JP2877337B2 - エミッションｃｔ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、被検体中のスライス面におけるRI分布像
（RI分布断層像）を作成するエミッションCT装置に関す
るものである。

（従来の技術） エミッションCT装置は、一般に、第３図に示すように
構成されている。すなわち、RIが投与された被検体から
の放射線（ガンマ線）を検出器１によって検出する。こ
の検出器１は検出放射線の位置信号X,Yおよびアンブラ
ンク信号UNBを出力し、これらをA/D変換器２を経て収集
メモリ３に送る。そのようなガンマ線の検出中、検出器
１は検出器回転装置４によって被検体の体軸のまわりを
回転される。

収集メモリ３には検出器１から種々回転角度位置に基
づく検出データが時々刻々送られてくる。これらのデー
タは、検出器回転装置４から検出器回転状態信号が提供
される収集メモリ制御器５によって処理される。すなわ
ち検出器１の各回転角度位置毎のデータとして取り込
み、次にそれらを画像再構成装置６に供給してRI分布断
層像を得て、表示メモリ７に送り、最終的に表示装置８
によって表示する。

上記のように構成されたエミッションCTを使用して、
従来トータルモードと称される方法が実施されてきた。
このトータルモードは、検出器１が被検体のまわりを連
続回転している際中に、各回転角度位置毎の収集データ
を別々に加算して１撮影分のRI断層像を再構成するため
の投影データを比較的早い時期に得るようにしたもので
ある。このようなトータルモードは、被検体中における
RI分布の時間変化を早期に平均化したいという要求に応
じるためとか、例えば子供、重症患者等のように長時間
に亘る静止状態を強制することができない被検体の診断
に応じるために実施されている。

（発明が解決しようとする課題） エミッションCTを使用して上記した従来のトータルモ
ードを実施する場合、検出器１の回転に従って、検出器
の所定回転角度位置毎に入射ガンマ線検出データが出力
される。すなわち例えば０〜６°,7〜12°，…,355〜36
0°毎に順々に検出データが出力される。これらの検出
データは検出器１の更なる回転においても同様に出力さ
れ、同一の角度位置のデータ同志が次々に加算されてメ
モリに記憶される。

そのようなデータ収集中に例えば子供の被検体が動い
たということで装置を停止させた場合、次のような問題
が発生する。すなわち装置がたまたま検出器１の１回転
終了位置で停止された場合は問題ない。しかしながらこ
のような場合はまれである。大底の場合は検出器１の１
回転の途中で停止されることになり、この場合検出器の
停止角度位置以前の各角度位置における検出データは既
にメモリ中の対応データに加算されている。しかしなが
ら検出器の停止角度位置以後の各角度位置における検出
データはいまだ検出されておらず、従ってメモリ中の対
応データには検出器の本回転における検出データは加算
されないことになる。

このような理由で検出器の最終回転時における検出デ
ータは、検出器の回転角度位置によって検出データが収
集される部分とされない部分が発生し、そのような検出
データを検出器の各回転角度位置毎にそれぞれ別々に加
算してRI断層像を再構成するための投影データを得たと
してもデータむらによるアーチファクトがRI断層像中に
発生することになる。

上記したようなことは被検体中のRI分布の時間変動の
平均化データを早期に得る場合においても同様に発生す
ると考えられる。

この発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、エミッションCTを使用してトータル
モードを実施するにあたり、エミッションCTとしてのデ
ータ収集が完全に実施される以前に装置を停止させて、
検出器が１回転中の途中で停止されることがあっても検
出器の各回転角度位置毎の加算検出データにむらが発生
せず、従ってアーチファクトのない高品質のRI分布断層
像を再構成することができるエミッションCT装置を提供
するにある。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） この発明は上記目的を達成するために、RIを注入した
被検体を支持する装置と、この装置によって支持された
前記被検体のまわりを回転し前記被検体から放射される
放射線を検出して放射線検出データ信号を出力する検出
器と、この検出器を複数回転させる検出器回転装置と、
前記検出器からの出力信号をこの検出器の所定回転角度
位置毎の検出データとして収集する第１の収集メモリ
と、前記検出器の所定回転角度位置毎の検出データが前
記検出器の１回転分ずつまとめて供給され既存データの
対応分とそれぞれ別々に加算されて記憶される第２の収
集メモリと、この第２の収集メモリまたは前記第１の収
集メモリによって記憶されたデータを基にして画像再構
成する装置と、この装置によって再構成された前記被検
体内のRI分布断層像を表示する装置とで構成したことを
特徴とするものである。

（作用） 上記構成でのトータルスキャンは次のようにして実施
される。検出器が被検体のまわりを複数回転することに
よって検出器の所定回転角度位置毎の検出データが出力
される。これらの検出データのうち検出器の同一回転角
度位置のもの同志が加算されて第１の収集メモリに記憶
される。データ収集が充分な時間を経て実施された後に
第１の収集メモリに記憶された収集検出データをもとに
して画像再構成すれば一般的なエミッションCT像が得ら
れる。

一方上記したようなエミッションCTのための検出デー
タ収集と並行して、検出器の所定回転角度位置毎の検出
データを収集し、検出器が１回転を終了する都度そのよ
うにして収集された１回転分の所定回転角度位置毎の検
出データを第２の収集メモリに記憶する。第２の収集メ
モリに記憶されるデータについては同一の回転角度位置
のもの同志加算される。検出器の回転が続行されている
間はそのような動作が繰り返えされる。ここでもし何ら
かの理由で検出器の回転が停止されると、検出器が本回
転が終了しない手前の位置で停止されいる限り、たとえ
本回転における検出済の所定回転角度位置のデータがあ
ってもこれらは第２の収集メモリに供給されて、既存の
データに加算されることはない。

このことから第２の収集メモリに収集される加算デー
タは検出器の如何なる回転においても１回転分の全所定
回転角度位置のデータを含むこととなり、このように高
精度の優れたデータをもとにして画像再構成することに
よって、アーチファクトの無い高品質のRI分布断層像を
提供することができる。

（実施例） この発明の一実施例の構成を第１図を参照して説明す
る。RIを注入された被検体10は寝台11に載置されてい
る。被検体10から放射される放射線（ガンマ線）を検出
しその入射位置信号X,Yおよび輝度信号UNBを出力する検
出器12を設ける。この検出器は被検体10のまわりを回転
することができるように、架台13内に回転機構（図示せ
ず）を設け、この機構と検出器12とを支持アーム14にて
連結する。

検出器12からの出力信号X,YおよびUNBをA/D変換器15
を経て、収集制御装置16に供給する。この収集制御装置
は入力された信号に基づいて収集メモリ装置17内の対応
するメモリ位置におけるメモリデータに１つずつカウン
トアップして行く。架台13内に収納された回転機構を制
御する検出器回転制御装置18を設ける。この装置は回転
機構を制御して検出器12の回転を高速且つ定速に制御す
るものである。この場合検出器12の回転は常に同方向で
あってもよく、また、１回転毎に方向を逆転させるよう
にしてもよい。

収集メモリ装置17は第１の収集メモリ部17aおよび第
２の収集メモリ部17bを備え、収集制御装置によって次
のようなデータ収集制御が実施される。すなわちA/D変
換器15からの出力（入射ガンマ線検出データ）は検出器
12の所定回転角度位置毎の検出データに仕分けされて収
集メモリ装置17の第１収集メモリ部に別々に記憶され
る。検出器12が１回転を終了し２回転目の回転動作が実
施される時に出力される検出データについても、１回転
目と同様に所定回転角度位置毎のものに仕分けされて収
集メモリ装置17の第１メモリ部17aに供給され、同一の
回転角度位置のデータ同志加算される。このような動作
は検出器12の３回転目以後の回転動作においても繰り返
し実施される。

一方、収集メモリ装置17の第２メモリ部17bには検出
器12の１回転が終了する毎にその１回転分のA/D変換器1
5からの検出データが、検出器の所定回転角度位置毎の
データに仕分けされて供給され記憶される。検出器２の
２回転目が終了すると１回転目と同様に、２回転目の各
所定回転角度位置毎のデータが出力されて収集メモリ装
置17の第２メモリ部17bに供給され、既に記憶されてい
る１回転目のデータのうち同一角度同志が加算させる。
このような動作が検出器12の新規の１回転動作が満足さ
れる限り続行される。

収集メモリ装置17の第１メモリ部17aおよび第２メモ
リ部17bにそれぞれ記憶される検出器12の所定回転角度
位置毎の加算データを収集制御装置16によって読み出し
画像再構成する画像再構成装置20を設ける。またこの装
置によって再構成されたそれぞれのRI分布断層像データ
を記憶する表示メモリ装置21を設け、最終的に表示装置
22によってRI分布断層像として表示されるようにする。
尚図中、23は装置全体を制御するCPUである。

次に上記した構成の実施例の作用を説明する。検出器
回転制御装置18によって架台13内の検出器回転機構を駆
動させることによって、検出器12をRIが注入され寝台11
に載置された被検体10のまわりを回転させる。このよう
な検出器12の回転によって、その所定回転角度位置毎に
検出器12は被検体10からのガンマ線を検出し、それらの
入射位置信号X,Yおよび輝度信号UNBを出力する。これら
の信号をA/D変換器15によってA/D変換した後、収集制御
装置16に供給する。

収集制御装置16ではA/D変換器15から出力される所定
回転角度位置毎の検出データを収集メモリ装置17の第１
メモリ部17aに送り、第２図（ａ）に示すようにそれぞ
れ別々のフレーム領域に記憶する。検出器12が１回転す
ると、第１メモリ部17aの全フレーム領域にそれぞれ１
回分ずつの検出データが記憶されることになる。検出器
12の第２回転目の動作で１回転目と同様に、所定回転角
度毎の検出データが供給されるので、これらを同一回転
角度の既存データと加算してこれらの加算結果を再び対
応するフレーム領域に記憶する。検出器12の第３回転目
以後の動作に対しても同様に繰り返して実施され、エミ
ッションCT診断に相応しいデータが収集されるよう検出
器12は相当数の回転を続行される。この際検出データも
また収集メモリ装置17の第１メモリ部17aに既存データ
に加算されて記憶される。このようにして最終的に第１
メモリ部17aの各フレームに別々に記憶された加算検出
データを収集制御装置16によって読み出し画像再構成装
置20に送り込み、ここで被検体中のRI分布断層像を再構
成する。この装置20で作成されたRI分布断層像データは
一旦表示メモリ装置21に記憶され、その後表示装置22に
RI分布断層像として表示される。

収集制御装置16はまた、A/D変換器15から出力される
検出器12の所定回転角度位置毎の検出データを、検出器
12の１回転が達成される都度、収集メモリ装置17の第２
メモリ部17bに送り込む。このメモリ部17bも第２図
（ｂ）に示すように、第１メモリ部17aと同様の複数フ
レームのメモリ領域を備えていて、送られてきた所定回
転角度位置毎の検出データを対応フレーム領域に記憶す
る。検出器12の２回転目が開始されても２回転目が完了
するまでは、たとえ回転途上の所定回転角度位置毎の検
出データが出力されても第２メモリ部17bには何ら送り
込まれない。検出器12の２回転目が完了してはじめてそ
の２回転目に得られた所定回転角度位置毎の全検出デー
タが収集メモリ装置17の第２メモリ部に送られ、既に記
憶されている第１回転分のデータと加算されて、再度対
応のフレームメモリ領域に記憶される。検出器12の３回
転目以後も、その回転が完了する都度、検出データが収
集メモリ装置17の第２メモリ部17bに送り込まれる。

被検体10のまわりを検出器12が回転している間、例え
ば被検体である子供が動いたということで操作者が装置
を停止させた場合、検出器12は検出器回転制御装置18に
よってその回転動作を停止される。このような検出器12
の停止によって、収集メモリ装置17の第１メモリ部17a
には検出器の今回の回転における停止位置以前の所定回
転角度位置毎の検出データが供給されてはいるが、第２
メモリ部17bには検出器12が今回の回転を完了されてい
ない限り、検出器の今回の回転分に相当する検出データ
は全く供給されない。すなわち第２メモリ部17bに加算
記憶されている検出データ郡は検出器12の前回転分まで
の抜けデータの全くない良好なデータということにな
る。このように被検体が突発的に動くことがあっても、
この発明のトータルモードによって収集データを無駄に
することなく良好なデータとして保存することができ
る。第２メモリ部17bに加算記憶された検出データ郡は
画像再構成装置20でRI分布断層像として表示メモリ装置
21を介して表示装置22にて表示される。

このトータルモードは上記した被検体が動いた場合に
適用されるだけでなく、被検体内のRI分布の時間的変動
を平均化することを目的とした診断にも適用可能であ
る。また、この発明は上記した実施例に限定されるもの
ではなく、この発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計
変更することが可能である。

［発明の効果］ 以上記載したようにこの発明のエミッションCT装置に
よれば、トータルスキャンの実施にあたって収集加算さ
れる検出データは、検出器の如何なる回転においても１
回転分の全所定回転角度位置のデータを含むこととな
り、このように高精度の優れたデータをもとにして画像
再構成することによって、アーチファクトの無い高品質
のRI分布断層像を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の構成を概略的に示すブロ
ック図、第２図は同実施例の収集メモリ装置を示す構成
説明図、第３図は従来装置の構成を概略的に示すブロッ
ク図である。 12……検出器,16……収集制御装置,17……収集メモリ装
置,17a……第１メモリ部,17b……第２メモリ部,18……
検出器回転制御装置,20……画像再構成装置,21……表示
メモリ装置,23……CPU

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】RIを注入した被検体を支持する装置と、こ
   の装置によって支持された前記被検体のまわりを回転し
   前記被検体から放射される放射線を検出して放射線検出
   データ信号を出力する検出器と、この検出器を複数回転
   させる検出器回転装置と、前記検出器からの出力信号を
   この検出器の所定回転角度位置毎の検出データとして収
   集する第１の収集メモリと、前記検出器の所定回転角度
   位置毎の検出データが前記検出器の１回転分ずつまとめ
   て供給され既存データの対応分とそれぞれ別々に加算さ
   れて記憶される第２の収集メモリと、この第２の収集メ
   モリまたは前記第１の収集メモリによって記憶されたデ
   ータを基にして画像再構成する装置と、この装置によっ
   て再構成された前記被検体内のRI分布断層像を表示する
   装置とで構成したことを特徴とするエミッションCT装
   置。