JP2864924B2 - プレス型分解補助装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレス金型の修復に際
してプレス金型の分解を安全、かつ、容易にできるよう
にしたプレス型分解補助装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上型と下型とで構成されるプレス金型は
上型と下型との間での高い精度の位置合わせを行うため
に、上型をガイドポストに案内させて上下動させるよう
にしている。そして、前記高い精度の位置合わせを得る
ために、ガイドポストと上型との間の嵌め合いはガタツ
キのない高い精度の嵌め合いになっている。通常のプレ
ス加工時にはラムによって上型は上下動させられるので
問題はないが、金型を分解して金型を修復する際に、ガ
イドポストと上型との間の嵌め合いが高い精度の嵌め合
いになっているので、上型をガイドポストに案内させた
状態を維持してラム以外の治具により持ち上げる時に上
型に少しでも傾きがあると、上型とガイドポストとの間
にいわゆるカジリが生じて上型を円滑に上下動させるこ
とができない。

【０００３】そこで従来においては図５に示すように、
上型１と下型２との間にジャッキ３を複数箇所に介在さ
せ、このジャッキ３によって上型１の傾きを修正しなが
らフック４に掛けられたワイヤロープ５を介して上型１
をクレーン６で吊り上げ、上型１をガイドポスト７に案
内させる状態を維持して上型１を開き修復するようにし
ていた。そして金型を修復した後には同様にジャッキ３
によって上型１の傾きを修正しながらフック４に掛けら
れたワイヤロープ５を介して上型１をクレーン６で吊り
下げ、上型１をガイドポスト７に案内させる状態を維持
して上型１を閉めるようにしていた。

【０００４】また、他の従来例としては実公昭62ー17136
号公報に開示されているように、プレス機のラムにより
上型をガイドポストに案内させて上昇せしめ、上型をガ
イドポストから一旦引き抜き、ガイドポストと上型との
間に位置決治具を介在させてガイドポストの上に上型を
載置した後に上型からラムを分離し、位置決治具を介し
てガイドポストの上に上型を載置した状態でボルスタに
より修復位置まで移動して上型をクレーンで吊り上げる
ことにより型を開いて修復するようにしている。また、
修復後はクレーンで上型を吊り下げてガイドポストと下
型との間に位置決部材を介在させて上型をガイドポスト
の上に載置し、ボルスタを移動することにより上型をラ
ムの位置に定置して上型とラムとを接続し、ラムにより
上型を少し持ち上げた後に位置決治具を取り外し、次に
ラムにより上型をガイドポストに案内させて下げること
によりプレス加工状態に復帰させるようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におい
て、ジャッキを使用するものにあっては複数の作業員が
上型とガイドポストとの間のカジリ状態を見ながらジャ
ッキを操作しなければならないので熟練を要し、かつ、
上型とガイドポストとの間の嵌め合いは高い精度になっ
ているので、ジャッキの操作量により上型が微小量傾い
てもカジリが生じて上型を円滑に移動することができ
ず、そして複数人の作業員が複数のジャッキを操作して
上型の微小量の傾きをも起こさせないようにするには手
間がかかり、金型の修復に多大な工数と時間を要すると
いう問題がある。

【０００６】次に、位置決部材を使用するものにあって
は、ラムにより上型をガイドポストから引き抜いた状態
および修復完了後に上型をクレーンで吊り上げた状態で
手作業により上型とガイドポストとの間に位置決部材を
介在させなければならないので非常に危険であり、ま
た、位置決部材を介在して上型をガイドポストの上に載
置した不安定な状態で移動するので、非常に危険である
という問題がある。

【０００７】本発明は上記問題を解決するためになされ
たものであり、プレス金型の修復に際してプレス金型の
分解を安全、かつ、容易にできるようにしたプレス型分
解補助装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る手段は、ガイドポストに案内させて上型
を上下動させ、下型との間でプレス加工するプレス金型
において、前記上型と下型との間に着脱可能に設けた前
記上型の移動方向に伸縮自在な補助シリンダと、プレス
金型を載置し下方より弾性部材にて支持した載置台と、
この載置台の上下動に連動して移動可能なピストンロッ
ドを有するシリンダ装置と、このシリンダ装置のシリン
ダと前記補助シリンダとを連通させる配管とから成るこ
とを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】本発明はこのように構成したので、次の通りの
作用がある。すなわち、ガイドポストに案内させて上型
を上下動させ、下型との間でプレス加工するプレス金型
の前記上型と下型との間に前記上型の移動方向に伸縮自
在な補助シリンダを着脱可能に設け、プレス金型を載置
する載置台を下方より弾性部材にて支持し、この載置台
の上下動に連動して移動可能なピストンロッドを有する
シリンダ装置を設け、このシリンダ装置のシリンダと前
記補助シリンダとを配管で接続して連通させたので、プ
レス金型を載置台に載せることによりプレス金型の自重
で弾性部材の弾性力に抗して載置台を押し下げることが
可能になり、この載置台の下降により載置台と連動して
移動するシリンダ装置のピストンロッドを押し下げ、シ
リンダ装置内の作動媒体を配管を通して上型と下型との
間に設けた補助シリンダに移動させ、上型に押上力を発
生させながら上型の水平度を維持して支持することが可
能になる。

【００１０】そして、プレス金型の修復完了後にプレス
金型をクレーンで吊り上げることにより、載置台が弾性
部材の弾性力により上昇し、この載置台の上昇に伴い連
動して移動するピストンロッドの移動により補助シリン
ダ内の作動媒体が配管を通してシリンダ内に移動して補
助シリンダが収縮し、上型を自重によってガイドポスト
に沿わせて下降させることが可能になる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。一部縦断面して示した図１において、載
置台８は案内面13により案内されて上下動可能に支持台
９に支持されており、この支持台９と載置台８との間に
は圧縮バネ12が介在されると共に、シリンダ10が支持台
９に固定されそのロッド11が本実施例では載置台８に連
結されている。このロッド11は必ずしも載置台８に連結
する必要はなくロッド11の端部が載置台８に当接した状
態でもよい。

【００１２】上型１と下型２との間に位置してガイドポ
スト７の回りには補助シリンダ14が設けられている。こ
の補助シリンダ14は横断面して示した図３において、半
円弧状の二つのシリンダ 141を有しており、この二つの
シリンダ 141は蝶番 143で連結されている。これによ
り、ガイドポスト７の回りにシリンダ 141を配設できる
ようになっている。二つのシリンダ 141のそれぞれには
作動媒体を流通させるためのノズル 142が設けられてお
り、この二つのノズル 142はＴ形継手 146を介して可撓
性のあるチューブ 145により接続されており、二つのシ
リンダ 141内の圧力を均圧状態に維持するようにしてい
る。

【００１３】また、図３をＡーＡ線で縦断面した図４に
示すように二つのシリンダ 141には円弧状のピストン 1
47が設けられている。そして、図１に示すようにシリン
ダ10と補助シリンダ14は配管15により接続されている。
この配管15の接続は本実施例にあってはシリンダ10と補
助シリンダ14とを一対一に対応させて接続しているが仮
想線 151で示すようにシリンダ10を互いに接続した後に
それぞれの補助シリンダ14に接続するようにしてもよ
い。このように仮想線 151のように接続することによ
り、載置台８が多少傾いた状態で上下動しても補助シリ
ンダ14のすべてには等しい圧力が働くことになる。フッ
ク４は下型２に取りつけられており、このフック４にワ
イヤロープ５を掛けてクレーン６により上型１と下型２
とが一緒に吊り上げまたは吊り下げられるようになって
いる。

【００１４】このように構成した本実施例の作用につい
て次に説明する。図１の状態は図示省略のプレス装置の
ラムと上型１との接続を外してクレーン６により修復場
所に設置されている載置台８の所まで上型１と下型２を
運んできたところである。次に、補助シリンダ14を装着
するのであるが、図１の状態で装着してもよく、また図
示省略のボルスタの上に上型１および下型２がある状態
で装着し、載置台８の所まで運んで来た時点で配管15を
接続するようにしてもよい。いずれにおいても、上型１
と下型２が閉じられた状態で、かつ、ガイドポスト７に
より位置決めされた安定した状態でクレーン６により運
ばれ、補助シリンダ14を装着することができるので、こ
の補助シリンダ14の装着作業には危険性はない。

【００１５】次に上型１と下型２をクレーン６により吊
り下げて載置台８に載置すると載置台８は圧縮バネ12を
介して支持台９に上下動可能に支持されているので、図
２に示すようにクレーン６の吊り下げ量に応じて、上型
１と下型２の自重により圧縮バネ12を縮めながら載置台
８を下降させることが可能であり、かつ、ロッド11は載
置台８に連結されているので、ロッド11をクレーン６の
吊り下げ量に応じて押し下げることが可能になる。

【００１６】上記載置台８の下降は案内面13により垂直
下方に下降するので、複数のロッド11の下降量も同一に
なる。また、ロッド11は載置台８により押されて下降す
るので、ロッド11と載置台８とを連結しなくてもロッド
11を下降させることが可能である。

【００１７】このように、クレーン６の吊り下げ量に応
じて載置台を下降しロッド11を下降すると、シリンダ10
と補助シリンダ14は配管15により連通されているので、
シリンダ10内の作動媒体には上型１、下型２および載置
台８の自重から圧縮バネ12の弾性力を差し引いた重量に
より発生する圧力が与えられ、シリンダ10内の作動媒体
を補助シリンダ14に移動させ、補助シリンダ14のピスト
ン 147を押し出して上型１を支持し、上型１を上昇させ
ることが可能になる。

【００１８】この補助シリンダ14に上型１を支持して上
型１を上昇させるに当たり、各ロッド11が載置台８に連
結され各ロッド11の下降量が一定であるので、複数の補
助シリンダ14内にかかる圧力も一定になり、かつ、補助
シリンダ14はガイドポスト７の回りに配設されているの
で、各補助シリンダ14により上型１を押し上げる力はガ
イドポスト７にそって上型１を押し上げる力として働く
ことになり、上型１をガイドポスト７に案内させた状態
を維持して上型１を押し上げることが可能になる。

【００１９】また、配管15を仮想線 151のように配管し
た場合には、各ロッド11の下降量に多少の差異があって
も各シリンダ10間の作動媒体の圧力を均一化することが
可能であり、したがって各補助シリンダ14に移動する作
動媒体の圧力を均一にすることが可能になる。また、補
助シリンダ14に移動する作動媒体の圧力が各補助シリン
ダ14に対して均一であれば上型１の水平度を保って上昇
させることが可能であるので、補助シリンダ14をガイド
ポスト７の回り以外の位置に設置しても、上型１をガイ
ドポスト７に案内させた状態を維持して上型１を上昇さ
せることが可能になる。

【００２０】このように、上型１と下型２の自重量を利
用してクレーン６の吊り下げ量に応じて載置台８を下降
し、ロッド11を押し下げて作動媒体を補助シリンダ14に
移動させ、ピストン 147を突き出すようにして上型１を
支持して上型１を上昇させるので、そこには一切の手作
業はなく、かつ、上型１と下型２の自重量を利用してい
るので、上型１と下型２を載置台８に載置している限り
においては上型１が下降してくることはなく危険性はな
い。また、ガイドポスト７の先端が上型１に嵌合した状
態で補助シリンダ14により上型１を支持することができ
るので、上型１を安定した状態で支持することが可能に
なる。

【００２１】次に上型１および下型２の修復が完了した
後にクレーン６により上型１および下型２を吊り上げる
と、載置台８は圧縮バネ12により支持されているので、
吊り上げ量に応じて載置台８を上昇させることが可能に
なり、同時にロッド11は載置台８に連結されているので
上昇させられて作動媒体を補助シリンダ14から吸引する
ことが可能になる。すなわち、この場合にはクレーン６
の吊り上げ量に略比例して上型１を下降させることが可
能になる。

【００２２】また、ロッド11が載置台８に連結されてい
ない場合には載置台８が上昇してロッド11の先端が解放
された状態になり、かつ、補助シリンダ14のピストン 1
47に上型１の自重がかかるので、この上型１の自重によ
りピストン 147が押し下げられ、作動媒体を配管15を介
してシリンダ12内に移動させることが可能になる。この
場合における上型１の下降速度は作動媒体の移動速度に
略比例し、クレーン６の吊り上げ速度から独立した状態
で比較的ゆっくりと上型１を下降させることが可能にな
る。

【００２３】この上型１の下降においても上型１を上昇
させる場合と同様に各補助シリンダ14内の作動媒体の圧
力が均一であり、かつ、ガイドポスト７の回りに補助シ
リンダ14を配設しているので、上型１をガイドポスト７
に案内させた状態を維持して上型１を下降させることが
可能になる。また、各補助シリンダ14内の作動媒体の圧
力が均一である場合には上型１の水平度を保って下降さ
せることができるので、この場合でも上型１をガイドポ
スト７に案内させた状態を維持して下降させることが可
能である。

【００２４】

【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、ガイ
ドポストに案内させて上型を上下動させ、下型との間で
プレス加工するプレス金型の前記上型と下型との間に前
記上型の移動方向に伸縮自在な補助シリンダを設け、プ
レス金型を載置する載置台を下方より弾性部材にて支持
し、この載置台の上下動に連動して移動可能なピストン
ロッドを有するシリンダ装置を設け、このシリンダ装置
のシリンダと前記補助シリンダとを配管で接続して連通
させたので、プレス金型を載置台に載せることによりプ
レス金型の自重で弾性部材の弾性力に抗して載置台を押
し下げることができ、この載置台の下降により載置台と
連動して移動するシリンダ装置のピストンロッドを押し
下げ、シリンダ装置内の作動媒体を配管を通して上型と
下型との間に設けた補助シリンダに移動させ、上型に押
上力を発生させながら上型の水平度を維持して支持する
ことができる。これにより、上型を上昇させるときに作
業員の手作業はまったくなく、かつ、安定した状態で上
型を支持しているので危険性がないと共に、プレス金型
を載置台に載置するだけでよいので上型を容易に上昇さ
せ、プレス金型を容易に分解することができる。

【００２５】そして、プレス金型の修復完了後にプレス
金型をクレーンで吊り上げることにより、載置台が弾性
部材の弾性力により上昇し、この載置台の上昇に伴い連
動して移動するピストンロッドの移動により補助シリン
ダ内の作動媒体が配管を通してシリンダ内に移動して補
助シリンダが収縮し、上型を自重によってガイドポスト
に沿わせて下降させることができる。これにより、作業
員の手作業をまったく介在させることなく安定した状態
で上型を下降することができるので危険性はまったくな
く、かつ、プレス金型をクレーンで吊り上げるだけの簡
単な操作でよいので容易にプレス金型をプレス状態に復
帰させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を一部縦断面して示した正面
図である。

【図２】載置台にプレス金型を載置してその自重により
上型を上昇させている状態を一部縦断面して示した正面
図である。

【図３】図１における補助シリンダの横断面図である。

【図４】図３のＡーＡ線における縦断面図である。

【図５】従来例の縦断面図である。

【符合の説明】

１ 上型 ２ 下型 ７ ガイドポスト ８ 載置台 10 シリンダ 11 ロッド 12 圧縮バネ 14 補助シリンダ 15 配管

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガイドポストに案内させて上型を上下動
   させ、下型との間でプレス加工するプレス金型におい
   て、前記上型と下型との間に着脱可能に設けた前記上型
   の移動方向に伸縮自在な補助シリンダと、プレス金型を
   載置し下方より弾性部材にて支持した載置台と、この載
   置台の上下動に連動して移動可能なピストンロッドを有
   するシリンダ装置と、このシリンダ装置のシリンダと前
   記補助シリンダとを連通させる配管とから成ることを特
   徴とするプレス型分解補助装置。