JP2885841B2 - 処理水の製造方法及びその装置 - Google Patents

処理水の製造方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水道水,井戸水などの原水を電気分解して
無菌あるいは殺菌した処理水を製造する方法及びその装
置に係り、特に所望のpH値の処理水を安定して得ること
ができる処理水の製造方法及びその装置に関するもので
ある。
[従来の技術] 本発明者らは、先に特願昭63−51765号,特願昭63−1
49861号にて電解槽内を隔膜で陽極室と陰極室とに仕切
り、両室内に導入した水道水などの原水を電解分解する
ことで無菌の処理水を生成することを発明した。
[発明が解決しようとする課題] この原水を電気分解するにおいて、陽極室からは酸性
水が、陰極室からはアルカリ性水が得られるが、電解槽
内に原水を流しながら、しかも安定したpHの処理水を得
ることが極めて重要である。
pH値を計測するには、イオン電極法などのpH計測器に
て計測できるが、被測定箇所が電場内であり、計測器が
外部の加電圧により瞬時に破壊してしまい、計測できな
い。また生成水を取り出してpH測定することはできるが
リアルタイムの計測とはならず制御が著しく悪い。
本発明の目的は、所望のpH値の処理水を安定して取り
出すことが可能な処理水の製造方法及びその装置を提供
することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記の目的を達成するために陽極と陰極間
を隔膜で仕切って陽極室と陰極室とを形成した電解槽内
に、原水を流して電気分解すると共に所望のpH値の処理
水を製造する方法において、上記原水の電解前の電気伝
導度と電解後の電気伝導度との電位差を求めると共にそ
の電位差により上記陽極と陰極間の印加電圧を制御した
ものであり、また陽極と陰極間を隔膜で仕切って陽極室
と陰極室とが形成された電解槽と、その電解槽の陽極室
と陰極室に原水を供給する原水供給手段と電解槽の陽極
と陰極間に電圧を印加する電源手段と、原水の入口側電
気伝導度と陽極室の出口側の処理水の電気伝導度との差
を求めると共にその差から電源手段の印加電圧を制御し
て処理水のpH値を制御するpH制御手段とを備えたもので
ある。
[作用] 上記構成によれば、生成した処理水のpH値を直接測定
する代りに出入口の電気伝導度差を検出し、その差に基
づいて印加電圧を決定することで連続的にかつ安定した
所望のpH値の処理水を得ることができる。
[実施例] 以下本発明の好適実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図において、1は電解槽で、隔膜2で陽極室3と
陰極室4とに仕切られると共にその室3,4にそれぞれ内
壁と一体又は別個に陽極5及び陰極6が設けられる。
この陽極室3と陰極室4には、水道水,井戸水などの
原水を供給する原水供給手段7が接続される。すなわ
ち、陰極室4の下部に原水供給管8が接続され、その供
給管8に継手9を介して分岐管10が接続され、その分岐
管10が陽極室4の下部に接続されて原水供給手段7が形
成される。
陽極室3と陰極室4の上部にはそれぞれ陽極処理水の
排出管11と陰極処理水の配水管12が接続される。
陽極5と陰極6には原水を電気分解するための出力電
圧可変な直流電源13が接続される。原水供給間8には原
水の電気伝導度を検出するEC電極14が設けられ、また陽
極処理水の配水管11には、陽極処理水の電気伝導度を検
出するEC電極15が設けられる。
以上において、原水供給手段7より電解槽1内の陽極
室3と陰極室4内に原水が供給され、直流電源13より陽
極5と陰極6間に直流電圧が印加されて原水が電気分解
され、酸性の処理水が陽極配水管11より排水され、また
アルカリ性の処理水が陰極配水管12より排水され。
この処理水、例えば陽極間の処理水を所望のpH値とし
て取り出す場合、原水入口側のEC電極14と陽極の排出側
のEC電極15の電気伝導度差(以下EC差という)に基づい
て直流電源13の出力電圧を調整し、原水を電解する通電
量を制御することで、所望のpH値の処理水を得ることが
できる。
このpH値とEC値との関係を説明する。原水の電気分解
において電解前に原水のEC値を測定し、その原水を電解
槽で電気分解することにより、陽極室より吐出される処
理水のpH値は原水のpH値より降下し、EC値においては原
水のEC値より上昇していることを知り、これに基き電解
処理においてのpH値とEC値との関係を下記のように関係
式を導くことにより、EC値に換算することができる。
原水と電解生成水においてのEC値とpH値との関連式は
次のようになる。
初めに原水の電気伝導率Kは、 i=溶液に含まれるイオン Zi=イオンのイオン価(符号を含む) Ci=溶量モル濃度 =当量イオン伝導率 で表され、原水中の電解質物質の電離によって、生ずる
イオン種と、その濃度により決定される。原水pHは中性
領域にあるのでH=OH=10-7M/lであって、このイオン
濃度ではEC値は極微であるから原水のEC値は電解質物質
の電離によるイオンのものといえる。
次に原水を電解するには通電量Q(クローン)は電流
iと時間tの積で次式に表される。
Q=i・t …(2) また、電流iは次式のようにも表される。
F=ファラデー定数 Ci=イオンiのモル濃度 Zi=イオンiのイオン価(符号を含む) Ui=イオンiのイオン移動度 当量イオン伝導率λiとイオン移動度Uiとの関係は次
式で表され、 原水の電気伝導率Kは(1)式に(4)式を代入して、 に表すことができ、(3)式と(5)式より関数Kの変
数は、 となり、電極間の電圧と電流によって決まることにな
り、変数 のうち、陽イオン部分 は隔膜を通して陰極側に、陰イオン部分 は陽極側に移動するが、各種イオンの当量イオン伝導率
とイオンの移動度は陰イオンの方がわずかに高い値を示
し、しかし、原水に多く含まれていると考えられるイオ
ン種はOHイオンを除いた場合は、ほぼ同じ値になる。
よって であり、電解前と電解後でのEC値が異なるのは、陽極側
ではH+の濃度、陰極側ではOH-濃度の変化によることが
わかる。それゆえに、電解前のEC値を、K1とし、電解後
のEC値をK2とすると、 (つまり、K2−K1をEC差とすると、EC差とHは相関性が
あるので下式が成立し) とすることができ、log[H+]はpH値を示すので、EC値
の差異で概算のpH値を算出することができる。
なお、計測においては、陽極室より吐出される生成水
のEC差とpH相関性があり、pH値の範囲がpH2.2〜3.5で、
安定した電解電流を制御できることを見出した。
この試験例を以下に説明する。
[試験例1] 第1図の電解槽を用いて、水道水(EC68μs/cm,pH6.6
5)電解して、電解後のEC値とその時のpH値との関係を
調べて、そのデータを表1に示し、またこのデータを第
2図にグラフで示した。試験方法として、電解前の水道
水のECを市販されている、EC計で測定し、その値を電解
前のEC値とし、電解槽に負荷される電解電流を可変する
ことにより、陽極室から吐出された生成水のpH値を市販
のpH計で測定し、その時生成された水のECをEC計で測定
し、この値を電解後のEC値とした。また電界後のECから
電解前のECを引いた値をEC差とした。
以上よりpH値とEC値とは相関性があり、従って上記デ
ータより所定EC差を保つよう直流電源を制御すれば所望
のpH値の処理水が得られる。
[試験例2] 電解溶液(例えば硫酸等)を水道水で希釈して各pH値
におけるEC値と、EC差位を表2に示し、また第3図に、
このデータをグラフで示した。この試験は水道水(EC68
μs/cm,pH6.65)で硫酸を希釈し、各々pH値においてのE
C値及び、EC差位を調べたデータである。
上記の試験例1,2のデータを比較し、知り得ること
は、水道水及び電解溶液においてのEC差異値はpH3.0と
2.0との間ではほとんど同数値で表され、pH3.0以上では
近似的数値であることで、水道水,井戸水等を電解し、
生成された水のpH値を求める場合、電解前のECと、電解
後のECとを測定することにより近似的にpH値を求めるこ
とができる。
また、第3図において、直線A及び直線Bを数式化す
ると、 直線Aは Y=5.43−0.94X (A) [Y軸はlog(EC差位),XはpH値] 直線Bは Y=2.84−0.31X (B) となり、A線とB線の交点は(4.11,1.57)であり、pH
値においては、pH4.11を分岐点としてpH4.11以上の場合
は(B)式を用いて近似的なlog(EC差位)を算出し、
電解後のEC値がどの値であるべきかを知ることができ、
pH4.11以下で、pH2.0位までは(A)式を用いてlog(EC
差位)を算出し、EC値を知ることができる。
また、(A)式(B)式を用いて、EC差位を知り得れ
ば、pH値を算出できる。
次に原水と処理水のEC差から直接直流電源の出力電圧
を制御するpH制御手段である回路を、第4図により説明
する。
第4図(a)において原水のEC電極14と処理水のEC電
極15とで発振器20に接続した交流ブリジ21を形成し、そ
の出力を電位差増幅器22に入力し、この電位差を直流電
圧交換回路23にて直流電圧に変換する。得られた出力24
を、第4図(b)のプリセットコントロール回路25に入
力する。このプリセットコントロール回路25には、上述
した試験例1,2のデータが入力され、出力24から、設定
のpH値が得られているかどうかを判断し、設定のpH値で
あれば直流電源13の出力13aを、そのままの電圧に保持
し、pH値が設定より外れていればその出力13aを調整す
べく制御する。図示例ではサーボモータ26に出力し、そ
のサーボモータ26で電源トランス27の二次側スライド接
点27aを代えて二次側電圧を変え、これを全波整流器28
で直流化し、その出力13aを調整する。
また図には示していないが出力24でpH値をアナログ表
示やデジタル表示するようにする。
[発明の効果] 以上説明してきたように本発明によれば次のごとき優
れた効果を発揮する。
(1)原水と処理水の電気伝導度差を検出することで、
処理水のpH値を換算できる。
(2)電気伝導度差を制御することで所望のpH値の処理
水を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す装置図、第2図、第3
図は本発明において処理水のpH値とEC値の関係を示す
図、第4図は本発明における直流電源の電気回路図であ
る。 図中、1は電解槽、2は隔膜、3は陽極室、4は陰極
室、5は陽極、6は陰極、7は原水供給手段、13は直流
電源、14、15はEC電極である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−203989(JP,A) 特開 昭52−32886(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/46 - 1/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極と陰極間を隔膜で仕切って陽極室と陰
    極室とを形成した電解槽内に、原水を流して電気分解す
    ると共に所望のpH値の処理水を製造する方法において、
    上記原水の電解前の電気伝導度と電解後の電気伝導度と
    の電位差を求めると共にその電位差により上記陽極と陰
    極間の印加電圧を制御することを特徴とする処理水の製
    造方法。
  2. 【請求項2】陽極と陰極間を隔膜で仕切って陽極室と陰
    極室とが形成された電解槽と、その電解槽の陽極室と陰
    極室に原水を供給する原水供給手段と、電解槽の陽極と
    陰極間に電圧を印加する電源手段と、原水の入口側電気
    伝導度と陽極室の出口側の処理水の電気伝導度との差を
    求めると共にその差から電源手段の印加電圧を制御して
    処理水のpH値を制御するpH制御手段とを備えたことを特
    徴とする処理水製造装置。
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