JP2900855B2 - 冷陰極およびこれを用いた電子銃ならびに電子ビーム装置 - Google Patents

冷陰極およびこれを用いた電子銃ならびに電子ビーム装置

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JP2900855B2 JP23745895A JP23745895A JP2900855B2 JP 2900855 B2 JP2900855 B2 JP 2900855B2 JP 23745895 A JP23745895 A JP 23745895A JP 23745895 A JP23745895 A JP 23745895A JP 2900855 B2 JP2900855 B2 JP 2900855B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細構造を有し、
薄膜技術等により製作する冷陰極、およびこの冷陰極を
用いて電子ビームを形成する電子銃、ならびにこの電子
銃を用いた受像管、マイクロ波管等の電子ビーム装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、微小な円錐状のエミッタと、エミ
ッタのごく近傍に形成され、エミッタからの電流を引き
出す機能ならびに電流制御機能を持つ制御電極(ゲート
電極)で構成された微小冷陰極をアレイ状に並べた電界
放射冷陰極が C.A.Spindt 等によって提案されている
(Journal of Applied Physics,Vol.39,No.7,pp.3504,1
968)。図6(a)にこの電界放射冷陰極の構造を示
し、図6(b)、(c)にこの冷陰極を構成する一つの
微小冷陰極の断面図を示す。
【0003】図6(a)、(b)中、符号1はシリコン
基板、2はシリコン酸化物からなる絶縁層であり、絶縁
層2上にゲート電極3(制御電極)が積層されている。
また、絶縁層2とゲート電極3の一部が除去されること
により空洞4が形成され、空洞4内の基板1上に先端が
尖ったエミッタ5が形成されている。そして、エミッタ
5、ゲート電極3、およびゲート電極3と絶縁層2に形
成された空洞4により微小冷陰極6が形成され、この微
小冷陰極6をアレイ状に並べることにより平面状の電子
放出領域を持つ冷陰極7が形成される。また、図6
(c)はゲート電極3上に絶縁層8を介して集束電極9
を積層した微小冷陰極の断面構造を示すものであり、集
束電極9によってエミッタ5から放出された電子の軌道
を集束させるようになっている。
【0004】上記の冷陰極7において、基板1とエミッ
タ5は電気的に接続されており、エミッタ5とゲート電
極3の間には約50Vの電圧が印加される。絶縁層2の
厚さは約1μm、ゲート電極3の開口径も約1μmと狭
く、エミッタ5の先端は10nm程度と極めて尖鋭に作
られているので、エミッタ5の先端には強い電界が加わ
る。そこで、この電界が2〜5×107 V/cm 以上にな
るとエミッタ5の先端から電子が放出される。このよう
な構造の微小冷陰極6を基板1上にアレイ状に並べるこ
とにより大きな電流を放出する平面状の陰極を構成する
ことができる。さらに、微細加工技術を利用して微小冷
陰極を高密度に並べれば、従来の熱陰極と比較して陰極
電流密度を5〜10倍以上とすることができる。
【0005】このスピント(Spindt)型冷陰極は、熱陰
極と比較して高い陰極電流密度が得られ、放出電子の速
度分散が小さい等の利点を持っている。また、単一の電
界放射エミッタと比べて電流雑音が小さく、約10〜1
00Vの低い電圧で動作し、比較的悪い真空度の環境中
でも動作するという特徴を持っている。そこで、この冷
陰極を受像管(陰極線管、CRT)に採用すると、加熱
電力が不要のために低消費電力で、かつ陰極電流密度が
高いために高解像度の表示装置を実現できる可能性があ
る。さらに、CRT以外の、例えばマイクロ波管等の電
子ビーム装置においても、冷陰極の特徴を利用すること
により高性能のデバイスを実現できる可能性がある。
【0006】特開平5−343000号公報には、図7
に示すように、CRTの電子銃に冷陰極(FEC)を用
いた構造が開示されている。図7(a)は電子銃部の全
体構造を示す断面図、図7(b)は電子銃部の拡大断面
図である。ガラス容器11の中にセラミック基板12が
固定され、これにFEC13がマウントされている。エ
ミッタ14はカソード導体15の上に形成され、カソー
ド導体15はセラミック基板12に設けられたカソード
ステム16に接続されており、カソードステム16はガ
ラス容器11外に導出されている。また、ゲート17に
は板状の導体18が接続され、ゲートステム19を介し
てガラス容器11外に導出されている。
【0007】ところで、CRTやマイクロ波管等の電子
ビーム装置にこの種の冷陰極を導入する場合、電子ビー
ム変調周波数の高周波化を図るためには、ゲート−エミ
ッタ間の容量削減が重要であり、このために従来から多
くの技術が提案されている。
【0008】例えば、エミッタ21を1列に並べ、ゲ
ート電極22と、エミッタ21が形成されたカソード電
極23の交差する面積を削減する方法(図8参照、IVC
M'93Technical Digest,p.148-149,1993)、あるいは
個々のエミッタ25をリング状のゲート電極26で囲む
とともにこれらを細い配線27で結び、中空に浮かした
構造(図9参照、IEEE Trans.ED,Vol.36,No.11,p.2728-
2737,1989.)、あるいは絶縁層29の厚さを厚くして
エミッタ30の高さを高くする構造(図10参照、IEEE
Trans.ED,Vol.38, No.3,p.666-671,1991.)、あるいは
ゲート電極、ボンディングパッド、ゲート電極とボン
ディングパッドとの間の配線の面積を可能な限り削減
し、ボンディングパッドと配線部の絶縁層の厚さを厚く
した構造、等が提案されている。
【0009】また、図11には、ゲート面積を削減する
ことによってゲート−カソード間の静電容量を低減させ
た冷陰極(上記に相当)を用いた電子銃の構造図を示
す。セラミック基板31には冷陰極32がマウントさ
れ、ゲート33は細い配線34を介してボンディングパ
ッド35に導かれ、ボンディングワイア36でセラミッ
ク基板31上の電極37と接続されている。そして、冷
陰極32のすぐ近くには電子透過用の孔38aが設けら
れた集束電極38が配置されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図7に示す
ようなCRT電子銃の場合、エミッタ14が形成された
電子放出領域のゲート−カソード間の静電容量よりも、
その周辺部、すなわち板状の導体18とゲート17の接
触部の静電容量の方が大きくなることが多い。これは、
板状の導体18とゲート17の接触部は組立精度、接触
面積の確保等のために比較的大きな面積を占めるためで
ある。
【0011】また、ゲート−カソード間の静電容量の
他、ゲートまたはカソード電極(カソード導体)と他の
電極の間の静電容量も周波数特性を劣化させる要因とな
る。例えば、カソード導体の寸法、面積が大きいと、カ
ソード導体とセラミック基板上の電極の間の静電容量等
は無視することができなくなる。さらに、ゲートの近傍
には電子ビーム集束のための電極が必要であるため、カ
ソード導体側よりも静電容量は大きくなる。特に、図6
(c)のように冷陰極上に集束電極9を集積した構造の
場合には、1μm程度の薄い絶縁層8を挟んで形成され
るゲート電極3と集束電極9の間の静電容量は極めて大
きくなる。これらの静電容量のため、電子ビームの変調
周波数が制限を受けることになる。
【0012】一方、図11に示す電子銃の場合、カソー
ドとゲート33、配線34、ボンディングパッド35と
の間の静電容量は削減されるが、セラミック基板31上
の電極37と他の電極の間の静電容量が比較的大きな値
で残る。また、配線34は電子銃の電界分布の軸対称性
を乱すため、エミッタから放出された電子の軌道ならび
に電子ビームのスポットはこの影響を受けて、スクリー
ン上の図形の歪みや集束特性、解像度特性の劣化をきた
す。また、冷陰極32と集束電極38の間の電界には、
ゲート33の電圧ばかりでなく、絶縁層を介してカソー
ド電極の電圧も影響を与えるので、電子ビーム電流を変
調するためにエミッタ−ゲート間の電圧を変化させる
と、電子ビームの集束状況が大幅に変化してしまう。さ
らに、冷陰極上の絶縁体が電子ビームの近くに存在する
ため、ここに正、負のイオンや電子のような荷電粒子が
付着し、この電荷が電子ビームの軌道、形状に影響を与
える恐れがある。
【0013】その他、エミッタ−ゲート間の静電容量を
削減する上記の方法(図8)では、微小冷陰極を円形
または2次元に配列した冷陰極を構成することができな
いので、一般的な電子ビーム装置の電子源として使用す
るのは困難である。また、上記(図9)、(図1
0)の冷陰極の場合も、図11に示した電子銃と同様の
問題点を持っている。
【0014】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、電子ビームの変調周波数の高周波
化を図ることのできる冷陰極およびこれを用いた電子銃
ならびに電子ビーム装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の冷陰極は、少なくとも一つの表面が絶縁
性を示す基板と、基板上に形成されたカソード電極と、
カソード電極上に形成され、その先端が先鋭化された電
子放出電極と、電子放出電極とその近傍を除いて基板上
およびカソード電極上に形成された絶縁層と、絶縁層上
に積層され、電子放出電極を取り囲む開口部を有する制
御電極から構成された冷陰極において、複数の電子放出
電極が形成された領域から周辺部にいくに従って絶縁層
が階段状に厚くなる形状とされ、カソード電極が前記
数の電子放出電極を形成するに必要最小限の面積を占有
し、前記カソード電極の配線を前記基板の側面から裏面
まで形成したことを特徴とするものである。また、カソ
ード電極の配線と制御電極とが、制御電極を接地導体と
するマイクロストリップ線路を構成するようにしてもよ
い。
【0016】また、本発明の電子銃は、前記冷陰極と、
前記制御電極に電圧を供給する電極で構成され、絶縁層
の最も厚い領域の上に形成された制御電極の一部と供給
電極とが電気的に接続されたことを特徴とするものであ
る。また、カソード電極の配線と制御電極とが制御電極
を接地導体とするマイクロストリップ線路を構成する冷
陰極と、冷陰極に電流変調信号を伝えるコプレーナー線
路から構成し、コプレーナー線路の中心導体をカソード
電極の配線に接続するとともに、コプレーナー線路の接
地導体をゲート電極に接続してもよい。
【0017】また、本発明の電子ビーム装置は、前記特
徴を有する電子銃を備えたことを特徴とするものであ
る。
【0018】本発明においては、制御電極(ゲート電
極)電圧を変化させずにカソード電極電圧を変化させる
ことにより、電子放出電極(エミッタ)から放出電流を
変調することができる。さらに、カソード電極の配線と
制御電極で構成するマイクロストリップ線路により、外
部の回路とインピーダンス整合を図るための集中または
分布定数の回路を形成することができる。
【0019】その結果、ゲート−エミッタ間の容量を削
減でき、エミッタ(カソード電極)と他の電極の間の浮
遊容量を削減でき、さらに、高周波信号のインピーダン
ス整合が図れるので、高い周波数まで電子ビームを変調
することができる。さらに、周波数特性に影響を与えず
にゲート電極の面積を大きくでき、電子ビームに対して
配線等による非軸対称性の電界が生じないので、高性能
の電子ビーム偏向、集束系が形成できる。また、電子ビ
ームから絶縁体を直接見通すことができないため、イオ
ンや電子のような荷電粒子が絶縁体に付着してこの電荷
が電子ビームの軌道、形状に影響を与える恐れがなく、
安定した動作が期待できる。それに加えて、電子ビーム
電流値によって集束状況が大幅に影響を受ける恐れがな
い。
【0020】また、このような電子銃を使用したCR
T、マイクロ波管等の電子ビーム装置においては、高周
波の動作が可能になり高品質の電子ビームが形成できる
ため、高い装置性能が実現される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図1および図2を参照して説明する。図1は本実施の
形態の冷陰極を備えた電子銃を示す図であって、図中符
号40は絶縁基板、41はカソード電極、42a〜42
dは絶縁層、43は空洞、44はエミッタ(電子放出電
極)、45はゲート電極(制御電極)である。
【0022】図1に示すように、絶縁基板40上には、
下から順にカソード電極41、4層からなる絶縁層42
a〜42d、ゲート電極45が積層され、ゲート電極4
5と絶縁層42aの一部が除去されることにより微小な
空洞43が形成されている。また、空洞43内には、電
子を放出する円錐状のエミッタ44が形成されており、
カソード電極41とエミッタ44は電気的に接続されて
いる。そして、エミッタ44、ゲート電極45の開口
部、空洞43により微小冷陰極46が形成され、多数の
微小冷陰極46により電子放出領域47が形成されてお
り、絶縁基板40と電子放出領域47により冷陰極48
が構成されている。
【0023】カソード電極41は電子放出領域47にと
って必要最小限の面積とされ、電圧印加および信号入力
のために絶縁基板40の側面から裏面にわたって形成さ
れ、絶縁基板40の下方に配置されたセラミック基板4
9上のカソード配線50と電気的に接続されて、外部に
導出、接続されるようになっている。また、絶縁層42
b、42c、42dには電子放出領域47を取り囲むよ
うに同心円状の開口部が形成され、最下の絶縁層42a
と合わせて周辺にいくに従って階段状に厚くなる絶縁層
を構成している。そして、絶縁層42a〜42d上には
ゲート電極45が積層されている。このゲート電極45
は最外周となる絶縁層42d上に形成された部分で電子
銃の電極51と接触しており、ゲート電位が電極51を
介して外部から印加されるようになっている。
【0024】上記各層の材料として、エミッタ44はタ
ングステンまたはモリブデンのような耐熱金属で、ゲー
ト電極45はタングステン、モリブデン、ニオブ、タン
グステンシリサイド等の金属もしくは金属化合物で形成
され、絶縁層42a〜42dには例えばシリコン酸化物
またはシリコン窒化物が使用される。また、寸法の一例
としては、ゲート電極45の開口部の直径が約1μm、
エミッタ44の高さが約1μm、絶縁層42aの厚さが
約0.8μm、ゲート電極45の厚さが約0.2μmで
ある。
【0025】また、この冷陰極を製作する方法として
は、基本的には文献(Journal of Applied Physics ,Vo
l.39,No.7,pp.3504,1968)等に開示されているように、
ゲート電極45と絶縁層42aに空洞43を形成した
後、ウエハを回転させながら斜め方向から犠牲層を堆積
し、次にエミッタ材料をウエハの真上から堆積すればよ
い。
【0026】次に、図2に電子銃部の構造と駆動回路構
成の一例を示す。図2において、冷陰極48はセラミッ
ク基板49の上にマウントされ、セラミック基板49は
真空外囲器の一部となる外囲器部材52に固定されてい
る。ゲート電極45は電極51を介して真空外囲器の外
側に取り出されている。集束電極53は冷陰極48から
取り出した電子ビームを成形、集束する電界を作る。セ
ラミックリング54a〜54cは電極間を絶縁するとと
もに真空外囲器の一部となる。直流電源55、56はゲ
ート電極45を基準にしてそれぞれカソード電極41
(エミッタ44)および集束電極53に電圧を供給す
る。
【0027】この電子銃を動作させるには、ゲート電極
45の電位を基準にしてカソード電極41に約10〜1
00Vの負の直流電圧を印加する。電子ビーム電流の変
調には、負極性の信号、すなわち電子ビーム電流を多く
するときに負に大きい信号をカソード直流電圧に重畳す
る、公知のカソードドライブと同様の方法で行なう。
【0028】本実施の形態においては、信号入力端子か
ら見た静電容量がゲート電極45の寸法、面積に依存し
ないため、高周波の用途に対してもゲート電極45を充
分大きくでき、電子ビームは完全に軸対称の電界の中で
形成される。また、ゲート電極45が周辺にいくに従っ
て高くなっているため、各エミッタ44から放出された
電子が集束されるような等電位面が形成される。
【0029】さらに、冷陰極48上の絶縁層42a〜4
2dは電子ビームからは直接見通せず、荷電粒子が付着
する恐れがない。加えて、カソード電極41は必要最小
限の面積を占め、しかも冷陰極48の周辺にいくに従い
カソード電極41とゲート電極45の距離が離れている
ので、静電容量も極めて小さく抑えられる。それと同時
に、最も高く形成されたゲート電極45の最外周部が、
ゲート電極45への給電のための接触部として利用する
ことができる。また、電流変調のために、ゲート電極電
圧を変えずに面積の小さいカソード電極電圧を変化させ
ているので、入力信号に対する浮遊容量も小さく抑える
ことができる。
【0030】特に、図6(c)のような集束電極を集積
した従来の冷陰極において、ゲート電極電圧を変化させ
るためには、制御電極(ゲート)と集束電極の間、制御
電極と基板の間、制御電極とその他の電極間の容量を充
放電する必要があった。これに対して、本実施の形態に
示す方法を採れば、ゲート電極45と集束電極53の間
の静電容量はほとんど影響を与えないので、信号入力端
子の静電容量を格段に軽減することができる。
【0031】このように、本実施の形態に示す冷陰極な
らびに電子銃の構造を採用することによって、多くの利
点を同時に得ることができる冷陰極ならびに電子銃を実
現することができる。
【0032】以下、本発明の第2の実施の形態を図3を
用いて説明する。図3は本実施の形態の電子銃の構造を
示す図である。この図において、第1の実施の形態と共
通の構成要素には図1、図2と同一の符号を付し、各構
成要素の材料、寸法は図1に示す第1の実施の形態と同
様である。そして、本実施の形態の電子銃が第1の実施
の形態と異なる点は、ゲート電極もカソード電極と同様
にセラミック基板上に形成した配線に接続した点であ
る。
【0033】図3(a)〜(c)に示すように、カソー
ド電極41は、電子放出領域47から冷陰極48の側面
を通って絶縁基板40の裏面の一部まで形成されてお
り、裏面においてセラミック基板49の上に形成された
中心導体58に接続されている。同様に、ゲート電極4
5は、冷陰極48の側面においてカソード電極41を挟
むようにして折り曲げられ、絶縁基板40の裏面の一部
まで形成されている。また、絶縁基板40の裏面におい
てゲート電極45はセラミック基板49の上に形成され
た接地導体59に接続されている。
【0034】そこで、セラミック基板49上に形成され
た中心導体58と接地導体59はコプレーナー線路とな
り、冷陰極48においてはカソード電極41とゲート電
極45とでマイクロストリップ線路を構成し、信号を電
子放出領域47まで伝えるようになっている。そして、
このマイクロストリップ線路は電子放出領域47から冷
陰極48の周辺に向かうに従って、間に挟まれた絶縁層
42a〜42cの厚さが階段的に厚くなり、コプレーナ
ー線路、およびその先のコネクタ、管外の導体の高周波
インピーダンスと容易に整合が取れるようになってい
る。
【0035】本実施の形態において、ゲート電極45は
セラミック基板49を介して取り出しているので、第1
の実施の形態の場合と異なり、冷陰極48の直上に独立
の電圧を印加する集束電極53を配置することができ
る。
【0036】そして、本実施の形態においても、電子ビ
ームは完全に軸対称の電界の中で形成される。また、冷
陰極48上の絶縁層42a〜42cは電子ビームからは
直接見通せず、荷電粒子が付着する恐れはない。さら
に、外囲器からの入力端子から電子放出領域47までが
マイクロストリップ線路による分布定数線路で接続さ
れ、インピーダンスの整合を図っているので、この部分
における信号の劣化は高周波成分まで小さく抑えること
ができる。このように、ゲート電極45下の絶縁層42
a〜42cの厚さを周辺部で厚くすることによって、電
子ビームの集束が改善されるばかりでなく、インピーダ
ンス整合部を容易に形成することができる、という効果
も奏することができる。
【0037】以下、本発明の第3の実施の形態を図4を
用いて説明する。図4は本実施の形態の電子ビーム装置
を示す図であって、これは冷陰極を電子源として使用し
た電子ビーム装置の一例であるCRT(受像管)を示す
ものである。
【0038】ガラス外囲器61の中に、冷陰極48、電
極51、第1集束電極62、第2集束電極63、第3集
束電極64で構成された電子銃65が収められている。
符号66〜70は直流定電圧電源であり、カソード電極
41、第1集束電極62、第2集束電極63、第3集束
電極64、および陽極にそれぞれ直流電圧を供給するも
のである。そして、電子ビーム電流を変調する信号は増
幅器71から結合コンデンサ57を通ってカソード電極
41に印加されるようになっている。また、冷陰極48
から放出された電子は第1〜第3集束電極62〜64に
より集束、加速され、電子ビームが形成された後、その
電子ビームは偏向ヨーク72に加えられた電流波形に応
じて偏向され、蛍光体73を衝撃する。
【0039】本実施の形態に示すCRTは、解像度が良
好で、スクリーンに表示できる画素数が多く、安定性に
優れ、消費電力が小さい、といった効果を奏することが
できる。
【0040】以下、本発明の第4の実施の形態を図5を
用いて説明する。図5は本実施の形態の電子ビーム装置
を示す図であって、これは冷陰極を電子源に使用した電
子ビーム装置として代表的なマイクロ波管の例であるT
WT(進行波管)を示すものである。
【0041】図5において、冷陰極48から放出された
電子は、電子銃75で作られた静電界と磁石76により
作られた磁界で集束され、電子ビームMとして形成され
る。そして、電子ビームMは内径が1mm以下の低速波
回路であるらせん77の中を通り抜け、コレクタ78で
捕捉される。そこで、らせん77に導入された入力信号
はらせん77内を通過する電子ビームMとの相互作用に
より増幅されて出力信号となる。なお、本実施の形態で
は低速波回路としてらせんを用いたTWTの例を示した
が、結合空洞やリングループ等のTWTにも本発明を適
用することができる。さらに、TWTに限らず、クライ
ストロンやジャイロトロンのようなマイクロ波管に本発
明の冷陰極を適用しても、その利点を活用することがで
きる。
【0042】なお、第1、第2の実施の形態で示した絶
縁基板の代わりに、金属あるいは半導体基板の上に絶縁
層を積層した基板を使用しても同等の冷陰極ならびに電
子銃を構成することができるのは明らかである。
【0043】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
冷陰極ならびに電子銃によれば、電子ビームの軸対称性
に影響を与えず、また、電子ビームの不安定性をもたら
すことなく変調周波数を高周波化することができる。こ
のため、本発明の電子銃を、例えば電子ビーム装置の一
つであるCRTに採用すれば、解像度が良好で、スクリ
ーンに表示できる画素数が多く、安定性に優れ、消費電
力の小さいディスプレイ装置を実現することができる。
さらに、本発明の電子銃をTWT、クライストロン等の
マイクロ波管に採用すれば、パルス動作周波数が高く、
安定性に優れ、消費電力の小さいマイクロ波管増幅装置
やマイクロ波管発振装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である電子銃の、
(a)全体構成を示す一部を破断視した斜視図、(b)
冷陰極付近の拡大断面図である。
【図2】同、電子銃とその駆動回路構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である電子銃の、
(a)平面図、(b)(a)のB−B線に沿う断面図、
(c)(a)のC−C線に沿う断面図、である。
【図4】本発明の第3の実施の形態であるCRTの断面
図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態であるTWTの断面
図である。
【図6】従来のSpindt タイプの冷陰極の、(a)断面
図、(b)、(c)微小冷陰極の拡大断面図である。
【図7】従来のCRT電子銃の、(a)断面図、(b)
拡大断面図である。
【図8】従来の冷陰極の一例を示す図である。
【図9】従来の冷陰極の他の例を示す図である。
【図10】従来の冷陰極のさらに他の例を示す図であ
る。
【図11】従来の冷陰極を用いた電子銃の一例を示す図
である。
【符号の説明】
40 絶縁基板 41 カソード電極 42a〜42d 絶縁層 43 空洞 44 エミッタ(電子放出電極) 45 ゲート電極(制御電極) 46 微小冷陰極 47 電子放出領域 48 冷陰極 50 カソード配線 51 電極 53 集束電極 58 中心導体 59 接地導体 65,75 電子銃 M 電子ビーム

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの表面が絶縁性を示す基
    板と、該基板上に形成されたカソード電極と、該カソー
    ド電極上に形成され、その先端が先鋭化された電子放出
    電極と、該電子放出電極とその近傍を除いて前記基板上
    および前記カソード電極上に形成された絶縁層と、該絶
    縁層上に積層され、前記電子放出電極を取り囲む開口部
    を有する制御電極とから構成された冷陰極において、複数の 前記電子放出電極が形成された領域から周辺部に
    いくに従って前記絶縁層が階段状に厚くなる形状とさ
    れ、前記カソード電極が前記複数の電子放出電極を形成
    するに必要最小限の面積を占有し、前記カソード電極の
    配線を前記基板の側面から裏面まで形成したことを特徴
    とする冷陰極。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の冷陰極において、 前記カソード電極の配線と前記制御電極とが、該制御電
    極を接地導体とするマイクロストリップ線路を構成する
    ことを特徴とする冷陰極。
  3. 【請求項3】 少なくとも一つの表面が絶縁性を示す基
    板と、該基板上に形成されたカソード電極と、該カソー
    ド電極上に形成され、その先端が先鋭化された電子放出
    電極と、該電子放出電極とその近傍を除いて前記基板上
    および前記カソード電極上に形成された絶縁層と、該絶
    縁層上に積層され、前記電子放出電極を取り囲む開口部
    を有する制御電極とから構成され、前記電子放出電極が
    形成された領域から周辺部にいくに従って前記絶縁層が
    階段状に厚くなる形状とされ、前記カソード電極が前記
    電子放出電極を形成するに必要最小限の面積を占有する
    冷陰極と、前記制御電極に電圧を供給する供給電極で構
    成され、 前記絶縁層の最も厚い領域の上に形成された前記制御電
    極の一部と前記供給電極とが電気的に接続されたことを
    特徴とする電子銃。
  4. 【請求項4】 少なくとも一つの表面が絶縁性を示す基
    板と、該基板上に形成されたカソード電極と、該カソー
    ド電極上に形成され、その先端が先鋭化された電子放出
    電極と、該電子放出電極とその近傍を除いて前記基板上
    および前記カソード電極上に形成された絶縁層と、該絶
    縁層上に積層され、前記電子放出電極を取り囲む開口部
    を有する制御電極とから構成され、前記電子放出電極が
    形成された領域から周辺部にいくに従って前記絶縁層が
    階段状に厚くなる形状とされ、前記カソード電極が前記
    電子放出電極を形成するに必要最小限の面積を占有する
    とともに、前記カソード電極の配線と前記制御電極と
    が、該制御電極を接地導体とするマイクロストリップ線
    路を構成する冷陰極と、該冷陰極に電流変調信号を伝え
    るコプレーナー線路から構成され、 該コプレーナー線路の中心導体が前記カソード電極の配
    線に接続され、前記コプレーナー線路の接地導体が前記
    ゲート電極に接続されたことを特徴とする電子銃。
  5. 【請求項5】 少なくとも一つの表面が絶縁性を示す基
    板と、該基板上に形成されたカソード電極と、該カソー
    ド電極上に形成され、その先端が先鋭化された電子放出
    電極と、該電子放出電極とその近傍を除いて前記基板上
    および前記カソード電極上に形成された絶縁層と、該絶
    縁層上に積層され、前記電子放出電極を取り囲む開口部
    を有する制御電極とから構成され、前記電子放出電極が
    形成された領域から周辺部にいくに従って前記絶縁層が
    階段状に厚くなる形状とされ、前記カソード電極が前記
    電子放出電極を形成するに必要最小限の面積を占有する
    冷陰極と、前記制御電極に電圧を供給する供給電極で構
    成され、前記絶縁層の最も厚い領域の上に形成された前
    記制御電極の一部と前記供給電極とが電気的に接続され
    た電子銃を備えたことを特徴とする電子ビーム装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも一つの表面が絶縁性を示す基
    板と、該基板上に形成されたカソード電極と、該カソー
    ド電極上に形成され、その先端が先鋭化された電子放出
    電極と、該電子放出電極とその近傍を除いて前記基板上
    および前記カソード電極上に形成された絶縁層と、該絶
    縁層上に積層され、前記電子放出電極を取り囲む開口部
    を有する制御電極とから構成され、前記電子放出電極が
    形成された領域から周辺部にいくに従って前記絶縁層が
    階段状に厚くなる形状とされ、前記カソード電極が前記
    電子放出電極を形成するに必要最小限の面積を占有し、
    前記カソード電極の配線と前記制御電極とが、該制御電
    極を接地導体とするマイクロストリップ線路を構成する
    冷陰極と、該冷陰極に電流変調信号を伝えるコプレーナ
    ー線路から構成され、該コプレーナー線路の中心導体が
    前記カソード電極の配線に接続され、前記コプレーナー
    線路の接地導体が前記ゲート電極に接続された電子銃を
    備えたことを特徴とする電子ビーム装置。
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