JP2881624B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、一般に外付け法と呼ばれる光ファイバ母材
の製造方法のうち、複数本の燃焼バーナをターゲット部
材の軸方向に一方向から複数回トラバースさせて、ガラ
ス微粒子堆積体を得る光ファイバ母材の製造方法に関す
るものである。
【従来の技術】
このような燃焼バーナのトラバース方式による光ファ
イバ母材の製造にあたっては、ターゲット部材外周に燃
焼バーナ先端を対峙させ、ターゲット部材を回転させな
がら、この燃焼バーナを当該ターゲット部材の軸方向に
沿って移動させつつガラス微粒子を堆積させる堆積工程
と、この堆積工程の終了後、堆積終了位置から堆積開始
位置に戻る間、すなわち帰還工程があり、通常、この帰
還工程では、燃焼ガス(H2ガス)や助燃ガス(O2ガス)
の流量を減少させ、再度、堆積開始位置に達したとき、
所望流量にする制御方法が行われている。
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような帰還工程時においては、供給流
量を減少させても、助燃ガス(O2ガス)は僅かながら供
給され、その流速が遅いことによりバーナ先端部での燃
焼反応がかえって助長されてしまう傾向があり、この結
果、バーナ先端の赤熱化(高温化)は避けられず、バー
ナ寿命の短縮化を招いていた。 本発明は、このような実情に鑑みて行われたものであ
る。
【発明が解決しようとする課題】
かゝる本発明の特徴とする点は、混合ガスの燃焼によ
りガラス微粒子を堆積させる燃焼バーナを回転するター
ゲット部材の軸方向に一方向から複数回トラバースさせ
て、該ターゲット部材の周囲にガラス微粒子堆積層を形
成してガラス微粒子堆積体を得る光ファイバ母材の製造
方法であって、前記燃焼バーナが堆積終了位置から堆積
開始位置に移動する間、前記燃焼バーナの助燃ガスの供
給を停止させる光ファイバ母材の製造方法にある。
【作用】
このように本発明では、燃焼バーナの帰還工程時にお
いて、助燃ガス(O2ガス)の供給が完全に停止されるた
め、バーナ火炎は外気中の酸素により燃焼そのものは維
持するものの、助燃ガスノズル先端部の火力が大幅に低
下し、燃焼バーナ先端の赤熱化(高温下)が効果的に防
止される。
【実施例】
第1図〜第2図は本発明に係る光ファイバ母材の製造
方法を実施するための装置系の一例を示した各概略説明
図である。 図において、1はターゲット部材で、これはチャンバ
2内に収納され、その両端がガラス旋盤などで回転自在
に支持されている。なお、このターゲット部材1は、後
の工程で除去されたりあるいは光ファイバ母材のコアと
なる棒材からなる。 上記チャンバ2の一方(図中、右下側)には、内部の
ターゲット部材1の軸方向に沿って、開口部2aが設けて
あり、また、反対側の他方(図中、左上側)には、燃焼
ガスなどが排気される排気部2bが設けてある。 このチャンバ2の開口部2aには、複数のガラス微粒子
合成用の燃焼バーナ3・・・(例えば、2本を1組とし
て、組み(8本)のバーナ)が配置してあり、これらの
燃焼バーナ3・・・は、外部のトラバース手段(図示省
略)により、図中の区間(A→B→C→D→A)をトラ
バースして循環するようになっている。 そして、また、これらの各燃焼バーナ3・・・には、
燃焼ガス(H2ガス)、助燃ガス(O2ガス)、不活性ガス
(Arガスなど)、原料ガス(SiCl4など)の混合ガスが
供給されるようになっている。 このような装置系を用いて、本発明方法を実施するに
は、先ず、ターゲット部材1を回転させると共に、この
ターゲット部材1の外周に対峙した上記各燃焼バーナ3
・・・を燃焼させながら、図中A点の堆積開始位置から
図中B点の堆積終了位置にかけてトラバースさせる。 このA→Bの区間が、燃焼バーナ3の堆積工程Xで、
このとき、火炎4中で生じたガラス微粒子は、ターゲッ
ト部材1の外周にガラス微粒子堆積層5として次第に堆
積されていく。 したがって、もちろん、この堆積工程Xには、第2図
に示したようにすべてのガス供給通路のバルブは開成状
態に置かれる。 この堆積工程Xが終了すると、上記外部のトラバース
手段の駆動により、燃焼バーナ3をターゲット部材1お
よびチャンバ2の開口2aから退避させ、堆積終了位置の
B点からC点、D点を経由して堆積開始位置のA点に至
る帰還工程Yに入る。 この工程Y中には、ガラス微粒子の堆積がないため、
原料ガス(SiCl4など)の供給を止めることはもちろん
であるが、本発明方法では、第2図に示したようにこの
原料ガスの供給通路と助燃ガス(O2ガス)の供給通路と
のバルブを閉塞状態にしてある。もちろん、燃焼ガス
(H2ガス)の供給量を大幅に減少させてある。 したがって、この帰還工程時の燃焼バーナ3にあって
は、例えば外気中の酸素の取り込みにより種火的な燃焼
は維持されるものの、第2図に示したように火力(より
詳しくは助燃ガスノズルの先端部の火力)が大幅にダウ
ンした火炎4aとして維持される。 このため、燃焼バーナ3のノズル先端の赤熱化(高温
化)が効果的に防止される。 この帰還工程Yから、堆積工程Xの堆積開始位置Aに
至ったとき、自動的に上記閉塞されている原料ガスと助
燃ガスの供給通路を開成させれば、燃焼バーナ3は、堆
積工程時の本来の火炎4に戻り、上述した堆積工程が開
始させれる。 このトラバースの循環を複数回繰り返すことにより、
ガラス微粒子堆積層5は、次第に堆積、成長して、所望
径のガラス微粒子堆積体6が得られる。 この多孔質体からなるガラス微粒子堆積体6をチャン
バ2中から取り出し、その後、高温の加熱炉中で熱処理
すれば、透明ガラス化して、目的とする光ファイバ母材
が得られる。 なお、上記実施例では、チャンバ2の開口部2aに複数
の燃焼バーナ3・・・を配置してトラバースさせる構成
であったが、チャンバ2の構造は、これに限定されず、
大きな開口部2aではなく、単に燃焼バーナ3の出入りで
きるスリット(間隙)を有するチャンバなどであっても
よい。また、基本的に密閉構造としたチャンバであって
もよい。さらに、上記実施例では、帰還工程時の燃焼バ
ーナ3の火炎は、種火的な燃焼を維持して、堆積工程に
対応し易くした構成であったが、堆積工程Xの堆積開始
位置Aの直前に自動点火する手段を設けておけば、帰還
工程時において完全な燃焼停止状態としてトラバースさ
せることも可能である。
【発明の効果】 以上の説明から明らかなように本発明に係る光ファイ
バ母材の製造方法によれば、帰還工程時において、燃焼
ガスの供給量を下げる際、助燃ガスの供給を停止させる
ものであるため、バーナノズル先端での火力が大幅に低
下し、燃焼バーナ先端の赤熱化(高温化)が効果的に防
止される。したがって、燃焼バーナの寿命の大幅な向上
を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る光ファイバ母材の製造方法を実施
するための装置系の一例を示した概略斜視図、第2図は
第1図の縦断面図である。 図中、 1……ターゲット部材、 2……チャンバ、 3……燃焼バーナ、 4……火炎、 4a……帰還工程時の火炎、 5……ガラス微粒子堆積層、 6……ガラス微粒子堆積体、

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】混合ガスの燃焼によりガラス微粒子を堆積
    させる燃焼バーナを回転するターゲット部材の軸方向に
    一方向から複数回トラバースさせて、該ターゲット部材
    の周囲にガラス微粒子堆積層を形成してガラス微粒子堆
    積体を得る光ファイバ母材の製造方法であって、前記燃
    焼バーナが堆積終了位置から堆積開始位置に移動する
    間、前記燃焼バーナの助燃ガスの供給を停止させること
    を特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
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