JP2888886B2 - ガス識別方法およびガス識別システム - Google Patents

ガス識別方法およびガス識別システム

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は複数のガス種,においなどを識別するガス識
別方法およびガス識別システムに関するものである。よ
り特定的には,本発明は,ガス種識別に対して温度依存
性を有する複数のガスセンサを用い,ガスセンサに人工
的な可塑性を持たせてガス種識別の分離度(ガス選択
度)を向上させ,特定のガス種を高精度で検出可能とす
るガス識別方法,および,それを用いたガス識別システ
ムに関する。
〔従来の技術〕
従来から,SnO2ガスセンサ,ZnOガスセンサなどの半導
体ガスセンサを初めとする種々のガスセンサを用いてガ
ス種を識別することが試みられている。しかしながら,1
個のガスセンサのみを用いた場合,そのガス種選択性の
限界から正確なガス種識別が難しいという問題に遭遇し
ている。
かかる問題を解決する方法として,複数のガスセンサ
を組み合わせてガス種識別をすることが提案されてい
る。これらは,においなどに優れた識別能力を示す生態
嗅覚機構の原理をガス種識別に応用しようとするもので
ある。
たとえば,第1の方法としては,特性の異なる複数の
半導体ガスセンサを集積化し,検出しようとする複数の
ガス種に対する各ガスセンサの出力パターンを予め作成
しておき、未知のガスに対するガスセンサの出力パター
ンを上記事前に作成した出力パターンと比較して,最も
類似度の高いものを対応するガス種として識別しようと
するものである(たとえば「集積センサとパターン認識
による臭気同定」兼安、他、計測自動制御学会論文集、
Vol23、NO10(昭和62年10月)、28−35頁、参照)。こ
の方法において,混合臭気の識別を行おうとする場合,
異なる種類の混合臭気で出力パターンが類似することが
あり,識別出来なくなることがある。そこで,ガスセン
サの温度を変えてガスセンサの特性を変化させ,温度変
化に基づくガスセンサの特性変化におけるガスセンサの
出力を入手し,情報量を増加させて混合臭気の混合比の
推定などを行って,精度を向上させようとするものであ
る。
第2の方法としては,同一のアルミナ基板上に多数の
センサを配置し,アルミナ基板の裏面に設けたヒーター
によってアルミナ基板内に温度勾配をつけて各センサの
動作温度を異ならせ,ガス種識別に対するセンサの特性
を変え,この特性の違いを利用して複数のガス種のうち
の対応するガス種を識別しようとするものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記いずれの方法も複数のセンサを用い,センサの温
度を変化させてセンサの特性を変化させるという懸念を
導入している。しかしながら,第1の方法において温度
を変化させるといっても,混合臭気比の推定のために2
段階程度切り換えるだけである。また,いずれの方法
も,温度をガス種識別のパターン認識に必要な情報量を
増加させるという目的で用いて識別能力を向上させよう
とするものであり,各対象ガス種に対する出力パターン
そのものの分離度(ガス選択度)を向上させるものでは
ない。したがって,生態嗅覚機構を模倣しようと試みて
はいるが,生体の持つ「可塑性(後述)」を充分に模倣
するに至っていないというのが実情である。
以上に述べたように,従来技術においては,まず,ガ
ス種識別そのものの向上が図られず,依然としてガス種
識別精度の限界に遭遇している。次いで,出力パターン
の決定が面倒であり,識別可能なガスの種類に制限があ
る。また,識別しようとするガス種の変更,追加などを
しようとした場合,迅速かつ柔軟な対応がとれないとい
う問題がある。さらに,センサの特性が時間とともに変
化したような場合に,センサの出力特性も変化するが,
かかる経年変化に柔軟に対応出来ないという問題があ
る。
本発明は,上記した問題点を克服し,ガス種識別の精
度(ガス選択度)の向上を図り,識別ガス種の拡大化を
図り,ガス種の追加,変更に対して迅速かつ柔軟に対応
可能とし,経年変化にも対応可能なガス識別方法および
それを用いたガス識別システムを提供することを目的と
する。
〔課題を解決するための手段,および,作用〕
一般に,前述した嗅覚機構に代表されるような生体の
情報処理系においては,においなどの測定対象に適応す
るような受容器や神経系の特性を逐次,自律的に変化さ
せていくことができる。この性質の「可塑性」と呼ぶ。
本願発明は,この生体の持つ可塑性を人工的なガス識別
システムにおける受容器,すなわち,ガスセンサに付与
することにより,上記した問題を解決し,前述した目的
を達成する。
すなわち,その基本構想は,ガス種識別に対して温度
依存性を有する複数のガスセンサの温度を,測定しよう
とするガスおよび測定環境に適応するように人工的に逐
次変更することにより,受容器(ガスセンサ)レベルで
の可塑性を実現しようとするものである。これによっ
て,ガス種識別能力を向上させるとともに,測定しよう
とするガスの変更,測定環境の変化に対しても柔軟な対
応が容易にとれるようになる。
さらに詳述すると,本願の発明者は,特性の異なるガ
スセンサを組み合わせた場合,これらガスセンサの出力
特性の組合せが識別しようとするガス種に対応している
ことを見出した。たとえば,第2図に示したように,特
性の異なるガスセンサ2個を用い,ガスセンサの読みX
1,X2を軸としてその交点をプロットした場合,複数のプ
ロット点が得られるが,これらのプロット点はそれぞれ
群をなし,異なるガス種,ガスA,ガスB,ガスCに対応し
て群分離されることが判った。第2図から明らかなよう
に,2次元空間を各ガス群の領域に区分けすることによ
り,ガス種識別ができることになる。ガスセンサが3個
以上の場合,上述したものを多次元に拡張するが,その
原理は上述したものと同様である。
ガスセンサの動作特性を変化させることは,温度依存
性を有するガスセンサの温度を変えることによって実現
できる。また,ガス種を識別するためには,測定対象ガ
ス種間の分離度が高まるように,適切なガスセンサの動
作温度を予測し,この予測温度でガスセンサを動作さ
せ,予測温度におけるガスセンサの読みを解析してパタ
ーン分離指標を算出し,この温度予測とパターン分離指
標の解析とを反復してガス種間のパターン分離が最も良
くなるようにした後,ガス種判別を行えばよい。
本発明はこのように,複数のガス種(においについて
も同様,以下,ガス種で代表する)を識別するにあた
り,温度依存性を有する複数のガスセンサを用い,しか
も,これらガスセンサの温度依存性を積極的に利用して
識別すべきガス種の選択度そのものを向上させるという
構想に基づく。
したがって,本発明によれば,ガス識別に対して温度
依存性を有する複数のガスセンサを用い、該ガスセンサ
に人工的な可塑性を持たせるようにガスセンサの温度を
逐次変更し、変更したそれぞれの温度における前記複数
のガスセンサの検出値を多変量総計処理してガスを識別
するようにパターン分離を行い、そのパターン分離の程
度が所定の値になったとき、前記分離されたパターンに
基づいてガスを識別するガス識別方法が提供される。
また本発明によれは、ガス識別に対して温度依存性を
有する複数のガスセンサを用いるガス識別方法であっ
て、複数のガスセンサの検出値から特定のガス種識別を
可能とするガスセンサの動作温度の組を予測するガスセ
ンサ動作温度予測段階と、該予測した動作温度に基づい
て前記複数のガスセンサをそれぞれを対応する予測動作
温度で動作させる予測温度動作段階と、パターン分離処
理段階であって、該予測動作温度における前記複数のガ
スセンサの検出値を多変量総計処理してガスを識別する
ようにパターン分離を行い、そのパターン分離の程度が
所定の値になるまで前記ガスセンサ動作温度予測段階、
前記予測温度動作段階および当該パターン分離処理段階
を反復するパターン分離処理段階と、前記パターン分離
の程度が所定の値になったとき、分離されたパターンに
基づいてガスを識別するガス識別段階とを具備するガス
識別方法が提供される。
上記温度の予測としては,たとえば,曲面解析の手法
をとりいれることができる。つまり,複数のガスセンサ
の温度の交点におけるパターン分離指標を接続すると曲
面状になるので、ガス種識別上の分離度がガスセンサの
最適な動作温度に対応する曲面の最小の点を見出し,そ
こから,予測温度を逆算する。これについては実施例で
詳述する。
また,多変量総計処理に基づくパターン分離指標の算
出としては,多群の判別関数として用いられるWilksの
Λ統計量,その他を用いることができる。
また本発明においては,上記ガス種識別を利用したガ
ス識別システムが提供される。第3図に本発明のガス識
別システムの構成を示す。
第3図のガス識別システムは,温度依存性を有する複
数のガスセンサ11〜19からなるガスセンサアレイ10,該
ガスセンサ11〜19のそれぞれに設けられたヒーター(図
示せず)を加熱するための印加電圧HV11〜HV19を提供す
る温度制御出力手段40,ガスセンサ11〜19からの出力X11
〜X19を検出する検出手段20,および,識別手段30からな
る。ガス種を識別した場合,識別信号DSCRがそれぞれ対
応するガス種に応じて出力される。識別手段30について
は後述する。
本発明のガス種システムは,下記のいずれかのモード
で動作可能である。
(1)初期動作モード 初期ガス種判別時,初期導入時,識別すべきガス種の
追加,変更などが生じたときなど,ガス種に対するガス
センサ群の動作温度およびパターン分離指標が不明な場
合に,第1図を参照して上記したガス識別方法で,ガス
種に対するガスセンサの動作温度を予測していき,ガス
種同定の動作温度およびパターン分離指標を見出すとと
もに,識別すべきガス種を同定する。
この初期動作モードにおいて,識別手段30は,検出手
段20からの検出信号に基づいて曲面解析などの手法によ
りガス種の識別が最適,換言すれは,ガス間相互の分離
度が最適になるようなガスセンサ11〜19の動作温度を予
測し,温度制御出力手段40を介してガスセンサ11〜19を
それらの予測温度で動作させるとともに,それらの動作
温度におけるガスセンサ11〜19からの検出値に基づくパ
ターン分離指標,たとえばWilksのΛ統計量を計算し,
このパターン分離指標が特定のガス種を識別するに充分
な値になったときガス種の同定を行う。したがって,識
別手段30は,この初期動作モードにおいては,第1図に
示した温度予測と,パターン分離指標算出と,ガス種識
別とを行う。
(2)通常動作モード 識別手段30は,初期動作モードで得られた各ガスに対
する動作温度およびパターン分離指標を順次適用してい
き,対象となるガス種を識別する。
この通常動作モードでは,初期動作モードで得られた
動作温度を用いるので,前述した温度予測が不要とな
り,迅速なガス種識別が可能となる。
(3)調整モード ガスセンサが経年変化したような場合,ガス種に対す
るガスセンサの動作温度および同定パターン分離指標を
更新(調整)する。この調整モードは初期動作モードの
1態様である。
〔実施例〕
本発明の実施例のガス識別方法のフローチャートを第
4図に,そして,このガス識別方法を適用した本発明の
1実施例としてのガス識別システムの構成図を第5図に
示す。
第3図の検出手段20は,第5図において,アナログ/
ディジタル変換部(ADC)21,第3図の識別手段30はマイ
クロプロセッサユニット(MPU)31およびメモリ32,そし
て,第3図の温度制御出力手段40がディジタル/アナロ
グ変換部(DAC)41で実現されている。また,ガス識別
出力はディジタル出力部(DO)33を介して出力される。
第5図のガスセンサ11,12は共にSnO2センサであり、
識別対象ガスとしてアセトンおよびヘキサンに対する動
作温度(表面素子温度)とその時の出力(「1−(ガス
導入時の抵抗値/空気の時の抵抗値)」として表したも
の)を第6図に示す。SnO2センサとしては薄膜形センサ
または焼結体センサが使用され,基板裏面または焼結体
の内部に図示しないヒーターが設けられ,そのヒーター
で動作温度に加熱されるようになっている。
第7図に,本発明の実施に使用した実験設備のフロー
シートを示す。第1のサンプル101には空気が導入さ
れ,第2のサンプル102にはアセトン,第3のサンプル1
03にはヘキサンが導入される。電磁弁111〜124が適宜選
択開閉されて,空気,アセトン,ヘキサンの導入,排出
を行う。ガスセンサ11〜12はセンサセル131に挿入され
る。なお,以下に述べる実験では、サンプル101〜102に
は,5秒間だけ試料が導入され,ガスセンサ11〜12がこれ
を検出したピーク値を用いた。
以下,第4図を参照して,第5図のガス識別システム
による初期動作モードについて述べる。
ステップ011(第4図,S011) 識別手段30としてのMPU31は,予め定められている仮
想的な初期温度に対応するヒーター印加電圧値をメモリ
32から読出し,予測温度指令S30としてDAC41に出力す
る。ガスセンサ11,12のヒーター印加電圧(直流電圧
V)を下記の表−1に示す。
第6図に示したように,SnO2センサのヒーターに5.50V
の電圧を与えると,その時のガスセンサの表面温度はほ
ぼ425℃になる。ヒーターの印加電圧が6.50Vの場合はガ
スセンサの表面温度はほぼ500℃になる。
本発明の実施例においては,初期値を複数回,すなわ
ち,3回出力することにしている。これは,後述するよう
に,ガス種識別について最も分離度の良い温度を予測す
るために逐次近似法を適用して最適解を見出すためであ
る。
ガスセンサ11〜12に設けられたヒーター(図示せず)
がDAC41からの出力される印加電圧HV11,HV12に応答して
ガスセンサ11〜12を対応する動作温度に加熱する。
ステップ012 MPU31は,ADC21を介して,上記動作温度におけるガス
センサ11〜12の出力をADC21を介して検出信号S20として
取り込み,上記初期動作温度におけるパターン分離指標
を計算する。このパターン分離指標として,本発明の実
施例では、WilksのΛ統計量を用いた。
WilksのΛ統計量は,一般的には,多群の判別分析に
おいて,q変量を用いてg個の群がどの程度判別されるか
を表す1つの指標として知られている(たとえば,田中
他編,「パソコン統計解析ハンドブック,II多変量解析
編,共立出版,参照)。
本発明に関連づけてより具体的に述べると,WilksのΛ
統計量は以下のように説明できる。第2図に示したよう
に,ガス種間の分離が良くなる方向に軸AXSをとり,各
標本についてこの軸に対する射影を求める。そして,そ
の射影について群内分散と全分散との比を求めると,そ
の値が小さいほどパターン分離がよいことになる。この
考え方を多次元空間に拡張したものがΛ統計量であり,
下記式(1)で与えられる。
Λ=|W|/|T| ・・・(1) 式(1)におけるTは全体の平方和積和行列,Wは群内
の平方和積和行列を示し,それぞれ,下記の式(2),
(3)で定義される。
ただし, gは群の数, x(k)は群kの平均ベクトル, nkは群内標本数を示す。
Λは0に近いほどよくガス種間が識別されることを表
す。
MPU31は,(1)式に基づいて,上記第1回目の温度
初期値におけるガスセンサ11,12の読みからWilksのΛ統
計量を計算する。第1回目の初期温度におけるΛ統計量
Λ1の結果を表−1に示す。
ステップ013 この第1回目の初期動作温度におけるΛ統計量Λ1が
所定値以下,たとえば,ほぼ0(零)であるか否かを判
別する。この場合,Λ1はほぼ0ではなく相当大きいの
で,ステップ014の処理に移行する。
ステップ014 上記したように,本実施例においては,初期温度設定
を3回行うようにしているので,上記ステップ011〜ス
テップ013を3回繰り返す。
第2回,第3回のヒーター電圧と,そのヒーター電圧
で動作したガスセンサの温度に基づくΛ統計量Λ2,Λ3
を表−1に示す。
ステップ015 MPU31は上記計算したΛ統計量から,ガスセンサ11,12
の動作温度を予測する。
この予測には以下に述べる最急降下法を適用した。こ
の最急降下法の要旨は,ガス種間を識別する出力パター
ンの分離度の良さを表すΛ統計量が小さくなるようにガ
スセンサの温度を予測するものであり,逐次近似法に基
づく曲面解析である。また,曲面解析を行うのは,第8
図に示したように,ガスセンサ11の温度T11とガスセン
サ12の温度T12とを直交するX軸,Y軸上にとり,このX,Y
平面に対して直交する方向にZ軸をとって各Λ統計量を
Z軸に沿ってプロットするとΛ統計量を結ぶ面が曲面に
なるので,この曲面の最小値,すなわち,Λ統計量の最
小値,好ましくは0,を見つけるためである。
上記したΛ統計量は,一般的に既述すると,n個の複数
のガスセンサの動作温度T1,T2,・・・Tnの関数として下
記の式で表される。
Λ=f(T1,T2,・・・Tn) ・・・(4) (4)式を温度T1′,T2′,・・・Tn′の近傍で展開
すると,下記(5)式が得られる。
各温度に対する関数fの微係数を決定するためには,n
個の温度の組合せに対するΛ統計量,Λ1,Λ2,・・・Λ
nが必要となる。したがって,上記したように,複数の
初期動作温度におけるガスセンサの読みでΛ統計量を求
めるようにしている。
これらの線形1次方程式を解くと,ガスセンサ温度空
間における関数fの勾配が得られる。そして,関数fの
勾配が最も急峻な方向に各ガスセンサの温度を変更する
(第8図参照)。その温度変更量ΔTiは,下記の式で与
えられる。
aは経験的に決めるパラメータであり,たとえば,a=
100である。
表−1には,上記の方法を適用して求めた予測温度に
対応するヒーターの動作温度を設定するヒーター印加電
圧が第4回目〜第6回目として示されている。
ステップ016 このようにして予測した温度に対するヒーター電圧値
に対する指令S30が,MPU31からDAC41に出力される。DAC4
1はガスセンサ11〜12のヒーターを介して,指令に対応
する電圧をヒーターに印加し,ガスセンサを対応するそ
の予測動作温度で動作させる。
ステップ017 MPU31は,上記ステップ012で示したと同様に,上記予
測した温度におけるガスセンサ11,12の読みについてΛ
統計量を計算する。第4回目のΛ統計量Λ4を表−1に
示す。
ステップ018 MPU31は,計算されたΛ統計量が所定の値以下,好ま
しくは,最小値(0)に近いか否かを判断する。
もし,Λ統計量が最小値に近い値の場合,ガス種間の
分離がよいのでガス種同定の処理ステップ21に移行す
る。
ステップ021 MPU31は対応するガス種,たとえば,アセトンについ
て,DO33を介して識別信号DSCR1を出力するとともに,そ
の時のガスセンサの動作温度およびパターン分離指標と
してのΛ統計量を記憶する。
ステップ019,015〜018 もしΛ統計量が上記した特定値0に近くない場合,適
切にガス種間が分離されず,ガス種が特定されていない
ことになる。したがって,MPU31は,上記したステップ01
5〜ステップ018を反復していく。
この反復のなかで,ガス種間の分離度が大きく,対象
とするガスに対するガスセンサ11〜12の動作温度とパタ
ーン分離指標,すなわち,Λ統計量が同定されることに
なる。
表−1は,反復するに従って,Λ4からΛ6に向かっ
て順次Λ統計量が小さくなっていき,反復を繰り返して
いくと,ガス種間の出力パターンの分離度のよい温度条
件が得られることを示している。
ステップ019〜020 適切なガス種識別条件がえられない場合は,エンドレ
スループを防止するため,一定の反復回数で一旦打切
り,過去の中で最も近似したものを出力するようにする
こともできる。
以上の処理を,識別対象とするガス種について繰り返
して行う。
第9図は,表−1に示した第1回と第6回の実験にお
けるアセトンとヘキサンについての,ガスセンサ11の出
力X11とガスセンサ12の出力X12とをプロットしたもので
ある。点Alx(x=1,2),点A6xはそれぞれアセトンに
ついての第1回,第6回目のプロット値を示している。
ヘキサンについても同様である。この図から,前述した
ように,ガスセンサの読みを変数としてプロットする
と,アセトンとヘキサンとが明瞭に分離されるととも
に,第1回目より反復回数が進んだ第6回目,即ちΛ統
計量が小さいときのほうが出力パターンの分離度がよい
ことが判る。
初期動作処理も含めて,動作温度設定,Λ統計量計
算,判別処理は複数回行うことが好ましい。これは,逐
次近似法に基づく曲面解析において,最適な解を見出す
ためである。
上記処理において,ガスセンサ11〜12の動作温度とそ
の時のパターン分離指標,すなわち,Λ統計量が得られ
れば,MPU31はその値をメモリ32に記憶しておく。そし
て,この記憶したデータを,通常動作モードに用いる。
以上に述べたように,識別対象とするガス種につい
て,初期動作モードを適用していけば,自動的にガス種
間の分離度が高く,ガス種特性に高い選択性を有するガ
スセンサの動作温度,及びそのときのパターン分離指
標,すなわち,Λ統計量を得ることができる。
第10図に通常動作モードの処理を示すフローチャート
を示す。
ステップ031(第10図) まず,ガスセンサの出力レベルが有効レベルを越えて
いるか否かを判断する。もし検出レベルが小さい場合,
検出(識別)すべきガスが存在しないものとして,以下
の識別処理はバイパスする。検出レベルが有効な場合,
何らかのガスが存在するから,以下に述べる処理を行
う。
ステップ032 上述した初期動作モードにおいて得られた温度を用い
てガスセンサを加熱する。すなわち、MPU31はメモリ32
に記憶したガスセンサの動作温度に対応する電圧指令S3
0をDAC41に出力する。DAC41は与えられた電圧指令に基
づき,ガスセンサ11,12のヒーターを加熱する。
ステップ033 MPU31は,上記温度条件におけるガスセンサ11,12の読
みを入力し,前述したΛ統計量を計算する。
ステップ034,035 MPU31は,計算したΛ統計量の所定の値,好ましく
は,ほぼ0か否かを判断する。もし,ほぼ0であれば上
記温度条件により最適なガス種のパターン分離が行われ
たものとして,ステップ035において,その対応するガ
ス種を同定し,DO33を介してその結果を出力する。
もし,Λ統計量がほぼ0でなければ,次のガス種判別
のため,次の温度条件のものについて,ステップ032以
降の処理を行う。この処理は対象とするガス種が識別さ
れるまで,メモリ32に記憶した温度条件について行う。
なお,上記ステップ034による分岐は,初期動作モー
ドにおいて得られた各ガスについてのΛ統計量とほぼ同
じか否かを比較して判断してもよい。
この通常動作モードにおいては,動作温度予測処理が
不要であるから,初期動作モードのときよりガス識別処
理スピードが速くなる。
通常動作モードにおいて,事前に得られたガス種に対
するガスセンサへの動作温度を適用しても対象とするガ
ス種が識別できない場合は,その未知のガス種に対して
は,第4図に示した初期動作モードの処理を行う。これ
により,未知のガス種に対しても識別が可能となる。こ
の処理の要求は操作者の要求で行うことができる。
また,調整モードにおいては,現在の動作温度を第4
図の初期動作モードにおける初期値として,上記したと
同様の処理を行い,既存の動作温度の近傍にずれた動作
温度においてΛ統計量が最小量になる動作温度を見出
す。調整モードは操作者の要求に応じて行う。
ガス種識別対象を減少させる場合は,メモリ32に記憶
してある温度条件などを使用しないようにすればよい。
本発明の実施にあたっては,以上に述べたものの他,
種々の変形態様をとることができる。
たとえば,上記実施例においては,ガスセンサとして
SnO2センサを2個用い,動作温度を異ならせて異なる特
性で動作させる場合について述べたが,ガスセンサはSn
O2センサに限らず,その他の温度依存性を有するセンサ
を適宜用いることができる。そのようなセンサとして
は,金属酸化物系統のものとしてはZnOセンサ,WO3セン
サなど,あるいは水晶振動子の振動面や,表面弾性波素
子の導波路上にガス感応膜を装着したものなど,種々の
温度依存性を有するものが適用できる。また,これらの
センサを組み合わせて,たとえば,SnO2センサとZnOセン
サとを組み合せて使用することもできる。さらに,セン
サの数は2個に限定されるものではなく,適宜3個以上
用いることができる。
上記実施例においては,パターン分離指標として,Wil
ksのΛ統計量を用いたが,Λ統計量を用いることに限定
されず,群間(ガス種間)の分離を有効に行う他の種々
の数学モデルを適用することが可能である。そのような
ものとしては,たとえば,2群の線形判別関数として,群
間平方和SBと総平方和STとを求めて,その相関比η
用いるものがある。
η=SB/ST ・・・(10) 相関比ηが大きい程,群間の分離度が高いことを示
す。
温度を予測する方法も,上記した最急降下法に限定さ
れず,他の方法を適用することができる。その例として
は,Λ統計量統計量の増大をある確率で許す“simulate
d annealing法”がある(たとえば、“Simulated Annea
ling Algorithms:An Overview"Rob A.Rutenbar,IEEE CI
RCUITS AND DEVICES MAGAGINE,JANUARY 1989,PP19−26
参照)。この方法はΛ統計量が温度変化に対して単調な
関数になっていない場合に,上記した最急降下法を改善
するという利点がある。
第10図のステップ035においては,複数のセンサの出
力をパターン認識し,ガス種の同定を行う。
パターン認識には種々の方法が可能であり,たとえ
ば,線形,2次判別関数を用いた判別分析,正準判別,ニ
ューラルネットワーク,ファジィ理論を用いる方法など
適用可能であるが,本発明はパターン認識の方法まで規
定するものではない。
〔発明の効果〕
以上に述べたように,本発明によれば,ガスセンサに
人工的な可塑性を持たせるという構想により,ガス種間
の分離度を大きくし,ガス種識別の精度(ガス選択度)
を向上させることができる。また,本発明によれば,同
じアルゴリズムの適用により,容易に任意のガス種識別
の条件を得ることができるから,容易に識別ガス種の拡
大化を図ることができ,ガス種の追加,変更に対して迅
速かつ柔軟に対応可能である。
さらに,本発明によれば,ガス識別システム導入後の
経年変化にも容易に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のガス識別方法を示すフローチャート, 第2図は本発明のガス識別方法の原理を示す特性図, 第3図は本発明のガス識別システムの原理ブロック図, 第4図は本発明の実施例のガス識別方法のフローチャー
ト, 第5図は本発明の実施例のガス識別システムの構成図, 第6図は本発明の実施例で用いたSnO2センサの特性図, 第7図は本発明の実施に使用した実験設備のフローシー
ト, 第8図は本発明の実施例の最急降下法を説明する図, 第9図は本発明の実施例のガス識別特性図, 第10図は本発明の実施例のガス識別システムにおける通
常動作モードのフローチャート, である。 (符号の説明) 10……ガスセンサアレイ, 11〜19……ガスセンサ, 20……検出手段, 30……識別手段, 40……温度制御出力手段, 21……ADC, 31……MPU, 32……メモリ, 33……DO, 41……DAC。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高津 一郎 神奈川県藤沢市辻堂新町4丁目3番1号 エヌオーケー株式会社藤沢事業場内 (56)参考文献 1989年度人工知能学会全国大会(第3 回)予稿集p.201−204 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/00 - 27/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス識別に対して温度依存性を有する複数
    のガスセンサを用い、該ガスセンサに人工的な可塑性を
    持たせるようにガスセンサの温度を逐次変更し、変更し
    たそれぞれの温度における前記複数のガスセンサの検出
    値を多変量総計処理してガスを識別するようにパターン
    分離を行い、パターン分離の程度が所定の値になったと
    き、前記分離されたパターンに基づいてガスを識別する
    ガス識別方法。
  2. 【請求項2】ガス識別に対して温度依存性を有する複数
    のガスセンサを用いるガス識別方法であって、 複数のガスセンサの検出値から特定のガス種識別を可能
    とするガスセンサの動作温度の組を予測するガスセンサ
    動作温度予測段階と、 該予測した動作温度に基づいて前記複数のガスセンサを
    それぞれを対応する予測動作温度で動作させる予測温度
    動作段階と、 パターン分離処理段階であって、該予測動作温度におけ
    る前記複数のガスセンサの検出値を多変量総計処理して
    ガスを識別するようにパターン分離を行い、そのパター
    ン分離の程度が所定の値になるまで前記ガスセンサ動作
    温度予測段階、前記予測温度動作段階および当該パター
    ン分離処理段階を反復するパターン分離処理段階と、 前記パターン分離の程度が所定の値になったとき、分離
    されたパターンに基づいてガスを識別するガス識別段階
    と を具備するガス識別方法。
  3. 【請求項3】ガス識別に対して温度依存性を有する複数
    のガスセンサ(11〜19)と、 前記複数のガスセンサの検出値から特定のガス種識別を
    可能とするガスセンサの動作温度の組を予測するガスセ
    ンサ動作温度予測手段(30)と、 該予測した動作温度に基づいて前記複数のガスセンサを
    それぞれ対応する予測動作温度で動作させる予測温度動
    作手段(30)と、 前記予測動作温度における前記複数のガスセンサの検出
    値を多変量総計処理してガスを識別するようにパターン
    分離を行い、そのパターン分離の程度を算出するパター
    ン分離処理手段(30)と、 該パターン分離の程度が所定の値になるまで前記ガスセ
    ンサ動作温度予測手段における処理、前記予測温度動作
    手段における処理および前記パターン分離処理手段にお
    ける処理を反復させる反復判断手段(30)と、 前記パターン分離の程度が所定の値になったとき、分離
    されたパターンに基づいてガスを識別するガス識別手段
    (30)と を具備するガス識別システム。
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