、ECU41は空燃比補
正値FAFを増加方向へ強制的に反転させる。そして、
ECU41はその空燃比補正値FAF等に基づき目標噴
射量TAUを増大させ、その目標噴射量TAUに基づき
各インジェクタ5を制御する。
【0108】従って、リーンフィードバック制御からス
トイキフィードバック制御への移行後には、空燃比A/
Fがストイキよりも若干リーンになることはない。そし
て、酸素濃度センサ34の出力が正常に戻る頃に、同セ
ンサ34の電圧値ESに基づき空燃比補正値FAFに関
する通常通りの算出が再開される。その結果、酸素濃度
センサ34がリーンセンサの機能から酸素センサの機能
へ切り換えられたときに、それに起因して空燃比A/F
が誤ってリーンに補正されることを防止することができ
る。このため、エンジン1のエミッションの悪化を防止
することができる。特に、空燃比A/Fがストイキより
も若干リーンになることに起因する窒素酸化物(NO
x)の発生を防止することができる。
【0109】図24はリーンフィードバック制御からス
トイキフィードバック制御への移行時における電圧値E
S、空燃比補正値FAF及びNOxの変化を示す。同図
において、制御移行時に本実施例のようなカウント値C
DYの操作が行われなかった場合には、同図に二点鎖線
(A)で示すように、空燃比補正値FAFは制御移行と
同時に一旦減少方向へ反転した後、再び増加方向へ反転
することになる。そして、空燃比A/Fがストイキより
もリッチとなった時点で再び減少方向へ反転する。従っ
て、この場合には、制御移行時に空燃比A/Fが一旦ス
トイキよりも若干リーンとなり、その後の空燃比A/F
の適正な補正が遅れることから、NOxが一旦急増す
る。
【0110】一方、従来技術のように制御移行時にオー
プンループ制御が行われた場合には、同図に破線(B)
で示すように、空燃比補正値FAFは制御移行後に所定
期間だけ「1.0」に設定された後、増加方向へ反転す
ることになる。そして、空燃比A/Fがストイキよりも
リッチとなった時点で再び減少方向へ反転する。従っ
て、この場合には、制御移行時に空燃比A/Fが所定期
間だけオープンループに制御されることから、その分だ
け空燃比A/Fの適正な補正が遅れることになり、NO
xが一旦急増する。このNOxの発生は、二点鎖線
(A)の場合よりもやや多くなる。
【0111】これに対し、本実施例の制御では、同図に
実線(C)で示すように、空燃比補正値FAFは制御移
行直後に直ちに増加方向へ反転する。そして、空燃比A
/Fがストイキよりもリッチとなった時点で再び減少方
向へ反転する。従って、この場合には、制御移行時に空
燃比A/Fがストイキよりもリッチ側へ直ちに補正され
る分だけ、空燃比A/Fが最初から適正に補正され、N
Oxの急増を抑えることができる。この効果は本実施例
と他の二つの場合とを比較することで明らかである。
【0112】加えて、この実施例の空燃比制御装置で
は、リーンフィードバック制御を行うときに、ECU4
1は酸素濃度センサ34に印加する電圧値ERをエンジ
ン1の運転状態に応じて多段階をもって変更する。そし
て、リーンフィードバック制御からストイキフィードバ
ック制御への移行時に、ECU41はカウント値CDY
に設定されるべき設定値KDIを電圧値ERの大きさに
応じて設定する。これにより、ECU41は判定値XO
Rを強制的に「0」に設定する期間、即ち空燃比A/F
を強制的にリーンと判定させる期間を、電圧値ERに応
じて変更する。
【0113】ここで、制御移行後に酸素濃度センサ34
の出力が正常に戻るまでの復帰期間は、同センサ34に
印加された電圧値ERに応じて変動する。しかし、この
実施例では、ECU41は空燃比A/Fを強制的にリー
ンに判定した後に、電圧値ESに基づき空燃比補正値F
AFを算出し始める時期を、上記復帰期間に応じて変更
する。従って、制御移行時に空燃比A/Fが一旦ストイ
キよりもリッチ側へ強制的に補正された後に、その補正
が通常の態様に戻される時期が最適化する。その結果、
制御移行時に、本来のストイキフィードバック制御の開
始が早すぎたり遅すぎたりすることがなく、その制御の
本来の効果を確保することができる。
【0114】尚、この発明は次の別の実施例に具体化す
ることもできる。以下の別の実施例でも、前記実施例と
同等の作用及び効果を得ることができる。 (1)前記実施例では、酸素濃度センサ34をリーンセ
ンサ及び酸素センサとして機能させる。このことは、本
来のリーンセンサにその機能と酸素センサとしての機能
を発揮させる場合と、本来の酸素センサにその機能とリ
ーンセンサとしての機能を発揮させる場合とを含む。
【0115】(2)前記実施例では、カウント値CDY
を強制的に設定するための設定値KDIを、多段階に変
更されて酸素濃度センサ34に印加される電圧値ERに
応じて多段階に設定している。これに対し、その設定値
KDIをリニアに変更される電圧値ERに応じてリニア
に設定したり、或いはその設定値KDIを一定値に設定
したりしてもよい。
【0116】(3)前記実施例では、リーン及びストイ
キのフィードバック制御の両方において、判定フラグX
ORの設定をカウント値CDYを使用して所定期間だけ
遅延させるようにしている。これに対し、上記の処理を
リーンフィードバック制御のみについて行うようにして
もよい。
【0117】(4)前記実施例では、排気通路11に一
つの酸素濃度センサ34を設けた場合に具体化したが、
排気通路に複数の酸素濃度センサを設けた場合に具体化
することもできる。 (5)前記実施例では、本発明をエアフローメータ32
により吸入空気量Qを検出して目標噴射量TAUを算出
するようにしたL−J方式のエンジンシステムに具体化
した。これに対し、本発明を吸気通路の圧力を圧力セン
サにより検出して目標噴射量を算出するようにしたD−
J方式のエンジンシステムに具体化することもできる。
【0118】(6)前記実施例では、本発明を燃料噴射
制御方式のエンジンシステムに具体化したが、本発明を
電子制御式キャブレタを有するエンジンシステムに具体
化することもできる。
【0119】尚、この発明の構成に関する手段及び部材
等を以下のように定義する。フィードバック制御(帰還
制御)とは、制御対象の出力(制御量)を制御装置に戻
して制御に利用する制御を意味する。この制御の多く
は、目標値から制御量を差し引いた値(偏差)を求め、
その偏差が小さくなるように制御対象に働きかけるよう
な制御を行う。
【0120】
【発明の効果】請求項1に記載の第1の発明によれば、
空燃比の制御がリーン空燃比の制御からストイキの制御
へ移行したときに、空燃比が理論空燃比よりも希薄側空
燃比であることを所定期間だけ強制的に判断させるよう
にしている。
【0121】従って、制御の移行時にストイキよりもリ
ッチであることを示す電圧値が酸素濃度検出手段から誤
って出力されてもフィードバック制御による空燃比がス
トイキよりもリーンとなることはない。その結果、リー
ン空燃比の制御からストイキの制御へ切り換わった時
に、センサ機能の切り換え遅れに起因して空燃比が誤っ
て補正されることを防止することができ、内燃機関のエ
ミッションの悪化を防止することができるという効果が
ある。
【0122】請求項2に記載の第2の発明によれば、第
1の発明の構成において、リーン空燃比の制御を行うべ
きときに、酸素濃度検出手段に印加される電圧値を内燃
機関の運転状態に応じて変更するようにしている。そし
て、空燃比の制御がリーン空燃比の制御からストイキの
制御へ移行したときに、判断のために強制される所定期
間を上記のように印加される電圧値に応じて変更するよ
うにしている。
【0123】従って、第1の発明の作用に加え、酸素濃
度検出手段の出力が正常に戻るまでの期間が同検出手段
における残留電圧の大きさによって変動しても、同検出
手段の電圧値に基づき空燃比補正値の算出が再開される
時期が最適化する。その結果、酸素濃度検出手段におい
てリーンセンサとしての機能から酸素センサとしての機
能への切り換え遅れの時間が変動しても、上記第1の発
明の効果を適切に得ることができ、ストイキフィードバ
ック制御の本来の効果を確保することができるという効
果がある。
【0124】請求項3に記載の第3の発明によれば、第
1の発明の構成と異なり、空燃比に関する大小の判断が
反転したときに、その空燃比の補正値の増減を反転させ
る時期を所定期間だけ遅延させるための計数を開始す
る。そして、空燃比の制御がリーン空燃比の制御からス
トイキの制御へ移行したときには、空燃比がストイキよ
りもリーンであることを強制的に判断させると共に、そ
の判断の後に上記遅延のための計数を開始させるように
している。
【0125】従って、この発明によっても上記第1の発
明と同様の作用及び効果を得ることができる。更に、補
正値の増減を反転させる時期が遅延することから、酸素
濃度検出手段の出力が短時間の間に不規則に変動して
も、算出される補正値が不必要な変動を示すことはな
い。その結果、安定した空燃比補正値を算出することが
でき、空燃比の補正を安定して行うことができるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明に係る基本概念構成図。
【図2】 第2の発明に係る基本概念構成図。
【図3】 第3の発明に係る基本概念構成図。
【図4】 ガソリンエンジンシステムの概略構成図。
【図5】 酸素濃度センサの構造を示す断面図。
【図6】 酸素濃度及び空燃比と出力電流値との関係を
示すグラフ。
【図7】 空燃比と出力電圧値との関係を示すグラフ。
【図8】 ECUのブロック構成図。
【図9】 「燃料噴射量算出ルーチン」のフローチャー
ト。
【図10】 「目標空燃比算出ルーチン」のフローチャ
ート。
【図11】 目標空燃比とリーン及びリッチの補正値と
の関係を示すグラフ。
【図12】 回転速度と第1のリーン補正値との関係を
示すグラフ。
【図13】 (a)は負荷と第2のリーン補正値との関
係を示すグラフ。(b)は負荷とリッチ補正値との関係
を示すグラフ。
【図14】 「電圧印加制御ルーチン」のフローチャー
ト。
【図15】 「空燃比補正値算出ルーチン」のフローチ
ャート。
【図16】 図15の続きを示すフローチャート。
【図17】 「判定フラグ設定ルーチン」のフローチャ
ート。
【図18】 電流値、判定フラグ、空燃比補正値のタイ
ミングチャート。
【図19】 電圧値、判定フラグ、空燃比補正値のタイ
ミングチャート。
【図20】 「カウント値処理ルーチン」のフローチャ
ート。
【図21】 図20の続きを示すフローチャート。
【図22】 電圧値、カウント値等、判定フラグ及び空
燃比補正値のタイミングチャート。
【図23】 電圧値、そのA/D値、カウント値、判定
フラグ及び空燃比補正値のタイミングチャート。
【図24】 電圧値、空燃比補正値及びNOxのタイミ
ングチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、5…燃料供給手段とし
てのインジェクタ、34…酸素濃度検出手段としての酸
素濃度センサ、41…ECU(41は制御判断手段、第
1及び第2の制御手段、第1及び第2の補正値算出手
段、第1及び第2の判断強制手段、燃料量算出手段、電
圧変更手段、期間変更手段、並びに遅延手段を構成す
る)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−83049(JP,A) 特開 昭61−43239(JP,A) 特開 昭62−182457(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 41/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に供給される空気と燃料との空
    燃比を所定の希薄側空燃比又は所定の理論空燃比に選択
    的に合致させるために、前記内燃機関に燃料を供給する
    ための燃料供給手段をフィードバック制御するようにし
    た空燃比制御装置であって、 前記内燃機関から排出される排気ガス中に残存する酸素
    濃度を検出すると共に、所定の電圧が印加されたときに
    は前記希薄側空燃比に対応する酸素濃度に比例した電流
    を出力するリーンミクスチャセンサとして機能し、且つ
    その電圧の印加が停止したときには空燃比が前記理論空
    燃比よりも大きいか否かを示す電圧を出力する酸素セン
    サとして機能するように構成した酸素濃度検出手段と、 前記内燃機関の運転状態に応じて空燃比を前記希薄側空
    燃比に制御すべきか前記理論空燃比に制御すべきかを判
    断するための制御判断手段と、 少なくとも前記制御判断手段の判断結果に基づいて前記
    酸素濃度検出手段の機能を切り換えるために同検出手段
    に対する電圧の印加を制御するための第1の制御手段
    と、 前記制御判断手段の判断結果が空燃比を前記希薄側空燃
    比に制御すべきときに前記酸素濃度検出手段から出力さ
    れる電流値に基づいて空燃比の補正値を算出するための
    第1の補正値算出手段と、 前記制御判断手段の判断結果が空燃比を前記理論空燃比
    に制御すべきときに前記酸素濃度検出手段から出力され
    る電圧値に基づいて空燃比の大きさを判断し、空燃比が
    前記理論空燃比よりも濃密側空燃比であると判断したと
    きには空燃比の補正値が経時的に減少するように同補正
    値を算出し、空燃比が前記理論空燃比よりも希薄側空燃
    比であると判断したときには前記補正値が経時的に増大
    するように同補正値を算出するための第2の補正値算出
    手段と、 前記第1又は第2の補正値算出手段の算出結果に基づい
    て前記内燃機関に供給すべき最終的な燃料量を算出する
    ための燃料量算出手段と、 前記燃料量算出手段の算出結果に基づいて前記燃料供給
    手段を制御するための第2の制御手段とを備えた内燃機
    関の空燃比制御装置において、 前記制御判断手段による判断が前記希薄側空燃比の制御
    から前記理論空燃比の制御へ移行したときに、空燃比が
    前記理論空燃比よりも希薄側空燃比であることを前記第
    2の補正値算出手段に所定期間だけ強制的に判断させる
    ための第1の判断強制手段とを備えたことを特徴とする
    内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置において、 前記制御判断手段の判断結果が空燃比を前記希薄側空燃
    比に制御すべきときに前記第1の制御手段により前記酸
    素濃度検出手段に印加される電圧値を前記内燃機関の運
    転状態に応じて変更するための電圧変更手段と、 前記第1の判断強制手段により強制される前記所定期間
    を前記電圧変更手段により前記酸素濃度検出手段に印加
    される電圧値に応じて変更するための期間変更手段とを
    備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関に供給される空気と燃料との空
    燃比を所定の希薄側空燃比又は所定の理論空燃比に選択
    的に合致させるために、前記内燃機関に燃料を供給する
    ための燃料供給手段をフィードバック制御するようにし
    た空燃比制御装置であって、 前記内燃機関から排出される排気ガス中に残存する酸素
    濃度を検出すると共に、所定の電圧が印加されたときに
    は前記希薄側空燃比に対応する酸素濃度に比例した電流
    を出力するリーンミクスチャセンサとして機能し、且つ
    その電圧の印加が停止したときには空燃比が前記理論空
    燃比よりも大きいか否かを示す電圧を出力する酸素セン
    サとして機能するように構成した酸素濃度検出手段と、 前記内燃機関の運転状態に応じて空燃比を前記希薄側空
    燃比に制御すべきか前記理論空燃比に制御すべきかを判
    断するための制御判断手段と、 少なくとも前記制御判断手段の判断結果に基づいて前記
    酸素濃度検出手段の機能を切り換えるために同検出手段
    に対する電圧の印加を制御するための第1の制御手段
    と、 前記制御判断手段の判断結果が空燃比を前記希薄側空燃
    比に制御すべきときに前記酸素濃度検出手段から出力さ
    れる電流値に基づいて空燃比の補正値を算出するための
    第1の補正値算出手段と、 前記制御判断手段の判断結果が空燃比を前記理論空燃比
    に制御すべきときに前記酸素濃度検出手段から出力され
    る電圧値に基づいて空燃比の大きさを判断し、空燃比が
    前記理論空燃比よりも濃密側空燃比であると判断したと
    きには空燃比の補正値が経時的に減少するように同補正
    値を算出し、空燃比が前記理論空燃比よりも希薄側空燃
    比であると判断したときには前記補正値が経時的に増大
    するように同補正値を算出するための第2の補正値算出
    手段と、 前記第2の補正値算出手段において空燃比に関する大小
    の判断が反転したときに、同算出手段により算出される
    前記補正値について増減を反転させる時期を所定期間だ
    け遅延させるために計数を開始する遅延手段と、 前記第1又は第2の補正値算出手段の算出結果に基づい
    て前記内燃機関に供給すべき最終的な燃料量を算出する
    ための燃料量算出手段と、 前記燃料量算出手段の算出結果に基づいて前記燃料供給
    手段を制御するための第2の制御手段とを備えた内燃機
    関の空燃比制御装置において、 前記制御判断手段による判断が前記希薄側空燃比の制御
    から前記理論空燃比の制御へ移行したときに、空燃比が
    前記理論空燃比よりも希薄側空燃比であることを前記第
    2の補正値算出手段に強制的に判断させると共に、その
    後に前記遅延手段に計数を開始させるための第2の判断
    強制手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の空燃比
    制御装置。
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