JP2890548B2 - 炭素質繊維およびその製造方法 - Google Patents

炭素質繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、気相法による炭素質繊維に関し、更に詳細
には金属微粒子の触媒作用により生成した特異なミクロ
構造を有する気相成長炭素質繊維に関する。本発明の炭
素質繊維は特徴的なミクロ構造を有するとともに、黒鉛
化度が高いため、導電体、熱伝導体、触媒担体、黒鉛潤
滑材、黒鉛層間化合物のホスト材などに特に適した素材
として用いることができる。
〔従来の技術〕
炭素材料は構造、形態をデザインすることにより、機
械的特性、導電性、熱伝導性などに優れた素材として用
いることができ、近年その軽量性とも相俟って繊維状に
加工した炭素材が樹脂、金属、セラミック等との各種複
合材料として広く使用されるようになった。繊維状炭素
は主にポリアクリロニトリル、ピッチなどを紡糸して繊
維にし、不融化、焼成する方法で製造されているが、そ
のミクロ構造の制御には限界がある。これに対し、気相
法によって紡糸方式では得られないミクロ構造を有する
繊維状炭素の得られることが知られている。気相法によ
る繊維状炭素として、これまで 炭素網面が紙を巻くように巻き込まれた形態を有す
るもの (R.Bacon;J,Appl.Phys.,31,283(1960)) 同心円状に炭素網面が積層しており全体として中空
孔を有する円柱状となったもの (小山恒夫、遠藤守信;応用物理、42(7):690(197
3)) 円錐台様の炭素網面が積層して全体として円柱状と
なったもの (例えば、M.Audier and M.Coulon;Carbon,23,317(1
985)、遠藤守信、小山恒夫;特開昭58-197314号公報) 成長方向に平行な柱状炭素層を四隅に持ち、これを
橋渡しするように5〜20層の炭素層が成長方向に垂直に
折り畳まれた空隙の多い内部構造を有するもの (M.Murakami and S.Yoshimura;J.Chem.Soc.,Chem.Co
mmun.,1649(1984)) 等を始めとして種々のものが知られている。
気相からの繊維状炭素の生成には、原料に主としてベ
ンゼンやメタン等の炭化水素あるいは一酸化炭素を用い
ることができるが、選択的な繊維状炭素の製造や工業化
という観点からは炭化水素を用いた方が優れているとい
うのが一般的な理解である。従来の例の多くは炭化水素
を原料として得られた繊維状炭素であり、特には芳香
族二酸無水物である特殊な炭化水素原料を用いることに
よって発見されたものである。一酸化炭素からの炭素析
出反応に関する実験もこれまで非常に多く行なわれてお
り、一酸化炭素からもの円筒状繊維やの円錐台の積
層したような構造の繊維の得られることは知られている
が(例えばBakerおよびHarris;Chemistry and Physics
of Carbon.Vol.14(1978)参照)、通常はしばしば他の
非繊維状炭素の混ざった様々な形態の炭素質が混在した
状態のものが得られる。一酸化炭素からの繊維状炭素質
としてこれまでに確認されているものとしては、上記の
円筒状繊維や円錐台の積層したような構造の繊維、及び
らせん状あるいは捲縮した形態の繊維を挙げることがで
きる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、一酸化炭素を原料とする炭素析出反応
はその最適熱処理温度が550℃前後であるといわれ、400
℃以下の低温では無定形炭素と繊維状炭素の混合物とな
り易く、温度が高くなると板状物の生成が支配的とな
り、繊維状炭素だけを優先的に生成することは難しいと
されてきた。また、生成する繊維自体もほとんどは捲縮
したり、不規則に曲がりくねった形態のもので、構造的
にも機能的にも特に注目すべき素材とは考えられていな
い。H.P.BoehmはCarbon,11,583(1973)で一酸化炭素か
らの析出炭素中に、一部リボン状の形態を持った繊維が
存在するとし、そのミクロ構造については長さ方向に対
して炭素網面が垂直あるいは平行に配向しており、どち
らかといえば垂直の可能性が高いと想像している。しか
しながら、実際にミクロ構造を確認する検討はなされて
おらず、具体的な構造に関する記載はない。また得られ
た生成物のほとんどは不規則に曲がりくねった形態の繊
維であり、収率も低いため、どのような特徴を持った炭
素質かについては不定である。一般に、一酸化炭素から
の炭素析出反応は発熱反応でかつ平衡反応であるため
に、温度が高いと平衡定数が小さくなって生成率が低下
し、温度が低いと反応速度が著しく落ちる。したがっ
て、質的且つ量的問題から、一酸化炭素を原料とする繊
維状炭素の生成に関しての工業化は困難であるとされて
きた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、一酸化炭素からの選択的な繊維状炭素
の製造、特に新規なミクロ構造を有する繊維状炭素の工
業的製造について検討を重ねた結果、原料ガス組成、温
度のみならず触媒核の組成と形状が、生成する炭素のミ
クロ構造、形態に重要な影響を及ぼすことを突き止め、
平らな炭素析出面を有する触媒核が、一酸化炭素を原料
として繊維の成長方向に対し炭素網面が垂直に積層した
リボン状炭素繊維を与えることを明らかにし、このリボ
ン状炭素繊維を収率良く製造できることを見い出した。
すなわち、本発明の目的はこれまで確認されていなか
った新規な形状とミクロ構造を有し、特異な機能を発現
する炭素質繊維及びその製造方法を提供することにあ
る。そしてその目的は繊維の長さ方向に対し炭素網面が
実質的に垂直に積層し、その面間距離(d(002))が3.35
4〜3.380Åであり、かつ実質的に中空孔部を有さず、繊
維の断面が矩形あるいは扁平な楕円様で、断面の長軸が
短軸に対して2倍以上であることを特徴とする炭素質繊
維、及び一酸化炭素と水素との混合原料ガスを金属化合
物から成る微粒子の存在下で加熱処理することにより炭
素質繊維を製造する方法において、 一酸化炭素1モルに対し水素を0.5〜10モルの混合
原料ガスを用い、 金属化合物を原料炭素中に含有される全炭素量100
重量%に対し金属元素換算量で0.1〜30重量%とし、 450〜1000℃の温度域で、 炭素質繊維を生成する触媒微粒子の炭素析出面が実
質的に平らでかつ繊維の成長がこの析出面に対して実質
的に垂直に行なわれることを特徴とする気相成長炭素質
繊維の製造法によって容易に達成される。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維状炭素は、繊維の成長方向に対して炭素
網面が実質的に垂直に積層しており、通常の気相成長炭
素繊維に見られる中空孔部は存在せず、また繊維の断面
が円形ではなく矩形あるいはそれに近い扁平な楕円様で
あって、全体としてリボン状の形態を有することを特徴
とする気相成長繊維状炭素である。ここでいう扁平とは
繊維断面の長軸と短軸の比が2倍以上、好ましくは5〜
15倍であることを示している。
このリボン状炭素質繊維は、これを形成する炭素層の
黒鉛化度が繊維生成時において既に高く、積層した炭素
網面の面間距離(d(002))が3.354〜3.380Åであるとい
う特徴を持つ。一例を示すと、700℃の反応温度で生成
した本発明の繊維状炭素はX線回折の結果よりd(002)
3.366Åの値である。これは繊維状の炭素としては最も
黒鉛化性がよいとされる炭化水素を原料とした気相成長
炭素繊維(断面が年輪状で中空孔部を有する円筒形の繊
維)を2400℃処理したものに相当する値であり、比較的
黒鉛化性がよいとされるメソフェーズピッチ系の炭素繊
維では3000℃以上の熱処理を加えて初めて達成される値
である(小山恒夫、遠藤守信;工業加熱、30(7)、109
(1982)参照)。MeringとMaireの炭素構造モデルによ
り、炭素網面の面間距離d(002)と黒鉛化度gとの関係式
が次のように導き出されている。
d(002)=3.354g+3.44(1−g) この式にd(002)=3.366Åを代入すると、このリボン
状炭素質繊維の黒鉛化度は86%と見積もられ、黒鉛化度
の高い炭素質であることが判明した。
本発明のリボン状炭素質繊維は長さが1〜100μm、
好ましくは5〜50μm、幅は0.05〜1μm、好まし0.1
〜0.7μmであり、第1図に示すように比較的真直ある
いはゆるやかにカーブした形態を有しているものが多い
が、途中で折れ曲がっているものも存在する。また第2a
図に示すように透過型電子顕微鏡による観察から、本繊
維には通常の気相成長炭素繊維に見られる中空孔部は存
在せず、炭素層は空隙をつくることなく一様に積層して
いる。繊維先端には成長触媒となった微粒子が存在す
る。この触媒微粒子の形状は第2a図に示されるような三
角形の形状のほかに矩形、半円形など様々なものが観察
されたが、それらすべてに共通する特徴は平らな炭素析
出面を有していることである。第2b図は第2a図の触媒核
の炭素析出面の一部を拡大した電子顕微鏡写真である
が、この触媒核の平らな面から炭素層が繊維成長方向に
対し垂直に積層して繊維の成長が行なわれていることが
わかる。また、本発明の繊維状炭素は通常の気相成長炭
素繊維と比べて見掛けの結晶子サイズが小さく、L
C(002)が30〜500Å、好ましくは50〜300Åであり、また
エッジカーボンには多くの酸素原子が結合しており、原
子分析や加熱脱揮時のガス組成分の測定(950℃で30分
脱揮)から、炭素に対する酸素の割合が0.5重量%以
上、好ましくは1〜10重量%であるという特徴を有して
いる。この酸素は不活性ガス下あるいは真空下で加熱処
理することにより除去することも可能である。
本発明の繊維状炭素は次のようにして製造することが
できる。炭素原料として一酸化炭素を用い、これに水素
の共存下、遷移金属の微粒子を繊維成長触媒として用い
て反応を行なう。原料ガス中には一酸化炭素のほかに水
素ガスを共存させることが必要である。水素の割合が低
くなるとリボン状炭素繊維の生成が抑えられることか
ら、水素が繊維成長触媒の活性に対して重要な役割を果
していることがわかる。また、水素は触媒活性を高める
ほかに、一酸化炭素の不均化反応によって繊維状炭素が
生成する際に同時に生成する二酸化炭素と反応して水と
なることにより、系中の二酸化炭素を減じ、したがって
一酸化炭素からの炭素析出反応を促進する作用がある。
このため一酸化炭素のみの場合よりも高収率で炭素を析
出させることができる。しかし、水素ガスの割合を大き
くしすぎると一酸化炭素の分圧が低下するため、反応効
率は低下することから、原料ガスにおける水素の一酸化
炭素に対する実用的な比として0.5〜10(モル比)、好
適には0.5〜3.0(モル比)から選ばれる。また原料ガス
の中には一酸化炭素、水素および触媒原料に加えて他の
物質を含むことが許される。同期表0族のアルゴン、ヘ
リウムなどの希ガスおよび窒素、水蒸気などは原料ガス
成分として水素の分圧以上に含まれていてもよい。その
他、炭化水素あるいは酸素や窒素などのヘテロ原子を含
む炭化水素も共存できる。酸素ガスは10%以下に抑える
ことが望ましい。以上、種々のガスが系中に共存可能で
あるが、効率的なリボン状炭素質繊維生成のためには、
原料ガスにおける一酸化炭素と水素の割合をなるべく高
くすることが望ましく、それぞれ15体積%以上にするこ
とが好ましい。本発明で触媒として用いる遷移金属とし
てはスカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マン
ガン、鉄、コバルト、ニッケル、イットリウム、ジルコ
ニウム、ニオブ、モリブテン、ルテニウム、ロジウム、
パラジウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリ
ジウムまたは白金を指すものであるが、これらのうちで
特に好ましいものは周期表VIII族に属するものであり、
特に鉄、ニッケル、コバルトが好適で、なかでも鉄は最
もリボン状炭素質繊維の生成に対する活性の高い金属で
ある。これらの触媒元素は、反応系において単体あるい
は化合物として微粒子の形態で存在するようにすること
が必要である。それにはあらかじめ調製した微粒子を反
応系に導入する方法の他に、反応系においてビルドアッ
プ式に微粒子を形成させる方法を用いてもよい。すなわ
ち、揮発生の金属化合物を触媒原料として用い、これを
熱分解して金属原子を放出させ、この金属原子をクラス
ターからさらに微粒子に成長させて反応触媒とする方法
である。触媒原料として好適な化合物として、具体的に
はメタロセンなどの有機金属化合物、塩化物、カルボニ
ル化合物などが用いられる。触媒元素として最も好適な
鉄を例に取れば、(C5H5)2Fe、FeCl3、Fe(CO)5が代表と
して挙げられる。なかでもFe(CO)5は熱分解生成物が鉄
と一酸化炭素であるので、一酸化炭素を炭素源とする本
反応において系を複雑にすることがなく、触媒原料とし
て好適である。適当な触媒粒子の形成とそれに続く繊維
の選択的成長のためには、反応系に装入する触媒原料の
量は原料混合ガス中の全炭素100重量%に対し金属換算
で0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。反
応温度は450〜1000℃、好ましくは550〜800℃が適当で
あるが、温度が低いとリボン状炭素繊維は少なくなる。
触媒原料が熱分解し、金属原子からクラスターさらには
微粒子へと成長するにあたり、温度、触媒原料の濃度、
一酸化炭素と水素の分圧を適当な条件に調節すること
で、生成する微粒子が適当な炭素析出面を形成しながら
触媒として適した形状、大きさに成長し、一酸化炭素の
不均化反応の反応域にタイミングよく存在することで効
率的にリボン状炭素質繊維の生成が行なわれるものと考
えられる。
〔実施例〕
本発明における繊維状炭素を製造するのに用いた装置
につき、その概略を第3図に示す。第3図においては3,
4,5はガスボンベを示し、ボンベ3には炭素ガス、4に
は高純度水素ガス、5には高純度一酸化炭素ガスが充填
されている。これらのガスはそれぞれ流量計6,7,8によ
りその流量が調節される。ガス発生器10には液体状の触
媒原料が入っており、恒温槽11によって所定の温度に保
持されている。ボンベから供給されたガスはパイプ16を
通り、このパイプ16はパイプ10はパイプ17とパイプ18と
に分枝している。パイプ18を流れるガスは流量計9を通
じてガス発生器10に導かれ、ガス化した触媒原料を伴っ
て容器10から導出される。この導出されたガスはバイパ
スパイプ17を通過したガスと混合され、パイプ19を介し
て反応管1へ装入される。反応管1の入口は必要に応じ
て断熱材あるいはヒーター15を取り付けてもよい。反応
管1は内径90mm、長さ1500mmの石英管で、600mmの加熱
部を備えた電気炉2内に設置されている。反応管1の末
端には生成繊維の補集器12が備えられており、オフガス
はフィルター13を介してガス出口14より排出される。反
応系は、運転に際し最初に窒素ガスで置換して爆発の危
険を防止する。その後電気炉2を所定の温度に昇温し、
ボンベ4,5から供給された水素と一酸化炭素の混合ガス
をパイプ16、バイパスパイプ17、パイプ19を介して反応
管1に装入する。反応管内がCO/H2混合ガス雰囲気とな
ったところで、パイプ18、流量計9を介してCO/H2ガス
の所定量を触媒原料の入ったガス発生器10に通し、バイ
パスパイプ17を介するCO/H2ガスと混合してパイプ19か
ら反応管へ供給し反応を開始する。
実施例1 第3図に示した装置を用いて繊維状炭素の製造を行な
った。ボンベ4,5からH2、COを導出し、CO/H2=50/50の
混合ガスとして60l/hr(25℃、latm換算)で供給し、原
料混合ガスとした。触媒原料としてはFe(CO)5を用い、
このFe(CO)5から発生するCOも含めた供給全炭素量に対
する鉄の重量比が100:7.5となるよう4.5g/hrで供給し
た。このCO、H2、およびFe(CO)5の混合ガスを700℃に昇
温した反応管1に連続的に流動通過させたところ7g/hr
で繊維状炭素を得た。700℃におけるCOの不均化反応の
平衡値から計算される理論炭素析出量に対する回収炭素
収率は120%であった。また反応中に水蒸気の生成が観
察されたことから、反応系に存在するH2がCOからの炭素
析出に伴って生成するCO2と反応してH2OとCOとになるこ
とにより、全体としてCOから炭素への転化率を向上させ
ているためと思われる。生成物を電子顕微鏡で観察した
結果、リボン状炭素質繊維が50%以上を占め、その他直
径0.05μm以下の微細な円柱状の繊維が30%、直径0.1
〜0.5μmの捲縮した繊維が約20%であった。生成した
リボン状炭素質繊維のTEM写真を第4図に示す。繊維の
成長方向に対して炭素層が垂直に積層しており、また中
空孔部は存在しない。SEM観察によればリボン状炭素質
繊維の幅は0.05〜0.7μmで0.1〜0.4μmのものが多
く、繊維断面の長軸と単軸の比は3以上、多くは5〜10
と見積もられ、繊維の長さは数〜数十μmであった。第
5図に生成したリボン状炭素繊維のSEM写真を示す。X
線回折によれば炭素層の面間距離d(002)は3.366Åであ
った。また本繊維を加熱脱揮(950℃、30min.)して生
成ガスの組成を検討した結果、繊維1gあたり酸素29.8mg
を含んでいることがわかった。
実施例2 CO/H2=50/50の混合ガスを120l/hr(25℃、1atm換
算)、Fe(CO)5を4.5g/hrで供給してC:Fe=100:3.7と
し、電気炉温度700℃の条件で実施したところ、6.2g/hr
で繊維状炭素を得た。理論炭素析出量に対する回収炭素
収率は45%である。電子顕微鏡観察によれば、実施例1
と同様の幅0.05〜0.7μm、長さ数〜数十μmのリボン
状炭素質繊維が生成繊維中の40%近くを占めていた。
実施例3 CO/H2=50/50の混合ガスを60l/hr(25℃、1atm換
算)、Fe(CO)5を4.5g/hrで供給してC:Fe=100:7.5と
し、電気炉温度550℃の条件で実施したところ、5.3g/hr
で繊維状炭素を得た。理論炭素析出量に対する回収炭素
収率は50%である。電子顕微鏡観察によれば、幅0.05〜
0.5μm、実施例1と同様の長さ数〜数十μmのリボン
状炭素質繊維が10%、微細な円筒状繊維が20%、捲縮し
た繊維が70%であった。
比較例1 電気炉温度を400℃とした他は実施例1と同様にして
実施例したところ、理論炭素析出量に対する回収炭素収
率は1%以下であり、リボン状炭素質繊維は見られなか
った。
比較例2 水素ガスの供給をしない他は実施例3と同様にして実
施したところ理論炭素析出量に対する回収は見られなか
った。
比較例3 CO/H2=75/25とし、Fe(CO)5を1.5g/hrで供給した他
は、実施例1と同様にして実施したところ、理論炭素析
出量に対する回収炭素収率は5%と低く、リボン状炭素
質繊維はごくわずかしか見られなかった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、繊維の成長方向に対し炭素網面が垂
直に積層した特異的な構造を有する炭素質繊維を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2a、2b図、第4図及び第5図は、繊維の形状
を示す写真である。 第1図は本発明に係るリボン状炭素質繊維の集合体を示
す走査型電子顕微鏡写真(×14,000)である。 第2a、2b図はそれぞれ本発明に係る炭素質繊維の構造を
示す透過型電子顕微鏡写真(×80,000)、炭素質繊維の
繊維先端に存在する触媒000)、炭素質繊維の繊維先端
に存在する触媒核の炭素析出面の一部および析出した炭
素層のミクロ構造を示す透過型電子顕微鏡写真(×4,80
0,000)である。 第3図は本発明に係る炭素質繊維の製造に使用した実験
装置の概略説明図である。 第4図、第5図は、それぞれ本発明に係る炭素質繊維の
炭素層を示す透過型電子顕微鏡写真(×1,200,000)、
炭素質繊維の形態を示す走査型電子顕微鏡写真(×100,
000)である。 1……反応管、2……電気炉、3,4,5……ボンベ、6,7,
8,9……流量計、10……ガス発生器、11……恒温槽、12
……補集器、13……フィルター、14……ガス出口、15…
…断熱材orヒーター、16,17,18,19……パイプ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維の長さ方向に対して炭素網面が実質的
    に垂直に積層し、その面間距離(d(002))が3.354〜3.3
    80Åであり、かつ実質的に中空部を有さず、繊維の断面
    が矩形あるいは扁平な楕円状で、断面の長軸が短軸に対
    し2倍以上であることを特徴とする炭素質繊維。
  2. 【請求項2】繊維生成時において酸素が炭素に対し1重
    量%以上含まれる請求項1記載の炭素質繊維。
  3. 【請求項3】一酸化炭素と水素との混合原料ガスを金属
    化合物から成る微粒子の存在下で加熱処理することによ
    り炭素質繊維を製造する方法において、 一酸化炭素1モルに対し水素を0.5〜10モルの混合
    原料ガスを用い、 金属化合物を原料ガス中に含有される全炭素量100
    重量%に対し金属元素換算量で0.1〜30重量%とし、 450〜1000℃の温度範囲において 炭素質繊維を生成する触媒微粒子の炭素析出面が実
    質的に平らで、かつ繊維の成長がこの析出面に対して実
    質的に垂直に行われることを特徴とする気相成長炭素質
    繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】炭素質繊維が、炭素網面が長さ方向に対し
    実質的に垂直に積層し、その面間距離(d(002))が3.35
    4〜3.380Åであり、かつ実質的に中空部を有さず、繊維
    の断面が矩形あるいは扁平な楕円状で、断面の長軸が短
    軸に対し2倍以上であるリボン状気相成長炭素質繊維で
    ある請求項3記載の製造方法。
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