JP2904428B2 - サイレージの製造方法およびサイレージ用添加物 - Google Patents
サイレージの製造方法およびサイレージ用添加物Info
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Description
安全、かつ確実に製造するために好適な方法およびサイ
レージ用添加物に関する。
ジ原料を細断しサイロに詰め、原料に含まれる糖分と乳
酸菌により嫌気的条件下で乳酸発酵させることにより製
造される貯蔵用飼料である。従来よりサイレージの品質
を向上させるために乳酸菌製剤を添加したり、プロピオ
ン酸、蟻酸などの薬剤を添加することが行われてきた。
乳酸菌製剤はサイレージ原料に添加して菌を増殖させる
ことによって効果が得られるが、菌の増殖のためには栄
養、水分、温度などの環境条件が適していないと期待し
ていたほどの効果を得られない場合があり、品質を向上
させるための添加物としては不十分な点があった。一
方、プロピオン酸、蟻酸などの酸添加物は、カビなどの
有害微生物による汚染防止に大変有効であり、信頼性も
高いものであるが、ハーベスタ、サイロなどの設備を腐
食させる、添加作業時に人体への危険性があるなどの点
で使いにくいという問題点があった。
イレージを安全、かつ確実に製造するサイレージ製造方
法を提供するものである。
ジ製造時の異常発酵を防止して乳酸菌の正常な発育を促
進するための添加物について鋭意検討を重ねた結果、サ
イレージ原料に対して、エタノールを添加することによ
り、カビ類などの有害な微生物の増殖を抑制し、サイレ
ージ発酵に好適な乳酸菌の増殖を促進させるとともに高
品質のサイレージが確実に得られることを見出だし、本
発明を完成した。
際して、エタノールをサイレージ原料に添加することを
特徴とし、高品質のサイレージを安全、かつ確実に製造
するためのサイレージ製造方法およびそのために使用す
るサイレージ用添加物を提供するものである。
いてエタノールを原料に混合することにより、サイレー
ジに有害なカビ類の繁殖を抑制し、有益な微生物類、例
えば乳酸菌の発酵を促進させるものであり、具体的には
エタノールを直接原料に混合することにより行われる。
混合するエタノール濃度には特に限定はないが、高濃度
のエタノールでは引火しやすい性質のため好ましくな
く、また低濃度では原料が水っぽくなって、これも好ま
しくない。通常は25〜75%程度が好ましい。
エタノールの濃度はサイレージ原料に対し、0.2重量
%以上の添加によって目的を達成することができる。カ
ビ類は一般的にアルコール耐性が低く、低濃度でその繁
殖が抑制されるが、細菌や酵母類、特に乳酸菌はアルコ
ール耐性が高く、かなりの高濃度においても増殖するこ
とができる。しかしながら必要以上に濃度を高くして
も、揮発性があるため、サイレージ製造・貯蔵中、密封
を心掛けても完全でないため、揮発したり、また動物に
給餌しても刺激臭のため忌避したりする等の理由により
通常2〜5%が上限として常用される。それ以上の濃度
は経済的に採算がとれないことがあり避けたほうがよ
い。
生物の増殖抑制効果が少なく、また、添加量が前記の範
囲より高い場合は、サイレージ発酵が終了するまでに時
間がかかる傾向があらわれる。またサイレージ原料に上
記のエタノールを添加するには、あらかじめサイレージ
原料に混合してからサイロに投入すればよいが、エタノ
ールは、サイレージ原料に対する浸透性がよいため、サ
イロにサイレージ原料を投入した後で、サイロ上部から
エタノールを投入してもよい。なお本発明におけるサイ
レージ原料とは、通常サイレージ製造に用いられている
植物を細断したものをいい、トウモロコシ、ソルガム、
オーチャードグラス、チモシー、アルファルファー、イ
タリアンライグラスなどを数cmから10数cmに切断
したものが好適に使用される。
エタノール以外の添加物を添加しても同様の効果を発揮
することができる。即ち、グルコース、スクロース、フ
ラクトース、マルトース等の糖類、さらにクエン酸、乳
酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の有機
酸、アラニン、グルタミン酸、トリプトファン、スレオ
ニン、メチオニン、リジン等のアミノ酸、塩化カリウ
ム、クエン酸鉄、DL−スレオニン鉄等のミネラル、ア
スコルビン酸、イノシトール、塩化コリン、塩酸チアミ
ン、シアノコバラミン、d−ビオチン、ビタミンD3油
等のビタミン類を適宜添加することができる。この添加
量については、特に制限はないが、あまり高濃度にする
必要はなく、10重量%以下でよい。それ以上の高濃度
では特に有害ではないが経済的に不要である。
は、サイレージ発酵の有害微生物であるカビ類の生育は
抑制されるが、有用微生物である乳酸菌の生育はまった
く抑制されないため、順調なサイレージ発酵が進行し、
高品質のサイレージを安定的に得ることができる。
す。 [実験例]デントコーン(品種:パイオニア3732、
110日)を2〜3cmに切断したものに所定量のエタ
ノール含有組成物(60重量%エタノール水溶液)を均
一に散布した後、チャック付ポリ袋に2kgづつ詰め
た。これをさらにアルミ製の袋に入れて密封し、200
kg/m2の荷重をかけ、分析時まで開封しないで保存
した。分析は、初発、1、2、4、8週目に各エタノー
ル添加の試験区ごとに、下記の測定方法に従い、生菌数
(乳酸菌数、一般細菌数、カビ菌数)、有機酸量、p
H、官能試験による保存状態の各項目について実施し
た。
ータリーシェーカーで振盪し、得られた溶液(10倍希
釈液)を適当に希釈し、寒天平板に塗布し、30℃で2
日間(乳酸菌、一般細菌)および3〜7日間(カビ)培
養した。各試料は、2〜3段階の希釈について実施し、
その最適希釈のコロニー数を計測し、試料1g当たりに
換算して生菌数とした。乳酸菌は、一般乳酸菌接種用培
地(日水製薬(株)製)に炭酸カルシウム0.5%を加
えた培地で嫌気的に培養し、生育するコロニーのうち、
炭酸カルシウムを溶解して周辺が透明になるものを計測
した。一般細菌は、普通ブイヨン寒天培地(極東製薬
(株)製)にナイスタチン50μg/ml、シクロヘキ
シミド50ぱg/mlを加えた培地で培養し、生育した
コロニーを計測した。カビはポテトデキストロース寒天
培地(栄研化学(株)製)にクロラムフェニコール10
0μg/ml、アンピシリン50μg/mlを加えた培
地で培養し、生育したコロニーのうち、菌糸状の生育の
あるものを計測した。
過し、HPLC法を用い、次の条件で測定した。 カラム:Sim−pack SCR−101H 移動相:過塩素酸水溶液(pH2.1) 流量:0.8ml/min. 温度:60℃ 検出:UV(210nm) 機種:島津LC6A型HPLC
過し、pHメーターを用いて測定した。得られた結果を
第1表に示す。
料にエタノールを添加した場合、有害微生物である一般
細菌、カビ類の生育が抑制されており、特にカビ類の生
菌数は、10000分の1以下に減少している。一方、
有用微生物である乳酸菌の生育はまったく抑制されず、
サイレージ内では順調な乳酸発酵が起こっている。官能
試験においてもエタノール無添加の場合は、強いカビ・
腐敗臭を呈するのに対し、エタノールを添加した場合
は、いずれも最終的に良好なサイレージ臭を呈してお
り、特に2.0%添加した場合においては、全くカビ・
腐敗臭の発生はなく、エタノールの添加がサイレージ内
における乳酸発酵を著しく安定させることを示してい
る。
%の添加によって効果を奏し始め、2%に至るまで濃度
が高くなるに連れて効果が上がっていくのであるが、2
%を越えると濃度に比例する効果は少なくなる。微生物
の増殖から言えば、乳酸菌は10%になっても増殖を続
けるのであるが、かかる高濃度は、経済的に必要がな
い。
を0.2%以上添加し、約8週間ほど発酵させると、嗜
好性の低下の大きな要因となるカビ・腐敗臭が著しく低
減された嗜好性の高い良質なサイレージを得ることがで
きる。
ア3732、110日)100tを約5cmの長さに切
断し、70重量%エタノール水溶液1000kgと十
分、混合した。これをタワーサイロに詰め込み、サイロ
の上部にビニールシートを被せ、4週間熟成させた。得
られたサイレージは、カビ・腐敗臭がなく、乳牛(ホル
スタイン種)は、好んで摂取した。
タミドリ)100tを約1cmの長さに切断し、エタノ
ール50重量%エタノール水溶液1000kgと十分、
混合した。これをバンカーサイロに詰め込み、サイロの
上部にビニールシートを被せ、8週間熟成させた。得ら
れたサイレージは、カビ・腐敗臭がなく、乳牛(ホルス
タイン種)は、好んで摂取した。
kgを約2cmの長さに切断し、エタノール50重量
%、グルコース1重量%、クエン酸0.6重量%からな
るエタノール含有組成物20kgと十分、混合した。こ
れをビニール袋に詰め込み(ロールパックサイレー
ジ)、8週間熟成させた。得られたサイレージは、カビ
・腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタイン種)は、好んで摂
取した。
タミドリ):レッドクローバー(品種:レッドヘッド)
混合原料(混合比8:2)100tを約2cmの長さに
切断し、バンカーサイロに詰め込み、サイロ上部からエ
タノール60重量%、グルコース1重量%、クエン酸
0.6重量%からなるエタノール含有組成物1000k
g投入した。その後サイロの上部にビニールシートを被
せ、8週間熟成させた。得られたサイレージは、カビ・
腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタイン種)は、好んで摂取
した。
ア3732、110日)100tを約5cmの長さに切
断し、70重量%エタノール水溶液300kgと十分、
混合した。これをタワーサイロに詰め込み、サイロの上
部にビニールシートを被せ、4週間熟成させた。得られ
たサイレージは、カビ・腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタ
イン種)は、好んで摂取した。
タミドリ)100tを約1cmの長さに切断し、エタノ
ール50重量%エタノール水溶液400kgと十分、混
合した。これをバンカーサイロに詰め込み、サイロの上
部にビニールシートを被せ、8週間熟成させた。得られ
たサイレージは、カビ・腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタ
イン種)は、好んで摂取した。
000kgを約2cmの長さに切断し、エタノール50
重量%、グルコース1重量%、クエン酸0.6重量%か
らなるエタノール含有組成物10kgと十分、混合し
た。これをビニール袋に詰め込み(ロールパックサイレ
ージ)、8週間熟成させた。得られたサイレージは、カ
ビ・腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタイン種)は、好んで
摂取した。
タミドリ):レッドクローバー(品種:レッドヘッド)
混合原料(混合比8:2)100tを約2cmの長さに
切断し、バンカーサイロに詰め込み、サイロ上部からエ
タノール60重量%、グルコース1重量%、クエン酸
0.6重量%からなるエタノール含有組成物500kg
投入した。その後サイロの上部にビニールシートを被
せ、8週間熟成させた。得られたサイレージは、カビ・
腐敗臭がなく、乳牛(ホルスタイン種)は、好んで摂取
した。
Claims (2)
- 【請求項1】 エタノールをサイレージ原料に添加する
ことを特徴とするサイレージの製造方法。 - 【請求項2】 エタノール25〜75重量%に対し、糖
類、有機酸、アミノ酸、ビタミン、ミネラルから選ばれ
た1種または2種以上を10重量%以下混合してなるサ
イレージ用添加物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3291022A JP2904428B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | サイレージの製造方法およびサイレージ用添加物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3291022A JP2904428B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | サイレージの製造方法およびサイレージ用添加物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0549411A JPH0549411A (ja) | 1993-03-02 |
JP2904428B2 true JP2904428B2 (ja) | 1999-06-14 |
Family
ID=17763443
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3291022A Expired - Lifetime JP2904428B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | サイレージの製造方法およびサイレージ用添加物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2904428B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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---|---|---|---|---|
EP0958749A1 (en) * | 1998-03-24 | 1999-11-24 | Stichting Instituut voor Dierhouderij en Diergezondheid (ID-DLO) | Preservation by higher alcohols |
JP4918585B2 (ja) * | 2008-12-15 | 2012-04-18 | 雪印種苗株式会社 | サイレージ中のエタノール濃度を増加する方法、及びその方法によりエタノール濃度が増加したサイレージ |
CN103222562B (zh) * | 2013-04-19 | 2014-05-07 | 安徽强农牧业有限公司 | 一种有核桃香味的奶牛饲料及其制备方法 |
JP6531242B2 (ja) * | 2015-08-10 | 2019-06-19 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 発酵飼料の製造方法 |
JP6423326B2 (ja) * | 2015-08-10 | 2018-11-14 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 発酵飼料の製造方法 |
-
1991
- 1991-08-20 JP JP3291022A patent/JP2904428B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0549411A (ja) | 1993-03-02 |
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