JP2897121B2 - 嚥下障害補助具 - Google Patents

嚥下障害補助具

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    • A61HPHYSICAL THERAPY APPARATUS, e.g. DEVICES FOR LOCATING OR STIMULATING REFLEX POINTS IN THE BODY; ARTIFICIAL RESPIRATION; MASSAGE; BATHING DEVICES FOR SPECIAL THERAPEUTIC OR HYGIENIC PURPOSES OR SPECIFIC PARTS OF THE BODY
    • A61H13/00Gum massage

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は嚥下障害補助具に関
し、更に詳細には、主として嚥下困難な患者及び嚥下障
害で基礎訓練が必要な唾液障害者等に対して用いる補助
器具に関する。
【0002】
【従来の技術】嚥下困難な患者に対しては、介護者が患
者の口を開け、例えば流動食等をスプーンで口腔内に運
び入れ、食物や唾液が口から漏れないように、また、嚥
下反応を促すために、患者の口を閉じ、その後、患者の
首を適宜動かす等して、食物が咽喉を通るようにしてい
るのが現況である。また、食物が患者の口腔内の左右頬
側に残留するため、介護者は患者の口腔内に水を含ませ
た後、首を左右に振って、口腔内の残留物を取り除くよ
うにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、介護者
にとっては、患者の口を開ける動作一つ取ってみても容
易ではなく、嚥下障害者の介護は、介護者に大変な労力
を強いて甚大な心労・疲労をもたらしていた。
【0004】また、単に患者の首を動かしても、唾液の
分泌等を含む嚥下反応を促すことはできず、結局食物を
咽喉から通すことができないような場合も多々あった。
【0005】更に、従来、嚥下障害者等の例えば口の開
閉機能等を回復させるための基礎訓練を行うための器具
等は一切なかった。
【0006】本発明は以上のような問題点に着目してな
されたものであり、その目的は、主として嚥下障害者等
の嚥下反応を促すことができ、介護の負担を低減するこ
とができる嚥下障害補助具を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、主として嚥下障害者
等の例えば口の開閉機能等を回復させるための基礎訓練
を行うための器具として利用することができる嚥下障害
補助具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る嚥下障害補
助具(以下、本欄において「本器具」という。)は、口
腔内の下唇下方面と下顎歯槽粘膜との間に挿入・支持さ
せ、このセット状態で口を閉じ得る弾性薄板状の補助具
本体と、セット状態の補助具本体から口腔外へと突出さ
せる操作部とを一体的に備え、前記操作部を介護者又は
本人が把手して動かすことにより、前記補助具本体の連
動を介して口腔内に所要の動作又は刺激を与えるように
してなることを特徴とする。
【0009】即ち、本器具では、補助具本体を嚥下障害
者等の口腔内における下唇下方面と下顎歯槽粘膜(概ね
下歯茎に相当する部位であるため、以下「下歯茎」とい
う。)との間に挿入して支持させることによってセット
状態とし、操作部を介護者がつかんで、上下、左右、前
後又はこれらの複合方向へ適宜動かすことにより、この
動きに連動する補助具本体によって、例えば嚥下障害者
等の口を開閉させたり、頬を拡縮させたり、口腔内所要
部位をマッサージしたり、唾液線を刺激することができ
る。なお、唾液線の刺激は口腔内のマッサージを介する
間接的なものである。
【0010】本器具は主として嚥下障害者(嚥下困難な
患者を含む。)に対して用いるものであるが、嚥下障害
者以外の例えば口の開閉機能等を回復させるための基礎
訓練を必要とする者等に対しても使用することができ
る。
【0011】また、本器具の少なくとも補助具本体に
は、口腔内の使用における安全性が基本的に要求され、
そのため口腔内を傷付け得るような角や縁等を一切設け
ず、また、補助具本体をシリコン系、フッ素系樹脂、ラ
バー系等の弾性材料によって作成することが望ましい。
なお、操作部も補助具本体と同じ材料で作成することが
望ましい。
【0012】本発明において、「セット状態で口を閉じ
得る」とは、補助具本体の全体形状がセット状態におけ
る口唇封鎖(操作部は上下唇間に挟まれる。)を妨げな
いものである趣旨である。なお、補助具本体の好ましい
全体形状等は実施例の欄において詳述される。
【0013】「介護者又は本人」とは、介護者のみなら
ず嚥下障害者等が自ら操作部をつかんで本器具を使用す
る場合もあり得る趣旨である。
【0014】本発明では、前記補助具本体の下方縁に下
唇下方面側へ隆起する隆起部を設けることができる。こ
の隆起部は嚥下障害者等の下唇下方面に接触して、補助
具本体がセット状態から上方へ外れようとする動きに抵
抗して、セット状態を維持させる役割を果たす。なお、
かような隆起部も断面に丸みを付ける等して下唇下方面
等を傷付け得ない形状とする。
【0015】本発明ではまた、前記補助具本体の上方縁
がセット状態で下前歯の上端を若干上回るようにするこ
とができる。ここで、若干とは概ね1〜3mm程度であ
る。このように補助具本体の上方縁をセット状態で下前
歯上端(歯牙切端)より高く位置させると、補助具本体
を食物や唾液の口腔外への漏出を確実に防ぐように機能
させることができる。なお、天然(下前)歯牙がない者
にあっては、歯牙があるとした場合の位置となる。
【0016】次に、本器具の具体的な使用動作を例示す
る。
【0017】イ)操作部を上下に移動させると、補助具
本体を介して嚥下障害者等の口を閉じたり開いたりする
ことができ、これによって口腔内に食物を自由に運び入
れることができる。
【0018】ロ)操作部を前後に移動させると、補助具
本体を介して嚥下障害者等の頬を収縮させたり拡大させ
ることができ、これによって食物の口腔内の左右頬側の
残留をなくしたり、食物を飲み込む訓練を行うことがで
きる。
【0019】ハ)操作部を適宜移動させると、補助具本
体を介して嚥下障害者等の口腔内所要部位をマッサージ
することができ、このマッサージを介して唾液線を刺激
して唾液の分泌を促進させることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付した図面に基づ
いて説明する。
【0021】図1は本発明に係る嚥下障害補助具10を
示す斜視図であり、この図のA−A断面が図2に示され
る。嚥下障害補助具10は、歯並び様に湾曲させた概ね
三日月形薄板状の補助具本体11と、補助具本体11の
前面中央(厳密には中央よりやや上方。)から前方へと
突出させた棒状の操作部12とをシリコン系弾性材料か
ら一体に作成した、表面滑沢なものである。従って、嚥
下補助具10は図示した形状を弾性的に維持する。
【0022】補助具本体11の概ね円弧状の下方縁1
1”には前方へ若干隆起するよう厚肉とした隆起部13
が設けられ、隆起部13は、口腔内の皮膚や粘膜に損傷
を負わせないよう、断面が概ね半円形状とされる(図2
参照)。なお、隆起部13に限らず、例えば補助具本体
11の上方縁11’にも丸みが付けられる等(図2参
照)、補助具本体11は全体的に口腔内を傷付け得るよ
うな角や縁等がなく、弾性材料と相俟って口腔内の使用
における安全性が確保される。
【0023】図3は嚥下障害補助具10を嚥下障害者等
(以下「患者」という。)にセットした状態(以下「セ
ット状態」という。)を便宜的に示す説明図である。セ
ット状態において、補助具本体11は患者の下唇下方面
2と下方歯茎3との間に挿入され、これらの部位に緩や
かに挟み付けられるようにして支持される。一方、操作
部12は患者の口1から口腔外へと突出される。なお、
補助具本体11の下唇下方面2と下方歯茎3間への挿入
は、本体下方縁11”が下唇下方面2と下方歯茎3との
間の底に達するか、又は、操作部12が下唇に接するま
でである。
【0024】セット状態においてはまた、補助具本体1
1が患者の下前歯4を完全に覆い(図4の正面図参
照)、本体上方縁11’は下前歯4の上端を2,3mm
程度上回る位置となり、また、補助具本体11の左右両
端は患者の奥歯(図示せず)に届くか届かない程度の位
置となる。なお、操作部12を上下唇間に挟んで口1を
完全に閉じることができる。
【0025】嚥下障害補助具10の基本的な使用動作
は、操作部12を介護者がつかんで、上下、左右、前後
又はこれらの複合方向へ適宜動かすことにより、この動
きに追従する補助具本体11を介して、患者の口腔内に
所要の動作又は刺激として、例えば口の開閉、頬の拡
縮、口腔内所要部位のマッサージ、唾液線の刺激等を与
えるものである。以下、一使用例として患者の嚥下反応
を促すための動作を説明する。
【0026】まず、介護者は操作部12を下方へ移動さ
せて補助具本体11を患者の下顎と共に押し下げ、患者
の口1を開放させた後、食物をスプーンで口腔内に運び
入れる。次いで、操作部12を上方へ移動させて補助具
本体11を押し上げ、患者の口1を閉鎖させる。この上
方への動作の際、本体隆起部13は患者の下唇下方面2
に接触して、補助具本体11がセット状態から上方へ外
れないように抵抗する。
【0027】また、図5に示すように、補助具本体11
は口1が完全に閉じる手前において既に口1を閉鎖する
ため、食物や唾液の口腔外への漏出を確実に防ぐ。
【0028】次に、操作部12を適宜移動させて、補助
具本体11を介して患者の唾液線を刺激して唾液の分泌
を促進させたり、口腔内所要部位をマッサージすること
により、嚥下反応を促す。なお、操作部12及び補助具
本体11の前後動に伴い、患者の頬を収縮させたり、拡
大させることができるため、食物の口腔内の左右頬側の
残留をなくし、食物を飲み込ませるようにすることがで
きる。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る嚥下障
害補助具では、補助具本体を嚥下障害者等の口腔内にお
ける下唇下方面と下歯茎との間に挿入して支持させるこ
とによってセット状態とし、操作部を介護者がつかん
で、上下、左右、前後又はこれらの複合方向へ適宜動か
すことにより、この動きに連動する補助具本体によっ
て、例えば嚥下障害者等の口を開閉させたり、頬を拡縮
させたり、唾液線を刺激したり、口腔内所要部位をマッ
サージすることができ、また、嚥下反応を促すことがで
きる。したがって、介護の負担を大幅に低減することが
できる。
【0030】更に、嚥下障害者等の例えば口の開閉機能
等を回復させるための基礎訓練を行うための器具として
も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る嚥下障害補助具を示す斜視図であ
る。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】嚥下障害補助具のセット状態を示す説明図であ
る。
【図4】セット状態を口腔外から見る概略正面図であ
る。
【図5】口が完全に閉じる手前の状態を示す概略正面図
である。
【符号の説明】
1 口 2 下唇下方面 3 下歯茎(下顎歯槽粘膜) 4 下前歯 10 嚥下障害補助具 11 補助具本体 11’ 上方縁 11” 下方縁 12 操作部 13 隆起部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 口腔内の下唇下方面と下顎歯槽粘膜との
    間に挿入・支持させ、このセット状態で口を閉じ得る弾
    性薄板状の補助具本体と、セット状態の補助具本体から
    口腔外へと突出させる操作部とを一体的に備え、前記操
    作部を介護者又は本人が把手して動かすことにより、前
    記補助具本体の連動を介して口腔内に所要の動作又は刺
    激を与えるようにしてなることを特徴とする嚥下障害補
    助具。
  2. 【請求項2】 前記補助具本体の下方縁に下顎歯槽粘膜
    側へ隆起する隆起部を設けた請求項1に記載の嚥下障害
    補助具。
  3. 【請求項3】 前記補助具本体の上方縁がセット状態で
    下前歯の上端を若干上回るようにした請求項1又は請求
    項2に記載の嚥下障害補助具。
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