JP2896326B2 - 強撚シボ織物のシボ立ち性評価方法 - Google Patents

強撚シボ織物のシボ立ち性評価方法

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啓太 勝間
秀夫 上田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強撚シボ織物のシボ立
ち性を客観的に評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、強撚糸を用いたシボ織物は製品
の風合い、外観に特殊性を有することから縮緬に代表さ
れる和装材や細糸を用いたデシンに代表される洋装材と
して様々な分野で利用されている。また、絹織物や綿織
物だけでなく、従来より熱可塑性合成繊維の強撚糸を使
用した強撚シボ織物が種々提案されている。これらは、
繊維に強撚を施し、しかる後に該強撚糸を高温で処理し
て該強撚糸のトルクを一時的に熱固定し、該強撚糸を用
いて製織した後、該織物を熱水中でリラックス処理し
て、一時的に固定した強撚糸の解撚トルクを強く発現さ
せて、織物表面にいわゆるシボを発現せしめ、次いで幅
出しセットして強撚シボ織物とするものである。
【0003】しかるに、該強撚シボ織物のシボ立ちの良
否を明確に把握することは、該強撚シボ織物の製品性能
を決定するに非常に重要な要素である。
【0004】ところが、該強撚シボ織物のシボ立ち性の
判定は従来から特公昭62−223319号や特開平5
−263315号に見られる様に、良好、不良等の表現
や◎、△、×等の曖昧な表現で為されているに過ぎず、
どの様に改善されたのか、またどの様に不良なのかの判
別が不明であった。更に、この判定は風合い評価に長け
た専門家に依存するものが多く、主観が入り易く、また
評価者間によるばらつきも多く、必ずしも改善させる方
法が見いだせないという問題がある。
【0005】また、松本、土定らの方法(繊機誌、37、
P471 、1984)によると、畝シボの畝数、畝高さを織物
断面から測定しているが、畝を判別して測定するには熟
練が必要であり、且つ、一度に1次元的な情報しか得ら
れないという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来の諸欠点を改善し、工業的に容易に、客観的且つ
定量的に、誰でも実施できる強撚シボ織物のシボ立ち性
の客観評価方法を提案することにある。更に、本発明の
緯糸のみが強撚糸であるばかりか、経糸及び緯糸が共に
強撚糸である強撚シボ織物のシボ立ち性評価方法であ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のシボ立ち性客観
評価方法は、強撚シボ織物の布帛表面において、経糸と
緯糸の交差点間の距離Liを緯糸方向に連続して、少な
くとも20点以上測定し、式(1)及び(2)から算出
されるシボ立ちファクターfの値により、強撚シボ織物
のシボ立ち性を客観的且つ定量的に評価することを特徴
とする。
【0008】また、好ましくは、平面上にたわみなく置
いた強撚シボ織物に、斜め45°から光を照射させること
により経糸と緯糸との交点を明確にし、経糸と緯糸の交
差点間の距離Liを実体顕微鏡と画像解析装置を用いて
測定することを特徴とする。
【0009】更に好ましくは、少なくとも100本以上
の緯糸について式(1)及び(2)からfを求め、式
(3)によりその平均値を求め、式(4)のσによりシ
ボ立ちの均一性を示すことを特徴とする。
【0010】本発明をわかりやすくする為に図面を用い
て説明する。経糸と緯糸の交差点間距離Liを測定する
に際し、肉眼でも良いし、光学顕微鏡や電子顕微鏡にて
拡大した後に行っても良い。しかし、いずれも大面積に
て数多くのデータを取るのに、かなりの手間がかかる。
この解決法として、本発明者等は以下に示す方法を開発
した。図1は本発明の評価法に用いた装置の一例の概略
図である。図1において、試料台1上にシボ織物2を平
面に均一に延ばして設置し、120 gf/10 cmの一定荷
重3を経糸、緯糸方向にかける。次に、ファイバースコ
ープを用いた光源4により、織物表面上部斜め45°か
ら一定光量の光を緯糸方向に照射する。この操作によ
り、光を強く反射する経糸と緯糸の交錯部分が明瞭にな
り、強撚糸である緯糸の解撚状態がわかる。この様子を
実体顕微鏡5により観察し、その画像をCCDカメラ6
にて撮像し、このアナログ織物画像を画像解析装置7に
より、デジタル化する。このようにして、経糸及び緯糸
の交錯点を各画素位置座標に変換する。
【0011】画素位置座標に変換後、画中の分析範囲を
決定し、その範囲内における各座標点を緯糸方向に連結
させる。図2はその概略を説明したものである。分析範
囲8から、緯糸方向に一定測定距離L0を決める。更
に、図1により得られた経糸と緯糸の交差点座標間の緯
糸方向の距離Liを求め、分析範囲内におけるそれらの
総和Lを算出する。この操作により、本発明の式(2)
に示す、シボ立ちファクターfを求めることができる。
このシボ立ちファクターfを少なくとも100本以上の
緯糸について算出し、代表値としてこれらの平均値fを
求める。
【0012】更に、シボ立ちファクターの平均値fを算
出するに当り、その標準偏差σを本発明式(4)により
求め、式(5)から変動係数CV(%)を得ることがで
きる。このCV値が小であれば、シボ立ちは均一であ
り、大であれば不均一であると評価できる。 CV(%)= σ / f ×100 ・・・ (5) (ただし、σは本発明式(4)によるシボ立ちファクタ
ーfの標準偏差、fは少なくとも100本以上の緯糸の
解撚状態を表した本発明式2のシボ立ちファクターfの
平均値)
【0013】
【実施例】以下、本発明評価方法による強撚シボ織物の
客観的評価の実施例を示す。ここで用いたシボ織物は、
経糸が50D/36f無撚のポリエステル糸であり、緯
糸はそれぞれ異なった物性をもつ75D/36fポリエ
ステル糸に3000回/mの強撚をかけ、85〜100
℃で撚り止めセットを行い使用した。また、織組織は緯
糸をS撚:Z撚=2:2 で経糸に打ち込んだ平織物で
あり、経糸密度は154本/inch、緯糸密度は17
9本/inchである。該織物を通常の方法で解撚シボ
立て、アルカリ減量処理を行った。
【0014】実施例1〜4 (試料NO.1〜4) 図3は、それぞれの試料において、経糸及び緯糸の交差
点の座標を本発明の方法により求め、緯糸方向に座標点
間を結んで得たシボ立ちファクターfの度数分布図であ
る。この度数分布が正規分布に近くなり、ピークがシャ
ープになる程緯糸の解撚状態が均一であり、シボ立ちが
均一である。
【0015】度数分布から得られた、式1のf値の平均
値fと式(4)から得られた標準偏差σから計算した変
動係数CV(%)の結果を表1に示した。f値が大きけ
れば、シボ立ち性が大きく良好である。また、CV値が
小さいことは、シボ立ちが均一でまとまっていると言え
る。
【0016】比較例として、実施例で用いた試料NO.
1〜4に対する、シボ織物の風合いのベテランによる官
能評価結果を表1に示した。評価人数は5人である。表
現として、従来の評価方法を採用し、◎、○、△、×で
評価した。f値が大きい試料NO.1は◎と評価され、
f値が小さい試料NO.4は×と評価された。また、f
の値が2番目の試料NO.2は、○、fの値が3番目の
試料NO.3は△と評価された。これにより、本発明の
シボ立ち性評価法が従来の主観評価と相関があることが
理解できる。一方、シボの均一性では、CV値が小さい
試料NO.1、試料NO.2、試料NO.3が比較例で
は均一と評価され、試料NO.4は比較例では不均一と
評価された。シボ立ちの均一性についても本発明法と従
来法に大きな相関がある事が確認できた。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】以上説明したシボ立ち評価方法により、
シボ織物のシボ立ち性を客観的に、且つ定量的に安定し
て評価することができる。また、本評価法を用いること
で誰でも容易にシボ立ち性を判別することが可能であ
る。更に、定量化したシボ立ちファクターfやその変動
係数CVを用いて、原糸物性、撚糸物性等との関連性を
統計的に把握することができ、原糸や撚糸の製造条件を
決定することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の評価法に用いた装置の概略図である。
【図2】図1により測定した、経糸と緯糸の交差点間を
連結させた概略図である。
【図3】上図は実施例試料の経糸と緯糸の交差点を連結
した図であり、下図はシボ立ちファクターfの度数分布
図である。
【符号の説明】
1 試料台 2 試料 3 荷重 4 光源 5 実体顕微鏡 6 CCDカメラ 7 画像解析装置 8 分析範囲
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06H 3/08 D02G 3/30 D06C 23/04 G01N 21/89 G01N 33/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織物の表面での、経糸と緯糸の交差点間
    の距離Liを緯糸方向に連続して、少なくとも20点以
    上測定し、式(1)及び(2)から算出されるシボ立ち
    ファクターfの値により、強撚シボ織物のシボ立ち性を
    客観的且つ定量的に評価する方法。 【数1】 (但し、kは経糸と緯糸の交差点の数) f= (L- L0 )/L0 ×10000 ・・・ (2) (但し、Lは式(1)記載の値、L0 は一定測定間隔)
  2. 【請求項2】 平面上にたわみなく置いた強撚シボ織物
    に、斜め45°から光を照射させることにより経糸と緯糸
    との交点を明確にすることを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 強撚シボ織物に、斜め45°から光を照射
    し、経糸と緯糸の交差点間の距離Liを実体顕微鏡と画
    像解析装置を用いて測定することを特徴とする請求項1
    又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも100本以上の緯糸について
    測定することを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも100本以上の緯糸について
    fを求め、式(3)によりその平均値fを求め、式
    (4)のσによりシボ立ちの均一性を示す請求項1記載
    の方法。 【数2】 (但し、mは緯糸の計測本数、fjはj番目の緯糸の請
    求項1記載のf) 【数3】 (但し、mは緯糸の計測本数、fjはj番目の緯糸の請
    求項(3)記載のf、fは式3記載の値)
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CN114563421B (zh) * 2022-03-01 2022-10-14 常州市宏发纵横新材料科技股份有限公司 一种碳纤维布面的跳档检测方法及装置

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