JP2896872B2 - 光ファイバの撓み制御構造を有する光コネクタ - Google Patents

光ファイバの撓み制御構造を有する光コネクタ

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JP2896872B2 JP17922195A JP17922195A JP2896872B2 JP 2896872 B2 JP2896872 B2 JP 2896872B2 JP 17922195 A JP17922195 A JP 17922195A JP 17922195 A JP17922195 A JP 17922195A JP 2896872 B2 JP2896872 B2 JP 2896872B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光コネクタに関し、
特に光ファイバ心線同士を直接的に接続を行う光コネク
タにおいて、光ファイバ心線の端面から軸方向に荷重が
掛ったときに、光ファイバ心線の撓み方向を規制する構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光コネクタは、光ファイバをフェ
ルールに接着固定し、端面を研磨した後に割スリーブ等
の調芯用部材を用いて接続する所謂フェルール型コネク
タが一般的であるが、光ファイバ同士を直接接続を行う
方式の光コネクタもある。このような光ファイバ同士を
直接接続する場合には、光ファイバの接続時に撓みが発
生することが知られている。ところで、光ファイバケー
ブルは大容量の伝送を扱うだけに、信頼性の確保が重要
になる。したがって、多心で狭ピッチの光コネクタにあ
っては、光ファイバの撓み方向を規制しておかないと、
隣り合う光ファイバが干渉し合って挿入損失や反射減衰
量などの光学性能に悪影響を与える。これを簡単なモデ
ルを用いて説明すると、図12(a)に示すように、光
ファイバFの先端より荷重Pを加えて光ファイバFをΔ
xだけ移動させた場合には、光ファイバFの変形形状
は、図12(b)に示すようになる。また、このときの
光ファイバの撓み部の最高点の位置はΔyとなる。な
お、図12においては光ファイバFの撓み方向は上側方
向となった場合を示しているが、下方向、横方向(紙面
に対して垂直方向)に撓みが発生した場合もΔyの大き
さは同様である。
【0003】次に、図13に、先端の送り量Δx,光フ
ァイバFの撓み部の最高点の位置をΔyとした場合の、
Δx,Δyの関係を示す。図13より、光ファイバの長
さを20mm,光ファイバ先端の送り量Δxが0.2m
mのとき、撓み部の最高点の位置Δyは約1.8mmと
なる。ところで、多心光ファイバを接続する場合におい
て、各光ファイバの先端のバラツキおよび接続安定性等
を考慮すると、最低でも0.2mm程度の光ファイバ先
端の送り量(Δx)が必要となる。したがって、光ファ
イバ間のピッチを1mmに設定したような多心用コネク
タにおいては、光ファイバの撓み方向を規制しておかな
いと、コネクタ内の光ファイバ心線の撓み方向がバラツ
キ、隣り合う光ファイバ同士が相互に干渉して光ファイ
バの接続が外れる方向に力が作用したり、光学性能に悪
影響を与え、安定した伝送特性を実現できない。
【0004】このため、撓み方向を規制する方法とし
て、図14に示すように、光コネクタ8内において、光
ファイバ心線Fの撓み部が発生する場所に、曲げ用部材
として円筒状のピン88を用いて、光ファイバ心線Fの
撓み方向を規制することが行われている。なお、図14
において、参照番号83は調芯用部材である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の光コネクタにおいては、光ファイバの撓み方向を規
制するための部材としてピンを用いているため、光コネ
クタを構成する部品点数が多くなるとともに、これによ
り組立工数も多くなり、コストアップとなっていた。ま
た、この様なピンを内設する場合には、特にピンの長手
方向における光コネクタの大きさが大きくなり、小型化
できないといった欠点を有していた。
【0006】本発明は上記従来技術の課題に着目して提
案されたもので、光ファイバの伝送特性を維持しながら
も、部品点数の削減により組立性に優れ、かつコストダ
ウンを図るとともに光コネクタの小型化を図ることので
きる光コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、光ファイバ心線を直接接続する本発明による光コネ
クタは、アダプタと接続するコネクタプラグ内には、光
ファイバ心線をクランプするクランプ部が設けられてお
り、該クランプ部より前記アダプタと接続する方の端面
側には、端面方向に向けて上昇する傾斜底面部と、該傾
斜底面部の両側において前記光ファイバ心線のピッチ方
向の姿勢を規制するために互いに対向した側壁部が形成
されており、該互いに対向した側壁部の間隔が前記光フ
ァイバ心線の外径よりわずかに大なることを特徴とする
光ファイバの撓み制御構造を有するものである。
【0008】さらにまた、光ファイバテープ心線を直接
接続する本発明による光コネクタは、アダプタと接続す
るコネクタプラグ内には、光ファイバテープ心線をクラ
ンプするクランプ部が設けられており、該クランプ部よ
りアダプタと接続する方の端面側には、端面方向に向け
て上昇する傾斜底面部と、該傾斜底面部の両側において
前記光ファイバテープ心線のピッチ方向への姿勢を規制
するための互いに対向した側壁部が形成されており、該
互いに対向した側壁部の間隔が前記光ファイバテープの
心線よりわずかに大なることを特徴とする光ファイバの
撓み制御構造を有するものである。
【0009】
【作用】上記構成の本発明によれば、クランプ部によっ
てクランプされた各光ファイバは、その端面側に形成さ
れた側壁部によってピッチ方向の姿勢が規制されてお
り、この状態で傾斜底面部を上昇するように保持されて
いるので、光ファイバの先端に光ファイバ軸線方向への
荷重が加わった場合には、各光ファイバは傾斜方向にな
らって撓むので、各光ファイバ心線を全て同一方向へ撓
ませることができ、隣り合う光ファイバ心線同士が相互
に干渉することがない。
【0010】また、光ファイバがテープ心線である場合
にも同様に、テープ心線部が傾斜底面部を上昇するよう
に保持されているので、各光ファイバの先端に光ファイ
バ軸線方向への荷重が加わった場合には、テープ心線お
よびテープから露出された光ファイバ心線は傾斜方向に
ならって撓み、各光ファイバ心線を全て同一方向へ撓ま
せることができ、隣り合う光ファイバ心線同士が相互に
干渉することがない。
【0011】さらに、前記傾斜底面部を前記クランプ部
から前記プラグ端面側に所定距離離れた位置に形成する
ことにより、前記クランプ部の先端から前記傾斜部の先
端までの間で生じる前記光ファイバ心線の曲りが緩やか
になり、光ファイバの曲りによる損失を低減できる。
【0012】さらに、光ファイバの先端に軸線方向の加
重が加わると光ファイバに撓みが発生するが、その際、
前記側壁部のクランプ部端面側の先端が、その位置にお
ける前記光ファイバの中心軸より上側にあるように構成
することによって、光ファイバの撓みの発生が繰り返さ
れても、光ファイバは常に初期状態で設定した両側壁間
内に制限されるので、安定した繰返し性能が維持され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発
明の実施例について説明する。なお、以下の記載におい
て、先端側とはアダプタとの接続側をいい、後端側とは
これとは反対側をいうものとする。
【0014】図1は、本発明の第1の実施例における心
線タイプ光ファイバ用コネクタのプラグ1の要部周りを
示し、図2は本実施例における光ファイバ用コネクタの
プラグの全体を示すもので、図3は本実施例における光
ファイバ用コネクタのプラグの側面断面図である。これ
らの図面に示すように、プラグ1の後端側の底面部10
には凹状開口部13を有するクランプ部材11が取付け
られている。この凹状開口部13の高さ寸法は光ファイ
バ心線Fの外径寸法より若干小さく設定されている。そ
して、この各光ファイバ心線Fは凹状開口部13内を通
過するように配置されており、各光ファイバ心線Fはク
ランプ部材11と底面部10とによってプラグ1上に固
定保持(クランプ)されている。
【0015】クランプ部材11よりもプラグの先端側に
は、先端側に向けて上昇する傾斜底面部17が形成され
ている。そして、この傾斜底面部17の両側には、光フ
ァイバ心線Fを所定のピッチに整列保持するために互い
に対向した側壁部18が設けられている。光ファイバ心
線Fはこの互いに対向した側壁部18によって挟持され
た格好となってピッチ方向への撓みを規制されている。
すなわち、この互いに対向した側壁部18を設けず、傾
斜底面部17のみを設けておく場合には、図4に示すよ
うに、光ファイバ心線Fの端面より軸方向に荷重が掛か
ったときに、光ファイバ心線Fは、湾曲して、ピッチ方
向にバラツキを生じる。これに対し、側壁部18を設け
ておく場合には、図5及び図6に示すように、光ファイ
バ心線Fはピッチ方向に規制されるので、ピッチ方向に
バラツキがなく、傾斜底面部17によって上側にしか撓
まなくなる。
【0016】上記実施例においては、光ファイバ心線F
の撓み方向を規制する場合について説明したが、光ファ
イバがテープ心線の場合には、直径0.25mmの光フ
ァイバ心線FがテープTによって整列保持させられてい
るため、各光ファイバ心線Fを側壁部18間に個別に整
列させる構造を使用することはできない。
【0017】この様なテープ心線の場合には、図7に示
すように、プラグ3には、底面部30上であって、クラ
ンプ部31の先端側に、先端方向に向けて上昇する傾斜
底面部37を形成しておき、この傾斜底面部37の両側
にテープ心線Tを挟持するようにして立設する側壁部3
8を形成しておく。なお、図中、33はクランプ部材3
1にテープ心線Tをクランプ状態で延在させるために形
成された凹状開口部である。
【0018】光ファイバがテープ心線である場合には、
クランプ部材31によるクランプ部から傾斜底面部37
上の所定の位置まではテープ心線Tのままで、そこから
先は個別の光ファイバ心線Fに分割することにより、前
記実施例と同様に、光ファイバ心線の先端に軸方向に荷
重が掛かったときに、光ファイバ心線Fピッチ方向への
撓みが抑制され、上側方向にのみ撓みが許容されること
となる。なお、このテープ心線の場合においても、側壁
部38は必須であり、この側壁部38が存在しない場合
は、前記図4で示したものと同様に、光ファイバ心線F
がピッチ方向にバラツキが生じることが確認されてい
る。
【0019】なお、図8を参照して、傾斜底面部17の
形成位置をクランプ部からプラグ先端側寄りに一定距離
の位置とすることにより、光ファイバの曲りを緩やかに
することができる。尚、図において、11aはクランプ
部11の前端側位置、17aは傾斜底面部17の後端側
位置、17bは傾斜底面部17の前端側位置である。
【0020】図9に示す構造の場合には、光ファイバF
の曲率半径Rは(1)式のように表すことができる。
【0021】 R = (l1 + l2 2 /3(l2 tanθ) (1) l1 :クランプ部前端から傾斜底面部後端までの距離 l2 :傾斜部長さ θ :傾斜角 傾斜部長さl2 が2mm、傾斜角θが5度の場合、
(1)式から、クランプ部11の前端から傾斜底面部1
7の後端までの距離l1 の種々の値に対する曲率半径R
を求めることができる。l1 が0mm及び2mmの場
合、Rは、それぞれ、8mm及び30mmである。
【0022】マルモード光ファイバにおいて、8mm及
び30mmの曲率半径Rの曲りが生じた時の損失は、そ
れぞれ、0.8dB及び0.08dBであり、光ファイ
バの曲りを緩やかにすることにより、低損失化が可能で
ある。
【0023】また、図10を参照して、側壁部18のプ
ラグ前端側の先端18aが、光ファイバFの撓み時に、
その位置における光ファイバの中心軸より上側にあるよ
うに構成しておけば、光ファイバFが側壁18面上に乗
り上げることなく、安定した繰り返し性(光ファイバの
撓みの再現性)を実現できる。
【0024】更に、図11を参照して、光ファイバFの
ピッチを1mm,光ファイバの撓み部の長さを20mm
となるように設定し、光ファイバFの先端から加重を加
え、先端が0.2mm移動される時、互いに対向する側
壁18の間の距離hを0.6mmに設定した場合は、光
ファイバFのピッチ方向に最大で0.6mmのばらつき
を生じる。このため、隣り合う光ファイバ同志が互いに
干渉する。このことは、実験によっても確認された。し
かしながら、対向する側壁間の距離hを0.3mmとし
た場合(他の条件は不変として)、光ファイバのピッチ
方向のばらつきは、最大で0.3mmとなり、隣り合う
光ファイバ同志の干渉は生じなかった。
【0025】このことから、光ファイバを互いに対向す
る側壁間に挟持する構成とすることにより、隣り合う光
ファイバ同志の干渉をなくし、安定した繰り返し性を実
現できることが判る。
【0026】
【発明の効果】上記したように、本発明の光コネクタに
よれば、互いに対向する側壁部によって光ファイバ心線
のピッチ方向の姿勢が規制されており、しかも、前端側
に向けて上昇する傾斜底面部によって光ファイバ心線の
撓みが上側にのみ向かうように規制されるので、光ファ
イバ心線の先端から軸方向に荷重が加わった状態のとき
において、全ての光ファイバ心線の撓み方向が同一とな
り、これにより光ファイバ心線同士が相互に干渉し合う
ことがなく、安定した光ファイバの接続を行うことがで
きる。また、クランプ部前端から傾斜底面部の位置まで
の距離を、この区間における光ファイバの曲りを緩やか
にする長さに設定されるので、光ファイバの曲りによる
損失の増加を抑えることができる。更に、光ファイバの
撓み発生時に、光ファイバが側壁上に乗り上げないよう
に設定されているので、安定した繰り返し性を実現でき
る。
【0027】しかも、本発明によれば、この光ファイバ
心線の撓み方向を規制するのに、ピン等の部材を用いる
ことがないので、部品点数の削減になり、組立性に優
れ、コストダウンを図ることができるとともに、コネク
タの小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるコネクタプラグ
の要部周りを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるコネクタプラグ
の全体斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるコネクタプラグ
の側面断面図である。
【図4】比較例における光ファイバに加わる軸方向加重
による光ファイバの撓みを示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施例において、光ファイバに
加わる軸方向加重による光ファイバの撓みを示す平面図
である。
【図6】図5の状態の側面断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例におけるコネクタプラグ
の要部周りを示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例の要部の詳細を示す断面拡大図
である。
【図9】図8における状態を解析するための寸法関係を
示す図である。
【図10】図8において、軸方向加重が加わった時にお
ける光ファイバと側壁との関係を示す断面拡大図であ
る。
【図11】図10における状態で、互いに対向した側壁
の作用を説明するために、間隔hを定義して示した斜視
図である。
【図12】光ファイバ心線を同一方向へ撓ませる理由を
示す説明図である。
【図13】光ファイバ心線を同一方向へ撓ませる理由を
示すグラフである。
【図14】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プラグ 3 プラグ 11 クランプ部材 17 傾斜底面部 18 側壁部 31 クランプ部材 37 傾斜底面部 38 側壁部 F 光ファイバ心線 T テープ心線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/24 G02B 6/36 - 6/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ心線を直接接続する光コネク
    タにおいて、アダプタと接続するコネクタプラグ内に
    は、光ファイバ心線をクランプするクランプ部が設けら
    れており、該クランプ部より前記アダプタと接続する方
    の端面側には、端面方向に向けて上昇する傾斜底面部
    と、該傾斜底面部の両側において前記光ファイバ心線の
    ピッチ方向の姿勢を規制するために互いに対向した側壁
    部が形成されており、該互いに対向した側壁部の間隔が
    前記光ファイバ心線の外径よりわずかに大なることを特
    徴とする光ファイバの撓み制御構造を有する光コネク
    タ。
  2. 【請求項2】 光ファイバテープ心線を直接接続する光
    コネクタにおいて、アダプタと接続するコネクタプラグ
    内には、光ファイバテープ心線をクランプするクランプ
    部が設けられており、該クランプ部よりアダプタと接続
    する方の端面側には、端面方向に向けて上昇する傾斜底
    面部と、該傾斜底面部の両側において前記光ファイバテ
    ープ心線のピッチ方向への姿勢を規制するための互いに
    対向した側壁部が形成されており、該互いに対向した側
    壁部の間隔が前記光ファイバテープの心線よりわずかに
    大なることを特徴とする光ファイバの撓み制御構造を有
    する光コネクタ。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは2における光ファイバ
    の撓み制御構造を有する光コネクタにおいて、前記クラ
    ンプ部の先端から前記傾斜部の先端までの間で生じる前
    記光ファイバ心線の曲りが緩やかになるように、前記傾
    斜底面部が前記クランプ部から前記プラグ端面側に所定
    距離離れた位置に形成されていることを特徴とする光コ
    ネクタ。
  4. 【請求項4】 請求項1あるいは2における光ファイバ
    の撓み制御構造を有する光コネクタにおいて、光ファイ
    バの撓み発生時に、前記側壁部のクランプ部端面側の先
    端が、その位置における前記光ファイバの中心軸より上
    側にあることを特徴とする光コネクタ。
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