JP2899586B1 - 光ファイバ導通試験装置 - Google Patents

光ファイバ導通試験装置

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JP2899586B1
JP2899586B1 JP10950398A JP10950398A JP2899586B1 JP 2899586 B1 JP2899586 B1 JP 2899586B1 JP 10950398 A JP10950398 A JP 10950398A JP 10950398 A JP10950398 A JP 10950398A JP 2899586 B1 JP2899586 B1 JP 2899586B1
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pressing
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英之 坂本
智幸 尾崎
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Abstract

【要約】 【課題】 結合損失及び挿入損失を少なくした状態で心
線対照作業が行え、光ファイバの色や外気温が変わって
も、安定した漏洩光パワーを得ることができ、心線対照
作業を容易に行えること。 【解決手段】 雌ヘッド2の凹部2aと雄ヘッド3の凸
部3aとの間で光ファイバ7は所定径に曲げられ、受光
センサ4からは漏洩光パワーが検出される。雄ヘッド3
側部には光ファイバ7方向に昇降自在な押し付け部材8
が設けられ、移動手段10により押し付け力を変更自在
である。外気温や光ファイバ7の色が変わったときに
は、押し付け部材8の下降量を可変することにより、受
光センサ4で検出される漏洩光パワーを可変することが
できる。押しつけ力の可変により結合損失及び挿入損失
をいずれも少なくでき、インラインサービス中の情報伝
送に影響を与えず安定した漏洩光パワーが得られ心線対
照作業を容易に遂行できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ線路網
の建設、保守に使用される光ファイバ導通試験装置に関
し、心線対照する光ファイバの外皮の色および外気温が
変化しても安定した漏洩光パワーを受光でき、信頼性の
高い心線対照が行える光ファイバ導通試験装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光ファイバケーブルは、通常多数の光フ
ァイバ心線を包含し、しかも一本で数kmに及ぶほど長
いものであるから、それらを接続したり成端したりする
とき、光ファイバ心線を1本づつ先端と後端とを対照し
同一心線であることを確認する心線対照作業が必要とな
る。現在、高速・広帯域サービスの需要拡大に対して、
加入者回線への光ファイバケーブルの導入は、面的な広
がりを見せている。このような状況下において、光ファ
イバケーブルの支障移転やケーブル統合等の工事は年々
増加し、これらの工事に伴う心線切換作業は、夜間、長
時間の回線借用中に行われている。そこで、ユーザへの
サービス性を確保しつつ、作業性の向上、作業コストの
低減化を目的として、現用回線を高速で新設回線へ切り
換える光ファイバケーブル切り換えシステムの開発が進
められている。このようなシステムにおいても、異なる
2切換点において保守作業の現用光ファイバ心線を効率
良く確認するための心線対照作業が重要となっている。
【0003】ところで、21世紀のFTTH/FTTC
(Fiber to the home/Fiber to thecurb) に向けて、ア
クセス網の高度化と合理的な通信網構築が大きな課題と
なっている。その中でアクセス網を安価に構築する網形
態として、分岐光線路網(以下、PDS(Passive Doubl
e Star) 線路と称す)が有望視されている。このような
PDS線路の1つとして、1つの局内伝送装置と複数の
加入者端末とを、受動的で波長に依存しないスターカプ
ラを含むPDS線路構成によって接続された形態があ
り、これを用いた映像分配サービス等のマルチメディア
通信が試みられている。
【0004】一般に光ファイバ心線対照技術は、光ファ
イバに曲げを与え漏洩光パワーを検出し心線対照する光
ファイバを確認し、光線路網の建設、保守等に用いられ
ている。前述したように光ファイバケーブルは、多数の
光ファイバ心線からなり、1本で数Kmにも及ぶ。その
ため、それらの光ファイバ心線を接続、融着したりする
とき、1本づつ先端と後端とを対照し、同一心線である
ことを確認する心線対照作業が必要となる。
【0005】現在、検討されている光分岐形線路の1つ
として、通信波長とは異なる複数の試験光波長を各分岐
後光ファイバに割り当て、この試験波長を制御すること
によって各分岐後光ファイバを心線対照する構成のもの
がある。この光ファイバの心線対照は、新たな試験光波
長域(例えば1.615〜1.675μm)のなかか
ら、採用する試験光波長を局内に設置した心線対照用光
源より選択し、現場では光ファイバを心線対照曲げ部で
曲げ半径を所定径に規定して把持する。これにより、受
光部により前記試験光波長の漏洩光が検知されることに
より対象の光ファイバを得る心線対照作業が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光ファイバ導通試験装置では、心線対照する光ファイバ
を所定径のヘッド部に沿わせて曲げて漏洩光を発生させ
る構成であり、曲げの角度が変更できず固定されるため
に、心線対照する光ファイバの外皮(例えばナイロン被
覆で形成されている)の色や外気温が変化すると漏洩光
パワーが少なくなってしまう場合があり、光ファイバ心
線の識別ができなくなってしまうという問題があった。
【0007】即ち、光ファイバを上記一定な曲げにした
場合、一般的に温度が低くなると硬くなり、応力がかか
る状態となり漏洩光が多くなる。逆に温度が高くなると
軟らかくなり応力がかからない状態となり漏洩光が少な
くなる。上記心線対照作業が回線借用中(インラインサ
ービス中)に行われるため、光ファイバの漏洩光を受光
する受光部は、結合損失及び挿入損失をできるだけ少な
くし回線上の情報に影響を与えない状態で行わねばなら
ない。しかしながら、上記のように光ファイバの曲げ角
度が固定されていると、温度の変化によって漏洩光パワ
ーが変化し、同時に結合損失、及び挿入損失が変動して
回線上の情報に影響を与えかねない。また、光ファイバ
は各種色の外皮があり、例えば、地域や用途あるいはメ
ーカーに応じて色別に使用されている。このような光フ
ァイバにおいては曲げ角度を一定とした場合であっても
外皮の色別に対応して上記漏洩光パワーが異なることが
確認されている。したがって、上記のように光ファイバ
の曲げ角度が固定されていると、漏洩光パワーはこの外
皮の色に対応してそれぞれ異なったものとなってしま
う。
【0008】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、結合損失及び挿入損失を少なくした状
態で心線対照作業が行え、心線対照する光ファイバの色
や外気温が変わっても安定した漏洩光パワーを得ること
ができ、心線対照作業を容易に行える光ファイバ導通試
験装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光ファイバ導通試験装置は、請求項1記載
のように、被測定光ファイバをほぼ半円状に巻くための
雄ヘッド(3)と、前記雄ヘッドの径と同じ径の湾曲部
を有し前記雄ヘッドに巻かれた被測定光ファイバの光の
入射端側と出射端側の各々の一部を湾曲部で押圧して挟
んで保持するための2つの雌ヘッド(2)と、前記2つ
の雌ヘッドの間に配置され、前記光ファイバからの漏洩
光のパワーを検出するための受光センサ(4)と、前記
雌ヘッドで押圧されている前記被測定ファイバの入射端
側の一部よりさらに入射端側の位置に移動自在に配置さ
れ前記被測定ファイバを前記雌ヘッドへ移動量に対応し
た押圧力で押し付ける押し付け部材(8)を備えたこと
を特徴とする。
【0010】また、請求項2記載のように、前記雌ヘッ
ド(2)が固定配置され、該雌ヘッドに対し前記雄ヘッ
ド(3)が上下方向に昇降自在に構成され、前記雄ヘッ
ド側部には前記押し付け部材(8)を雌ヘッドに対して
上下方向に昇降させる昇降手段(10)が設けられた構
成としてもよい。
【0011】また、請求項3記載のように、前記押し付
け部材(8)を雌ヘッドに向かって移動させる上下移動
量を可変自在なアクチエータ(12)を有する移動手段
(10)と、前記心線対照作業を光ファイバの結合損失
及び挿入損失がいずれも安定するよう、前記移動手段の
アクチエータを移動制御する制御手段(20)と、を備
えた構成としてもよい。
【0012】また、請求項4記載のように、心線対照す
る箇所の外気温を検出する温度検知手段(15)を備
え、前記制御手段(20)は、前記温度検知手段で検知
された温度に対応した押し付け力を求め、前記移動手段
のアクチエータを移動制御する構成としてもよい。
【0013】また、請求項5記載のように、前記温度と
押しつけ力を示すデータが予め各温度別に複数記憶され
た記憶部(22)を設け、前記制御手段(20)は、前
記温度検知手段(15)から出力された温度に対応する
押し付け力を記憶部から得て前記移動手段のアクチエー
タを移動制御する構成とすることもできる。
【0014】また、請求項6記載のように、前記制御手
段(20)は、予め光ファイバの外皮の色に対応位した
押し付け力が記憶され、外皮の色の設定に基づき対応す
る押しつけ力で前記移動手段のアクチエータを移動制御
する構成としてもよい。
【0015】上記構成によれば、雌ヘッド2と雄ヘッド
3との間に光ファイバ7を挟む込むことにより、この光
ファイバ7が所定径に曲げられ、受光センサ4で漏洩光
を検知することができる。そして、心線対照する光ファ
イバ7の色や外気温の変化に応じて、この雄雌のヘッド
2,3側部に設けられた押し付け部材8が光ファイバ7
への押し付け力を変えることにより、結合損失及び挿入
損失を少なくした状態で、受光センサ4では安定した漏
洩光パワーが受光できるようになる。これにより、イン
ラインサービス中での情報伝送に影響を与えることな
く、心線対照作業を円滑に遂行できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の光ファイバ導通試験
装置の第1実施形態を説明する。図1は、この光ファイ
バ導通試験装置の受光ヘッドを示す正面図である。この
受光ヘッド1は、固定された雌ヘッド2と、上下動自在
な雄ヘッド3を有している。雌ヘッド2は、略半円状で
所定径の曲げ半径の凹面2aを有する。この雌ヘッド2
の凹面2aの底部近傍には、凹面2a側に受光面4aが
向くPD等の受光センサ4が設けられ、この受光センサ
4により光ファイバ7の漏洩光が後述の如く検出され
る。この受光センサ4は受光面4aの法線方向が光ファ
イバ7の接線とほぼ直角となる角度に配置される。雄ヘ
ッド3は、図示しない移動手段により雌ヘッド2に対し
上下動自在に構成されている。この雄ヘッド3の下部に
は、雌ヘッド2の凹面2aの曲げ半径に対応した凸面3
aが形成されている。
【0017】これら雌ヘッド2と雄ヘッド3との間に
は、心線対照する光ファイバ7が一時的に介挿される。
この光ファイバ7は一対の凹面2a,凸面3aにより図
示の如く上記所定径の曲げ半径で湾曲させられる。な
お、雄ヘッド3の凹面3aには、光ファイバ7の位置を
案内する溝3bが形成されている。
【0018】また、雌ヘッド2の凹面2aにおいて光フ
ァイバ7の光路前方側には、外部から引き込まれる光フ
ァイバ7を凹面2aに導入するための導入曲げ部2aa
が形成されている。この導入曲げ部2aaは、凹面2a
の曲げ方向と逆方向に曲がる所定径の円弧面であり、光
ファイバ7の導入部分でこの光ファイバ7の導入角度
(凹面2a及び凸面3aの接線方向)を変更できるよう
になっている。ところで、図示の雌ヘッド2は、中央か
ら2分割された構成であるが、いずれも受光センサ4を
間に置いて不図示の基台上に固定配置されている。ま
た、雌ヘッド2を1つのブロック体で形成し、開口形成
された孔部に前記受光センサ4を設ける構成としてもよ
い。
【0019】上記雌ヘッド2の導入曲げ部2aaの上方
位置には、押さえ部材8が設けられている。この押さえ
部材8は、少なくとも導入曲げ部2aaの上方位置から
光ファイバ7に接触する接触面8a部分が所定径の円弧
状に形成された略直方体形状のブロック体で構成されて
いる。そして、この押さえ部材8は、昇降手段(図示せ
ず)により上下方向に移動自在である。この実施形態に
おける昇降手段は、雄ヘッド3の側部にネジ穴3cを形
成し、押さえ部材8には上下方向に所定長さの長穴8b
を開口形成し、ネジ11で押さえ部材8を雄ヘッド3に
固定して構成される。押さえ部材8は長穴8bの範囲内
で高さ方向に所定量微動自在な状態で雄ヘッド3に固定
される。そして、この押さえ部材8は、雄ヘッド3の上
下動により同時に移動する。
【0020】上記構成による心線対照作業を説明する。
回線借用中(インラインサービス中)での心線対照作業
を実行するにあたり、その実行前には、光ファイバ7に
対し押しつけ部8による押し付け力の変化による漏洩光
パワーの変化及び光ファイバ7上を伝搬する情報への影
響を予め測定しておく。このため、予め上記受光ヘッド
1を試験的に他の(インラインサービス中ではない)光
ファイバ7に介挿させ、受光ヘッド1の後段に図示しな
いパワーメータを接続して挿入損失及び結合損失を測定
した上で最適な押し付け力を決定し各種データをとった
後に、この受光ヘッド1をインラインサービスの光ファ
イバ7に介挿させる構成となっている。
【0021】上記挿入損失及び結合損失の測定について
説明する。まず、光ファイバ7を雌ヘッド2と雄ヘッド
3との間に介挿した状態で図1記載の如く雄ヘッド3を
下降させ雌ヘッド2との間に挟み込み、この光ファイバ
7を凹面2a及び凸面3aに沿った所定径で湾曲させ
る。これにより、光ファイバ7からは、上記試験光が漏
洩し受光センサ4は、この漏洩光パワーが検出される。
同時に光ファイバ7は、受光ヘッド1の入口部分、即
ち、雌ヘッド2及び雄ヘッド3の直前位置で押さえ部材
8により外部から押さえ付けられるため、この押さえ部
材8の押さえ力に対応して受光センサ4での漏洩光パワ
ーが可変される。
【0022】図2及び図3に光ファイバの曲げ状態を示
す概略図を示す。うち、図2には押さえ部材8を設けな
い構成による光ファイバの曲げ状態が示され、図3には
押さえ部材8を設けた時の光ファイバの曲げ状態が示さ
れている。また、表1は押さえ部材8による押さえ力を
変えたときに測定された挿入損失及び結合損失を示す一
覧表である。尚、表1の測定は外気温が常温(25度)
で光ファイバ7の外皮の色を青で行った。また、光ファ
イバ7は、外皮の外径がφ0.9、コア径が10μmの
SMファイバである。
【0023】
【表1】
【0024】挿入損失は、パワーメータで検出した受光
パワーを演算して得られる。即ち、受光ヘッド1を介さ
ず光ファイバ7が直線状態における受光パワー(P1)
と受光ヘッド1で光ファイバ7を曲げた場合の受光パワ
ー(P2)との差分に基づき演算出力される。この挿入
損失は、受光ヘッド1で曲げを行った際に光ファイバ7
を伝搬する試験光の損失分に相当し、インラインサービ
ス中の心線対照作業においては、この値が例えば2.0
dB以下となることが望ましい。結合損失は、受光セン
サ4での漏洩光パワーを演算して得られる。即ち、受光
ヘッド1を介さず光ファイバ7が直線状態における漏洩
光パワー(p1)と受光ヘッド1で光ファイバ7を曲げ
た場合の漏洩光パワー(p2)との差分に基づき演算出
力される。この結合損失は、受光ヘッド1で曲げを行っ
た際に試験光を検出するための効率分に相当し、安定し
た漏洩光を得るためには、この値が例えば50dB以下
となることが望ましい。
【0025】図2,3に示すように、光ファイバ7は、
受光ヘッド1の雌ヘッド2と雄ヘッド3により所定径の
円弧状に湾曲される。このため雄ヘッド3を等価的に円
形状に記載してある。また、雌ヘッド2の導入曲げ部2
aaは、等価的に光ファイバ7を所定径の円弧状に曲げ
る。さらに、図3に示すように、押さえ部材8について
も光ファイバ7に対して接触面8a部分が点接触するた
め同様に円形部材として等価的に記載している。
【0026】そして、図2に示すように、押さえ部材8
が無い場合(従来)には、表1中の曲げ「無し」に示し
たように、結合損失が50dBを越える高い値となり、
光ファイバ7を伝搬する試験光の漏洩光パワーを検出で
きずそのままでは心線対照できない状態となる。しかし
ながら、押さえ部材8を設けて所定の押し付け力を加え
ることにより、表1中で曲げ「弱い」及び「強い」のい
ずれにおいても、結合損失を50dB程度まで少なくす
ることができ、漏洩光パワーを安定して検出できるよう
になり、心線対照作業を円滑に遂行することができるよ
うになる。
【0027】ここで、「弱い」及び「強い」とは、押さ
え部材8の接触面8aによる光ファイバ7への押し付け
力を示しており、これら押さえ部材8による曲げが「弱
い」及び「強い」いずれの場合であっても、挿入損失は
2dB以下とすることができ、インラインサービス中の
光ファイバ7を伝搬する情報への影響を招く恐れはな
い。尚、「弱い」とは、押さえ部材8の接触面8aが光
ファイバ7の外皮に接触した状態を原点位置(0)と
し、この光ファイバ7を導入曲げ部2aaとの間隔をや
や狭め若干つぶす如く光ファイバ7を押し付ける状態で
あり、「強い」とは、この「弱い」からさらに大きな押
しつけ力を加えた状態を示している。
【0028】そして、これら押さえ部材8の押し付け力
は、上記移動手段10により雄ヘッド3に対する押さえ
部材8の取付け位置を変えることに基づき可変すること
ができ、この前準備段階では、押さえ部材8の押しつけ
力を「弱い」と「強い」との範囲内において挿入損失及
び結合損失がいずれも少なくなるよう設定しておく。即
ち、押さえ部材8を用いた際における押し付け力は「弱
い」と「強い」の略中間位置付近の押しつけ力が「基準
の押し付け力」であるといえる。このように、押さえ部
材8による押さえ力を光ファイバ7に対し加えることに
より、押さえ部材8を設けない状態に比して漏洩光パワ
ーを安定して受光することができる。
【0029】上記のように前準備された受光ヘッド1を
備えた心線対照器を用いて現場における心線対照作業が
行われる。尚、前準備されたものと同一の受光ヘッド1
を必ずしも使用する必要はなく、あくまで前準備で得ら
れた結果に基づき受光ヘッド1の押さえ部材8の押し付
け力を適当な押し付け力に設定すれば他の受光ヘッド1
を用いてもよい。また、心線対照作業では前準備で用い
ていたパワーメーターを用いず、光ファイバ7の一部が
受光ヘッド1に介挿され前記所定径で曲げられることに
なる。そして、上記光ファイバ7は、1対N光分配形線
路上でのN分配された各ファイバのうちの1本に相当
し、心線対照の作業現場に敷設されているものである。
次に、この光ファイバ7の遠端(局側)から上記所定範
囲の波長の試験光を入射させる。この試験光は、光ファ
イバ7を伝搬し心線対照器の受光ヘッド1を通過する。
【0030】そして、受光ヘッド1は雌ヘッド2と雄ヘ
ッド3との間に光ファイバ7を挟み込んだときに、同時
に押さえ部材8により光の入射側が所定の押しつけ力で
押さえ付けられる。これにより、上記のように、挿入損
失及び結合損失が小さな状態で受光センサ4からは安定
した漏洩光パワーを得ることができ、試験光を安定して
受光することができるため、心線対照作業を円滑に遂行
することができるようになる。
【0031】次に、表2乃至4は光ファイバ7の外皮の
色別、及び試験光の波長別の結合損失及び挿入損失を示
す測定データの一覧表である。これらのデータにおいて
は、いずれも前記押さえ部材8の押し付け力を可変した
ときにおける最適な押しつけ力の時の測定値が記載され
ている。また、各色及び各波長ではそれぞれ20回づつ
データを測定している。試験光は上記のように1.61
5〜1.675μmであるため、この中から1.626
μm(1626nm)、1.639μm、1.654μ
mの3波長について測定した。外気温はいずれも常温
(25度)とした。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】表2は光ファイバ7の外皮の色が黄色、表
3は青、表4は白であるが、うち、全般的に青色の外皮
の光ファイバ7において結合損失が最も少なく、大きな
漏洩光パワーを得やすい結果が得られている。また、押
さえ部材8を設けて適当な押し付け力を加えることによ
り、各色それぞれにおいて、試験光の全波長帯域に渡り
結合損失及び挿入損失をインラインサービス中の心線対
照作業に支障のない値にできることが示されている。
【0036】次に、表5乃至表7は、上記光ファイバ7
の温度変化時における結合損失と挿入損失についての測
定データの一覧表である。表5は光ファイバ7の外皮の
色が黄色、表6は青、表7は白であり、いずれの測定に
おいても常温(25度)において最も結合損失及び挿入
損失が少なくなるよう押さえ部材8の押し付け力を調整
した状態で測定している。また、各温度での測定はそれ
ぞれ5回づつ行い、平均値と、最大値(最悪値)も記載
した。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】図示のように、光ファイバ7の外皮の色が
黄色と青のものについては温度が下がると結合損失が少
なくなり漏洩光が多くなる傾向があることが判る。白色
については測定箇所別に測定データが変動した。少なく
とも全色において、温度の変化に伴い結合損失及び挿入
損失の変化が認められた。これにより、心線対照する作
業現場の外気温に合わせて押し付け部8の押し付け力を
可変することにより、結合損失及び挿入損失を適切な値
となるよう可変できることがいえる。したがって、予め
前準備の段階で外気温別の結合損失及び挿入損失がいず
れも少なくなり得る押し付け力を測定しておくことによ
り、心線対照作業の現場では、得られた外気温に対応し
た押し付け力を押し付け部8で生成することにより、イ
ンラインサービスに影響を与えることなく、漏洩光パワ
ーを安定して得ることができるようになる。
【0041】以上説明した実施形態では、光ファイバへ
の押し付けを手動操作で行うものであるが、予め光ファ
イバの色や外気温の変化に伴う光ファイバの特性をメモ
リしておけば、ある色や温度のときに光ファイバへの押
し付け力を可変させて安定した漏洩光パワーを受光でき
るよう構成することもできる。以下に示す第2実施形態
では、このような押し付け力の自動設定を行うための構
成について説明する。図4は、この第2実施形態の光フ
ァイバ導通試験装置を示す構成図である。
【0042】この実施形態の心線対照器は、上記第1の
実施形態で説明した受光ヘッド1と、温度検知手段15
と、制御手段20とを有している。温度検知手段15
は、サーミスタ等で構成され現場の外気温に対応した検
知信号を制御手段20に出力する。制御手段20は、C
PU等の処理部21と、記憶部22とを有しており、入
力された検知信号に基づく押し付け量を求め昇降手段1
0に出力する。
【0043】この実施形態における昇降手段10は、前
記第1の実施形態で説明した各構成に加え、雄ヘッド3
にアクチエータ12が固定され、このアクチエータ12
の作動で押さえ部材8を昇降させる構成となっている。
【0044】記憶部22には、光ファイバ7の色別にそ
れぞれ温度−押し付け量の関係を記憶しておく。この記
憶内容の設定方法を説明すると、例えば前記表5に示す
黄色の光ファイバ7では、外気温が25度のとき前記
「基準の押し付け力」により最適な結合損失と挿入損失
が得られる。これに基づき、外気温が0度及び40度の
ときに前記表5に示す結合損失と挿入損失がいずれも低
損失となる方向に押し付け力を可変して設定する。即
ち、外気温が0度においては、25度のときの基準の押
し付け力に比して押し付け力を弱める方向に移動させて
結合損失及び挿入損失が少なくなる点を探す。一方、外
気温が40度においては、25度のときの基準の押し付
け力に比して押し付け力を強める方向に移動させて結合
損失及び挿入損失が少なくなる点を探す。このように常
温(25度)を基準として0度〜40度の範囲内で複数
の温度について、低い温度については押さえ部材8の下
降量を少なくし、高い温度については押さえ部材8の下
降量を大きくして、各結合損失及び挿入損失がいずれも
少なくなる点を探す。得られた押し付け量は温度と対と
なるようテーブル形式で記憶部22に記憶される。尚、
光ファイバ7の色別に上記温度−押し付け力のテーブル
データが記憶部22に記憶される。
【0045】上記構成の制御動作を説明する。心線対照
を行う際には、光ファイバ7を雌ヘッド2と雄ヘッド3
の間に挟み所定径で曲げる。また、制御手段20に対し
心線対照する光ファイバ7の色をスイッチ等からなる色
設定手段16で選択し入力する。そして、制御手段20
は、この色に対応したテーブルデータを読み出し可能に
設定し、温度検知手段15から得られた外気温に基づ
き、記憶部22ののテーブルデータから対応する押し付
け力を得て昇降手段10のアクチエータ12に出力す
る。押さえ部材8は光ファイバ7を前記基準の押し付け
力を中心として温度差に相当する分だけ押さえ力を可変
して押し付ける。例えば、外気温が25度より低いとき
には基準の押しつけ力よりも押し付け力が少なく、高い
ときには押し付け力が強められる。
【0046】そして、押し付け部材8は、アクチエータ
12によって温度に対応した押し付け力で光ファイバ7
の導入部分を押し付けるため、この外気温のときに最適
な結合損失及び挿入損失を得ることができる。このよう
に、心線対照する作業現場の外気温が変化しても、作業
者がこの外気温の変化に伴う設定を行わずとも、自動的
に最適な結合損失及び挿入損失を得ることができ、心線
対照作業を円滑に遂行できるようになる。尚、制御手段
20は、上記記憶部22のテーブルデータを補間処理す
る構成となっており、温度検知手段15から入力された
温度と記憶された温度が一致せずとも入力された温度デ
ータに相当する押し付け力を得ることができるようにな
っている。また、心線対照作業中に外気温が変化した場
合であっても、この温度の変化に対応して押し付け部材
8の押し付け力が可変するため、心線対照作業を常時安
定して行えるようになる。
【0047】上記第2実施形態では、測定された外気温
に対応して押し付け力を可変する構成としたが、他、図
4中一点鎖線に示す如く、上記構成に加えて受光センサ
4の検知信号を制御手段20に帰還させるフィードバッ
クループFBを設けた構成としてもよい。このような構
成においては、受光センサ4の検知信号に基づく結合損
失の状態を加えて演算処理することができる。即ち、上
述の如く外気温の変化に対応して押し付け部材8の押し
付け力を可変したときの結合損失の値を参照し、結合損
失が心線対照作業に必要な所定の値以下であるか否かを
監視することができる。加えて、監視のみならずより結
合損失を少なくできるよう、アクチエータ12で発生し
た押し付け力を基準としてさらに±方向に微変化させて
最良点を自動探索することもできるようになる。
【0048】
【発明の効果】本発明の光ファイバ導通試験装置によれ
ば、雄雌のヘッド部分で所定径に光ファイバを曲げて受
光センサで漏洩光を検出するが、この雄雌のヘッドの側
部には昇降手段により昇降し光ファイバへの押し付け力
を可変自在な押し付け部材が設けられた構成であるた
め、結合損失及び挿入損失を可変して光ファイバの心線
対照作業を行うことができるようになり、挿入損失を少
なくしてインラインサービス中の情報伝送に影響を与え
ずに心線対照でき、同時に結合損失を少なくして受光セ
ンサでの漏洩光パワーを大きくして心線対照作業を安定
して行えるようになる。そして、心線対照する現場の外
気温が未知であったり変動しても、制御手段がこの温度
に対応して押し付け力を可変制御する構成とすれば、安
定した漏洩光パワーを得ることができ、心線対照作業を
常時安定して遂行できるようになる。また、光ファイバ
は各色存在し、この色別に漏洩光パワーが異なるが、心
線対照時にこの光ファイバの色を設定するだけでこの色
に対応して押し付け力を可変する構成とすることによ
り、心線対照作業を安定して遂行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による光ファイバ導通試
験装置の受光ヘッドを示す正面図。
【図2】光ファイバの曲げ状態を示す概略図。
【図3】押さえ部材を設けたときの光ファイバの曲げ状
態を示す概略図。
【図4】本発明の光ファイバ導通試験装置の第2実施形
態を示す構成図。
【符号の説明】
1…受光ヘッド、2…雌ヘッド、2a…凹部、3…雄ヘ
ッド、3a…凸部、4…受光センサ、7…光ファイバ、
8…押し付け部材、8a…接触面、10…昇降手段、1
1…ネジ、12…アクチエータ、15…温度検知手段、
16…色設定手段、20…制御手段、21…処理部、2
2…記憶部。
フロントページの続き (72)発明者 田中 郁昭 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01M 11/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光ファイバをほぼ半円状に巻くた
    めの雄ヘッド(3)と、 前記雄ヘッドの径と同じ径の湾曲部を有し前記雄ヘッド
    に巻かれた被測定光ファイバの光の入射端側と出射端側
    の各々の一部を湾曲部で押圧して挟んで保持するための
    2つの雌ヘッド(2)と、 前記2つの雌ヘッドの間に配置され、前記光ファイバか
    らの漏洩光のパワーを検出するための受光センサ(4)
    と、 前記雌ヘッドで押圧されている前記被測定ファイバの入
    射端側の一部よりさらに入射端側の位置に移動自在に配
    置され前記被測定ファイバを前記雌ヘッドへ移動量に対
    応した押圧力で押し付ける押し付け部材(8)を備えた
    ことを特徴とする光ファイバ導通試験装置。
  2. 【請求項2】 前記雌ヘッド(2)が固定配置され、該
    雌ヘッドに対し前記雄ヘッド(3)が上下方向に昇降自
    在に構成され、 前記雄ヘッド側部には前記押し付け部材(8)を雌ヘッ
    ドに対して上下方向に昇降させる昇降手段(10)が設
    けられた請求項1記載の光ファイバ導通試験装置。
  3. 【請求項3】 前記押し付け部材(8)を雌ヘッドに向
    かって移動させる上下移動量を可変自在なアクチエータ
    (12)を有する移動手段(10)と、 前記心線対照作業を光ファイバの結合損失及び挿入損失
    がいずれも安定するよう、前記移動手段のアクチエータ
    を移動制御する制御手段(20)と、を備えたことを特
    徴とする請求項1記載の光ファイバ導通試験装置。
  4. 【請求項4】 心線対照する箇所の外気温を検出する温
    度検知手段(15)を備え、 前記制御手段(20)は、前記温度検知手段で検知され
    た温度に対応した押し付け力を求め、前記移動手段のア
    クチエータを移動制御する構成とされた請求項3記載の
    光ファイバ導通試験装置。
  5. 【請求項5】 前記温度と押しつけ力を示すデータが予
    め各温度別に複数記憶された記憶部(22)を設け、 前記制御手段(20)は、前記温度検知手段(15)か
    ら出力された温度に対応する押し付け力を記憶部から得
    て前記移動手段のアクチエータを移動制御する構成であ
    る請求項4記載の光ファイバ導通試験装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段(20)は、予め光ファイ
    バの外皮の色に対応位した押し付け力が記憶され、外皮
    の色の設定に基づき対応する押しつけ力で前記移動手段
    のアクチエータを移動制御する構成とされた請求項3記
    載の光ファイバ導通試験装置。
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