JP2887819B2 - ガス検知装置 - Google Patents

ガス検知装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、有機色素分子を含む薄膜を感ガス体として
用いたガス検知装置に関する。
(従来の技術) 従来のガス検知装置は、接触燃焼式又は半導体式のも
のが主流を占めていた。これらは、無機半導体やセラミ
ックス、貴金属触媒を利用して感ガス体を形成してい
る。一方、近年有機分子薄膜を感ガス体として利用する
ガス検知装置が提案されている。ある種の有機色素分子
は、酸化性又は還元性ガスとの間で、ある程度選択性を
もって相互作用し、電気又は光学特性が変化することが
知られており、例えばフタロシアニンの電気特性変化を
利用してNOX、SOxガス検知装置に応用することも提案さ
れている。更にまた、水晶振動子や表面弾性波素子(SA
Wデバイス)等の圧電振動素子上に、有機分子による感
ガス体薄膜を形成し、酸化性又は還元性ガス、或るいは
各種有機溶剤系ガス等、感ガス体薄膜に対し高い吸着性
をもつガスを、前記圧電振動素子の発振周波数変化とし
て検出する吸着量測定式ガス検知装置も提案されてい
る。例えばB.HolcroftとG.G.Robertsは、98.6MHzの遅延
線型SAWデバイス上にシリコンフタロシアニンLB膜を累
積し、100ppmのNO2ガスにより、約1kHzのSAWデバイスの
発振周波数の減少を確認し、さらに、周波数変化が反応
させるガスの濃度に比例することを確認している。一
方、本発明者らは、特願平1−63494号にて新規な光学
式ガス検知装置を提案している。この方法は、有機色素
薄膜素子に励起光を照射した場合、前記有機色素薄膜に
NO2ガスを接触させると、前記有機色素薄膜から発光す
る蛍光強度またはリン光強度が、変化するという現象を
利用している。
(発明が解決しようとする課題) ところで、有機薄膜を感ガス体として利用する場合、
その薄膜には、被検知ガスに対する高い吸着性が要求さ
れるだけでなく、吸着の可逆性や安定性が重要である。
それら点では、スクエアリリウム色素を含む有機薄膜
は、非常に優れた特性を示す。一方、複数のガス種の中
から、あるガス種の濃度が選択的に取り出すためには複
数の検知手段が必要である。
本発明は、この様な事情の下になされたものである。
本発明の目的は、感度がよく、応答速度が速く、広い
濃度範囲で使用可能な小型のガス検知装置を提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は、製造、測定両面において簡易で
あり、かつ種々の条件に対し、安全性と安定性を兼ね備
え、ノイズの影響を受け難いガス検知装置を提供するこ
とにある。
本発明のさらなる目的は、吸着量の測定に加え光学特
性の変化も併せて測定することにより、単に吸着するだ
けのガスと、色素分子との電子的な相互作用も伴うガス
分子とを選択して検知することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明のガス検知装置は、圧電振動素子と有機色素を
含む薄膜よりなるガス検知素子と、前記有機色素薄膜へ
のガス吸着に伴う質量変化を測定するための、圧電振動
素子の発振回路と発振周波数測定手段を具備し、さらに
発光素子、受光素子、および前記発光素子からの光によ
って前記ガス検知素子から発する蛍光、又はりん光を分
離するフィルターからなることを特徴とする。
本発明のガス検知装置において使用するスクエアリリ
ウム色素を含む薄膜は、支持体である圧電振動素子上に
有機色素を含む薄膜を設けた形態でガス検知素子として
使用することができる。この薄膜は、被検知ガス、例え
ばNOX、SOX、Cl2、O3、NH3、H2S等の酸化性および還元
性ガス、或るいは各種アルコール、アセトン、クロロホ
ルム、トリクロロエチレン等の有機用剤ガスを吸着する
性質を有するものであり、被検知ガス吸着に伴い圧電振
動素子の発振周波数が可逆的に変化する。例えば、10M4
Hzの水晶振動子を用いた場合、1ppmのNO2ガスにより50H
z程度発振周波数の減少が得られ、前記のB.Holcroftら
の例に比べて数倍感度が高い。さらに、被検知ガス、例
えばNOX、SOX、Cl2、O3、NH3、H2S等の存在により、吸
着したガス分子が薄膜中の色素分子と電子的な相互作用
を引き起こし、蛍光又はりん光強度が可逆的に変化す
る。これらは、我々がガス検知素子として用いたスクエ
アリリウム色素を含む薄膜が、ガスの吸着性が高く、ま
た非常に強く安定な蛍光又はりん光を発するという優れ
た特徴を有しているためである。従って、圧電振動素子
の発振周波数変化を測定すれば被検知ガスの薄膜への吸
着量が検知でき、更に、薄膜から発生する蛍光又はりん
光強度の変化を測定すれば、被検知ガスの成分を分離し
て検知することができる。
有機色素として使用する色素分子としては、被検知ガ
ス分子を多く吸着するばかりでなく、吸着の可逆性、安
定性に優れ、さらに光学式ガス検知手段に用いるために
は安定に強い蛍光を発生するものが望まれる。本発明に
用いるスクエアリリウム色素は以上の条件を充分に満た
しているものであり、スクエアリリウム色素としては、
一般式(I)で示されるものが有利に使用できる。
(式中、X及びYは、それぞれ発色団を示す。) 上記一般式(I)において、X及びYで示される発色
団としては、次のものがあげられる。
[式中、R1及びR2は、同一又は異なるものであって、そ
れぞれ水素原子、CnH2n+1、CnH2nOH、CnH2n-1、CnH2n-3
(但し、nは1〜20)、塩素原子、フッ素原子又は臭素
原子を示し、R3は水素原子、水酸基、CnH2n+1(但し、
nは1〜20)、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は
臭素原子を示し、R4は水素原子、水酸基、CnH2n+1(但
し、nは1〜20)、メトキシ基を示し、ZはC(CH3
、O、S又はSeを示す。] スクエアリリウム色素の具体例としては、特願昭63−
69666号公報に記載のものがあげられる。
本発明のガス検知装置において、上記のような薄膜形
成する基板となる圧電振動素子としては、水晶振動子お
よび遅延線型、反射器型表面弾性波素子(SAWデバイ
ス)等を使用することができる。また、発振回路として
は、TTLやC−MOSを使ったものや、トランジスタ回路、
さらにコイルも併用した回路を使用することができる。
発振回路からは、圧電振動素子の発振信号を取り出せる
ようにする必要がある。取り出された発振信号は、周波
数をカウントする回路または装置により周波数が測定さ
れ、簡単な信号処理によって、ガス濃度に換算される。
圧電振動素子、発振回路および周波数カウンターの組合
せで得られる発振周波数の安定性は、高ければ高い程良
く、例えば10MHzの水晶振動子を用いたばあい±0.1〜1H
z程度の安定性のあることが望ましい。
また、本発明のガス検知装置において、上記のように
薄膜から蛍光、又はりん光を発生させるための励起光源
として使用する発光素子としては、半導体レーザー素
子、及びLED等を使用することができる。
蛍光、又はりん光と励起光を分離するためのフィルタ
ーは、ガス検知素子と受光素子の間の光路中に配置され
る。このフィルターは、発光素子から出る光をカット
し、ガス検知素子から出る蛍光、又はりん光成分を主に
透過する特性を有するものが使用される。更に、ガス検
知素子から出る蛍光、又はりん光より長波長の光をカッ
トする特性を有するフィルターを用いるのが好ましい。
本発明においては、使用する発光素子から励起に必要
な波長の光以外の成分が出ている場合、更に、それをカ
ットする為のフィルターを使用してもよい。即ち、発光
素子から出る主発光波長付近の光を主に透過し、発光素
子から出る主発光波長付近の光以外の光を主にカットす
る特性を有するフィルターを、発光素子とガス検知装置
の間の光路中に配置してもよい。その場合、フィルター
への入射光がフィルター表面に垂直な方向と角度をもっ
て入射するように配置するのが好ましい。これらの光学
系により、非常に低いノイズレベルで、蛍光またはりん
光強度が受光素子の出力として取り出され、簡単な信号
処理により、ガス濃度に換算される。
(作用) 本発明の吸着量測定式ガス検知装置によれば、ガス検
知素子の有機色素を含む薄膜とこの薄膜に対し吸着性の
被検知ガスとの接触により、被検知ガスの薄膜への可逆
的な吸着が起こり、有機色素を含む薄膜の質量或るいは
密度が変化する。これにより引き起こされる圧電振動素
子の発振周波数変化を測定することにより被検ガスの吸
着量を定量的に検出することが可能となる。
水晶振動子を圧電振動素子として用いた場合の感ガス
薄膜の質量変化ΔMと発振周波数変化ΔFとの関係は下
式で表すことができる。
ΔF=(−F0 2/N・ρ)・(ΔM/A) (1) F0:水晶振動子の基本発振周波数 ρq:水晶の密度 N:厚み定数 A:面積 一方、SAWデバイスにおいても同様に下式で表すこと
ができる。
ΔF=−aF0 2Δρ (2) a:SAWデバイスによって決まる定数 Δρ:膜の密度変化 以上の式からも明らかなように、圧電振動素子を用い
ることにより、感ガス薄膜の質量変化を定量的に発振周
波数変化として検出することができる。さらに感ガス薄
膜と圧電振動素子とによって形成されるガス検知素子に
おいて感度を決定する要素としては、発振周波数の読み
取り精度と安定性が重要となる。また圧電振動素子の基
本発振周波数が高い程、その自乗に比例して大きな発振
周波数変化が得られ、発振周波数の読み取り精度と安定
性との兼ね合いにより最適なガス検知系を選ぶことがで
きる。
また、本発明の光学式ガス検知装置によれば、ガス検
知素子の有機色素に対し電子的な相互作用をおよぼす、
例えばNOX、SOX、Cl2、O3、NH3、H2S等の被検知ガスと
の接触により薄膜の可逆的な蛍光又はりん光強度変化が
引き起こされる。これを測定することにより被検ガスを
光学的に検出することが可能となる。
被検知ガスと接触させた薄膜からの蛍光またはりん光
強度と、被検知ガスと接触させない薄膜からの蛍光また
はりん光強度との比を実験的に求めると、ほぼ次の関係
が得られる。
F0/F=1+a[G] (3) a:傾き [G]:ガス濃度 この関係は、溶液系で一般に知られている蛍光及びり
ん光の消光に関する関係と類似である。すなわち、溶液
系では、その蛍光またはりん光強度と消光剤の濃度の間
に次式のシュテルンフォルマーの式が成り立つ事が知ら
れている。
Φ0/Φ=1+Kτ[Q] (4) Φ0:消光剤のない時の蛍光又はりん光の量子収率 Φ:消光剤の存在下での蛍光又はりん光の量子収率 K:色素と消光剤の反応速度定数 τ0:消光剤のない時の蛍光又はりん光の寿命 [Q]:消光剤の濃度 前記蛍光又はりん光の量子収率(Φ、Φ)は、励起
光強度が一定であれば、蛍光又はりん光強度に比例す
る。式(3)と式(4)を比較すると、ガスおよび薄膜
系でも溶液系と同様の現象が起こっており、ガスが消光
剤の働きをしているものと考えられる。
以上の関係から、あらかじめ求めておいた被検知ガス
濃度と蛍光又はりん光の変化の関係と、被検知ガスと接
触させた時の薄膜からの蛍光又はりん光強度と、被検知
ガスと接触させない時の薄膜からの蛍光又はりん光強度
との比から、複雑な補正を必要とせず非常に簡単に定量
的に被検知ガスの濃度を求めることができる。
さらに、以上2つのガス検知手段、即ち吸着量測定式
ガス検知法および光学式ガス検知法を併用することによ
り、吸着量測定式ガス検知法では感ガス薄膜に吸着する
全ての被検ガスの吸着量を、また光学式ガス検知法によ
っては感ガス薄膜中の色素分子に対し電子的な相互作用
をおよぼし蛍光又はりん光強度を変化させる被検ガスの
濃度を、それぞれ定量的に測定することができる。した
がって有機溶剤系のガスの様に感ガス薄膜に吸着はする
が、蛍光又はりん光強度を変化させない被検ガス種と、
NOX、SOX、Cl2、O3、NH3、H2S等の酸化性或るいは還元
性ガスの様に感ガス薄膜に吸着し、さらに蛍光又はりん
光強度を変化させる被検ガス種を選択して検知すること
が可能となる。
(実施例) 以下、図面によって本発明を詳細に説明する。
第1図は、本発明の吸着量測定式ガス検知装置の基本
的構成図である。図中、1圧電振動素子は有機色素を含
む薄膜を形成したガス検知素子、2は反応槽、3はガス
検知素子を有する圧電振動素子の発振手段、4は周波数
検知手段を示す。
被検知ガスは、反応槽2内の空間を図中矢印の方向に
流す。ガス検知素子1は、発振手段3により発振し、そ
の発振周波数は周波数検知手段4によって読み出され
る。被検知ガスを流すことにより、ガス検知素子に被検
知ガス分子が吸着し、このことによって引き起こされる
発振周波数変化により、被検ガス濃度が定量的に求めら
れる。
圧電振動素子としては、1〜10MHzの水晶振動子、20
〜100MzのSAWデバイスが好ましく用いられる。これらの
圧電振動素子の発振回路としては、通常の用途に用いら
れるのと同様のトランジスタ回路、TTL回路、C−MOS回
路などが用いられる。周波数検知手段としては、7桁以
上の読み取り精度の有るものが必要で、できれば10MHz
のオーダーの発振周波数に対しては0.1Hz、また100MHz
の発振周波数に対しては1Hzの桁まで読み取れることが
望ましい。また、発振周波数の安定性としては10MHzの
オーダーの発振周波数に対しては±0.5Hz、100MHzの発
振周波数に対しては5Hz程度であることが望ましく、そ
の為に発振回路としては、安定性の高いものを使用する
必要がある。このため、発振回路に用いるコンデンサ
ー、抵抗、コイル、トランジスター、およびTTL,C−MOS
等のICは、圧電振動素子の発振周波数のレベルまで、周
波数依存性の小さなものを使用することが望まれる。
また、圧電振動素子と発振手段、また発振手段と周波
数検知手段を結ぶケーブルは、ノイズや波形のなまりを
防ぐために、インダクタンス、キャパシタンス、および
抵抗を考慮する必要があり、なるべく太いケーブルによ
る編み線や周波数に合わせた同軸ケーブルを用いること
が望まれる。
反応槽2内のガスを流すための空間は、被検ガスの充
填ができるだけ速やかに起こり、応答速度を速めるため
に、できるだけ小さいことが望まれる。また材質として
は、テフロン、ポリプロピレン、石英、ステンレス等、
吸着性が低く耐蝕性に優れた素材が好ましい。
第2図は、本発明の吸着量測定式ガス検知装置と光学
式ガス検知装置を組み合せた形式のガス検知装置の基本
的構成図である。図中、1〜4までは第1図と共通であ
る。また、反応槽2には光学測定のための窓5が設けら
れている。6〜10までの光学測定系において、6は発光
素子、7はレンズ、8は発光素子の基板からの蛍光をカ
ットするためのフィルター、9は受光素子、10は励起光
カット用のフィルターを示す。
発光素子6から出た励起光は、レンズ7により集光さ
れ、フィルター8を通ってガス検知素子1に照射され
る。それによってガス検知素子1の薄膜から蛍光又はり
ん光が発生する。発生した蛍光又はりん光は、フィルタ
ー10を通って受光素子9に達し、図示しない電気回路に
より電気信号に変換される。この場合、ガス検知素子1
に被検知ガスが接触すると、ガス検知素子1から出る蛍
光又はりん光強度が変化し、ガス濃度が電気信号として
検知できる。
本発明において、ガス検知素子に形成する有機色素薄
膜としては、600〜760nmの範囲の光を照射すると770nm
付近にピークを有する蛍光又はりん光を発生するものが
有利に使用できる。
その場合、発光素子6としては、600〜760nmの範囲に
主発光波長を有するLED或るいは半導体レーザー素子が
好ましく使用され、これ等は、小型の励起光源として使
用することができる。
また、受光素子9としては770nm付近にピーク波長を
有する蛍光又はりん光に対して感度を有するものでなけ
ればならない。
レンズ7は、発光素子6から出る光が発散するのを防
ぎ、ガス検知素子1の上に有効に集めるために使用する
ものであり、ガス検知素子1から出る蛍光又はりん光強
度を強めるのに有効である。レンズ7は発光素子6と一
体に構成されてもよい。
発光素子6から出る光には、励起光として作用する60
0〜760nmの波長範囲の光の他に、それよりも長い波長の
光が含まれている場合がある。例えば、GaAs系の材料を
用いた発光素子では、600〜760nmの範囲にピークを持つ
主発光波長の光と共に、890nm付近に小さなピークを持
つフォトルミネッセンスが僅かに出ている。この光のピ
ーク強度は、主発光波長のピーク強度に比して百分の一
以下であるが、蛍光又はりん光の測定の際にノイズとな
り、この様なノイズ光を除くために、780nm付近の蛍光
又はりん光成分よりも長波長側の光をカットするフィル
ター8を第2図に示す位置に、フィルター8の表面で反
射した光が半導体レーザー素子の発行部に戻らないよう
に若干角度を付けて挿入する。
フィルター10は、発光素子6から出た励起光が、ガス
検知素子1で反射又は散乱して受光素子9に入るのを防
ぐ作用をする。したがって、受光素子9が励起光に対し
て感度を有する場合であっても、これ等の励起光や散乱
光をフィルター10で防ぐことによって、受光素子9に入
る光のうち、蛍光又はりん光の割合が大きくなり、ノイ
ズの少ない信号が得られるようになる。
蛍光又はりん光を有効に集めるために、受光素子9あ
るいはフィルター10の前にレンズを置いてもよいし、レ
ンズと受光素子が一体に構成されたものを使用してもよ
い。
次に、さらに具体的な実施例を示す。
(実施例1) 下記式で示されるスクエアリリウム色素 とアラキン酸(C19H39COOH)とをモル比1:1の割合でク
ロロホルム中に溶解し、約8×10-4Mの濃度の溶液を調
整した。この溶液を用いLB膜作成法によって10MHzの水
晶振動子上に11層の単分子膜を累積した。それにより、
スクエアリリウム色素のJ会合体からなるガス検知素子
が得られた。即ち、約200μlを水面上に展開し、水晶
振動子の水晶板を、気水界面を上下させることにより、
水晶板上に感ガス体薄膜を形成してガス検知素子を得
た。
水晶振動子の発振周波数は感ガスLB膜累積前に比べ
て、約2420Hz減少した。この値は、感ガス薄膜の質量を
表している。
このようにして形成したガス検知素子を反応槽内に固
定した。この感ガス素子を反応槽の外部の、発信手段に
接続した。発振手段としてはTTLを用いた一般的な正帰
還型の発振回路を使用した。発振周波数は発振手段中か
ら、発信信号を取り出し、周波数検知手段により測定し
た。周波数検知手段は、0.1Hzの桁まで、読み取れる周
波数カウンターであり、水晶振動子の発振周波数は、反
応槽内に2l/minの純空気ガスを流した状態で±0.1Hzの
安定性で読み取ることができた。
この状態で、同じ流量の0〜10000ppbのNO2ガスを含
む純空気ガスに切り換えたところ、発振周波数の顕著な
減少が認められ、さらに純空気ガスに切り換えることに
より、水晶振動子の発振周波数は元の値に回復した。80
0ppbのNO2ガスによっては約35Hzの、150ppbのNO2ガスに
よっては約6.5Hzの、減少がみられ、NO2ガスの濃度に比
例して周波数の減少量が変化し、この関係から、ガス検
知装置により、定量的にNO2ガスの濃度が求められるこ
とを確認した。
(実施例2) 反応槽に石英窓を設け、実施例1と同様の吸着量測定
式ガス検知装置を構成し、さらに、光学式ガス検知装置
も併せ持つガス検知装置を作製した。
光学式ガス検知装置の構成について述べる。発光素子
として670nm付近にピーク波長を有する市販の半導体レ
ーザー素子を使用し、励起光源とした。この光を集める
ためのプラスチックレンズを半導体レーザー素子の前に
設けた。さらに、励起光が赤外カットフィルターに対し
て約20゜の入射角を持つように800nm付近より長波長側
の光をカットする赤外カットフィルターをレンズの前に
傾けて設けた。また、受光素子としては市販のシリコン
フォトダイオードを用い、720nm付近より短波長側の励
起光をカットする励起光カットフィルターをその前に取
り付けた。これ等の各部品を第2図に示すように配置し
た。即ち、励起光カットフィルター及びシリコンフォト
ダイオードを、ガス検知素子に対してほぼ垂直方向で、
ガス検知素子の薄膜表面から5〜10mm離して配置した。
半導体レーザー装置を点灯すると、励起光がガス検知素
子に照射され、そこから出た蛍光又はりん光をフォトダ
イオードで受け、フォトダイオードに流れる10-9Aオー
ダーの電流を電気回路により1Vオーダーの電圧信号とし
て取り出すことができた。
この状態で純空気ガスを2l/minの流速で流したのち、
0.01〜100ppmの濃度のNO2ガスを含む純空気ガスを導入
すると、水晶振動子の発振周波数の減少と共に、蛍光の
減少に伴うフォトダイオードからの電圧信号の減少とし
て、両手段によりそれぞれ定量的にNO2ガスの濃度を測
定できた。
(実施例3) 実施例2と同様の吸着量測定式ガス検知装置と光学式
ガス検知装置を併せ持つガス検知装置において、2l/min
の流速で純空気ガスを流したのち0.1〜100ppmのトリク
ロロエチレンを含む純空気ガスを流した。その結果、吸
着量測定式ガス検知装置において、感ガス薄膜へのトリ
クロロエチレン分子の吸着に伴う10-1〜101Hzのオーダ
ーの発振周波数の減少が確認され、トリクロロエチレン
ガスの濃度を定量的に測定することができた。一方、光
学式ガス検知装置においては出力変化が全く見られず、
光学式ガス検知装置がトリクロロエチレンガスに対して
感度がないこが確認された。
(実施例4) 実施例2と同様の吸着量測定式ガス検知装置と光学式
ガス検知装置を併せ持つガス検知装置において、2l/min
の流速で純空気ガスを流したのち0.1〜100ppmのクロロ
ホルムを含む純空気ガスを流した。その結果、吸着量測
定式ガス検知装置において、感ガス薄膜へのクロロホル
ム分子の吸着に伴う10-1〜102Hzのオーダーの発振周波
数の減少が確認され、クロロホルムガスの濃度を定量的
に測定することができた。一方、光学式ガス検知装置に
おいては出力変化が全く見られず、光学式ガス検知装置
がクロロホルムガスに対して感度がないことが確認され
た。
(実施例5) 実施例2と同様の吸着量測定式ガス検知装置と光学式
ガス検知装置を併せ持つガス検知装置において、2l/min
の流速で純空気ガスを流したのち0.01〜10ppmのNO2ガス
と0.1〜100ppmのトリクロロエチレンを含む純空気ガス
を流した。その結果、吸着量測定式ガス検知装置におい
ては、感ガス薄膜へのNO2分子とトリクロロエチレン分
子の両分子の吸着に伴う10-1〜102Hzのオーダーの発振
周波数の減少が確認された。一方、光学式ガス検知装置
においては、NO2ガス分子の吸着に伴う蛍光の減少によ
り出力変化が見られた。これら2つのガス検知装置の出
力結果から、NO2ガス、トリクロロエチレンガスの両濃
度を定量的に測定することができた。
(実施例6) 実施例2と同様の吸着量測定式ガス検知装置と光学式
ガス検知装置を併せ持つガス検知装置において、2l/min
の流速で純空気ガスを流したのち10〜10000ppmのアンモ
ニアを含む純空気ガスを流した。その結果、吸着量測定
式ガス検知装置において、感ガス薄膜へのアンモニア分
子の吸着に伴う10-1〜102Hzのオーダーの発振周波数の
減少が確認され、アンモニアの濃度を定量的に測定する
ことができた。一方、光学式ガス検知装置においては僅
かな蛍光強度の増加が見られ(〜10%)、光学式ガス検
知装置がアンモニアガスに対して僅かに感度があり、NO
2ガスとは逆の出力変化をもたらすことが確認された。
(実施例7) 実施例1と同様に、下記式で示される スクエアリリウム色素とアラキン酸(C19H39COOH)とを
モル比1:1の割合でクロロホルム中に溶解し、約8×10
-4Mの濃度の溶液を調整した。この溶液を用い水平付着
法によって61MHzの反射器型SAWデバイス上に6層の単分
子膜を累積した。それにより、スクエアリリウム色素の
J会合体からなるガス検知素子が得られた。即ち、約20
0μlを水面上に展開し、SAWデバイスを、気水界面に付
着させることにより、SAWデバイス上に感ガス体薄膜を
形成してガス検知素子を得た。
SAWデバイスの発振周波数は感ガスLB膜累積前に比べ
て、約19.5KHz減少した。この値は、感ガス薄膜の単位
長さ当たりの密度を表している。
このようにして形成したガス検知素子を実施例2と同
様の吸着量測定式ガス検知装置と光学式ガス検知装置を
併せ持つガス検知装置反応槽内に固定した。この感ガス
素子は反応槽の外部の、発信手段に接続した。発振手段
としてはトランジスタ、抵抗、コンデンサおよびコイル
からなる発振回路を使用した。発振周波数は発振手段中
から、発信信号を取り出し、周波数検知手段により測定
した。周波数検知手段は、0.1Hzの桁まで、読み取れる
周波数カウンターであり、水晶振動子の発振周波数は、
反応槽内に2l/minの純空気ガスを流した状態で±0.5Hz
の安定性で読み取ることができた。
この状態で、同じ流量の0〜10000ppbのNO2ガスを含
む純空気ガスに切り換えたところ、発振周波数の顕著な
減少が認められ、さらに純空気ガスに切り換えることに
より、水晶振動子の発振周波数は元の値に回復した。80
0ppbのNO2ガスによっては約275Hzの、150ppbのNO2ガス
によっては約50Hzの、減少がみられ、NO2ガスの濃度に
比例して周波数の減少量が変化し、この関係から、ガス
検知装置により、定量的にNO2ガスの濃度が求められる
ことを確認した。
また、蛍光の減少については、実施例2と同様の結果
が得られ、両手段によりそれぞれ定量的にNO2ガスの濃
度を測定できた。
(発明の効果) 上記のように、本発明の検知装置は、有機色素を含む
薄膜への被検ガスの可逆的な吸着を薄膜の質量変化と蛍
光強度変化の両方を測定しているので、物理的な吸着過
程と、薄膜内の色素分子と被検ガス分子との間の電子的
な相互作用を同時に見ることが可能であり、複雑なガス
成分の中から大きく2つの成分に分離してガスを検知す
ることができる。従って、環境中の有害ガス等の検知に
おいて特に優れている。
また、本発明に用いたスクエアリリウム色素は安定性
に優れ、たとえば、NO2ガスに対しては非常に高い吸着
性を示し、かつJ−会合体を形成したときには非常に強
く安定な蛍光を発生することから、非常に優れた高感度
ガス検知装置を構成することが可能となった。
本発明のガス検知装置は、質量測定式ガス検知手段に
おいては、簡単な圧電振動素子と省電力でかつ簡単な周
波数測定系で構成され、また光学式ガス検知手段におい
ても簡単な発光および受光素子によって構成されるた
め、感度、安定性、応答速度に優れ、広い濃度範囲で使
用可能である。また、製作も容易で、コスト面、対環境
面でも有利であるので、非常に広範囲な応用が可能であ
る。更に、質量変化と光の両方を利用するものであるか
ら、電気的、磁気的および化学的妨害に対して抵抗性を
有している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の吸着量測定式ガス検知装置の基本構成
を示す構成図、第2図は本発明の吸着量測定式ガス検知
装置と光学式ガス検知装置を組み合せたガス検知装置の
基本構成を示す構成図である。 1……ガス検知素子、2……ガス反応槽、3……発振手
段、4……周波数検知手段、5……窓、6……発光素
子、7……レンズ、8……フィルター、9……受光素
子、10……フィルター。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−243944(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告、88 〔20〕(1988)古木、金石外p.43〜46 富士ゼロックステクニカルレポート 〔4〕(1989)古木、金石外p.49〜54 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 5/00 - 5/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電振動素子上にスクエアリリウム色素を
    含むガス検知有機色素薄膜を形成したガス検知素子と、
    圧電振動素子の発振手段と、前記圧電振動素子の発振周
    波数変化を測定する周波数検知手段を有する吸着量測定
    式ガス検知手段と、発光素子と、受光素子と、前記有機
    色素薄膜から発する蛍光またはりん光を分離するフィル
    ターとを有する光学式ガス検知手段とを有することを特
    徴とするガス検知装置。
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