JP2903967B2 - アクリル系嵩高編織物 - Google Patents

アクリル系嵩高編織物

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JP2903967B2 JP5265389A JP26538993A JP2903967B2 JP 2903967 B2 JP2903967 B2 JP 2903967B2 JP 5265389 A JP5265389 A JP 5265389A JP 26538993 A JP26538993 A JP 26538993A JP 2903967 B2 JP2903967 B2 JP 2903967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽光吸収熱変換性お
よび嵩高性と制電性に優れたアクリル系嵩高編織物に関
わり、さらに詳しくは布帛にカーボンブラック含有導電
性繊維を混紡、混繊、交織または交編し、太陽光選択吸
収特性に基づく太陽光吸収熱変換性と嵩高性による保温
効果と湿度依存性の少ない制電効果を併せ持つ防寒衣
料、スポーツ、レジャー衣料に適したアクリル系嵩高編
織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、編織物からなる布帛の保温性を高
める手段として、空気の断熱性を利用した中空繊維布
帛、布帛表面を起毛して布帛の空気含有率を増加させる
もの等が知られているが、布帛自体が厚いため重くかさ
ばり自由な動きが阻害されるという欠点を有していた。
最近特定のセラミックス、例えば炭化ジルコニウムを繊
維に含有させ太陽光を積極的に利用し保温編織物とする
ことは、特開平1ー132816号公報で知られている
が、硬いセラミックスは芯鞘繊維の芯部に混入せざるを
得ないため蓄熱、保温効果は必ずしも良くない。
【0003】また、アクリル系繊維を改質し銅イオン等
を付着させて太陽光を吸収する保温性繊維としては特開
平3ー97959号公報等が知られているが、繊維表面
付着のため化学変化を起しやすく、耐洗濯性等が必ずし
も良くない等の問題がある。また、従来より静電気発生
を防止するため、界面活性剤による静電気防止加工や親
水性ポリマをブレンドした制電性繊維を使用する方法、
金属繊維を混入して静電気を防止する方法、メッキや蒸
着によって金属を皮膜した有機繊維や炭素粒混入樹脂で
被膜した有機繊維を使用する方法、カーボンブラックを
配合した重合体を用いた制電性繊維を使用する方法が知
られている。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、かかる
従来技術において供給される繊維およびそれから得られ
る布帛は、いずれも、保温性か制電性のいずれかを単一
の目的とするものであって、積極的に保温性と制電性を
併せ持つものではなかった。したがって、保温性布帛
は、静電気特に低湿度環境下における身体への衣服のま
つわり、人体帯電による電撃、脱衣放電音、ほこり付着
等の諸問題が未解決である。
【0005】一方、制電性布帛は帯電防止を目的とする
ため、例えば、布帛外面に白色または染色性の良い通常
繊維、内面に制電繊維を使用し、コスト的に必要最小量
の制電繊維を配置した布帛構成にするなどの工夫を凝ら
してはいるが、積極的に太陽光を効率良く選択吸収し保
温性を高める布帛構成ではなく、依然として布帛裏面の
保温性が低いなどの問題があった。本発明の課題は、従
来の上記保温性布帛及び制電性布帛が有している問題点
を同時に解決し、布帛自体の構造を嵩高化しさらに積極
的に太陽光を選択吸収し熱変換して保温性を高めるとと
もに、低湿度環境下で高度の制電効果を有する太陽光吸
収熱変換に基づく保温性と制電性を兼ね備えた優れたア
クリル系嵩高編織物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 1.編織物が、沸水収縮率が8%〜35%の高収縮性繊
維と沸水収縮率が3%以下の低収縮率性繊維からなる嵩
高糸で構成されており、嵩高糸の低収縮率性繊維中に
は、導電性繊維が全繊維中3〜50重量%混用されてな
り、該導電性繊維は、カーボンブラック含有帯電防止ポ
リマが単繊維中に筋状に配向されており、該帯電防止ポ
リマが繊維表面に少なくとも一部露出したアクリル系繊
維からなり、該導電性繊維の電気比抵抗は10〜106
Ω・cmであり、該導電性繊維のみからなる紡績糸で編
成した目付200g/m2の筒編地の、760mμ〜2
000mμの波長領域における最大分光反射率が10%
以下であり、かつ編織物中に含まれる全カーボンブラッ
ク量が0.1重量%以上であり、編織物の外面部に該低
収縮率性繊維が偏って配置されており、摩擦帯電圧が2
kv以下の編織物であることを特徴とするアクリル系嵩
高編織物。 2.編織物の760mμ〜2000mμの波長領域にお
ける最大分光反射率が50%以下であることを特徴とす
る上記1記載のアクリル系嵩高編織物。 3.導電性繊維の比抵抗が10〜104Ω・cmである
ことを特徴とする上記1記載のアクリル系嵩高編織物。
とすることによって目的を達成するものである。
【0007】以下、詳細に説明する。本発明のアクリル
系嵩高編織物において用いる導電性繊維は、金属を含有
するようなものではなく、本質的に有機化合物からなる
太陽光選択吸収熱変換性と導電性を有するアクリル系ポ
リマからなるものである。その構造は、アクリル系ポリ
マと該アクリル系ポリマに対して混和性であるが相溶性
を有しない帯電防止性を有するポリマ、例えば、好まし
くはポリアルキレングリコールとのブロックポリエーテ
ルエステル系共重合体にアクリロニトリル(AN)をグ
ラフトしたポリマからなり、アクリル系ポリマ中には帯
電防止性ポリマが、繊維軸方向に沿って多数本細長く筋
状形態で分散配列しており、この中には太陽光選択吸収
熱変換性に優れ、かつ導電性が良好なカーボンブラック
微粒子が均一分散しているものである。
【0008】ここで、ポリアルキレングリコールとのブ
ロックポリエーテルエステル系共重合体にアクリロニト
リルをグラフトしたポリマ自体の電気比抵抗は、107
Ω・cm以下、さらには105Ω・cm以下が好まし
い。このポリマ自体は、カーボンブラックを混入する前
の湿度依存性を有するものである。これらの帯電防止性
ポリマとアクリル系ポリマとの混合比率は、混合物重量
当り帯電防止ポリマを5〜40%、より好ましくは10
〜35%の範囲量で配合したものが好ましい。配合量が
5%より少なくなると、太陽光選択吸収熱変換特性に必
要なカーボンブラック量が不足すると共に制電性が十分
でなく、一方、40%を超えると、製糸性が悪くなり良
好な物性を有する繊維が得られなくなるので好ましくな
い。
【0009】次に、太陽光選択吸収熱変換特性および導
電性を有する物質としては、近赤外領域(760mμ〜
2000mμの波長領域)において分光反射率の低い粒
子、なかでも分光反射率の最も低いカーボンブラック粒
子が良い。その平均粒子径は0.2μ以下さらに好まし
くは0.05μ以下の粒子が用いられる。また、カーボ
ンブラック粒子の配合割合は、前記カーボンブラック含
有前の帯電防止性ポリマに対して約15〜150重量
%、かつ繊維重量当り約2〜20%、さらには4〜15
%が好ましい。前記重量範囲より少ないときは、太陽光
選択吸収熱変換能および帯電防止能が不十分であり、こ
の範囲を超えるときは繊維としての機械特性が悪化する
ので好ましくない。
【0010】前述したカーボンブラック含有導電性繊維
は、アクリル系ポリマ中にカーボンブラック含有帯電防
止ポリマを混合させ、公知の各種アクリル繊維の製造
法、たとえば湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸等の手段
により製造することができる。ここで重要なことは、カ
ーボンブラック含有帯電防止ポリマをアクリル系ポリマ
中に筋状に分散配向し、アクリル系繊維中にカーボンブ
ラック粒子が筋状に存在していることである。アクリル
系ポリマ中にカーボンブラック粒子を均一分散した構造
の繊維では、制電性を高めるためにカーボンブラック粒
子添加量が非常に多く必要になり、紡糸性が低下すると
共にカーボンブラック粒子が容易に脱落するなどの問題
が発生する。
【0011】また、得られる繊維は非常に黒く見え、耐
洗濯性が著しく劣るなどの問題がある。すなわち、アク
リル系繊維中にカーボンブラック粒子が筋状に存在して
はじめて、太陽光選択吸収熱変換能と導電性能をバラン
ス良く保存できるのである。このようにして得られる太
陽光を選択吸収熱変するとともに導電性を有する該繊維
は、カーボンブラック粒子のため通常黒色系を呈する。
なお、通常、制電性と呼ばれるものは、繊維束の電気比
抵抗が、約106Ω・cm〜1010Ω・cm程度であ
り、本発明の目的とする導電性能としては不十分であ
る。
【0012】本発明で、使用するカーボンブラック含有
導電性繊維の繊度は、通常の衣料用繊維の繊度である1
〜10デニールであり、好ましくは1.5〜7デニール
である。また、使用するカーボンブラック含有導電性繊
維は、カーボンブラック粒子を含んだ帯電防止ポリマ
が、繊維表層に少なくとも一部露出したカーボンブラッ
ク含有アクリル系繊維からなり、該カーボンブラック含
有繊維の電気比抵抗が10〜106Ω・cm、さらに好
ましくは10〜104Ω・cmである。電気比抵抗が1
0Ω・cmに満たないときは導電性が不十分である。な
お、106Ω・cmを超えるのは一般に困難である。ま
た、該導電性繊維のみからなる紡績糸で編成した目付2
00g/m2の筒編地の760mμ〜2000mμの波
長領域における最大分光反射率は、10%以下、好まし
くは5%以下、さらに好ましくは3%以下とするもので
ある。この最大分光反射率が10%を超えると、嵩高編
織物の保温効果、静電性を共に優れたものとすることが
困難である。
【0013】本発明のアクリル系嵩高編織物は、沸水収
縮率が8%以上の高収縮性繊維と沸水収縮率が3%以下
の低収縮性繊維からなる嵩高糸において、低収縮性繊維
中に低収縮性繊維の3〜50重量%の導電性繊維が混用
されて構成されている。本発明において使用される高収
縮性繊維の沸水収縮率は好ましくは8〜35%、さらに
好ましくは10〜25%である。沸水収縮率が8%以下
では嵩高編織物が得られない。一方沸水収縮率が35%
を超えると嵩高糸がセミの羽根構造(2層構造)になり
易く、得られる嵩高編織物の風合が悪化する。沸水収縮
率が10〜25%ではソフトな風合の嵩高編織物を容易
に得ることができる。
【0014】かかる高収縮性繊維としては、紡糸、乾燥
緻密化後に、2次延伸して高収縮性としたアクリルステ
ープルや、あるいは、アクリルトウをターボステープラ
ーによって2次延伸した後、切断した高収縮性スライバ
ーが好ましく用いられる。さらに高収縮性繊維として用
いることができるものに複合繊維を挙げることができ
る。複合繊維を採用することによって、その捲縮発現性
と形態的な収縮性を利用して嵩高性の向上と、風合改善
が可能である。熱収縮性の異なる2種の重合体をサイド
バイサイドまたは多層に複合させたものは、本発明にお
いて好ましく用いることができる。
【0015】本発明において使用される低収縮性繊維
は、沸水収縮率が3%以下であり、好ましくは0.5〜
2%である。また、該低収縮性繊維中には、低収縮性繊
維の3〜50重量%、好ましくは4〜30重量%の範囲
で、カーボンブラック含有導電性繊維を混用することが
重要である。なお、嵩高編織物中における全カーボンブ
ラック量は、0.1重量%以上、好ましくは0.2重量
%以上とするものである。
【0016】カーボンブラック含有導電性繊維の低収縮
性繊維中の混用割合が、3重量%に満たない場合は、太
陽光吸収熱変換保温性と制電性の両機能が不足する。一
方混用割合が、50重量%を超えるときは、得られる編
織物の黒色化に伴い、編織物を利用する商品の種類が限
定されるという不都合があるばかりでなく、保温性、制
電性の効果は飽和してしまい、さらに、コストアップ等
の問題があり好ましくない。また、カーボンブラック含
有導電性繊維の低収縮性繊維中の混用させる方法として
は、特に限定されない。通常の低収縮性繊維を用いて紡
績糸にする段階で、低収縮性繊維原綿に混合した後、紡
績する方法が使用できる。
【0017】本発明の嵩高編織物は、摩擦帯電圧を2k
v以下とするものである。摩擦帯電圧が2kvを超える
場合には、低湿度下における身体への衣服のまつわり、
人体帯電による電撃、脱衣放電音などを防止することは
できず、太陽光吸収熱変換保温性と制電性の両機能を併
せ持つことはできない。なお、さらに制電性能を向上さ
せる観点からは、嵩高編織物の摩擦帯電電荷密度を3μ
クローン/m2以下にすることが好ましい。
【0018】本発明の嵩高編織物は、通常、高収縮性繊
維は80〜20重量%、低収縮性繊維は20〜80重量
%の範囲で混用され、染色等の沸水熱処理で、高収縮性
繊維が収縮して嵩高編織物の内面部に、また、低収縮性
繊維中に混用されているカーボンブラック含有導電性繊
維は、嵩高編織物の外面部に多く偏って配置されるた
め、太陽光吸収、特に760mμ〜2000mμの近赤
外領域の波長の吸収が良く、熱変換効率が良くなるので
ある。なお、該嵩高編織物は、この波長領域における分
光反射率の最大値は50%以下、さらに40%以下、ま
たさらに25%以下とするのが好ましい。
【0019】以下、実施例を挙げて具体的に説明する。
なお、実施例において用いた評価方法は、次の通りであ
る。 (1)太陽光吸収熱変換保温性 20℃、65%RHの室内において、エネルギー源とし
て写真用のレフランプ300Wの白色電球を用いた。評
価用サンプルの下に温度センサー(熱電対)を設置し、
サンプル上25cmの上方から前記レフランプを点灯
し、15分後のサンプル裏面温度を測定した。 (2)分光反射率 分光光度計を用いて300mμ〜1200mμの波長に
おける反射率を求めた。 (3)電気比抵抗(繊維束) 約2000デニール、10cmの試料を30%RH、2
0℃の雰囲気下で両端を把持し、100vの電気抵抗
(R)を測定し、電気比抵抗(ρ)を次式により求め
る。 ρ(Ω・cm)=(R×デニール)/(9×106×比
重)
【0020】(4)制電性(布帛) A.摩擦帯電電荷密度 編織物サンプルを花王(株)製の洗濯石鹸”ザブ”で通
常の家庭洗濯の条件(電気洗濯機、強条件、40℃、5
分、0.2%濃度)で20回洗濯したものを風乾し、タ
テ25cm、ヨコ25cmの試験片とする。このものを
20℃、30%RHの雰囲気に24時間以上置いた後、
この温湿度条件内でアクリル系の編物で強く摩擦(1回
1秒程度で10回)し、直ちに試験片を適当な大きさの
ファラデーケージに入れ、該試験片の電荷量を測定す
る。電荷量はサンプル1m2当り換算して、これを摩擦
帯電電荷密度(μc/m2)とする。 B.摩擦帯電圧 試験片を摩擦帯電電荷密度と同条件で洗濯を繰り返して
20℃、30%RHの雰囲気に24時間以上放置し、こ
の温湿度条件下でロータリースタティックテスター(興
亜商会製)の回転体(400rpm)に試験片を取り付
けて、木綿織物(金幅3号、精練加工上がり)と摩擦
し、1分後の試験片に帯電した電位(kv)を測定す
る。 試験片: 8cm×5cm(摩擦面積4cm×25c
m) 摩擦片:15cm×2cm(張力500g) 試験片と摩擦片の接圧:2mm 試験片と集電管の距離:12mm
【0021】〔参考例1〕アクリロニトリル(AN)9
4.2モル%、アクリル酸ジメチル5.5モル%および
メタリルスルホン酸ソーダ0.3モル%をジメチルスル
ホキシド(DMSO)中で溶液重合し、溶液粘度200
ポイズ/45℃、濃度22.5重量%の原液(A)中に
35重量%のファーネスブラック#40(三菱化成
(株)製)を含有するポリエチレンアジペート25重量
%、ポリエチレングリコール75重量%の組成を有する
ブロックポリエーテルエステル(70部)にAN(30
部)をグラフト重合させたポリマのDMSO溶液(B)
を得られる繊維中のファーネスブラック添加量が7.5
重量%になるように混合し、通常の混合紡糸法によりカ
ーボンブラック含有導電性繊維を得た。
【0022】ブロックポリエーテルエステルはAN系重
合体と混合紡糸した時、混和性は有するが相溶性はなく
AN系単繊維中に多数本筋状に伸びて配向していた。得
られた繊維は繊度2.5デニール、乾強度2.2g/
d、乾伸度27%、結節強度1.8g/d、結節伸度1
0%、沸水収縮率1.8%、電気比抵抗2.1×103
Ω・cmで、温湿度依存性がなく導電性能の良好なもの
であった。
【0023】
【実施例1】3d×102mmバリアブルカットのアク
リル繊維(東レ”トレロン”沸水収縮率2.1%)と、
参考例1に示したカーボンブラック含有導電性繊維を混
用した低収縮性繊維と、単繊維の繊度3デニールの50
万デニールのトウ(東レ”トレロン”)をターボステー
プラーで1.38倍延伸して得られる高収縮スライバー
(沸水収縮率18%)を使用し、それぞれを重量比で5
5:5:40の割合で使用して2/40紡績糸を常法に
よって得た。得られた紡績糸を、カセ状にして100℃
の水蒸気で予熱バルキー化処理した後、熱水でバルキー
化を行った。この嵩高糸を観察したところ、高収縮繊維
は内部に、カーボンブラック含有導電性繊維は紡績糸表
面部に多く存在していることを認めた。この紡績糸の電
気比抵抗は1.4×107Ω・cmであった。
【0024】これらの紡績糸を18Gフライス編機で丸
編地を編成し、目付215g/m2の編地を得た。編地
の太陽光吸収熱交換保温性、制電性、嵩高性を測定し、
表1に示す。表1から明らかなように、得られた編地は
嵩高であり、分光反射率が低く、太陽光吸収熱交換保温
性が良く、制電性に優れたものであった。
【0025】
【実施例2】実施例1と同様の素材を使用し、同様の加
工方法により編地を得た。ただし、実施例1においては
低収縮性繊維成分とカーボンブラック含有導電性繊維と
高収縮繊維成分である高収縮スライバーの使用割合が、
55:5:40であったものを40:20:40の割合
に変更した。得られた嵩高糸を観察したところ、実施例
1の場合と同様に、高収縮繊維は内部に、カーボンブラ
ック含有導電性繊維は紡績糸表面部に多く存在している
ことを認めた。この紡績糸の電気比抵抗は4.5×10
6Ω・cmであった。得られた編地の太陽光吸収熱交換
保温性、制電性、嵩高性を測定し、表1に併せ示す。表
1から明らかなように、得られた編地は嵩高であり、分
光反射率が低く、太陽光吸収熱交換保温性が良く、制電
性に優れたものであった。
【0026】〔比較例1〕比較のため、カーボンブラッ
ク含有導電性繊維を使用せず、実施例1における低収縮
性繊維成分と高収縮繊維成分である高収縮スライバーを
使用割合を、60:40で使用した以外は実施例1と同
様にして嵩高糸、編地を得た。この紡績糸の電気比抵抗
は3×1013Ω・cmであり、得られた編地の太陽光吸
収熱交換保温性、制電性、嵩高性を測定し、表1に併せ
示す。表1から明らかなように、得られた編地は嵩高で
あるが、分光反射率は高く、太陽光吸収熱交換保温性が
悪く、制電性の劣るものであった。
【0027】
【表1】 注: 1.最大分光反射率、生地裏温度は太陽光吸収熱変換保
温性に関係する。 2.摩擦帯電圧、電荷密度は制電性に関係する。
【0028】〔参考例2〕実施例1で用いた材料の一部
であるのと同じ3d×102mmバリアブルカットのア
クリル繊維(東レ”トレロン”沸水収縮率2.1%)の
みを用い、実施例1と同様な手法で目付198g/m2
の編地Aを得た。同様に、実施例1で用いた材料の一部
であるのと同じ参考例1に示したカーボンブラック含有
導電性繊維のみを用いて目付201g/m2の編地Bを
得た。編地Aと編地Bとを上下に重ね合わせ、太陽光吸
収熱変換保温性を測定し、結果を表2に示す。表2に示
すように、カーボンブラック含有導電性繊維が上層にあ
る方が最大分光反射率が低く熱変換保温性が良いことが
明らかである。
【0029】
【表2】
【0030】
【実施例3】ならびに〔比較例2〕 3d×102mmバリアブルカットのアクリル繊維(東
レ”トレロン”沸水収縮率2.1%)と、参考例1に示
したカーボンブラック含有導電性繊維を混用した低収縮
性繊維と、紡糸、乾燥緻密化後にスチーム延伸して得ら
れた高収縮原綿(3d×102mmバリアブルカット)
を使用し、それぞれを重量比で60:5:35の割合で
使用して2/40紡績糸を常法によって得た。このと
き、高収縮原綿の沸水収縮率を12%、22%とそれぞ
れ異なるものを用意し、使用した。また比較のため、高
収縮原綿の沸水収縮率を6%としたものを用意し、使用
した。(比較例2) 得られた紡績糸をカセ状にして、バルキー化した。
【0031】この嵩高糸を観察したところ、高収縮繊維
は内部に、カーボンブラック含有導電性繊維は、紡績糸
表面部に多く存在し、高収縮原綿の沸水収縮率が高いも
のを用いた紡績糸ほど、カーポンブラック含有導電性繊
維は紡績糸表面部に多く見られた。これらの紡績糸を実
施例1と同様の手法で編成し、目付200g/m2の編
地を得た。編地の太陽光吸収熱交換保温性、静電性、嵩
高性を測定し、表3に示す。表3から明らかなように、
高収縮原綿を用いて得られた編地は嵩高であり、分光反
射率が低く、太陽光吸収熱交換保温性が良く、静電性に
優れたものであったが、高収縮原綿における収縮性が不
十分な場合は、嵩高性が不良であり、太陽光吸収熱交換
保温性ならびに静電性に問題を残した。
【0032】
【表3】 注: 1.最大分光反射率、生地裏温度は太陽光吸収熱変換保
温性に関係する。 2.摩擦帯電性、電荷密度は制電性に関係する。
【0033】
【発明の効果】本発明にかかるアクリル系嵩高編織物
は、積極的に太陽光の近赤外線を容易に吸収できる編織
物構造になっているため、編織物裏面の保温性を高め、
維持できると共に、低湿度環境下での制電性に優れてい
る。このため、特に低温低湿度環境下での高級防寒衣
料、スポーツ、レジャー衣料用素材として好適である。
このように本発明は、工業的に優れた効果を挙げるもの
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−51838(JP,A) 特開 昭52−107350(JP,A) 特開 昭53−147865(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D03D 15/00 101 D03D 15/00 D02G 3/04 D02G 3/24 D01F 6/54

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】編織物が、沸水収縮率が8%〜35%の高
    収縮性繊維と沸水収縮率が3%以下の低収縮率性繊維か
    らなる嵩高糸で構成されており、嵩高糸の低収縮率性繊
    維中には、導電性繊維が全繊維中3〜50重量%混用さ
    れてなり、該導電性繊維は、カーボンブラック含有帯電
    防止ポリマが単繊維中に筋状に配向されており、該帯電
    防止ポリマが繊維表面に少なくとも一部露出したアクリ
    ル系繊維からなり、該導電性繊維の電気比抵抗は10〜
    106Ω・cmであり、該導電性繊維のみからなる紡績
    糸で編成した目付200g/m2の筒編地の、760m
    μ〜2000mμの波長領域における最大分光反射率が
    10%以下であり、かつ編織物中に含まれる全カーボン
    ブラック量が0.1重量%以上であり、編織物の外面部
    に該低収縮率性繊維が偏って配置されており、摩擦帯電
    圧が2kv以下の編織物であることを特徴とするアクリ
    ル系嵩高編織物。
  2. 【請求項2】編織物の760mμ〜2000mμの波長
    領域における最大分光反射率が50%以下であることを
    特徴とする請求項1記載のアクリル系嵩高編織物。
  3. 【請求項3】導電性繊維の比抵抗が10〜104Ω・c
    mであることを特徴とする請求項1記載のアクリル系嵩
    高編織物。
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