JP2891229B2 - メタルガスケット及びその製造方法 - Google Patents

メタルガスケット及びその製造方法

Info

Publication number
JP2891229B2
JP2891229B2 JP9075279A JP7527997A JP2891229B2 JP 2891229 B2 JP2891229 B2 JP 2891229B2 JP 9075279 A JP9075279 A JP 9075279A JP 7527997 A JP7527997 A JP 7527997A JP 2891229 B2 JP2891229 B2 JP 2891229B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bead
hardness
metal gasket
gasket
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9075279A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10267130A (ja
Inventor
孝志 鈴木
和彦 池田
博信 今中
吉隆 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kokusan Parts Industry Co Ltd
Original Assignee
Kokusan Parts Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kokusan Parts Industry Co Ltd filed Critical Kokusan Parts Industry Co Ltd
Priority to JP9075279A priority Critical patent/JP2891229B2/ja
Priority to US08/991,863 priority patent/US6257591B1/en
Publication of JPH10267130A publication Critical patent/JPH10267130A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2891229B2 publication Critical patent/JP2891229B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シール用の丸ビー
ドや段ビードを備えたメタルガスケット及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのヘッドガスケットと
して、弾性金属板からなるガスケット構成板であって、
燃焼室、油孔、ボルト孔、外周部等を取り囲むように丸
ビードや段ビードを形成したガスケット構成板を備えた
単板構造又は複板構造のメタルガスケットが広く採用さ
れている。この種のメタルガスケットにおいては、シリ
ンダブロックとシリンダヘッド間にメタルガスケットを
挟持することで、丸ビードや段ビードを圧縮変形させて
所望のシール性能を得るように構成されている。
【0003】ところで、ビードに作用する圧縮変形力
は、シリンダブロックに締結した複数のヘッド固定用ボ
ルトで付与することになるので、ビードの断面形状やサ
イズを一様に設定すると、シリンダブロックやシリンダ
ヘッドの撓みにより、ビードに作用する面圧がヘッド固
定用ボルトから離間するにしたがって低くなり、その部
分においてシール性能が低下すると言う問題が発生す
る。また、複数のビードを接近配置させた部分や、複数
のビードが交叉する部分においても面圧が高くなり、該
部分以外のビード部分の面圧が相対的に低下して、前述
と同様にシール性能が部分的に低下するという問題があ
る。
【0004】このような問題を解決するための方法とし
て、面圧が高くなる部分のビードの高さを低くしたり幅
を広く設定することが考えられるが、ビードの高さを変
化させる方法では、ビードを成形するための金型構造に
おけるビード成形部の高さを変化させる必要があり、金
型構造が複雑になって金型自体の製作コストが高くなる
とともに、偏摩耗が発生し易く金型のメンテナンスが煩
雑になるので、通常はビードの幅を変化させて面圧を調
整する方法が採用されている。
【0005】一方、燃焼室周りをシールするビードと、
メタルガスケットの外周部をシールするビードとでは、
高圧の燃焼ガスをシールする前者のビードの方が、シー
ル性能に対する要求が格段に厳しくなるので、通常は前
者のビードとして丸ビードを用い、後者のビードとして
段ビードが用いることで、燃焼室周りのビードの面圧を
外周部のビードよりも高く設定して、十分なシール性能
が得られるように構成されている。また、ガスケット構
成板全体に対して熱処理を施し、ビードの硬度を全体的
に高める技術は従来から広く採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
にビードの幅を変化させて、シール性能を向上させる場
合においても、複数のビードが接近配置されるような部
分に対して面圧調整のため幅の広いビードを配設する必
要があるので、スペース上の制約からビードを配設でき
ないことがあり、しかも近年におけるエンジンの小型化
に伴って、このような傾向が助長されているので、結局
はシール性能をある程度犠牲にした設計が余儀無くされ
ているのが実状である。
【0007】本発明の目的は、面圧調整に対する設計自
由度を格段に拡大し、コンパクトで且つシール性能に優
れたメタルガスケット及びその製造方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
メタルガスケットは、シール用のビードを形成した弾性
金属板からなるガスケット構成板を備えた単板構成又は
複板構成のメタルガスケットであって、ビードにおける
面圧を調整するため、ビードの長さ方向の少なくとも一
部に硬度を低くした硬度低減領域を形成したものであ
る。したがって、ビードの幅や高さを変更しないでも、
面圧が高くなる部分に硬度低減領域を設けることで、ビ
ード全体を適正な面圧に設定して、シール性能を向上す
ることが可能となる。つまり、ビードの硬度を変化させ
ることで面圧を調整するので、ビードの高さを変化させ
た場合のように、金型構造が複雑になったり、ビードの
幅を変化させた場合のように、スペース的に形成が困難
になったりするという不具合を確実に防止できる。ま
た、このような硬度低減領域を設ける構成と、ビードの
高さや幅を変更する構成とを組み合わせることで、面圧
の調整幅を一層広く設定することも可能となる。また、
このような硬度低減領域は、ガスケット構成板の素材と
しての弾性金属板の硬度低減領域に対応する部分を焼鈍
処理したり、硬度低減領域以外の部分に対して焼入処理
を施すことで、容易に形成することが可能となる。
【0009】請求項2記載のように、硬度低減領域の硬
度をビードに対する要求面圧に応じて調整してもよい。
このように構成すると、よりきめ細かくビードの面圧を
調整して、シール性能を向上することが可能となる。請
求項3記載のように、硬度低減領域の硬度をビードの長
さ方向に滑らかに変化させてもよい。この場合には、急
激な硬度変化によるクラック等の発生を未然に防止する
ことが可能となる。
【0010】請求項4記載のように、シール条件の異な
る複数本のビードを形成し、少なくとも1本のビードの
全長を硬度低減領域で形成してもよい。この場合には、
シール条件に応じて丸ビードと段ビートとを使い分ける
と言った設計の煩雑さを無くすことが可能となる。ま
た、段ビードに代えて全長が硬度低減領域からなる丸ビ
ードを設けることで、ガスケット構成板を一層小型に構
成することが可能となる。つまり、丸ビードは分岐させ
て複数のエリアをシールすることが可能であるのに対
し、段ビードは分岐できないので、1本に段ビードによ
り1つのエリアしかシールできない。このため、同じ個
数のエリアをシールする場合には、段ビードの方が丸ビ
ードよりもビードの本数が増えるとともに、例えば2本
の段ビードを接近させるよりも、2本の丸ビードを合流
させる方がビード幅を狭く構成できるので、丸ビードは
段ビードよりも小さなスペース内に配置させることが可
能となり、ガスケット構成板を一層小型に構成すること
が可能となるのである。
【0011】請求項5記載のように、一連のビードの面
圧が一様になるように硬度低減領域を形成することが好
ましい。つまり、複数本のビードを形成する場合であっ
ても、それぞれのビードのシール条件はその全長に亙っ
て基本的には同じに設定されるので、一連のビードの面
圧が一様になるように硬度低減領域を形成することで、
シール性能を向上させることが可能となる。
【0012】請求項6記載のように、圧延板材からなる
ガスケット構成板を用い、ビードのうちの圧延板材の圧
延方向と直交方向へ延びる部分に硬度低減領域を設けて
もよい。つまり、圧延板材からなるガスケット構成板で
は、圧延方向に対する素材の伸びが少なくなり、圧延方
向と直交方向に伸びるビードの硬度が、圧延方向に伸び
るビードよりも高くなる傾向を示すので、圧延方向と直
交方向に伸びるビードの硬度を下げることで面圧を調整
することが可能となるのである。
【0013】請求項7記載のように、ビードを形成した
ガスケット構成板として、板厚が0.3〜0.4mmの
ガスケット構成板に適用することが好ましい。つまり、
複板構成のメタルガスケットにおいて、ガスケット構成
板の枚数を少なくするために、ガスケット構成板として
例えば0.3〜0.4mmの厚肉のガスケット構成板を
用いるケースが多いが、このようにガスケット構成板を
厚肉に構成すると、ビードの剛性が高くなるとともに、
ビード部分におけるクラックに対する耐久性が低下する
ので、この様な厚肉のガスケット構成板のビードに対し
て硬度低減領域を形成することで、ビードの硬度を低下
させ、ビードの機能低下を防止できることになる。
【0014】請求項8に係るメタルガスケットの製造方
法は、請求項1〜7のいずれか1項記載のメタルガスケ
ットの製造方法であって、ガスケット構成板の素材とし
ての弾性金属板に対して、ビードを成形する前或いは成
形した後に、硬度低減領域に対して焼鈍処理を施し、硬
度低減領域におけるビードの硬度をそれ以外の部分より
も低く設定したものである。この製造方法では、既存の
製造工程に対して硬度低減領域への焼鈍工程を追加する
ことで、容易に硬度低減領域を有するメタルガスケット
を製造することが可能となる。焼鈍処理時における加熱
は、局部的に弾性金属板を加熱できるものであれば種々
の加熱手段を用いることが可能であるが、例えば、請求
項9記載のように、誘導加熱手段或いはレーザ加熱手段
を用いると、必要部分を短時間で所望の温度まで加熱で
きるので好ましい。
【0015】請求項10に係るメタルガスケットの製造
方法は、請求項1〜7のいずれか1項記載のメタルガス
ケットの製造方法であって、ガスケット構成板の素材と
しての弾性金属板に対して、ビードを成形する前或いは
成形した後に、硬度低減領域以外の部分に対して焼入処
理を施し、硬度低減領域におけるビードの硬度をそれ以
外の部分よりも低く設定したものである。この製造方法
では、既存の製造工程に対して硬度低減領域以外の部分
への焼入工程を追加することで、容易に硬度低減領域を
有するメタルガスケットを製造することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しながら説明する。本実施例は、多気筒エンジ
ンのメタルガスケットに本発明を適用した場合のもので
ある。図1に示すように、エンジン1のシリンダブロッ
ク2には図示外の複数のヘッド固定用ボルトを介してシ
リンダヘッド3が固定され、シリンダブロック2とシリ
ンダヘッド3間には両者の合わせ面をシールするための
メタルガスケット10が介装されている。シリンダブロ
ック2にはエンジン1の気筒に対応させて複数のシリン
ダ孔4が形成され、シリンダ孔4内にはピストン5が上
下移動自在に略気密状に組付けられ、シリンダ孔4内に
おいてピストン5の上側には燃焼室6が形成されてい
る。シリンダヘッド3には燃焼室6に開口する図示外の
吸気ポート及び排気ポートが形成され、これらのポート
はシリンダヘッド3に組付けられた動弁機構により所定
のタイミングで開閉操作されるように構成されている。
【0017】メタルガスケット10には、シリンダ孔4
に対応させて設けた複数の開口部11と、ヘッド固定用
ボルトが挿通する複数のボルト孔12と、シリンダブロ
ック2とシリンダヘッド3間において冷却水や潤滑油を
流通させるための水孔13や油孔14などが形成されて
いる。メタルガスケット10は、図1〜図5に示すよう
に、ステンレス鋼板やバネ鋼板など弾性金属板からなる
ガスケット構成板15の上下両面に、NBRゴムやフッ
素ゴムなどからなる図示外のゴムコーティング層を形成
した単板構成のメタルガスケットである。
【0018】ガスケット構成板15の開口部11の周辺
部には、シリンダヘッド3側へ突出する丸ビードからな
る環状ビード16が開口部11を取り囲んで形成され、
この環状ビード16により燃焼室6が気密状にシールさ
れるように構成されている。また、隣接する環状ビード
16は、シリンダ孔4間距離を極力小さくしてエンジン
1を小型に構成するため、最接近位置付近において合流
されている。但し、環状ビード16として、合流部分を
有しない独立の丸ビードからなる環状ビードを設けても
よい。
【0019】また、ガスケット構成板15の外周部に
は、シリンダヘッド3側に1段高くなった段ビードから
なる外周ビード17が連続的に形成されている。外周ビ
ード17の内側において、ボルト孔12及び油孔14の
周辺部には、シリンダヘッド3側に1段高くなった段ビ
ードからなる孔ビード18が形成され、外周ビード17
の外側において、ボルト孔12の周辺部には、シリンダ
ブロック2側に1段低くなった段ビードからなる孔ビー
ド19が形成されている。但し、全ての孔ビード18、
19を外周ビード17で取り囲むように構成したり、全
ての孔ビード18、19を外周ビード17の外側に配置
させてもよい。
【0020】ところで丸ビードは段ビードよりも変形し
難いので、前述のように環状ビード16を丸ビードで構
成し、外周ビード17及び孔ビード18、19を段ビー
ドで構成することで、環状ビード16の面圧を外周ビー
ド17及び孔ビード18、19よりも高く設定して、高
圧の燃焼ガスを効果的にシールできることになる。ガス
ケット構成板15の開口部11の縁部にはシリンダヘッ
ド3側へ折返した折返し部20が形成され、この折返し
部20の厚さ分の隙間が環状ビード16付近に形成され
ることで、ヘッド固定用ボルトを締結したときにおける
ビード16〜18の異常変形が防止されている。但し、
メタルガスケット10のビード16〜19の突出方向や
断面形状やレイアウト、折返し部20の折返し方向等に
関しては、適用するエンジン1の構成等に応じて適宜に
設定することになる。
【0021】ビード17〜19のうちのボルト孔12付
近には、後述のように焼鈍処理や焼入処理を行うこと
で、他の部分よりも相対的に硬度を低く設定した硬度低
減領域21が、図2にハッチングで示すように形成さ
れ、ボルト締結部付近においてビード17〜19の幅を
広く設定することなく、ボルト締結部付近においてビー
ド17〜19に作用する面圧が高くならないように構成
されている。このため、外周ビード17と孔ビード19
のようにビードを接近配置させなければならない部分に
おけるビードをスペース的に無理なく形成することが可
能となる。
【0022】また、このように焼鈍処理により硬度を低
下させるため、ガスケット構成板15の素材としては、
バネ特性に優れ且つ焼鈍により硬度が低下し得る金属材
料、例えば、表1に示すような組成のJIS規格で規定
されるSUS301H CSP、SUS304H CS
P、SUS430等で代表されるフェライト系のステン
レス鋼板を用いることになる。尚、後述のように焼き入
れ処理により、硬度低減領域21を形成する場合には、
前述した素材以外に、表1のS−4H CSP(日本金
属工業株式会社製)を用いることが可能である。
【0023】
【表1】
【0024】そして、例えば、SUS301H CSP
ステンレス鋼板に関しては、図6に示すように、焼鈍処
理により硬度が低下することを利用して、硬度低減領域
21の硬度をビッカース硬さHvにおいて350〜40
0に設定し、その他の部分の硬度をビッカース硬さHv
において500〜530に設定して、ボルト締結部付近
において、ビードに作用する面圧を下げて、ビード16
〜19毎にそれに作用する面圧が夫々一様になるように
構成することになる。
【0025】次に、前記メタルガスケット10の製造方
法について説明する。先ず、打ち抜き工程において、図
7に示すように、ガスケット構成板15の素材としての
弾性金属板15’に対して、打抜き加工により、ボルト
孔12、水孔13、油孔14を形成するとともに、折返
し部20の径方向の長さ分だけ開口径を小さく設定した
開口部11Aを形成する。
【0026】次に、ビード成形工程において、弾性金属
板15’に対してプレス成形装置によりビード16〜1
9を成形する。次に、焼鈍工程において、弾性金属板1
5’を脱脂処理した後、誘導コイルをガスケット構成板
15の硬度低減領域21に対応する部位に接近させて、
弾性金属板15’を固溶化温度或いは固溶化温度付近ま
で加熱し、その後空冷又は徐冷することで、図8に仮想
線で囲まれた領域21’に対して焼鈍処理を施す。尚、
このとき硬度低減領域21以外の部分まで加熱されない
ようにするため、硬度低減領域21以外の部分の上下両
面に絶縁材からなるマスキング板を積層状に配置させ、
この状態で加熱してもよい。また、この焼鈍処理は、複
数回に分けて行い、硬度低減領域21の硬度を段階的に
変化させてもよい。
【0027】但し、この加熱方法では硬度低減領域21
の近傍部分まで焼鈍処理されてその硬度が低下するの
で、実際には図2にハッチングで示す硬度低減領域21
のようには、硬度低減領域21とその他の部分とは明確
に区画されることはないが、領域21’のように硬度低
減領域21付近におけるガスケット構成板15の硬度が
多少低下しても、シール性能には悪影響を及ぼすことは
ない。また、硬度低減領域21とその他の部分とをより
明確に区画させたいときには、加熱方法として局部加熱
が可能な、例えばレーザー加熱手段を用いることも考え
られる。ところで、前述のようにビード成形後に焼鈍処
理を施すと、応力腐食割れやビードクラックなどを防止
する上で好ましい。つまり、ビード成形工程において
は、弾性金属板15’を塑性変形させてビード16〜1
9を成形する関係上、ビード16〜19には内部応力が
残留するが、この残留応力は、次の焼鈍工程において、
ビード16〜19に焼鈍処理を施すことで除去されるの
で、残留応力に起因する応力腐食割れやビードクラック
などを防止できることになる。
【0028】次に、折返し工程において、開口部11A
を折返して弾性金属板15’の開口縁部に折返し部20
を形成し、次のコーティング工程において、ガスケット
構成板15の上下両面にゴムコーティング層を形成し
て、メタルガスケット10を得ることになる。
【0029】このような製造方法では、焼鈍処理を行う
ための工程を新設する必要はあるが、温間状態で折返し
加工等を行う訳ではないので、既存の製造ラインを殆ど
変更することなく、硬度低減領域21を形成したメタル
ガスケット10を製作することが可能となる。また、誘
導コイルから離れるにしたがって加熱温度が低くなるの
で、硬度低減領域21とその他の部分における硬度が滑
らかに変化することになり、極端な硬度変化によるクラ
ック等の発生を未然に防止することが可能となる。
【0030】尚、前記製造方法において、打ち抜き工
程、ビード成形工程、焼鈍工程、折返し工程の順番は、
少なくとも打ち抜き工程の後に折返し工程を施すように
構成してあれば、適宜に変更することが可能である。例
えば、打ち抜き工程、折返し工程、焼鈍工程、ビード成
形工程の順番に行ってもよい。また、本実施例では、焼
鈍処理により硬度低減領域21を形成し、硬度低減領域
21の硬度を他の部分よりも低く設定したが、弾性金属
板15’の硬度低減領域21に対応する部分にマスキン
グを施した状態で、弾性金属板15’に焼き入れ処理を
施して、硬度低減領域21における硬度を他の部分より
も低く設定することも可能である。
【0031】次に、メタルガスケット10の構成を部分
的に変更した他の実施例について説明する。 (1)硬度低減領域21は、図9にハッチングで示すよ
うに、外周ビード17と孔ビード18とが隣接して設け
られる部分や、環状ビード16の合流部分や、環状ビー
ド16におけるボルト孔12付近などに形成して、ビー
ド16〜18の面圧が夫々一様になるように設定しても
よい。 (2)ガスケット構成板15として圧延板材を用いる場
合には、図10にハッチングで示すように、環状ビード
16の圧延方向と直交する方向に硬度低減領域21を設
けてもよい。この場合には、圧延方向による環状ビード
16のシール性の変動を防止して、環状ビード16にお
ける面圧を一様に設定することが可能となる。
【0032】(3)図11に示すメタルガスケット30
のように、外周ビード17と孔ビード18、19に代え
て、丸ビードからなる外周ビード31を形成してもよ
い。この場合には、図11にハッチングで示すように、
ボルト孔12付近の外周ビード31に硬度低減領域21
を形成してもよいし、外周ビード31の全長に亙って硬
度低減領域21を形成して、外周ビード31の硬度を環
状ビード16よりも小さく設定し、更にハッチングで示
すように、ボルト孔12付近の外周ビード31に局部的
に硬度を低くした硬度低減領域21を形成してもよい。
この場合には全てのビードをスペース的に有利な丸ビー
ドで構成することが可能となり、面圧を調整しつつメタ
ルガスケット30を一層コンパクトに構成できる。
【0033】(4)前述したように複数箇所に硬度低減
領域21を形成する場合には、最適なシール性能が得ら
れるように、シールする部位ごとに硬度低減領域21の
硬度を変更させるようにしてもよい。 (5)複板構成のメタルガスケットに対してもそのビー
ド部分を前述のように構成することで、本発明を容易に
適用できる。特に、メタルガスケットの厚さを厚く設定
するため、ビードを形成したガスケット構成板の1枚の
板厚を例えば0.3〜0.4mmに設定し、使用するガ
スケット構成板の枚数を少なくする場合には、ビードの
全長に亙って硬度調整領域を形成することで、ビードの
剛性が低く設定し、ビードにおけるクラック等の発生を
防止できるので好ましい。例えば、図12に示すメタル
ガスケット40のように、メタルガスケット40の総厚
さを例えば0.75mm程度の厚肉に設定するため、ガ
スケット構成板41の板厚を0.2〜0.3mmに設定
し、ガスケット構成板42の板厚を0.3〜0.4mm
に設定する場合において、ガスケット構成板42のビー
ド43の全長に亙って硬度調整領域を形成することで、
ビード43におけるクラック等の発生を防止できる。
【0034】尚、本実施例では多気筒直列エンジン1の
メタルガスケット10に本発明を適用したが、単気筒エ
ンジン或いはV型エンジンのメタルガスケットに対して
も本発明を同様に適用できる。また、エンジン以外の機
器におけるメタルガスケットに対しても本発明を同様に
適用することが可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明に係るメタルガスケットによれ
ば、ビードの幅や高さを変更しないでも、面圧が高くな
る部分に硬度低減領域を設けることで、ビード全体を適
正な面圧に設定できるので、幅の狭いビードを採用して
メタルガスケットを小型に構成しつつ、シール性能を十
分に確保することが可能となる。しかも、ビードを成形
するための金型構造が簡単になり、金型の製作コストを
低減できるし、金型構造を変更することなく、ビードに
作用する面圧を調整することが可能となり、設計変更等
に容易に対応できる。また、硬度低減領域を設ける構成
と、ビードの高さや幅を変更する構成とを組み合わせる
ことで、面圧の調整幅を一層広く設定することも可能と
なる。また、このような硬度低減領域は、ガスケット構
成板の素材としての弾性金属板の硬度低減領域に焼鈍処
理を施したり、硬度低減領域以外の部分に焼入処理を施
すことで、容易に形成出来る。
【0036】請求項2記載のように、硬度低減領域の硬
度をビードに対する要求面圧に応じて調整すると、より
きめ細かくビードに作用する面圧を調整して、シール性
能を向上することが可能となる。請求項3記載のよう
に、硬度低減領域の硬度をビードの長さ方向に滑らかに
変化させると、急激な硬度変化によるクラック等の発生
を未然に防止することが可能となる。
【0037】請求項4記載のように、シール条件の異な
る複数本のビードを形成し、少なくとも1本のビードの
全長を硬度低減領域で形成すると、同一形状のビードに
より異なるシール性能を得ることが可能になり、ビード
を形成するための金型構造を簡単にできるし、段ビード
に代えて全長が硬度低減領域からなる丸ビードを設ける
ことで、ガスケット構成板を一層小型に構成することが
可能となる。請求項5記載のように、一連のビードの面
圧が一様になるように硬度低減領域を形成すると、一連
のビードの各部におけるシール性能のバラツキが少なく
なり、シール性能を全体的に高めることが可能となる。
【0038】請求項6記載のように、圧延板材からなる
ガスケット構成板を用い、ビードのうちの圧延板材の圧
延方向と直交方向へ延びる部分に硬度低減領域を設ける
と、圧延方向に応じてビードの硬度に高低差が付くこと
を防止してシール性能を一層向上することが可能とな
る。また、複板構成の厚肉のメタルガスケットにおい
て、ガスケット構成板を少なくするために、請求項7記
載のように、ガスケット構成板として板厚が0.3〜
0.4mmの厚肉のものを用いるケースが多いが、この
ような厚肉のガスケット構成板においては、ビード部分
に硬度低減領域を形成することで、ガスケット構成板の
ビード部分の硬度を低下させ、ビードの機能低下を防止
できる。
【0039】請求項8に係るメタルガスケットの製造方
法によれば、既存の製造工程に対して硬度低減領域への
焼鈍工程を追加することで、容易に硬度低減領域を有す
るメタルガスケットを製造することが可能となる。請求
項9記載のように、硬度低減領域に対して誘導加熱手段
或いはレーザ加熱手段を用いて焼鈍処理を施すと、必要
部分を短時間で所望の温度まで加熱して焼鈍処理を行う
ことが可能となる。請求項10に係るメタルガスケット
の製造方法によれば、既存の製造工程に対して硬度低減
領域以外の部分への焼入工程を追加することで、容易に
硬度低減領域を有するメタルガスケットを製造すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のメタルガスケットを装着したエンジ
ンの要部縦断面図
【図2】 同メタルガスケットの硬度低減領域を示す平
面図
【図3】 図2のIII-III 線断面図
【図4】 図2のIV−IV線断面図
【図5】 図2の V−V 線断面図
【図6】 焼鈍処理時における焼鈍温度と硬度の関係を
示す線図
【図7】 メタルガスケットの製造方法の説明図
【図8】 メタルガスケットの製造方法の説明図
【図9】 他の複板構成のメタルガスケットの硬度低減
領域を示す平面図
【図10】 他の複板構成のメタルガスケットの硬度低
減領域を示す平面図
【図11】 他の複板構成のメタルガスケットの硬度低
減領域を示す平面図
【図12】 他の複板構成のメタルガスケットのビード
付近の縦断面図
【符号の説明】
1 エンジン 2 シリンダブロ
ック 3 シリンダヘッド 4 シリンダ孔 5 ピストン 6 燃焼室 10 メタルガスケット 11 開口部 12 ボルト孔 13 水孔 14 油孔 15 ガスケット構成板 16 環状ビード 17 外周ビード 18 孔ビード 19 孔ビード 20 折返し部 21 硬度低減領域 15’ 弾性金属板 21’ 領域 11A 開口部 30 メタルガスケット 31 外周ビード 40 メタルガスケット 41 ガスケット構
成板 42 ガスケット構成板 43 ビード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 吉隆 大阪府豊中市走井2丁目6番5号 国産 部品工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−234974(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 15/08 F02F 11/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シール用のビードを形成した弾性金属板
    からなるガスケット構成板を備えた単板構成又は複板構
    成のメタルガスケットであって、 前記ビードにおける面圧を調整するため、ビードの長さ
    方向の少なくとも一部に硬度を低くした硬度低減領域を
    形成したメタルガスケット。
  2. 【請求項2】 硬度低減領域の硬度をビードに対する要
    求面圧に応じて調整した請求項1記載のメタルガスケッ
    ト。
  3. 【請求項3】 硬度低減領域の硬度をビードの長さ方向
    に滑らかに変化させた請求項1又は2記載のメタルガス
    ケット。
  4. 【請求項4】 シール条件の異なる複数本のビードを形
    成し、少なくとも1本のビードの全長を硬度低減領域で
    形成した請求項1〜3のいずれか1項記載のメタルガス
    ケット。
  5. 【請求項5】 一連のビードの面圧が一様になるように
    硬度低減領域を形成した請求項1〜4のいずれか1項記
    載のメタルガスケット。
  6. 【請求項6】 圧延板材からなるガスケット構成板を用
    い、ビードのうちの圧延板材の圧延方向と直交方向へ延
    びる部分に硬度低減領域を設けた請求項1〜5のいずれ
    か1項記載のメタルガスケット。
  7. 【請求項7】 ビードを形成したガスケット構成板とし
    て、板厚が0.3〜0.4mmのガスケット構成板を用
    いた請求項1〜6のいずれか1項記載のメタルガスケッ
    ト。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載のメタ
    ルガスケットの製造方法であって、 ガスケット構成板の素材としての弾性金属板に対して、
    ビードを成形する前或いは成形した後に、硬度低減領域
    に対して焼鈍処理を施し、硬度低減領域におけるビード
    の硬度をそれ以外の部分よりも低く設定したメタルガス
    ケットの製造方法。
  9. 【請求項9】 熱処理工程において、誘導加熱手段或い
    はレーザ加熱手段を用いて焼鈍処理を施す請求項8記載
    のメタルガスケットの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項記載のメ
    タルガスケットの製造方法であって、 ガスケット構成板の素材としての弾性金属板に対して、
    ビードを成形する前或いは成形した後に、硬度低減領域
    以外の部分に対して焼入処理を施し、硬度低減領域にお
    けるビードの硬度をそれ以外の部分よりも低く設定した
    メタルガスケットの製造方法。
JP9075279A 1996-12-16 1997-03-27 メタルガスケット及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2891229B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9075279A JP2891229B2 (ja) 1997-03-27 1997-03-27 メタルガスケット及びその製造方法
US08/991,863 US6257591B1 (en) 1996-12-16 1997-12-16 Metal gasket and process for manufacturing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9075279A JP2891229B2 (ja) 1997-03-27 1997-03-27 メタルガスケット及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10267130A JPH10267130A (ja) 1998-10-09
JP2891229B2 true JP2891229B2 (ja) 1999-05-17

Family

ID=13571642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9075279A Expired - Fee Related JP2891229B2 (ja) 1996-12-16 1997-03-27 メタルガスケット及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2891229B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7090514B2 (ja) * 2018-09-12 2022-06-24 日鉄ステンレス株式会社 メタルガスケット中間製品およびメタルガスケットの製造方法
WO2024172087A1 (ja) * 2023-02-15 2024-08-22 Nok株式会社 ガスケット

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10267130A (ja) 1998-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6283480B1 (en) Metal gasket
JP3497150B2 (ja) シリンダヘッドガスケット
US6257591B1 (en) Metal gasket and process for manufacturing the same
EP0528698B1 (en) Metallic gasket and method of manufacturing the same
US20050179210A1 (en) Cylinder head gasket
US6299175B1 (en) Metal gasket
JP2007147052A (ja) ガスケット
US7997585B2 (en) Cylinder head gasket
EP1528246A2 (en) Cylinder head gasket
JP2891229B2 (ja) メタルガスケット及びその製造方法
JP2996189B2 (ja) メタルガスケットの製造方法
US6439579B2 (en) Laminated gasket
JP3348694B2 (ja) メタルガスケット及びその製造方法
JP4914792B2 (ja) 金属製ガスケット
JPH0539868A (ja) 金属製ガスケツト
JPH0842698A (ja) 副室式ディーゼルエンジンの金属製ガスケット
JP3404098B2 (ja) シリンダヘッドガスケット
JP3086008B2 (ja) 金属製ガスケット
JP7171049B2 (ja) 金属ガスケット
EP1561975A1 (en) Cylinder head gasket
JPH04181070A (ja) 金属製ガスケット及びその製造方法
JP3058510B2 (ja) 金属製ガスケットの製造方法
JPH05263940A (ja) 金属製ガスケットの製造方法
JPH08135790A (ja) シリンダヘッドガスケット
JP4734899B2 (ja) メタルガスケット

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees