JP2918651B2 - 版胴洗浄方法及び装置 - Google Patents

版胴洗浄方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,輪転印刷機における版胴洗浄方法及び装置
に関し,特にファニッシャーローラを用いた形式の印刷
機における版胴洗浄方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕
従来,第5図に示すように,版胴1と,ウェブ2を版
胴1に押付ける圧胴3と,インキ4を収容したインキパ
ン5と,版胴1に接触するように配置されたファニッシ
ャーローラ6と,版胴1上の余分なインキをかき取るド
クター7等を有する印刷ユニットを備えた印刷機が広く
使用されている。この印刷ユニットの版胴1,ファニッシ
ャーローラ6は矢印A,Bで示す方向に,即ち版胴1とフ
ァニッシャーローラ6の接触部でそれぞれの周面が下向
きに移動するように,駆動されるようになっており,印
刷時に,ファニッシャーローラ6がインキパン5からイ
ンキを汲み上げ版胴1に供給していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記構成の印刷ユニットにおいて,版胴交換時にはそ
のユニット内で版胴及びファニッシャーローラを洗浄す
る必要がある。その場合,第6図に示すようにインキパ
ン5を下降させてインキ面をファニッシャーローラ6か
ら離し,ファニッシャーローラ6を版胴1に接触させた
状態で運転しながら,版胴1とファニッシャーローラ6
との接触部の上方から洗浄液をじょうろ8でかけてい
た。ところが,版表面に付着していたインキが洗浄液で
溶けても,版胴1とファニッシャーローラ6との接触部
を通過して落下しにくいため,その接触部上に溜まって
インキ溜まり9を生じてしまい,これがなかなか下方に
落下せず,洗浄に時間がかかるという問題があった。ま
た,この洗浄の際に洗浄液を作業者がじょうろ8を用い
て手動でかけているため,作業者を必要とし,しかもそ
の際じょうろが版胴表面に接触し版を傷める恐れがある
という問題もあった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので,版胴
及びファニッシャーローラを敏速に洗浄することの可能
な版胴洗浄方法を提供することを目的とする。
また,本発明は作業者による作業をあまり必要とせ
ず,版胴洗浄を行うことの可能な版胴洗浄装置を提供す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は,版胴にファニッシャーローラを接触させた
状態で版胴とファニッシャーローラとを,印刷時とは逆
方向に,即ち版胴とファニッシャーローラの接触部でそ
れぞれの周面が上向きに移動するように,回転させ,版
胴とファニッシャーローラとの接触部に上方から洗浄液
を供給することを特徴とする版胴洗浄方法,及び,版胴
とファニッシャーローラとを印刷時とは逆方向に,即ち
版胴とファニッシャーローラの接触部でそれぞれの周面
が上向きに移動するように,回転させる駆動装置と,前
記版胴とファニッシャーローラとの接触部に上方から洗
浄液を供給する供給ノズルとを有する版胴洗浄装置を要
旨とする。
〔実施例〕
以下,図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
第4図は本発明の一実施例による版胴洗浄装置を備えた
輪転印刷機の1例を示す概略構成図であり,11は供給部,
12は印刷ユニット,13は排紙部,14は駆動モータ,15はラ
インシャフト,16はラインシャフト15の回転を各印刷ユ
ニット12に伝達するギアボックスである。ここで使用す
る駆動モータ14は,通常の印刷時における回転方向(正
方向)のみならず,その逆の回転方向(逆方向)にも駆
動可能な可逆回転タイプのものが使用されている。但
し,逆方向の回転速度は通常の印刷時の速度に比べては
るかに低くてよく,例えば,駆動される版胴の表面速度
で,約10〜30m/min程度でよい。
第1図,第2図は上記印刷機の印刷ユニット12の要部
の概略側面図であり,第1図は版胴洗浄時の状態を,第
2図は通常の印刷時の状態を示している。なお,第1
図,第2図において,第5図に示す従来例と同一部品に
は同一符号を付けて示している。印刷ユニット12は,版
胴1と,ウェブ2を版胴1に押付ける圧胴3と,インキ
4を収容したインキパン5と,版胴1に接触するような
配置されたファニッシャーローラ6と,版胴1上の余分
なインキをかき取るドクター7等を有している。インキ
パン5は昇降機構(図示せず)により第1図に示す位置
と第2図に示す位置とに昇降可能となっている。また,
ファニッシャーローラ6はエアシリンダ(図示せず)に
連結されており,インキパン5とは別個に昇降可能であ
り,版胴1に接触する図示位置とその下方に版胴1から
離れた位置に移動可能である。
版胴1とファニッシャーローラ6の接触部の上方には
洗浄液供給装置20が設けられている。この洗浄液供給装
置20は,第3図に示すように,供給ノズル21と,所定位
置に設けられたブラケット22に回転可能に保持された中
空の支持軸23と,この支持軸23に取付けられ,先端に供
給ノズル21を保持したアーム24と,支持軸23に取付けら
れたギア25,それに噛み合うラック26及びラック26を往
復動させるエアシリンダ27等からなり,支持軸23を往復
回転させる回転駆動装置28と,支持軸23と供給ノズル21
を接続する配管29と,支持軸23に接続された洗浄配管30
と,その配管30に制御弁31を介して接続された洗浄液タ
ンク32等を備えている。この洗浄液タンク32は供給ノズ
ル21よりも高い位置に設けられ,ヘッドによって洗浄液
を供給ノズル21に供給しうるようになっている。なお,
必要に応じ,洗浄液タンク32に空圧を作用させ,その圧
力によって洗浄液を供給するようにしてもよい。供給ノ
ズル21は,版胴1より少し長いパイプ21aに適当な間隔
で吐出孔21bを形成したものであり,回転駆動装置28に
より,支持軸23を中心として第1図に示す位置と第2図
に示す位置とに往復動可能となっている。供給ノズル21
を移動させるエアシリンダ27,ファニッシャーローラ6
を昇降させるエアシリンダ(図示せず),制御弁31等に
は空圧制御回路(図示せず)が接続されており,後述す
る洗浄動作をシーケンス制御によって実施しうるように
構成されている。
上記構成の印刷機において,通常の印刷時には,印刷
ユニット12は第2図に示す状態となっており,版胴1及
びファニッシャーローラ6はそれぞれ矢印A,Bで示す方
向に回転している。また,この時,洗浄液供給装置20の
供給ノズル21は版胴1及びファニッシャーローラ6から
離れた位置に待機している。
次に,上記構成の印刷機における本発明方法による洗
浄動作を説明する。
版胴の洗浄を行う際には,まず第1図に示すようにイ
ンキパン5を下降させる。この時,ファニッシャーロー
ラ6もインキパン5と共に下降して版胴1から離れる。
その後,作業者による指示入力により,洗浄動作がシー
ケンス制御装置(図示せず)によって次のように自動的
に行われる。すなわち,まず,回転駆動装置28(第3図
参照)のエアシリンダ27が作動して,供給ノズル21を版
胴1とファニッシャーローラ6との接触部近傍に移動さ
せる。同時に,ファニッシャーローラ6を指示したエア
シリンダが作動してファニッシャーローラ6を押し上
げ,版胴1に接触させる。次に,印刷機の駆動モータ14
(第4図参照)が通常の印刷時とは反対方向にゆっくり
と回転する。これにより,第1図において版胴1とファ
ニッシャーローラ6はそれぞれ矢印C,Dで示すように,
通常の印刷時とは反対方向に,即ち版胴1とファニッシ
ャーローラ6の接触部でそれぞれの周面が上向きに移動
するように,回転する。この状態で,配管30に設けてい
る制御弁31が開いて供給ノズル21に洗浄液が供給され,
その洗浄液は供給ノズル21の吐出孔から版胴1とファニ
ッシャーローラ6とに供給される。版胴1及びファニッ
シャーローラ6は逆転により,供給された溶剤は版胴1
及びファニッシャーローラ6の表面を矢印C,Dで示す方
向に流れ,その表面に付着していたインキを溶かし,版
胴1とファニッシャーローラ6の接触部の下側で絞られ
た状態となり,下方に落下する。これにより,きわめて
敏速に版胴1及びファニッシャーローラ6の洗浄が行わ
れ,且つ使用する洗浄液量も従来に比べ少なくなる。な
お,必要に応じ,版胴1の回転中に,作業者が洗浄液を
供給した位置より少し上方の面を布等で拭ってもよい。
その場合にも版胴1の回転方向が矢印C方向となってい
るので,作業者の手が版胴1とファニッシャーローラ6
との接触部に噛み込まれることがなく,安全である。
供給ノズル21から所定時間,洗浄液を吐出し,版胴1
及びファニッシャーローラ6の洗浄を行った後,制御弁
31が閉じて洗浄液の吐出を停止し,ファニッシャーロー
ラ6が下降して版胴1から離れる。そして,駆動モータ
14が停止する。以上で版胴1の洗浄が終了する。その
後,版胴1の交換を行う。
なお,以上の実施例では版胴1とファニッシャーロー
ラ6との接触部への洗浄液の供給に,供給ノズル21を用
い,洗浄液を自動供給するように構成したが,本発明方
法は,この場合に限らず,従来と同様に作業者がじょう
ろを用いて手動で供給してもよい。また,版胴1及びフ
ァニッシャーローラ6を逆方向に回転させるため,印刷
機全体の駆動源である駆動モータ14を可逆回転可能なも
のとしたが,この代わりに,ラインシャフト15と各印刷
ユニットとの間にクラッチを設け,必要に応じ各印刷ユ
ニットの駆動をラインシャフト15から切り離すことがで
きるように構成するとともに,各印刷ユニットの版胴1
及びファニッシャーローラ6を逆回転させる駆動手段を
設けるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
以上のように,本発明方法によれば,版にファニッシ
ャーローラを接触させた状態で印刷時とは逆方向に,即
ち版胴とファニッシャーローラの接触部でそれぞれの周
面が上向きに移動するように,回転させ,版胴とファニ
ッシャーローラとの接触部に上方から洗浄液を供給する
ことにより,洗浄液で溶けたインキを版胴としてファニ
ッシャーローラとの接触部の下部で絞って下方に落下さ
せることができ,このため,極めて敏速な洗浄が可能と
なり,洗浄時間を短縮することができるとともに,使用
洗浄液量を削減でき,更にインキパン中の残インキ中に
混入する洗浄液量が少ないので,残インキを再利用する
ことができる等を効果を有している。
また,本発明装置は,上記した本発明方法を実施する
ことができるので,上記方法による効果を有しており,
更に,版胴1とファニッシャーローラ6との接触部に洗
浄液を自動的に供給できるので,作業者の作業量を削減
できるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による版胴洗浄装置を備えた
輪転印刷機の印刷ユニットを,その洗浄時の状態で示す
概略側面図,第2図はその印刷ユニットの印刷時の状態
を示す概略側面図,第3図はその印刷ユニットに設けて
いる洗浄液供給装置の概略斜視図,第4図は本発明の一
実施例による版胴洗浄装置を備えた輪転印刷機の概略構
成図,第5図,第6図は従来の印刷ユニットを示すもの
で,第5図は印刷時の状態を,第6図は洗浄時の状態を
示す概略側面図である。 1……版胴,2……ウェブ,3……圧胴,4……インキ,5……
インキパン,6……ファニッシャーローラ,12……印刷ユ
ニット,14……駆動モータ,15……ラインシャフト,16…
…ギアボックス,20……洗浄液供給装置,21……供給ノズ
ル,23……支持軸,28……回転駆動装置。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】版胴にファニッシャーローラを接触させた
    状態で版胴とファニッシャーローラとを印刷時とは逆方
    向に,即ち版胴とファニッシャーローラの接触部でそれ
    ぞれの周面が上向きに移動するように,回転させ,版胴
    とファニッシャーローラとの接触部に上方から洗浄液を
    供給することを特徴とする版胴洗浄方法。
  2. 【請求項2】版胴とファニッシャーローラとを印刷時と
    は逆方向に,即ち版胴とファニッシャーローラの接続部
    でそれぞれの周面が上向きに移動するように,回転させ
    る駆動装置と,前記版胴とファニッシャーローラとの接
    触部に上方から洗浄液を供給する供給ノズルとを有する
    版胴洗浄装置。
JP20044690A 1990-07-27 1990-07-27 版胴洗浄方法及び装置 Expired - Lifetime JP2918651B2 (ja)

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