JP2927510B2 - 鋳物の製造方法 - Google Patents

鋳物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鋳物の製造方法に関し、特に砂型からなる
鋳型を用いて鋳造する鋳物の製造方法に関する。
〔従来技術〕
従来、鋳物の製造方法として、砂型からなる鋳型を用
いて鋳造する方法が広く採用されている。
一般に、砂型を用いて鋳物を製造する場合には、鋳型
内に溶湯を注湯後、所定時間鋳物を鋳型内冷却し、次に
例えば実開昭61−97355号公報に記載されているような
パンチアウト装置を備えた分離装置を用いて鋳物を鋳型
から分離して取出し、次に鋳物を常温まで放冷し、その
後鋳物に付着した型砂を除去する。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来の鋳物の製造方法においては、鋳物を鋳型内
冷却する間、鋳物からの熱により型砂に含有された水分
が蒸発するとともに、ベントナイトやカオリナイトなど
の粘結剤に含有された結晶水が分離して粘結剤が変質す
ることにより、鋳物の周辺に型砂の強固な凝固層が形成
され、この凝固層は鋳型内冷却時間が長くなるほど厚く
なる。
第7図に示すように、鋳物を鋳型から分離するとき
に、凝固層100は鋳物101に付着した状態で取出されるた
め、その後鋳物を放冷する際、鋳物101の放冷性が低下
して放冷時間が長くなり鋳物製造のサイクルタイムが長
くなること、型砂の凝固層100を除去するのに多大の労
力を要すること、凝固層100の型砂は再使用できないの
で型砂の消費量が多くなること、などの問題がある。
本発明の目的は、鋳物に付着する凝固層を薄くして鋳
物の生産性を向上させ且つ鋳物の製造コストを低減し得
る鋳物の製造方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る鋳物の製造方法は、砂型からなる鋳型を
用いて鋳造する鋳物の製造方法であって、鋳型内に溶湯
を注湯後、所定時間経過し少なくとも溶湯が凝固してか
ら上型と下型とを分離し、次に、上型と下型との分離状
態を所定短時間保持し、その後、上型と下型とを型合せ
して鋳物を再び鋳型内冷却するものである。
〔作用〕
本発明に係る鋳物の製造方法においては、鋳物を鋳造
する際に、鋳型内に溶湯を注湯後、所定時間経過し少な
くとも溶湯が凝固してから上型と下型を分離する。次に
上型と下型との分離状態を所定短時間保持し、その後、
上型と下型とを型合せして鋳物を再び鋳型内冷却する。
このように注湯後、所定時間経過し少なくとも溶湯が
凝固してから上型と下型を分離すると、鋳物からの熱に
より形成される型砂の凝固層の厚さが比較的小さいうち
に凝固層の外面を境界として上型と下型とが分離される
ことになる。
次に、上型と下型との分離状態を所定短時間保持する
ことにより、鋳物側の型砂の凝固層と鋳物から分離され
た型砂との間の温度・水分等の不連続性が助長される。
その後、上型と下型との型合せして鋳物を再び鋳型内冷
却すると、新たに凝固層が拡大形成されたとしても、上
記凝固層と新たな凝固層とは不連続に形成されるので、
鋳物を鋳型から分離する際に、上記薄い凝固層だけが鋳
物に付着することになる。
従って、鋳物は薄い凝固層が付着した状態で取出さ
れ、その後短時間に常温に放冷することが出来るので、
鋳物製造のサイクルタイムを短縮化出来、鋳物から型砂
の凝固層を除去する労力を軽減でき、型砂の消費量を低
減することが出来る。
〔発明の効果〕
本発明に係る鋳物の製造方法によれば、以上〔作用〕
の項で説明したように、鋳物に付着する凝固層を薄くす
ることが出来るので、鋳物の放冷時間を短縮して鋳物構
造のサイクルタイムを短縮出来、鋳物から型砂の凝固層
を除去する労力を軽減でき、型砂の消費量を低減するこ
とが出来る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について図面に基いて説明す
る。
本実施例の鋳物の製造方法は、生砂型からなる鋳型を
用いて鋳鉄製の鋳物を鋳造する製造方法に本発明を適用
したものである。
先ず、上記鋳型1について簡単に説明すると、第1図
に示すように、鋳型1は上型2と下型3からなり、上型
2及び下型3は、夫々鋳枠4に珪砂と水と粘結剤として
のベントナイトなどを適量比率で配合し混練した型砂5
を型込して形成され、上型2と下型3とを型合せした状
態で、2つのキャビティ6が形成される。
次に、鋳物10の製造方法について説明する。
第1図に示すように、約1200℃の鋳鉄の溶湯7を収容
した取鍋8により、鋳型1の湯口9から鋳型1内に溶湯
7を充填する。
次に、第2図に示すように、鋳型1に充填された溶湯
7が凝固して形成される鋳物10を約5分間鋳型内冷却す
る。
この間、鋳物10から型砂5に放出される熱により、鋳
物10の周辺の型砂5に含有された水分が蒸発するととも
に、型砂5が約550℃以上に加熱されると、型砂5のベ
ントナイトに含有された結晶水が分離してベントナイト
が変質するため、第2図に示すように型砂5の強固な凝
固層11が形成される。
第6図は、鋳型内冷却時間をパラメータとして鋳物10
からの距離と型砂5の温度分布の関係を示したもので、
注湯後5分間経過すると、凝固層11が鋳物10から約10mm
の距離内に形成される。
次に、第3図に示すように、注湯後約5分間経過した
ときにリフタ12により鋳物10とともに上型2を持ち上げ
て上型2と下型3を分離し、その状態を約10秒間保持す
る。尚、このとき、リフタ12に並設された吊持具13によ
り鋳物10を支持する。
この間、下型3と鋳物10とは分離されるため、鋳物10
の下側に新たに凝集層11が形成されることはない。
次に、第4図に示すように、鋳物10とともに上型2を
下降させて下型3と型合せし、その後所定時間鋳物10を
鋳型内冷却する。このとき、鋳物10の下側に新たに凝固
層が形成されたとしても、この凝固層は凝固層11と不連
続に分離した状態に形成される。
次に、第5図に示すように、鋳型1から鋳物10を取出
す。このとき、鋳物10は、凝固層11が付着した状態で取
出されるが、鋳物10の下側の凝固層11は約10mmの薄い層
になっている。
その後、鋳物10を凝固層11が付着した状態で常温まで
放冷する。このとき、鋳物10の下側の凝固層11が薄いの
で、鋳物10を短時間に放冷することが出来る。また、放
冷後、鋳物10から凝固層11を除去する場合にも、簡単に
除去することが出来る。
このように、鋳型1内に溶湯7を注湯後、所定時間経
過し少なくとも溶湯が凝固してから上型2と下型3を分
離し、その分離状態を所定短時間保持することにより、
鋳物10を付着する凝固層11を薄くすることが出来、鋳物
の放冷時間を短縮して鋳物の製造のサイクルタイムを短
縮出来、鋳物の生産性を高めることが出来、鋳物10から
の凝固層11の労力を軽減でき、型砂5の消費量を低減す
ることが出来る。
尚、上記鋳物の製造方法は、鋳鉄製の鋳物の製造に限
らず、鋳鋼や軽合金製の鋳物の製造に適用出来ることは
勿論であり、また、鋳型1は乾燥型であってもよい。更
に、鋳型1の大きさ又は鋳物10の形状に応じて、注湯後
鋳型1を分離するまでの時間、及び鋳型1を分離した状
態で保持する時間を調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の実施例を示すもので、第1図
は注湯状態の鋳型の断面図、第2図は鋳型内冷却を示す
鋳型の断面図、第3図は上型と下型とを分離した状態の
鋳型の断面図、第4図は上型と下型とを再型合せした状
態の鋳型の断面図、第5図は鋳型から取出した状態の鋳
物の正面図、第6図は鋳造時の鋳物からの距離と型砂の
温度分布の関係を示すグラフ、第7図は従来技術に係る
第5図相当図である。 1……鋳型、2……上型、3……下型、 7……溶湯、10……鋳物。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−247459(JP,A) 特開 昭60−18269(JP,A) 実公 昭50−30335(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 29/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砂型からなる鋳型を用いて鋳造する鋳物の
    製造方法であって、 鋳型内に溶湯を注湯後、所定時間経過し少なくとも溶湯
    が凝固してから上型と下型とを分離し、 次に上型と下型との分離状態を所定短時間保持し、 その後、上型と下型とを型合せして鋳物を再び鋳型内冷
    却することを特徴とする鋳物の製造方法。
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