JP2879959B2 - 唇用組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、唇の皮剥けや切れ等の荒れを防止する効果
に優れた唇用組成物に関する。

〔従来の技術〕

唇は、唇上の水分が不足すると荒れやすく、特に冬場
などの低温度環境下では極めて荒れやすいことが知られ
ている。この事実に基づき、唇上の水分の蒸散を防ぐ，
即ち唇の荒れを防ぐ手段として以下のような方法が考え
られる。

（１）高粘着油脂で強固な油膜を形成する。

（２）保水力が高い成分を配合する。

（３）水分を直接供給できるエマルジョンタイプとす
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、これらの方法では唇上の水分の蒸散を
完全に防ぐことはできず、且つその効果も短時間に止ま
り、唇の荒れを防止するには至らない。又、唇上への中
途半端な水分の供給は、唇をなめると荒れやすいのと同
様に、反って水分の蒸散を促すので逆効果である。そこ
で、唇上の水分量を一定に保ち唇の荒れを積極的に防止
する方法が強く望まれていた。

本発明者は上記の事情に鑑み鋭意研究した結果、唇表
皮細胞組織の代謝異常に着眼し、後記特定の組成物を唇
に塗布することにより唇の正常な代謝が維持され、唇の
荒れを防止することを見出し本発明を完成するに至っ
た。

従って本発明の目的は、唇の皮剥け，切れ等の荒れを
防止するに優れた唇用組成物を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、下記の（Ａ）〜（Ｅ）５成分を含むことを
特徴とする唇用組成物である。

（Ａ）酢酸レチノール，パルミチン酸レチノール，β−
カロチンのうちの少なくとも１種 （Ｂ）Ｌ−アスコルビン酸，酢酸アスコルビル，パルミ
チン酸アスコルビル，ステアリン酸アスコルビル，リン
酸Ｌ−アスコルビルマグネシウム,L−アスコルビン酸硫
酸エステル二ナトリウムのうちの少なくとも１種 （Ｃ）dl−α−トコフェロール,dl−β−トコフェロー
ル,dl−γ−トコフェロール,dl−δ−トコフェロール，
コハク酸dl−α−トコフェロール，酢酸ｄ−α−トコフ
ェロール，酢酸dl−α−トコフェロール，リノール酸dl
−α−トコフェロールのうちの少なくとも１種 （Ｄ）リボフラビン，酢酸リボフラビン，リン酸リボフ
ラビン，リン酸リボフラビンナトリウムのうちの少なく
とも１種 （Ｅ）油性成分 本発明に用いる酢酸レチノール，パルミチン酸レチノ
ール，β−カロチンは、ビタミンＡとして知られる公知
の化合物,L−アスコルビン酸，及びその酢酸エステル，
パルミチン酸エステル，ステアリン酸エステル，リン酸
エステル塩，硫酸エステル塩は、ビタミンＣとして知ら
れる公知の化合物，α−トコフェロール、β−トコフェ
ロール，γ−トコフェロール，δ−トコフェロール，及
びそのリノール酸エステル，酢酸エステル，コハク酸エ
ステルは、ビタミンＥとして知られる公知の化合物，リ
ボフラビン，リボフラビンリン酸エステル，リボフラビ
ンリン酸エステル塩，及びリボフラビン脂肪酸エステル
（酪酸エステル，コハク酸エステル等）は、ビタミンB₂
として知られる公知の化合物である。

ビタミンＡ群の含有量は0.01〜1.0重量％，ビタミン
Ｃ群の含有量は0.01〜0.5重量％，ビタミンＥ群の含有
量は0.01〜2.0重量％，ビタミンB₂類の含有量は0.01〜
2.0重量％が好ましい。

本発明に於ては、これらの４種類のビタミンの総含有
量は0.1〜1.5重量％が好適である。

本発明に用いる油性成分は特定されるものではないが
経日安定性に優れ、唇に使用する性格上においの少ない
ものが好ましく、精製度の高い動物系油脂，精製度の高
い植物系油脂，エステル油脂，高級アルコール，多価ア
ルコール，鉱物系油脂等が挙げられる。

その含有量は70〜99.9重量％が好ましい。

又、本発明は感触調整、付着性の向上、化粧効果等の
目的で任意に種々の顔料を配合することも可能である。

〔作用〕

本発明のビタミン混合物が唇の荒れを防止し得るの
は、油性分を媒体として４種類のビタミンが唇表皮組織
の内外から個々に働きかけ唇表皮細胞の再生周期が正常
に保たれるためと考えられる。

以下実施例に示すごとく、３種類以下のビタミンの組
み合わせでは、唇の荒れを完全に防ぐことはできず、４
種類全てを配合してはじめて、唇の細胞組織の再生周期
を正常に維持することができる。

〔実施例〕

以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。

（１）実施例１〜4,比較例１〜７（リップクリーム） 第１表の組成に基づいて、リップクリームを製造し
た。

製造方法 成分１〜５を90℃で均一に溶解し、成分６〜20を加え
て、混練り後再び溶解し、90℃で脱気した後、容器に流
し込み冷却して製品とする。

評価方法 被験者200名が、実施例１〜4,比較例１〜７の計11種
のサンプルを、唇が最も乾燥しやすい２月に１週間連続
使用した時の唇の表面状態をビデオマイクロスコープ
（ウイルソン社製）を使用し、倍率は30倍で観察をし、
下記の基準に基づいて判定した。

判定項目 判定基準 皮剥け ○…正常な状態の人数 △…若干皮剥け傾向がある人数 ×…著しく皮が剥けている人数 ひび割れ ○…正常な状態の人数 △…若干ひび割れ傾向がある人数 ×…著しくひび割れている人数 特性 第２表に示すごとく、３種類以下のビタミンの組み合
わせによる比較例１〜７を使用した場合に比べて、本発
明のリップクリームを使用した場合、唇の皮剥け，ひび
割れが、著しく減少するか、全く起こらなくなる。

（２）実施例５〜8,比較例８〜14（口紅） 第３表の組成に基づいて、口紅を製造した。

製造方法 成分１〜４を90℃で均一に溶解し、成分５〜18を加え
て、混練り後再び溶解し、90℃で脱気した後、金型に流
し込み冷却成形し、容器にさし製品とする。

評価方法 被験者300名に、実施例１〜４と同様の方法で評価さ
せた。

特性 第４表に示すごとく３種類以下のビタミンの組み合わ
せによる比較例８〜14を使用した場合に較べて、本発明
の口紅を使用した場合、唇の皮剥け、ひび割れが著しく
減少するか、全く起こらなくなる。

〔発明の効果〕 以上記載のごとく、本発明が唇の皮剥け、ひび割れ等
の荒れを防止するに優れる唇用組成物を提供することは
明らかである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記の（Ａ）〜（Ｅ）５成分を含むことを
   特徴とする唇用組成物。 （Ａ）酢酸レチノール，パルミチン酸レチノール，β−
   カロチンのうちの少なくとも１種 （Ｂ）Ｌ−アスコルビン酸，酢酸アスコルビル，パルミ
   チン酸アスコルビル，ステアリン酸アスコルビル，リン
   酸Ｌ−アスコルビルマグネシウム,L−アスコルビン酸硫
   酸エステル二ナトリウムのうちの少なくとも１種 （Ｃ）dl−α−トコフェロール,dl−β−トコフェロー
   ル,dl−γ−トコフェロール,dl−δ−トコフェロール，
   コハク酸dl−α−トコフェロール，酢酸ｄ−α−トコフ
   ェロール，酢酸dl−α−トコフェロール，リノール酸dl
   −α−トコフェロールのうちの少なくとも１種 （Ｄ）リボフラビン，酢酸リボフラビン，リン酸リボフ
   ラビン，リン酸リボフラビンナトリウムのうちの少なく
   とも１種 （Ｅ）油性成分