JP2915521B2 - ラックアンドピニオン式操舵装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、ラック部材の端部の強度を向上させたラ
ックアンドピニオン式操舵装置に関する。

（従来の技術） 第２図は実開平２−78477号公報所載の操舵装置の平
面図、第３図は第２図のＲ部分の拡大平面図、第４図は
同じくＲ部分の拡大断面図である。

この第２〜４図に示した従来の装置は、そのラック部
材１にラック歯２を形成してるが、このラック部２はそ
の歯の向きを斜めにしている。そして、このラック歯２
の外端には凹部３を形成している。この凹部３はラック
歯２の最外端からΔＬだけ離れた位置ｓを起点に、ラッ
ク部材１の軸中心線Ｘに直角な面3aを有する。上記ΔＬ
寸法はラック歯２の幅とほぼ等しくしている。

上記のようにしたラック部材１の両端には、ネジ孔４
を形成し、このネジ孔４に固定したボールジョイント５
を介して、ラック部材１と図示していない車輪とを連係
している。

このラック部材１のラック歯２には、ステアリングホ
ィール６に連係したピニオン７をかみ合わせている。こ
のピニオン７は、ラック部材１の軸中心線に対して、当
該ピニオン７の軸中心線を直交させるとともに、その歯
はラック歯２にかみ合うように斜めにしている。

いま、ステアリングホィール６を回したとすると、そ
れに応じてピニオン７が回転しようとする。しかし、こ
のときの路面抵抗によってラック部材１が動かないの
で、ピニオン７はラック歯２上を転がる。このピニオン
７の転がり動作で切換弁８が切換わり、パワーシリンダ
PCを動作させるとともに、ラック部材１を所定の方向に
移動して車輪を転舵するものである。

このときピニオン７は、ラック歯２と相対移動しなが
ら回転をつづけるが、例えば、すえ切り状態において
は、ピニオン７がラック歯２の最終端に到達する。この
ときピニオン７の一部が凹部３側に位置して、かみ込み
を防止できるようにしている。

（発明が解決しようとする課題） 上記のようにした従来の装置では、凹部３の面積が大
きいので、例えば、第４図に示すように、ネジ孔４が凹
部３の真下にくることがある。このように凹部３の真下
にネジ孔４が位置すると、両者間の肉部Ｅの厚さが薄く
なり、その強度が損なわれるという問題があった。

この発明の目的は、ピニオン７のかみ込みを防止する
ための凹部を確保しながら、ラック部材の強度も十分に
維持できるラックアンドピニオン式操舵装置を提供する
ことである。

（課題を解決するための手段） この発明は、歯の向きを斜めにしたラック歯を形成し
てなるラック部材の両端を、ボールジョイントを介して
車輪に連係し、ステアリングホィールに連結したピニオ
ンを上記ラック歯にかみ合わせ、しかも、このピニオン
の軸線をラック部材の軸線に対して直交させるととも
に、ピニオンの歯はラック歯にかみ合うように斜めに
し、かつ、ラック歯の終端外側にはピニオンの歯が逃げ
る凹部を形成してなるラックアンドピニオン式操舵装置
を前提にするものである。

上記の装置を前提にしつつ、この発明は、凹部の外端
が、ラック歯の歯すじと平行な平行部と、この平行部に
連続するとともに、ラック部材の軸中心線からほぼ半分
側にわたってその軸中心線と直角になる関係にした垂直
部とからなり、当該凹部の面積を、ラック歯の最終端に
達したピニオンの歯が逃げるのに必要な最小限度に保っ
た点に特徴を有する。

（本発明の作用） この発明は、上記のように構成したので、ラック歯の
終端部分において、ピニオンが凹部側に逃げられるの
で、かみ込み等の問題が発生しない。

（本発明の効果） この発明の操舵装置によれば、凹部外端とラック部材
外端との距離を十分に確保できるので、従来のようにラ
ック部材に形成したネジ孔が凹部の真下に位置するよう
なことがなくなる。換言すれば、従来のように肉部Ｅの
厚さが薄くなって、その強度が損なわれるような問題が
発生しない。

（本発明の実施例） 第１図に示した実施例は、ラック部材１に形成した凹
部３の形状に特徴を有するものである。すなわち、凹部
３の外端が、ラック歯２の歯すじと平行な平行部3bと、
この平行部3bに連続するとともに、ラック部材１の軸中
心線Ｘからほぼ半分側にわたってその軸中心線と直角に
なる関係にした垂直部3cとからなる。このようにするこ
とによって、凹部３の面積が、ラック歯２の最終端に達
したピニオン７の歯が逃げるのに必要な最小限度になる
ものである。

凹部３を上記の形状にしたので、この凹部３の外端
が、ラック部材１の端面から十分な距離を保つことがで
きる。したがって、従来のようにネジ孔４と凹部３とが
重なり合って薄い肉部Ｅができるようなことがなくな
る。換言すれば、このラック部材１に端部の強度を十分
に保つことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面第１図はこの発明の要部の平面図、第２〜４図は従
来の操舵装置を示すもので、第２図は全体の平面図、第
３図は第２図のＲ部の拡大平面図、第４図は同じくＲ部
の拡大断面図である。 １……ラック部材、２……ラック歯、３……凹部、3b…
…平行部、3c……垂直部、６……ステアリングホィー
ル、７……ピニオン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 秀明 神奈川県川崎市川崎区殿町３丁目25番１ 号 いすゞ自動車株式会社川崎工場内 (56)参考文献 特開 昭51−5724（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−119566（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−190766（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−78475（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭54−42133（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B62D 5/22 B62D 3/12

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】歯の向きを斜めにしたラック歯を形成して
   なるラック部材の両端を、ボールジョイントを介して車
   輪に連係し、ステアリングホィールに連結したピニオン
   を上記ラック歯にかみ合わせ、しかも、このピニオンの
   軸線をラック部材の軸線に対して直交させるとともに、
   ピニオンの歯はラック歯にかみ合うように斜めにし、か
   つ、ラック歯の終端外側にはピニオンの歯が逃げる凹部
   を形成してなるラックアンドピニオン式操舵装置におい
   て、上記凹部の外端は、ラック歯の歯すじと平行な平行
   部と、この平行部に連続するとともに、ラック部材の軸
   中心線からほぼ半分側にわたってその軸中心線と直角に
   なる関係にした垂直部とからなり、当該凹部の面積を、
   ラック歯の最終端に達したピニオンの歯が逃げるのに必
   要な最小限度に保ってなるラックアンドピニオン式操舵
   装置。