JP2856764B2 - 偏波切替アンテナ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、偏波面の異なる複数の相手局からの信号
を自動的に選択受信するのに好適な偏波切替アンテナ装
置に関する。

（従来の技術） 従来、偏波面に異にした複数の相手局からの信号を選
択的に受信したり、また選択的に特定の相手局と通信す
るには、その相手局の送信電波の偏波面を予め掌握し、
自局の受信系又は送受信系における偏波面をその相手局
の送信電波の偏波面と一致させることが必要とされる。

いま、第５図に示す従来の偏波切替アンテナ装置は、
受信用アンテナ１に接続された円偏波器２と、直交偏波
分波器３と、受信機４に接続された導電管スイッチ５と
が順次接続されて構成されている。なお、直交偏波分波
器３と偏波切替器である導電管スイッチ５との間は夫々
入出力導波管6,7で接続されている。

いま、到来電波の受信を考えると、受信用アンテナ１
で右旋円偏波の電波を受信し円偏波器２に供給される
と、円偏波器２においては、入出力導波管６に対し右方
向＋45度の傾きをもって導入された誘電体板2aの作用に
より、その入出力導波管6,導波管スイッチ５を介して受
信機４に供給される。

もし、受信用アンテナ１で左旋円偏波の電波を受信し
た場合は、円偏波器２では誘電体板2aが入出力導波管７
に対し左方向−45度の傾きをもつので、入出力導波管７
を経て、導波管スイッチ５を介して受信機４に供給され
る。この場合、導波管スイッチ５は手動により回転切替
え制御される。

いずれにしても、上記従来の偏波面切替アンテナ装置
は、受信アンテナ１で受信される電波の偏波面に対応し
て、人為的に導波管スイッチ５を切替えるので、予め相
手局の送信電波の偏波面を受信側で知っている必要があ
る。

換言すれば、相手局の送信電波の偏波面が未知の場合
には、正しく受信あるいは通信ができないという不都合
があった。

なお、上記説明では、受信系における偏波面切替アン
テナ装置として説明したが、通常は可逆性を有するの
で、送受信系にもそのまま適用されることは言うまでも
ない。

（発明が解決しようとする課題） 従来の偏波切替アンテナ装置は、事前に相手局送信電
波の偏波面が掌握されてはじめて正常な送受信が可能と
なるもので、偏波面が未知の相手局との送受信をタイム
リーに行うのは容易でなかった。

そこでこの発明は、相手局からの電波を受信したと
き、その受信電波の偏波面を自動的に識別し、その識別
信号に基づき偏波切替器を切替制御するので、その相手
局との送受信をタイムリーに可能とした偏波切替アンテ
ナ装置を提供することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） この発明による偏波切替アンテナ装置は、反射板付き
４線巻バックファイアヘリカルアンテナと、このヘリカ
ルアンテナに接続された偏波検出器と、この偏波検出器
からの信号により受信アンテナからの受信信号の偏波面
を必要に応じ切替え受信機に供給する偏波切替器とを具
備することを特徴とする。

（作 用） この発明の偏波切替アンテナ装置は、上記のようには
反射板付き４巻線バークファイアヘリカルアンテナを備
えたので、このヘリカルアンテナで受信された相手局か
らの送信電波は、その送信電波の偏波面によって異なる
で出力信号を検波検出器に供給する。従って、偏波検出
器は受信電波の偏波面を自動的に識別しその識別信号を
偏波切替器に供給するので、受信アンテナで受信される
相手局からの送信電波は切替え制御された偏波切替器を
介して正規の受信が自動的に可能となる。

なお、上記作用は受信するものとして説明したが、こ
の発明装置は偏波面が正常に捕えられた状態で送受信機
が接続されれば、受信とともに送信をも可能とすること
は言うまでもない。

（実施例） 以下、この発明による偏波切替アンテナ装置の実施例
を第１図なしい第４図を参照し詳細に説明する。なお、
第５図と同一構成には同一符号を付し、詳細な説明は省
略する。

第１図はこの発明による偏波切替アンテナ装置の一実
施例を示す構成図である。

即ち、いま、偏波面が未知の相手局からの送信電波が
到来しているとし、その到来電波が反射板付き４線巻バ
ックファイアヘリカルアンテナ８により受信される。

反射板付き４線巻バックファイアヘリカルアンテナ８
とは、その詳細を第２図に示すように、反射板8aと、４
本のヘリックス（helix）を１回転以下の分数巻（この
場合1/4回転巻）のいわゆるバックファイアヘリカルア
ンテナ素子8bとで構成されて、後術の受信アンテナ１の
ボアサイトと平行に設置される。

この４線巻バックファイアヘリカルアンテナ８がハイ
ブリッド回路９に接続されており、いま、アンテナ指向
方向（＋Ｚ方向）から逆に右旋円偏波の電波が入射し、
４線巻バックファイアヘリカルアンテナ素子8bで受信さ
れたとき、ハイブリッド回路９の一方の出力端子9aから
信号が出力されるよう構成されているとする。ここでも
し、アンテナ指向方向（＋Ｚ方向）から左旋円偏波の電
波が入射したとすると、その電波は一端反射板8aで反射
され、その反射によってアンテナの逆指向方向（−Ｚ方
向）に対して右旋円偏波となるので、ハイブリッド回路
９の他方の出力端子9bから導出される。

即ち、到来電波の偏波面の相違によって、ハイブリッ
ド回路９は互いに異なる出力端子から到来電波を区別し
て導出するので、４線巻バックファイアヘリカルアンテ
ナ８とともに偏波面検出器を構成する。

上記説明は、受信時の場合を説明したが、アンテナの
送受可逆性を有することから、出力端子9aからの送信信
号は右旋円偏波信号を、また他方の出力端子9bからは左
旋円偏波信号を供給し、同一アンテナ８から異なった偏
波信号を送出可能である。

ハイブリッド回路９の出力は偏波識別回路10に供給さ
れ、偏波面に対応した駆動制御信号を導出し、偏波切替
器11の導波管スイッチ５を自動的に切替制御するもので
ある。偏波識別回路10は例えば第３図に示すように、低
雑音増幅器10aa,10ab,バンドパスフィルタ10ba,10bb,ダ
ウンコンバータ10ca,10cb,中間周波増幅器10da,10db,検
波器10ea,10eb,差動増幅器10f及び導波管スイッチ駆動
制御信号発生器10gから構成される。

なお、ここでの偏波切替器11とは、第５図に示した構
成と同一であり、円偏波器2,直交偏波分波器3,入出力導
波管6,7及び導波管スイッチ５で構成される。

偏波切替器11は受信アンテナ１及び受信機４とともに
一次給電系を構成し、到来電波の偏波方向に対応して自
動的に導波管スイッチ５が切替作動して、相手局からの
電波を正常に受信することが可能となる。

受信アンテナ１は主反射鏡1a,副反射鏡1b及び給電ホ
ーン1cを有するカセグレン方式のアンテナであり、この
受信アンテナ１をはじめ偏波切替器11は、４線巻バック
ファイアヘリカルアンテナ８等と同様に可逆性を有する
ことから、受信機１を送受信機に置換えることによっ
て、当然のことながら従来装置と同様に送受信系として
構成できる。

このように、この発明によれば、偏波面が未知の電波
に対して、自動的にその偏波面を識別して偏波切替器を
切替制御するものであるので、例えば人工衛星搭載の通
信装置に適用して大きな効果が得られる。

第４図はこの発明装置を衛星搭載通信装置12に適用
し、通信電波の偏波面を互いに異にする２つの地上局12
a,12bと交信する様子を示したものである。

即ち、いずれかの地上局（12aまたは12b）から偏波面
が未知の信号電波が衛星の通信装置12に向け送信される
と、上述のようにまず４線巻バックファイアヘリカルア
ンテナ８で受信され、ハイブリッド回路9,偏波識別回路
起10による偏波面の識別によって偏波面に適合するよう
偏波切替器11が自動的に切替え制御され、受信アンテナ
１からの電波を選択的に受信機で受信することが可能と
なる。

なお、第２図において、ハイブリッド回路９からなる
偏波検出器は右旋円偏波または左旋円偏波のいずれかの
円偏波信号検出を行う旨説明したが、ハイブリッド回路
９の出力端子9a,9bからの出力を合成することによっ
て、到来する直線偏波信号のうち、直交する２つの直線
偏波を区別して検出することも可能である。

［発明の効果］ 以上説明のように、この発明による偏波切替アンテナ
装置は、偏波面が未知の電波の偏波面を自動的に識別し
て、偏波切替器を切替制御するので、例えば人工衛星に
搭載して得られる効果大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による偏波切替アンテナ装置の一実施
例を示す構成図、第２図は第１図に示す装置の４線巻バ
ックファイアヘリカルアンテナを示す斜視図、第３図は
第１図に示す偏波識別回路を示す回路構成図、第４図は
この発明装置を衛星通信システムに適用した例を示す構
成図、第５図は従来の偏波切替アンテナ装置を示す構成
図である。 １……受信アンテナ、４……受信機、 ５……導波管スイッチ、 ８……４線巻バックファイアヘリカルアンテナ、 ９……ハイブリッド回路、 10……偏波識別回路、 11……偏波切替器。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】反射板付き４線巻バックファイアヘリカル
   アンテナと、このヘリカルアンテナに接続された偏波検
   出器と、この偏波検出器からの信号により受信アンテナ
   からの受信信号の偏波面を必要に応じ切替え受信機に供
   給する偏波切替器とを具備することを特徴とする偏波切
   替アンテナ装置。