JP2000138406A - マイクロ波ガスレーザ装置 - Google Patents

マイクロ波ガスレーザ装置

Info

Publication number
JP2000138406A
JP2000138406A JP31292198A JP31292198A JP2000138406A JP 2000138406 A JP2000138406 A JP 2000138406A JP 31292198 A JP31292198 A JP 31292198A JP 31292198 A JP31292198 A JP 31292198A JP 2000138406 A JP2000138406 A JP 2000138406A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microwave
dielectrics
gas
circuit
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31292198A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyoshi Yajima
浩義 矢島
Koichi Saito
幸一 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP31292198A priority Critical patent/JP2000138406A/ja
Publication of JP2000138406A publication Critical patent/JP2000138406A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高ガス圧力における放電広がりを拡大し、更
に放電の安定化を高め、マイクロ波ガスレーザ装置の、
レーザ出力の高出力化と高安定化を図る。 【解決手段】 マイクロ波回路9中にマイクロ波発振源
4とマイクロ波定在波6を形成する手段を有し、マイク
ロ波回路9中に少なくとも一つ以上の誘電体からなる誘
電体隔壁2を有し、マイクロ波定在波6の腹位置にマイ
クロ波電界の振動方向7に、一対の誘電体8a、8bがマ
イクロ波回路9に密着して設置され、一対の誘電体8
a、8b間で被励起ガス媒質1にプラズマを発生させレー
ザ励起を行うことにより、高ガス圧力において放電広が
りが拡大し、更に放電の安定化を高め、レーザ出力の高
出力化と高安定化が得られるマイクロ波ガスレーザ装置
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波放電に
より被励起ガス媒質にプラズマを発生させてレーザ励起
を行うマイクロ波ガスレーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば図9に示した、文献(Appli.Phys.
Lett.37(8),P673-674(1980))によれば、図9において被
励起ガス媒質1は上部入口91より高圧で供給され、誘
電体で構成されたノズル92を通過すると共に、高速と
なってガス圧力が低下する。
【0003】一方、マイクロ波93は図9の左方より導
波管94によって供給され、マイクロ波を透過する誘電
体隔壁2を通じて放電空間95に供給される。放電空間
95の上流空間96は高圧力であるから、ここでは放電
は発生しない。
【0004】被励起ガス媒質は誘電体ノズル92で加速
されてガス圧力が低下するので、マイクロ波放電3は誘
電体ノズル92の下流側で発生する。
【0005】光共振器97は、マイクロ波放電3の更に
下流に構成され、マイクロ波放電3で励起された被励起
ガス媒質1が、光共振器97を通過する際にレーザ発振
に寄与する誘導放出を行い、レーザ発振を得る。
【0006】光共振器97を通過した被励起ガス媒質で
ある排出ガス98は、真空ポンプにより図9の右方に排
出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のマイクロ波ガスレーザ装置では、放電部の
ガス圧力を高くすると均一に広がっていたマイクロ波放
電が、その広がりが縮小し筋状のストリーマ放電が発生
してしまい、レーザ出力の安定性が低下し、更にはレー
ザ出力の低下が起こり、レーザ出力の高安定性や高出力
化が図れないという問題点があった。
【0008】また、マイクロ波放電で励起された被励起
ガス媒質は、光共振器がマイクロ波放電の更に下流にあ
り、その開口が導波路の断面高よりも小さいために、励
起された被励起ガス媒質のすべてはレーザ発振に寄与せ
ず、高い発振効率が得られず、更に、被励起ガス媒質の
流れはその空間内で均一ではないので、流れむらによる
レーザ出力の不安定が発生するという問題点もあった。
【0009】本発明は、高ガス圧力において放電広がり
を拡大し、更に放電の安定性を高め、マイクロ波ガスレ
ーザ装置の、レーザ出力の高出力化と高安定化を得るこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクロ波ガス
レーザ装置においては、マイクロ波回路中にマイクロ波
発振源とマイクロ波定在波を形成する手段を有し、マイ
クロ波回路中に少なくとも一つ以上の誘電体からなる誘
電体隔壁を有し、マイクロ波定在波の腹位置にマイクロ
波電界の振動方向に、一対の誘電体がマイクロ波回路に
密着して設置され、一対の誘電体間で被励起ガス媒質に
プラズマを発生させレーザ励起を行うようにしたもので
ある。
【0011】本発明によれば、高ガス圧力において放電
広がりが拡大し、更に放電の安定性を高め、マイクロ波
ガスレーザ装置の、レーザ出力の高出力化と高安定化が
得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、マイクロ波回路中にマイクロ波発振源とマイクロ波
定在波を形成する手段を有し、前記マイクロ波回路中の
マイクロ波放電により被励起ガス媒質にプラズマを発生
させてレーザ励起を行うマイクロ波ガスレーザ装置にお
いて、前記マイクロ波回路中に少なくとも一つ以上の誘
電体からなる誘電体隔壁を有し、前記マイクロ波定在波
の腹位置にマイクロ波電界の振動方向に、一対の誘電体
が前記マイクロ波回路に密着して設置され、前記一対の
誘電体間で前記被励起ガス媒質にプラズマを発生させレ
ーザ励起を行うことを特徴とする、マイクロ波ガスレー
ザ装置である。
【0013】これにより、マイクロ波電界の最も強いマ
イクロ波定在波の腹位置で、誘電体によるバラスト効果
によって、マイクロ波放電の拘束力が増大し、さらに高
ガス圧力下においても均一なマイクロ波放電の広がりを
維持でき、レーザ出力の高出力化と高安定化が達成でき
るという、作用を有する。
【0014】本発明の請求項2に記載の発明は、マイク
ロ波回路中にマイクロ波発振源とマイクロ波定在波を形
成する手段を有し、前記マイクロ波回路中のマイクロ波
放電により被励起ガス媒質にプラズマを発生させてレー
ザ励起を行うマイクロ波ガスレーザ装置において、前記
マイクロ波回路中に少なくとも一つ以上の誘電体からな
る誘電体隔壁を有し、前記マイクロ波定在波の腹位置に
マイクロ波電界の振動方向の空間を狭める導体からなる
構造物を有し、前記導体からなる構造物の一部または全
体を覆うように、一対の誘電体を密着して設置し、前記
一対の誘電体間で前記被励起ガス媒質にプラズマを発生
させレーザ励起を行うことを特徴とする、マイクロ波ガ
スレーザ装置である。
【0015】これにより、マイクロ波電界の最も強いマ
イクロ波定在波の腹位置で、空間を狭める導体の構造物
により、マイクロ波放電の強い拘束力が得られ、更にこ
の導体からなる構造物の一部または全体を覆う誘電体の
バラスト効果によって、マイクロ波放電の拘束力と、高
ガス圧力下におけるマイクロ波放電の広がりが得られ、
レーザ出力の高出力化と高安定化が得られるという、作
用を有する。
【0016】本発明の請求項3に記載の発明は、前記一
対の誘電体の前記電界振動方向の各高さの合計をT、前
記一対の対向する誘電体の前記電界振動方向の間隔を
d、前記一対の対向する誘電体の比誘電率をεrとした
場合、それらT、d、εr間に次式の関係が成立するよ
うに構成したことを特徴とする、請求項1から2記載の
マイクロ波ガスレーザ装置。
【0017】0.2≦T/(d×εr)≦2 ただし、T、d、の各単位はmmとするである。
【0018】これにより、誘電体のバラスト効果を効果
的に利用することができ、高ガス圧力下におけるマイク
ロ波放電の広がりを、効率的に得ることができ、レーザ
出力の高出力化と高安定化を行えるという、作用を有す
る。
【0019】本発明の請求項4に記載の発明は、前記一
対の誘電体の前記マイクロ波定在波の伝播方向の各幅
が、マイクロ波管内波長の1/10以下であることを特
徴とする、請求項1から3記載のマイクロ波ガスレーザ
装置である。
【0020】これにより、誘電体による放電の拘束力を
効率的に利用することができ、マイクロ波放電の安定化
を高め、レーザ出力の高安定化が図れるという、作用を
有する。
【0021】本発明の請求項5に記載の発明は、前記一
対の誘電体が、同一の材質と形状からなることを特徴と
する、請求項3から4記載のマイクロ波ガスレーザ装置
である。
【0022】これにより、誘電体のマイクロ波放電の拘
束力と、バラスト効果によるマイクロ波放電の広がり
を、高ガス圧力下において効率的に得ることができ、レ
ーザ出力の高出力化と高安定化を効果的に達成できると
いう、作用を有する。
【0023】本発明の請求項6に記載の発明は、前記誘
電体隔壁と、他方で隔離する誘電体隔壁あるいは前記マ
イクロ波回路終端との間隔が、マイクロ波管内波長の1
/2かそれ以下であることを特徴とする、請求項1から
2記載のマイクロ波ガスレーザ装置である。
【0024】これにより、被励起ガス媒質が存在しマイ
クロ波放電が行えるマイクロ波定在波領域の、マイクロ
波電界の分布をマイクロ波定在波の腹位置が他の領域に
比べて、十分強くすることができ、マイクロ波放電の高
い拘束力を高ガス圧力下においても、さらに強くするこ
とができ、レーザ出力の高出力化と高安定化をさらに達
成できるという、作用を有する。
【0025】本発明の請求項7に記載の発明は、マイク
ロ波発振源側の前記誘電体隔壁の、前記マイクロ波発振
源側の形状が前記電界振動方向と斜めの傾斜を持つこと
を特徴とする、請求項6記載のマイクロ波ガスレーザ装
置である。
【0026】これにより、誘電体隔壁によるマイクロ波
のマイクロ波発振源への反射を低減することができ、マ
イクロ波発振源の反射波による損失を低く押さえること
が可能となり、マイクロ波発振源の長寿命化が図れると
いう、作用を有する。
【0027】本発明の請求項8に記載の発明は、光軸方
向に少なくとも2つ以上の前記マイクロ波回路を有し、
前記マイクロ波回路の前記マイクロ波発振源が各々独立
のパルス電源により駆動し、前記各々独立のパルス電源
は一つの駆動信号に対して、任意のタイミングと繰返し
周波数で運転が設定できることを特徴とした、請求項1
から5記載のマイクロ波ガスレーザ装置である。
【0028】これにより、レーザ出力の各マイクロ波回
路による加算が可能となりレーザ出力の高出力化が達成
でき、さらに各マイクロ波回路のマイクロ波パルス放電
を一つの指示信号に対して任意のタイミングと繰返し周
波数で運転ができることで、任意の光波形を作成するこ
とができ、レーザ加工における各種被加工材質に最適な
光エネルギー注入が可能となる、作用を有する。
【0029】本発明の請求項9に記載の発明は、前記マ
イクロ波発振源のマイクロ波周波数が、2.45GHz
±0.05GHzであることを特徴とする、請求項1か
ら8記載のマイクロ波ガスレーザ装置である。
【0030】これにより、安価なマグネトロンが使用で
き、装置の低コスト化が図れるという、作用を有する。
【0031】本発明の請求項10に記載の発明は、前記
マイクロ波回路中のマイクロ波モードが、TE10モー
ドであることを特徴とする、請求項1から9記載のマイ
クロ波ガスレーザ装置である。
【0032】これにより、安定なマイクロ波モードが使
用でき、マイクロ波回路の信頼性を高められるという、
作用を有する。
【0033】以下、本発明の実施の形態について、図1
から8を用いて説明する。 (実施の形態1)以下、本発明の実施の形態1につい
て、図1から6を参照しながら詳細に説明する。
【0034】図1は、本発明の実施の形態を示す概略図
である。図1において、1は被励起ガス媒質、2は誘電
体隔壁、3はマイクロ波放電、4はマイクロ波発振源、
5はスタブチューナー、6はマイクロ波定在波、7はマ
イクロ波電界の振動方向、8aは第1の誘電体、8bは第
2の誘電体、9はマイクロ波回路であり、マイクロ波ガ
スレーザ装置を構成する。
【0035】次に動作について説明する。被励起ガス媒
質1は誘電体隔壁2で隔離された図1の右方に充填さ
れ、この時、被励起ガス媒質1はマイクロ波回路9内に
封入される。マイクロ波発振源4により発振されたマイ
クロ波は、スタブチューナー5により、マイクロ波回路
9内でマイクロ波定在波6を形成する。マイクロ波定在
波6を形成するスタブチューナー5は複数であってもよ
く、さらには、マイクロ波結合窓を用いても同様の効果
が得られる。
【0036】マイクロ波定在波6の右方の腹位置には、
マイクロ波電界振動方向7に一対の誘電体8a、8bがマ
イクロ波回路9と密着するように設置され、マイクロ波
放電3はこの一対の誘電体8a、8bの間で形成される。
マイクロ波放電3により被励起ガス媒質1は励起され、
レーザ利得を得る。
【0037】図示はしていないが、マイクロ波放電3を
含むように、紙面に垂直な方向に対向して、発振波長に
対して反射可能な反射鏡で、一方は反射率が高い反射鏡
で、もう一方を一部は透過するが残りの大部分は反射す
る部分反射鏡を配置することでレーザ発振が可能にな
る。
【0038】このように、マイクロ波放電3を含むよう
に光共振器を配置することで、マイクロ波放電3により
励起された被励起ガス媒質1を効率よくレーザ発振に寄
与することができ、レーザ装置の高効率化が図れる。
【0039】また、一対の誘電体8a、8bをマイクロ波
定在波6の腹位置に設置することで、マイクロ波放電3
は一対の誘電体8a、8b間に、高ガス圧力下においても
均一に拡大し効率よく被励起ガス媒質1を励起すること
が可能になる。これにより、レーザ出力の高出力化が得
られる。更に一対の誘電体8a、8bによりマイクロ波放
電3は、一対の誘電体8a、8b間に常に拘束され、レー
ザ出力の高安定化が達成できる。
【0040】一対の誘電体8a、8bは、図2の様に構成
もできる。図2の図1と同一符号部分は、図1と同一部
分を示すので、異なる符号部分のみ説明する。10a、
10bは、一対の導体からなる構造物である。
【0041】この構成によれば、一対の導体構造物10
a、10bがマイクロ波定在波6の腹位置に設置され、こ
の部分のマイクロ波回路9のマイクロ波電界振動方向7
の高さが狭まれている。これにより、この部分の電界強
度はさらに強くなり、一対の誘電体8a、8bとあいまっ
てマイクロ波放電3の高ガス圧力下での拘束力を増大
し、レーザ出力の高安定化が得られる。
【0042】導体構造物10a、10bは、一方のみの配
置であっても効果が得られ、導体構造物10a、10bは
一対の誘電体8a、8bと同一形状でなくてもよく、さら
に導体構造物10a、10bは、マイクロ波回路9と異な
る導体材質であってもよいことは、言うまでもない。
【0043】次に、一対の誘電体8a、8bによるマイク
ロ波放電3に与える影響について、さらに詳細な説明を
行う。
【0044】図3は、一対の誘電体8a、8bがない場合
のマイクロ波放電の形態を示す概略図である。図中の図
1と同一符号部分は、図1の同一部分を示す。11は図
3の構成におけるマイクロ波放電である。
【0045】マイクロ波定在波6の腹位置では、マイク
ロ波電界強度が他の空間に比べて高いので、マイクロ波
放電11を点弧できるが、点弧開始によりマイクロ波定
在波6の電界強度は点弧開始電圧時より低い点弧維持電
圧に低下する。マイクロ波放電11は一斉に十分な広が
りを持って点弧を開始するのではないため、点弧初期の
ある空間の点弧開始によって、周囲の未点弧空間の電界
強度も低下するためにこれらの空間は点弧開始に至ら
ず、この結果図3のマイクロ波放電11の様に、狭く集
中したアーク放電状の放電形態となり、これは高ガス圧
力下でさらに顕著となり、レーザ出力と安定性の低下の
大きな要因となっていた。
【0046】図1の一対の誘電体8a、8bの様に、誘電
体がマイクロ波放電3の電界振動方向7にある場合、誘
電体には実電流が流れないために、容量性のバラスト効
果を持ち、急激な電圧低下を防ぐ働きがある。これによ
り、ある空間が点弧を開始しても周囲の空間の電圧降下
は起こらず、周囲の空間も順次点弧を開始するため、結
果としてマイクロ波放電3の拡大が達成できる。
【0047】誘電体の高さについて詳細な説明を、図4
を用いて行う。図4は、誘電体の高さが十分でないとき
のマイクロ波放電の形態を示す概略図である。図中の図
1と同一符号部分は、図1の同一部分を示す。12a、
12bは図4におけるマイクロ波放電ある。
【0048】誘電体の高さが低い図4では、若干広がっ
たマイクロ波放電12aが有るものの、一対の誘電体8
a、8bの容量性が小さいために、電圧降下の防止は十分
でなく、マイクロ波放電12aの中にアーク状の集中し
たマイクロ波放電12bも発生する。これは高ガス圧力
下でさらに顕著となり、レーザ出力と安定性の低下の要
因となる。
【0049】我々の研究結果では、この一対の誘電体の
合計高さTと、一対の誘電体の間隔dと誘電体の比誘電
率εrとの間に、次式を満たすように誘電体を設定する
と、容量性の効果が最適となることを見出した。
【0050】0.2≦T/(d×εr)≦2 ここで、T、dの各単位はmmである。Tは、図1では第
1の誘電体8aの高さと第2の誘電体8bの高さTbの
合計である。図2では、第1の誘電体8aの最も低い高
さTaと第2の誘電体8bの最も低い高さTbとの合計
である。
【0051】次に誘電体の幅について詳細な説明を、図
5を用いて行う。図5は、一対の誘電体の幅が広いとき
のマイクロ波放電の形態を示す概略図である。図中の図
1と同一符号部分は、図1の同一部分を示す。12a、
12bは図5におけるマイクロ波放電ある。
【0052】マイクロ波定在波6はマイクロ波のマイク
ロ波回路9内の管内波長の1/2で、電界強度の高い腹
位置と、最も小さい節位置が交互に現れ、その間の電界
強度は連続的に変化する。
【0053】一対の誘電体8a、8bの容量性が十分であ
っても、基本的にマイクロ波定在波6の電界強度が弱い
空間は放電を行う電界強度に達せず、不要に一対の誘電
体8a、8bが大きいと、図5の様に、若干広がったマイ
クロ波放電12aと、アーク状に集中したマイクロ波放
電12bが発生する。これらマイクロ波放電12a、12
bは、一対の誘電体8a、8b上を図5の左右にふらつ
き、特に高ガス圧力下ではさらに顕著となり、レーザ出
力の安定性が顕著に低下する。
【0054】我々の研究結果では、この一対の誘電体8
a、8bの幅はマイクロ波回路9内のマイクロ波管内波長
の1/10以下であるときに、マイクロ波放電3の安定
性が最も良いことが示された。
【0055】さらに、一対の誘電体を同一材質で同一形
状にすると、マイクロ波回路内の構造物によるマイクロ
波の高次モードの発生による不要な電界分布の発生を低
減でき、マイクロ波放電3の安定性を高める。
【0056】図1に戻って詳細な説明を続ける。誘電体
隔壁2と一対の誘電体8a、8bを挟んだ他方のマイクロ
波回路9の終端、あるいはもう一つの誘電体隔壁間の距
離は、マイクロ波回路9の管内波長の1/2かそれ以下
が好ましい。すなわち、先に述べたようにマイクロ波定
在波6は、マイクロ波回路9内の管内波長の1/2で電
界強度の強弱がある為、管内波長の1/2より大きいと
誘電体隔壁2内側の電界強度が大きくなることになる。
【0057】また誘電体隔壁2は、被励起ガス媒質1の
比誘電率と異なり誘電体隔壁2の比誘電率の方が大きい
為マイクロ波の反射が発生し、それによる複合の電界分
布が形成されることになる。そのため、管内波長の1/
2より大きいと一対の誘電体8a、8b以外でのマイクロ
波放電の発生や一対の誘電体8a、8b間のマイクロ波放
電3の安定性が低下する。
【0058】この誘電体隔壁2のマイクロ波の反射波
は、マイクロ波発振源側についても起こり、この反射波
はマイクロ波発振源4に戻ることもある為、マイクロ波
発振源4の寿命に対して悪影響を与え得る。このため、
誘電体隔壁2のマイクロ波発振源4側の形状を電界振動
方向7に対して緩やかな形状を持たせることで、マイク
ロ波の反射量を低減でき、マイクロ波発振源4の長寿命
化が図れる。
【0059】被励起ガス媒質1が炭酸ガスレーザ用のガ
ス媒質である場合、被励起ガス媒質1はマイクロ波放電
3によりガス媒質の温度が上昇する。被励起ガス媒質1
の温度が過度に上昇するとレーザ励起の効率が低下す
る。一般に炭酸ガスレーザ用のガス媒質では効率のよい
発振限界は約200℃である。このため、温度上昇した
被励起ガス媒質1を冷却し、マイクロ波放電3に温度の
低い被励起ガス媒質1を供給することが必要となる。
【0060】誘電体隔壁2に隔離されて被励起ガス媒質
1がマイクロ波放電3以外の空間に存在すると、マイク
ロ波放電3によるガス膨張等によって、自然に被励起ガ
ス媒質1の交換が可能となる。さらに、積極的な被励起
ガス媒質1の交換を行う手段として、図6を用いて説明
を行う。
【0061】図6の、図中の図1と同一符号部分は、図
1の同一部分を示す。13はガス循環器、14は熱交換
器、15はガス循環チャンバー、16a、16bはガス循
環方向、17aはガス供給口、17bはガス排出口であ
る。
【0062】ガス循環器13は、例えば軸流ファンであ
り、または斜流ファンであり、または、ターボブロアー
やメカニカルブースターポンプ等を用いることができ
る。
【0063】被励起ガス媒質1は、マイクロ波放電3で
励起されてレーザ発振を行った後、マイクロ波回路9に
設けられたマイクロ波は通さず被励起ガス媒質1のみを
通過させるガス排出口17bを通過して、熱交換器14
で冷却される。ガス循環器13で加速された後、マイク
ロ波回路9に設けられたマイクロ波は通さず被励起ガス
媒質1のみを通過させるガス供給口17aを通過して、
再びマイクロ波放電3によって励起されレーザ発振に寄
与する。
【0064】これにより、被励起ガス媒質1をマイクロ
波放電3に大量に供給できるようになり、レーザ出力の
増大が図れる。
【0065】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2について、図7を参照しながら詳細に説明する。
【0066】図7は、本発明の実施の形態を示す概略図
である。図7の、図中の図1から7と同一符号部分は、
図1から7の同一部分を示す。ただし大英字は、各マイ
クロ波回路に対応して示されている。
【0067】次に動作について説明する。各マイクロ波
回路9Aから9Dは各々同一の構成であり、図には示し
ていないが光共振器が、マイクロ波放電3Aから3Dの
直列方向に構成される(3B〜3Dは図示されていない
が、マイクロ波回路9B〜9Dについて、マイクロ波回
路9Aの3Aに相当する箇所)。各マイクロ波回路9間
には図には示していない光取出し用の開口があり、これ
により光共振器は接続されている。図6で示したガス循
環部がマイクロ波回路9Aから9Dの下部に接続され、
ガス循環は光共振器の光軸と垂直な方向で循環を行う。
これにより、ガス循環は各マイクロ波回路9について独
立な循環となる。
【0068】各マイクロ波発振源4は、各々か数個を単
位として図には示していない、複数のパルス電源に接続
される。複数のパルス電源は、一つの指示信号に対して
任意にタイミングと繰返しの周波数を設定できるように
なっている。各マイクロ波放電3は、ガス循環が光共振
器の光軸と垂直で各マイクロ波回路4に独立である為、
干渉等による不安定は生じず独立である。
【0069】これにより、各マイクロ波放電3を指示信
号に対して複数の任意の設定が可能なパルス電源により
行うと、その設定により様々な光波形を光共振器から得
ることが可能になる。
【0070】図8の(a)から(e)に、その一例を示す。縦
軸が光出力で横軸が時間である。図8(a)では、マイク
ロ波放電3AからDを同時にさせた場合の光波形であ
り、高い光ピーク出力と短いパルス幅を得ることができ
る。
【0071】図8(b)では、マイクロ波放電3を順次ず
らしながらさせた場合の光波形であり、低い光ピーク出
力だが長いパルス幅を得ることができる。
【0072】図8(c)では、マイクロ波放電3を各同数
の二つのグループに分け、タイミングをずらした場合の
光波形であり、2山の光波形が得られる。
【0073】図8(d)では、マイクロ波放電3を大小が
ある二つのグループに分け、タイミングをずらした場合
の光波形である。大小関係がある2山の光波形が得られ
る。図8(e)では、大小関係を逆転させた光波形であ
る。
【0074】このように、各マイクロ波放電3が電源的
にもガス循環等による放電的にも独立である為に任意の
光波形が得られる。さらに、マイクロ波回路9の数を変
えたりパルス電源の接続の仕方を変えることで、様々な
光波形の作成が容易に可能となる。このことは、電子部
品等の微細加工を行う上で、各加工材料の特性にあった
光波形を作成でき有用なものとなり得る。
【0075】以上、実施の形態で示した誘電体は、マイ
クロ波の吸収率tanδが小さい方が好ましく、融点が高
く熱膨張係数が小さいものが好ましい。
【0076】また、実施の形態で示したマイクロ波発振
源は、2.45GHz±0.05GHzが好ましく、安
価なマグネトロンの使用により装置の低コスト化が図れ
る。
【0077】また、実施の形態で示したマイクロ波回路
中のマイクロ波モードは、TE10モードが好ましく、
TE10モードは安定なため装置の設計や構成が容易
で、装置の信頼性を高められる。
【0078】また、実施の形態で示した被励起ガス媒質
1はガス媒質を変更すれば数種の波長を発振することが
可能である。例えば、CO2ガスレーザ、COガスレーザ、N
2ガスレーザ、金属蒸気ガスレーザ、希ガスレーザ、He-
Neガスレーザ、イオンレーザ等にも適用可能である。
【0079】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、マイクロ
波回路中にマイクロ波発振源とマイクロ波定在波を形成
する手段と、マイクロ波回路中のマイクロ波放電により
被励起ガス媒質にプラズマを発生させてレーザ励起を行
うマイクロ波ガスレーザ装置において、マイクロ波回路
中に少なくとも一つ以上の誘電体からなる誘電体隔壁
と、マイクロ波定在波の腹位置にマイクロ波電界の振動
方向に、一対の誘電体がマイクロ波回路に密着して設置
され、一対の誘電体間で被励起ガス媒質にプラズマを発
生させレーザ励起を行うことにより、高ガス圧力におい
て放電広がりが拡大し、更に放電の安定化を高め、マイ
クロ波ガスレーザ装置の、レーザ出力の高出力化と高安
定化が得られるという、有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す概略図
【図2】本発明の実施の形態1における導体構造物を使
用した場合の部分図
【図3】本発明の実施の形態1における誘電体がない場
合のマイクロ波放電の形態例を示す概略図
【図4】本発明の実施の形態1における誘電体の高さが
異なる場合のマイクロ波放電の形態例を示す概略図
【図5】本発明の実施の形態1における誘電体の幅が異
なる場合のマイクロ波放電の形態例を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態1におけるガス循環手段を
用いた場合の概略図
【図7】本発明の実施の形態2を示す概略図
【図8】本発明の実施の形態2における光波形例を示す
概念図
【図9】従来のマイクロ波ガスレーザ装置を示す概略図
【符号の説明】
1 被励起ガス媒質 2 誘電体隔壁 3 マイクロ波放電 4 マイクロ波発振源 5 スタブチューナー 6 マイクロ波定在波 7 電界振動方向 8a 第1の誘電体 8b 第2の誘電体 9 マイクロ波回路 10a 第1の導体構造物 10b 第2の導体構造物 11 マイクロ波放電形態 12a 第1のマイクロ波放電形態 12b 第2のマイクロ波放電形態 13 ガス循環器 14 熱交換器 15 ガス循環チャンバー 16a ガス循環(供給) 16b ガス循環(排出) 17a ガス循環用マイクロ波回路開口(供給) 17b ガス循環用マイクロ波回路開口(排出) 91 上部入口 92 誘電体ノズル 93 マイクロ波 94 導波管 95 放電空間 96 上流空間 97 光共振器 98 排出ガス

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波回路中にマイクロ波発振源と
    マイクロ波定在波を形成する手段を有し、前記マイクロ
    波回路中のマイクロ波放電により被励起ガス媒質にプラ
    ズマを発生させてレーザ励起を行うマイクロ波ガスレー
    ザ装置において、 前記マイクロ波回路中に少なくとも
    一つ以上の誘電体からなる誘電体隔壁を有し、前記マイ
    クロ波定在波の腹位置にマイクロ波電界の振動方向に一
    対の誘電体が、前記マイクロ波回路に密着して設置さ
    れ、前記一対の誘電体間で前記被励起ガス媒質にプラズ
    マを発生させレーザ励起を行うことを特徴とする、マイ
    クロ波ガスレーザ装置。
  2. 【請求項2】 マイクロ波回路中にマイクロ波発振源と
    マイクロ波定在波を形成する手段を有し、前記マイクロ
    波回路中のマイクロ波放電により被励起ガス媒質にプラ
    ズマを発生させてレーザ励起を行うマイクロ波ガスレー
    ザ装置において、 前記マイクロ波回路中に少なくとも
    一つ以上の誘電体からなる誘電体隔壁を有し、前記マイ
    クロ波定在波の腹位置にマイクロ波電界の振動方向の空
    間を狭める導体からなる構造物を有し、前記導体からな
    る構造物の一部または全体を覆うように、一対の誘電体
    を密着して設置し、前記一対の誘電体間で前記被励起ガ
    ス媒質にプラズマを発生させレーザ励起を行うことを特
    徴とする、マイクロ波ガスレーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記一対の誘電体の前記電界振動方向の
    各高さの合計をT、前記一対の対向する誘電体の前記電
    界振動方向の間隔をd、前記一対の対向する誘電体の比
    誘電率をεrとした場合、それらT、d、εr間に次式の
    関係が成立するように構成したことを特徴とする、請求
    項1から2記載のマイクロ波ガスレーザ装置。 0.2≦T/(d×εr)≦2 ただし、T、d、の各単位はmmとする。
  4. 【請求項4】 前記一対の誘電体の前記マイクロ波定在
    波の伝播方向の各幅が、マイクロ波管内波長の1/10
    以下であることを特徴とする、請求項1から3記載のマ
    イクロ波ガスレーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記一対の誘電体が、同一の材質と形状
    からなることを特徴とする、請求項3から4記載のマイ
    クロ波ガスレーザ装置。
  6. 【請求項6】 前記誘電体隔壁と、他方で隔離する誘電
    体隔壁あるいは前記マイクロ波回路終端との間隔が、マ
    イクロ波管内波長の1/2かそれ以下であることを特徴
    とする、請求項1から2記載のマイクロ波ガスレーザ装
    置。
  7. 【請求項7】 マイクロ波発振源側の前記誘電体隔壁
    の、前記マイクロ波発振源側の形状が前記電界振動方向
    と斜めの傾斜を持つことを特徴とする、請求項6記載の
    マイクロ波ガスレーザ装置。
  8. 【請求項8】 光軸方向に少なくとも2つ以上の前記マ
    イクロ波回路を有し、前記マイクロ波回路の前記マイク
    ロ波発振源が各々独立のパルス電源により駆動し、前記
    各々独立のパルス電源は一つの駆動信号に対して、任意
    のタイミングと繰返し周波数で運転が設定できることを
    特徴とした、請求項1から5記載のマイクロ波ガスレー
    ザ装置。
  9. 【請求項9】 前記マイクロ波発振源のマイクロ波周波
    数が、2.45GHz±0.05GHzであることを特
    徴とする、請求項1から8記載のマイクロ波ガスレーザ
    装置。
  10. 【請求項10】 前記マイクロ波回路中のマイクロ波モ
    ードが、TE10モードであることを特徴とする、請求
    項1から9記載のマイクロ波ガスレーザ装置。
JP31292198A 1998-11-04 1998-11-04 マイクロ波ガスレーザ装置 Pending JP2000138406A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31292198A JP2000138406A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 マイクロ波ガスレーザ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31292198A JP2000138406A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 マイクロ波ガスレーザ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000138406A true JP2000138406A (ja) 2000-05-16

Family

ID=18035082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31292198A Pending JP2000138406A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 マイクロ波ガスレーザ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000138406A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114234934A (zh) * 2021-12-16 2022-03-25 中国人民解放军国防科技大学 一种非均匀空间分辨率星载微光成像仪的海洋内波监测方法及系统

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114234934A (zh) * 2021-12-16 2022-03-25 中国人民解放军国防科技大学 一种非均匀空间分辨率星载微光成像仪的海洋内波监测方法及系统
CN114234934B (zh) * 2021-12-16 2024-01-09 中国人民解放军国防科技大学 一种非均匀空间分辨率星载微光成像仪的海洋内波监测方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5748663A (en) Retangular discharge gas laser
US5224117A (en) Gas lasers, in particular co2 lasers
EP0152084B1 (en) Gas laser device
JP3427573B2 (ja) マイクロ波励起ガスレーザ発振装置
US4891819A (en) RF excited laser with internally folded resonator
US4004249A (en) Optical waveguide laser pumped by guided electromagnetic wave
EP0852835B1 (en) Supersonic and subsonic laser with rf discharge excitation
JP2000138406A (ja) マイクロ波ガスレーザ装置
JPH09172214A (ja) 矩形放出ガスレーザ
JP3088579B2 (ja) レーザ装置
JP2989296B2 (ja) レーザーガスのマイクロ波放電励起方法
JPH06291397A (ja) ガスレーザ発振装置
JPH02129979A (ja) マイクロ波レーザ装置
JP2877267B2 (ja) レーザ発振装置
JPH11220189A (ja) ガスレーザ装置
JPH02129976A (ja) マイクロ波レーザ装置
JP2792457B2 (ja) マイクロ波励起ガスレーザ装置
RU2164048C1 (ru) Устройство для свч возбуждения и поддержания генерации газоразрядного лазера при помощи создания плазменной коаксиальной линии
JP2871217B2 (ja) マイクロ波励起気体レーザー装置
JP2871218B2 (ja) 気体レーザーのマイクロ波励起方法及びその装置
JPH0741963U (ja) エキシマ・ランプ放電装置
WO2009128741A1 (ru) Свч-плазмотрон
JP2003046167A (ja) ガスレーザ発振装置
Waynant et al. Design considerations for RF pumping of rare gas halide lasers
JPH02130975A (ja) マイクロ波レーザ装置