JP2874536B2 - ステアリング装置 - Google Patents

ステアリング装置

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JP2874536B2 JP28449493A JP28449493A JP2874536B2 JP 2874536 B2 JP2874536 B2 JP 2874536B2 JP 28449493 A JP28449493 A JP 28449493A JP 28449493 A JP28449493 A JP 28449493A JP 2874536 B2 JP2874536 B2 JP 2874536B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のステアリング装
置、とくに、車両の衝突時にステアリング機構が車室内
に突出することを防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両においては、特開平1ー22
6474号公報に例示されているように、ステアリング
コラム支持部材の摺動部材に芯棒の後端を当接させると
共に、芯棒の前端部をエンジンの後側面に近接して配置
し、車両の衝突により車体に対してエンジンが後退すれ
ば、芯棒が後退して摺動部材を変位させ、ステアリング
コラム支持部材におけるステアリングコラムの結合状態
を解除して、ステアリングホイールの移動位置を適当に
制御するようにしている。しかしながら、この場合に
は、エンジンの後退によりステアリングコラムの結合状
態を解除しているため、車両の衝突初期からエンジンが
後退するまでの間、ステアリングコラム結合状態の解除
が遅れるので、車両内におけるステアリングホイールの
位置制御に限界があり、ステアリングホイールに対する
乗員の保護が必ずしも完全に行えるとは限らない可能性
があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、車両
の衝突に即応してステアリング軸部の上下連結を迅速に
解除し、車室内におけるステアリングホイールの位置が
衝突初期に変化しないようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、本発明にかか
るステアリング装置は、車室内に設置されたステアリン
グ軸部、同ステアリング軸部の中間部に設置されて同ス
テアリング軸部の上下部を連結する連結機構、上記ステ
アリング軸部の車両前方に配置されたエンジン、同エン
ジンを車体側へ支持し上記エンジンの所定以上の減速度
に応じ上記エンジンの慣性により塑性変形して上記エン
ジンを車体と相対的に車両前方へ変位させるエンジン支
持部、及び、一端が上記エンジンに連結され他端が上記
連結機構に連結されたオペレーション部材を有し、上記
ステアリング軸部上下部の上記連結機構による連結が上
記エンジンの前方変位に伴う上記オペレーション部材の
変位によって解除されるように構成されている。
【0005】
【作用】すなわち、車両の衝突によりエンジンが所定以
上の減速度を受けると、エンジンの慣性によりエンジン
支持部が塑性変形して、エンジンを車体と相対的に車両
前方へ変位させるので、一端がエンジンに連結されたオ
ペレーション部材が前方へ引かれて、ステアリング軸部
の連結機構による連結が解除されるが、車両の衝突時、
車体前部が大きく変形する前にエンジンが自身の慣性に
より前方へ変位するため、連結機構によるステアリング
軸部の上下連結はきわめて迅速に解除され、従って、ス
テアリング軸部の上部と車体前部との連結が予め遮断さ
れるので、車室内におけるステアリング軸部の上部の位
置が衝突の初期に変化することは容易に防止される。
【0006】
【実施例】以下、図面に示す本発明の実施例について具
体的に説明する。図1において、車両の前部にエンジン
1及びトランスミッション2が一体的に配置され、その
両側面のエンジンマウント3が後記のように車体側に支
持されている一方、ダッシュパネル4によってエンジン
1側と仕切られた車室5内には、後端にステアリングホ
イール6が取り付けられたステアリングコラムアッシー
7がカウルトップパネル8に支持されていると共に、ス
テアリングコラムアッシー7の前端はユニバーサルジョ
イント9を介してステアリングシャフト10の上端に連
結され、ダッシュパネル4を貫通して前下方へ延びるス
テアリングシャフト10の下端はユニバーサルジョイン
ト11を介してシャシクロスメンバ12下方のギアボッ
クス13に連結されている。
【0007】また、エンジン1の両側方にはそれぞれ前
後方向に延びるサイドメンバ14が配置されていると同
時に、オペレーションロッド15の前端がエンジン1に
連結され、ダッシュパネル4を貫通して後方へ延びるオ
ペレーションロッド15の後端が、ステアリングシャフ
ト10の中間部に設置された連結機構16に連結されて
おり、さらに、オペレーションロッド15の中間部2個
所にはそれぞれボールジョイント、ユニバーサルジョイ
ント等の自在継手17が設けられている。
【0008】図2及び図3に示されているように、車両
の左右スプリングハウスパネル20前方におけるフエン
ダシールド21にそれぞれ断面ハット状のサポートパネ
ル22が内向きに傾斜して固定され、サポートパネル2
2に形成された各丸孔23を挿通するボルト24によ
り、サポートパネル22の上面にブラケット25の底面
が連結されて、ブラケット25の縦壁26にエンジンマ
ウント3が取り付けられており、サポートパネル22に
は各丸孔23とそれぞれ小間隔をおいて前方に延びる先
細形状の切り溝27が設けられている。
【0009】また、図4(a)、図5及び図6に示され
ているように、連結機構16は、ステアリングシャフト
10の上部30及び下部31の間に配設された本体32
と、本体32の外筒部33内に配置されてステアリング
シャフト上部30及び本体32の中間壁34の間に圧縮
状態で収容されたコイルスプリング35と、本体32の
内筒部36に挿通されて本体外筒部33及びステアリン
グシャフト下部31の間に挟持されたリング37とをそ
なえ、ステアリングシャフト上部30の前端と本体外筒
部33の上端とがそれぞれのセレーション38、38に
より係合していると共に、ステアリングシャフト下部3
1の後端と本体内筒部36とがそれぞれのセレーション
39、39により係合し、かつ、リング37の下部に切
込み40が形成されている一方、リング37の上部にオ
ペレーションロッド15の後端部が連結されている。
【0010】上記装置をそなえた車両が走行中に衝突し
た場合には、まず剛体のエンジン1が減速度を受ける
が、例えば、ある一定の速度以上で車両が固定バリヤに
正面衝突したとき、図7(a)のように丸孔23を挿通
しているボルト24が、エンジン1の大きな慣性により
前進して、図7(b)のように丸孔23を前方へ破断
し、さらに、エンジン1が受ける減速度の大きさに応じ
て順次図7(c)及び図7(d)のようにボルト24が
切り溝27を押し拡げていくので、これらの変形により
エンジン1の運動エネルギが一部吸収されると同時に、
エンジン1が車体に対し相対的に前方へ変位する。
【0011】このため、エンジン1に連結されたオペレ
ーションロッド15が前方へ強く引かれるので、オペレ
ーションロッド15に連結された連結機構16のリング
37も前方へ強く引かれ、リング37が切込み40の部
分で破断されて、リング37の内径が拡げられると、リ
ング37による本体外筒部33及びステアリングシャフ
ト下部31間の歯止めがなくなるので、図4(b)に示
されているように、コイルスプリング35のばね力によ
って本体32が前方へ押し出される結果、セレーション
39によるステアリングシャフト下部31の後端と本体
内筒部36との係合が深められると同時に、セレーショ
ン38によるステアリングシャフト上部30の前端と本
体外筒部33の上端との係合が外れる。
【0012】従って、車両衝突のきわめて初期に車両前
部とステアリングコラムアッシー7との連結が迅速に解
除され、車室5内におけるステアリングホイール6の位
置が変わらないため、車両の衝突に伴って乗員の頭部が
ステアリングホイール6に衝突する位置及び方向が一定
に保たれているので、ステアリングコラムアッシー7等
に内蔵された図示しない衝撃吸収機構が正常に作動する
ことができ、あるいは、ステアリングホイール6に設け
られた図示しないエアバッグにより乗員を確実に保護す
ることができる。
【0013】さらに、車両の衝突が進行して、図8
(a)のように車両の前部が固定バリヤ41のため比較
的小規模に変形してエンジン1の前方変位がバリヤ41
により止められ、その後、車体の慣性により車体がなお
も前進して、図8(b)のように車両前部におけるサイ
ドメンバ14等が比較的大きく変形すると共にエンジン
1が車体に対し相対的に後退するに至るが、ダッシュパ
ネル4等の変形に応じてダッシュパネル4を貫通してい
るステアリングシャフト下部31が変位することがあっ
ても、上記のようにステアリングシャフト上部30及び
ステアリングシャフト下部31の連結が遮断されている
ため、車室5内におけるステアリングホイール6の位置
が変わることはなく、前記のような緩衝装置により確実
に乗員の安全を図ることができる。
【0014】また、図8(b)のようにエンジン1が車
体に対し相対的に後退してダッシュパネル4との距離が
短くなっても、オペレーションロッド15の中間部に自
在継手17が設けられているので、オペレーションロッ
ド15は自在継手17の部分で適宜折れ曲がることによ
り、オペレーションロッド15の後端がダッシュパネル
4から車室5内に突出することは容易に回避され、従っ
て、オペレーションロッド15により乗員が損傷を受け
るおそれも簡単に解消することができるので、乗員の安
全性を確保することができる。
【0015】なお、車両の衝突時にステアリング軸部の
連結を解除する連結機構は、前記のようにステアリング
シャフトの中間部に設置する外、ステアリングコラムア
ッシー内に設置することもでき、また、前記実施例のよ
うに、ばねの作用によりステアリング軸部の上下連結を
解除する代わりに、ステアリング軸部の上下係合部分を
オペレーションロッドにより軸方向に相対変位させて、
それらの係合を直接離脱させる等、種々の構成をとるこ
とができると共に、上記各オペレーションロッドをワイ
ヤ等の部材に適宜置換し、あるいは、それらの途中にリ
ンク、レバー等を介在させてエンジンの前方変位を適宜
拡大し、その変位を連結機構に迅速に伝達するようにし
てもよいことはいうまでもない。
【0016】
【発明の効果】本発明にかかるステアリング装置におい
ては、車両の衝突により車室側の変形が開始される前
に、車体に対するエンジンの相対的な前方変位に応じて
連結機構によるステアリング軸部の上下部連結が迅速に
解除されるので、衝突初期における車室内のステアリン
グ軸部上端の位置が変化せず、従って、ステアリングコ
ラムやステアリングホイール等に設置された緩衝装置は
乗員に対して正常に作動し、その緩衝機能を十分に発揮
させることにより、乗員を確実に保護してその安全を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における各部の概念的配置図。
【図2】上記実施例における一部斜視図。
【図3】上記実施例における一部の縦断面図。
【図4】上記実施例における要部縦断面図。
【図5】上記実施例における要部の分解斜視図。
【図6】図5のVI−VI断面拡大図。
【図7】上記実施例の作用説明図。
【図8】上記実施例の作用説明図。
【符号の説明】
1 エンジン 3 エンジンマウント 4 ステアリングホイール 7 ステアリングコラムアッシー 10 ステアリングシャフト 15 オペレーションロッド 16 連結機構 17 自在継手 22 サポートパネル 24 ボルト 32 本体 35 コイルスプリング 37 リング 38 セレーション 39 セレーション

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内に設置されたステアリング軸部、
    同ステアリング軸部の中間部に設置されて同ステアリン
    グ軸部の上下部を連結する連結機構、上記ステアリング
    軸部の車両前方に配置されたエンジン、同エンジンを車
    体側へ支持し上記エンジンの所定以上の減速度に応じ上
    記エンジンの慣性により塑性変形して上記エンジンを車
    体と相対的に車両前方へ変位させるエンジン支持部、及
    び、一端が上記エンジンに連結され他端が上記連結機構
    に連結されたオペレーション部材を有し、上記ステアリ
    ング軸部上下部の上記連結機構による連結が上記エンジ
    ンの前方変位に伴う上記オペレーション部材の変位によ
    って解除されるように構成されたステアリング装置。
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