JP2859239B2 - フラッシュ紡糸による網状繊維の連続的な製造方法 - Google Patents

フラッシュ紡糸による網状繊維の連続的な製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性ポリマー
より成り、高度にフィブリル化した網状フィラメント構
造のフラッシュ紡糸繊維を製造する方法に関するもので
あり、さらに詳しくはフラッシュ紡糸繊維を連続して安
定に製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】連続した三次元網状フィラメントを得る
方法は、フラッシュ紡糸技術として知られている。この
紡糸方法は、ポリマー及び溶剤から成る高温高圧の均一
な溶液を作成し、この溶液を低圧領域に放出することに
よって、高度にフィブリル化した三次元網状フィラメン
トを得るものである。 【0003】そして、この紡糸方法において、溶剤は高
温・高圧でポリマーを溶解でき、フラッシュ性を有する
比較的低沸点のものが選択される。またこれら溶剤は常
温・常圧ではポリマーに対する溶解能を有しておらず、
高温・高圧下で始めてポリマーを溶解する。従って、フ
ラッシュ紡糸の原理は、高温・高圧の均一溶液から低圧
領域への移行に伴なう溶液の構造変化及び溶剤のフラッ
シュとポリマーの固化によって網状構造繊維を発現させ
るものである。それ故に、連続して安定に網状繊維を製
造するためには、ポリマーと溶剤から成る均一溶液から
の紡糸が必須である。 【0004】フラッシュ紡糸繊維を得るためのプロセス
として、特公昭42−19520号公報に示される如
く、攪拌装置を有する耐圧容器にてポリマーを加熱・加
圧し溶解して紡糸する方法が回分式方法として公知であ
る。そして、連続して繊維を得る方法として、USP3
227794号に各種の紡糸プロセスが開示されてい
る。即ち溶融ポリマーと溶剤を所定量スクリューミキサ
ーに導入した後に、攪拌機構を有する溶解槽にて溶解し
て紡糸する方法、ポリマー粉末と溶剤をスラリー状にし
て、バッフル付溶解槽に導き、溶解して紡糸する方法、
あるいはスラリーをスラリーポンプと配管とで溶解して
紡糸する方法等が公知である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公知技術を用いてポリマーの均一溶液を作成し、フラ
ッシュ紡糸を行って網状繊維を連続して製造する場合
に、各種の問題点が存在していることが判明している。
公知技術を用いた場合、ポリマーの溶剤への溶解に長時
間要することが指摘される。この理由として、オートク
レーブ型の攪拌槽では、溶解に必要な強力な剪断力が働
かず、単に滞留時間を増すことによって溶解時間を長く
とり、この結果として均一なポリマー溶液を得ている。
従って、大容量の容器を用いることが前提となり、必然
的に滞留時間が増し、且つ大容量であり、摺動部を有す
るため、容器内圧力も200kg/cm2 ・Gを越えること
は極めて難しい。 【0006】またパイプラインを用いて膨潤したポリマ
ーを層流混合により溶解する場合は、溶解に必要な剪断
力は流速差のみであり、極めて長大なパイプラインが必
要となり、これは滞留時間の増大に繋がる。また乱流混
合を行う場合は、ポリマー溶液は30〜100ポイズ位
の高い粘度をもっているため、極めて高い流速が必要と
なり巨大なポンプを必要とし、現実には実施困難であ
る。 【0007】いずれにしても、フラッシュ紡糸に用いら
れる溶剤は常温・常圧ではポリマーを溶解してはなら
ず、高圧・高温にして始めてポリマーを溶解するもので
なければならない。フラッシュ紡糸において高温・高圧
は必須であり、従って従来の公知技術では必然的に滞留
時間は増加し、逆により高圧化には制限を受ける。高温
下にてポリマーが長時間系内に滞留すれば、これは直ち
にポリマーの劣化に繋がり、良好な網状繊維を安定して
得ることが出来ない。 【0008】ポリマーが高分子量となるとこの困難はま
すます増加し、或る分子量を越えると事実上溶解しなく
なる。と云うのは、フラッシュ紡糸から網状繊維を製造
するのに際し、製品の強度・タフネス・各種の耐性を考
慮して高分子量のポリマーを用いることが強く要望され
る。更に、フラッシュ紡糸においては溶液として紡糸を
行うため、通常の溶融紡糸では紡糸が困難な高分子量ポ
リマーを用いることが可能である。むしろフラッシュ紡
糸の有用性は溶融紡糸困難な高分子量ポリマーを使用で
きて始めていかんなく発揮出来る。 【0009】ところが、従来公知の技術では、ポリマー
の溶解は高分子量になる程困難さが増し、フラッシュ紡
糸の有用性を生かした望ましい物性の網状繊維を連続的
に安定して得ることが出来ないという事態に至る。この
ような事態に至る原因は、ポリマーと溶剤との親和力に
あると考えられる。即ち、フラッシュ紡糸はUSP32
27794号に示される如く、高温・高圧の均一溶液を
一旦減圧オリフィスによって減圧した後、紡糸ノズルか
ら吐出させることによる溶液の構造変化と溶剤のフラッ
シュ力、及びポリマー固化を利用した技術であり、ポリ
マーと溶剤の親和力は極めて重要な意味を有している。
このことからフラッシュ紡糸に用いる溶剤は、常温・常
圧ではポリマーを溶解させず、高温・高圧でポリマーと
均一溶液を形成し得るものが選択される。従って、フラ
ッシュ紡糸に用いるポリマー/溶剤は高温・高圧でなけ
れば溶解し合わない系であり、そしてポリマーの重合度
が大きくなる程溶解力が低下することも明らかである。 【0010】連続して望ましい物性及び形態の網状繊維
を得るためには、紡出条件の適性化と共にポリマー/溶
剤より成る均一溶液の供給が必須である。特に高分子量
ポリマーを用いる場合、従来技術とは異なる技術が待望
される。従来技術のもう一つの大きな問題点として、混
合・溶解槽の攪拌軸がある。即ち従来技術によると外部
駆動源によって駆動された攪拌槽によって均一なポリマ
ー溶液を得るか、もしくは長大なパイプラインを用いて
長時間を要して目的とするポリマー溶液を得るかしか方
法がない。後者に関しては、強制混合がない為実用上価
値のある程度に高い分子量を持ったポリマーの実質的に
均一な溶液が得られない。 【0011】従って、前者の攪拌軸による方法の方が実
用性があるが、この方法も使用する装置に摺動部を含ん
でいるので、ある一定以上の高圧にすることが出来ず、
また特殊で高価な摺動部のシールが必要である等の問題
がある。フラッシュ紡糸を行うポリマー/溶剤系は、高
温・高圧で溶液を形成し、しかもポリマーと溶剤間の親
和力を有効に働かすには同一温度においても圧力を高め
れば高める程溶解は速くなり、円滑に均一ポリマー溶液
が得られる。 【0012】これはポリマーの分子量に対しても同じで
あり、高分子量になる程、その溶解には高圧を必要とす
る。ところが従来の方法ではこの摺動部のシールの問題
から、高分子量ポリマーを溶解させる程の高圧を得るこ
とが出来ず、従って高分子量ポリマーの紡糸は事実上困
難であった。この様にポリマー劣化防止の意味からも、
また高分子量ポリマーを用いる意味からも高圧プロセス
に適した紡糸方法が強く要望されている。 【0013】 【課題を解決するための手段】このような問題点に鑑み
て、本発明者らは鋭意検討の結果本発明に到達した。即
ち本発明は、フラッシュ紡糸法によって、熱可塑性ポリ
マーからなる網状繊維を製造する方法において、加熱さ
れたスクリュー押出機を用いて、溶融しつつポリマーを
連続的にポリマー溶解域へ供給し、溶解域の入口を連続
的に供給される溶融ポリマーで封鎖しつつ、ポリマー溶
解域に溶剤を連続して添加し、該スクリュー押出機内の
スクリューに連続する機械的混合領域と、静的混合素子
からなる静的混合領域とを用いて、加圧下で両者を混合
・溶解して、5〜20wt%のポリマー濃度を有するポリ
マー溶液を製造し、溶解域の出口に設けられたノズルか
らポリマー溶液を低圧域に連続的に吐出することを特徴
とするフラッシュ紡糸法による網状繊維の連続的な製造
方法である。 【0014】好ましくは、全ての溶剤が溶融ポリマーで
封鎖された直後にポリマー溶解域に添加されるようにし
た網状繊維の連続的な製造方法である。更に好ましく
は、ポリマー溶解域への溶剤の添加が多段階であり、溶
剤の添加の都度、ポリマーと混合・溶解し、順次ポリマ
ー濃度を低下させるようにした網状繊維の連続的な製造
方法である。 【0015】その上、更に好ましくは、ポリマー溶解域
への溶剤の添加が多段階であり、少なくとも溶剤の第1
段階の添加でスクリュー押出機内のスクリューに連続し
た機械的混合領域にて混合・溶解が行われ、第2段階以
降の少なくとも1つの溶剤添加で静的混合素子からなる
静的混合領域にて混合・溶解が行われることを特徴とす
る網状繊維の連続的な製造方法である。 【0016】本発明の最も大いなる特徴はスクリュー押
出機と静的混合素子を使用することにより、フラッシュ
紡糸に有用な高温・高圧の均一なポリマー溶液を容易に
且つ安定して得られるようにしたことである。この結果
として、高圧時の溶液の漏洩の問題を解決し、容易に高
圧に出来、スクリュー押出機で溶融供給出来るポリマー
なら、たとえ高分子量であろうとも容易に溶解し得るよ
うになる。 【0017】即ち押出機を用いて、溶融ポリマーでポリ
マー溶解域の入口を封鎖しつつ、押出機のスクリューに
連続する機械的混合の領域での強制攪拌下での大いなる
剪断力でポリマーと溶剤を、混合・溶解し、かつ静的混
合素子からなる静的混合の領域を加えることによって、
速やかに、かつ高圧でも摺動部からの液の洩れがない安
定なフラッシュ紡糸用の溶液を得るようにした。このた
め、極めて短時間にて溶解が起こり、ポリマーの劣化を
著しく防止すると云う効果も発揮できる。 【0018】フラッシュ紡糸に於いて高分子量ポリマ
ー、特に劣化し易い高分子量ポリマーが、本発明によっ
て始めて使用可能となる。本発明に用いられている用語
について簡単に説明する。「ポリマー溶解域」とは、ポ
リマーが溶融している状態にあり、且つ溶剤が無い状態
から所定量の溶剤を含む状態にあり、溶剤とポリマーが
溶解し始める状態から溶剤とポリマーが溶解し終った状
態まで含んでおり、そして混合し合っている状態にある
区域を意味する。 【0019】「封鎖」とは、間隙に溶融したポリマーが
充満し溶剤が全く含まれておらず、且つ溶剤が全く侵入
出来ない状態を意味する。「混合・溶解」とは、ポリマ
ーと溶剤とが混合しており、且つ両者が溶解しつつある
状態を示す。「機械的混合」とは、液体を強制的に攪拌
する要素があり、そしてその要素が外部からの駆動源に
よって駆動されて生ずる混合を意味する。 【0020】「静的混合」とは、静的混合素子を用いる
混合であり、混合素子が外部からの駆動源を有さず、摺
動部を有さない混合を意味する。「ポリマー溶液」と
は、純成分としてのポリマー及び溶剤を含まず熱力学的
に均一な一相の液体であることを意味する。本発明の内
容について更に説明を行う。本発明において、ポリマー
としては熱可塑性ポリマーが使用され、その連続的供給
手段としては、繊維・フィルム・その他各種の押出成形
品の製造において通常使用されるスクリュー押出機を用
いることが出来る。 【0021】即ちスクリュー押出機は、駆動モーター・
減速機・ポリマー供給用ホッパー及びポリマーを加熱溶
融させるバレル部からなる。このバレルにはヒーターが
装着され加熱出来る構造となっている。バレル内にはス
クリューが内設され、このスクリューはスラストベアリ
ング・減速機を通して駆動モーターに連結している。こ
のスクリューは供給部、圧縮部、計量部の主たる三区域
に分割することが出来、ポリマーは供給部で予熱されな
がら出口の方へ推進する。圧縮部にて圧縮されながら溶
融し計量部に到達する。本発明にて用いる押出機には、
ポリマーが完全に溶融する計量部に、溶剤注入口が設け
られ、こゝに逆止弁が装置されている。この弁を介して
溶剤供給の為の高圧計量ポンプに連結している。スクリ
ュー供給部から来る溶融ポリマーにて充された計量部に
溶剤が圧入され、この計量部のスクリューによりポリマ
ーと溶剤とは混合・溶解される。 【0022】溶剤注入部のスクリューは、溶剤の添加を
容易にするためスクリューの溝深さを前後の溝深さより
も若干深くした方が好適である。こうすることによりス
クリューの供給例よりもバレル内部の圧力が低くなり、
スクリューの供給部への溶剤の逆流・噴出が防止出来
る。この混合・溶剤部の圧力は押出機の出口側のノズル
寸法を変更することにより自由に変えることが出来る。
これによって、ポリマーの種類及び分子量に好適な圧力
を得ることが出来る。又この部分でのポリマーの滞留時
間もスクリューの長さを制御することにより自由に変え
ることが出来る。即ちこの押出機の混合・溶解領域での
状態を溶解させるポリマー/溶剤系に最適なものにする
為に、圧力・温度・混合剪断力・滞留時間を自由に設定
出来、結果として均一なポリマー溶液を容易に、且つ安
定して得ることが出来る。 【0023】フラッシュ紡糸系の溶剤/ポリマーを高圧
にしてはじめて溶解する。従ってポリマー溶液の調整に
は必らず高圧容器を必要とする。特に350℃までに達
する温度条件下の高圧容器を必要とする。更に攪拌付き
高圧容器を必要とする。この時、可動軸の軸封と云う困
難な課題に直面する。フラッシュ紡糸系にて高分子量、
例えば高密度ポリエチレンでは、メルトインデックス
(MI)にて4以下(重量平均分子量10万以上)、ポ
リプロピレンではメルトフローレート(MFR)にて2
0以下(重量平均分子量15万以上)を用いようとする
と、必然的に高圧にする必要がある。高圧としなけれ
ば、用いる分子量を制限されるばかりでなく、比較的低
い分子量でも溶解に長時間を要しポリマーの劣化を生ず
る。 【0024】本発明者等は溶融ポリマーによる液封と云
う手法を開発し、この問題を解決した。より具体的には
押出機バレルとスクリューとからなる空間にポリマーを
充満させて溶剤ガスの噴出を防止する。この場合大事な
ことは、この空間に溶融ポリマーが充満しながら、スク
リュー前方に向って流れていることであり、従って圧力
勾配が生じていることである。 【0025】この問の事情を更に詳しく説明すると、次
の様になる。米国Zeher Tadmor及びIm Rich Klein 著の
"Engineering Principles of Plasticating Extruder"
(Van Narstrand Reinhold Company発行) のp79〜p
107及びp359〜p400にも詳しく記載されてい
るように、操作条件により必ず押出機内に圧力の極大部
が生ずる。より詳しくは、スクリューを供給部、圧縮
部、計量化部に区分した場合、ポリマーの溶融時点以降
の計量化部の始まり地点の前後に圧力の極大部が生ず
る。この極大部以降徐々に圧力は下がる。特に、計量化
部のスクリュー溝深さを、圧縮部の最小溝深さに相当す
る圧縮終了点よりも深くすると大抵圧力が下がり、必ら
ずと云ってよい程、圧縮部終了点近傍に圧力最大部が生
ずる。この圧力を利用して溶剤のシールを行う。 【0026】従って、用いるスクリューの寸法形態に工
夫が必要である。即ち溶融を完全にするために、供給部
の長さはある程度長くする。大抵の場合、押出機の口径
とスクリューネジのピッチが一致しているので、この例
で以下にスクリューの寸法の好しい具体例を述べる。供
給部の長さは7ピッチ以上、好しくは9ピッチ以上であ
る。 【0027】またスクリューの圧縮比は、圧力形成に重
要であり、ポリマーの供給形態がペレットの場合は、圧
縮比が3.0以上、粉末の場合は、4.0以上がよい。
圧縮部の長さは通常5ピッチあれば充分であるが、7ピ
ッチ以上ある方が好しい。また圧縮部の終了点について
は、計量化部の開始点近傍に、いわゆる混合区域(ミキ
シングゾーン)を設けてもよい。この部分は短かく、且
つ高剪断を与えた方がよい。 【0028】計量化部の形態は、この部分に溶剤供給口
を設けるので長い方がよい。即ち7ピッチ以上、好しく
は8ピッチ以上である。溶剤供給口の設置は計量化部が
始まってから3ないし4ピッチ目に設ける方がよい。勿
論これ以上の長さがあってもよい。更に溶剤の投入を容
易にするために、溶剤投入口のある部分のスクリュー口
径を小さくする。即ち溝深さを深くした方がよい。この
部分の長さはスクリュー径の減少もしくは増大も含めて
少なくも2ピッチ以上が望ましい。 【0029】更に計量化部の溝深さとしては、押出機口
径が35mmφなら1mmから3mm程度、65mmφなら2mm
から4mm程度、90mmφなら2.5mmから4mm程度、1
20mmφなら3mmから5mm程度、150mmφなら3mmか
ら6mm程度等が好しい。更にスクリューの外径と押出機
バレル径の間に生ずる間隙に関しては、通常0.1〜
0.8mmが採用され、口径が小さい程、間隙を狭くした
方がよい。 【0030】また操作条件は上記寸法を持つスクリュー
にて、温度、スクリュー回転数、吐出量によって定ま
る。即ち、押出操作を開始し、所定温度にて試行錯誤法
によって溶剤がホッパー口から噴出しないスクリュー回
転数、吐出量の条件を求める。吐出温度の例として、ポ
リエチレンなら200℃から280℃、ポリプロピレン
なら230〜300℃が選択される。この時、押出機内
の圧力最大点の圧力は少くも100kg/cm2 ・Gが好し
い。これ以下でも運転出来ないこともないが、吐出量の
変動等により圧力が変動し、溶剤が噴出する場合があ
る。 【0031】この方法はフラッシュ紡糸からの網状繊維
を得るためのものであり、この工程を経た後、(1)直
ちに紡出装置に供給する、(2)次の混合装置に導入し
た後、紡出装置に供給する、(3)新たな溶剤と共に次
の混合装置で混合して、紡出装置に供給する、等の工程
が選択される。 【0032】(1)の工程は、混合に要する滞留時間を
考慮して本発明の混合部のホールドアップ体積を大きく
する必要があるが、最も簡単なプロセスとなり適するも
のであるが、(2)または(3)の工程がより好適であ
る。本発明において、ポリマーと溶剤の高温・高圧溶液
は紡出装置でフラッシュ吐出され、網状繊維が得られ
る。このフラッシュ吐出方法は、従来公知の技術を用い
てよく減圧オリフィス、減圧室、及び紡糸ノズルより成
る紡口アセンブリーの使用によるフラッシュ吐出が好ま
しい。そして、これらの装置の形状や構造は任意に選択
できる。 【0033】本発明に用いるポリマー/溶剤系は常温・
常圧では溶解せず、高温・高圧にてはじめて溶解する。
従って、一般的特徴としては相互に溶解しにくい系に属
し、たとえ高温・高圧にしても簡単には溶けない。この
ため、押出機のスクリューに連続する機械的混合の領域
を設けることが好しい。即ちポリマーと溶剤の接触面積
を拡大することにより、溶解面積を広くして、速やかに
溶解させる。このための一つの方法は、押出機と同一軸
上に特別な機械的混合部を設けることである。「特別
な」と云う用語は、押出機スクリューの供給部、圧縮部
及び計量部のネジ構造とは異なった、混合・攪拌効果の
向上を狙った構造体を意味する。例えば、ダルメージと
称される構造体などがこれに当る。 【0034】本発明では、押出機の駆動系は一つで、押
出機のスクリューは、溶融供給部と溶剤との特別な機械
的混合部とを有しており、その中間部分のバレルに溶剤
注入部を有している。この押出機は通常の溶融成形に用
いられている供給、圧縮、計量各部よりなる通常のスク
リューの先端に、混合機能を有する形状に構成された構
造体を継ぎ足し、又は溶剤注入口のついた特別な機械的
混合部を有するバレルを継ぎ足してもよいし、本発明に
使用するために独自に設計されたものであってもよい。 【0035】この好しい発明においては、押出機スクリ
ューの回転によって、溶融ポリマーが供給され、別途定
量ポンプ等で供給される溶剤とが特別な構造体により機
械的に混合される操作が引続いて進行する。この押出機
と構造体とは駆動系が一つであり、その摺動部は通常の
押出機と同一構造でよく、低粘度である溶剤は、溶融ポ
リマーで遮ぎられた形でこの摺動部には到達しない。 【0036】溶融ポリマーと溶剤との混合に用いる混合
機能を有する構造体のタイプは、各種の構造や形状のも
のがあり、これらは本発明に用いることができる。即ち
ダルメージ構造のもの、切欠きのある多条ネジ構造のも
の、せき止め構造のもの、多列ビン構造のもの等であ
り、またこれらを組合わせたものでもよい、更にバレル
側にせき止め、溝、ピンを設けて前記構造体と組合わせ
てもよい。更には、回転体とバレルを多角形にしニーダ
ー効果を狙ったものでもよい。これらは、用いるポリマ
ーの種類、溶融粘度や溶剤の種類・混合割合等によって
選択される。 【0037】本発明では、ポリマーと溶剤の混合・溶解
において、上記の機械的混合領域に加えて、静的混合領
域が用いられる。即ち静的混合領域は静的混合素子から
なっており、混合機能を有する配管様の形状で、摺動部
を有していないものである。この静的混合素子のタイプ
は特に制限はなく、従来公知のものでも、またはこれら
の改良型でもよい。公知のタイプの例としては、ケニッ
クス社のスタティックミキサー、スルザー社のスルザー
ミキサー、東レ社のハイミキサー等がある。 【0038】従って、機械的混合領域での強制攪拌下で
の大いなる剪断力による混合・溶解に加えての、静的混
合領域の混合・溶解が可能となると共に、機械的混合領
域から紡出装置に到るまでのポリマー溶解域中の輸送や
分配で生じる温度、密度(濃度)等の斑を排除する効果
も発揮する。そして、この効果は、後に示す実施例と参
考例によって示される。 【0039】フラッシュ紡糸の溶液の調製において、ポ
リマーと溶剤の混合・溶解の均一さの程度は機械的混合
領域と静的混合領域を合わせて考慮してよく、それぞれ
を設計してよいことは当然である。本発明により、高分
子量ポリマーを高圧下で液の漏洩がないプロセスで、容
易に、短時間に且つ劣化させることなく溶剤に溶解させ
ることが出来、より好ましい網状繊維が安定して連続的
に得られる。 【0040】好ましい発明として、全ての溶剤が溶融ポ
リマーで封鎖された直後にポリマー溶解域に添加され、
機械的混合領域と静的混合領域で混合・溶解する方法が
ある。更に好ましい発明として、ポリマー溶解域への溶
剤の添加が多段階であり、溶剤の添加の都度、ポリマー
と混合・溶解し、順次ポリマー濃度を低下させるように
した方法がある。 【0041】そして、最も好適な発明として、ポリマー
溶解域への溶剤の添加が多段階であり、溶剤の第1段階
の添加で機械的混合領域にて混合・溶解が行われ、第2
段階以降の少なくとも1つの溶剤添加で静的混合領域に
て混合・溶解が行われる方法がある。以下に、これらの
溶剤を多段階に添加する発明について説明する。 【0042】先述した従来公知の技術においては、所定
濃度の溶液とする為に、必要量のポリマーと溶剤を一挙
に合わせて混合・溶解している。ところがこの方法で
は、混合・溶解なかんずく溶解にかなりの長時間を要
し、なかなか均一なポリマー溶液とならない。本発明者
らは、この問題点に就いて種々考慮した所、フラッシュ
紡糸に用いるポリマー/溶剤系はポリマー濃度が高い程
溶解し易いことを発見し、更に高圧にすれば益々溶解し
易いことを見い出した。この結果、本発明の押出機溶解
法の更に好しい方法を発明するに至った。 【0043】即ち例として高密度ポリエチレン/フロン
−11(トリクロロフルオロメタン)系を用いて説明す
れば、図1のグラフに示す相図ごとく、ポリマー濃度が
12wt%より15wt%の方がより溶解し易いことが分
る。更にポリマー濃度を増加して行けばより溶解し易い
ことが見出された。このグラフから高分子溶液論に云う
LCST型の相図をもつことが示され、本発明者らの研
究の結果と、挙動が一致する(高分子学会編、高分子実
験学、第11巻“高分子溶液”p189−204参照、
共立出版発行)。 【0044】従って、溶融ポリマーに多段階にて順次溶
剤を添加して、多段階に溶解させて順次ポリマー濃度を
下げてゆけば、本発明の効果は益々発揮される。本発明
の多段階でポンプ等を用いて溶剤を添加する方法では、
それぞれの溶剤添加後、ポリマーと溶剤の混合操作を加
えることが好ましい。本発明でいう溶剤の多段階添加と
は2段階以上に分割された添加を意味し、最初にポリマ
ーと溶剤とが合流したところが1段目であり、2段以上
であれば制限はされない。 【0045】この第2段階目以降の溶剤添加のための手
段としては、特に制限されるものではないが、静的混合
素子を用いることが好ましい。即ち充分な混合能力を有
し、摺動部を持たない装置としてこれらが推奨され、前
述の静的混合領域を形成する静的混合素子が用いられ
る。本発明においては、ポリマーは混合の初期に予め一
部の溶剤と混合されており、その粘性が小さくなってお
り、更に加えられる溶剤との親和力も大きくなっている
ので、静的混合素子における圧損は小さく、均一溶液が
容易に得られる。従って、静的混合素子の形状や段数に
対する自由度は大きく、適宜に選択できる。 【0046】本発明に用いられるポリマーは熱可塑性の
ものに限らず、繊維形成性能のあるポリマーであればよ
い。例えば、高密度ポリエチレン、アイソタクティクポ
リプロピレン等のポリオレフィン、或いはそれらの共重
合体や混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル、或いは共重合成
分を50モル%以下含有する共重合ポリエステル、そし
てナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、或いはそ
の共重合体や混合物が使用される。更に、ポリアクリロ
ニトリルおよびそれらの共重合体であってもよい。そし
て、これらは各種の目的で添加される安定剤、滑剤、結
晶核剤、発泡核剤や顔料等の添加物を通常使用される範
囲内で含んでいてもよい。 【0047】また本発明では、用いるポリマーに応じ
て、任意の溶剤が採用される。即ち、フラッシュ紡糸か
ら網状繊維を得るための公知のポリマー/溶剤の組み合
わせが可能であり、溶剤としては、塩化メチレン、トリ
クロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン
等のハロゲン化炭化水素、エタノール、メタノール、ヘ
キサフルオロイソプロパノール等のアルコール更には水
等が用いられる。そしてこれらは混合物であってもよ
い。 【0048】本発明の目的はフラッシュ紡糸からの網状
繊維を得ることにあり、本発明におけるポリマーと溶剤
の量比は、この目的の範囲内で任意に選択することがで
きる。この観点から、網状繊維を得るための紡出溶液の
ポリマー濃度は好ましくは5〜20wt%である。従っ
て、本発明に示される溶剤を多段階で添加する方法で
は、連続して供給されるポリマーに対して、最終的な紡
出溶液のポリマー濃度となるために必要な溶剤量を分割
して注入する。実質的に多段階で添加するため、多段で
全溶剤量のうち1〜99%の範囲の溶剤量が添加されて
よい。第一段目で1〜90%の溶剤が添加されることが
好ましく、5〜80%がさらに好ましい。そして、必要
な残りの溶剤が後段で添加されるが、これらを更に分割
して添加することも任意であり、分割法は任意に選択さ
れてよい。 【0049】本発明において、ポリマーと溶剤の高温・
高圧溶液はフラッシュ吐出され、網状繊維が得られる。
このフラッシュ吐出は従来公知の技術を用いてよく、減
圧オリフィス、減圧室、及び紡糸ノズルより成る紡口ア
センブリーの使用によるフラッシュ吐出が好ましい。そ
して、これらの装置の形状や構造は任意に選択できる。 【0050】次に、具体例を挙げて詳しく説明する。例
えば、高密度ポリエチレンとトリクロロフルオロメタン
との系のフラッシュ紡糸について云えば、用いるポリマ
ーの分子量は、その尺度であるメルトインデックス
(M.I.)にて表現すると、10(重量平均分子量、
約7万)以下好しくは1(重量平均分子量、約15万)
以下、更に好しくは0.8(重量平均分子量、約16
万)以下にて、0.05(重量平均分子量、約40万)
まで用いることが出来る。 【0051】特に好しい範囲としてメルトインデックス
1.0から0.1が推奨できる。特に好しい範囲として
メルトインデックスにて0.8から0.3がよい。この
ポリマーは押出機にて200℃から300℃の範囲で溶
融される。メルトインデックスは小さくなるに従って押
出機の加熱温度は高く設定する必要がある。用いるスク
リュー形状は通常用いられるスクリューネジピッチとス
クリュー径とが一致した等ピッチ構造のものでよいが、
高分子量(MIが小さい)のポリマーでは、供給部の長
さを大きくする必要がある。また更に溶融を容易に、且
つ速やかに行うために圧縮部の終りと計量化部の始まり
の所に特別に剪断を加え、溶融を完了させるスクリュー
ミキシングゾーンがあってもよい。 【0052】完全に溶融が終るとポリマー溶解域に入
る。ポリマー溶解域には溶剤注入口があり、こゝから溶
剤が注入される。溶剤の注入圧力はポリマー溶解域の圧
力に応じて定まる。このポリマー溶解域の圧力は均一ポ
リマー溶液の作成に重要である。従って、ポリマーの分
子量に応じて定まる。この分子量に対応してポリマー溶
解域の圧力は定まり、これに対応して溶剤注入圧力が定
まる。従って、最高耐圧を高くし(例えば500kg/cm
2 ・G程度)、圧力に無関係に一定容積を送り出すポン
プを用いるとよい。この例としてプランジャーポンプが
ある。 【0053】また注入する溶剤は加熱してもよいし、加
熱しなくてもよいが、少し加熱した方が混合・溶解を安
定して行えるので好ましい。例えば、溶剤の種類にもよ
るが、トリクロロフルオロカーボンなら50℃から20
0℃の温度範囲である。溶剤の注入口にはポリマーの逆
流を防止する逆止弁を取りつけるとよい。この逆止弁は
通常用いられる構造のものでよいが、ポリマーが詰った
時に掃除し易い構造のものが好しい。更にこの弁を加熱
するとよい。 【0054】次にポリマー溶解域の圧力であるが、この
領域は溶融したポリマーで完全に充満された地点、即ち
溶剤入口の少し前、スクリューのネジのピッチ数で云え
ば2〜3ピッチ前から始まり、減圧室オリフィスに至る
までの領域である。この圧力はポリマーが高密度ポリエ
チレンの場合には次のようになる。即ち、メルトインデ
ックス(MI)5.0のポリマーであるなら150kg/
cm2 ・Gから350kg/cm2 ・G程度、1.2のポリマ
ーなら160〜360kg/cm2 ・G程度、0.8のポリ
マーなら170〜400kg/cm2 ・G、0.3であれば
200〜450kg/cm2 ・G、0.3を越えて0.03
位までならば250〜500kg/cm2 ・Gの加圧によっ
て混合・溶解は充分に行われる。 【0055】一般に高密度ポリエチレンに限らずポリマ
ーの分子量が高くなれば、ポリマー溶解域の圧力を高く
する必要がある。従って、スクリュー押出機をはじめ、
特殊な機械的混合部、静的混合部等各装置の耐圧は充分
高くしておく必要がある。一般に耐圧強度は200〜7
50kg/cm2 ・Gあることが好しい。従って、各フラン
ジ部及び圧力・温度等の検出端のシールには充分に留意
する必要がある。フランジ部のシールとしては金属中空
Oリング形が使い易い。又検出端のシールは金属接触形
が便利である。 【0056】またスクリュー軸方向のシールは溶融した
ポリマーにて流体シールが行われる。従って、少くとも
スクリューのネジのピッチ数にて、1ピッチ前の位置に
おける圧力は溶剤注入部の圧力より高くなければならな
い。このために、溶剤注入部の空間体積は、押出機ホッ
パー側の部分の空間体積より大きくするとよい。即ち溝
深さで云えば深くすることである。この処置により溶剤
注入口の直前はポリマー溶解域の圧力よりも高くなる。
この圧力勾配によって溶剤は完全にシールされ、ホッパ
ー側に逆流、もしくは噴出することがない。 【0057】溶剤注入部にてポリマーと溶剤は合流し、
引続いて特殊な機械混合部に流入する。この部分は、好
しい形態として、スクリュー軸と同一軸を形成してい
る。従って、回転数はスクリュー回転数と同一となる。
燃し、この機械混合部は大抵の場合ポンプ能力はなく、
混合攪拌機能が主となる。従って、ポンプ能力はスクリ
ュー押出機及び溶剤ポンプに負担される。スクリュー押
出機のポンプ能力はスクリューの計量化部にある。従っ
て、この部分の長さはポリマー溶解域の圧力が高くなる
に従って、長く取る必要がある。 【0058】機械的混合部の温度は、スクリュー押出機
の温度よりも低く設定してよい。特にフラッシュ紡糸す
るポリマー/溶剤系は前述した様に高分子溶液論で云う
LCST型溶液なので、低温・高圧型の溶解挙動を示す
ので、必要以上にこの部分の温度を高める必要はない。
ポリマー劣化防止の意味からも適正な温度が好しい。高
密度ポリエチレンの例では、170〜220℃であり、
より好しくは180〜200℃である。 【0059】この特殊機械混合部の長さ、形態は前述し
た様に種々あるが、混合能力の点からは長くした方がよ
い。また形態はタルメージ型、もしくはニーダー型、バ
リヤー型がよいが、この形態を採用し、特にその長さを
長くすると負荷が大きくなり、機械的発熱が大きくなる
傾向がある。この発熱を抑止するために、ピン型混合構
造に、その一部を変えてもよい。 【0060】一般に、吐出量が大きくなる程、そしてポ
リマーの分子量が高くなる程、この部分の長さは大きく
することが好ましい。また多段に溶剤を添加する場合
は、この特殊機械混合部への溶剤添加が第1段目とな
る。この場合、溶剤添加量の配分を考慮する必要があ
る。一般に、ポリマーの分子量が大きくなる程、第1段
目の溶剤添加量を増加した方がよい。特に大きな障害が
生じなければ、各添加個所で使用される溶剤ポンプ形式
を同一とするために、等分配方式の溶剤添加がよい。 【0061】高分子ポリエチレン/フロン−11の系で
は、第1段目の添加量を全添加量の10〜70%にする
とよい。特殊な機械的混合部の次にギヤ−ポンプを設け
てもよい。このギヤ−ポンプの形態については、通常押
出成形に用いられているものでよい。特に注意を要する
のはギヤ−ポンプの軸シールである。この部分での混合
ポリマー溶液の粘度は30〜500ポイズ程度であっ
て、一般の流体に比較して粘度は高い。従って、通常の
グランドシールでも使用可能である。 【0062】更に好適なシール方法としては、初期に溶
液を少し漏洩させるとよい。なぜならば、漏洩により軸
の間隙にポリマーが析出・充填され、このポリマーが潤
滑剤の働きをするからである。更にギヤ−ポンプの設置
により、以降の領域の圧力を、更に高めることが可能と
なり、溶解の程度を自由に制御出来る。特に特殊な機械
的混合部の圧力をギヤ−ポンプの回転数により、自在に
制御出来る。従って、この部分の圧力を高めて、より高
圧での溶解を実施でき、溶解を速めることが出来る。こ
れらの圧力の設定は、ポリマー・溶剤の種類、量に依っ
て変化するので試行錯誤法にて最適値を設定すればよ
い。 【0063】引続いて二段目の静的混合部に至る。この
二段目の静的混合部の前に溶剤注入口を設けても設けな
くてもよいが、注入口を設けた方がより好ましい。この
溶剤注入口の構造については、前段からの混合ポリマー
溶液と新たに添加された溶剤とが配管の全断面に互って
均一に分布するように設計することが肝要である。 【0064】なぜならば、静的混合体は層流混合となる
ので、混合する流体の粘度比が著しく異なる場合、溶剤
を集中添加すると混合が不充分となり、溶解が不完全と
なり、好ましくない結果を与える。このため全断面に均
一に分布するようにする。例えば、多孔板を用いて前段
からの混合ポリマー溶液をあたかも“そう麺”の如くに
溶剤中に吐出させるか、または多数の溶剤噴出口を配管
断面内に設ける等の工夫をすることが好ましい。 【0065】静的混合素子は少くとも40段は必要であ
り、このため静的混合素子1個当りの圧損は小さくて
も、全体としてはかなりの圧損となる。従って、各単位
毎にまとめて支持し、全段数を集積し出口側にて一括し
て支持する形式を避ける。このような対策を取らないと
最終段の所で座屈が生ずる場合がある。この静的混合素
子も含めて配管系の温度は、前段より低めてもよい。こ
の部分においてポリマー溶液の温度が定まるので、特に
障害が発生しない場合は低めた方が好しい。高密度ポリ
エチレンの例では160〜200℃、好しくは170〜
180℃である。 【0066】更に留意すべきは、最終混合部を出た所の
ポリマー溶液の圧力である。この部分の圧力は直接減圧
室の圧力に影響を及ぼし、直ちに紡糸状態を左右する。
この最終段混合部を出た所での圧力が著しく変動してい
るのは、まだポリマーが完全に溶剤に溶解していないこ
とを示す。従って、もし圧力変動巾が大きい場合は、更
に混合段数を増すか、溶剤添加段数を増す必要がある。 【0067】一般に、混合最終段直後、減圧室直後の圧
力変動巾は5kg/cm2 ・G以下が好ましく、更に好しく
は3kg/cm2 ・G以下である。この混合最終段、液圧室
直前にフィルターを設けてもよい。このフィルターの形
式には多種あるが、濾過面積が大きく圧損の少ないもの
がよい。一般には、プリーツ型もしくはディスク型の面
濾過方式のものを用いるとよい。 【0068】更に、混合領域も含めて配管系は可能な限
り滞留部が生じない構造とする。滞留を生ずる死角があ
ると劣化ポリマーが生じ、この劣化物が剥落してオリフ
ィスの孔に詰まる。これは非常に好しくない結果を生じ
る。更に、押出機系も含めてフランジ部、検出端部に狭
い間隙が生じないようにする。この部分にポリマー溶液
が入ると応力腐食を発生し、クラックが生じ、そこから
ポリマー溶液が噴出する場合がある。この腐食を防止す
るためには、耐食性の高い材質を用ればよい。 【0069】引続いてフラッシュ紡糸部に至る。この部
分は減圧室オリフィス・減圧室及び紡口オリフィスから
なる。この部の形状・寸法等については従来公知の技術
に同じである。但し、オリフィス寸法については、ポリ
マー溶解域の圧力、減圧室の圧力を考慮して決定する。
更に、最終的に紡糸状態を決定するのは、減圧室圧力及
び温度である。この部分の圧力及び温度に関して云え
ば、高密度ポリエチレンの場合、40kg/cm2 ・G〜1
50kg/cm2 ・G及び150〜190℃である。この温
度・圧力の最適値は運転条件によって変化し、特にポリ
マー分子量の影響を強く受ける。基本的には、なんらか
の意味で、相分離の欠点が生ずることであり、従って、
運転条件と相分離状態を考慮して減圧室の条件を決定す
る。このためにポリマー/溶剤系の相図を測定すること
は必須の要件である。 【0070】今までの説明は、主として高密度ポリエチ
レンを例として説明したが、ポリプロピレンについても
同じことが云える。即ち、ポリプロピレンについては、
前者に比してポリマーの融点が異なる。更にポリマー溶
解域の圧力が異なる。更にポリマーがより劣化し易い。
これらの点をポリプロピレンに適したものに設定すれ
ば、高密度ポリエチレンと同じ様にフラッシュ紡糸可能
である。 【0071】ポリプロピレンにおいて用いられる分子量
は、JIS−K7210に準拠して温度230℃、荷重
2,160gにて測定したメルトフローレート(MF
R)にて表現すれば、20(重量平均分子量、約15
万)から0.3(重量平均分子量、約50万)である。
より好しくは、メルトフローレートにて5(重量平均分
子量、約24万)から0.5(重量平均分子量、約45
万)である。 【0072】ポリプロピレン/トリクロロフルオロメタ
ン(フロンF−11)を例に云えば、ポリマー濃度は5
〜20重量%より好しくは8〜15重量%である。また
加熱・溶融温度は押出機部で250〜300℃、特殊機
械混合部にて190〜230℃、静的混合部にて180
〜220℃、減圧室にて190〜220℃であり、ポリ
マー溶解域の圧力は150〜300kg/cm2 ・G、減圧
室の圧力は50〜150kg/cm2 ・Gである。 【0073】更に、一般の可塑性ポリマーについても融
点等そのポリマー固有の特性を考慮しさえすれば、前述
の方法にて同様にフラッシュ紡糸出来る。また更に、各
ポリマー/溶剤系に添加剤が加わった場合、圧力・温度
は変化する。これらは相図を測定することにより、その
特性が分るので、それを考慮すれば、前述の方法にて同
様にフラッシュ紡糸出来る。 【0074】以下に添付図面を参照して、本発明の実施
態様の例について説明する。図2は本発明の参考となる
フローチャートを示し、図3はこれあるいは本発明に使
用されるスクリュー押出機の内部を例示したものであ
る。即ち図2においては押出機11、バレル10及び溶
剤ポンプ13、紡糸装置14が設けられている。押出機
11にてポリマーは溶融され、バレル10内の溶融ポリ
マーにて封鎖されたポリマー溶解域に送られる。別置の
溶剤ポンプ13より溶剤がポリマーの逆止弁を通して前
記ポリマー溶解域に送り込まれる。バレル内の回転する
スクリューにより溶剤とポリマーは混合・溶解され均一
なポリマー溶液となって紡出装置に送液される。この紡
出装置は減圧オリフィス、減圧室及び紡口オリフィス、
加熱装置からなり、こゝにおいて紡口オリフィスを通し
てポリマー溶液は低圧域に紡出され、連続した網状繊維
となる。 【0075】もう少し詳しく押出機バレル内を見ると、
図3に示す様にバレル内にスクリュー1があり、このス
クリューは供給部6、圧縮部5、計量化部4,3,2か
らなっている。この計量化部を更に細かく見ると、計量
化部4は圧縮部5から来た溶融ポリマーにて充満されて
おり、溶剤はホッパー口7へ逆流することは出来ない。
又計量化部3は前部2及び後部4よりも溝深さが大きく
そのために計量化部に圧力の極小部を形成している。こ
のために、溶剤流入口8よりの溶剤は容易に押出機バレ
ル内に注入される。計量化前部4から来た溶融ポリマー
と流入口8から来た溶剤は計量化後部2にてスクリュー
が回転していることにより混合・溶解され、ポリマー溶
液となって10から流出する。計量化部2,3,4はポ
リマー流量、溶剤流量により適宜最適化される。 【0076】図4、図5は本発明に用いられる押出機の
好しい実施例である。図4は、本発明の実施に用いる押
出機、及びそのスクリューと共軸の特別な混合構造体
(混合ミキサー)の構造を示す。本装置は、ポリマーの
投入口24からポリマーは供給され、駆動系26の回転
によってスクリュー21で溶融され、前方(図で右方)
に押出される。一方バレル23に設置された溶剤注入口
25より溶剤が添加され、混合構造体(ダルメージ形)
22によって両者は混合され、混合物出口27に到達す
る。 【0077】図5は、図4とは異なる形状の混合構造体
(ダルメージ形及びピン形)22′及び22″を有する
場合の構造図である。本発明においては、ポリマー溶液
出口27から出てくる混合物をそのまま紡出装置に導い
たり、或るいは、この後溶剤を更に添加して混合操作を
加えてから紡出装置に導き、網状繊維を得る。 【0078】押出機スクリューの径は、製造する網状繊
維の生産量に応じて選定され、これと同一軸の構造体径
は、押出機のスクリュー径と同一であっても異なってい
てもよい。また構造体の長さはそれぞれの場合におい
て、必要混合程度や、滞留時間を加味したホールドアッ
プ体積から適宜任意に決定される。図6及び図7は本発
明の実施態様を示す概略のフローシートであり、符号1
1は押出機、10はバレル、12はこれと同一軸上にあ
る特殊混合部、13は溶剤ポンプ、14は紡出装置、1
5は静的混合素子からなる混合部を示す。 【0079】図6は多段混合の例であり、即ちポリマー
は符号12の特殊混合部にて混合・溶解したのち、更に
静的混合部、15にて混合・溶解される。図7は多段に
溶剤を添加し、その都合混合・溶解させるプロセスを示
す。即ち第1段混合部12に第1段溶剤ポンプ13より
溶剤を添加混合・溶解し、更に第2段混合部15にて第
2段ポンプ13より溶剤を添加混合・溶解し所定のポリ
マー濃度のポリマー溶液を得るものである。 【0080】 【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。また実施例中のフィラメント強度は、把握長5c
m、引張り速度10cm/分の条件で、4回/cmのねじり
を与えたフィラメント試料で測定したものである。 参考例1 図2に示すフローチャートに従って、図3に示す押出機
スクリューを用いる方法(A1 法と云う)及び図5に示
す押出機スクリュー及び特殊混合構造体を用いる法(A
2 法と云う)にてフラッシュ紡糸を行った。 【0081】図2に示す押出機はバレル口径35mmφで
あり、A1 法に用いられたスクリューは、図3の符号を
用いて説明すると、符号6の供給部の長さ316mm(9
山)、溝深さ約5mm、符号5の圧縮部の長さ245mm
(7山)、符号4の前部計量化部の長さ140mm(4
山)、溝深さ1.6mm、符号3の溶剤添加部の長さ70
mm(2山)、溝深さ3mm、符号2の後部計量化部(混合
・溶解部)の長さ140mm(4山)、溝深さ1.6mmの
寸法をもつ。この押出機の先端にスクリーン装置を装着
し、配管を介して紡糸装置を取り付けた。紡糸装置の減
圧室オリフィス口径、0.5mmφ、減圧室の容積約2c
c、紡口オリフィス口径、0.5mmφである。 【0082】また押出機への溶剤の供給は、二連プラン
ジャーポンプを用いて、注入口8を介して行った。メル
トインデックス(MI)が5.0(重量平均分子量、約
9万)の高密度ポリエチレン(旭化成社製サンテックJ
−240)とフロン−11(トリクロロフルオロメタ
ン、CCl3 F)のポリマー濃度11重量%のポリマー
溶液を用いて紡糸した。即ち押出機のバレル温度を23
0℃として、スクリュー回転数を50rpm にて、ポリマ
ー流量77g/分、溶剤流量623g/分にて運転し
た。なお、押出機先端以降の配管及び紡糸装置の加熱温
度は175℃とし、且つ溶剤の加熱温度は100℃であ
った。またこの時の紡糸直前の液温は175℃、最も重
要な減圧室の圧力は約40kg/cm2 ・Gであった。紡糸
状態は極めて安定しており、減圧室の圧力変動巾は4〜
5kg/cm2 ・Gであった。得られた網状繊維の強度は
3.5g/dであった。 【0083】また押出機先端の圧力は約200kg/cm2
・Gであったが、どこからも溶剤漏洩は生じなかった。
尚、フランジ部のシールは中空金属Oリングを用いた
が、全く溶液の漏洩は生じなかった。吐出量を更に上昇
させて、ポリマー流量110g/分、溶剤流量890g
/分までもって行くと、減圧室の圧力変動巾は極めて大
きくなり、その値も10kg/cm2 ・Gを越え、事実上安
定紡糸は困難となった。 【0084】次にA2 法の紡糸を行った。用いた特別な
機械的混合部の形状は図5にモデル的に示す。各部分の
寸法を示すと、スクリュー寸法は位置部長さ/深さ=3
15mm/5mm、圧縮部長さ/深さ=315mm/5→16
mm、計量部長さ/深さ=245mm/1.6mmである。ダ
ルメージ部の形状は多状ネジ構造にて、長さは210m
m、口径は約50mmφ、用いたネジは16条にて、半円
形状の溝をもち、溝深さ3.6mm(最大)、ねじれ角右
35°である。更に、ピン混合部の形状は円筒ピンの多
列配列の構造体であり、長さ285mm、口径は約50mm
φにて、ピン配置は8条17列である。このピン混合部
はスクリューと同軸上の軸にピンを植えると同様に、バ
レル側にも同一形状のピンが同じ8条17列で植えられ
ており、スクリューが回転すると回転ピンの間をスクリ
ューと同一軸上の可動ピンが動きポリマーと溶剤を混合
する。バレルと可動ピン軸との間隙は7mmである。 【0085】A1 法と全く同様な方法・条件にてフラッ
シュ紡糸した。総吐出量を1000g/分即ちポリマー
流量110g/分、溶剤流量890g/分、にしても極
めて安定して紡糸し、3.6g/dの網状繊維を得た。
この時の減圧室の圧力は55kg/cm2 ・Gにて、圧力の
変動巾も4〜5kg/cm2 ・Gであった。また押出機先端
の圧力は約250kg/cm2 ・Gにて、どこからも溶剤漏
洩は生じなかった。 【0086】実施例1 図6に示す方法(B法)にてフラッシュ紡糸を行った。
即ち参考例1に記載したA2 法のスクリュー押出機の次
に配管を介して、図6の符号15に相当する静的混合素
子からなる混合装置を設置した。用いた静的混合素子
は、スルザー社製ミキサーSMX型(呼び径15mmφ)
で、形態は金属細片が井桁状に溶接されそれらが90°
ずつ角度をずらせて連結されている。このものを50段
用いた。 【0087】紡糸方法としては、メルトインデックスが
1.2(重量平均分子量、約14万)の高密度ポリエチ
レン(旭化成社製サンテックB−161)とフロン−1
1からなるポリマー溶液を用いた。またスクリュー押出
機の温度は230℃、A2 法の特殊混合部の温度は20
0℃、配管及び静的混合部の温度は175℃とし、ポリ
マー濃度は11重量%とした。ポリマー流量77g/
分、溶剤流量623g/分、総吐出量700g/分の条
件で紡糸し、紡糸直前の液晶は175℃、減圧室の圧力
は70kg/cm2 ・Gであった。紡糸状態は極めて安定し
ており、減圧室の圧力変動巾も2〜3kg/cm2 ・Gであ
った。得られた網状繊維の強度は3.8g/dであっ
た。 【0088】実施例2 図7に示す方法(C法)にてフラッシュ紡糸を行った。
即ち実施例1に記載した方法にて、押出機部先端と静的
混合部15の間に溶剤注入口を設け、二連プランジャー
ポンプに連結した。従って、押出機にて溶解したポリマ
ーはポリマー溶解域に至る。この領域にプランジャーポ
ンプより溶剤が添加され特殊混合部12にてポリマーと
溶剤は混合し、ポリマーが溶解する。更に、この混合溶
液は押出機先端より静的混合域に至る。この間途中で更
に溶剤が添加される。このポリマー/溶剤の混合溶液は
静的混合体に至り、混合・溶解に完全に均一なポリマー
溶液となって紡口から吐出される。 【0089】メルトインデックスが0.8(重量平均分
子量、約16万)の高密度ポリエチレン(旭化成社製サ
ンテックS−160)とフロン−11からなるポリマー
濃度11重量%のポリマー溶液を用いて紡糸を行った。
押出機の温度270℃、特殊混合部の温度200℃、静
的混合部の温度175℃、紡糸部の温度175℃とし
た。また減圧室ノズル0.5mmφ、減圧室容積約2cc、
紡口ノズル0.5mmφとした。特殊混合部の圧力を25
0kg/cm2 ・G、静的混合部の圧力200kg/cm 2 ・G
として混合溶解させた。紡糸直前の液温は175℃、減
圧室の圧力は80kg/cm2 ・Gにて極めて安定して紡糸
出来た。減圧室の圧力変動巾は2〜3kg/cm2 ・Gに
て、繊維形態良好な強度4.5g/dの網状繊維を得
た。 【0090】この時のポリマー流量は77g/分にて、
溶剤流量は623g/分であり、溶剤の添加法として第
1段面の特殊混合部直前での添加量は77g/分とし、
第2段目の静的混合部直前には残りの溶剤流量546g
/分を添加した。従って、第一段目にて50wt%のポリ
マー濃度となり、第2段目にて11wt%となる。 実施例3及び参考例2 参考例1、実施例1及び2に記載したA1 ,A2 ,B,
C法を用いて、それぞれ異なったメルトインデックスを
持つ高密度ポリエチレンとトリクロロフルオロメタン
(フロンF−11)とを用いてフラッシュ紡糸を行っ
た。 【0091】ポリマーの溶解状態は紡糸直前の圧力変
動、特に減圧室の圧力変動と対応している。即ちポリマ
ーの溶解が不完全なほど減圧室の圧力変動は大きくな
り、遂には紡糸不能となった。また紡糸可能であって
も、圧力変動巾が大きいと未溶解のポリマーが吐出され
ることになり、繊維はさゝくれ立ち、強度も低く使用出
来なかった。 【0092】この溶解状態を表わす圧力変動巾を用いて
各法を比較し、表1に示した。ポリマーはすべて高密度
ポリエチレン(旭化成社製)であった。溶剤はフロン−
11を用いた。又ポリマー濃度は11重量%で、総吐出
量は1000g/分であった。紡糸条件及び装置は参考
例1、実施例1及び2のものを用いた。 【0093】表1から明らかな様に、A1 法からA
2 法、更にB法、C法へと行くに従って、より好ましい
紡糸方法であることが明確に示されている。 【0094】 【表1】 【0095】尚、本実施例での試作ポリマー(旭化成社
製、MI=0.31、重量平均分子量約21万)を用い
て、C法にて紡糸した例の条件等を説明すると次のよう
になる。即ち押出機スクリュー部の温度300℃、同軸
で連結する特殊混合部の温度200℃、配管及び静的混
合部の温度は170℃であった。ポリマー溶解域の圧力
としては、特殊混合部において250kg/cm2 ・G、静
的混合部において200kg/cm2 ・Gとなり、この圧力
を二区分して制御するために、特殊混合部の先に1回転
当りの押出し容積が35ccのギヤ−ポンプを設置した。
この部分は200℃に加熱した。また減圧室の圧力は1
10kg/cm2 ・G、減圧室の液温は190℃であった。
得られた網状繊維の強度は6.5g/dであった。 【0096】更に、いずれの紡糸例に於いてもフランジ
部等から漏洩は全く生じなかった。またギヤ−ポンプの
回転軸からは少量のポリマーを潤滑のため僅かずつ積極
的に漏洩させた。 【0097】実施例4及び比較例1 実施例1に示す装置にて、劣化し易いポリプロピレンの
紡糸を行った。即ちポリプロピレンK1014(チッソ
ポリプロ社製、メルトフローレートMFR=3.5、重
量平均分子量=約28万)及びK1011(チッソポリ
プロ社製、MFR=0.7、重量平均分子量=約40
万)を用いポリマー濃度9重量%のトリクロロフルオロ
メタン溶液にて紡糸した。この時の溶液温度は205℃
であり、且つスクリュー回転数は95rpm であった。こ
れにより形態良好な網状繊維を得た。 【0098】また比較例1として容積550ccにて攪拌
器のついたオートクレーブを用いて同じポリプロピレン
のポリマー溶液を用いて紡糸した。液圧室オリフィス及
び減圧室、更に紡口オリフィスともに前記押出機法によ
るものと同一のものを用いて紡糸した。この時の攪拌器
の回転数は300rpm で、溶解までに60分を要した。
更に液温は210℃であった。これに対して前記押出機
では7〜8分であった。オートクレーブ紡糸法にても網
状繊維が得られた。 【0099】この押出機法とオートクレーブ法の繊維の
分子量をMFRにて測定した結果、表2に示す値を得
た。 【0100】 【表2】 【0101】本発明が、オートクレーブ法に比してポリ
マーの劣化から著しく少ないことが分る。 【0102】実施例5 図7に示されるプロセスで、高密度ポリエチレンから成
る網状繊維を得た。メルトインデックス(MI)が0.
35(重量平均分子量、約21万)の高密度ポリエチレ
ン(旭化成工業社製サンテックHD:B871)のチッ
プを押出機で連続して溶融押出を行い、一方、溶剤とし
てトリクロロフルオロメタンを定量ポンプで加えて、押
出機と共軸の特殊混合部にて混合した。この時用いた押
出機及び混合部の構造は第5図に示される如きものであ
り、スクリュー部、ダルメージ部、及びピン部を有する
スクリューで、それぞれの長さは、700mm,210m
m,250mmであり、そして対応するバレル内径は、3
5mmφ,50mmφ,50mmφであった。そして、ダルメ
ージ部の前のバレルに溶剤注入口が付けられていた。 【0103】スクリュー回転数46rpm におけるポリマ
ー供給量は74g/分であり、ミキサー部に注入される
溶剤量は240g/分であった。この混合物を、更に添
加される溶剤360g/分と共に静的混合部に導入し、
所定のポリマー濃度の溶液とした。この時、静的混合素
子として、スルザー社製ミキサーSMX製(呼び径15
mm)を50段としたものを用いた。 【0104】この液を紡出させるに際し、0.5mmφ
(L/D=10)の減圧オリフィス、約2ccの減圧室、
0.5mmφ(L/D=1)の紡糸ノズルからなる紡口ア
センブリーを用いた。吐出状態は極めて安定しており、
得られた網状繊維の引張り強度は、5.9g/dであっ
た。 【0105】実施例6 実施例5と同様の操作をポリプロピレンについて実施し
た例を示す。メルトフローレイト(MFR)が0.7
(重量平均分子量、約40万)のポリプロピレン(チッ
ソ社製K1011)を用い、溶剤としてトリクロロフル
オロメタンを用いた。 【0106】この場合、押出機及び特殊混合部の構造は
図4に示される如きものを用いた。即ち、スクリュー部
と特殊混合部(ダルメージ)部を有し、それぞれの長さ
は700mm,300mmで、バレル内径はいずれも35mm
φである。そして、この実施例では静的混合素子として
東レ社製ハイミキサー(呼び径25mm)を40段とした
ものを用いた。 【0107】実施例5と同様の操作で、ポリマー90g
/分と溶剤300g/分を押出機と共軸のミキサーで混
合(スクリュー回転数56rpm )し、更に溶剤600g
/分を添加して、静的ミキサーで混合した。そして、実
施例5で用いたと同じ紡出装置から紡出して網状繊維を
得た。吐出状態は極めて安定しており、フィブリル化の
形態が揃っている強度3.8g/dの連続網状繊維であ
った。 【0108】なお、この実施例における各部分の濃度と
圧力条件を表3に示す。 【0109】 【表3】 【0110】実施例7〜10 実施例6の運転条件で、総溶剤量を一定にし、添加する
割合を種々変化させて紡出した結果を表4に示す。 【0111】 【表4】 【0112】実施例11 図6に示されるプロセスで、ポリマー/溶剤系は実施例
6と同一とした。この場合押出機及び特殊混合部の構造
は図5に示される如きものを用いた。即ちスクリュー
部、ダルメージ部、ピン部を有し、それぞれの長さは7
00mm,210mm,250mmでありそして対応するバレ
ル内径を35mmφ,50mmφ,50mmφとし、ピン部の
バレルにもピンを打ち込んだものを用いた。 【0113】静的混合素子として、スルザー社製ミキサ
ーSMX型(呼び径15mm)を50段、さらに東レ社製
ハイミキサー(呼び径25mm)を20段加え、紡出装置
は実施例2と同一のものを用いた。この場合、ポリマー
90g/分で押出機スクリューと同一軸のミキサーへの
溶剤注入量を900g/分として運転したところ減圧室
の圧力変動巾が1〜2kg/cdで吐出状態は安定してい
た。糸の形態はほぼ揃っており、強度は3.1g/dで
あった。この時の各部分の温度と圧条件を表5に示す。 【0114】 【表5】【0115】比較例2 実施例11の条件下で、本発明の押出しスクリューと同
一軸のミキサーのみを、従来公知の独立駆動のスクリュ
ーミキサーに代えた図8のプロセスを実施した。35mm
φの押出機を用いて溶融ポリマーをスクリューミキサー
に導入し、一方溶剤を全量スクリューミキサーに導入し
た。このスクリューミキサーは注入口を二ヶ有する一軸
の混練用ミキサーで35mmφのバレル側に突起を有しス
クリューフライトに切り欠きを有するものであった。実
施例7と同じ静的ミキサー、紡出装置を用いたが、この
例ではスクリューミキサーのグランド部からの漏れが発
生し、紡糸が不能であった。 【0116】 【発明の効果】本発明に示された紡糸方法及びプロセス
を採用することにより、極めて安全にフラッシュ紡糸さ
れた高強力な網状繊維の製造が可能になる。即ち高分子
量ポリマーを用いた紡糸が可能となる他、高圧での溶液
作成が可能になる、装置のコンパクト化、攪拌シール部
からの漏れによる工程トラブルの解消、紡糸系の圧力の
安定化等極めて大きな効果がもたらされる。 【0117】そして、混合効率が増加すること及び高圧
での溶解が可能となるため、滞留時間が短かくてよく、
ポリマーの劣化や溶剤の分解が抑制され、製品の安定化
や溶剤回収コストの低減にも効果を及ぼす。得られた網
状繊維は、その優れた強度、白度、網状構造及び高い比
表面積を利用して不織布にしたり、繊維のまま使用する
ことによっても各種の用途に展開可能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、高密度ポリエチレン(MI=1,2、
重量平均分子量14万、旭化成サンテックB−161と
トリクロロフルオロメタンからポリマー溶液の相図であ
る。 【図2】図2は、参考方法のフローシートを示す。 【図3】図3は、本発明において使用される押出機のス
クリュー及び特殊混合構造の一つの例を示す概略図であ
る。 【図4】図4は、本発明において使用される押出機のス
クリュー及び特殊混合構造の他の例を示す概略図であ
る。 【図5】図5は、本発明において使用される押出機のス
クリュー及び特殊混合構造の更に他の例を示す概略図を
示す。 【図6】図6は、本発明の1実施態様であるフラッシュ
紡糸方法のフローシートである。 【図7】図7は、本発明の他の実施態様であるフラッシ
ュ紡糸方法のフローシートである。 【図8】図8は、本発明と比較のために従来のスクリュ
ーミキサーを用いたフラッシュ紡糸フローシートを示
す。 【符号の説明】 1,21…スクリュー 2,3,4…計量化部 5…圧縮部 6…供給部 7,24…ホッパーの投入口 8,25…溶剤流入口 10,27…ポリマー混合液出口 22,22′,22″…混合構造体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01D 5/11 D01F 6/46

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.フラッシュ紡糸法によって、熱可塑性ポリマーから
    なる網状繊維を製造する方法において、加熱されたスク
    リュー押出機を用いて、溶融しつつポリマーを連続的に
    ポリマー溶解域へ供給し、溶解域の入口を連続的に供給
    される溶融ポリマーで封鎖しつつ、ポリマー溶解域に溶
    剤を連続して添加し、該スクリュー押出機内のスクリュ
    ーに連続する機械的混合領域と、静的混合素子からなる
    静的混合領域とを用いて、加圧下で両者を混合・溶解し
    て、5〜20wt%のポリマー濃度を有するポリマー溶液
    を製造し、溶解域の出口に設けられたノズルからポリマ
    ー溶液を低圧域に連続的に吐出することを特徴とするフ
    ラッシュ紡糸法による網状繊維の連続的な製造方法。 2.全ての溶剤が溶融ポリマーで封鎖された直後にポリ
    マー溶解域に添加されることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の網状繊維の連続的な製造方法。 3.ポリマー溶解域への溶剤の添加が多段階であり、溶
    剤の添加の都度、ポリマーと混合・溶解し、順次ポリマ
    ー濃度を低下させることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の網状繊維の連続的な製造方法。 4.ポリマー溶解域への溶剤の添加が多段階であり、少
    なくとも溶剤の第1段階の添加でスクリュー押出機内の
    スクリューに連続した機械的混合領域にて混合・溶解が
    行われ、第2段階以降の少なくとも1つの溶剤添加で静
    的混合素子からなる静的混合領域にて混合・溶解が行わ
    れることを特徴とする特許請求の範囲第1項及び第3項
    記載の網状繊維の連続的な製造方法。
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