JP2920389B2 - 光ディスク用記録膜の形成方法 - Google Patents

光ディスク用記録膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、光ディスク用記録膜の形成方法に関し、特
にGeTeIn系またはInSbPb系合金材料からなるターゲット
材を用いて耐湿性および耐酸化性に富む記録膜を形成す
ることに関するものである。
[従来技術] 光ディスクは、基板と記録膜とから構成されている。
記録膜の材料としては、Te、Te−In、Te−Se等のTe系
の金属または合金が好んで用いられるが、TeやInは湿度
の高い空気中において、金属表面が酸化されるという問
題点を有していた。
そのため、Seを加えることにより耐酸化性の向上を図
り、さらにその安定化を図るためにIn、Sn、Pb、Sb、Bi
等の金属元素を少量添加することなどが行われていた。
また、一般的な穴形成による記録方法に使用される記
録膜は、 (1)低融点であること; (2)低熱伝導率を有すること; (3)高い光吸収率を有すること; (4)ビット形状の良好なものであること、 等の極性を持つことが望まれるため、これらの要求を満
たす記録膜とするために種々改良の努力がなされてき
た。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように、従来技術で得られた記録膜は主とし
て、Te、In、Se等の金属膜を用いているが、これらは通
常水や酸素に弱い性質を有するため、耐湿性あるいは耐
酸化性という面で問題があり、何らかの手段でこれらの
耐湿性や耐酸化性の向上を図ることが求められていた。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明者等は斯る課題を解決するため鋭意研究したと
ころ、従来通りのTe系あるいはIn系金属材料を用いる記
録膜であっても、ある種の特定の元素の配合によって優
れた耐湿性および耐酸化性を有する記録膜とすることが
できることを見い出し本発明を達成することができた。
すなわち本発明の一つの目的は、光ディスク基板上
に、ターゲット材を用いて記録膜を形成する方法におい
て、ターゲット材としてGexTeyInz(x、y、z>0)
にPb、Ga、Zn、BiおよびAgからなる群より選ばれる少な
くとも1種の金属を添加した均一な合金を使用すること
により、直接温水に漬けて行う耐久性試験に耐えて耐湿
性および耐酸化性に富む記録膜を得ることを特徴とする
光ディスク用記録膜の形成方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、光ディスク基板上に、タ
ーゲット材を用いて記録膜を形成する方法において、タ
ーゲット材としてInx′Sby′Pbz′(x′、y′、
z′>0)にGa、Zn、BiおよびAgからなる群より選ばれ
る少なくとも1種の金属を添加した均一な合金を使用す
ることにより、直接温水に漬けて行う耐久性試験に耐え
て耐湿性および耐酸化性に富む記録膜を得ることを特徴
とする光ディスク用記録膜の形成方法を提供することで
ある。
本発明法において、使用できる支持体としての基板は
透明であることが好ましく、材質的にはガラスなどの無
機材料またはポリエステル、ポリプロピレン、ポリカー
ボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレ
ン,ポリメタクリレートなどのポリマー、あるいはこれ
らの変性ポリマー、コポリマー、ブレンドなどの有機材
料が挙げられる。すなわちこれらの無機または有機材料
からなるフィルムまたはシートが基板として好都合に使
用できる。
これらの基板上に記録膜を形成する手段としては、各
金属あるいは合金成分をそれぞれ別個の蒸着用ボートあ
るいはエレクトロンビーム蒸着るつぼに置き、混合蒸着
または混合スパッタリングさせる方法や、金属あるいは
合金との混合ペレットを用いて行う抵抗加熱方式、エレ
クトロンビーム蒸着方式、イオンプレーティング方式な
どの各種薄膜形式方法を用いることができる。本明細書
に示す実例では、スパッタリング法を用いて記録膜を形
成した。
記録膜を形成する材料として、従来用いられているTe
系またはIn系合金の改良品として、1つはGe−Te−Inか
らなる3次元合金を基本材料として、他の1つはIn−Sb
−Pbからなる3元系合金を基本材料として、前者にはP
b、Ga、Zn、BiおよびAgからなる群より選ばれる金属の
少なくとも1種を添加し、後者にはGa、Zn、BiおよびAg
からなる群より選ばれる金属の少なくとも1種を添加し
て安定化した3元系以上の合金からなるターゲット材を
用いることにより、耐湿性および耐酸化性の良好な記録
膜が得られることを本発明者等は多くの実験により確認
した。
すなわち、上記のようにして得られた記録膜を有する
光ディスクは従来品に比較して耐湿性および耐酸化性に
優れ、長期間保存に向くことが確認されている。
以下、実施例をもって詳細に説明する。
[実施例1] 光ディスク用基板として、ポリカーボネートディスク
基板を用い、該基板上にGe:Te:In:Ag=0.2:1:1:0.05
(原子比)からなるターゲット材を用いて、スパッタ法
で、パワー120W、アルゴンガス全圧5×10-3ton、時間
3分の条件下で成膜した。
得られた光ディスクに、760nmの半導体レーザを用い
て、出力10mwでビット形成を行ったところ充分にビット
が形成でき、スペクトラムアラナイザーで1MHzのキャリ
ア信号を測定したところC/N比は40dBであった。
また、得られた光ディスクを50℃の水に1分間漬けた
後、検査したところ、記録膜の表面は不透明もしくは白
色がかった色に変化したが、基板のポリカーボネート側
から見ると金属光沢が見られた。
[実施例2] ターゲット材としてGe:Te:In:Pb=0.4:1:1:0.01(原
子比)の配合比からなる4インチターゲット材を用い
て、実施例1と同様の方法で、光ディスクを作製した。
得られた光ディスクを用いて、実施例1に示す方法で
検査したところ、C/N比は38dBであり、他の特性は実施
例1のものと同じであった。
[実施例3] ターゲット材としてGe:Te:In:Bi=1:1:1:0.01(原子
比)の配合比からなる4インチターゲット材を用いて、
実施例1と同様の手法で光ディスクを作製した。
得られた光ディスクを用いて、実施例1に示す方法で
検査を行ったところ、C/N比は28dBであり、他の特性は
実施例1のものと同じであった。
[比較例1] 実施例に示すポリカーボネートディスク基板上に、Te
のみからなる4インチターゲット材を用いてスパッタ法
で記録膜を形成した。その他の成膜条件は実施例1と同
じにした。
得れらた光ディスクに、760nmの半導体レーザを用い
て出力10mwでビット形成を行ったところ、充分にビット
形成ができ、スペクトラムアナライザーで1MHzのキャリ
ア信号について測定したところC/N比は35dBであった。
また、得られた光ディスクを50℃の水に1分間漬けた
ものを検査したところ、記録膜の表面ばかりでなく、基
板のポリカーボネート側から見ても金属光沢は見られな
かった。
[実施例4] 光ディスク用基板として、ポリカーボネートディスク
基板を用い、該基板上にIn:Sb:Pb=1:0.5:0.1(原子
比)からなるターゲット材を用いて、スパッタ法で、パ
ワー120W、アルゴンガス全圧5×10-3ton、時間3分の
条件下で、膜厚約500Åの記録膜を成膜した。
得られた光ディスクに、760nmの半導体レーザを用い
て、出力10mwでビット形成を行ったところ充分にビット
が形成でき、スペクトラムアナライザーで1MHzのキャリ
ア信号を測定したところC/N比は35dBであった。
また、得られた光ディスクを50℃の水に1分間漬けた
ものを検査したところ、記録膜の表面はやや不透明もし
くは白色になったが、ポリカーボネート側から観察する
と金属光沢が見られた。
[実施例5] ターゲット材としてIn:Sb:Pb:Ag=:1:0.3:0.05:0.1
(原子比)の配合比からなる4インチターゲット材を用
いて、実施例4と同様の手法で、光ディスクを作製し
た。
得られた光ディスクを用いて、実施例1に示す方法で
検査したところ、C/N比は34dBであり、他の特性は実施
例4のものと同じであった。
[実施例6] ターゲット材としてIn:Sb:Pb:Ag=1:0.5:0.1:0.1(原
子比)の配合比からなる4インチターゲット材を用い
て、実施例4と同様の手法で光ディスクを作製した。
得れらた光ディスクを用いて、実施例4に示す方法で
検査を行ったところ、C/N比は35dBであり、他の特性は
実施例4のものと同じであった。
[比較例2] 実施例4に示すポリカーボネートディスク基板上に、
Inのみからなる4インチターゲット材を用いてスパッタ
法で記録膜を形成した。成膜条件は実施例3の場合と同
一とした。
得られた光ディスクに、760nmの半導体レーザを用い
て出力10mwでビット形成を行ったところ、充分にビット
形成ができ、スペクトラムアナライザーで1MHzのキャリ
ア信号について測定したところC/N比は35dBであった。
また、得られた光ディスクを50℃の水に1分間漬けた
ものを検査したところ、記録膜の表面ばかりでなく、基
板のポリカーボネート側から見ても金属光沢は見られな
かった。
これらの結果から、本発明に係る合金組成の記録膜を
有する光ディスクは、従来法で得られたものに比較する
とC/N比が少なくともほぼ同等である上に、耐湿性およ
び耐酸化性が顕著に優れていることが理解される。
[発明の効果] 本発明に従って、記録膜を形成するターゲット材をTe
またはInを含む特定の3元系あるいは4元系以上の合金
から選ぶことによって、得られた記録膜が耐湿性および
耐酸化性に優れたものとなるようにすることができる。
すなわち、本発明によれば、長期間保存のできる光デ
ィスクを安価に製造できるという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉澤 秀二 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同和鉱業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−227167(JP,A) 特開 昭62−283431(JP,A) 特開 昭63−206924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/26 G11B 7/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ディスク基板上に、ターゲット材を用い
    て記録膜を形成する方法において、ターゲット材として
    GexTeyInz(x、y、z>0)にPb、Ga、Zn、BiおよびA
    gからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を添加
    した均一な合金を使用することにより、記録膜を得るこ
    とを特徴とする光ディスク用記録膜の形成方法。
  2. 【請求項2】光ディスク基板上に、ターゲット材を用い
    て記録膜を形成する方法において、ターゲット材として
    Inx′Sby′Pbz′(x′、y′、z′>0)にGa、Z
    n、BiおよびAgからなる群より選ばれる少なくとも1種
    の金属を添加した均一な合金を使用することにより、記
    録膜を得ることを特徴とする光ディスク用記録膜の形成
    方法。
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