JP2881339B2 - 車両用ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

車両用ヘッドアップディスプレイ装置

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JP2881339B2
JP2881339B2 JP2244095A JP24409590A JP2881339B2 JP 2881339 B2 JP2881339 B2 JP 2881339B2 JP 2244095 A JP2244095 A JP 2244095A JP 24409590 A JP24409590 A JP 24409590A JP 2881339 B2 JP2881339 B2 JP 2881339B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両の運転席前方に配された透明または半
透明の反射部材で表示器の表示像を運転席側に反射し、
該表示器の表示像を車両前方の外景と重畳させて視認で
きるようにした車両用ヘッドアップディスプレイ装置に
関する。
〔従来の技術〕
従来、この種の装置として、例えば第11図に示すもの
がある。このヘッドアップディスプレイ装置は、車速等
を表示する表示器10を表示面を上に向けてダッシュボー
ド20内に配設し、この表示器10の表示像をダッシュボー
ド20上に位置するフロントガラス30で運転席側に反射す
ることにより、運転席側の視点位置40から見ると、表示
像の虚像50がフロントガラス30を通して見る外景と重ね
合わされて視認できるようにしたものである。このよう
にヘッドアップディスプレイ装置によれば、運転者は表
示を視認するときダッシュボードの計器盤等に視線を移
す必要がなくなり、表示の視認性を高めることができ
る。なお、フロントガラスの代わりにダッシュボード上
にハーフミラー等を設け、このハーフミラーで表示像を
反射するようにしたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このようなヘッドアップディスプレイ
装置においては、フロントガラスやハーフミラー等の透
明または半透明な反射部材を用いているため、この反射
部材の運転席側の界面とその反対側の界面とによって表
示光がそれぞれ反射され、実際に視認される虚像が二重
像になるという欠点がある。
これを解決するために、本出願人は虚像の位置を光学
系等によって遠方にすることにより、二重像の視差を目
の分解能以下にし、運転者に二重像のずれを知覚させな
いようにした装置を提案している(特開昭62−225429
号)。
しかしながら、上記のように光学系を用いると装置が
複雑になるという問題がある。また、光学系を用いない
で表示器から反射部材(フロントガラス)までの距離を
大きくすることにより二重像の視差を小さくすることも
考えられるが、この場合は光路が長くなって装置全体が
大きくなるため、実質上、車載用に用いることが出来な
い。
本発明は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置にお
いて、光学系等を用いず光路長が短いままでも二重像が
知覚されないようにすることを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題を解決するためになした本発明の車両用ヘ
ッドアップディスプレイ装置は、透明または半透明の平
板状の反射部材で表示器の表示光を運転席側の視点位置
に向けて反射し、該表示器の表示像を虚像として視認で
きるようにした車両用ヘッドアップディスプレイ装置に
おいて、前記表示器の任意の一点からの表示光のうち、
前記反射部材の運転席側の第1界面で反射されて前記視
点位置に向かう第1光線と、上記第1界面と該第1界面
に対向する第2界面でそれぞれ屈折、反射してさらに第
1界面で屈折して上記視点位置に向かう第2光線とにつ
いて、前記視点位置での該第1光線と第2光線との成す
角度が目の分解能のバラツキの最大値に略相当する角度
となるように前記反射部材の屈折率を設定し、上記第1
光線と第2光線との視点位置からの視差を小さくするよ
うにしたことを特徴とする。
〔作 用〕
本発明の車両用ヘッドアップディスプレイ装置におい
て、表示器からの表示光は反射部材の第1界面と第2界
面でそれぞれ運転席側に反射されて、表示像が視認され
るが、反射部材の屈折率が、視点位置での該第1光線と
第2光線との成す角度が目の分解能のバラツキの最大値
に略相当する角度となるように設定されているため、こ
の反射部材内での前記第2光線の角度は小さくなり、第
1界面で屈折して出射される第2光線は、第1界面で反
射されて視点位置に向かう第1光線と略一致し、これに
よって、第1光線と第2光線の視差を目の分解能より小
さくすることができる。
〔実施例〕
第1図は本発明の車両用ヘッドアップディスプレイ装
置の第1実施例を示す図である。
車速等の運転情報を表示する表示器1は、表示面をフ
ロントガラス2に向けてダッシュボード3に配設されて
おり、表示器1の表示光はフロントガラス2で反射され
て運転席側の視点位置4に向けられ、運転席側からは、
表示の虚像5がフロントガラス2の車両前方視界内に視
認されるようになり、ヘッドアップディスプレイ装置が
構成されている。
第2図は表示器1の表示面における物点(任意の一
点)11からフロントガラス2への入射光線と視点位置4
へ向かう反射光線とを、フロントガラス2の2つの界面
2A,2Bに関して示したものである。なお、同図は簡単の
ために角度や距離を誇張して示してある。
図示のように、物点11からフロントガラス2を介して
視点位置4に向かう光線は2通りの経路をとり、一つの
光線(第1光線)L1はフロントガラス2の第1界面(運
転席側界面)2Aで反射されて視点位置4に向かい、もう
一つの光線(第2光線)L2は、第1界面2Aでフロントガ
ラス2内に屈折して入射し第2界面(車両前方側界面)
2Bで内部反射して第1界面2Aで屈折して視点位置4に向
けて出射する。
ここで、フロントガラス2に対して入射側と反射側の
それぞれ2本づつの光線のなす角をα、第1界面2Aにお
ける第1光線L1の入射角および反射角を90゜−βとし、
この反射点から第2光線L2の出射点と入射点までの距離
をそれぞれl1,l2とする。また、物点11と第1界面2Aの
反射点の距離(フロントガラス2からの結像距離に相当
する。)をD、この反射点から視点位置4までの距離を
Sとすると、正弦定理により、 となる。上式よりl1/S=l2/Dであり、したがって、 l1/l2=S/D …(3) と書き表される。ここで、Sを一定、つまり運転者の視
点位置4を固定して考えると、D→∞のときl1/l2→0
である。すなわち、Dが大きいほどl1が小さくなり、角
度αも小さくなる。
ここで、フロントガラス2の厚みをd、屈折率をn、
β=45゜とすると、第2界面における第2光線の反射角
θは屈折の法則から、 であり、 l1+l2=2d・tan θ …(5) となる。
いま、Sを700mm、βを45゜とし、αが目の分解能の
バラツキの最大値4.8分に略相当する0.08゜になるとき
のl1の長さを求めると、 となる。
また、フロントガラス2の厚みdを5mmとして
(4),(5)式よりl1+l2の長さを求めると、 となる。したがって、l1=1.38mmのときl2は、 となる。
ここで、(3)式より、このときの表示像の結像距離
Dを求めると、 となる。
上式からわかるように、屈折率nを変化させると、α
を一定値(α=0.08゜)に保ちながら結像距離Dを変化
させることができ、この結像距離Dと屈折率nとの関係
は第3図のグラフに示すようになる。
つまり、第3図のグラフは、S=700mm、d=5mm、β
=45゜としたときの二重像が視認されないための反射材
の屈折率nと、そのときの結像距離Dを示したものであ
る。
上記実施例におけるフロントガラス2は屈折率n=3
の部材でできており、第3図の関係からもわかるよう
に、結像距離Dが528mmで、角α(虚像の視差)が目の
分解能のバラツキの最大値4.8分に略相当する0.08゜に
設定されている。
これによって、表示器1とフロントガラス2との距離
Dを短くしながら、虚像の二重像が知覚されないように
なっている。
第4図は、上記実施例のフロントガラス2の作用を説
明する図であり、フロントガラス2の第2界面2Bで反射
される光線のうち、一点鎖線はフロントガラス2の屈折
率が小さい場合を示し、実線は屈折率が大きい場合を示
している。
同図に示したように、物点11とフロントガラス2およ
び視点位置4の位置関係を固定した状態で、物点11から
第2界面2Bで反射されて視点位置4に向けられる経路は
屈折率が小さい場合と大きい場合とでは異なる。そし
て、屈折率が大きい場合の虚像5の視差αは、屈折率が
小さい場合の虚像5′の視差α′よりも小さくなり、こ
の視差αが前記のように0.08゜以下になると、二重像が
知覚されなくなる。
第5図は第2実施例を示す図であり、フロントガラス
2′は合わせガラスのもので、その合わせガラスの間に
は、視点位置4から見て表示器1の表示像が反射して見
える位置に高屈折率のシート状部材6がラミネートされ
ている。
第6図は上記高屈折率のシート状部材6の作用を説明
する図であり、前記第4図と同様に、フロントガラス
2′の第2界面2B′で反射される光線のうち、一点鎖線
はシート状部材6がない場合の光線を示し、実線はシー
ト状部材6がある場合の光線を示している。
同図からわかるように、物点11とフロントガラス2′
および視点位置4の位置関係を固定した状態でも、高屈
折率のシート状部材6で屈折される光線による虚像5の
視差αは、シート状部材6がない場合の虚像5′の視差
α′よりも小さくなる。この実施例では、シート状部材
6の屈折率により視差αを0.08゜に設定し、二重像が知
覚されないようにしている。
上記各実施例では、視差αを0.08゜に設定している
が、このように視差αを目の分解能の限界に近づけるこ
とにより、二重像をほとんど知覚できないようにするこ
とができる。また、0.08゜以下にすれば、さらに二重像
が知覚されなくなることはいうまでもない。
なお、上記実施例のような高屈折率のフロントガラス
あるいは高屈折率のシート状部材を、光学系によって虚
像を遠方に表示するようにしたものに併用すると、光学
系の倍率をあまり高くする必要がなくなり、高倍率にす
ることによって生じる像の収差等を考慮する必要がなく
なる。
第7図は第3実施例を示す図であり、ダッシュボード
3上には反射部材としてのハーフミラー6が配設され、
表示器1の表示光はハーフミラー6によって運転席側の
視点位置4に向けて反射される。また、ハーフミラー6
は高屈折率を有しており、前記各実施例と同様に視差α
が小さく抑えられている。
第8図は第3実施例の具体的な光学的位置条件を示す
図であり、Pは表示器1の中央の物点である。
ハーフミラー6の傾斜角度を水平面に対して32.6゜、
物点Pからハーフミラー6までの水平方向の距離を292m
m、視点位置4の鉛直線からハーフミラー6までの物点
Pを通る水平方向の距離を1333mmにそれぞれ設定してあ
る。
いま、この条件で、ハーフミラー6の厚みdを5mmと
すると、ハーフミラー6を見込み入射角(δ=90゜−
β)と視差αおよびハーフミラー6の屈折率nの関係
は、第9図のようになる。
ところで、ヘッドアップディスプレイにおける表示像
の大きさすなわち虚像の見込み角は、像の見やすさと、
背景に対する像の煩わしさなどの兼ね合いで決定するの
が好ましく、この見込み角は1゜前後が良いと考えられ
る。
また、二重像は、視差αがたとえ目の分解能より大き
くても、第10図に示したような虚像5の見込み角γに比
べてある程度小さければ、実用上無視することができ
る。このように視差αを無視できるような見込み角γと
視差αの比率は、見込み角が1゜前後の場合、視差αが
見込み角の5〜10%程度であればよい。したがって、見
込み角度が1゜前後で、視差αを0.05゜〜0.1゜にすれ
ばよい。
そこで、第8図に示した条件(d=5mm)において
は、ハーフミラー6を見込む入射角δが例えば60゜の場
合はハーフミラー6の屈折率nを1.6〜2.4の範囲に設定
すればよい。
なお、入射角δが70゜の場合は屈折率nを1.4〜2.0程
度に設定すればよいことがわかる。このことは、入射角
δを大きくすれば、例えば屈折率が1.4でも視差αを小
さくすることができることを示している。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、透明または半透
明な平板状の反射部材で表示器の表示光を運転席側の視
点位置に向けて反射するようにしたヘッドアップディス
プレイ装置において、反射部材の運転席側の第1界面で
反射される第1光線と、反射部材内の第2界面で反射し
て視点位置に向かう第2光線との成す角度が、目の分解
能のバラツキの最大値に略相当する角度となるように、
反射部材の屈折率を設定し、第1光線と第2光線との視
差を小さくするようにしたので、光学系等を用いず光路
長が短いままでも二重像が発生することがない。また、
反射部材の屈折率を設定することで視差を小さくするよ
うにしているので、フロントガラスガラスを反射部材と
して用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の車両用ヘッドアップディスプレイ装置
の第1実施例を示す図、 第2図は第1実施例における光学的条件を説明する図、 第3図は第1実施例における結像距離と屈折率の関係を
示す図、 第4図は第1実施例におけるフロントガラスの作用を示
す図、 第5図は第2実施例を示す図、 第6図は第2実施例におけるシート状部材の作用を示す
図、 第7図は第3実施例を示す図、 第8図は第3実施例の具体的な光学的位置条件を示す
図、 第9図は第3実施例におけるハーフミラーを見込む入射
角と視差および屈折率の関係を示す図、 第10図は虚像の見込み角と視差の関係を示す図、 第11図は従来のヘッドアップディスプレイ装置の一例を
示す図である。 1……表示器、2,2′……フロントガラス、4……視点
位置、5……虚像、6……シート状部材。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 35/00 G09F 9/00 359 G02B 27/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明または半透明な平板状の反射部材で表
    示器の表示光を運転席側の視点位置に向けて反射し、該
    表示器の表示像を虚像として視認できるようにした車両
    用ヘッドアップディスプレイ装置において、 前記表示器の任意の一点からの表示光のうち、前記反射
    部材の運転席側の第1界面で反射された前記視点位置に
    向かう第1光線と、上記第1界面と該第1界面に対向す
    る第2界面でそれぞれ屈折、反射してさらに第1界面で
    屈折して上記視点位置に向かう第2光線とについて、前
    記視点位置での該第1光線と第2光線との成す角度が目
    の分解能のバラツキの最大値に略相当する角度となるよ
    うに前記反射部材の屈折率を設定し、上記第1光線と第
    2光線との視点位置からの視差を小さくするようにした
    ことを特徴とする車両用ヘッドアップディスプレイ装
    置。
  2. 【請求項2】前記反射部材は、フロントガラスであると
    を特徴とする請求項1記載の車両用ヘッドアップディス
    プレイ装置。
  3. 【請求項3】前記反射部材は、フロントガラスに該フロ
    ントガラスより屈折率の高い高屈折率部材層を形成した
    ものであることを特徴とする請求項1記載の車両用ヘッ
    ドアップディスプレイ装置。
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