JP2883672B2 - 高レベル放射性廃棄物の固化処理、貯蔵、処分に関する方法と設備 - Google Patents
高レベル放射性廃棄物の固化処理、貯蔵、処分に関する方法と設備Info
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- JP2883672B2 JP2883672B2 JP7969190A JP7969190A JP2883672B2 JP 2883672 B2 JP2883672 B2 JP 2883672B2 JP 7969190 A JP7969190 A JP 7969190A JP 7969190 A JP7969190 A JP 7969190A JP 2883672 B2 JP2883672 B2 JP 2883672B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は使用済核燃料の再処理に伴って発生する高レ
ベル廃液の処理、貯蔵および処分、並びに、使用済核燃
料の再処理なしの貯蔵および処分の方法及び装置に関す
る。
ベル廃液の処理、貯蔵および処分、並びに、使用済核燃
料の再処理なしの貯蔵および処分の方法及び装置に関す
る。
[従来の技術] 沸騰水型や加圧水型の軽水炉原子力発電所で発生する
使用済燃料は、遮蔽容器内に封入して再処理工場に輸送
する。ここで、ジルカロイ合金で製作された燃料被覆管
を切断器により3〜5cmの長さに切断した後で溶解槽に
投下する。硝酸を満たした該溶解槽は外部より加熱さ
れ、硝酸は活性化して使用済燃料を溶解する。この溶液
内には原子炉で核分裂しなかったウラニウムとウラニウ
ムの中性子吸収で生成したプルトニウムのような有用な
成分との他に、137Csのような核分裂生成物とウラニウ
ムが原子炉で中性子を吸収して生成した超ウラン元素と
が存在する。そこで、30%リン酸トリブチルと70%ドデ
カンを混合した有機溶媒をこの硝酸溶液に混合すると、
有用なウラニウムとプルトニウムは有機溶媒側に移行
し、核分裂生成物等は硝酸溶液に残存する。この硝酸溶
液を蒸発缶で濃縮したものが、本発明が一つの対象とす
る高レベル廃液である。高レベル廃液は、使用済燃料1t
onから0.4〜0.6ton発生し、硝酸が2〜4mole/lの範囲で
存在するほかに、核分裂生成物を60〜150g/l含む。
使用済燃料は、遮蔽容器内に封入して再処理工場に輸送
する。ここで、ジルカロイ合金で製作された燃料被覆管
を切断器により3〜5cmの長さに切断した後で溶解槽に
投下する。硝酸を満たした該溶解槽は外部より加熱さ
れ、硝酸は活性化して使用済燃料を溶解する。この溶液
内には原子炉で核分裂しなかったウラニウムとウラニウ
ムの中性子吸収で生成したプルトニウムのような有用な
成分との他に、137Csのような核分裂生成物とウラニウ
ムが原子炉で中性子を吸収して生成した超ウラン元素と
が存在する。そこで、30%リン酸トリブチルと70%ドデ
カンを混合した有機溶媒をこの硝酸溶液に混合すると、
有用なウラニウムとプルトニウムは有機溶媒側に移行
し、核分裂生成物等は硝酸溶液に残存する。この硝酸溶
液を蒸発缶で濃縮したものが、本発明が一つの対象とす
る高レベル廃液である。高レベル廃液は、使用済燃料1t
onから0.4〜0.6ton発生し、硝酸が2〜4mole/lの範囲で
存在するほかに、核分裂生成物を60〜150g/l含む。
高レベル廃液は多量の核分裂生成物を含むために、原
子炉で運転を終了した後5年間経過しても、崩壊熱に伴
う発熱が5〜15kW/tonもある。このため、高レベル廃液
の貯蔵タンク内は、常に冷却水を循環させて冷却する必
要がある。更に硝酸を多量に含むため腐食性が高いの
で、タンク材料には高価な素材を用いる必要が有るほか
に、容器を2重構造にする等の慎重な管理が要求され
る。
子炉で運転を終了した後5年間経過しても、崩壊熱に伴
う発熱が5〜15kW/tonもある。このため、高レベル廃液
の貯蔵タンク内は、常に冷却水を循環させて冷却する必
要がある。更に硝酸を多量に含むため腐食性が高いの
で、タンク材料には高価な素材を用いる必要が有るほか
に、容器を2重構造にする等の慎重な管理が要求され
る。
そこで高レベル廃液貯蔵タンクの管理軽減のために、
高レベル廃液をホウケイ酸ガラスの材料と混合して、11
00℃以上に加熱してガラス組成の中に核分裂生成物を安
定な形で取り込んだ固化体とすることが計画されてい
る。また、ホウケイ酸ガラスによる固化以外にも、ケイ
酸塩鉱物固化、チタン酸塩鉱物固化、アルミン酸鉱物固
化、リン酸塩鉱物固化を用いた多くの固化方式の開発が
進められている。何れの固化方式も1000℃以上の高温に
高レベル廃液を加熱するために、固化設備の劣化対策が
重要であり、また高温のため高レベル廃液に含まれる核
分裂生成物のうちで、気化しやすいヨウ素等の核種がガ
ス系に移行するという問題がある。
高レベル廃液をホウケイ酸ガラスの材料と混合して、11
00℃以上に加熱してガラス組成の中に核分裂生成物を安
定な形で取り込んだ固化体とすることが計画されてい
る。また、ホウケイ酸ガラスによる固化以外にも、ケイ
酸塩鉱物固化、チタン酸塩鉱物固化、アルミン酸鉱物固
化、リン酸塩鉱物固化を用いた多くの固化方式の開発が
進められている。何れの固化方式も1000℃以上の高温に
高レベル廃液を加熱するために、固化設備の劣化対策が
重要であり、また高温のため高レベル廃液に含まれる核
分裂生成物のうちで、気化しやすいヨウ素等の核種がガ
ス系に移行するという問題がある。
また、これら無機物質を用いた固化方式は、安定な固
化体を提供できるが、原子力発電所の運転条件の違いに
より燃焼度等が異なって高レベル廃液の組成が変化した
ときに、固化体の性能も変動するという問題がある。
化体を提供できるが、原子力発電所の運転条件の違いに
より燃焼度等が異なって高レベル廃液の組成が変化した
ときに、固化体の性能も変動するという問題がある。
また、何れの固化法式も安定性に重点を置いて開発さ
れているので、一度固化すると、再び溶解して元の高レ
ベル廃液に戻すことは困難であるので、容器に入れて地
下深く埋設処理することになる。最も有力と考えられて
いるホウケイ酸ガラス固化でも、核分裂生成物の充填可
能量が10〜15wt%と少ないために、ガラス固化体の比重
が2.5前後あることを考慮しても、減容比が2〜3と少
ない。また、発熱量が大きいために、このまま地下400
〜500mの地層に埋設処分すると、周囲の岩盤が熱膨張に
よりひび割れを発生する恐れがある。このため、ガラス
固化体は固化した後も30〜50年間にわたり、地上で冷却
しながら貯蔵する必要がある。再処理工場では年間800t
onほどの使用済燃料を処理するために、高レベル廃液が
年間300〜500tonも発生する。このため、ガラス固化体
の発生量も年間100〜250m3も発生することになり、大型
の貯蔵設備が必要である。一般にガラス固化体は強制循
環による空冷で冷却される。この場合、ガラスは600℃
を超えると結晶化により劣化するので、固化体の中心温
度が600℃以下になるように冷却する必要がある。冷却
する空気の流れを止められないので、貯蔵設備には非常
用電源等の各種安全設備が必要である。また、冷却する
空気は固化体と直接接触するので、それを大気へ放出す
る前に浄化設備で処理する必要がある。
れているので、一度固化すると、再び溶解して元の高レ
ベル廃液に戻すことは困難であるので、容器に入れて地
下深く埋設処理することになる。最も有力と考えられて
いるホウケイ酸ガラス固化でも、核分裂生成物の充填可
能量が10〜15wt%と少ないために、ガラス固化体の比重
が2.5前後あることを考慮しても、減容比が2〜3と少
ない。また、発熱量が大きいために、このまま地下400
〜500mの地層に埋設処分すると、周囲の岩盤が熱膨張に
よりひび割れを発生する恐れがある。このため、ガラス
固化体は固化した後も30〜50年間にわたり、地上で冷却
しながら貯蔵する必要がある。再処理工場では年間800t
onほどの使用済燃料を処理するために、高レベル廃液が
年間300〜500tonも発生する。このため、ガラス固化体
の発生量も年間100〜250m3も発生することになり、大型
の貯蔵設備が必要である。一般にガラス固化体は強制循
環による空冷で冷却される。この場合、ガラスは600℃
を超えると結晶化により劣化するので、固化体の中心温
度が600℃以下になるように冷却する必要がある。冷却
する空気の流れを止められないので、貯蔵設備には非常
用電源等の各種安全設備が必要である。また、冷却する
空気は固化体と直接接触するので、それを大気へ放出す
る前に浄化設備で処理する必要がある。
一方、使用済燃料をそのまま地層深く埋設処分する場
合にも、処分の前に地上で30〜50年間冷却する必要があ
る。この方法としては、プールの中に直接浸漬して水冷
する方式と、コンクリート製の容器内に封入して、自然
空冷する方式が用いられている。水冷方式では使用済燃
料と水が直接接触するので、常に水処理を行なう必要が
あり、2次廃棄物が発生するという問題がある。一方、
コンクリート容器に封入する場合には、放射線の遮蔽の
ため容器を厚くする必要があるために、費用が高価にな
るとともに、その貯蔵スペースが大きいという問題があ
る。
合にも、処分の前に地上で30〜50年間冷却する必要があ
る。この方法としては、プールの中に直接浸漬して水冷
する方式と、コンクリート製の容器内に封入して、自然
空冷する方式が用いられている。水冷方式では使用済燃
料と水が直接接触するので、常に水処理を行なう必要が
あり、2次廃棄物が発生するという問題がある。一方、
コンクリート容器に封入する場合には、放射線の遮蔽の
ため容器を厚くする必要があるために、費用が高価にな
るとともに、その貯蔵スペースが大きいという問題があ
る。
[発明が解決しようとする課題] 上記のように、従来技術は以下に記載する問題点があ
る。
る。
ガラス固化するときに、1100℃以上の高温に核分裂生
成物を加熱する必要があり、かつ一度安定なホウケイ酸
ガラス等の固化体に処理すると、将来より優れた固化方
式が開発されても、変更ができない。
成物を加熱する必要があり、かつ一度安定なホウケイ酸
ガラス等の固化体に処理すると、将来より優れた固化方
式が開発されても、変更ができない。
高レベル廃液のガラス固化体は充填量が少なく、使用
済燃料は燃料被覆管間隙の空隙が存在するために何れも
貯蔵効率が低く、大きな貯蔵スペースが必要であるとと
もに、ガラス固化体を強制的に空冷する場合の冷却空気
や使用済燃料を水冷する水の浄化設備を必要とする。
済燃料は燃料被覆管間隙の空隙が存在するために何れも
貯蔵効率が低く、大きな貯蔵スペースが必要であるとと
もに、ガラス固化体を強制的に空冷する場合の冷却空気
や使用済燃料を水冷する水の浄化設備を必要とする。
ガラス固化体は、高レベル廃液の組成により、耐久性
や放射能浸出率等の物性が変化する。
や放射能浸出率等の物性が変化する。
本発明の目的は、上記の問題点を解決した高レベル廃
液の処理、貯蔵、処分、および再処理なし使用済燃料の
貯蔵、処分の方法を提供することにある。
液の処理、貯蔵、処分、および再処理なし使用済燃料の
貯蔵、処分の方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段とその作用] 前記目的を達成するため、本発明による高レベル放射
性廃液の固化処理方法、同じく固化処理設備、高レベル
放射性廃棄物封入済容器の貯蔵方法、同じく貯蔵設備及
び高レベル放射性廃棄物処分用固化体の作製方法は、特
許請求の範囲請求項1ないし6の各請求項に記載された
ところを特徴とするものである。
性廃液の固化処理方法、同じく固化処理設備、高レベル
放射性廃棄物封入済容器の貯蔵方法、同じく貯蔵設備及
び高レベル放射性廃棄物処分用固化体の作製方法は、特
許請求の範囲請求項1ないし6の各請求項に記載された
ところを特徴とするものである。
以上を要約するに、本発明においては、高レベル廃液
にアルカリ溶液(水酸化バリウム、水酸化カルシウム
等)を添加して、そのまま金属性の容器に注入し、自己
の崩壊熱だけで水分を蒸発させて固型化した硝酸塩及び
それと共存する核分裂生成物を該容器内に残した形の固
化体を作製する。100℃で水分が蒸発して高レベル廃液
が固型化するので、処理設備が低温で運転できることに
なる。アルカリ溶液を添加して固化することで、水溶性
の硝酸塩と核分裂生成物が共存しているので、これは後
に水を添加すれば容易に溶液に戻せるから、将来の固化
方法の変更に対応することができる。
にアルカリ溶液(水酸化バリウム、水酸化カルシウム
等)を添加して、そのまま金属性の容器に注入し、自己
の崩壊熱だけで水分を蒸発させて固型化した硝酸塩及び
それと共存する核分裂生成物を該容器内に残した形の固
化体を作製する。100℃で水分が蒸発して高レベル廃液
が固型化するので、処理設備が低温で運転できることに
なる。アルカリ溶液を添加して固化することで、水溶性
の硝酸塩と核分裂生成物が共存しているので、これは後
に水を添加すれば容易に溶液に戻せるから、将来の固化
方法の変更に対応することができる。
高レベル廃液を上記の様に処理した固化体や使用済燃
料を貯蔵するときには、該固化体の周囲または使用済燃
料を収納した容器の周囲を外部より水冷したジャケット
で囲み、崩壊熱を固化体または使用済燃料から冷却した
ジャケットへのふく射伝熱により除去する。この場合、
崩壊熱を吸収する冷却水は固化体や使用済燃料と直接接
触しないので水浄化設備が不要であるとともに、静止し
ていても冷却できるので連続的な稼動設備は不要であ
る。
料を貯蔵するときには、該固化体の周囲または使用済燃
料を収納した容器の周囲を外部より水冷したジャケット
で囲み、崩壊熱を固化体または使用済燃料から冷却した
ジャケットへのふく射伝熱により除去する。この場合、
崩壊熱を吸収する冷却水は固化体や使用済燃料と直接接
触しないので水浄化設備が不要であるとともに、静止し
ていても冷却できるので連続的な稼動設備は不要であ
る。
貯蔵後、上記固化体をガラス固化体に作り換えること
なくそのまま最終処分する方法として、金属容器内に固
化した前記固化体をそのまま大型の容器内に挿入し、こ
の外部容器と固化体との間隙に溶融した銅等の金属を注
入して固化する。こうして作った最終の固化体の耐久性
と放射能の浸出抑制能力は、廃棄物を含まない銅等の金
属の物性に依存するので、従来のガラス固化体のように
高レベル廃液の組成に依存せずに、一定の物性の固化体
が得られる。また、貯蔵後の前記使用済み燃料の最終処
分も、同様な方法で可能である。
なくそのまま最終処分する方法として、金属容器内に固
化した前記固化体をそのまま大型の容器内に挿入し、こ
の外部容器と固化体との間隙に溶融した銅等の金属を注
入して固化する。こうして作った最終の固化体の耐久性
と放射能の浸出抑制能力は、廃棄物を含まない銅等の金
属の物性に依存するので、従来のガラス固化体のように
高レベル廃液の組成に依存せずに、一定の物性の固化体
が得られる。また、貯蔵後の前記使用済み燃料の最終処
分も、同様な方法で可能である。
[実施例] 以下、再処理工場で発生する高レベル廃液を対象とし
た場合の実施例について、その概要を第1図で説明す
る。
た場合の実施例について、その概要を第1図で説明す
る。
核分裂生成物の濃度が100g/lで、硝酸濃度が2mole/l
の高レベル廃液を貯蔵タンク内で、崩壊熱が10kW/tonに
なるまで貯蔵する。この廃液に必要によりNaOHまたはCa
(OH)2もしくはBa(OH)2を最大2mole/lまで添加した後、
金属性容器内に注入する。外部加熱なしで自己崩壊熱に
より水および中和していない硝酸が蒸発し、核分裂生成
物と硝酸塩が容器内で固型化する。水分が無いために容
器の腐食は大幅に緩和できる。容器を封閉した後これを
貯蔵庫に移送し、冷却されているジャケットで周囲を囲
む。核分裂生成物の崩壊熱は、固化体表面からジャケッ
トへのふく射による直接的な伝熱により伝わる。この状
態で50年間ほど貯蔵を継続して、崩壊熱が低下して固化
体を地層内に深く埋設できる状態になった時点で、水ま
たは硝酸で再溶解してガラスで固化して埋設処分する
か、または、固化体を銅等で覆いそのまま埋設処分する
かの選択を行なう。何れにしても地上で50年ほど保管す
る必要が有るので、固化体最終処分方法の選択を、その
時点までの技術開発の成果を反映してできることが、本
発明の大きな利点である。
の高レベル廃液を貯蔵タンク内で、崩壊熱が10kW/tonに
なるまで貯蔵する。この廃液に必要によりNaOHまたはCa
(OH)2もしくはBa(OH)2を最大2mole/lまで添加した後、
金属性容器内に注入する。外部加熱なしで自己崩壊熱に
より水および中和していない硝酸が蒸発し、核分裂生成
物と硝酸塩が容器内で固型化する。水分が無いために容
器の腐食は大幅に緩和できる。容器を封閉した後これを
貯蔵庫に移送し、冷却されているジャケットで周囲を囲
む。核分裂生成物の崩壊熱は、固化体表面からジャケッ
トへのふく射による直接的な伝熱により伝わる。この状
態で50年間ほど貯蔵を継続して、崩壊熱が低下して固化
体を地層内に深く埋設できる状態になった時点で、水ま
たは硝酸で再溶解してガラスで固化して埋設処分する
か、または、固化体を銅等で覆いそのまま埋設処分する
かの選択を行なう。何れにしても地上で50年ほど保管す
る必要が有るので、固化体最終処分方法の選択を、その
時点までの技術開発の成果を反映してできることが、本
発明の大きな利点である。
以下に、固化装置の詳細を第2図で、貯蔵設備の詳細
を第3図で、ガラス固化以外の最終処分方法を第4図で
説明する。
を第3図で、ガラス固化以外の最終処分方法を第4図で
説明する。
第2図において、高レベル廃液の固化に用いる容器
は、ステンレスまたはインコネル、チタン合金等の金属
容器1であり、これは直径10cm高さ100cmの大きさであ
る。直径が小さいほど固化体の単位体積当たりの表面積
が大きいこと、固化体表面から中心までの距離が短いこ
ととのために、貯蔵期間における固化体中心の温度が低
い利点がある。逆に直径が小さいほど固化体の数が増加
して、取扱が煩雑になる欠点がある。この両者のバラン
スから容器の直径を10cmとしたが、廃液の発熱量により
直径を変化させることは考えられる。ふく射伝熱により
固化体の冷却を行なうので、容器には、ふく射の効率を
向上させるための表面処理として酸化させた素材を用い
る。これ以外にも素材表面にO,Si等をイオン照射するこ
とにより、ふく射率を向上させることも考えられる。ま
た、表面に微細な溝を水平および垂直方向に設けて、表
面積を増加させてふく射効率を増加させる。また、固化
体は積層した状態で貯蔵するので、容器の底と上面には
上下の容器と容易に結合するような凹凸を設ける。更
に、容器には、クレーンで吊り上げる時の金具と、貯蔵
時に周囲との間隙を一定にするスペーサを接合する金具
とを設ける。
は、ステンレスまたはインコネル、チタン合金等の金属
容器1であり、これは直径10cm高さ100cmの大きさであ
る。直径が小さいほど固化体の単位体積当たりの表面積
が大きいこと、固化体表面から中心までの距離が短いこ
ととのために、貯蔵期間における固化体中心の温度が低
い利点がある。逆に直径が小さいほど固化体の数が増加
して、取扱が煩雑になる欠点がある。この両者のバラン
スから容器の直径を10cmとしたが、廃液の発熱量により
直径を変化させることは考えられる。ふく射伝熱により
固化体の冷却を行なうので、容器には、ふく射の効率を
向上させるための表面処理として酸化させた素材を用い
る。これ以外にも素材表面にO,Si等をイオン照射するこ
とにより、ふく射率を向上させることも考えられる。ま
た、表面に微細な溝を水平および垂直方向に設けて、表
面積を増加させてふく射効率を増加させる。また、固化
体は積層した状態で貯蔵するので、容器の底と上面には
上下の容器と容易に結合するような凹凸を設ける。更
に、容器には、クレーンで吊り上げる時の金具と、貯蔵
時に周囲との間隙を一定にするスペーサを接合する金具
とを設ける。
高レベル廃液は貯蔵タンク(図示せず)から先ず混合
槽2に移送される。ここで、水酸化カルシウムを1mole/
lの割合で添加する。この廃液を複数の容器1に供給し
て、同時に固化するものである。但し第2図ではその内
の1つの容器を図示している。混合槽2は密閉構造であ
り、液面に加える空気圧とバルブ3の開閉により、各固
化容器へ廃液を輸送する。固化容器はコンベヤ4により
水平に移動して所定の位置に到着後、ジャッキ5で冷却
ジャケット15内に押し上げられて供給ライン6とレベル
計7,8が容器内部に挿入される。レベル計7,8は上下に2
本あり、蒸発で下部のレベル計8より液面が低下すると
廃液を追加し、上部のレベル計7の位置に液面が到達す
るとバルブ3を閉じて廃液の供給を停止する。崩壊熱が
10kW/tonなので、当初供給した廃液が全部蒸発するま
で、70時間を必要とする。廃液を追加するにつれて容器
内に存在する核分裂生成物の量が増大するために発熱量
は増加して、廃液と中和していない硝酸の蒸発は加速さ
れる。1mole/lの硝酸を水酸化カルシウムで中和したの
で、高レベル廃液1から生成される固型物は核分裂生
成物が100gと硝酸カルシウムが82gとなる。蒸発した固
型物の比重を2とすると、体積は1/11に減少する。した
がって、容器容積の11倍もの廃液を充填でき、これを蒸
発させる時間は約400時間である。容器の有効容積は1
体当たり約70lで、廃液を約700l固化できる。一方、高
レベル廃液は年間500ton発生するので、固化体の発生数
は約700本、一体の処理時間を容器の移動を含めて500時
間とすると、40体同時に処理すれば再処理工場で発生す
る高レベル廃液を全量処理できる。本実施例では硝酸を
中和して硝酸塩の形で残して、固化体容器内の伝熱を良
くして固化体中心の温度上昇を抑制している。この方式
以外でも、硝酸の中和をしないで、熱伝導を良くする低
融点の金属または金属繊維を添加することも考えられ
る。本実施例では円筒型の容器を採用しているが、中心
の温度を低下させるために、平板型や円環で中心部を中
空にした容器構造も考えられる。
槽2に移送される。ここで、水酸化カルシウムを1mole/
lの割合で添加する。この廃液を複数の容器1に供給し
て、同時に固化するものである。但し第2図ではその内
の1つの容器を図示している。混合槽2は密閉構造であ
り、液面に加える空気圧とバルブ3の開閉により、各固
化容器へ廃液を輸送する。固化容器はコンベヤ4により
水平に移動して所定の位置に到着後、ジャッキ5で冷却
ジャケット15内に押し上げられて供給ライン6とレベル
計7,8が容器内部に挿入される。レベル計7,8は上下に2
本あり、蒸発で下部のレベル計8より液面が低下すると
廃液を追加し、上部のレベル計7の位置に液面が到達す
るとバルブ3を閉じて廃液の供給を停止する。崩壊熱が
10kW/tonなので、当初供給した廃液が全部蒸発するま
で、70時間を必要とする。廃液を追加するにつれて容器
内に存在する核分裂生成物の量が増大するために発熱量
は増加して、廃液と中和していない硝酸の蒸発は加速さ
れる。1mole/lの硝酸を水酸化カルシウムで中和したの
で、高レベル廃液1から生成される固型物は核分裂生
成物が100gと硝酸カルシウムが82gとなる。蒸発した固
型物の比重を2とすると、体積は1/11に減少する。した
がって、容器容積の11倍もの廃液を充填でき、これを蒸
発させる時間は約400時間である。容器の有効容積は1
体当たり約70lで、廃液を約700l固化できる。一方、高
レベル廃液は年間500ton発生するので、固化体の発生数
は約700本、一体の処理時間を容器の移動を含めて500時
間とすると、40体同時に処理すれば再処理工場で発生す
る高レベル廃液を全量処理できる。本実施例では硝酸を
中和して硝酸塩の形で残して、固化体容器内の伝熱を良
くして固化体中心の温度上昇を抑制している。この方式
以外でも、硝酸の中和をしないで、熱伝導を良くする低
融点の金属または金属繊維を添加することも考えられ
る。本実施例では円筒型の容器を採用しているが、中心
の温度を低下させるために、平板型や円環で中心部を中
空にした容器構造も考えられる。
崩壊熱により発生した蒸気は固化容器1内を上昇し、
途中で分岐して凝縮器9に流れる。凝縮器で水に戻った
硝酸廃液は、中レベル廃液の処理系に移送されて再処理
工場内で再使用される。非凝縮性のガス成分は、加熱器
10により相対湿度を低下させてから、ヨウ素除去フィル
ター11を通り、HEPAフィルター12を透過してから煙突13
を通って外気へ放出する。HEPAフィルター12と煙突13の
間にエジェクター14を設けて装置全体を負圧に保つ。固
化容器1と供給ライン6の間に間隙があるが、装置が負
圧に保持されているので、蒸気がこの間隙を通って外部
に流出することは抑制される。また、固化容器の周囲は
冷却したジャケット15で囲み、固化容器からのふく射熱
を吸収することで固化容器1が必要以上に高温になるの
を防止する。
途中で分岐して凝縮器9に流れる。凝縮器で水に戻った
硝酸廃液は、中レベル廃液の処理系に移送されて再処理
工場内で再使用される。非凝縮性のガス成分は、加熱器
10により相対湿度を低下させてから、ヨウ素除去フィル
ター11を通り、HEPAフィルター12を透過してから煙突13
を通って外気へ放出する。HEPAフィルター12と煙突13の
間にエジェクター14を設けて装置全体を負圧に保つ。固
化容器1と供給ライン6の間に間隙があるが、装置が負
圧に保持されているので、蒸気がこの間隙を通って外部
に流出することは抑制される。また、固化容器の周囲は
冷却したジャケット15で囲み、固化容器からのふく射熱
を吸収することで固化容器1が必要以上に高温になるの
を防止する。
固化容器1内の水分蒸発が終了した後で、固化容器を
支えているジャッキ5を下げ、更にコンベア4により容
器を移動して、クレーン16により封閉入装置17に上部か
ら入れる。ここで、封閉装置17の蓋を閉めた後に装置17
内部を減圧して、腐食性の無いN2または熱伝導性に優れ
たHeで置換する。減圧の状態で固化容器1に栓をした
後、固化容器1と栓を溶接して密閉する。その後、水洗
により固化容器1外部を洗浄する。この固化体1をクレ
ーン16で遮蔽容器18に入れ、遮蔽容器18ごと貯蔵設備へ
搬出する。
支えているジャッキ5を下げ、更にコンベア4により容
器を移動して、クレーン16により封閉入装置17に上部か
ら入れる。ここで、封閉装置17の蓋を閉めた後に装置17
内部を減圧して、腐食性の無いN2または熱伝導性に優れ
たHeで置換する。減圧の状態で固化容器1に栓をした
後、固化容器1と栓を溶接して密閉する。その後、水洗
により固化容器1外部を洗浄する。この固化体1をクレ
ーン16で遮蔽容器18に入れ、遮蔽容器18ごと貯蔵設備へ
搬出する。
地下に建設する貯蔵設備の構造を図3に示す。縦横40
mで水深6mのプール19の中心の30m×30mの領域に、内径1
8cmのステンレス製の円筒20を25cm間隔で、約1万5千
本配置する。プール上面には50cmの空間を隔てて、床面
21を設ける。各円筒20には、この床面21と上部が水平で
かつ深さが80cmある蓋22を設ける。蓋22はステンレス枠
の中に鉛を溶解させたもので、円筒20の蓋と内部に貯蔵
する固化体からの放射線の遮蔽とを兼ねたものである。
クレーン23で蓋22を外し、固化設備から搬入した前記遮
蔽容器18からクレーン23で遠隔操作により取り出した直
径10cmの固化体1を円筒20内に3段積みで重ねる。固化
体の周囲にスペーサを付けてから、円筒20内に下ろす。
スペーサの作用により、固化体と円筒20の間には一定の
間隙が保たれるとともに、地震が発生しても固化体が振
動することを防止できる。固化体を3段に重ねても、水
深6mのプールは固化体の上部に更に3mの水があり、外部
への放射線の漏洩を防止できる。縦横40mのプールで3
段重ねで4万5千本の固化体を保管できる。再処理工場
から発生する固化体は年間700本なので、60年分の貯蔵
容量になる。
mで水深6mのプール19の中心の30m×30mの領域に、内径1
8cmのステンレス製の円筒20を25cm間隔で、約1万5千
本配置する。プール上面には50cmの空間を隔てて、床面
21を設ける。各円筒20には、この床面21と上部が水平で
かつ深さが80cmある蓋22を設ける。蓋22はステンレス枠
の中に鉛を溶解させたもので、円筒20の蓋と内部に貯蔵
する固化体からの放射線の遮蔽とを兼ねたものである。
クレーン23で蓋22を外し、固化設備から搬入した前記遮
蔽容器18からクレーン23で遠隔操作により取り出した直
径10cmの固化体1を円筒20内に3段積みで重ねる。固化
体の周囲にスペーサを付けてから、円筒20内に下ろす。
スペーサの作用により、固化体と円筒20の間には一定の
間隙が保たれるとともに、地震が発生しても固化体が振
動することを防止できる。固化体を3段に重ねても、水
深6mのプールは固化体の上部に更に3mの水があり、外部
への放射線の漏洩を防止できる。縦横40mのプールで3
段重ねで4万5千本の固化体を保管できる。再処理工場
から発生する固化体は年間700本なので、60年分の貯蔵
容量になる。
発熱量10kW/m3の高レベル廃液を11倍減容したので固
化体1m3当たり110kWの発熱量がある。冷却ジャケット
(円筒20)の温度を100℃と高めに予測し、固化体表面
と円筒20間のふく射伝熱の効率を0.5とすると、固化体
の表面温度は310℃になる。これはステンレスが熱で劣
化する温度より十分低いので、固化体は長期間にわたり
安定に保管できる。ふく射熱は冷却水を暖め、プール表
面からの水の蒸発により、熱は除去される。冷却水は放
射能汚染物と接触するところが無いので、発生した蒸気
は単にHEPAフィルター25を通して、そのまま大気に放出
することができる。このプールの液面は蒸発した液量だ
け供給タンクから水を補給することで保たれる。この補
給は浮き子式のフロートで、外部動力が不要の状態で行
なえる。したがって、冷却に関しては外部の電源が必要
なく、付帯設備が大幅に簡素化できる。また、必要によ
り、HEPAフィルター25の前に凝縮器(図示せず)を設け
て、発生した蒸気を凝縮させて、プールに戻すことも考
えられる。ふく射伝熱の効率向上のために、円筒20内面
は、細かい溝を付けて表面積を増加させた後で、酸化さ
せてある。60年分の貯蔵容量がある設備は一度に建設せ
ずに、10年毎に増設してよい。また、プールは2重構造
として、万一にプール壁が腐食しても冷却水が直接環境
へ漏洩しない構造とする。2重構造部分には漏洩モニタ
ーを設けて、水の漏洩を検知する。
化体1m3当たり110kWの発熱量がある。冷却ジャケット
(円筒20)の温度を100℃と高めに予測し、固化体表面
と円筒20間のふく射伝熱の効率を0.5とすると、固化体
の表面温度は310℃になる。これはステンレスが熱で劣
化する温度より十分低いので、固化体は長期間にわたり
安定に保管できる。ふく射熱は冷却水を暖め、プール表
面からの水の蒸発により、熱は除去される。冷却水は放
射能汚染物と接触するところが無いので、発生した蒸気
は単にHEPAフィルター25を通して、そのまま大気に放出
することができる。このプールの液面は蒸発した液量だ
け供給タンクから水を補給することで保たれる。この補
給は浮き子式のフロートで、外部動力が不要の状態で行
なえる。したがって、冷却に関しては外部の電源が必要
なく、付帯設備が大幅に簡素化できる。また、必要によ
り、HEPAフィルター25の前に凝縮器(図示せず)を設け
て、発生した蒸気を凝縮させて、プールに戻すことも考
えられる。ふく射伝熱の効率向上のために、円筒20内面
は、細かい溝を付けて表面積を増加させた後で、酸化さ
せてある。60年分の貯蔵容量がある設備は一度に建設せ
ずに、10年毎に増設してよい。また、プールは2重構造
として、万一にプール壁が腐食しても冷却水が直接環境
へ漏洩しない構造とする。2重構造部分には漏洩モニタ
ーを設けて、水の漏洩を検知する。
50年間貯蔵した後に、その時点の最新技術を評価し
て、固化体を溶解してガラス固化体を作成して地層内埋
設処分するか、固化体を金属又は無機物で外部を覆って
そのまま地層内に埋設処分するかを選定する。再溶解す
る場合には、固化体を溶接により密閉した栓の下部で切
断して、水又は硝酸を添加して固化体を溶解する。その
後、溶解液をガラス素材と混合して、1100℃に加熱して
ガラス固化体を作成する。従来技術のように高レベル廃
棄を貯蔵して減衰させないでガラス固化体を製作する場
合と比較して、50年間貯蔵したことで崩壊熱が1/3以下
に減少しているので、固化体の中心温度を600℃以下に
抑えるための制限が緩くなり、固化体の大きさやガラス
素材の組成を広い範囲から選定することが可能となる。
また、ガラス固化体が受ける集積線量も低下するので、
ガラス固化体の耐久性が向上する利点もある。
て、固化体を溶解してガラス固化体を作成して地層内埋
設処分するか、固化体を金属又は無機物で外部を覆って
そのまま地層内に埋設処分するかを選定する。再溶解す
る場合には、固化体を溶接により密閉した栓の下部で切
断して、水又は硝酸を添加して固化体を溶解する。その
後、溶解液をガラス素材と混合して、1100℃に加熱して
ガラス固化体を作成する。従来技術のように高レベル廃
棄を貯蔵して減衰させないでガラス固化体を製作する場
合と比較して、50年間貯蔵したことで崩壊熱が1/3以下
に減少しているので、固化体の中心温度を600℃以下に
抑えるための制限が緩くなり、固化体の大きさやガラス
素材の組成を広い範囲から選定することが可能となる。
また、ガラス固化体が受ける集積線量も低下するので、
ガラス固化体の耐久性が向上する利点もある。
一方、再溶解しないで固化体の外部を金属又は無機物
で覆ったものを作成する例を、第4図に示す。これは、
直径10cmの固化体7体を、直径60cmで高さ120cmのステ
ンレス容器内に、固化体相互間に5cm以上の間隙が存在
するように、また容器とは10cmの間隙が存在するよう
に、挿入し、その間隙に溶融した銅を注入して固化する
ものである。銅の代わりに亜鉛、鉄、アルミニウム、チ
タン等の金属単体や合金を注入し、又は、ポルトランド
セメントやアルミナセメント等の水硬性無機物を熱伝導
を良くする金属繊維と一緒に注入することも考えられ
る。銅を選定したのは、熱伝導率が良いので固化体内に
大きな温度差が生じないためである。固化体の重要な物
性は、放射性核種の保持能力である。ガラス固化体と比
較して、放射性廃棄物を含まない銅だけの領域が少なく
とも10cm以上あるので、放射性核種の漏洩は銅の溶解で
律速されるから、高レベル廃液の組成変動による放射性
核種の保持能力に違いが少ないと言える。
で覆ったものを作成する例を、第4図に示す。これは、
直径10cmの固化体7体を、直径60cmで高さ120cmのステ
ンレス容器内に、固化体相互間に5cm以上の間隙が存在
するように、また容器とは10cmの間隙が存在するよう
に、挿入し、その間隙に溶融した銅を注入して固化する
ものである。銅の代わりに亜鉛、鉄、アルミニウム、チ
タン等の金属単体や合金を注入し、又は、ポルトランド
セメントやアルミナセメント等の水硬性無機物を熱伝導
を良くする金属繊維と一緒に注入することも考えられ
る。銅を選定したのは、熱伝導率が良いので固化体内に
大きな温度差が生じないためである。固化体の重要な物
性は、放射性核種の保持能力である。ガラス固化体と比
較して、放射性廃棄物を含まない銅だけの領域が少なく
とも10cm以上あるので、放射性核種の漏洩は銅の溶解で
律速されるから、高レベル廃液の組成変動による放射性
核種の保持能力に違いが少ないと言える。
他の実施例として、以下、原子力発電所から発生する
使用燃料を再処理せずに貯蔵して処分する場合を対象と
して、その貯蔵設備を第5図で説明する。
使用燃料を再処理せずに貯蔵して処分する場合を対象と
して、その貯蔵設備を第5図で説明する。
使用済燃料集合体はチャンネルボックスを取り外し
て、厚さ15cm、横幅100cm、高さ450cmの容器内に、6体
収納する。容器内部をN2ガスで置換した後、減圧状態で
蓋と容器を溶接する。その後、この容器27を第5図に示
す貯蔵設備に貯蔵する。第5図に示した貯蔵設備が第3
図と異なる点は、1)容器27を囲むジャケットが円筒で
はなくて幅20cm、横幅110cm、高さ800cmの直方体状のジ
ャケット26になったこと、2)ジャケット26と容器27間
の伝熱効率を良くするために、自然対流で空気を循環で
きるように、下降流領域31をプール30の外側に設けたこ
と、3)冷却水プール30内に臨界事故を防止するため
に、中性子を吸収するホウ酸ナトリウムを加えたことで
ある。
て、厚さ15cm、横幅100cm、高さ450cmの容器内に、6体
収納する。容器内部をN2ガスで置換した後、減圧状態で
蓋と容器を溶接する。その後、この容器27を第5図に示
す貯蔵設備に貯蔵する。第5図に示した貯蔵設備が第3
図と異なる点は、1)容器27を囲むジャケットが円筒で
はなくて幅20cm、横幅110cm、高さ800cmの直方体状のジ
ャケット26になったこと、2)ジャケット26と容器27間
の伝熱効率を良くするために、自然対流で空気を循環で
きるように、下降流領域31をプール30の外側に設けたこ
と、3)冷却水プール30内に臨界事故を防止するため
に、中性子を吸収するホウ酸ナトリウムを加えたことで
ある。
先ず、遮蔽を兼ねた1m厚の床28に設けられた蓋22をク
レーン23で取り外す。使用済燃料を入れた容器27は、運
搬に用いられる遮蔽容器からクレーン23により取り出さ
れ、直方体状のジャケット26内に下ろして、蓋22で外気
と遮断する。高レベル廃液の固化体と異なり、容器の高
さが450cmと高いので、容器を積層はしない。核分裂生
成物と超ウラン元素の崩壊により発生する熱は、主とし
てふく射によりジャケット26を媒介として、プール30の
ホウ酸ナトリウム水溶液に吸収される。ジャケット26は
上下とも空気が流れる構造になっており、下降流領域31
の存在により空気の循環流が発生する。この循環流によ
り除去された崩壊熱は、主として容器上部のジャケット
部に対流で伝わることになり、最終的にはプール30に存
在するホウ酸ナトリウム水溶液に移行する。ふく射冷却
に自然対流が加わることで、特に稼動装置が無くても容
器表面の温度を低く保つことができる。プール30に臨界
事故防止の目的で添加されたホウ酸ナトリウムについて
は、水溶液が蒸発するときの蒸気中のホウ酸ナトリウム
濃度は、プール水中の1/1000以下であるので、プールに
補給する水分にはホウ酸ナトリウムを加える必要がな
い。
レーン23で取り外す。使用済燃料を入れた容器27は、運
搬に用いられる遮蔽容器からクレーン23により取り出さ
れ、直方体状のジャケット26内に下ろして、蓋22で外気
と遮断する。高レベル廃液の固化体と異なり、容器の高
さが450cmと高いので、容器を積層はしない。核分裂生
成物と超ウラン元素の崩壊により発生する熱は、主とし
てふく射によりジャケット26を媒介として、プール30の
ホウ酸ナトリウム水溶液に吸収される。ジャケット26は
上下とも空気が流れる構造になっており、下降流領域31
の存在により空気の循環流が発生する。この循環流によ
り除去された崩壊熱は、主として容器上部のジャケット
部に対流で伝わることになり、最終的にはプール30に存
在するホウ酸ナトリウム水溶液に移行する。ふく射冷却
に自然対流が加わることで、特に稼動装置が無くても容
器表面の温度を低く保つことができる。プール30に臨界
事故防止の目的で添加されたホウ酸ナトリウムについて
は、水溶液が蒸発するときの蒸気中のホウ酸ナトリウム
濃度は、プール水中の1/1000以下であるので、プールに
補給する水分にはホウ酸ナトリウムを加える必要がな
い。
30〜50年間貯蔵して崩壊熱量が低下した後で、容器27
を取り出して、その時の技術及び経済面で評価して、再
処理するか又はそのまま地層処分するかを決める。地層
処分する場合には、蓋を取り外し、容器内部に溶融した
鉄又はアルミニウムを注入して、容器内の温度差を低下
させる。この処分用固化体は、燃料ペレット自体が非溶
解性の上に、ジルカロイの燃料被覆管、注入した鉄また
はアルミニウムの充填材、ステンレスの容器という異な
る性質の金属が3重に覆っており、耐久性に優れてい
る。
を取り出して、その時の技術及び経済面で評価して、再
処理するか又はそのまま地層処分するかを決める。地層
処分する場合には、蓋を取り外し、容器内部に溶融した
鉄又はアルミニウムを注入して、容器内の温度差を低下
させる。この処分用固化体は、燃料ペレット自体が非溶
解性の上に、ジルカロイの燃料被覆管、注入した鉄また
はアルミニウムの充填材、ステンレスの容器という異な
る性質の金属が3重に覆っており、耐久性に優れてい
る。
本実施例により、使用済燃料を少ないスペースで貯蔵
することができる。
することができる。
[発明の効果] 本発明によれば、不溶性のガラス素材を加えることな
く高レベル廃液を固型化でき、これは後に必要なときに
容易に溶液に戻せるので、将来開発されるであろう固化
方式への対応が可能である。
く高レベル廃液を固型化でき、これは後に必要なときに
容易に溶液に戻せるので、将来開発されるであろう固化
方式への対応が可能である。
また、この高レベル廃液の固化体または使用済み燃料
の貯蔵においては、これを水冷ジャケットで囲み、ふく
射伝熱により高レベル廃液の固化体または使用済燃料を
冷却するので、稼動冷却設備を要せずに貯蔵でき、ま
た、冷却水の放射能汚染は起らない。
の貯蔵においては、これを水冷ジャケットで囲み、ふく
射伝熱により高レベル廃液の固化体または使用済燃料を
冷却するので、稼動冷却設備を要せずに貯蔵でき、ま
た、冷却水の放射能汚染は起らない。
更に、この固化体、または使用済燃料収納容器を処分
容器に入れて、その間隙に金属又は無機の水硬性物質を
注入することで、耐久性および放射能浸出抑制能力の優
れた処分用固化体を得ることができる。このため、高レ
ベル廃液の組成変動が固化体の放射性核種の保持能力へ
大きく影響する従来のガラス固化体等に見られる欠点は
なくなる。
容器に入れて、その間隙に金属又は無機の水硬性物質を
注入することで、耐久性および放射能浸出抑制能力の優
れた処分用固化体を得ることができる。このため、高レ
ベル廃液の組成変動が固化体の放射性核種の保持能力へ
大きく影響する従来のガラス固化体等に見られる欠点は
なくなる。
図面は何れも本発明の実施例を示し、第1図は高レベル
廃液の固化処理、貯蔵、最終処分に亘る処理フロー、第
2図は高レベル廃液を外部加熱無しで固化する装置の構
成図、第3図は高レベル廃液固化体を貯蔵したプールの
断面図、第4図は固化体に銅を加えて作成する最終処分
用の固化体の立体図、第5図は使用済燃料集合体に適用
した貯蔵装置の断面図である。 1……固化容器、2……混合槽 19,30……プール、20,31……ジャケット
廃液の固化処理、貯蔵、最終処分に亘る処理フロー、第
2図は高レベル廃液を外部加熱無しで固化する装置の構
成図、第3図は高レベル廃液固化体を貯蔵したプールの
断面図、第4図は固化体に銅を加えて作成する最終処分
用の固化体の立体図、第5図は使用済燃料集合体に適用
した貯蔵装置の断面図である。 1……固化容器、2……混合槽 19,30……プール、20,31……ジャケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 将省 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−77397(JP,A) 特開 昭56−10296(JP,A) 特開 昭57−66399(JP,A) 実開 平1−110399(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 9/06 G21F 9/08 G21F 9/36
Claims (6)
- 【請求項1】核燃料再処理工場で発生した硝酸を含む高
レベル放射性廃液を、これに硝酸のモル量以下のアルカ
リ物質を添加して、固化容器に注入し、崩壊熱により水
分を保持しない状態に該固化容器内で固型化した後、該
固化容器を密封して固化体とすることを特徴とする高レ
ベル放射性廃液の固化処理方法。 - 【請求項2】冷却されたジャケット、該ジャケット内に
固化容器を取出し可能に装入する機構、該ジャケット内
に装入された固化容器中に核燃料再処理工場で発生した
硝酸を含む高レベル放射性廃液およびその硝酸のモル量
以下のアルカリ物質を注入する手段、該固化容器内から
発生する水分蒸気およびガスを上記ジャケット外にて処
理する手段、及び、水分蒸発が終了して内容物が固化し
た固化容器を上記ジャケットから受け入れて該固化容器
を不活性雰囲気下で密閉するためのめ封閉装置、からな
ることを特徴とする高レベル放射性廃液の固化処理設
備。 - 【請求項3】請求項1記載の高レベル放射性廃液の固化
処理方法もしくは請求項2記載の高レベル放射性廃液の
固化処理設備によって得られた固化体、又は、再処理さ
れていない使用済核燃料を封入した高レベル放射性廃棄
物封入済容器を外面が冷却されたジャケット内に収納
し、該容器から該ジャケットへのふく射伝熱によって崩
壊熱を除去することを特徴とする高レベル放射性廃棄物
封入済容器の貯蔵方法。 - 【請求項4】水プール、内部に水が浸入しない様に該プ
ールの内部を大気に対し隔絶し且つ放射線遮蔽するため
の手段を有し、該ジャケットの内部に請求項1記載の高
レベル放射性廃液の固化処理方法もしくは請求項2記載
の高レベル放射性廃液の固化処理設備によって得られた
固化体、又は、再処理されていない使用済核燃料を封入
した高レベル放射性廃棄物封入済容器を貯蔵する様に構
成したことを特徴とする高レベル放射性廃棄物封入済容
器の貯蔵設備。 - 【請求項5】ジャケット内を通過する空気の循環路を設
けた請求項4記載の高レベル放射性廃棄物封入済容器の
貯蔵設備。 - 【請求項6】請求項1記載の高レベル放射性廃液の固化
処理方法もしくは請求項2記載の高レベル放射性廃液の
固化処理設備によって得られた固化体、又は、再処理さ
れていない使用済核燃料を封入した高レベル放射性廃棄
物封入済容器をそれよりも大きい容器内に入れ、両者の
間隙に金属または水硬性無機物を注入して固化させるこ
とを特徴とする高レベル放射性廃棄物処分用固化体の作
製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7969190A JP2883672B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 高レベル放射性廃棄物の固化処理、貯蔵、処分に関する方法と設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7969190A JP2883672B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 高レベル放射性廃棄物の固化処理、貯蔵、処分に関する方法と設備 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03277998A JPH03277998A (ja) | 1991-12-09 |
JP2883672B2 true JP2883672B2 (ja) | 1999-04-19 |
Family
ID=13697229
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7969190A Expired - Fee Related JP2883672B2 (ja) | 1990-03-28 | 1990-03-28 | 高レベル放射性廃棄物の固化処理、貯蔵、処分に関する方法と設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2883672B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SE525468C2 (sv) * | 2002-11-29 | 2005-03-01 | Oyster Internat Nv C O H B Man | Behållaranordning för förvaring av riskmaterial, i synnerhet för slutförvaring av kärnbränsle, och sätt för dess framställning |
JP2004340769A (ja) * | 2003-05-16 | 2004-12-02 | Kurita Engineering Co Ltd | 有機酸除染廃液の処理方法および装置 |
JP5999913B2 (ja) * | 2012-02-09 | 2016-09-28 | 三菱重工業株式会社 | 放射性廃液処理装置、放射性廃液処理方法 |
-
1990
- 1990-03-28 JP JP7969190A patent/JP2883672B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03277998A (ja) | 1991-12-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |