JP2856209B1 - 光パルス圧縮装置およびそれを用いた光パルス伝送装置とレーザ光発生装置 - Google Patents

光パルス圧縮装置およびそれを用いた光パルス伝送装置とレーザ光発生装置

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JP2856209B1
JP2856209B1 JP2801198A JP2801198A JP2856209B1 JP 2856209 B1 JP2856209 B1 JP 2856209B1 JP 2801198 A JP2801198 A JP 2801198A JP 2801198 A JP2801198 A JP 2801198A JP 2856209 B1 JP2856209 B1 JP 2856209B1
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Abstract

【要約】 【課題】 従来技術では、光ファイバ等で伝送される1
0pj程度の弱い光パルスのパルス圧縮を行うことがで
きない。 【解決手段】 屈折率の周期分布が低屈折率層201か
らはじまる分布ブラッグ反射器等の内部における光強度
のピークと一致する位置に可飽和吸収層203を配置し
た構造とする。このような分布ブラッグ反射器にパルス
幅の拡がった光パルスを入射すると、低屈折率層201
と屈折率層202とにより光パルスの強度が強化され、
そして、可飽和吸収層203により、光パルスの時間的
に前縁となる部分が消滅される。このことにより、1回
の反射のみでパルス幅を圧縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体中の可飽和
吸収体による吸収飽和現象を利用して光パルスの圧縮を
行う技術に係わり、特に、10pj(ピコ・ジュール)程
度のエネルギの光パルスを用いる光伝送に適用するのに
好適な光パルス圧縮装置およびそれを用いた光パルス伝
送装置とレーザ光発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光パルス圧縮技術では、短パルス
光を発生するモードロック固体レーザの小型化および自
己発振化を目的として、半導体中の吸収飽和が利用され
ている。吸収の無いAlAs/AlGaAs分布ブラッグ反射
器上に可飽和吸収体としてGaAs単一量子井戸を積層し
た素子を可飽和反射鏡として用い、100fs(フェムト
秒)以下のパルス幅の光パルスをモードロックCr:Li
SAFまたはTi:sapphire固体レーザで発生させた例
が、T.Tsuda,他により「オプテイックスレターズ19
95年第20巻12号1406〜1408ぺージ(Opt
ics Letters Vol.20,No.12, pp.1406‐14
08(1995))」に報告されている。
【0003】また、可飽和吸収体を反共鳴条件のファブ
リーぺロー型エタロン内に置き、3.3ps(ピコ秒)の
パルス幅の光パルスをモードロックNd:YLF固体レー
ザで発生させた例が、U.Keller,他により「オプテイッ
クスレターズ1992年第17巻7号505〜507ぺ
ージ(Optoics Letters Vol.17,No.7, pp.50
5‐507(1992))」に報告されている。
【0004】さらに、従来の光パルス圧縮技術におい
て、可飽和吸収を利用しない技術として、光ファイバの
カー効果による自己位相変調と光ファイバーグレーテイ
ングを使い、パルスレーザからの光パルスを圧縮した例
が、J.A.R.Williams,他により「アイトリプルイー
フォトニクス テクノロジー レターズ1995年第7
巻5号491〜493ぺージ(IEEE Photonics T
echnology LettersVol.7,No.5,pp.491‐49
3(1995))」に報告されている。
【0005】ところで、光ファイバを用いた大容量光伝
送では、伝送により拡がったパルス幅を光ファイバ上の
任意の位置で圧縮し、短パルスとして再伝送するため
に、上述のような光パルス圧縮技術が必要である。しか
し、上述の各光パルス圧縮技術を大容量光伝送における
光パルス圧縮に用いる場合には、それぞれ以下のような
問題がある。
【0006】まず、半導体中の吸収飽和を利用した従来
の短パルス光発生技術では、その利用目的は、共振器内
光パルスエネルギの高いモードロック固体レーザの小型
化および自己発振化である。すなわち、光パルスエネル
ギが10nj(ナノ・ジュール)あるいはそれを上回るレ
べルであると、通常の半導体ではたちどころに可飽和吸
収が発生してしまい、短パルス発生に適さない。これに
対処するために、高反射ブラッグ反射器あるいは反共鳴
ファブリーペローエタロンにおける光強度の抑圧を利用
して、半導体に入射する実効的な光パルスエネルギを低
減するという処置を取っている。
【0007】しかし、光ファイバ伝送では、光パルスエ
ネルギは10pj程度あるいはそれ以下となる。従って、
実効光パルスエネルギを低減して半導体の吸収飽和効率
を下げるという、上述の光パルス圧縮技術は適用できな
い。逆に、実効光パルスエネルギをある程度増強し、半
導体の吸収飽和の効率を増した光パルス圧縮技術が必要
とされる。
【0008】また、可飽和吸収によらない従来技術で
は、光のパルスエネルギは可飽和吸収を用いた従来技術
よりは低いものの、なお1nj程度のパルスエネルギを要
している。さらに、この技術では、光ファイバーグレー
テイングによる群速度分散補正を利用している。そのた
め、この技術は、ある特定の強度とパルス幅の光パルス
に対してのみ有効であり、光ファイバ伝送線路上の必要
とする位置で任意のパルス幅の光パルスを圧縮すること
はできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、従来の技術では、実効光パルスエネルギを増強し
て、半導体の吸収飽和の効率を増した光パルス圧縮を行
うことができない点である。本発明の目的は、これら従
来技術の課題を解決し、任意の距離の光ファイバで伝送
された光パルスの幅の圧縮を可能とし、また、時間分割
多重光伝送や波長分割多重光伝送に利用する短パルス光
を効率良く生成することが可能な光パルス圧縮装置およ
びそれを用いた光パルス伝送装置とレーザ光発生装置を
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光パルス圧縮装置は、屈折率の周期分布が
低屈折率層からはじまる分布ブラッグ反射器等の内部に
おける光強度のピークと一致する位置に可飽和吸収層を
配置した構造とする。このような分布ブラッグ反射器
に、光ファイバ等での伝送でパルス幅の拡がった光パル
スを入射すると、光パルスの強度が強化され、吸収飽和
により、光パルスの時間的に前縁となる部分が消滅す
る。このことにより、1回の反射のみでパルス幅を圧縮
することができる。そして、本発明の光パルス伝送装置
とレーザ光発生装置は、この光パルス圧縮装置による光
パルス圧縮、位相変調を利用して、時間分割多重光伝送
や波長分割多重光伝送に適した短光パルスを生成、伝送
することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に
より詳細に説明する。図1は、本発明の光パルス圧縮装
置の本発明に係わる構成の第1の実施例を示す断面図で
ある。本例の光パルス圧縮装置は、位相シフト分布ブラ
ッグ反射器を構成しており、n(L)層201とn(H)層
202および可飽和吸収層203の3層からなる単位セ
ル204を、基板205上に周期的に積層したものであ
る。
【0012】単位セル204の中で、n(L)層201は
n(H)層202より屈折率が低く、光パルスが入射され
る側である。また、可飽和吸収層203の厚みは他の2
層よりは薄いので、可飽和吸収層203を低屈折率層と
一体として捉える。このように、この位相シフト分布ブ
ラッグ反射器は、低屈折率層から始まっている。ここ
で、空気の屈折率を「1」、n(L)層201の屈折率を
「n(L)」、n(H)層202の屈折率を「n(H)」とす
ると、「1<n(L)<n(H)」である。このような屈折
率分布の構造では、可飽和吸収層203の位置で光強度
が高くなり、吸収飽和という非線形光学効果が強められ
る。
【0013】可飽和吸収層203には光学非線形性の高
い媒質を使用する必要がある。そのような媒質として、
半導体薄膜からなる量子井戸構造がある。この量子井戸
における二次元電子状態は、光学非線形性が高く、吸収
飽和の効率が高い。特に、量子井戸のバンド端付近の励
起子状態を用いると、量子井戸の持つ光学非線形性を最
も高めることができる。
【0014】また、(L)層201およびn(H)層202
は、各々透明であり、n(L)層201は可飽和吸収層2
03と合わせて入射光の中心波長に対して4分の1(1
/4)の厚みである。一方、n(H)層202はそれ自身
で4分の1波長の厚みである。波長1550nm付近で使
用するために、n(L)層201、n(H)層202および
可飽和吸収層203として用いる材料を説明する。
【0015】まず、n(L)層201には、InPを用い
る。n(H)層202には、GaInAsP(Ga:In組成
比0.33:0.67、As:P組成比0.71:0.2
9)を用いる。そして、可飽和吸収層203には厚み1
0nmのGaInAs(Ga:In組成比0.47:0.53)
量子井戸を用いる。各層の組成比は各々基板205とし
て用いるInPに格子整合するよう設定している。ピコ
秒(ps)以上の幅の光パルスをピコ秒以下、すなわち、
フェムト秒(fs)領域にまで圧縮するには、単位セル2
04を20層以上積層する。図の左端からの入射光パル
スと出射光パルスのパルス幅を各々測定し比較すること
により、パルス圧縮率が求められる。
【0016】さらに、本例では、バイアス電圧源206
を設け、バンドギヤップ付近に蓄積された光キヤリアを
引き出すために逆バイアス電圧を加える。この逆バイア
ス電圧を加える配置は、光電流が表面に平行・垂直の2
通りある。前者の配置では、表面に沿って正・負電極を
構成し、その電極間に光パルスが集光する。後者では、
表面および基板裏面に電極を構成する。この場合、光の
入射を妨げないよう、表面の電極はリング状としリング
の中心に光パルスを集光するか、透明電極を用いる必要
がある。
【0017】以下、このような光パルス圧縮装置におけ
る吸収飽和の基本原理を説明する。バンドギャップエネ
ルギよりも大きな光子エネルギの光を半導体に照射する
と、電子および正孔という光キャリアが励起され、光が
吸収される。特に、照射する光のパワーが高い場合に
は、高密度の光キャリアが励起される。半導体を光通信
や光エレクトロニクス素子に利用する場合、半導体に入
射する光には、ある決まった波長(例えば、1.55μ
m、1.3μmなど)の周辺、すなわちある決まった光子
エネルギの周辺のスぺクトル領域にパワーが集中するレ
ーザ光源などが用いられる。
【0018】半導体中である決まったエネルギ状態に励
起できる光キャリアの密度は、そのエネルギに対する状
態密度(density of state)により制限される。つま
り、励起できる光キャリアの密度には限界があり、レー
ザ光のパワーを上げて光キャリアの密度を増大させる
と、この限界に近づいてくる。このような高密度励起条
件では、吸収される光パワーは、もはや光の入射パワー
には比例せず飽和する傾向を示す。この現象は、吸収飽
和と呼ばれ、吸収型の非線形光学効果の一種である。ま
た、吸収飽和を顕著に示す媒質は可飽和吸収体と呼ばれ
る。
【0019】吸収飽和した可飽和吸収体に入射する光を
遮断すると、光キャリアが次第に緩和するため、吸収飽
和は減衰し吸収が回復する。また、バンドギャップより
もエネルギの高い状態に光キャリアを励起すると、光キ
ャリアは非平衡状態となるため、互いの散乱により運動
量およびエネルギをやり取りし、また結晶格子にエネル
ギを与えることにより、準平衡状態(quasi-equi1ibriu
m)に緩和する。
【0020】この準平衡状態では、光キャリアは、励起
光エネルギの平均値を準平衡エネルギとして、それに対
応する温度のマックスウエル‐ボルツマン分布をする。
例えば、1立方センチメートル当たり10^17個程度
の光キャリアを励起すると、光キャリア間の散乱が頻繁
に発生し、それによる緩和が支配的となる。この緩和の
時定数は、数100fsあるいはそれ以下となる。また、
10^14個程度以下の光キャリア密度になると、光キ
ャリア間の散乱頻度は低くなり、代わって格子振動との
散乱によるエネルギ緩和が支配的になり、その時定数は
1ps程度である。
【0021】このように、励起に用いる光が100fs程
度あるいはそれ以下のパルス幅を持つとき、励起後1ps
程度まではキャリア間散乱による緩和が見られ、それ以
後は格子振動との散乱による緩和が見られる。そして、
このような超高速緩和時定数を有する吸収飽和を利用す
ると、光パルス波形の時間幅を短くすることができる。
【0022】すなわち、可飽和吸収体に光パルスを入射
すると、光パルスの前縁部(時間的に先にあるパルスの
裾の部分)が、可飽和吸収体に吸収され消滅する。そし
て、吸収が飽和すると光はもはや吸収されなくなり、光
パルスの残りの部分は透過あるいは反射される。このよ
うにパルスの先端部分が消滅することにより、光パルス
の幅は短くなり光パルス圧縮が達成される。
【0023】ここで、吸収飽和が光キャリア間の散乱で
決まる100fs程度以下の時定数で回復する場合、10
0fs程度後には次の光パルスに対して吸収飽和による光
パルス圧縮が可能となる。これは、10THzにおよぶ
高繰り返し光パルス列に対するパルス圧縮が可能である
ことを意味し、1Tb/s以上の伝送レートを有する光伝
送系への利用が可能となる。
【0024】ただし、バンドギャップエネルギにまで緩
和したキャリアは、バンド間放射再結合を通して緩和す
る。その時定数は、1ns程度に達する。そのため、伝送
レートが増してくると、バンドギャップエネルギ付近に
蓄積された光キャリア分布が無視できなくなる。そこ
で、例えば逆バイアスを印加して、蓄積された光キャリ
アを半導体中から引き抜く必要がある。
【0025】さらに、このような光パルス圧縮技術を光
伝送に利用するためには、I0pj程度のエネルギの光パ
ルスに対してもパルス圧縮が有効でなければならない。
しかし、通常の可飽和吸収体では、100pj程度以上の
エネルギが必要である。このような低光パルスエネルギ
に対応するためには、可飽和吸収体の内部での実効光パ
ルスエネルギを上げる必要がある。本例では、光共振器
などの光閉じ込め構造のなかに可飽和吸収体を置くこと
により実現している。また同時に、光パルスのスぺクト
ル帯域にわたり光閉じ込めを行う必要から、4分の1波
長のピッチの分布ブラッグ反射器(Distributed Brag
g reflector,DBR)内に可飽和吸収体を置いてい
る。
【0026】この4分の1波長に対応する波長は、伝送
あるいは発生させたい光パルスのスぺクトルの中心波長
に一致させる。このようにすると、空気中から本例の分
布ブラッグ反射器に光を入射するとき、分布ブラッグ反
射器の屈折率分布が低屈折率層から始まるので、表面で
の位相シフトにより、分布ブラッグ反射器内に光が強く
閉じ込められる。この位相シフト分布ブラッグ反射器に
おいて、内部での周期的な光強度分布に応じて、光強度
がピークとなる位置に可飽和吸収体を分布させる。こう
することにより、伝送光パルスのエネルギとしてパルス
圧縮に必要なレべルを低減することができる。
【0027】幅100fs程度の光パルスは、光の波長
(1500nm付近)に換算して約50個分に対応する。
従って、光パルスが一度反射する間に、位相シフト分布
ブラッグ反射器内部では複数回の光の反射、すなわち多
重反射が発生する。このように、可飽和吸収体を設けた
位相シフト分布ブラッグ反射器に、光ファイバ伝送によ
りパルス幅が拡がった光パルスを入射し、位相シフト分
布ブラッグ反射器から反射した光パルスの幅を測定する
と、一度の反射だけで光パルス圧縮が行われていること
が実証される。そのための装置の構成が、図1および次
の図2に示すものである。
【0028】図1に示す例の位相シフト分布ブラッグ反
射器は、吸収のない2層と可飽和吸収層1層の計3層を
基本単位として周期的に積層したものである。この構造
では、可飽和吸収層の厚みは他の2層よりは薄い(約1
0分の1)。そこで、次の図2で示す例のように、可飽
和吸収層を低屈折率層もしくは高屈折率層と一体として
捉えると、2層を基本単位として各々の層が4分の1波
長ピッチである位相シフト分布ブラッグ反射器と定性的
に類似したものとして、反射スぺクトルなどを定性的に
評価することができる。
【0029】図2は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係わる構成の第2の実施例を示す断面図である。本
例の光パルス圧縮装置は、n(L)層207とn(H)層2
08の2層を単位セル209として基板210上に周期
的に積層したものである。本例では、n(L)層207が
可飽和吸収層を兼ねる。このような構成の光パルス圧縮
装置でも、一回の反射のみによる光パルス圧縮が可能で
ある。
【0030】上記図1、図2で示す可飽和吸収を用いた
光パルス圧縮装置では、群速度分散を補正することによ
る圧縮技術と違い、さまざまのパルス幅の光パルスを圧
縮することができる。そのため、光ファイバ伝送路上の
特定の場所に設置する必要はなく、任意の場所に設置で
きる。以下、光ファイバ伝送を例に本発明の光パルス圧
縮装置の説明を続ける。
【0031】図3は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係る構成の第3の実施例を示すブロック図である。
本図3において、101は光ファイバ伝送によりパルス
幅が拡がった光パルス、102は光増幅部、103は光
増幅部102で増幅された光パルス、104は光パルス
103を集光するレンズ、105はレンズ104により
集光された光パルスからなる入射光、106は入射光1
05のパルス幅を短縮する図1もしくは図2の構成から
なる光パルス圧縮部、107は光パルス圧縮部106か
らの出射光、108は出射光パルス、109はバイアス
電圧源である。
【0032】光ファイバ伝送によりパルス幅が拡がった
光パルス101は強度も低下しているため、必要に応じ
て光増幅部102で強度増幅する。光増幅部102から
出射された平行光線としての光パルス103は、集光レ
ンズ104を通じて集光され、入射光105として、可
飽和吸収体を設けた位相シフト分布ブラッグ反射器から
なる光パルス圧縮部106に入射される。このように、
低パルスエネルギの光パルス103に対するパルス圧縮
をより効率良くするため、光パルスをレンズ104で集
光して光パルス圧縮部106に入射する。
【0033】光パルス圧縮部106内で伝搬し多重反射
する過程において、光パルスは周期分布した可飽和吸収
体により、光パルスにおける時間的に先に進む前縁部の
みが良く吸収される。このように、入射光105が反射
される際に、光パルス圧縮部106内での吸収飽和によ
り、光パルスが圧縮され、入射光l05のパルス幅が短
くなる。その圧縮された光パルスは出射光107として
集光レンズ104を通り、再び平行光線としての光パル
ス108となる。
【0034】以上により、信号として伝送すべき光パル
スのパルス幅の拡がりと強度減少を回復でき、再び伝送
および信号処理を行うことが可能となる。特に、光ファ
イバ通信では、入射される光パルス101は光ファイバ
中を長距離伝送した信号光パルスであり、出射される光
パルスl08は再び光ファイバに入射され伝送される。
尚、光増幅部102として、光ファイバアンプあるいは
半導体光アンプを用いることができる。このように光閉
じ込めにより光パルス圧縮された光パルス107は、時
間分割多重に基づく大容量光伝送のための短光パルスと
して利用することができる。すなわち、光パルス圧縮装
置を光パルス伝送装置として有効利用できる。
【0035】尚、図3で示す例では、入射光105は光
パルス圧縮部106に対して斜め入射する配置となって
いる。しかし、偏光依存性を避けるためには、できるだ
け垂直入射に近いことが必要である。目安として、入射
角は、光パルス圧縮部106の表面に垂直な方向から1
0度以内とする。本図3の構造では、光パルスの強度を
光増幅部102で増幅しているが、このような光増幅
は、伝送もしくは信号処理に伴う光強度の低下が問題と
なる時に行い、光強度の低下が問題ではない場合には、
次の図4の構造を用いることができる。
【0036】図4は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係る構成の第4の実施例を示すブロック図である。
本例の光パルス圧縮装置は、図3における構成の光パル
ス圧縮装置から光増幅部102を取り除いたものであ
り、光ファイバから伝送されてきた光パルスの強度が光
パルス圧縮部106での吸収飽和に十分な値の場合に適
用される。
【0037】次に、本発明の光パルス圧縮装置を光パル
ス伝送装置として光ファイバ通信に利用した実施例につ
いて、次の図5に基づいて説明する。図5は、本発明の
光パルス圧縮装置の本発明に係わる構成の第5の実施例
を示すブロック図である。本例の光パルス圧縮装置31
3は、素子としてパッケージ化され、光ファイバ通信に
おける光パルス伝送装置としての機能を有する。
【0038】入射側光ファイバ伝送路301を通して伝
送されてきた信号光パルスは、光増幅部302により強
度増幅される。尚、光パルス強度の低下が問題でない場
合は、この光増幅部302は省略して良い。入射側光フ
ァイバ伝送路301、光増幅部302は、入射光パルス
導入部303を介して光パルス圧縮装置313に結合さ
れている。
【0039】入射光パルス導入部303から光パルス圧
縮装置313に導入された光パルスは、入射光パルス伝
送光ファイバ304を通り、入射光結合部305で平行
光束にされた後、集光レンズ306により入射光307
として図1もしくは図2の構成からなる光パルス圧縮部
308上に集光される。そして、信号光パルスは、光パ
ルス圧縮部308内で吸収飽和によりパルス圧縮され、
出射光309として、光パルス圧縮部308より反射さ
れる。
【0040】出射光309は、集光レンズ306を通過
した後は平行光束となり、出射光結合部310によって
出射光パルス伝送光ファイバ311に導入される。出射
光パルス伝送光ファイバ311は出射光パルス導出部3
12に接続されており、これらの構成部分は格納パッケ
ージ内に収められている。このようにしてパルス圧縮さ
れた信号光パルスは、出射光パルス導出部312に接続
された出射側光ファイバ伝送路314を通して伝送され
る。
【0041】尚、本例では、入射光パルス伝送光ファイ
バ304または出射光パルス伝送光ファイバ311と光
パルス圧縮部308との間を入射光結合部305または
出射光結合部310と集光レンズ306という各々異な
る光学結合系を用いている。その理由は、光ファイバと
平行光束との間の挿入損失を最小にし、かつ光パルス圧
縮率を最大にするために、入射光パルス伝送光ファイバ
304および出射光パルス伝送光ファイバ311との開
口数の一致と、光パルス圧縮部308への入射光307
の集光ビーム径の最小化を、独立に行う必要があるため
である。
【0042】また、バイアス電圧源315は、各光パル
ス入射語毎に生成された光キャリアが光パルス圧縮部3
08に蓄積されないよう、逆バイアス印加により引き抜
くために用いる。このように、本例の光パルス圧縮装置
313、すなわち、光パルス伝送装置は、従来の群速度
分散補正による光パルス圧縮素子と異なり、光ファイバ
伝送路の経路の中、任意の地点に設置することが可能で
あり、設置地点の制約を受けない光パルス圧縮中継器と
して用いることができる。
【0043】次に、図6を用いて、光増幅部をパッケー
ジ内に収めた集積化を行うための他の構成について説明
する。図6は、本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係
わる構成の第6の実施例を示すブロック図である。本例
は、光ファイバ通信に利用する光パルス伝送装置として
の光パルス圧縮装置の他の構成例を示し、本例の光パル
ス圧縮装置413も、図5における光パルス圧縮装置3
13と同様にパッケージ化され、入射光パルス導入部4
01および出射光パルス導出部402によって、入射側
光ファイバ伝送路および出射側光ファイバ伝送路との接
続を行う構成である。
【0044】信号光パルスは、入射光パルス伝送光ファ
イバ403を通して光増幅部404に送られる。ここで
入射光パルスは強度増幅され、その後、入射光パルス伝
送光ファイバ405およびレンズからなる入射光結合部
406を介して平行光束となる。逆に、平行光束を集光
してファイバに入射するための出射光結合部407を、
出射側に設けてある。
【0045】入射光結合部406により平行光束となっ
た入射光は、集光レンズ408により集光された入射光
409として光パルス圧縮部410へと入射され、パル
ス圧縮された後、出射光41lとして反射され、集光レ
ンズ408、出射光結合部407、出射光パルス伝送光
ファイバ412を経て外部へと導出される。尚、これら
の各構成部品が全て格納パッケージ内に収められてい
る。また、バイアス電圧源414は、光キャリアが光パ
ルス圧縮部410に蓄積されないよう引く抜くために用
いられる。
【0046】また、光パルス圧縮部410は、図1もし
くは図2で説明した断面構造を有する。本例の素子状に
パッケージ化された光パルス圧縮装置を、パルス圧縮機
能を有する光パルス伝送装置として光ファイバ伝送路の
任意の場所に設置することにより、光パルス圧縮中継器
として、伝送信号を担う光パルスの幅を効率良く圧縮す
ることができる。
【0047】図7は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係わる構成の第7の実施例を示すブロック図であ
る。本例は、波長多重を併用した伝送に本発明の光パル
ス圧縮装置を光パルス伝送装置として利用したものであ
る。波長多重を併用した伝送方式では、各チャンネルに
対応した中心波長の光パルスに対して各々最適化した光
パルス圧縮/伝送装置を使用することが必要となる場合
がある。この最適化とは、各々のチャンネルの光パルス
に対する圧縮率が最大となるように、ブラッグ反射の中
心波長と吸収ピーク波長を光パルスの中心波長に応じて
変化させることを指す。
【0048】本例では、n本のチャンネル(波長W1〜
Wn)に対して各々1個の光パルス圧縮装置(図中、
「W1〜Wn」と記載)501-1〜501-nを対応さ
せた構成である。各々の光パルス圧縮装置501-1〜
501-nは、図5もしくは図6に示した構成を用いて
最適化を行ったものである。
【0049】波長多重された光パルスを波長分波部50
2で各チャンネルに分割する。各チャンネルに分割され
た光パルスは、各チャンネルの光パルス圧縮装置501
-1〜501-nにつながる光ファイバ中を伝送され、各
光パルス圧縮装置501-1〜501-nでパルス圧縮さ
れた後、波長合波部503で再び波長多重され、後段の
経路へと伝送される。
【0050】以上、図1〜図7で示した例では、位相シ
フト分布ブラッグ反射器という面型の構造での光パルス
圧縮装置および光パルス伝送装置の説明を行なったが、
光パルス圧縮/伝送装置としては、位相シフト分布帰還
導波路も利用できる。この場合、導波路内の周期的回折
格子に位相シフト(4分の1波長分)を設け、位相シフ
ト部に光が局在することによる閉じ込め効果を利用す
る。
【0051】この光導波路の反射スペクトルには、反射
率が低くなり内部に光が強く閉じ込められる波長領域が
存在する。その波長領域を、伝送もしくは発生させる光
パルスのスぺクトルの中心波長に一致させる。また、こ
の光導波路では、内部に形成した回折格子による分布帰
還型の光フィードバックと位相シフト部でのフイードバ
ック変調を利用している。従って、端面は無反射条件に
しておかなければならない。以下、このような光パルス
圧縮装置として、位相シフト分布帰還導波路を利用する
例を説明する。
【0052】図8は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係わる構成の第8の実施例を示す断面図である。本
例は、図1〜図7で用いた面型の光パルス圧縮装置の代
わりに、光導波路型の光パルス圧縮装置の構成とし、光
パルスを圧縮するものであり、本図では、その断面を示
している。
【0053】本例の光導波路型光パルス圧縮装置は、下
部クラッド601を1μmの厚みで形成し、次いで高屈
折率のn(H)層602を0.5μm積層する。可飽和吸収
層603となる量子井戸層を積層後さらにn(H)層60
2を積層する。その後、電子線描画とドライエッチング
により、本図に示した方形波状の回折格子の断面構造に
加工し、低屈折率のn(L)層604で埋め込む。そし
て、その上に上部クラッド層605を1μm積層する。
また、逆バイアス電圧を加えてバンドギャップ付近に蓄
積された光キャリアを引き抜くためのバイアス電圧源6
08を光導波路上面に接続する。電圧は基板上面から基
板裏面へと走る。また、基板裏面に接地用電極(GN
D)を設ける。
【0054】n(H)層602と可飽和吸収層603およ
びn(L)層604が光導波路のコアとなる。クラッド層
にはAlInAs(Al:In組成比 0.47:0.53)、
n(H)層602にはGaInAsP(Ga:In組成比 0.3
3:0.67、 As:P組成比 0.71:0.29)を、
可飽和吸収層603には厚み10nmのGaInAs(G
a:In組成比0.47:0.53)を、そしてn(L)層
604にはInPを用いる。基板はInPであり、各層と
もInPに格子整合するように設定してある。
【0055】この光導波路では、回折格子の周期性が位
相シフト部606で不連続に変化している。位相シフト
部606とは、図で矢印に沿って垂直方向に存在する位
相境界面のことである。この位相シフト部606では、
多重反射による干渉条件が変調を受け、高い強度の光が
局在する。さらに、光導波路の入射面での反射を除去す
るため、端面には無反射コート層607が形成されてい
る。本例では、入射光と出射光は同一軸に沿って伝搬す
る。従って、光導波路型光パルス圧縮装置を用いた素子
装置を構成するには、面型とは異なる集光系が必要にな
る。このための構成を次の図9を用いて説明する。
【0056】図9は、本発明の光パルス圧縮装置の本発
明に係わる構成の第9の実施例を示すブロック図であ
る。本例は、光ファイバ通信用の光パルス伝送装置とし
て応用した光パルス圧縮装置712の構成を示し、入射
光パルス導入部701、出射光パルス導出部702、入
射光パルス伝送光ファイバ703、光増幅部704、増
幅後の入射光パルス伝送光ファイバ705、戻り光を除
去するための光アイソレータ706、入射光用光ファイ
バと出射光用光ファイバとが1本に融合された結合光フ
ァイバ707、集光部708、入射光および出射光70
9、図8における構造の光導波路型光パルス圧縮部71
0、そして、出射光パルス伝送光ファイバ711からな
る。
【0057】これらが格納パッケージに収められた素子
構成となっている。尚、バイアス電圧源7l3により光
パルス圧縮部710に逆バイアス電圧を加える。本例で
は、入射光および出射光709が同一軸上を伝送するた
め、入射光用および出射光用ファイバが結合光ファイバ
707で融合した形をとっている。この場合、出射光が
入射光の経路に進入して戻り光となって伝送システム全
体を不安定にする恐れがある。この戻り光を除去するた
めに、光アイソレータ706を設けている。
【0058】集光部708は、2枚のレンズが直列に配
置された構成である。まず、前段のレンズ(結合光ファ
イバ707側)で光パルス圧縮部710へと入射する光
を平行光にした後、後段のレンズ(光パルス圧縮部71
0側)で光導波路端面に集光される。光パルス圧縮部7
10から出た光の逆の経路を辿る。このような2枚構成
により、集光部708の開口数を結合光ファイバ707
と光パルス圧縮部710の各々の値に一致させることが
でき、挿入損失を最小にできる。
【0059】次に、図1,2,8の構造の光パルス圧縮
装置を光の位相変調部として用いて、短パルス光を発生
するレーザ光源を構成する例、すなわち、本発明のレー
ザ光発生装置について、次の図10に基づいて説明す
る。
【0060】図10は、本発明のレーザ光発生装置の本
発明に係わる構成の第1の実施例を示すブロック図であ
る。本例のレーザ光発生装置は、図10(a)に示すよ
うに、光パルス圧縮部801、レーザ活性部802、集
光部803、出射光804および共振器内伝搬光805
から構成されている。
【0061】光パルス圧縮部801の内部構成は、図1
0(b)または図10(c)に示す。また、レーザ活性
部802は、半導体レーザダイオードチップの共振器側
端面(図10(a)ではレーザ活性部802の右側の端
面)に無反射コートを施したものである。光通信に使わ
れる波長1300nm帯あるいは1550nm帯での利用を
考え、レーザチップはInGaAsPを活性層とするファ
ブリーぺローレーザもしくはDFBレーザを用いる。
【0062】レーザ共振器内では光パルス強度は強く、
上述の第1〜第9の実施例で用いた光パルス圧縮原理は
機能せず、むしろ位相変調機能が強くなる。つまり、パ
ルス強度が強いためパルスの大部分が透過してしまい、
パルスの立ち上がりおよび立ち下がり部で自己位相変調
による周波数シフトが顕著になる。このパルス波形の両
端で周波数シフトを起こした光パルスと、周波数シフト
していない元の波形のままの光パルスを重ね合せると、
干渉によりパルスの両端が消滅し、パルスのピーク付近
が強め合う。この重ね合せ効果により吸収飽和に代わる
パルス圧縮が可能である。
【0063】図10(b)および図10(c)では、そ
れぞれ、マイケルソン型干渉計に基づく光パルス圧縮部
の構成を示す。図10(b)が面型の位相変調部を用い
たもので、図10(c)では光導波路型を用いている。
まず、図10(b)について説明する。共振器内伝搬光
805には、レーザ活性部802から光パルス圧縮部8
01へ向かう方向に伝搬する光パルス成分と、光パルス
圧縮部801からレーザ活性部802へ向かう方向に伝
搬する光パルス成分とが含まれる。
【0064】レーザ活性部802から来た光パルス成分
は、ビームスプリッタ806で二方向に分岐される。そ
の片方の分岐光807は集光部808で集光され、面型
の位相変調部809に入射される。位相変調部809で
自己位相変調を受けた光パルスが反射されビームスプリ
ッタ806へと戻される。また、もう一方の分岐光81
0は、高反射ミラー811に入射し、位相変調は受けず
に元の方向へ反射される。
【0065】これらの二成分の光パルス(分岐光80
7,810)がビームスプリッタ806で重ね合わさ
れ、干渉による光パルス圧縮を受ける。そして、このよ
うにして圧縮された光パルスがレーザ活性部802へと
戻され、ここで増幅され、さらにパルス波形は鋭くな
る。この過程を繰り返すことによって、パルス幅の短い
レーザ光が出射光804としてレーザ端面(図10
(a)の左側)より放出される。
【0066】図10(c)は、光導波路を用いた光パル
ス圧縮部の構成を示している。ここでは、共振器内伝搬
光805が集光部812を通して光導波路部分に入射す
る。片方は、分岐光導波路813を伝搬し、集光部8l
4を通して光導波路型の位相変調部815に入射され、
自己位相変調した光パルスが反射される。また、もう一
方は、分岐光導波路8l6を伝搬し、集光部817を通
して光導波路型ミラー818に入射され、位相変調を受
けずに反射される。
【0067】そして、二方向から反射されてきた光パル
スが重ね合わされ、パルス圧縮を受けて、光導波路端か
らレーザ活性部802へと戻される。これにより、パル
ス幅の短いレーザ光が出射光804として放出される。
必要に応じて、レーザ活性部802に光の共振器往復周
期に共鳴する周波数の電気信号を加えて、強制モード同
期する。尚、図10(b)および図10(c)において
も、逆バイアス電圧を供給できるようバイアス電圧源8
19を設けている。
【0068】面型あるいは光導波路型の光パルス圧縮部
を用いると、光パルス幅を短くできるので、パルス圧縮
率が高い場合、位相変調を用いずに、圧縮部でパルス圧
縮された光パルスを共振器へ直接戻すことによって短パ
ルスを発生するレーザ光源を構成することができる。そ
のような構成を図11を用いて説明する。
【0069】図11は、本発明のレーザ光発生装置の本
発明に係わる構成の第2の実施例を示すブロック図であ
る。本例においては、面型あるいは光導波路型の光パル
ス圧縮部901を共振器端に置き、反射型光パルス圧縮
部として用いる。その他の構成部分は、レーザ活性部9
02、集光部903,904、出射光905および共振
器内伝搬光906である。
【0070】レーザ活性部902は、図10における第
1の実施例のものと同じものを用いる。レーザ活性部9
02から出た光は集光部903で平行光線とされ、集光
部904で光パルス圧縮部901に集光される。光パル
ス圧縮部901から戻ってきた光は同一光路上を入射し
た光と逆方向に進む。これらの入射光および戻り光が共
振器内伝搬光906を構成する。
【0071】このようにして光が往復するにつれて、光
パルス圧縮部901でパルス圧縮され、短パルスの出射
光となって、共振器外に放出される。尚、この時、必要
に応じてレーザ活性部902に、光の共振器往復周期に
共鳴する周波数の電気信号を加えて、強制モード同期す
る。また、バイアス電圧源907は、逆バイアス電圧を
供給するために用いる。
【0072】図12は、本発明の光パルス伝送装置の本
発明に係わる構成の一実施例を示すブロック図である。
本例は、伝送用の信号となる光パルスを発生する光源
と、上述の第1〜第9の実施例で示した光パルス圧縮部
を用いて、短パルスの光信号の送信器を構成したもので
ある。
【0073】信号発生光源1001として、上述の各実
施例と同様、InGaAsPを活性層とするファブリーぺ
ローレーザもしくはDFBレーザを用いる。本実施例で
は、このレーザ自身が共振器を構成するので、端面には
無反射を施さない。また、電気的な入力信号1002を
入力信号伝送路1003を通して信号発生光源1001
に印加し、伝送信号となる光パルス列を生成する。これ
は、レーザを直接変調して光信号を発生するものであ
る。また、レーザは変調せず、レーザと光学的に接続さ
れた光変調器に入力信号1002を入力し、光信号を発
生する外部変調技術も使用できる。この技術では、本図
の信号発生光源1001が、連続発振レーザと外部変調
器に置き換わるだけで、模式的には等価である。
【0074】さらに、信号発生光源1001から発生し
た光パルス列を入射光信号1004として入射光伝送路
1005に通し、光パルス圧縮部1006へと導く。入
射光信号1004は、光パルス圧縮部1006でパルス
圧縮され、パルス幅の短い出射光信号1007として出
射光伝送路1008を通して送信される。このようにし
て、短パルスの光信号を送信する光パルス伝送装置を構
成することができる。
【0075】尚、この例で説明した短パルス光信号送信
器を複数個用いて、時間分割多重伝送に利用することが
できる。この場合、多重したい伝送チャンネル分の短パ
ルス光信号送信器を用いる。そして、各々の短パルス光
信号送信器を等しいパルス繰り返し周期(ビットレー
ト)で駆動する。さらに、各々のチャンネルの信号に対
応する光パルス列の間に時間軸上で重ならず、かつ均等
な時間間隔で時間軸上に時系列的に配列されるように時
間遅延を加える。その後、各々のチャンネルの光パルス
列を一本の光ファイバ中に多重することにより、時間分
割多重用の光パルス送信システムを構成することができ
る。
【0076】以上、図1〜図12を用いて説明したよう
に、本実施例の光パルス圧縮装置および光パルス伝送装
置では、屈折率の周期分布が低屈折率層から始まる位相
シフト分布ブラッグ反射器において、その内部の光強度
のピークと一致する位置に可飽和吸収層を配置した構成
とする。この構成とすることにより、パルス幅の拡がっ
たパルスを入射すると、吸収飽和により光パルスの時間
的に前縁となる部分が消滅し、1回の反射のみでパルス
幅が圧縮された光パルスとして伝送することができる。
【0077】また、本例のレーザ光発生装置では、本例
の光パルス圧縮装置における可飽和吸収による光パルス
圧縮またはそれに伴う位相変調を利用する等して短光パ
ルスを発生することができる。そして、このレーザ光発
生装置で発生した短光パルスを、本例の光パルス伝送装
置では、時間分割多重光伝送や波長分割多重光伝送に利
用することができる。尚、本発明は、図1〜図12を用
いて説明した実施例に限定されるものではなく、その要
旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、実効光パルスエネルギ
を増強して、半導体の吸収飽和の効率を増した光パルス
圧縮を行うことができ、任意の距離の光ファイバで伝送
された10pj(ピコ・ジュール)程度のエネルギの光パ
ルスの幅の圧縮が可能となり、時間分割多重光伝送や波
長分割多重光伝送に利用する短パルス光を効率良く生成
することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第1の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第2の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第3の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第4の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第5の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第6の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第7の実施例を示すブロック図である。
【図8】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第8の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明の光パルス圧縮装置の本発明に係わる構
成の第9の実施例を示すブロック図である。
【図10】本発明のレーザ光発生装置の本発明に係わる
構成の第1の実施例を示すブロック図である。
【図11】本発明のレーザ光発生装置の本発明に係わる
構成の第2の実施例を示すブロック図である。
【図12】本発明の光パルス伝送装置の本発明に係わる
構成の一実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
101:光パルス(入射)、102:光増幅部、10
3:光パルス(増幅後)、104:集光レンズ、10
5:入射光、106:光パルス圧縮部、107:出射
光、108:光パルス(出射)、109:バイアス電圧
源、201:n(L)層、202:n(H)層、203:可
飽和吸収層、204:単位セル、205:基板、20
6:バイアス電圧源、207:n(L)層、208:n
(H)層、209:単位セル、210:基板、301:入
射側光ファイバ伝送路、302:光増幅部、303:入
射光パルス導入部、304:入射光パルス伝送光ファイ
バ、305:入射光結合部、306:集光レンズ、30
7:入射光、308:光パルス圧縮部、309:出射
光、310:出射光結合部、311:出射光パルス伝送
光ファイバ、312:出射光パルス導出部、313:光
パルス圧縮装置、314:出射側光ファイバ伝送路、3
15:バイアス電圧源、401:入射光パルス導入部、
402:出射光パルス導出部、403:入射光パルス伝
送光ファイバ、404:光増幅部、405:入射光パル
ス伝送光ファイバ(増幅後)、406:入射光結合部、
407:出射光結合部、408:集光レンズ、409:
入射光、410:光パルス圧縮部、411:出射光、4
12:出射光パルス伝送光ファイバ、413:光パルス
圧縮装置、414:バイアス電圧源、501-1〜50
1-n:光パルス圧縮装置、502:波長分波部、50
3:波長合波部、601:下部クラッド、602:n
(H)層、603:可飽和吸収層、604:n(L)層、6
05:上部クラッド、606:位相シフト部、607:
無反射コート層、608:バイアス電圧源、701:入
射光パルス導入部、702:出射光パルス導出部、70
3:入射光パルス伝送光ファイバ、704:光増幅部、
705:入射光パルス伝送光ファイバ(増幅後)、70
6:光アイソレータ、707:結合光ファイバ、70
8:集光部、709:入射および出射光、710:光パ
ルス圧縮部(光導波路型)、711:出射光パルス伝送
光ファイバ、712:光パルス圧縮装置、713:バイ
アス電圧源、801:光パルス圧縮部、802:レーザ
活性部、803:集光部、804:出射光、805:共
振器内伝搬光、806:ビームスプリッタ、807:分
岐光、808:集光部、809:位相変調部、810:
分岐光、811:高反射ミラー、812:集光部、81
3:分岐光導波路、814:集光部、815:位相変調
部(光導波路型)、816:分岐光導波路、817:集
光部、818:導波路型ミラー、819:バイアス電圧
源、901:光パルス圧縮部、902:レーザ活性部、
903,904:集光部、905:出射光、906:共
振器内伝搬光、907:バイアス電圧源、1001:信
号発生光源、1002:入力信号、1003:入力信号
伝送路、1004:入射光信号、1005:入射光伝送
路、1006:光パルス圧縮部、1007:出射光信
号、1008:出射光伝送路。

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体中の可飽和吸収体の吸収飽和によ
    り、入射した光(入射光)の反射時に、該入射光のパル
    ス(光パルス)の幅の圧縮を行う光パルス圧縮装置であ
    って、 低屈折率からはじまる屈折率の周期分布を構成するよう
    低屈折率層および高屈折率層が積層され、上記入射光を
    強く閉じ込める薄膜層と、該薄膜層における光強度分布
    のピークとなる位置に配置された可飽和吸収体層とから
    なり、最上位層の上記低屈折率層に入射された光パルス
    の光強度を上記薄膜層で高め、上記可飽和吸収体の吸収
    飽和を強めることを特徴とする光パルス圧縮装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光パルス圧縮装置にお
    いて、上記可飽和吸収体層の光学厚と上記低屈折率層の
    光学厚との和、および、上記高屈折率層の光学厚のそれ
    ぞれを、もしくは、上記可飽和吸収体層の光学厚と上記
    高屈折率層の光学厚との和、および、上記低屈折率層の
    光学厚のそれぞれを、上記入射光の中心波長の1/4と
    することを特徴とする光パルス圧縮装置。
  3. 【請求項3】 請求項1、もしくは、請求項2のいずれ
    かに記載の光パルス圧縮装置において、上記薄膜層は、
    InPからなる低屈折率層とGaInAsPからなる高屈折
    率層を単位セルとして、該単位セルを複数積層してな
    り、上記可飽和吸収体層を上記単位セルの最上部および
    各単位セル間に配置することを特徴とする光パルス圧縮
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、上記可飽和吸収体層を上
    記低屈折率層もしくは上記高屈折率層で構成することを
    特徴とする光パルス圧縮装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、上記可飽和吸収体は、量
    子井戸構造の半導体薄膜からなることを特徴とする光パ
    ルス圧縮装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、バンドギャップ付近に蓄
    積された光キャリアを引き出すための逆バイアス電圧を
    加える手段を設けたことを特徴とする光パルス圧縮装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、上記最上位層の低屈折率
    層に入射される光パルスの光強度を増幅する手段を設け
    たことを特徴とする光パルス圧縮装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、上記入射光を上記薄膜層
    上に集光する集光手段を設けたことを特徴とする光パル
    ス圧縮装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれかに記載
    の光パルス圧縮装置において、入射光および反射光を伝
    送する光ファイバを有し、上記光ファイバでの伝送で拡
    がった入射光のパルスの幅を圧縮することを特徴とする
    光パルス圧縮装置。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれかに記
    載の光パルス圧縮装置において、上記薄膜層および上記
    過飽和吸収体を分布ブラッグ反射器内に設けたことを特
    徴とする光パルス圧縮装置。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項9のいずれかに記
    載の光パルス圧縮装置において、上記低屈折率層と上記
    高屈折率層とにより光導波路を形成し、該導波路内の周
    期的回析格子に、光を局在させる位相シフト部を設ける
    ことを特徴とする光パルス圧縮装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の光パルス圧縮装置
    において、最上位層の上記低屈折率層上に無反射コート
    層を設けたことを特徴とする光パルス圧縮装置。
  13. 【請求項13】 請求項11、もしくは、請求項12の
    いずれかに記載の光パルス圧縮装置において、上記光導
    波路の反射スペクトルにおける反射率が低くなる波長領
    域を、上記入射光のスペクトルの中心波長に一致させる
    ことを特徴とする光パルス圧縮装置。
  14. 【請求項14】 請求項1から請求項13のいずれかに
    記載の光パルス圧縮装置を具備し、光信号をパルス圧縮
    して伝送することを特徴とする光パルス伝送装置。
  15. 【請求項15】 請求項1から請求項13のいずれかに
    記載の光パルス圧縮装置を、異なる中心波長の光パルス
    毎に複数個設け、多重されて送られてきたそれぞれ異な
    る中心波長の各光パルスを分岐して上記中心波長で対応
    付けられる各光パルス圧縮装置に入射し、各光パルス圧
    縮装置でパルス幅を圧縮した後、合波して伝送すること
    を特徴とする光パルス伝送装置。
  16. 【請求項16】 請求項1から請求項13のいずれかに
    記載の光パルス圧縮装置の複数個を、等しいパルス繰り
    返し周期で駆動する手段と、各光パルス圧縮装置からの
    光パルスに時間遅延を与えて、均等な時間間隔で時間軸
    上に時系列的に配列する手段と、上記均等な時間間隔で
    配列された各光パルスを一つの伝送路に多重して伝送す
    る手段とを有することを特徴とする光パルス伝送装置。
  17. 【請求項17】 請求項1から請求項13のいずれかに
    記載の光パルス圧縮装置を、反射面として用いることを
    特徴とするレーザ光発生装置。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項13のいずれかに
    記載の光パルス圧縮装置と、レーザ光を発生させるレー
    ザ活性手段と、該レーザ活性手段の反射面側で上記レー
    ザ光を2経路に分岐して、一方のレーザ光を上記光パル
    ス圧縮装置に入射させ、他方のレーザ光を反射鏡に入射
    させ、上記光パルス圧縮装置からの反射光と上記反射鏡
    からの反射光を重ね合わせる光分岐合成手段とからな
    り、上記光パルス圧縮装置により周波数シフトさせた反
    射光のパルスと、上記反射鏡からの周波数シフトされて
    いない反射光のパルスとを重ね合わせて干渉させ、パル
    スの両端を消滅させて上記レーザ光を発することを特徴
    とするレーザ光発生装置。
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