JP2891883B2 - 抗白内障医薬組成物 - Google Patents

抗白内障医薬組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗白内障薬として還元
性チオール誘導体およびそれらのジスルフィド誘導体な
らびにスルフィド誘導体から選ばれるラジカル捕捉物質
を含む医薬組成物、それらの製剤化のための微粒子状担
体およびこれを含む医薬製剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、我が国では、人口の高齢化が進むにつれて老人性白
内障の発症率は、増加傾向にある。白内障の発生や進行
のメカニズムについて、現在まだ完全な解明はなされて
いないが、何らかの原因で水晶体中の生体内酸化防止シ
ステム機能が総体的に低下し、水晶体蛋白質が凝集する
ことによって水晶体が白濁すると一般に認識されてい
る。この酸化防止システムの機能の低下は、(1)白内障
進行過程で生体内抗酸化剤を異常に消費するような反応
系の発生、(2)水晶体の膜の透過の異常により他の水晶
体成分とともに還元性生体成分のうちのグルタチオン
(GSH)などの拡散による水晶体外への流出などが考
えられている。また、水晶体の白濁は水晶体中のNa/
Kのイオンバランスの変化およびCa2+によるイオンバ
ランスの不可逆化なども考えられている。
【0003】一方、糖尿病時に併発する糖尿病性白内障
を対象としたアルドース還元酵素の阻害による抗白内障
薬の開発にはめざましいものがあり、動物実験において
は有効性を見い出す化合物も出現している。しかしなが
ら、強力なアルドース還元酵素阻害剤を用いる臨床実験
においてアメリカ合衆国で死亡例が報告され、この種の
化合物の抗白内障薬としての応用がほとんど停止してい
る事態が生じている。以上述べたように、白内障の発生
および進行のメカニズムが明確に判明していないことと
も相俟って有効な抗白内障薬が存在せず、長年にわたっ
て、抗白内障薬として有効な薬物の開発が期待されてい
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは抗白内障薬
として、酸化防止システム機能の低下を阻害する化合物
を検索してきたが本発明はこれらの過程で得られた知見
に基づいて完成されたものである。本発明の第1は還元
性チオール誘導体またはそれらのジスルフィド誘導体ま
たはスルフィド誘導体から選ばれるラジカル捕捉物質を
提供するものである。ジエチルジチオカルバメート(D
DC)は還元性チオール誘導体の1種であり、本発明者
らにより、白内障治療効果が確認された化合物である。
角膜は脂溶性物質は容易に通過させるが、DDCは水溶
性であるために角膜の通過が困難であり、従って眼房水
中および水晶体中への取り込みがほとんど行われず、バ
イオアベイラビリティが低く、また酸化されやすく不安
定であり薬効を十分には発揮し得ないという欠点があ
る。
【0005】さらに検索を続けるうちに、角膜の通過が
容易であり、脂溶性かつ化学的に安定であるそれらの誘
導体であるジスルフィド化合物およびスルフィド化合物
が抗白内障薬として有効であることが判明した。すなわ
ち、本発明者らは、さらに、バイオアベイラビリティの
高い安定な還元性SH基を有するラジカル捕捉物質につ
いて白内障治療効果を検討するうちに、米国では禁酒薬
として用いられ投与方法および安全性が確認されている
化合物であり、DDCの二量体であるDSF(ジスルフ
ィラム:Disulfiram(bis(diethylthiocarbamyl)disulf
ide))がDDCと比較して格段に高い白内障治療効果
を示すことを知った。
【0006】DSFは、(1)脂溶性であるため角膜通過
が容易であること、および、(2)DSFはアルブミンの
還元的触媒作用により、DSFは2分子のDDCを生成
し、1分子のDDCはアルブミンのSH基と結合し、1
分子のDDCを遊離することが知られているところか
ら、角膜を通過後、眼房水中および水晶体中のアルブミ
ンにより、DDCが生成し、還元性SH基を有するDD
Cとして白内障治療効果を示すものと考えられる。
【0007】さらに、本発明の第2は、上記のジスルフ
ィドおよびスルフィド誘導体などの脂溶性抗白内障薬を
製剤化の段階で局所投与に有利な水性の製剤にするため
の微粒子状担体を提供するものである。すなわち、DS
Fは脂溶性であり、角膜の通過は容易であるが、涙液と
混和せず、眼の局所投与剤としては不利であるため、水
性製剤に調製するために微粒子状担体を用いることによ
って効果を高めこの欠点を解決した。
【0008】さらに、本発明の第3は、抗白内障薬を眼
房水中および水晶体に有効に送達するする陽荷電性微粒
子状担体を提供することである。すなわち、角膜が陰性
に荷電していることから、微粒子状担体を陽性荷電物質
で処理し、本発明者らは微粒子の陽性荷電膜のゼータ電
位を測定し、荷電膜が陽性であることを確認した。すな
わち、確実に白内障の治療剤が角膜をターゲットし、眼
房水中および水晶体に送達される、バイオアベイラビリ
ティの高い陽荷電性微粒子状担体を開発したのである。
【0009】本発明の第4は、本発明の抗白内障薬を担
持する脂溶性陽性荷電微粒子状担体を含む医薬製剤を提
供するものである。
【0010】「還元性チオール誘導体」とは、例えば、
式:
【化3】 [式中、R1、R2およびR3は、同一または異なって、
ヒドロキシ基または低級アルキルオキシ基または低級ア
ルキルカルボニルオキシ基により置換されていてもよ
い、直鎖状または分枝状の低級アルキル基である]で示
される化合物、それらの誘導体および医薬学的に許容さ
れ得るそれらの塩などを挙げることができる。
【0011】特に、DDC(ジエチルチオカルバメー
ト)、1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル−チ
オールおよび1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−テ
トラゾール−5−イル−チオールおよびそれらの医薬学
的に許容され得る塩が好ましい。
【0012】「ジスルフィド誘導体」とは、例えば、
【化4】 [式中、R1およびR2は上記と同じ意味である]で示さ
れる化合物、それらの誘導体およびそれらの医薬学的に
許容され得る塩を挙げることができる。特に好ましいの
はDSFである。
【0013】「スルフィド誘導体」としては、セファロ
スポリン類と近縁のセファマイシン類をいうセフェム系
化合物を挙げることができ、特に、セファマンドール、
セフォピラゾン、塩酸セフメノキシム、セフメタゾー
ル、セフォテタン、ラタモキセフ、セフブペラゾン、セ
フピラミド、フロモキセフおよびそれらの医薬学的に許
容され得る塩が好ましい。さらに、より好ましくはセフ
メタゾールおよびそれらの塩である。これらの化合物は
1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル−チオール
および1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−テトラゾ
ール−5−イル−チオールの誘導体である。
【0014】「ラジカル捕捉物質」とは、活性化学種で
あるラジカルに対して高い反応性をもつ化合物であり、
ラジカルと迅速に反応してラジカルを系から除去し、後
続反応を止める物質である。さらに具体的には、活性酸
素種、例えば、一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキ
サイドアニオン、水酸ラジカルなどからラジカルを捕捉
し、それにかかわる酸化反応による連鎖的生体障害を防
御し得る物質である。「処置」とは、白内障の予防およ
び白内障に由来する症状の治療を含む。低級アルキルオ
キシ基、低級アルキルカルボニルオキシ基の「低級アル
キル」とは、飽和の直鎖または分枝状の、炭素原子1〜
6個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個を
含む炭化水素残基をいう。例えばメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなどが含まれ
る。
【0015】微粒子状担体としては、リポソーム、エマ
ルジョン、ナノカプセル、アルブミンマイクロスフィア
ーなどを挙げることができる。
【0016】特に、天然由来の脂質を水中に再分散させ
たときに形成されるリポソームは、細胞膜構造を有する
人口細胞モデルとして極めて近似度が高く、組織指向性
薬物運搬体(ドラッグキャリヤー)、人口赤血球、細胞
修飾剤及び酵素固定化基剤等の医薬用材料として生体適
合性がよく、これまでにも医学、薬学の巾広い分野での
利用の可能性が提案されてきている。
【0017】しかしながら、従来のリポソームを上述の
目的に適用したとしても、現実の使用に耐える成果が得
られていないのが現状であった。その理由としては、第
1点に、従来のリポソーム自体は本来非共有結合性相互
作用による天然脂質のアッセンブリー(集合体)である
ため、生体適合性は良好であったとしても、実用化に際
して要求されるリポソーム自体の構造的安定性が欠如す
ること、ならびに第2点としてドラッグキャリヤーとし
て最も重要である特異的目的組織または目的細胞指向性
がほとんど発揮されない、という点が挙げられている。
【0018】そのため本発明者らは、これら上述の欠点
を改善すべく検討を加え、リポソームの表面を脂溶性陽
性荷電負荷物質で修飾する処理を行うことにより、生理
的条件下におけるリポソームの機械的強度を向上せし
め、またこのように処理したリポソームを生体に投与し
たときに目的組織を選択的に指向し得る能力が発揮され
ることを見い出した。
【0019】これまで、リポソームの表面をある種の脂
溶性陽性荷電負荷物質で修飾処理する技術は、基本的に
は可能とされてきたが、経験的に修飾剤の量の添加で行
われてきたのみで、定量的膜荷電の負担と膜透過性の関
係が明確にはされてきていなかった。本発明では脂溶性
陽性荷電負荷物質の添加時における膜荷電及び膜の安定
性についてゼータ電位測定及び示差走査熱量測定による
定量的に検討し、リポソームからの抗白内障薬の最適な
放出制御と角膜透過をなし得る製剤を見いだすことを可
能とした。
【0020】すなわち、かかる脂溶性陽性荷電負荷物質
により修飾処理したリポソーム内部に抗白内障薬を封入
してやれば、該リポソーム修飾化合物により陽性荷電を
示し、特異的に角膜指向性と結合性を示し、角膜上でリ
ポソームが滞留し内部の抗白内障薬が徐々に角膜を通し
て、眼内に到達できると共に、角膜及び他の眼組織に対
してほとんど害を及ぼさないことにより、上述の白内障
の有効な治療手段となる。
【0021】本発明の微粒子状担体は上記のリポソーム
以外に、医薬製剤化技術として通常用いられるエマルジ
ョン、ナノカプセル、アルブミンマイクロスフィアなど
を用いることができる。
【0022】リポソームの調製法 脂質をクロロホルム、エーテルなどの有機溶媒に溶解し
たのち丸底フラスコに入れ、窒素気流下または減圧下で
有機溶媒を除去し、フラスコ丸底に脂質の薄膜をつく
る。更に、有機溶媒を完全に除くために、減圧下でデシ
ケーター中に放置しておいてもよい。次に、適当な緩衝
液を脂質薄膜上に加え、脂質を水和させると乳濁色のリ
ポソームが得られる。逆相法によるリポソーム調製法
は、リン脂質のエーテル溶液に有効成分である化合物の
溶液を加え、超音波処理するとW/O型エマルジョンが
作成される。このW/O型エマルジョンを減圧下、エバ
ポレーターによりエーテルを除去し、次に緩衝液を加え
ボルテックスミキサーで撹拌するとW/O型エマルジョ
ンに転相し、さらに残留する有機溶媒を除去するとリポ
ソームが作成できる。いずれの場合も、本発明の抗白内
障薬が脂溶性の場合は脂質とともに有機溶媒に溶解し、
水溶性の場合は適当な緩衝液に抗白内障薬を溶解してリ
ポソームを調製する。これらの調製法のほかに、フレン
チプレス法、凍結乾燥法、凍結融解法なども用いること
ができる。
【0023】本発明で提供するリポソーム自体は、従来
公知の方法により製造することができるが、リポソーム
はリン脂質又はリン脂質とコレステロールより構成され
る従来公知のリポソームが使用し得る。かかるリン脂質
としては、卵黄リン脂質例えば卵黄レシチン、大豆リン
脂質例えば大豆レシチンの他に、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
セリン、スフィンゴミエリン、ジセチルリン酸、ステア
リルアミン、ホスファチジルグリセリン、ホスファチジ
ン酸、ホスファチジリルイノシトール等を挙げることが
でき、これらは単独あるいは2種以上の混合物で使用し
得る。なお、本発明のリポソームは少なくとも上述のリ
ン脂質から構成されるが、更に後述する内部に封入する
抗白内障薬の種類、荷電添加する脂溶性荷電化合物のい
かんによりコレステロール等を含有させることがある。
【0024】エマルジョンの製造方法 エマルジョンは乳濁液ともいうが、水−油のエマルジョ
ンには水中油滴型(W/O)および油中水滴型(O/
W)があり、乳化剤の種類を選択することによりどちら
の型も調製できる。撹拌によって一時的にそれぞれの相
が他を微粒状に分散させるが、乳化剤の性質によって一
方の連続相になり、O/W型またはW/O型のエマルジ
ョンになる。例えば、W/O/W型の複合型エマルジョ
ンは、二段階乳化法により調製する。すなわち、第1段
階で複合粒子となるW/O型エマルジョンを調製してお
き、これを適当な乳化剤を用いて再度水中に分散させ
る。また、典型的なw/o型エマルジョンは約10(w/
w)%大豆油、0.6〜2.0(w/w)%の卵レシチン(リン
脂質)および十分量の水に溶解した約2.5(w/w)%のグ
リセリンを用いて製造する。乳化剤(卵レシチン)を油
相に溶解し、容器中にて80℃に加熱し、予め80℃に
温めておいた湯をこれに添加する。高速自動撹拌機等を
用いて混合する。混合物の温度を容器中での撹拌開始
後、30分間80℃に維持する。10000回転/分で
撹拌を行う。さらに、微粒子状エマルジョンを製造する
ためには、粗粒子状エマルジョンをさらに、4500ps
i操作の二段階圧ホモジナイザーにかける。得られた分
散物は本発明のエマルジョンとして使用することができ
る。
【0025】マイクロカプセルの製造方法 薬物の微粒子を芯物質としてその表面を高分子物質によ
って被覆した粒子系をマイクロカプセルという。マイク
ロカプセルの製造方法には、コアセルベーション法、界
面重合法などで調製される。コアセルベーション法は、
例えば、被覆物質の溶液に芯物質を分散し、被覆物質の
コアセルベーションを起こさせる。ついで、芯物質の表
面にコアセルベートを凝縮させ、ついで、凝縮したコア
セルベートを硬化させる。被覆物質には、エチルセルロ
ース、ポリ乳酸、ポリビニルアセテート、ゼラチン、デ
ンプンなどが用いられる。
【0026】マイクロスフィアーの製造方法 マイクロカプセルが1種のコーティングであるのに対し
て、マイクロスフィアーは高分子担体に溶解状態または
微結晶として分散している粒子系をいう。基本的には、
アルブミン水溶液(この中に薬物を溶解またはけんだく
させる)を綿実油または有機溶媒とでW/O型エマルジ
ョンとし、加熱変化、化学的架橋、液中乾燥、放射線重
合などによって固化させて調製する。担体として生体内
分解性の材料である、アルブミン、ゼラチン、デキスト
ラン、ポリ乳酸、ポリエチレンカーボネートなどと非分
解性のポリスチレン、アガロース、ポリアクリルアミド
などがある。界面活性剤の使用によって、0.3〜50
0μmの大きさまで変化させることが可能である。
【0027】ナノカプセルの製造方法 粒子がナノメーターのサイズのものをいう。マイクロカ
プセルと同様にコアセルベーション法とミセル重合法な
どがある。高分子材料として、アルブミン、ゼラチン、
アルキルシアノアクリレートなどが用いられる。
【0028】微粒子状担体の脂溶性陽性荷電処理方法 微粒子状担体を形成する脂質を溶解する有機溶媒に脂溶
性陽性荷電負荷物質を添加し、微粒子を調製すると同時
に表面荷電処理を行う。
【0029】本発明で用いる脂溶性陽性荷電負荷物質と
しては、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ジメチル
ジアルキル(炭素数8〜18)アンモニウムブロミド
(DC−1−8〜18)、N−メチル−N−(β−ヒド
ロキシエチル)−ジドデシルアンモニウムブロミド(D
C−2−12)、N−(α−トリメチルアンモニオアセ
チル)−ジドデシル−L−グルタメートクロリド(DC
−3−12L)、N−(α−トリメチルアンモニオアセ
チル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(DC
−3−12D)、N−(α−トリメチルアンモニオアセ
チル)−O,O’−ビス−(1H,1H,2H,2H−
パーフルオロドデシル)−L−グルタメートクロリド
(DC−5−8F2L)など、およびカチオン界面活性
剤であるアミン塩として、例えば、アルキルアミン塩、
ポリアミンおよびアルカノールアミン脂肪酸誘導体、ア
ルキル四級アンモニウム塩として、例えば、アルキルト
リメチルアンモニウム塩、ジアルキルジトリメチルアン
モニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
塩、環式四級アンモニウム塩として、例えば、アルキル
ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、芳香族
アンモニウム塩として、例えば、塩化ベンゼトニウム
塩、含窒素型界面活性剤である、例えば、ポリオキシエ
チレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン、アルキロールアミド、アルキルアミンオキシドなど
を挙げることができる。脂溶性陽性荷電負荷物質は、微
粒子の総担体成分、例えば、脂質成分に対して、1〜3
0モル%、好ましくは、3〜20%、最も好ましくは、
5〜15%添加する。
【0030】上記の方法に従って調製した本発明の抗白
内障薬を含む脂溶性陽性荷電負荷微粒子状担体は通常の
製剤技術により、水性点眼剤、水性懸濁点眼剤、非水性
点眼剤、非水性懸濁点眼剤、眼軟膏剤に調製することが
できる。1回当たりの投与量は、白内障の症状の重さ、
患者の年令などによって変化するが、本発明に用いられ
る薬物の毒性が非常に低いことから、特に制限はない
が、1μg〜1mgである。また1日当たりの投与量は
1μg〜50mgである。
【0031】
【実施例】
実施例1 DSF含有リポソームの調製法 逆相溶媒蒸発法を一部修正した方法を用いた。すなわ
ち、ジクロロメタン10mlにDSF10mg、DPPC
(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、DMPC
(ジミリストイルホスファチジルコリン)およびCPC
(セチルピリジニウムクロリド)を溶解させ溶媒相とし
た。この溶媒相と、緩衝液(A:ヒンド−ゴーヤン緩衝液
pH6.5、B:ギフォード緩衝液 pH8.0)10ml
を三頸フラスコに入れ、窒素気流中で浴槽型ソニケータ
ーにより10分間超音波処理を行った。次に20分間撹
拌し、乳剤とした後、30分間アスピレーターで減圧
し、ジクロロメタンを除去した。調製温度は37℃で行
った。このようにして調製したリポソームを1.0、0.
6、0.2、0.1μmの異なる4種のポアサイズを有す
るメンブランフィルターを装着したエクストルーダーに
それぞれ10回ずつ通し、粒子径の均一な一重線リポソ
ーム(平均粒子径約80nm)とした。 セフメタゾン含有リポソームの調製 DSFをセフメタゾンに代替して実施例1同様にしてセ
フメタゾン含有リポソームを調製した。
【0032】DSF含有リポソームの封入率測定 リポソーム中のDSF濃度は、前述の調製法により得ら
れたリポソーム標品にメタノールを加え、脂質膜を破壊
したものに内標溶液を加えてHPLC法により測定し
た。また、リポソームを緩衝液(A:ヒンド−ゴーヤン
緩衝液 pH6.5B:ギフォード緩衝液 pH8.0)で
5倍希釈したものをセントリザルトIを用いて限外ろ過
し、得られたリポソーム外液に内標を加え、HPLC法
により外液中の薬物濃度を測定した。外液に薬物を検出
しないことを確認し、リポソーム調製時に添加したDS
F量を100%として封入率を算出した。
【0033】DSF含量リポソームの封入率 リポソームは表1に示す相転移温度の異なる脂質組成
で、リポソーム外液pHを6.5、8.0として合計5種
の標品を調製した。いずれのリポソームも封入率は約9
0%以上と良好であった。また、リポソーム外液に薬物
は検出されなかった。
【0034】DSF含有リポソーム膜ゼータ電位測定 ゼータ電位測定には米国ペン・ケム(PEN KEM)社製レー
ザー回転プリズム方式ゼータ電位測定装置ラザー・ジー
・メーター(LAZAR ZEE METER)型501を使用した。試
料にリポソームをリン酸カリウム緩衝液(5mM K2
PO4、5mMKH2PO4 pH6.5)で150倍希釈し
たものを用い、電圧150Vで測定した。温度変化によ
るゼータ電位の補正は次のようにして行った。 ゼータ電位(補正値)=ゼータ電位(測定値)×(1−0.0
2T) T:測定温度−20℃
【0035】DSF含量リポソーム膜ゼータ電位測定結
果 CPCはリポソームの保持効率や膜透過性の向上を図る
ため、膜に正荷電を与えることを目的として加えたが、
ゼータ電位測定結果より、脂質に対して1モル比のCP
Cを添加したリポソーム膜は正荷電(40〜50mV)を
持ち、無添加のものは負荷電(約−13mV)を持つこと
がわかった。
【表1】
【0036】DSF含有リポソームからのDDCの放出
試験 リポソームを緩衝液((1)ギフォード緩衝液 pH8.0、
(2)ギフォード緩衝液pH6.5)で2.5倍希釈したもの
と、同じ緩衝液でウシ血清アルブミン(BSA)を溶解し
た液を0.25mlずつ混合し、0〜6時間、35℃で加
温したのち氷冷する。セントリザルトIを用いて限外ろ
過を行い、内標を加えてHPLC法によりDDC放出量
を測定した。
【0037】 DSF含量リポソームからのDDCの放出性 (1) DPPC/DMPC/CPC(2/8/1) リポソーム外液:ギフォード緩衝液、pH8.0 図1にリポソーム外液をpH8.0にした場合のDDC放
出量を示した。pH9.5の場合と比べ、放出量は減少し
たが、DPPC/DMPC/CPC(2/8/1)および
(5/5/1)の両リポソームともに3.5% BSA添
加の場合のDDC放出量が最高値を示した。
【0038】 (2) DPPC/DMPC/CPC(2/8/1) リポソーム外液:ヒンド−ゴーヤン緩衝液、pH6.5 リポソーム外液をpH6.5にした場合の放出試験を行っ
た結果、DDCの放出は認められなかった。BSA溶液
は1.0、1.75、3.5%の3種類の濃度のものを使
用した。
【0039】イン・ビトロ角膜透過試験 体重約2.0kgの雄性白色家兎に、致死量のペントバル
ビタール注射液を耳静脈より注入することにより安楽死
させた後、眼球を注意して取り出し、角膜部分を強膜の
1〜2mmを残して傷つけないように摘出した。この角膜
を図2に示すようなアクリル樹脂製角膜透過セルに装着
し、房水側には等張のHEPES緩衝液(10mM HE
PES、136.2mM NaCl、5.3mM KCl、1.
0mMK2HPO4、1.7mM CaCl2・2H2O、5.5
mM ブドウ糖 pH7.4)、涙液側にはDSFリポソー
ム・BSA混合液を加え、角膜表面温度である35℃で
加温した。実験開始から6時間後まで経時的に50μl
ずつ房水側液を採取し、HPLC法により透過薬物量を
測定した。
【0040】イン・ビトロ角膜透過試験結果 (1) DPPC/DMPC/CPC(2/8/1) リポソーム外液:ギフォード緩衝液、pH8.0 リポソーム外液をpH8.0とし、脂質組成DPPC/D
MPC/CPC(2/8/1)のリポソームを用いた場合
の角膜透過量を図3に示す。外液に1.75%BSAを
添加した場合と、無添加の場合について試験したが、両
者とも同等のDDCの透過が認められ、これはDPPC
/DMPC/CPC(5/5/1)の透過量と比較すると
約2倍の量であった。
【0041】 (2) DPPC/DMPC/CPC(2/8/1) リポソーム外液:ヒンド−ゴーヤン緩衝液、pH6.5 図4にリポソーム外液をpH6.5とした場合のDDCの
角膜透過量を示す。1.75% BSAを添加したもの
と無添加のものについて試験を行った。BSAの有無に
関わらずDDCの角膜透過が認められたが、pH8.0の
場合の1/2程度まで透過量が低下した。
【0042】実施例2 乳酸−グリコール酸共重合ポリマーを用いたDSFマイ
クロスフェアーの調製方法 LGA−7515(乳酸−グリコール酸共重合ポリマ
ー、和光純薬)850mg、DSF100mg、塩化セチル
ピリジニウム(CPC)50mgを2.5mlの塩化メチレン
に溶解し、1リッターの三頚フラスコに蓄えた0.5%
ポリビニルアルコール(PVA)150ml中に全量を添
加する。溶液の温度を25℃に保ちながら、テフロン回
転子を用いて500rpmの回転速度で2時間撹拌する。
上記の溶液を水流ポンプを用いて2時間減圧し、塩化メ
チレンを除去する。このようにして調製したマイクロス
フェアーは297、177、75μmの網目を持った篩
を通過させ、得られたろ液中のマイクロスフェアーをガ
ラスフィルター(17G4)により集める。ガラスフィ
ルター上のマイクロスフェアーは精製水にてPVAが完
全に除去されるまで洗浄する。ガラスフィルター上に集
められたマイクロスフェアーはデシケーター中で減圧下
乾燥する。このようにして調製されたマイクロスフェア
ー中のDSFの封入率は約90%であった。また、この
マイクロスフェアーの粒子径は約1μmであった。
【0043】実施例3 DSF含有アルブミン・マイクロスフェアーの調製方法 ウシ血清アルブミン250mgを精製水1mlに溶解し、こ
こへDSF250mgを懸濁させる。次にこのアルブミン
−DSF懸濁液をスパン85を10%(v/v)含む綿
実油中(100ml)に加え、ガラススタラーで回転速度
250rpm、10分間撹拌後、超音波発生装置(島津US
P−600)を用いて乳化(100w、30分間)し、
油中水型(W/O型)のマイクロエマルジョンとする。
これを100℃のグリセリン油浴中に添加しマイクロス
フェアーとする。以後、エーテル等の有機溶媒を使って
油分を除去し、デシケーター中で減圧乾燥する。このよ
うにして調製されたマイクロスフェアー中のDSFの封
入率は約95%であった。このDSF含有アルブミン・
マイクロスフェアーの粒子径範囲は0.6〜1.5μmで
あり、平均粒子径は約1μmであった。
【0044】実施例4 製剤例 実施例1で製造されたDSF封入リポソームはそのまま
で水性分散製剤として使用が可能であるが、必要に応じ
て保存剤、等張化剤などの通常用いられる添加剤を加え
点眼用の製剤にする。
【0045】イン・ビトロ白内障惹起及び水晶体中GS
H測定による抗白内障薬活性試験 (1) 試験法 5〜6週齢のddY系マウス(雄性)の頸部を脱臼させて安
楽死させた後、眼球から水晶体を実体顕微鏡下で摘出
後、D−MEM(低ブドウ糖)培地で37℃、2時間予備
加温した。その後、無傷の水晶体を実体顕微鏡下で選別
し、1mMのダイアミド(diamide)を含むブドウ糖無添加
のHEPES緩衝液(組成:10mM HEPES、13
8.85mM NaCl、5.4mM KCl、1mM K2
PO4、1.7mM CaCl2 2H2O pH7.4 37
℃)3ml中で37℃、1.5時間加温により白内障を誘発
させ、薬物効果を見るために、1mMのグルタチオンイ
ソプロピルエステル(GE)またはDDC−Naを含むH
EPES緩衝液(組成:10mM HEPES、136.
2mM NaCl、5.3mM KCl、1.0mM K2HP
4、1.7mM CaCl2・2H2O、5.5mM ブドウ
糖 pH7.4)3ml中で37℃、5時間加温する群と、
白内障の進行を見るためにHEPES緩衝液3ml中で3
7℃、5時間加温する群(ダイアミド(+)群)とに分けて
処理を行った。対照群は、ブドウ糖無添加のHEPES
緩衝液3ml中で37℃、1.5時間加温、その後HEP
ES緩衝液3ml中で37℃、5時間加温した(ダイアミ
ド(−)群)。ここまで処理された水晶体の全てについて
湿潤重量を測定した。
【0046】(2) 水晶体中GSHの定量 A.DTNB法 処理した水晶体及び精製水0.5mlを加えテフロンホモ
ゲナイザーでホモゲナイズした。このホモジネイト10
0μlをサンプルチューブに入れ、更にメタリン酸溶液
150μlを加え5分間放置後、12000×gで15分
間低温遠心分離を行い、その上清200μlに0.3M
Na2HPO4液800μl、DTNB液(DTNBは、ビ
ュトラー(BEUTLER)によって提唱され、試薬自体水溶
性で扱い易く、再良性も良い。DTNBの存在下、還元
グルタチオンは酸化型グルタチオンとなり、一方DTN
Bは、定量的に還元され、412nmに吸収をもつ色素と
なる)を100μl加え、水晶体中のGSH量を定量し
た。定量は、島津製作所UV−2200吸光度計を用い
て、吸収波長412nmで行った。検量線はGSH標準品
であるGSHを精製水で希釈し、濃度0〜100μg/m
lの範囲で作成した。試料は検量線の濃度範囲になるよ
うにし定量を行った。水晶体1個あたりのGSH量は次
式により求めた)。 水晶体中GSH量(μg/レンズ)=(412nmの吸光度値/
検量線の傾き)×0.5
【0047】 B.高速液体クロマトグラフィー(HPLC法) 本測定法の概略を以下に示す。イン・ビトロ法で白内障
惹起した水晶体及び精製水をラットでは1ml、マウスで
は0.5mlを加え、テフロンホモゲナイザーでホモゲナ
イズした。このホモジネイト50μlに内標100μlを
加え12000×g、15分間低温遠心分離を行い、上
清をポアーサイズ0.45μmのクロマトディスク4Nで
ろ過後、HPLCで定量した、HPLC装置は島津製作
所LC−10ADに可視紫外部検出器SPD−10Aを
接続しデータ処理にC−R5Aを用いた。移動相として
0.1%TFAを含む5%メタノールを用い検出波長は
210nm、流速は1.0ml/分で行った。カードカラム
を接続した分離カラムは、メルク(Merk)社スーパース
フェア(Superspher)100RP−18(4μm、4.0×
250mm)を用いた。内部標準物質として100μg/ml
パントテン酸ナトリウムのメタノール溶液を調製し、採
取液:内標を1:2の割合で混合したものを10μlH
PLCに注入して定量を行った。検量線の作成は試料と
同じ条件で10−500μg/mlの濃度範囲で行った。
これより得られた検量線の傾きからGSH量を算出し
た。HPLC法では、水晶体標品、GSH標準品ともに
ピークがきれいに分離していることより、正確で安定し
た測定が可能であった。
【0048】 (3) 水晶体中GSH測定における抗白内障薬活性効果 DTNB法による水晶体中のGSH量を表2と図5で示
す。
【表2】 DTNB法による水晶体中GSH量 水晶体1個当たりのGSH量(μg/レンス゛) 偏差 ダイアミド(−) 10.3 0.5 ダイアミド(+) 7.6 0.3 1mM GE 10.3 0.8 1mM DDC−Na 9.8 0.8 ダイアミド(−)とダイアミド(+)を比較すると、10.
3±0.5μg/レンズ、7.6±0.3μg/レンズと減
少が認められた。1mM GE、DDC−Naの処理によ
り、それぞれ10.3±0.8μg/レンズ、9.8±0.
8μg/レンズとなり、ダイアミド(−)の値まで回復し
ている。
【0049】HPLC法による水晶体中のGSH量を表
3と図5で示す。
【表3】 HPLC法による水晶体中GSH量 水晶体1個当たりのGSH量(μg/レンス゛) 偏差 ダイアミド(−) 4.4 0.3 ダイアミド(+) 3.1 0.2 1mM GE 4.0 0.2 1mM DDC−Na 3.9 0.4 ダイアミド(−)とダイアミド(+)を比較すると、4.4
±0.3μg/レンズ、3.1±0.2μg/レンズと減少
が認められた。有意に水晶体混濁が誘発されていること
が明らかである。1mM GEまたはDDC−Naの処理
により、それぞれ4.0±0.2μg/レンズ、3.9±
0.4μg/レンズとなり、ダイアミド(−)の値まで回復
している。
【0050】イン・ビトロ白内障治療実験におけるマウ
ス摘出水晶体中Na/K比およびCa2+含量の変化によ
る抗白内障薬活性試験 (1) 試験法 5週齢のddY系マウスの水晶体を実体顕微鏡下で摘出
後、24穴組織培養用カルスター(24-WELL TISSUE CULT
URE CLUSTERS)に個々に分け入れ、低ブドウ糖のD−M
EM培地で37℃、18−20時間、CO2インキュベ
ーター中で予備加温する。その後水晶体に懸濁を認めな
いものを選び出して1mM ダイアミドのHEPES(ブ
ドウ糖無添加)緩衝液3ml中で37℃、1.5時間加温し
白内障を誘発させた。薬物の治療効果を見るために1m
M治療薬のHEPES(ブドウ糖添加(10mM HEP
ES、136.2mM NaCl、5.3mM KCl、1.0
mMK2HPO4、1.7mM CaCl2・2H2O、5.5m
M ブドウ糖、pH7.4)緩衝液3ml中で、一方、白内
障の進行を見るためにHEPES(ブドウ糖添加)緩衝液
3ml内で37℃、5時間加温した。これをダイアミド
(+)とする。コントロール群の処理はダイアミド(−)と
した。ここまで処理された水晶体全ての湿潤重量を測定
後、真空乾燥器を用いて、100℃で7時間以上減圧乾
燥し、乾燥重量を測定する。60%硝酸100μlを加
え、水晶体が溶解するまで80℃、約20分灰化後、精
製水1mlを加えて3000×gで10分間遠心分離し、
その上清を200μl分取し、精製水3mlを加えてNa−
K測定用サンプルとする。上清の残り全量に塩化ランタ
ン100μlを加え、3000×gで10分間遠心分離し
た上清をCa測定用サンプルとした。
【0051】 (2) C.Na、K及びCaイオンの原子吸光測定法 Na、K及びCaイオン含量の定量は、日立180−80
型原子吸光測定装置により測定した。 原子吸光測定条件 Na K Ca ランプ電流 10mA 10mA 10mA 波長 589.0nm 766.5nm 422.7nm スリット 0.4nm 2.6nm 2.6nm バーナーヘッド 標準形 標準形 標準形 バーナー高さ 7.5mm 7.5mm 12.5mm フレーム 空気-アセチレン 空気-アセチレン 空気-アセチレン 助燃ガス圧力 1.6kg/cm2 1.6kg/cm2 1.6kg/cm2 燃料ガス圧力 0.25kg/cm2 0.3kg/cm2 0.4kg/cm2
【0052】検量線の作成はNa標準品、K標準品、6
0%硝酸に精製水を加え、Na−K原液とし希釈してNa
濃度:0〜2.5μg、K濃度:0〜5μgの範囲となる
ように作成した。またCaも同様にしてCa原液とし、希
釈し塩化ランタン100μlを加えCa濃度:0〜25μ
gの範囲で作成した。水晶体中のNa、K及びCa量は次
の式により求めた。 水晶体中のイオン量=(吸光度/検量線の傾き)×(1
100/200)÷ 原子量 ÷ 水分含量 ここで示す水分含量は、湿潤重量から乾燥重量を引くこ
とによって得られる水晶体の水分量のことである。
【0053】イン・ビトロ白内障治療実験におけるマウ
ス摘出水晶体中Na/K比およびCa2+含量の変化によ
る抗白内障薬活性効果 ダイアミド処理後マウス摘出水晶体を用いたイン・ビト
ロ白内障治療実験の結果をNa/K比として表4および
図6に示す。
【表4】 水晶体中のNa、KおよびCa量とNa/K比 Na K Ca Na/K比 ダイアミド(−) 22.03±3.39 95.90±3.49 1.20±0.27 0.23±0.04 ダイアミド(+) 60.38±13.49 61.29±13.78 1.98±0.27 1.11±0.04 DDC-Na 36.56±4.38 86.25±4.02 1.09±0.33 0.43±0.07 GE 51.60±9.57 79.67±8.63 1.39±0.30 0.67±0.20 CMZ 40.59±10.16 84.91±10.06 1.11±0.36 0.50±0.19
【0054】ダイアミド(−)は細胞内Na/K比と同様
の値を示し、0.23±0.04mmol/kg H2Oとな
り、白内障が誘発されたダイアミド(+)では1.11±
0.56mmol/kg H2Oまで増加した。治療薬物はSH
基を有するGE、CMZそしてDSFの還元体であるD
DC−Naの3種の薬物と、比較物質として強力な還元
作用を有するDTT(ジチオスレイトール)を用いた。
この薬物処理はいずれも、ダイアミド(+)に比較し有意
にNa/K比が低値を示し、特に、DDC−Naで顕著な
治療効果が認められ、0.43±0.07mmol/kg H2
Oとコントロール値に近づき、続いてCMZ、DTT、
GEの順に効果が認められた。
【0055】図7はCaイオンの挙動について調べた結
果を示した。ダイアミド(−)で1.20±0.27mmol/
kg H2O、ダイアミド(+)では1.98±1.00mmol
/kgH2OまでCa含量が増加した。このCa含量に対し
てもDDC−Naは最も優れた低下作用を示し、またD
DC−Naに次いでCMZにおいても有意なCaイオン低
下作用が認められた。一方、他の2種の薬物でもCaイ
オン低下作用を示したが、有意な差が認められなかっ
た。
【0056】アルドースレダクターゼ(AR)阻害による
抗白内障薬活性試験 (1) 試験法 ラットの水晶体を摘出し重量を測り、これに20倍量の
5mMリン酸ナトリウム緩衝液(5mM NaH2PO4
2H2Oを200ml、5mM Na2HPO4、pH7.4)
を加えホモジナイズし、18000×gで5分間遠心分
離し上清とする。これに760g/l(100%飽和)硫安
を加えて30〜75%飽和硫安画分を集め、最終的に
3.2M硫安に懸濁させAR酵素液(約45単位/ml)と
する。反応系濃度は1.0ml中当たりに0.1M NaH2
PO4緩衝液(pH6.2)、0.4MNH4SO4、10mM
DL−グリセルアルデヒド、0.16mM NADP
H、AR酵素液を含有した。このため試薬は0.8M(N
4)2SO4含む0.2M NaH2PO4(pH6.2)、10
0mM DL−グリセルアルデヒド(精製水で溶解)、1.
6mM NADPH(5mMリン酸ナトリウム緩衝液で溶
解)、AR酵素液を用意した。AR酵素液の濃度はNA
DPHのモル吸光度係数が6220 O.D./Mである
ことから、0.0625〜0.1 O.D./分の範囲にな
るように5mMリン酸ナトリウム緩衝液で希釈し、コン
トロールをとって調整した。
【0057】(2) NADPHの吸光度測定法 NADPHの減少する速度を吸収波長340nmで島津自
記分光光度計UV−2200を用いて行った。測定条件
は、次に示すとおりである。 時間におけるパラメーター 測定モード:ABS サンプリングピッチ(デルタt):自動(0.5秒) 波長:340.0nm スリット幅:2.0nm 測定時間:300秒 石英セル(1.0ml)に、0.8M(NH4)2SO4を含む
0.2M NaH2PO4(pH6.2)緩衝液0.5ml、AR
酵素液0.1ml、1.6mMまたは2mM NADPH溶液
0.1ml、精製水0.1ml、5%DMSOまたは精製水
0.1ml、100mMDL−グリセルアルデヒド溶液0.
1mlの順に加えすばやく攪拌し測定した。これをコント
ロールとし、検索薬物はクエルシトリン、DSFは5%
DMSO、他の薬物は精製水に溶解し、濃度をかえて測
定した。この時恒温槽を用いて30℃に保ち、5分間反
応を見る。
【0058】(3) アルドースレダクターゼ(AR)阻害
活性効果 AR阻害実験を行った全薬物と測定濃度範囲は表5に示
す通りである。強力なAR阻害活性を認めた薬物の阻害
プロファイルを図8に示す。縦軸に阻害%、横軸に薬物
濃度μMを取り、それぞれの薬物についてプロットし、
このグラフから50%阻害に値する濃度を求め、IC50
として表した。クエルシトリンをAR阻害剤の基準化合
物とし、ピレノキシンは現在使用されている点眼薬成分
で比較物質として用いた。S−SまたはSH基を有する
薬物ではDSF>CMZ>GEの順で強力なAR阻害活
性を示した。フルスルチアミンからGSSGのS−Sお
よびSH化合物においては上記の薬物ほど顕著な阻害活
性は認められず、また塩酸チアミンおよびグルタチオン
チオールエステルであるS−メチルグルタチオンからS
−(n−プロピル)グルタチオンまでは阻害活性が認めら
れなかった。
【表5】
【0059】イン・ビボにおけるジスルフィラム封入リ
ポソームの抗白内障活性試験 実施例1において調製したジスルフィラム(テトラエチ
ルチウラム=ジスルフィド:DSF)封入リポソームを
用いて、X線照射および亜セレン酸により人工的に惹起
された白内障に対する有効性の判定を行った。X線照射
により惹起された白内障は老人性白内障に病態が似てお
り、亜セレン酸による白内障は3週齢以前の幼若ラット
にのみ惹起される白内障である。 しかし、下記の結果に示されるように、亜セレン酸によ
る白内障ではGSHの低下、Ca量の増加が起こり、核
白内障が発症した。老人性白内障においてもGSH量の
低下、Ca量の増加がみられるところから、老人性白内
障の動物実験モデルの1つとして使用が可能である。有
効性の判定には水晶体中のNa/K比、Ca量、GSH量
の測定と共に、前眼部画像診断装置EAS−1000
(ニデック社製)により撮影された画像を定量化するこ
とにより、動物を殺生せずに経時的に白内障進行状態の
判定を行った。
【0060】 X線照射による白内障惹起及び種々の薬物投与試験 (1) 白内障惹起方法 9週齢(雄性)BNラットをうつ伏せに固定し、10G
yのX線を頭部に照射した。この時、全身へのX線障害
を防ぐ目的で頭部以外を鉛製の衣で覆った。
【0061】(2) 画像診断 (i) 投与法及び画像診断法 (1)で処理のラットを用いてDSF(100mg/dl)懸濁
液、DDC−Na(N,Nジエチルジチオカルバミン酸
ナトリウム)(100mg/dl)溶液、GE(グルタチオ
ンイソプロピルエステル)(200mg/dl)溶液、CM
Z(セフメタゾールナトリウム:セフメタゾン)(10
0mg/dl)溶液の点眼液剤を1回10μl上記ラットの
両眼に1日3回6カ月間投与し、白内障進行状態の判定
の為に1カ月毎にEAS−1000によりスリット及び
徹照撮影による画像診断を行った。
【0062】(ii) 画像解析法 投与6カ月後のスリット画像をEAS−1000(Dens
itmetory Integratedarea)により解析し、その混濁の
程度を水晶体の前極部、核部及び後極部の3つの部位に
ついて数値化した。
【0063】(iii) 画像解析によるDSF投与の効果 図9はX線照射6カ月後のDSF投与ラットの画像診断
についてMacintoshソフトNIHImageにより解析した
結果を示す。X線照射により薬物非処理動物の前極、後
極、最後に核の順で白内障が進行した。図9から明らか
なように、DSF投与ラットでは後極部の混濁はみられ
ず、前極部での混濁も抑制されている。
【0064】 (iv) 画像解析結果の数値化による薬物効果の判定 投与6カ月後のスリット画像のEAS−1000による
解析結果のグラフを以下に示す。図10−A、表1に水
晶体前極部における混濁の比較を示す。薬物非処理動物
群に比べ、DSF、GE投与群ではわずかではあるが混
濁が少なかった。しかし、有意な差は認められなかっ
た。同様に図10−B、表1に核部における比較を示
す。核部においては図2−B、表6から明らかなよう
に、混濁に対する薬物の効果は認められなかった。次
に、図11、表6に後極部における比較を示す。後極部
ではDSF、DDC−Na、GE投与群で混濁の減少が
観察され、中でもDSF投与群が見かけ上最も低値を示
した。しかしここでも有意差は認められなかった。X線
照射による白内障惹起ではX線照射時に動物を固定する
ことが困難で、常に一定の位置への照射ができないとい
う問題点があり、データのばらつきの原因になる場合か
多い。
【表6】 画像解析結果の数値化による薬物効果 前極 核 後極 対照 1206± 759 203397±37889 1818± 1728 X線照射対照 4630±1736 259396±25752 12720± 9449 DSF投与 3515±1656 279951±32227 5716± 3798 DDC-Na投与 4707±1494 295824±42134 9347± 5658 GE投与 3897±2299 249074±55147 7787± 6704 CMZ投与 4578±2214 264612±52206 12304±10843
【0065】 (3) 摘出水晶体中Na/K比、Ca量の測定法 前述の6カ月飼育後のBNラットの水晶体をクロロホル
ム麻酔下で摘出し、右眼水晶体を用いて次の操作を行っ
た。湿潤重量を測定し、真空乾燥器を用いて100℃で
7時間以上減圧乾燥し、乾燥重量を測定した。この水晶
体1個につき60%硝酸100μlを加え、乾燥器中で
80℃、約30分間灰化し水晶体を溶解した。これに超
純水2ml加え、3000rpm、15分間遠心分離を行っ
た。ここで得られた上清を200μl採取し、超純水3
ml加え、Na、K測定用サンプルとした。残渣に塩化ラ
ンタン(Ca:10±0.3w/v%)を100μlを加
え、3000rpm、15分間遠心分離した上清をCa測定
サンプルとした。このサンプルを日立180−80型原
子吸光測定装置により測定した。
【0066】(4) 摘出水晶体中還元型グルタチオン
(GSH)量測定法 先の摘出水晶体中左眼水晶体を用いてHPLCによりG
SH量の測定を行った。摘出水晶体1個につき0.1%
TFAin5%MeOH0.5mlを加え、テフロンホモゲナ
イザーでホモゲナイズした。このホモジネイト50μl
に100μg/mlパントテン酸ナトリウムMeOH溶液1
00μlを内標として加え12,000g15分間低温遠
心分離を行った。次に上清をポアーサイズ0.45μmの
クロマトディスク4Aで濾過し、HPLCにより測定し
た。HPLC装置は島津製作所製LC−10ADに可視
紫外部検出器SPD−10Aを接続し、データ処理にC
−R5Aを用いた。カラムはMerk社のSuperspher10
0RP−18(4μm、4×250mm)を用い、溶離液
0.1%TFAin5%MeOH、stop time19分、流速
1ml/min、波長210nm、圧力150kg/cm2の条件下
で10μlHPLCに注入して測定した。検量線は同一
条件下で10〜500μg/mlの濃度範囲で作製した。
この検量線の傾きからGSH量を算出した。
【0067】(5) 摘出水晶体中Na/K比、Ca量、G
SH量に対する薬物の効果 図12−A、表7にX線照射によるNa/K比に対する
各薬物の効果を示す。薬物非処理動物群のNa/K比は
0.43±0.11であり、正常ラットの0.26±0.0
6に比べ上昇した。薬物投与群中DSF、DDC−N
a、GEにおいてNa/K比の上昇を抑制する傾向が認め
られた。図12−B、表7にX線照射によるCa量に対
する各薬物の効果を示す。薬物非処理動物群のCa量は
4.2±2.3、正常ラットでは1.2±0mmol/kgH2
であり、X線照射によるCa量の増加がみられる。また
薬物投与群中GEはCa量増加を抑制する傾向がみられ
たが、他の薬物群では認められなかった。図13、表7
にX線照射によるGSH量に対する各薬物の効果を示
す。X線照射によりGSH量は135.2±12.0から
100.1±12.0μmol/lensに減少したが、DS
F、DDC−Na、GEの投与により、この減少を有意
に抑制することができた。また、CMZ投与では減少を
抑えることができなかった。
【表7】 水晶体中Na/K比、Ca量、GSH量 Na/K比 Ca量 GSH量 (mmol/kg H2O) (μmol/lens) 対照 0.26±0.06 1.2±0 135.2±12.0 X線照射対照 0.43±0.11 4.2±2.3 100.1±12.0 DSF投与 0.35±0.08 4.4±1.6 137.3±22.6 DDC-Na投与 0.37±0.15 4.2±1.3 126.7±25.3 GE投与 0.30±0.06 2.7±1.3 130.6±29.9 CMZ投与 0.47±0.20 4.0±2.3 99.7±21.7
【0068】亜セレン酸ナトリウムによる白内障惹起及
び種々の薬物点眼実験法 (1) 白内障惹起方法 亜セレン酸ナトリウムを3週齢Wistar系ラット頚部皮
下に注射(3.28mg/kg)し、白内障を惹起させた。
【0069】(2)画像診断 (i)点眼法及び画像診断法 DSF封入DMPC/DPPC/CPC(8/2/1)
リポソーム(リン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、0.
65mg/mlDSF)、DSF懸濁液(リン酸ナトリウム
緩衝液、pH6.5、1mg/mlDSF)、CMZ封入D
MPC/DPPC/CPC(3/7/1)リポソーム
(Hind-Goyan緩衝液、pH6.31、100mg/mlC
MZ)の3種製剤を用いて、亜セレン酸投与時から1日
4回、10μlずつ両眼に1週間点眼した。EAS−1
000によりスリット像、徹照像を撮影した後、クロロ
ホルム麻酔下で水晶体を摘出し、混濁を実体顕微鏡によ
り観察した。
【0070】(ii) 画像解析法 亜セレン酸処理1週間後の各製剤点眼による効果を判定
する為に、スリット像をMacintoshソフトNIHImage
により、徹照像をEAS−1000(Retroilluminati
on image)により解析した。 (iii)薬物効果における肉眼的判定 図14は1週間点眼後のラット頭部写真である。非治療
ラットでは中心部が白く濁り、核白内障が起こっている
のが判明した。これに対しDSFリポソーム、DSF懸
濁液点眼ラットでは全く混濁が認められなかった。また
CMZリポソーム点眼ではわずかな混濁が認められた。
図15に先の動物から摘出した水晶体の実体顕微鏡像を
示す。非治療ラットでは、著しい核混濁が起こっている
のに対し、DSFリポソーム点眼では明らかに混濁を抑
制した。一方、DSF懸濁液、CMZリポソームでは効
果にばらつきが認められ、著効を示す動物とそうでない
ものが存在した。
【0071】(iv)画像解析における薬物の効果 図16に亜セレン酸処理1週間後のDSF、CMZ各リ
ポソーム点眼ラットの画像診断結果を示す。非治療ラッ
トではスリット、徹照両画像において顕著な核混濁が認
められたが、DSFリポソーム点眼では核部の混濁が抑
制されていた。またCMZリポソーム点眼でも、DSF
リポソーム程顕著ではないが、核部の混濁を抑制してい
るのが認められた。
【0072】 (v)画像解析結果の数値化による薬物効果の判定 図17−A、表8にMacintoshによる1週間点眼後のス
リット像混濁解析結果を示す。いずれの製剤も亜セレン
酸処理による水晶体混濁を抑制しており、中でもDSF
リポソームにおいてその効果が有意な差として認められ
た。図17−B、表8に1週間点眼後の徹照画像をEA
S−1000により解析した透過率の比較を示す。亜セ
レン酸処理により、透過率は約40%低下したが、DS
Fリポソームでは約8%、DSF懸濁液、CMZリポソ
ームでは約25%の低下に抑えていることが判明した。
【表8】 スリット、徹照画像解析結果による薬物効果 混濁度 透過率(%) (Slit) (Retro) 対照 3301±1021 95.60± 4.01 亜セレン酸対照 20683±4659 56.24±17.08 DSFリポソーム 10170±6305 87.41± 9.72 DSF懸濁液 17017±7195 69.74±15.26 CMZリポソーム 19617±6163 70.12±12.64
【0073】(3) 摘出水晶体中Na/K比、Ca量の測
定法 右眼水晶体を用い、上記(3)と同様に測定した。
【0074】(4) 摘出水晶体中GSH量測定法 左眼水晶体を用い、第1項Eに記述した方法で試料の調
製を行った。
【0075】(5) 摘出水晶体中Na/K比、Ca量、G
SH量に対する薬物の効果 図18−A、表9に摘出水晶体中Na/K比を測定した
結果を示す。Na/K比についてはいずれも有意な変動
は認められなかった。図18−B、表9に摘出水晶体中
Ca量を測定した結果を示す。亜セレン酸処理によりCa
量は0.3±0.1から1.0±0.5mmol/kgH2Oに増
加したが、DSFリポソーム、DSF懸濁液、CMZリ
ポソームの点眼いずれにおいても有意に増加を抑制し
た。図19、表9に摘出水晶体中GSH量を測定した結
果を示す。正常ラットでは125.1±10.1、非治療
群99.0±5.4μmol/lensであったが、各製剤点眼
においていずれもGSH量減少を有意に抑制した。
【表9】 水晶体中Na/K比、Ca量、GSH量 Na/K比 Ca量 GSH量 (mmol/kg H2O) (μmol/lens) 対照 0.11±0.01 0.3±0.1 125.1±10.1 亜セレン酸対照 0.16±0.05 1.0±0.5 99.0± 5.4 DSFリポソーム 0.13±0.03 0.5±0.2 111.0±11.3 DSF懸濁液 0.16±0.02 0.5±0.1 113.0±14.2 CMZリポソーム 0.14±0.02 0.5±0.1 110.7± 8.3
【図面の簡単な説明】
【図1】 pH8.0におけるDSF含有リポソームか
らのDDCの放出性を示す折れ線グラフである。
【図2】 用いられた角膜透過性実験装置である。
【図3】 DSF含有DPPC/DMPC/CPC(2
/8/1)リポソームから放出されたDDCの家兎角膜
の透過性(pH8.0)を示す折れ線グラフである。
【図4】 DSF含有DPPC/DMPC/CPC(2
/8/1)リポソームから放出されたDDCの家兎角膜
の透過性(pH6.5)を示す折れ線グラフである。
【図5】 ダイアミド処理後のマウス水晶体中還元性グ
ルタチオン(GSH)含量に対するGEおよびDDCの
回復実験結果を示す棒グラフである。
【図6】 抗白内障薬処理の有無におけるマウス摘出水
晶体中のNa/Ca比に対する影響を示す棒グラフであ
る。
【図7】 抗白内障薬処理の有無におけるマウス摘出水
晶体中のCa含量に対する影響を示す棒グラフである。
【図8】 ラット水晶体から精製されたアルドース還元
酵素に対する薬物の阻害活性を示すグラフである。
【図9】 X線照射による白内障に対するDSF投与の
効果を示すスリット像および徹照像を示す。
【図10】 各種薬物によるX線照射ラットの水晶体の
前極部(A)および核部(B)の混濁度に対する効果を
示す棒グラフである。
【図11】 各種薬物によるX線照射ラットの水晶体の
後極部の混濁度に対する効果を示す棒グラフである。
【図12】 各種薬物によるX線照射ラットの水晶体中
のNa/K比(A)およびCa量(B)に対する抗白内障
効果を示す棒グラフである。
【図13】 各種薬物によるX線照射ラットの水晶体中
のGSH量に対する抗白内障効果を示す棒グラフであ
る。
【図14】 DSFリポソーム、DSF−懸濁液および
CMZ−リポソームの点眼による亜セレン酸処置ラット
の眼球写真である。
【図15】 DSFリポソーム、DSF−懸濁液および
CMZ−リポソームの点眼による亜セレン酸処置ラット
の水晶体写真である。
【図16】 各種薬物投与による亜セレン酸惹起白内障
ラットのスリット像および徹照像を示す。
【図17】 各種薬物による亜セレン酸処置ラットの水
晶体中の混濁度(スリット像、A)および透過率(徹照
像、B)に対する効果を示す棒グラフである。
【図18】 各種薬物による亜セレン酸処置ラットの水
晶体中のNa/K比(A)およびCa量(B)に対する抗
白内障効果を示す棒グラフである。
【図19】 各種薬物による亜セレン酸処置ラットの水
晶体中のGSH量に対する抗白内障効果を示す棒グラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/145 A61K 9/127 A61K 31/41 A61K 31/545 CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で示される還元性チオール: 【化1】 [式中、R1、R2およびR3は、同一または異なって、
    ヒドロキシ基または低級アルキルオキシ基または低級ア
    ルキルカルボニルオキシ基により置換されていてもよ
    い、直鎖状または分枝状の低級アルキル基である]およ
    びそのジスルフィド誘導体ならびにセフェム系スルフィ
    ド誘導体から選ばれるラジカル捕捉物質を有効成分とす
    る白内障処置剤。
  2. 【請求項2】 還元性チオール誘導体が、ジエチルジチ
    オカルバメート、1−メチル−1H−テトラゾール−5
    −イル−チオールおよび1−(2−ヒドロキシエチル)
    −1H−テトラゾール−5−イル−チオールの誘導体か
    ら選ばれる、請求項1記載の白内障処置剤。
  3. 【請求項3】 ジスルフィド誘導体が式: 【化2】 [式中、R1およびR2は上記と同じ意味である]で示さ
    れるものである、請求項1記載の白内障処置剤。
  4. 【請求項4】 ジスルフィド誘導体がジスルフィラムで
    ある、請求項1記載の白内障処置剤。
  5. 【請求項5】 セフェム系スルフィド誘導体がセファマ
    ンドール、セフォペラゾン、塩酸セフメノキシム、セフ
    メタゾール、セフォテタン、ラタモキセフ、セフブペラ
    ゾン、セフピラミド、フロモキセフから選ばれるもので
    ある、請求項1記載の白内障処置剤。
  6. 【請求項6】 セフェム系スルフィド誘導体がセフメタ
    ゾールである、請求項1または5記載の白内障処置剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6項記載の白内障処置剤が、
    エマルジョン、ナノカプセル、アルブミンマイクロスフ
    ィアーおよびリポソームからなる群から選ばれ、表面に
    脂溶性・陽性荷電膜を有する微粒子担体に担持されてい
    る医薬製剤。
  8. 【請求項8】 有機相に担体構成成分および脂溶性陽性
    荷電負荷物質を溶解させ、白内障処置剤が脂溶性の場合
    は、該白内障処置剤をさらに有機相に溶解させ、白内障
    処置剤が水溶性の場合は、水性相に該白内障処置剤を溶
    解させ、微粒子を形成させて得られる、請求項7記載の
    医薬製剤。
  9. 【請求項9】 有機相に担体構成成分、脂溶性陽性荷電
    負荷物質および白内障処置剤を溶解させ、微粒子を形成
    させて得られる、請求項8項記載の医薬製剤。
  10. 【請求項10】 脂溶性陽性荷電負荷物質が担体構成成
    分の約1〜30モル%である、請求項8または9記載の
    医薬製剤。
  11. 【請求項11】 微粒子状担体がリポソームである、請
    求項7〜10のいずれか1項記載の医薬製剤。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8項記載の白内障処置剤を
    担持させるための微粒子状担体であって、該微粒子担体
    が、エマルジョン、ナノカプセル、アルブミンマイクロ
    スフィアーおよびリポソームからなる群から選ばれ、表
    面に脂溶性・陽性荷電膜を有することを特徴とする微粒
    子担体。
  13. 【請求項13】 脂溶性・陽性荷電負荷物質が担体構成
    成分の約1〜30モル%であることを特徴とする、請求
    項12記載の微粒子状担体。
  14. 【請求項14】 リポソームである、請求項12〜13
    のいずれか1項記載の微粒子状担体。
  15. 【請求項15】 リポソームが天然または半合成リン脂
    質を含む、請求項14項記載の微粒子状担体。
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