JP2912075B2 - ガスクロマトグラフィー用充填剤 - Google Patents
ガスクロマトグラフィー用充填剤Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異性体分離、ラセミ体
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用充填剤に関す
る。更に詳しくは、本発明は光学活性の(S)−体およ
び(R)−体を包含する下記式(A)
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用充填剤に関す
る。更に詳しくは、本発明は光学活性の(S)−体およ
び(R)−体を包含する下記式(A)
【0002】
【化2】 で表される(S)−又は(R)−1,1’−ビナフチル
−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)を固
定相成分として含有する新規なガスクロマトグラフィー
用充填剤に関する。
−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)を固
定相成分として含有する新規なガスクロマトグラフィー
用充填剤に関する。
【0003】
【従来の技術】光学活性固定相を備えたガスクロマトグ
ラフィーにより鏡像異性体対を直接分離する方法は公知
であり、例えば、S.Allenmark著、 "Chromatographic En
antioseparation," Ellis Horwood Ltd., Chichester(1
988年刊)などの著書にも詳述されている。この方法にお
いては、光学活性化合物を含有するカラム充填剤を従来
一般に用いられている種々の方法、即ち固定相担体に担
持させてカラムに充填する充填カラム方式、あるいはキ
ャピラリーカラムの内部表面に被覆するキャピラリーカ
ラム方式などを用いて光学活性固定相を調製する。これ
まで該充填剤を調製するための光学活性化合物として
は、例えば、(1)(L)−バリン、(L)−ロイシ
ン、(L)−フェニルグリシン誘導体などの(L)−ア
ミノ酸類、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン
誘導体などの光学活性アミン類や菊酸誘導体などの光学
活性カルボン酸類などから誘導される光学活性アミド化
合物;(2)3−トリフルオロアセチル−(1R)−カ
ンファーやN−サリチリデン−(R)−2−アミノ−
1,1−ジ(5−t−ブチル−2−オクチルオキシフェ
ニル)−1−プロパノールなどの光学活性金属錯体;
(3)シクロデキストリン誘導体などの糖誘導体など、
種々の化合物が提案されている。
ラフィーにより鏡像異性体対を直接分離する方法は公知
であり、例えば、S.Allenmark著、 "Chromatographic En
antioseparation," Ellis Horwood Ltd., Chichester(1
988年刊)などの著書にも詳述されている。この方法にお
いては、光学活性化合物を含有するカラム充填剤を従来
一般に用いられている種々の方法、即ち固定相担体に担
持させてカラムに充填する充填カラム方式、あるいはキ
ャピラリーカラムの内部表面に被覆するキャピラリーカ
ラム方式などを用いて光学活性固定相を調製する。これ
まで該充填剤を調製するための光学活性化合物として
は、例えば、(1)(L)−バリン、(L)−ロイシ
ン、(L)−フェニルグリシン誘導体などの(L)−ア
ミノ酸類、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン
誘導体などの光学活性アミン類や菊酸誘導体などの光学
活性カルボン酸類などから誘導される光学活性アミド化
合物;(2)3−トリフルオロアセチル−(1R)−カ
ンファーやN−サリチリデン−(R)−2−アミノ−
1,1−ジ(5−t−ブチル−2−オクチルオキシフェ
ニル)−1−プロパノールなどの光学活性金属錯体;
(3)シクロデキストリン誘導体などの糖誘導体など、
種々の化合物が提案されている。
【0004】上記方法によって調製される光学活性固定
相による鏡像異性体の分離の機構は、固定相が光学活性
であるため移動相中の溶質鏡像異性体の(R)−体と
(S)−体間で固定相に対する保持力にジアステレオメ
リックな差を生じるためである。固定相−移動相間に働
く保持力としては、上記(1)のタイプの固定相では主
に水素結合が、(2)のタイプでは配位結合が、(3)
のタイプでは立体的相互作用や疎水性相互作用が働いて
いるとされている。従って、これらの相互作用エネルギ
ーの差が鏡像異性体の(R)−体と(S)−体間で顕著
なほど分離能に優れることになる。
相による鏡像異性体の分離の機構は、固定相が光学活性
であるため移動相中の溶質鏡像異性体の(R)−体と
(S)−体間で固定相に対する保持力にジアステレオメ
リックな差を生じるためである。固定相−移動相間に働
く保持力としては、上記(1)のタイプの固定相では主
に水素結合が、(2)のタイプでは配位結合が、(3)
のタイプでは立体的相互作用や疎水性相互作用が働いて
いるとされている。従って、これらの相互作用エネルギ
ーの差が鏡像異性体の(R)−体と(S)−体間で顕著
なほど分離能に優れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案の充填剤は各々、適用できる鏡像異性体試料の範囲に
限界がある。これは上述したごとく、充填剤ごとに鏡像
異性体識別に有効に働く相互作用力が限定されているた
めである。
案の充填剤は各々、適用できる鏡像異性体試料の範囲に
限界がある。これは上述したごとく、充填剤ごとに鏡像
異性体識別に有効に働く相互作用力が限定されているた
めである。
【0006】ガスクロマトグラフィーで熱不安定の試料
を分離し、分析するには温度的制約から、低温でも効率
良く運転できるカラムが望ましく、これには低融点充填
剤が必要となってくる。また、高沸点試料の分析へも適
用できるためにはカラム温度を高く保てることも必要
で、カラム充填剤の沸点及び熱安定性が高いことも要求
される。しかしながら、上記提案の充填剤は融点が比較
的高かったり、耐熱性が不十分であったりして分析可能
温度範囲が狭いという欠点を有するものが多い。特に、
上記(2)のタイプの金属錯体型の充填剤は水分などに
も敏感で、性能を保つためには細心の注意を必要とし、
利用し易いとは言い難い。
を分離し、分析するには温度的制約から、低温でも効率
良く運転できるカラムが望ましく、これには低融点充填
剤が必要となってくる。また、高沸点試料の分析へも適
用できるためにはカラム温度を高く保てることも必要
で、カラム充填剤の沸点及び熱安定性が高いことも要求
される。しかしながら、上記提案の充填剤は融点が比較
的高かったり、耐熱性が不十分であったりして分析可能
温度範囲が狭いという欠点を有するものが多い。特に、
上記(2)のタイプの金属錯体型の充填剤は水分などに
も敏感で、性能を保つためには細心の注意を必要とし、
利用し易いとは言い難い。
【0007】これらの難点を克服しようとする試みも多
いが、これらの充填剤は一般的に調製が煩雑であり、高
価である。また、天然物から調製される充填剤が多いこ
とから、(R)−体、(S)−体の光学活性カラム充填
剤を任意に作り分けることが難しいことも難点の一つで
ある。このような背景から、容易に調製できしかも広範
囲の鏡像異性体に優れた分離能を示すガスクロマトグラ
フィー用光学活性充填剤の開発が強く望まれている。
いが、これらの充填剤は一般的に調製が煩雑であり、高
価である。また、天然物から調製される充填剤が多いこ
とから、(R)−体、(S)−体の光学活性カラム充填
剤を任意に作り分けることが難しいことも難点の一つで
ある。このような背景から、容易に調製できしかも広範
囲の鏡像異性体に優れた分離能を示すガスクロマトグラ
フィー用光学活性充填剤の開発が強く望まれている。
【0008】本発明者らは、上述の課題を解決するた
め、光学活性化合物を固定剤として用いるクロマトグラ
フィー用充填剤について従来から研究を行い、先に光学
活性な(S)−体および(R)−体の1,1’−ビナフ
チル−2,2’−ジカルボン酸を出発原料として合成さ
れる式(A)の化合物および式(A)化合物のポリアミ
ド誘導体の製法並びに該ポリアミド誘導体が液体クロマ
トグラフィー用充填剤の固定相としてラセミ体分割に有
効であること発見して論文に発表した[Bull.Chem.Soc.J
pn.,94,2260-2265(1991)]。
め、光学活性化合物を固定剤として用いるクロマトグラ
フィー用充填剤について従来から研究を行い、先に光学
活性な(S)−体および(R)−体の1,1’−ビナフ
チル−2,2’−ジカルボン酸を出発原料として合成さ
れる式(A)の化合物および式(A)化合物のポリアミ
ド誘導体の製法並びに該ポリアミド誘導体が液体クロマ
トグラフィー用充填剤の固定相としてラセミ体分割に有
効であること発見して論文に発表した[Bull.Chem.Soc.J
pn.,94,2260-2265(1991)]。
【0009】本発明者らは、引き続いて鋭意研究を重ね
た結果、式(A)の化合物が更に容易に合成できるこ
と、また式(A)の化合物をガスクロマトグラフィーの
充填剤として任意に(R)−体又は(S)−体を選んで
用いることにより各種のラセミ体混合物から光学活性な
(R)−体および(S)−体を効率よく分割できること
を発見して本発明を完成した。従って、本発明の目的
は、各種のラセミ体混合物から光学活性な(R)−体お
よび(S)−体化合物を分割するのに有用な式(A)化
合物を固定相成分として含有するガスクロマトグラフィ
ー用充填剤を提供するにある。即ち、本発明の主眼は既
存のガスクロマトグラフィー用光学活性充填剤がすべ
て、炭素の四面体構造に基づく炭素中心性不斉による光
学活性化合物から誘導されたものであるのに対し、軸性
分子不斉を有する式(B)で示される(R)−又は
(S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジカルボン
酸から誘導される式(A)の化合物からなることを特徴
とする新規充填剤を提供することにより、ラクトン、ア
ミン誘導体、アミノ酸誘導体、アルコール誘導体、カル
ボン酸誘導体など、広範囲の鏡像異性体の分離に適用で
き、且つ比較的低いカラム温度、好ましくは100℃以
下においても液相として使用することができ、耐熱性に
も優れており、広い使用温度範囲にわたって良好なピー
クを与える光学活性固定相を提供することである。
た結果、式(A)の化合物が更に容易に合成できるこ
と、また式(A)の化合物をガスクロマトグラフィーの
充填剤として任意に(R)−体又は(S)−体を選んで
用いることにより各種のラセミ体混合物から光学活性な
(R)−体および(S)−体を効率よく分割できること
を発見して本発明を完成した。従って、本発明の目的
は、各種のラセミ体混合物から光学活性な(R)−体お
よび(S)−体化合物を分割するのに有用な式(A)化
合物を固定相成分として含有するガスクロマトグラフィ
ー用充填剤を提供するにある。即ち、本発明の主眼は既
存のガスクロマトグラフィー用光学活性充填剤がすべ
て、炭素の四面体構造に基づく炭素中心性不斉による光
学活性化合物から誘導されたものであるのに対し、軸性
分子不斉を有する式(B)で示される(R)−又は
(S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジカルボン
酸から誘導される式(A)の化合物からなることを特徴
とする新規充填剤を提供することにより、ラクトン、ア
ミン誘導体、アミノ酸誘導体、アルコール誘導体、カル
ボン酸誘導体など、広範囲の鏡像異性体の分離に適用で
き、且つ比較的低いカラム温度、好ましくは100℃以
下においても液相として使用することができ、耐熱性に
も優れており、広い使用温度範囲にわたって良好なピー
クを与える光学活性固定相を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明で使用する式
(A)の化合物は、公知化合物であり、従来提案の合成
方法により容易に製造することができる。即ち、出発原
料である光学活性の(S)−体および(R)−体を包含
する後記式(B)の1,1’−ビナフチル−2,2’−
ジカルボン酸は、先に本発明者らが発表した方法により
容易に合成することができる[Bull.Chem.Soc.Jpn.,62,9
56-957(1989)参照]。次に式(B)の化合物から式
(A)の化合物を合成するには、有機溶媒の存在下ある
いは不存在下で、光学活性の式(B)の化合物をハロゲ
ン化剤でハロゲン化して酸ハロゲン化物とした後、n−
デシルアミンと反応させることにより容易に得られる。
これらの方法に関しては、公知の方法により当該技術者
には容易に合成できる[Bull.Chem.Soc.Jpn.,94,2260-22
65(1991)参照]。本発明の式(A)化合物の製造法を反
応式で示すと以下のように表すことができる。
(A)の化合物は、公知化合物であり、従来提案の合成
方法により容易に製造することができる。即ち、出発原
料である光学活性の(S)−体および(R)−体を包含
する後記式(B)の1,1’−ビナフチル−2,2’−
ジカルボン酸は、先に本発明者らが発表した方法により
容易に合成することができる[Bull.Chem.Soc.Jpn.,62,9
56-957(1989)参照]。次に式(B)の化合物から式
(A)の化合物を合成するには、有機溶媒の存在下ある
いは不存在下で、光学活性の式(B)の化合物をハロゲ
ン化剤でハロゲン化して酸ハロゲン化物とした後、n−
デシルアミンと反応させることにより容易に得られる。
これらの方法に関しては、公知の方法により当該技術者
には容易に合成できる[Bull.Chem.Soc.Jpn.,94,2260-22
65(1991)参照]。本発明の式(A)化合物の製造法を反
応式で示すと以下のように表すことができる。
【0011】
【化3】
【0012】上述のようにして得ることのできる光学活
性な式(A)の化合物は、ガスクロマトグラフィー用充
填剤の固定相として用いることにより、種々の化合物を
分離することができる。特に、従来ガスクロマトグラフ
ィーでは分離が困難であったラセミ体などの鏡像異性体
対の光学分割に優れた効果を発揮する。本発明の充填剤
は、種々の官能基を有する化合物の分離に適用できる
が、一般的には、ラクトン、アミノ酸誘導体、アミン誘
導体、カルボン酸誘導体などの極性化合物に対して優れ
た分離能を有する。また、本発明の式(A)化合物は単
独でガスクロマトグラフィー充填剤として用いることが
できるとともに、従来既知の充填剤、例えばシリコーン
オイルOV−17、OV−1701、SE−30、SF
−96、SP−2100、XE−60など、また、PE
G−20M、FFAPなどと併用することもできる。
性な式(A)の化合物は、ガスクロマトグラフィー用充
填剤の固定相として用いることにより、種々の化合物を
分離することができる。特に、従来ガスクロマトグラフ
ィーでは分離が困難であったラセミ体などの鏡像異性体
対の光学分割に優れた効果を発揮する。本発明の充填剤
は、種々の官能基を有する化合物の分離に適用できる
が、一般的には、ラクトン、アミノ酸誘導体、アミン誘
導体、カルボン酸誘導体などの極性化合物に対して優れ
た分離能を有する。また、本発明の式(A)化合物は単
独でガスクロマトグラフィー充填剤として用いることが
できるとともに、従来既知の充填剤、例えばシリコーン
オイルOV−17、OV−1701、SE−30、SF
−96、SP−2100、XE−60など、また、PE
G−20M、FFAPなどと併用することもできる。
【0013】本発明のガスクロマトグラフィー用充填剤
をカラムに充填するには、従来一般に行われている方
法、即ち固定相担体に担持させてカラムに充填する充填
カラム方式あるいは固定相のみでカラムの内部表面を被
覆するキャピラリーカラム方式などをそのまま採用して
行うことができる。充填カラム方式では、例えばシリカ
ゲル、ガラスビーズ、ケイソウ土、アルミナなどの多孔
性担体に式(A)の化合物を均一に吸着させることによ
り行うことができる。多孔性担体には特別な制約はな
く、例えば粒径サイズ約1〜約100μm、細孔径サイ
ズ約50〜約500オングストロームの球状の担体を好
ましく例示することができる。キャピラリーカラム方式
では、例えば内径約0.1〜約0.5mm、長さ約10
〜約100mのガラス製あるいはステンレス製のキャピ
ラリーカラムの内部表面に式(A)の化合物をダイナミ
ック法あるいはスタティック法などの当該技術を用いて
均一にコーティングさせることにより行うことができ
る。
をカラムに充填するには、従来一般に行われている方
法、即ち固定相担体に担持させてカラムに充填する充填
カラム方式あるいは固定相のみでカラムの内部表面を被
覆するキャピラリーカラム方式などをそのまま採用して
行うことができる。充填カラム方式では、例えばシリカ
ゲル、ガラスビーズ、ケイソウ土、アルミナなどの多孔
性担体に式(A)の化合物を均一に吸着させることによ
り行うことができる。多孔性担体には特別な制約はな
く、例えば粒径サイズ約1〜約100μm、細孔径サイ
ズ約50〜約500オングストロームの球状の担体を好
ましく例示することができる。キャピラリーカラム方式
では、例えば内径約0.1〜約0.5mm、長さ約10
〜約100mのガラス製あるいはステンレス製のキャピ
ラリーカラムの内部表面に式(A)の化合物をダイナミ
ック法あるいはスタティック法などの当該技術を用いて
均一にコーティングさせることにより行うことができ
る。
【0014】以下、本発明について参考例ならびに実施
例を挙げて更に詳細に説明する。
例を挙げて更に詳細に説明する。
【参考例1】(S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−
デシルカルボキシアミド)[式(A)の化合物]の合
成。 式(B)に包含される(S)−1,1’−ビナフチル−
2,2’−ジカルボン酸を塩化チオニルと加熱還流する
ことにより得られる酸クロライド965mg(2.54
ミリモル)を窒素気流下で乾燥ベンゼン40mlに撹拌
溶解し、デシルアミン961mg(6.11ミリモ
ル)、トリエチルアミン850μl(6.11ミリモ
ル)を順次加え、一時間加熱還流する。2規定塩酸水溶
液10mlで2回、10%炭酸ナトリウム水溶液で2
回、蒸留水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥
する。溶媒をエバポレーターで留去後、残渣をシリカゲ
ル100gを用いたカラムクロマトグラフィーにより精
製し、粘性の高いオイル状の(S)−1,1’−ビナフ
チル−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)
を1.48g(収率:94.0%)得た。
デシルカルボキシアミド)[式(A)の化合物]の合
成。 式(B)に包含される(S)−1,1’−ビナフチル−
2,2’−ジカルボン酸を塩化チオニルと加熱還流する
ことにより得られる酸クロライド965mg(2.54
ミリモル)を窒素気流下で乾燥ベンゼン40mlに撹拌
溶解し、デシルアミン961mg(6.11ミリモ
ル)、トリエチルアミン850μl(6.11ミリモ
ル)を順次加え、一時間加熱還流する。2規定塩酸水溶
液10mlで2回、10%炭酸ナトリウム水溶液で2
回、蒸留水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥
する。溶媒をエバポレーターで留去後、残渣をシリカゲ
ル100gを用いたカラムクロマトグラフィーにより精
製し、粘性の高いオイル状の(S)−1,1’−ビナフ
チル−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)
を1.48g(収率:94.0%)得た。
【0015】[α]D 20=-117.4°(c 1.01, アセトン) IR (液膜) 1631, 1563, 1331, 1301, 825, 756cm-1 1 H-NMR (CDCL3) δ(ppm)=0.80-1.24(38H, m, CH2 and C
H3), 2.82-3.14(4H, m,N-CH2), 6.96-8.04(14H, m, NH
and ArH) 分析値 C=81.04% ; H=9.30% ; N=4.41% C42H56N2O2としての 計算値 C=81.24% ; H=9.09% ; N=4.51%
H3), 2.82-3.14(4H, m,N-CH2), 6.96-8.04(14H, m, NH
and ArH) 分析値 C=81.04% ; H=9.30% ; N=4.41% C42H56N2O2としての 計算値 C=81.24% ; H=9.09% ; N=4.51%
【0016】
【参考例2】(R)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ビス(N−
デシルカルボキシアミド)[式(A)の化合物]の合
成。 参考例1の(S)−体の1,1’−ビナフチル−2,
2’−ジカルボン酸を(R)−体に代えた他は参考例1
の方法に準じて(R)−1,1’−ビナフチル−2,
2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)を合成し
た。 [α]D 20=+117.4°(c 1.01, アセトン)
デシルカルボキシアミド)[式(A)の化合物]の合
成。 参考例1の(S)−体の1,1’−ビナフチル−2,
2’−ジカルボン酸を(R)−体に代えた他は参考例1
の方法に準じて(R)−1,1’−ビナフチル−2,
2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)を合成し
た。 [α]D 20=+117.4°(c 1.01, アセトン)
【0017】
【参考例3】(S)−体の式(A)化合物をコーティングしたキャピ
ラリーカラムの調製 。 メンブランフィルターで濾過、次いで減圧で脱気した塩
化メチレンに(S)−体の式(A)の化合物を0.12
%(W/V)、OV−17を0.08%(W/V)の濃
度となるように溶解させた固定相液体を調製する。これ
をガラスキャピラリーカラムの中に気泡が入らないよう
に慎重に通し、溶液の出口に接続しておいた内径1mm
程度のシリコーンチューブをクリップで押え気泡が残ら
ないように端を封じる。他端を真空ポンプに接続し、最
初は50mmHg程度の減圧にし、溶媒をカラムの端か
ら蒸発させてゆく。溶液の端がカラムの内部に進むにつ
れ、蒸発の速度が遅くなるので圧力を徐々に下げてゆ
く。この操作は室温で行うが、室温が20℃以下の場合
は溶媒の蒸発が円滑に進行しないので、25℃程度に恒
温した水槽内で行った方が良好な結果が得られる。この
場合、サーモスタットによる温度調節では、ヒーターの
ON−OFF時の微妙な温度変化もコーティングに悪影
響を及ぼすので、恒温槽に10リットル程度の大きな水
層を用い、スライダックにより温度調節を行う。
ラリーカラムの調製 。 メンブランフィルターで濾過、次いで減圧で脱気した塩
化メチレンに(S)−体の式(A)の化合物を0.12
%(W/V)、OV−17を0.08%(W/V)の濃
度となるように溶解させた固定相液体を調製する。これ
をガラスキャピラリーカラムの中に気泡が入らないよう
に慎重に通し、溶液の出口に接続しておいた内径1mm
程度のシリコーンチューブをクリップで押え気泡が残ら
ないように端を封じる。他端を真空ポンプに接続し、最
初は50mmHg程度の減圧にし、溶媒をカラムの端か
ら蒸発させてゆく。溶液の端がカラムの内部に進むにつ
れ、蒸発の速度が遅くなるので圧力を徐々に下げてゆ
く。この操作は室温で行うが、室温が20℃以下の場合
は溶媒の蒸発が円滑に進行しないので、25℃程度に恒
温した水槽内で行った方が良好な結果が得られる。この
場合、サーモスタットによる温度調節では、ヒーターの
ON−OFF時の微妙な温度変化もコーティングに悪影
響を及ぼすので、恒温槽に10リットル程度の大きな水
層を用い、スライダックにより温度調節を行う。
【0018】
【参考例4】(R)−体の式(A)化合物をコーティングしたキャピ
ラリーカラムの調製。 参考例3の(S)−体の式(A)化合物を(R)−体の
式(A)化合物に代えた他は参考例3の方法に準じて
(R)−体の式(A)化合物をコーティングしたキャピ
ラリーカラムを調製した。
ラリーカラムの調製。 参考例3の(S)−体の式(A)化合物を(R)−体の
式(A)化合物に代えた他は参考例3の方法に準じて
(R)−体の式(A)化合物をコーティングしたキャピ
ラリーカラムを調製した。
【0019】
【実施例1〜3】参考例3で調製した(S)−体の式
(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラムを
用い、下記の測定条件でラセミ体のラクトン化合物の分
離を行い、保持係数より分離係数(α)を求めた。その
結果を表−1に示す。
(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラムを
用い、下記の測定条件でラセミ体のラクトン化合物の分
離を行い、保持係数より分離係数(α)を求めた。その
結果を表−1に示す。
【0020】[測定条件] カラム: 内径0.25mm,外径1.0mm,
長さ25m 検出器: FID 注入口温度: 180℃ カラム温度: 130℃ キャリアガス: He 流量: 1.0kg/cm2 スプリット比: 1:100
長さ25m 検出器: FID 注入口温度: 180℃ カラム温度: 130℃ キャリアガス: He 流量: 1.0kg/cm2 スプリット比: 1:100
【0021】
【表−1】No 試料(ラセミ体) α 1 4-フェニル-4-ヘ゜ンタノリト゛ 1.021 2 4-フェニル-4-ヘキサノリト゛ 1.029 3 4-フェニル-4-ヘフ゜タノリト゛ 1.023
【0022】
【実施例4〜14】参考例3で調製した(S)−体の式
(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラムを
用い、実施例1の方法と同様にしてラセミ体の各種アミ
ノ酸誘導体の分離を行い、保持係数より分離係数(α)
を求めた。その結果を表−2に示す。
(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラムを
用い、実施例1の方法と同様にしてラセミ体の各種アミ
ノ酸誘導体の分離を行い、保持係数より分離係数(α)
を求めた。その結果を表−2に示す。
【0023】
【表−2】 No アミノ酸誘導体[R1CH(COO-iso-Pr)-NHCO-CF3] α R1 4 -CH3(アラニン) 1.050 5 -iso-C3H7(ハ゛リン) 1.053 6 -CH(CH3)C2H5(アロ-イソロイシン) 1.039 7 -CH(CH3)C2H5(イソロイシン) 1.033 8 -n-C3H7(n-ハ゛リン) 1.055 9 -iso-C4H9(ロイシン) 1.047 10 -n-C4H9(n-ロイシン) 1.050 11 -Ph(フェニルク゛リシン) 1.015 12 -CH2Ph(フェニルアラニン) 1.041 13 フ゜ロリン 1.016 14 ク゛ルタミン酸 1.026
【0024】
【実施例15〜18】参考例4で調製した(R)−体の
式(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラム
を用い、実施例1の方法と同様にしてラセミ体の各種ア
ルコール誘導体の分離を行い、保持係数より分離係数
(α)を求めた。その結果を表−3に示す。
式(A)化合物をコーティングしたキャピラリーカラム
を用い、実施例1の方法と同様にしてラセミ体の各種ア
ルコール誘導体の分離を行い、保持係数より分離係数
(α)を求めた。その結果を表−3に示す。
【0025】
【表−3】 No アルコール誘導体[R1CHR2-OCONH-iso-C3H7] α R1 R2 15 -CH3 -n-C6H13 1.021 16 -CH3 -Ph 1.026 17 -iso-C3H7 -Ph 1.032 18 -n-C4H9 -Ph 1.028
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、異性体分離、ラセミ体
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用充填剤を提供で
きる。光学活性の(S)−体又は(R)−体の1,1’
−ビナフチル−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシ
アミド)をガスクロマトグラフィーの固定相成分として
用いることにより、ラセミ体混合物から光学活性のアミ
ノ酸誘導体などを分割可能にする。
の光学分割など従来分離が困難であった化合物を分離す
るのに有用なガスクロマトグラフィー用充填剤を提供で
きる。光学活性の(S)−体又は(R)−体の1,1’
−ビナフチル−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシ
アミド)をガスクロマトグラフィーの固定相成分として
用いることにより、ラセミ体混合物から光学活性のアミ
ノ酸誘導体などを分割可能にする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−75952(JP,A) 特開 平2−290898(JP,A) 特開 平1−119339(JP,A) 特開 昭60−226831(JP,A) 特開 昭60−108751(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 30/48 B01D 53/02 CA(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 下記式(A) 【化1】 で表される(S)−又は(R)−1,1’−ビナフチル
−2,2’−ビス(N−デシルカルボキシアミド)を固
定相成分として含有することを特徴とするガスクロマト
グラフィー用充填剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4061397A JP2912075B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | ガスクロマトグラフィー用充填剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4061397A JP2912075B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | ガスクロマトグラフィー用充填剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05223805A JPH05223805A (ja) | 1993-09-03 |
JP2912075B2 true JP2912075B2 (ja) | 1999-06-28 |
Family
ID=13169982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4061397A Expired - Fee Related JP2912075B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | ガスクロマトグラフィー用充填剤 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2912075B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-14 JP JP4061397A patent/JP2912075B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05223805A (ja) | 1993-09-03 |
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