JP2898700B2 - フロートスイッチ支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、構造物の不同沈下の計測などに使用される
フロートスイッチの上下方向の位置調整を容易にするた
めの支持部の改良に関する。

（従来の技術） 構造物の不同沈下等の計測装置として、水面レベルを
連続的に検出する基準マノメータと特定の水面レベルを
検出する数多くの変位マノメータとを連通管で相互に連
通したレベル計測装置入が本出願人等により提案されて
いる（特願昭63−2698235号）。

この装置は、連通管へ連続的に注水し、変位マノメー
タが所定の水面レベルを検出した時点で基準マノメータ
が検出する水位から変位マノメータを配置した計測点の
レベルを求めるもので、変位マノメータとして底部に連
通管を接続した筒部材と、筒部材の内側を昇降するフロ
ートと、このフロートの所定位置への上昇に伴って導通
する電気接点とを備えたフロートスイッチが使用され、
これらが構造物に設定した数多くの計測点に各々固定さ
れる。

（発明の課題） この場合に、求めたレベルの値から各計測点の沈下量
が一目で分かるようにするには、フロートスイッチを最
初に構造物に固定する段階で、各フロートスイッチの電
気接点が水面上昇に対して同時に導通するように、フロ
ートスイッチの固定高さを等しくする必要があった。

しかしながら、それには各計測点でフロートスイッチ
の固定高さを細かく調整しなければならず、この調整作
業に手間と時間がかかるという問題があった。

本発明は、以上問題点に鑑みて、フロートスイッチの
固定高さの調整を容易にすることを目的とする。

（課題を達成するための手段） 本発明は、液体を導き入れる筒部材と、筒部材の中に
収装したフロートと、フロートの所定位置への上昇に伴
って切り換わるスイッチとからなるフロートスイッチを
構造物に支持するフロートスイッチ支持構造において、
構造物にブラケットを取り付ける一方、フロートスイッ
チにホルダを取り付け、ブラケットとホルダの一方に上
下方向の長孔、他方に該長孔にスライド自由に係合する
スライド部材を設けたガイド機構と、長孔の下方にジャ
ッキボルトによりスライド部材を上下に微移動させる手
段と、ブラケットへ移動後のホルダを固定する位置決め
手段とを備えた。

また、ホルダとブラケットの上下方向の相対変位量を
示すスケールを備えた。

（作用） ホルダのブラケットへの支持位置を上下に移動させる
手段を備えたことにより、フロートスイッチの固定高さ
をフロートスイッチや構造物に手を加えることなく調整
できる。

また、スライド部材を長孔に沿ってスライドさせるガ
イド機構が、ホルダの上下方向変位をスムーズにする。

また、位置決め部材は筒部材とホルダの相対位置を常
に一定に保持する。

さらに、ホルダとブラケットの相対変位量がスケール
で示されることにより、高さ調整量の確認が容易にな
る。

（実施例） 第１図〜第３図に本発明の実施例を示す。

第１図において、１はフロートスイッチであり、筒部
材２と、筒部材２の内側を昇降するフロート３と、フロ
ート３の所定位置への上昇より通電する信号ケーブル４
を備える。

筒部材２の底部には連通管を接続するための接続口５
が形成され、筒部材２の中心にはフロート３の昇降を案
内するロッド６が固設される。

フロートスイッチ１はホルダ８に保持される。ホルダ
８はプレート状の部材に第２図に示すように筒部材２の
外周に嵌合する半円形断面の溝8Aを上下方向に形成した
もので、この溝8Aと、溝8Aに相対してホルダ８に締め付
けられる半円形断面のバンド７の間に筒部材２を挟持す
る。

フロートスイッチ１をホルダ８の所定位置に保持する
ために、筒部材２に対して位置決め用の段差を形成する
キャップ９が筒部材２の上部外周に固着する。フロート
スイッチ１をホルダ８に取り付ける際は、このキャップ
９の下端をホルダ８の上端に当接させる。

一方、構造物10の垂直の壁面にはホルダ８を固定する
ためのブラケット11が固設される。ブラケット11はＬ形
断面の部材で、壁面にアンカーボルト12で固定されたプ
レート13にボルト14を介して固定される。このブラケッ
ト10には上下方向の長孔15が形成され、ホルダ８はこの
長孔15とホルダ８とを貫通するボルト16に座金17を介し
てナット18を締め付けることでブラケット11に２箇所で
固定される。

これらのボルト16の上方と下方の長孔15の内側にはス
ライド部材としてローラ19が嵌合し、ホルダ８の上下方
向への変位を案内するガイド機構を長孔15とともに構成
する。ローラ19は第３図に示すように長孔15とホルダ８
を貫通するねじ26の外側に嵌合し、ローラ19の抜け止め
を図るためにねじプレート25がねじ26に螺合する。

ブラケット11の下部にはホルダ８を支持しつつ、その
支持位置を上下に移動させる手段として、回転操作に応
じて垂直方向に変位するジャッキボルト20が取り付けら
れる。このジャッキボルト20はブラケット11に固着した
ボルト孔21に螺合し、尖らせた先端をホルダ８の下部に
固着した水平プレート22に当接する。

また、ホルダ８にはブラケット11に近接して、上下方
向にスケール23が取り付けられる。ブラケット11にはこ
のスケール23の読み取り位置を示すマークシール24が貼
り付けられる。

次に作用を説明する。

フロートスイッチ１の構造物10への取り付けに当たっ
ては、まずブラケット11をアンカーボルト12とプレート
13及びボルト14により壁面に固定する。

また、フロートスイッチ１の筒部材２をキャップ９の
下端がホルダ８の上端に当接するようにして、バンド７
でホルダ８に固定する。

この状態でホルダ８をブラケット11に取り付ける。す
なわち、ボルト16を長孔15に貫通して座金17とナット18
により仮止めし、ローラ19を長孔15に嵌合させた状態で
ねじ26とねじプレート25によりホルダ８に取り付ける。

なお、この状態ではホルダ８は水平プレート22に先端
を当接したジャッキボルト20により上向きに支持されて
いる。

こうして、各計測点にフロートスイッチ１が仮止めさ
れたら、次にこれらの固定高さを一致させる。そのため
に、例えばこの状態のまま各フロートスイッチ１を用い
てレベルを計測し、得られたレベルの値に応じて、ホル
ダ８のブラケット11への固定高さを調整する。すなわ
ち、調整目標となるレベルを定め、この目標レベルと計
測した現在のフロートスイッチ１のレベルとの差だけホ
ルダ８を上下に動かして構造物10に固定する。

この上下動はジャッキボルト20の回転操作により行
う。すなわち、ボルト孔21に螺合するジャッキボルト20
を回転操作すると、ジャッキボルト20の先端に水平プレ
ート22を介して支持されたホルダ８は、長孔15内をスラ
イドするローラ19に案内され、フロートスイッチ１とと
もに上下方向に変位する。なお、ジャッキボルト20は先
端が尖っているためホルダ８に回転力が作用することは
なく、ホルダ８はスムーズに上下に変位する。また、こ
の間ホルダ８やフロートスイッチ１を手で支える必要も
ない。

ホルダ８の変位に伴い、ホルダ８に取り付けられたス
ケール23も一体に上下方向に変位し、ブラケット11のマ
ークシール24における読取値を変化させる。したがっ
て、この読取値に示される変位量が必要な高さ修正量に
一致するまでジャッキボルト20を回転操作すれば、フロ
ートスイッチ１は固定すべきレベルに至る。そこで、ナ
ット18を締め付けてホルダ８をブラケット11に固定す
る。

このようにして、各計測点でジャッキボルト20を操作
しながら、フロートスイッチ１の固定高さを修正して行
くことにより、すべてのフロートスイッチ１が短時間で
同一レベルに固定される。

なお、ブラケット11の構造物10への取り付け高さに多
少の誤差があっても、この高さ調整作業の中で誤差が補
償される。また、ブラケット11はフロートスイッチ１を
伴わずに単独で構造物10に取り付けられるため取り付け
は容易で、作業中にフロートスイッチ１を損傷する心配
もない。

フロートスイッチ１の交換やメンテナンスを行う場合
には、バンド７を外してフロートスイッチ１をホルダ８
から取り外す。再び取り付ける時は筒部材２のキャップ
９の下端をホルダ８の上端に当接させてバンド７を締め
付けることにより、フロートスイッチ１はホルダ８の所
定位置に自動的に位置決め保持されるので、フロートス
イッチ１の高さを再調整する必要はない。

（発明の効果） 以上のように、本発明は液体を導き入れる筒部材と、
筒部材の中に収装したフロートと、フロートの所定位置
への上昇に伴って切り換わるスイッチとからなるフロー
トスイッチを構造物に支持するフロートスイッチ支持構
造において、構造物にブラケットを取り付ける一方、フ
ロートスイッチにホルダを取り付け、ブラケットとホル
ダの一方に上下方向の長孔、他方に該長孔にスライド自
由に係合するスライド部材を設けたガイド機構と、長孔
の下方にジャッキボルトによりスライド部材を上下に微
移動させる手段と、ブラケットへ移動後のホルダを固定
する位置決め手段とを備えたため、また、ホルダとブラ
ケットの上下方向の相対変位量を示すスケールを備えた
ため、フロートスイッチの固定高さをフロートスイッチ
や構造物に手を加えることなく簡単に調整することがで
きる。したがって、この種のフロートスイッチを数多く
使用するレベル計測装置の設置作業を容易にする効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すフロートスイッチと支持
部の側面図、第２図は第１図中のＡ−Ａ矢視図、第３図
はガイド機構を示す拡大した水平断面図である。 １……フロートスイッチ、２……筒部材、３……フロー
ト、７……バンド、８……ホルダ、９……キャップ、10
……構造物、11……ブラケット、15……長孔、16……ボ
ルト、19……ローラ、20……ジャッキボルト、22……水
平プレート、23……スケール、24……マークシール。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】液体を導き入れる筒部材と、筒部材の中に
   収装したフロートと、フロートの所定位置への上昇に伴
   って切り換わるスイッチとからなるフロートスイッチを
   構造物に支持するフロートスイッチ支持構造において、
   構造物にブラケットを取り付ける一方、フロートスイッ
   チにホルダを取り付け、ブラケットとホルダの一方に上
   下方向の長孔、他方に該長孔にスライド自由に係合する
   スライド部材を設けたガイド機構と、長孔の下方にジャ
   ッキボルトによりスライド部材を上下に微移動させる手
   段と、ブラケットへ移動後のホルダを固定する位置決め
   手段とを備えたことを特徴とするフロートスイッチ支持
   構造。
2. 【請求項２】ホルダとブラケットの上下方向の相対変位
   量を示すスケールを備えたことを特徴とする請求項１に
   記載のフロートスイッチ支持構造。