JP2855122B2 - 塗装性に優れた樹脂組成物 - Google Patents

塗装性に優れた樹脂組成物

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JP2855122B2 JP1039461A JP3946189A JP2855122B2 JP 2855122 B2 JP2855122 B2 JP 2855122B2 JP 1039461 A JP1039461 A JP 1039461A JP 3946189 A JP3946189 A JP 3946189A JP 2855122 B2 JP2855122 B2 JP 2855122B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は塗装性、着色性、層状剥離の改良された、ゴ
ム質重合体を含むグラフト共重合体と芳香族ポリカーボ
ネートとからなる樹脂組成物に関する。
詳細には、本発明は、グラフト共重合体中のグラフト
成分に(場合によりビニル共重合体にも)特定の相溶化
用ビニル単量体を導入し且つカルボン酸を含めないよう
にしたので、非相溶なポリカーボネート樹脂とグラフト
共重合体のブレンド物を相溶性の改良されたブレンド物
にできて、カルボン酸抜きでも種々の特性を改良するこ
とにある。
(従来の技術) ゴム質重合体を含むグラフト共重合体とポリカーボネ
ート樹脂とを混合してなる樹脂組成物は、グラフト共重
合体の耐衝撃性あるいは耐熱性を向上させる目的で、ま
たはポリカーボネート樹脂の成形加工性あるいは衝撃強
度の厚み依存性を改良させる目的で通常行わているポリ
マーブレンドである。
然しながら、これらの組成物においては、塗装性など
の耐溶剤性、着色性、層状剥離などの欠点があり、これ
らの問題はグラフト共重合体とポリカーボネート樹脂が
本来非相溶な樹脂組成物であることに起因するものであ
ると考えられる。
このような問題を解決するために、ポリカーボネート
樹脂に特定の組成を有する(メタ)アクリレート・ブタ
ジエン系グラフト共重合体を所定の割合で配合する方法
が特開昭62−295950号公報に開示されているが、本来非
相溶なブレンド系であるため、改善ではあっても根本的
な解決になりえない。
また、特開昭63−132954号公報には、ポリカーボネー
ト樹脂に、マレイミドや(メタ)クリル酸等の耐熱性単
量体を導入したAS樹脂とABS樹脂をブレンドした耐熱性
樹脂組成物が開示されているが、非相溶なポリカーボネ
ート樹脂とAS樹脂、ABS樹脂との相溶化技術については
何も触れられていない。
ただ、本発明で相溶化用単量体として用いる(メタ)
クリル酸シクロヘキシルが1つの例示で示されている
が、このものは耐熱性向上の目的のためであって、本発
明のような相溶化用単量体としての使用には言及されて
いない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、このように従来非相溶なポリカーボ
ネート樹脂とグラフト共重合体のブレンド物を相溶性の
改良されたブレンド物とすることにより、この相溶化技
術によって種々の特性を改良することにある。
一例として塗装時におけるクラック発生の防止、着色
時における色むらの解消、成形片の層状剥離の改良など
を目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、ポリカーボネート樹脂とグラフト共重
合体とを含む優れた相溶性を有するブレンド物を求めて
鋭意検討した結果、グラフト共重合体中のグラフト成分
に(場合によりビニル共重合体にも)特定の相溶化用ビ
ニル単量体を特定量で導入し且つカルボン酸を含めない
ようにすることにより、上記目的を達成できることを見
出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は; (A)グラフト共重合体におけるゴム質量合体の割合が
5〜60wt%であり、(1)式の化合物及びこれと共重合
し得る他のビニル単量体の共重合体の割合が95〜40wt%
であって、 式(1)の化合物/(グラフト共重合体−ゴム質量合
体) の重量比が0.01〜0.5である、カルボン酸基を含まない
グラフト共重合体、 (式中、R1はHまたはCH3であり、R2はXまたはA−X
であり、その際、Xは(イ)5〜12個のC原子を有する
シクロアルキル基、または(ロ)5〜12個のC原子を有
するシクロアルキル基中の1個または数個の水素を、該
水素と同数のアルキル基で置換したシクロアルキル基、
または(ハ)6〜12個のC原子を有するアリール基、
(ニ)6〜12個のC原子を有するアリール基中の1個ま
たは数個の水素を、該水素と同数のアルキル基乃至オキ
シアルキレン基で置換したアリール基、のいずれかであ
り、Aは分枝状であってもよい1〜6個のC原子を有す
るアルキレン基か、または2〜4個のC原子を有するオ
キシアルキレン基である) (B)式(1)の化合物を1.0〜50wt%含み、これと共
重合し得る他のビニル単量体とを共重合して得られる、
カルボン酸基を含まないビニル共重合体、 (C)芳香族ポリカーボネート、 からなり、(A)、(B)の合計を100重量部としたと
き、 50≦(A)≦100 重量部 ・・・(2) であり、かつ重量比が、 である、塗装性に優れた樹脂組成物を提供する。
以下、本発明を具体的に説明する。
〔I〕グラフト共重合体(A) 本発明において用いるグラフト共重合体(A)中のゴ
ム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のもの
であれば用いることができる。
具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム
等のジエン系ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレ
ン、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレ
ン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三
元共重合ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴ
ム等のブロック共重合体およびそれらの水素添加物等を
使用することができる。
好ましくは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合
ゴムが挙げられる。
本発明において、グラフト共重合体(A)中のグラフ
ト成分に(場合によりビニル共重合体(B)にも)用い
られる式(1)の化合物はポリカーボネート樹脂に対す
る優れた相溶化用ビニル単量体である。
即ち、エステル基の中に環状炭化水素を有する(メ
タ)クリルエステルの具体例としては、以下、(イ)〜
(ニ)の基を有する(メタ)クリルエステル化合物が挙
げられる。
(イ)5〜12個のC原子を有するシクロアルキル基:シ
クロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、シクロペンチルメタクリレート、3−シクロヘキ
シルプロピルメタクリレート等。
(ロ)5〜12個のC原子を有するシクロアルキル基中の
1個または数個の水素を、該水素と同数のアルキル基で
置換したシクロアルキル基:3,3,5−トリメチルシクロヘ
キシルメタクリレート等。
(ハ)6〜12個のC原子を有するアリール基:フェニル
メタクリート、ベンジルメタクリレート、1−フェニル
エチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレー
ト、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニル
プロピルアクリレート、3−フェニルプロピルメタクリ
レート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−ナ
フチルメタクリレート等。
(ニ)6〜12個のC原子を有するアリール基中の1個ま
たは数個の水素を、該水素と同数のアルキル基乃至オキ
シアルキレン基で置換したアリール基:4−t−ブチルフ
ェニルメタクリレート、4−メトキシフェニルメタクリ
レート等。
上記式(1)の化合物と共重合しうる他のビニル単量
体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリ
レート類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビ
ニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のシアン化ビニル単量体;N−フェニルマレイミド等のマ
レイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリ
シジル基含有単量体が用いられるが、カルボン酸類は含
まれない。
好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート類、芳香
族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等であり、さら
に好ましくは、メチルメタクリレート、エチルアクリレ
ート、スチレン、アクリロニトリルが用いられる。
グラフト共重合体中のゴム質重合体の割合は5〜60wt
%の範囲で用いられるが、耐衝撃性と加工性の点で好ま
しくは10〜50wt%の範囲である。
5wt%未満の場合には、耐衝撃・補強効果が十分では
なく、60wt%を超えると、樹脂の流動性が低下し、加工
性が悪くなる。
式(1)の化合物/(クラフト共重合体−ゴム質重合
体)の重量比は0.01〜0.5であることが必要であり、好
ましくは0.1〜0.4の範囲である。
0.01未満の場合には、相溶化効果は十分ではなく、0.
5を超えると、逆に非相溶な系を形成するので好ましく
ない。
グラフト共重合体の製造方法としては、公知の方法、
例えば乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の方法を
用いて行うことができる。
この時に生成したグラフト共重合体をグラフト率
*(1)は任意に設定することができるが、好ましい範
囲としては5〜200%の範囲である。
グラフト率が5%未満の場合には、ゴム同志が凝集
し、成形片の外観が低下する。200%を超えると、耐衝
撃・補強効果が下がり好ましくない。
〔II〕ビニル共重合体(B): ビニル共重合体(B)とは、式(1)の化合物を1.0
〜5.0wt%含み、これと共重合し得る他のビニル単量体
とを共重合して得られる、カルボン酸基を含まないビニ
ル共重合体である。
本発明において、ビニル共重合体(B)に用いる共重
合しうる他のビニル単量体としては、グラフト共重合体
(A)を製造する際において使用可能な、前述したビニ
ル単量体の中から1種及び2種以上を自由に選ぶことが
できる。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート
類、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体であ
り、さらに好ましくは、メチルメタクリレート、エチル
アクリレート、スチレン、アクリロニトリルが用いられ
る。しかし、カルボン酸類は含まれない。
ビニル共重合体(B)の分子量としては、機械的強
度、成形性の観点から5,000〜200,000の範囲のものが用
いられるが、好ましくは10,000〜80,000の範囲のもので
ある。
〔III〕芳香族ポリカーボネート(C) 本発明において用いる芳香族ポリカーボネート(C)
としては、一般に2価フェノールとホスゲンとの反応物
を用いることができる。2価フェノールとしては、ビス
フェノールAとして公知の2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)−プロパンが好ましい。また、ビスフェノ
ールAの一部または全部を他の2価フェノールで置換し
たものであってもよい。
例えば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−アルカ
ン、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン
などを挙げることができる。
芳香族ポリカーボネート(C)の分子量は機械的強
度、成形性の観点から10,000〜200,000の範囲で用いる
ことができ、好ましい範囲は20,000〜80,000である。
〔IV〕樹脂組成物: グラフト共重合体(A)、ビニル共重合体(B)、芳
香族ポリカーボネート(C)のブレンド物は、通常の押
出機によるメルトブレンドや溶媒に溶かした後にブレン
ドする溶液ブレンド法により製造することができる。
グラフト共重合体(A)、ビニル共重合体(B)の合
計を100重量部としたとき、 50≦(A)≦100 重量部 ・・・(2) であり、場合により、ビニル共重合体(B)は50重量部
未満の範囲でグラフト共重合体(A)にブレンドでき
る。
また、樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート
の比率は: の範囲において、任意の割合でデザインする事が可能で
あり、耐熱性と成形加工性のバランスから自由に設計で
きるが、好ましい範囲は樹脂組成物中に芳香族ポリカー
ボネートが20〜80wt%の範囲で含まれる場合である。
0.05未満の場合は、グラフト共重合体の量が少なく、
ポリカーボネート樹脂の成形加工性、衝撃強度の厚み依
存性の改良効果が小さい。また、20を超える場合は、ポ
リカーボネート樹脂の含量が少なく、実質的な耐熱性向
上効果は見られない。
この際、必要に応じて、ガラス繊維、ガラスフレー
ク、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、可
塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加するこ
とが可能である。
〔実施例〕
本発明をさらに具体的に説明するために、以下実施例
および比較例により説明するが、これらは本発明を制限
するものではない。
(参考例) (1) グラフト共重合体(A)の調製 ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径3000Å、
ゲル含量85%)30wt%(固形分換算)に対し、表1〜2
に示す組成の単量体混合物70wt%を乳化重合してグラフ
ト共重合体を得た。
重合したグラフト共重合体の数平均分子量は50,000〜
80,000の範囲であった。
(2) ビニル共重合体(B)の調製 表1〜2に示す組成の単量体混合物を乳化重合してビ
ニル共重合体を得た。
得られた共重合体の数平均分子量は50,000〜80,000の
範囲であった。
(3) 芳香族ポリカーボネート(C) 芳香族ポリカーボネートとしてはビスフェノールAと
ホスゲンとの反応生成物(分子量30,000)を用いた。
(実施例1〜23および比較例1〜3) 表1〜2に示す評価組成で、グラフト共重合体、ビニ
ル共重合体、芳香族ポリカーボネートをブレンドし、小
型押出機により250℃でメルトブレンドしたペレット
を、小型射出成形機械により成形したサンプルを用い
て、塗装性、着色性、層状剥離の測定を行った。その結
果を表1〜2に示す。
なお、実施例および比較例における、評価のための測
定方法は以下のとおりである; <測定方法> 塗装性: ダンベル試験片を、シンナー50/塗料50よりなる塗装
用塗料に20秒間浸漬した後、80℃の熱風乾燥機中で30分
間乾燥する。乾燥後の成形片表面を実体顕微鏡で観察
し、クラックの有無を観察した。
○・・・クラック無し △・・・クラックはないが、塗料の吸い込みが見られ
る。
×・・・クラック有り 着色性: 押出ブレンド時に赤発色剤(ペニロン系染料)を0.1
部添加し、カラーリングした後、カラープレートを成形
し、着色性を観察した。
○・・・色調が均一である。
×・・・色調にムラがあり、白くボケている。
層状剥離 ダンベル成形片の引張り試験(ASTMD−638)におけ
る、成形片破断時の剥離状態を目視により観察した。
○・・・剥離が見られない。
×・・・剥離が見られる。
(発明の効果) 以上の結果から分かるように、本発明においては、特
定の相溶化用(メタ)アクリルエステル系単量体を、グ
ラフト共重合体(A)中のグラフト成分に(場合により
びビニル共重合体(B)にも)導入し、且つカルボン酸
を含めないようにすることにより、芳香族ポリカーボネ
ート(C)との相溶性が高まると共に、カルボン酸抜き
でも塗装性、着色性、層状剥離等の実用特性が改良され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 169/00 C09D 169/00 //(C08L 51/04 69:00 33:08) (C08L 69/00 51:04 33:08) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 51/00 - 51/10 C08L 33/04 - 33/16 C08L 69/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)グラフト共重合体におけるゴム質重
    合体の割合が5〜60wt%であり、式(1)の化合物及び
    これと共重合し得る他のビニル単量体の共重合体の割合
    が95〜40wt%であって、 式(1)の化合物/(グラフト共重合体−ゴム質重合
    体) の質量比が0.01〜0.5である、カルボン酸基を含まない
    グラフト共重合体、 (式中、R1はHまたはCH3であり、R2はXまたはA−X
    であり、その際、Xは(イ)5〜12個のC原子を有する
    シクロアルキル基、または(ロ)5〜12個のC原子を有
    するシクロアルキル基中の1個または数個の水素を、該
    水素と同数のアルキル基で置換したシクロアルキル基、
    または(ハ)6〜12個のC原子を有するアリール基、
    (ニ)6〜12個のC原子を有するアリール基中の1個ま
    たは数個の水素を、該水素と同数のアルキル基乃至オキ
    シアルキレン基で置換したアリール基、のいずれかであ
    り、Aは分枝状であってもよい1〜6個のC原子を有す
    るアルキレン基か、または2〜4個のC原子を有するオ
    キシアルキレン基である) (B)式(1)の化合物を1.0〜50wt%含み、これと共
    重合し得る他のビニル単量体とを共重合して得られる、
    カルボン酸基を含まないビニル共重合体、 (C)芳香族ポリカーボネート、 からなり、(A)、(B)の合計を100重量部としたと
    き、 50≦(A)≦100 重量部 ・・・(2) であり、かつ重量比が、 であることを特徴とする、塗装性に優れた樹脂組成物。
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