JP2878217B2 - 低圧鋳造装置におけるシール装置 - Google Patents

低圧鋳造装置におけるシール装置

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JP2878217B2
JP2878217B2 JP32817696A JP32817696A JP2878217B2 JP 2878217 B2 JP2878217 B2 JP 2878217B2 JP 32817696 A JP32817696 A JP 32817696A JP 32817696 A JP32817696 A JP 32817696A JP 2878217 B2 JP2878217 B2 JP 2878217B2
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文生 佐藤
悟 秋津
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願に係る発明は、低圧
鋳造装置のストークの上部の開口部の周辺に形成され
る、下型の下面とこの下型を載置する固定プレート側載
置面とのシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より低圧鋳造法は主としてアルミニ
ウム合金の鋳造に広く用いられている。 図8は、低圧
鋳造装置の縦断面図である。この装置は、固定プレート
101、この固定プレート101上に載置される金型1
20、溶湯を溶融・保持する溶融保持炉191、溶融保
持炉191内の溶湯を金型120の湯口123に導くス
トーク103などから成る。金型120は上型129と
下型102とから成る。
【0003】ストーク103は、その端面131が固定
プレート101の上面111と同一平面をなすように、
固定プレート101に取り付けられている。また、スト
ーク103の上部の開口部132の周辺はフランジ状に
形成されている。
【0004】この装置では、下型102を固定プレート
101に固定しておき、ショット(金型120のキャビ
ティ122への溶湯の供給)の後に金型120から製品
を取り出すときには、上型129だけを上昇させて金型
120を開くようにする。
【0005】ショットの際には、導入口192から加圧
された空気や不活性ガス(以下、これらを加圧ガスとい
う。)が溶融保持炉191に供給され、この圧力によっ
て溶融保持炉191内の溶湯がストーク103内を押し
上げられ、金型120の湯口123を介してキャビティ
122に供給される。
【0006】加圧ガスにより溶湯を加圧する際には、下
型102が載置される固定プレート101の上面111
やこの面と同一平面をなすようなストーク103の端面
131、すなわち、固定プレート側載置面107と、下
型102の下面121(図9)との隙間をシールする必
要がある。
【0007】図9は、シールするための従来の装置を示
したものである。このように従来は、下型102の下面
121と固定プレート側載置面107との間にパッキン
150を設け、これによりシールをしている。このパッ
キン150は石綿製である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このパッキン150が
劣化すると、ガス圧の低下や溶湯不足による製品不良が
生ずる恐れがあるが、図9のような構成では、下型10
2の下面121と固定プレート側載置面107との間に
は、パッキン150の厚みに相当する隙間106が形成
される。そして、この隙間106に加圧された溶湯が入
り込み、パッキン150が溶湯に接触する。溶湯は高温
(例えば、摂氏730度)であるため、これに接触する
とパッキン150は劣化が早まる。そして、このパッキ
ン150の劣化は、ガス圧の低下や溶湯の不足による製
品不良の原因となる。関連技術として特開昭62−38
59号がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この出願発明の低圧鋳造装置におけるシール装置
は、鋳造工程において下型がこの下型を載置する固定プ
レートから離れるような低圧鋳造装置の、ストークの上
部の開口部の周辺に形成される、下型の下面と固 定プレ
ート側載置面とのシール装置において、ストークの上部
の開口部を囲むように一の環状溝部が形成されている。
環状溝部は固定プレート側載置面に形成されている。そ
して、この環状溝部にパッキンがはめ込まれている。
のように、パッキンを環状溝部にはめ込んで設けること
により、下型の下面と、固定プレート側載置面との隙間
を小さくでき、溶湯が隙間に侵入することを防止して、
パッキンに溶湯を接触させないようにする。またこのよ
うにして、パッキンを環状溝部から離れにくくする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の低圧鋳造装置におけるシ
ール装置は、鋳造工程において下型がこの下型を載置す
る固定プレートから離れるような低圧鋳造装置の、スト
ークの上部の開口部の周辺に形成される、下型の下面と
固定プレート側載置面とのシール装置において、ストー
クの上部の開口部を囲むように形成された一の環状溝部
と、この環状溝部にはめ込まれたパッキンとを備え、環
状溝部が固定プレート側載置面に形成されている。パッ
キンが環状溝部にはめ込まれているため、下型の下面と
固定プレート側載置面との隙間の寸法はパッキンの厚さ
に比べてわずかであり、溶湯が隙間には侵入することを
防止できる。そのため、パッキンが溶湯に直接触れるこ
とがなく、パッキンの劣化が起こりにくい。また、パッ
キンが環状溝部から離れにくくなる。
【0011】また、上記低圧鋳造装置におけるシール装
置において、パッキンを黒鉛系モールドシールパッキン
またはメタルパッキンとすることができる。パッキンを
黒鉛系モールドシールパッキンとすると、耐熱性を確保
しつつシール性が高めることができ、メタルパッキンと
すると、特に耐熱性が高まりパッキンの劣化が起こりに
くい。
【0012】本発明の他の低圧鋳造装置におけるシール
装置は、低圧鋳造装置のストークの上部の開口部の周辺
に形成される、下型の下面とこの下型を載置する固定プ
レート側載置面とのシール装置において、ストークの上
部の開口部を囲むように多重 に形成された複数の環状溝
部と、この環状溝部の各々にはめ込まれたパッキンとを
備え、環状溝部の全部が固定プレート側載置面に形成さ
れている。複数の環状溝部が多重に形成され、そこにパ
ッキンがはめ込まれているので、パッキンが多重に設け
られることとなり、シール効果がいっそう高められる。
また、環状溝部の全部が固定プレート側載置面に形成さ
れているので、下型が固定プレートを離れてもパッキン
が下型の下面に付着して固定プレートから離れるという
ことがなく、特に、鋳造工程において下型が固定プレー
トから離れることがあるような鋳造装置に好適である。
【0013】また、少なくとも一のパッキンを黒鉛系モ
ールドシールパッキンまたはメタルパッキンとすること
ができる。パッキンを黒鉛系モールドシールパッキンと
すると、耐熱性を確保しつつシール性が高めることがで
き、メタルパッキンとすると、特に耐熱性が高まりパッ
キンの劣化が起こりにくい。
【0014】また、一の環状溝部に黒鉛系モールドシー
ルパッキンをはめ込み、この環状溝部よりも外側に形成
された他の一の環状溝部にメタルパッキンをはめ込むよ
うにすると、黒鉛系モールドシールパッキンによりシー
ル性を高めつつも、仮に高温によって黒鉛系モールドシ
ールパッキンが劣化した場合にもメタルパッキンによっ
て溶湯等のシールができる。
【0015】本発明のさらに他の低圧鋳造装置における
シール装置は、低圧鋳造装置のストークの上部の開口部
の周辺に形成される、下型の下面とこの下型を載置する
固定プレート側載置面とのシール装置において、ストー
クの上部の開口部を囲むように多重に形成された複数の
環状溝部と、この環状溝部の各々にはめ込まれたパッキ
ンとを備え、環状溝部が、下型の下面、及び/又は、固
定プレート側載置面に形成され、一の環状溝部にはめ込
まれたパッキンが黒鉛系モールドシールパッキンであ
り、この環状溝部よりも外側に形成された他の一の環状
溝部にはめ込まれたパッキンがメタルパッキンである。
複数の環状溝部が多重に形成され、そこにパッキンがは
め込まれているので、パッキンが多重に設けられること
となり、シ ール効果が高められる。また、黒鉛系モール
ドシールパッキンによりシール性を高めつつも、仮に高
温によって黒鉛系モールドシールパッキンが劣化した場
合にもメタルパッキンによって溶湯等のシールができ
る。
【0016】さらに、ストークの上部の開口部の周辺に
形成される、下型の下面と固定プレート側載置面との隙
間を、0.3mm以下にすると、この隙間への溶湯の侵
入を防止できる。
【0017】
【実施例】この出願発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0018】図1は、本願の低圧鋳造装置におけるシー
ル装置の実施例を示す縦断面図である。1Aは低圧鋳造
装置の固定プレートである。2Aはこの固定プレート1
A上に載置された金型の下型である。3Aは固定プレー
ト1Aに取り付けられたストークである。
【0019】下型2Aにはキャビティ22Aと、このキ
ャビティ22Aに溶湯を導くための湯口23Aが形成さ
れている。
【0020】ストーク3Aの上部の開口部32Aの周辺
はフランジ状に形成されており、ストーク端面31Aが
固定プレート上面11Aと同一平面をなすように、スト
ーク3Aが固定プレート1Aに取り付けられている。ス
トーク3Aの内径は、通常、80〜100mmである。
【0021】下型2Aは、湯口23Aがストーク3Aの
上部の開口部32Aと対向するように、固定プレート1
A上に載置されている。したがって、キャビティ22A
は、湯口23Aを介してストーク3Aと連通している。
【0022】ストーク端面31Aには、開口部32Aを
囲むように一の環状溝部40Aが形成されており、この
環状溝部40Aにはパッキン50Aがはめ込まれてい
る。このパッキン50Aは黒鉛系モールドシールパッキ
ンである。
【0023】このパッキン50Aは、環状溝部40Aか
らわずかに突出しており、その上部が下型下面21Aに
圧接している。ストーク端面31Aと下型下面21Aと
の間にはわずかな隙間6Aが生じているが、パッキン5
0Aが環状溝部40Aにはめ込まれているために、その
隙間6Aの寸法はパッキン50Aの厚さに比べてわずか
である。この実施例では、隙間6Aの寸法は0.3mm
以下である。
【0024】この実施例のような装置が低圧鋳造装置に
適用されると、加圧された溶湯がストーク3Aの内部を
押し上げられ、湯口23Aやキャビティ22Aまで溶湯
が充満しても、溶湯は隙間6Aには侵入してこない。低
圧鋳造に一般的に用いられるアルミ合金の溶湯の表面張
力、および、低圧鋳造法における一般的な加圧の圧力
(0.3〜0.4kg/cm2)を考慮すると、隙間6Aの寸法が
0.3mm以下であれば、溶湯が隙間6Aに侵入するこ
とはない。
【0025】溶湯が隙間6Aに侵入してこないので、パ
ッキン50Aは、高温(例えば摂氏730度)の溶湯に
接触することがなく、したがって劣化が生じにくい。
【0026】この実施例では、固定プレート上面11A
とストーク端面31Aとが固定プレート側載置面7Aを
形成しているが、環状溝部40Aは、この固定プレート
側載置面7Aに形成しても、また、下型下面21Aに形
成してもよい。しかし、この実施例のように固定プレー
ト側載置面7Aに環状溝部40Aが形成されていると、
特に、鋳造工程において下型2Aが固定プレート1Aか
ら離れることがあるような低圧鋳造装置に適している。
【0027】図7はこのような装置を示すための縦断面
図である。装置全体は、ショットを行うための鋳造ステ
ーション90と、金型20Aを開いて製品を取り出すた
めの段取りステーションとから成るが、図7には鋳造ス
テーション90のみを示してある。この鋳造ステーショ
ン90によって溶湯の供給された金型20Aは、上型2
9Aと下型2Aとが一体となったまま、シリンダ95に
よって持ち上げられ、台車96によって図外の段取りス
テーションに移動される。金型20Aは段取りステーシ
ョンで開かれ、製品が取り出される。段取りステーショ
ンに移された金型20Aを開いて製品を取り出している
間に、別の金型を鋳造ステーション90の固定プレート
1A上にセットしてショットを行うようにする。このよ
うな装置においては、金型20Aが段取りステーション
に移動される際には、鋳造ステーション90の固定プレ
ート1Aから下型2Aが上昇して離れる。このような装
置において、仮に、下型2Aの下面にも固定プレート側
載置面にも環状溝部を設けずに、下型2Aの下面と固定
プレート側載置面との間にパッキンを設けるようにする
と、下型2Aが固定プレート1Aから離れるときに、パ
ッキンが下型2Aの下面に付着して、下型2Aと一緒に
なって固定プレート1Aから離れてしまう可能性があ
る。このようになると、次の金型を鋳造ステーション9
0の固定プレート1A上にセットする前に、この下型2
Aに付着したパッキンをはがして固定プレート1A上に
置き直さなければならない。
【0028】図2は、図7のような装置に、図1のよう
な低圧鋳造装置におけるシール装置を採用した場合にお
いて、固定プレート1Aから下型2Aが上昇して離れた
状態を示す縦断面図である。
【0029】パッキン50Aは、ストーク端面31Aに
形成された環状溝部40Aにはめ込まれており、また、
熱膨張するので、下型2Aが上昇しても、パッキン50
Aが下型下面21Aに付着したまま環状溝部40Aを離
れてしまうことはない。
【0030】このように、環状溝部40Aが固定プレー
ト側載置面7Aに形成されていると、図7に示すよう
な、1回のショット毎に金型を下型ごと鋳造ステーショ
ンの固定プレートから段取りステーションに移動させる
ような鋳造装置、すなわち、鋳造工程において下型が固
定プレートから離れることがあるような鋳造装置に、特
に有効である。
【0031】なお、この実施例ではパッキン50Aが黒
鉛系モールドシールパッキンであるものを示したが、他
の材質のパッキン、例えば、メタルパッキンであっても
よい。一般に黒鉛系モールドシールパッキンは縮み代が
大きく、シール性に優れている。しかも、黒鉛を主原料
としているため、ある程度の耐熱性も兼ね備えている
し、付着も起こりにくいので、低圧鋳造装置のパッキン
としては適している。一方、メタルパッキンは、縮み代
が黒鉛系モールドシールパッキンほど大きくなくシール
性においては劣るが、耐熱性においてはより優れてい
る。
【0032】また、この実施例では、隙間6Aの寸法が
0.3mm以下である場合を示したが、パッキン50A
が下型下面21Aに圧接した状態を確保しつつ隙間6A
を0mmとするのが好ましい。
【0033】また、この実施例では、環状溝部がストー
ク端面31Aに形成される場合を示したが、環状溝部
を、ストーク端面31Aの外周を囲むように固定プレー
ト上面11Aに形成してもよい。
【0034】図3は、本願の低圧鋳造装置におけるシー
ル装置の他の実施例を示す縦断面図である。この実施例
では、図1の実施例と異なり、環状溝部40Bは下型下
面21Bに形成されている。環状溝部40Bがストーク
3Bの上部の開口部32Bを囲むように形成されている
点は、図1の実施例と同様である。そして、環状溝部4
0Bにはパッキン50Bがはめ込まれている。このパッ
キン50Bは、環状溝部40Bからわずかに下方に突出
しており、その下部がストーク端面31Bに圧接してい
る。
【0035】このように、環状溝部40Bを下型下面2
1Bに形成するようにして、ここにパッキン50Bをは
め込むようにしても、下型下面21Bと固定プレート側
載置面7Bとの隙間6Bを小さくできるので、隙間6B
への溶湯の侵入を防止することができ、パッキン50B
の劣化を生じにくくさせることができる。
【0036】図4は、本願の低圧鋳造装置におけるシー
ル装置であって、固定プレート側載置面7Cに環状溝部
40Cが形成された他の実施例を示す縦断面図である。
この実施例では、ストーク3Cは、ストーク端面31C
をストーク押さえ板8Cに押さえられるようにして固定
プレート1Cに取り付けられている。そしてストーク押
さえ板上面81Cが、固定プレート上面11Cと同一平
面をなしている。そして、このストーク押さえ板上面8
1Cには、ストーク3Cの上部の開口部32Cを囲むよ
うにして環状溝部40Cが形成され、環状溝部40Cに
はパッキン50Cがはめ込まれている。パッキン50C
は環状溝部40Cからわずかに上方に突出してその上部
が下型下面21Cに圧接している。
【0037】このようにしても、下型下面21Cと固定
プレート側載置面7Cとの隙間6Cを小さくできるの
で、隙間6Cへの溶湯の侵入を防止することができ、パ
ッキン50Cの劣化を生じにくくさせることができる。
【0038】このストーク押さえ板上面81Cも請求項
にいう固定プレート側載置面である。このように、固定
プレート側載置面というのは、ストーク端面や固定プレ
ート上面に限られるのではなく、そこに下型が載置され
る、固定プレート側の面の総称である。
【0039】この実施例も、環状溝部40Cが固定プレ
ート側載置面7Cに形成されているので、図1の実施例
と同様に、鋳造工程において下型が固定プレートから離
れることがあるような低圧鋳造装置に適している。
【0040】図5は、本願の低圧鋳造装置におけるシー
ル装置の、さらに他の実施例を示す縦断面図である。こ
の実施例では、二の環状溝部40D、41Dがストーク
端面31Dに2重に形成されている。そして、いずれの
環状溝部40D、41Dも、ストーク3Dの上部の開口
部32Dを囲むように形成されており、各々の環状溝部
40D、41Dにはパッキン50D、51Dがはめ込ま
れている。各々のパッキン50D、51Dは環状溝部4
0D、41Dからわずかに上方に突出してその上部が下
型下面21Dに圧接している。
【0041】このように、複数の環状溝部40D、41
Dを多重に形成し、ここにパッキン50D、51Dをは
め込むようにしても、下型下面21Dと固定プレート側
載置面7Dとの隙間6Dを小さくできるので、隙間6D
への溶湯の侵入を防止することができ、パッキン50
D、51Dの劣化を生じにくくさせることができる。ま
た、パッキン50D、51Dが多重に設けられているた
め、加圧ガスや溶湯のシール効果をいっそう高めること
ができる。
【0042】この実施例では、複数の環状溝部40D、
41Dの全部が固定プレート側載置面7Dに形成されて
いるので、図1の実施例と同様、鋳造工程において下型
2Dが固定プレート1Dから離れることがあるような低
圧鋳造装置に適している。
【0043】なお、この実施例では、二の環状溝部40
D、41Dが固定プレート側載置面7Dに形成された例
を示したが、二の環状溝部を下型下面21Dに形成する
ようにしても、加圧ガスや溶湯のシール効果を期待でき
る。また、一の環状溝部を固定プレート側載置面7D
に、他の一の環状溝部を下型下面21Dに形成し、各々
の環状溝部にパッキンをはめ込むようにしても、加圧ガ
スや溶湯のシール効果を期待できる。すなわち、環状溝
部は、下型の下面または固定プレート側載置面に形成さ
れていても、下型の下面及び固定プレート側載置面に形
成されていてもよい。
【0044】また、この実施例では二の環状溝部40
D、41Dが多重に形成された例を示したが、さらに多
くの環状溝部が多重に形成されていても良い。
【0045】図6は、本願の低圧鋳造装置におけるシー
ル装置の、さらに他の実施例を示す縦断面図である。こ
の実施例では、二の環状溝部40E、41Eがストーク
端面31Eに多重に形成されている。環状溝部41Eは
環状溝部40Eよりも溝幅が広い。いずれの環状溝部4
0E、41Eも、ストーク3Eの上部の開口部32Eを
囲むように形成されており、各々の環状溝部40E、4
1Eにはパッキン50E、51Eがはめ込まれている
が、パッキン50Eは黒鉛系モールドシールパッキンで
あり、パッキン51Eはメタルパッキンである。各々の
パッキン50E、51Eは環状溝部40E、41Eから
わずかに上方に突出してその上部が下型下面21Eに圧
接している。
【0046】この実施例は、シール性に優れた黒鉛系モ
ールドシールパッキンと耐熱性に優れたメタルパッキン
とを多重に設けることにより、シール性を高めつつも、
仮に高温によって黒鉛系モールドシールパッキンが劣化
した場合にも溶湯等のシールができるように構成したも
のである。
【0047】このように、環状溝部を多重に形成するに
あたり、各々の環状溝部の溝幅が異なるようにしてもよ
いし、また、環状溝部の深さが異なるように形成しても
よい。さらに、各々の環状溝部にはめ込むパッキンを異
なる材質のものとしてもよい。
【0048】この実施例も、複数の環状溝部40E、4
1Eの全部が固定プレート側載置面7Eに形成されてい
るので、図1の実施例と同様、鋳造工程において下型2
Eが固定プレート1Eから離れることがあるような低圧
鋳造装置に適している。
【0049】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0050】本発明の低圧鋳造装置におけるシール装置
では、下型の下面と固定プレート側載置面との隙間に溶
湯が侵入することを防止でき、パッキンが溶湯に接触す
ることを防止できる。このためパッキンの劣化を生じに
くくすることができる。特に、環状溝部を固定プレート
側載置面に形成すると、下型が固定プレートを離れたと
きにパッキンが下型の下面に付着して固定プレートから
離れるということを防止できる。
【0051】また、パッキンを黒鉛系モールドシールパ
ッキンとすることによって、耐熱性を確保しつつシール
性が高めることができ、パッキンをメタルパッキンとす
ることによって、特に耐熱性が高まりパッキンの劣化を
起こりにくくすることができる。
【0052】また、環状溝部が多重に形成されパッキン
が多重に設けられていると、加圧ガスや溶湯のシール効
果がいっそう高められる。
【0053】また、多重の環状溝部の全部を固定プレー
ト側載置面に形成することにより、下型が固定プレート
を離れたときにパッキンが下型の下面に付着して固定プ
レートから離れるということを防止できる。
【0054】さらに、少なくとも一のパッキンを黒鉛系
モールドシールパッキンとすることにより、耐熱性を確
保しつつシール性を高めることができ、少なくとも一の
パッキンをメタルパッキンとすることにより、特に耐熱
性を高めてパッキンの劣化を生じにくくすることができ
る。
【0055】また、一の環状溝部に黒鉛系モールドシー
ルパッキンをはめ込み、この環状溝部よりも外側に形成
された他の一の環状溝部にメタルパッキンをはめ込むよ
うにすることにより、シール性を高めつつも、仮に高温
によって黒鉛系モールドシールパッキンが劣化した場合
にも溶湯等のシールができる。
【0056】また、ストークの上部の開口部の周辺に形
成される、下型の下面と固定プレート側載置面との隙間
を、0.3mm以下にすることによって、この隙間への
溶湯の侵入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低圧鋳造装置におけるシール装置の実施例を示
す縦断面図である。
【図2】固定プレート上面から下型が上昇して離れた状
態を示す縦断面図である。
【図3】低圧鋳造装置におけるシール装置の実施例を示
す縦断面図である。
【図4】低圧鋳造装置におけるシール装置の実施例を示
す縦断面図である。
【図5】低圧鋳造装置におけるシール装置の実施例を示
す縦断面図である。
【図6】低圧鋳造装置におけるシール装置の実施例を示
す縦断面図である。
【図7】低圧鋳造装置の縦断面図である。
【図8】低圧鋳造装置の縦断面図である。
【図9】低圧鋳造装置におけるシールするための従来の
装置を示した縦断面図である。
【符号の説明】
1A…固定プレート 2A…下型 3A…ストーク 6A…隙間 7A…固定プレート側載置面 11A…固定プレート上面 21A…下型下面 22A…キャビティ 23A…湯口 31A…ストーク端面 32A…開口部 40A…環状溝部 50A…パッキン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−114534(JP,A) 特開 平1−193463(JP,A) 特開 平2−307662(JP,A) 特開 平6−114529(JP,A) 特開 平4−125051(JP,A) 実開 平6−70954(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 18/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造工程において下型がこの下型を載置
    する固定プレートから離れるような低圧鋳造装置の、ス
    トークの上部の開口部の周辺に形成される、下型の下面
    と固定プレート側載置面とのシール装置において、 ストークの上部の開口部を囲むように形成された一の環
    状溝部と、この環状溝部にはめ込まれたパッキンとを備
    え、環状溝部が固定プレート側載置面に 形成された、低圧鋳
    造装置におけるシール装置。
  2. 【請求項2】 パッキンが黒鉛系モールドシールパッキ
    ンまたはメタルパッキンである、請求項1記載の低圧鋳
    造装置におけるシール装置。
  3. 【請求項3】 低圧鋳造装置のストークの上部の開口部
    の周辺に形成される、下型の下面とこの下型を載置する
    固定プレート側載置面とのシール装置において、 ストークの上部の開口部を囲むように多重に形成された
    複数の環状溝部と、この環状溝部の各々にはめ込まれた
    パッキンとを備え、環状溝部の全部が固定プレート側載置面に形成された、
    低圧鋳造装置におけるシール装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも一のパッキンが黒鉛系モール
    ドシールパッキンまたはメタルパッキンである、請求項
    3記載の低圧鋳造装置におけるシール装置。
  5. 【請求項5】 一の環状溝部にはめ込まれたパッキンが
    黒鉛系モールドシールパッキンであり、この環状溝部よ
    りも外側に形成された他の一の環状溝部にはめ込まれた
    パッキンがメタルパッキンである、請求項3記載の低圧
    鋳造装置におけるシール装置。
  6. 【請求項6】 低圧鋳造装置のストークの上部の開口部
    の周辺に形成される、下型の下面とこの下型を載置する
    固定プレート側載置面とのシール装置において、 ストークの上部の開口部を囲むように多重に形成された
    複数の環状溝部と、こ の環状溝部の各々にはめ込まれた
    パッキンとを備え、 環状溝部が、下型の下面、及び/又は、固定プレート側
    載置面に形成され、 一の環状溝部にはめ込まれたパッキンが黒鉛系モールド
    シールパッキンであり、この環状溝部よりも外側に形成
    された他の一の環状溝部にはめ込まれたパッキンがメタ
    ルパッキンである、低圧鋳造装置におけるシール装置。
  7. 【請求項7】 低圧鋳造装置のストークの上部の開口部
    の周辺に形成される、下型の下面と固定プレート側載置
    面との隙間が、0.3mm以下である、請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の低圧鋳造装置におけるシール装
    置。
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