JP2877267B2 - レーザ発振装置 - Google Patents

レーザ発振装置

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哲哉 池田
実 団野
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波領域の電磁
波によって放電励起されるレーザ発振器に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のレーザ装置を図2に示す。図2は
従来のレーザ装置の構成を示す正面断面図である。放電
管1は、マイクロ波発振器2から導波管3を経て接続さ
れた円筒型空胴共振器4の中に導入・設置されており、
その両端に全反射ミラー5と出力ミラー6が設置されて
いる。かかる構成によって、マイクロ波発振器2から出
力されたマイクロ波が導波管3の中を伝搬し、円筒型空
胴共振器4に伝送され、放電管1内のレーザガスがマイ
クロ波の電界により放電励起される。これによってレー
ザガス媒質からの誘導放出光を得て、光共振器を構成す
る全反射ミラー5と出力ミラー6の間の往復反射によっ
て増幅し、出力ミラー6を透過したレーザ光7を取り出
す。この場合、マイクロ波によるレーザガスの放電励起
法はHandy and Brandelik,J.Appl.Phys., 49,3753-3756
(1978). によりすでに公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のレーザ装置にあ
って、マイクロ波を封入した従来の空胴を用いてレーザ
の発振を行なう場合、レーザ出力を上げるため円筒型空
胴共振器4の長さを長くすることが考えられる。
【0004】ところが、円筒型空胴共振器4の長さを長
くすると、図3に示す空胴共振器内のマイクロ波電界モ
ードを共振周波数f、共振器長Lと内径Dの関係に基づ
いて表わした特性にて明らかな如く、長さLが大きくな
ることによって、空胴内で形成される電界モードの共振
周波数が放電に使用するマイクロ波の発振周波数に接近
し、放電管1内のレーザガスの均一放電を誘起するため
の軸方向均一電界を形成するTM010 モード以外に種々
のモードが混在することにより、放電が不均一となって
しまう。
【0005】このため、放電管1内のレーザガス全体を
均一に励起放電できなくなり、レーザ出力を上げること
とは逆にレーザ出力が低下するという問題があった。
【0006】また、別の方法としてレーザ出力を上げる
ためマイクロ波のパワーを上げるという方策もあるが、
放電管1の温度上昇が生じてしまいこの方策にも限界が
ある。
【0007】本発明は、上述の実状に鑑みてマイクロ波
のパワーの上昇によらず、長くした円筒型空胴の内部に
TM010 モードを優先的に形成させることによって、円
筒型空胴共振器内の放電管中のレーザガス全体を均一に
放電させ、レーザ出力及び発振効率を向上させることが
できるレーザ発振装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明は、マイクロ波発振器から出力されたマイクロ波を
導入する円筒型空胴共振器と、この円筒型空胴共振器内
に設けられ電界によって放電を発生させる放電管と、こ
の放電管の両端に備えられる全反射ミラー及び出力ミラ
ーと、からなるレーザ発振器において、上記円筒型空胴
共振器は、ドーナツ状連絡板にて放電管軸方向に沿い複
数室に分割され、分割された各室は、上記放電管軸方向
に均一なマイクロ波電界となるTM010 モードを形成す
る空胴小共振器を形成したことを特徴とする。
【0009】
【作用】例えば、円筒型空胴共振器内部で形成するマイ
クロ波電界に対して垂直に金属製連結板を設置すること
によってTM010 モードだけが形成する円筒型空胴小共
振器を同軸上に連設して空胴共振器とすることによっ
て、レーザガス全体を均一に放電させると共に放電体積
を増加させることになり、レーザ出力を上げることにな
る。
【0010】
【実施例】ここで、図1を参照して本発明の実施例を説
明する。図1は空胴共振器として円筒型空胴共振器を用
いる場合を例示しており、図2と同一部分には同一符号
を付す。図1において、円筒型空胴共振器4は、その内
部に銅製のドーナツ状連結板8を備えて複数室に分割さ
れ、それぞれの部屋を空胴小共振器9として形成した。
【0011】この場合、前述の図3にて示すようにTM
010 モードのみが形成されるように空胴小共振器9の内
径D及び長さLが定められる。例えば、炭酸ガスレーザ
用のレーザガス(組成CO2 ,N2 ,He,圧力40To
rr)を対象として、内径D8.6cm 、長さL20cmの空胴
小共振器9を銅製のドーナツ状連結板8(内径3.5cm 、
厚み0.5cm )で連結し、長さ40.5cm 及び61cmの円筒
型空胴共振器4とすることによって、放電管1内のレー
ザガスを周波数2.45GHz のマイクロ波発振器を用いて
放電させた。この結果、空胴小共振器の数に応じて得ら
れるレーザ出力及びレーザ発振効率を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】この表1に示されるように、空胴小共振器
1個の実施例に対して、連結板8により空胴小共振器を
2個及び3個を連結して共振器長を長くすると、レーザ
発振効率はほとんど変化しないが、レーザ出力はそれに
ほぼ比例して増加する。
【0014】ドーナツ状連結板8については、ドーナツ
状連結板8の厚みと内径を変えることによって、各小共
振器9毎にマイクロ波パワーの注入量を制御することが
可能である。
【0015】一方、(表1)において、本実施例の連結
型の空胴小共振器9を用いず、従来法にしたがって、図
2に示すような共振器長60cmの空胴共振器4でレーザ
ガスを放電させた場合、放電が不均一となり、表1に示
すレーザ出力及び発振効率が得られた。これらの結果を
比較すると、空胴共振器長を長くするためには本実施例
による連結板の効果が大であることがわかる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、レ
ーザ装置において、円筒型空胴共振器内に設置した放電
管内のレーザガスの放電を均一に維持したまま放電体積
を大きくすることができ、空胴共振器長を長くすること
によってレーザ出力の増加を有効に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の正面断面図。
【図2】従来のレーザ装置の正面断面図。
【図3】共振周波数と空胴共振器の内径Dと長さLとの
関係を示す電磁界モードの特性図。
【符号の説明】
1 放電管 4 円筒型空胴共振器 8 ドーナツ状連結板 9 空胴小共振器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/097 - 3/0979 H01S 3/03 - 3/038

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波発振器から出力されたマイク
    ロ波を導入する円筒型空胴共振器と、この円筒型空胴共
    振器内に設けられ電界によって放電を発生させる放電管
    と、この放電管の両端に備えられる全反射ミラー及び出
    力ミラーと、からなるレーザ発振器において、 上記円筒型空胴共振器は、ドーナツ状連絡板にて放電管
    軸方向に沿い複数室に分割され、分割された各室は、
    記放電管軸方向に均一なマイクロ波電界となるTM010
    モードを形成する空胴小共振器を形成したことを特徴と
    するレーザ発振装置。
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