JP2853311B2 - 動圧みぞ付軸受及びその製造方法 - Google Patents

動圧みぞ付軸受及びその製造方法

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JP2853311B2 JP26017690A JP26017690A JP2853311B2 JP 2853311 B2 JP2853311 B2 JP 2853311B2 JP 26017690 A JP26017690 A JP 26017690A JP 26017690 A JP26017690 A JP 26017690A JP 2853311 B2 JP2853311 B2 JP 2853311B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、事務用機器,音響機器,測定機器等に使用
される動圧みぞ付軸受及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の合成樹脂よりなる筒状のすべり軸受、特に内径
面に動圧発生用のみぞを設けた動圧みぞ付軸受は、弾性
のある熱可塑性合成樹脂にグラファイト,炭素繊維,二
硫化モリブデン,フッ素樹脂などの潤滑性物質を混合し
た複合材料を用いて成形型により射出成形し、樹脂の弾
性を利用して成形型から引き抜く方法で製造されている
が、PTFE以外の熱可塑性樹脂材料を用いた動圧みぞ付軸
受については、製造は可能であるものの、成形収縮が大
きく寸法精度が不十分であり、また摩擦特性も充分では
なく、動圧みぞ付軸受としては性能が十分には発揮され
ていない。
これに対して、特開昭63−203916号公報(以下、第1
従来例という)には、精度の良い熱硬化性樹脂を用いた
動圧みぞ付軸受とその製造方法が提案されている。これ
は、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,不飽和ポリエステ
ル樹脂,ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂よ
りなり、内径面に動圧発生用のみぞが形成された薄肉内
筒体を、金属性の外筒体の内径面に固着した動圧みぞ付
軸受である。
この動圧みぞ付軸受の製造に際しては、あらかじめ内
径面に多数条の凹みぞ或いは接着剤等の固着手段が施さ
れた外筒体を外型に嵌装し、動圧発生用のみぞの形状に
対応する凸条が外周面に配列された内型と前記外型に嵌
装された外筒体との間の細幅の環状空間に、熱硬化性樹
脂を加熱溶融した成形材料を供給し、この成形材料を硬
化させて内筒体を成形するとともに、これを外筒体に固
着手段を介して固着保持せしめて内筒体と外筒体とが一
体となった積層構造とし、しかる後、内筒体と外筒体と
の積層構造を外型および内型から軸方向に抜き出して離
型する。
また、実開昭60−93012号公報(第2従来例)は、予
め平板の片面に動圧発生用みぞをエッチングもしくは塑
性加工等により形成しておき、この平板を軸の外周面ま
たは軸を支持する支持部材の内周面の形状に合致するよ
うに丸めて両端を突き合わせて接合することにより形成
したスリーブを、前記軸の外周面または支持部材の内周
面に嵌合固定してなる流体軸受である。
また、実公昭63−27143号公報(第3従来例)は、軸
体と軸受とが相互のすべり面を介して正逆方向に相対的
運動が可能とされ、前記すべり面の少なくとも一方に矢
じり状の動圧発生用みぞが形成されている動圧形すべり
軸受である。その動圧発生用みぞは、矢先方向が軸体と
軸受との一方向の運動方向に一致するみぞと、矢先方向
が他方向の運動方向に一致するみぞとからなり、一方向
の運動方向と他方向の運動方向との正逆両方向とも動圧
を発生するすべり軸受とされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記第1従来例においては、熱硬化性
樹脂が成形精度に優れるものの樹脂自体の摩擦特性,摩
擦特性が低く、たとえグラファイト,炭素繊維,二硫化
モリブデンなどの潤滑性物質を混合しても、良好な摩擦
特性,摩擦特性は得られないという問題点があった。
また、単体の軸受を複数個組み込んでユニット化する
場合に、複数個の軸受の内径の同軸度をだすことが困難
であるという問題点があった。
さらに、上記第2従来例においては、軸の回転により
動圧発生用みぞに流体の動圧を発生させて軸を支持する
ラジアル形の流体軸受であって、動圧発生用みぞは軸の
外周面または支持部材の内周面の全円周に及んで連続的
に形成されているが、この動圧発生用みぞを予め片面に
形成した平板を丸め両端を突き合わせて形成されたスリ
ーブを、軸の外周面または支持部材の内周面に嵌合固定
しているため、製造工程が複雑で生産コストが高くなる
という問題点があった。更に、平板の切断長さや、平板
両端の突き合わせ部の凹凸や、さらに形成したスリーブ
を嵌合する際の軸または支持部材との嵌め合い等のばら
つきのため、均一な品質が得難いという問題点があっ
た。
更に、PTFE系のような軟らかい合成樹脂平板(シー
ト)は、丸めて両端を突き合わせて支持部材の内周面に
嵌合固定しただけでは精度(真円度、円筒度、など)が
出ず、動圧軸受に必要な精度を出すことが困難であると
いう問題点があった。
一方、上記第3従来例の動圧形すべり軸受にあては、
軸体と軸受との相互のすべり面が円筒状の場合、矢じり
状の動圧発生用みぞが少なくとも一方のすべり面の全周
にわたり連続して形成されたものが示されているが、こ
れを実際に量産ベースで製造することは容易ではないと
いう問題点があった。
そこで本発明は、上記従来の問題点に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、円筒状の内周
面に全周ではなく所定の円周角範囲内を限って矢じり状
の動圧発生みぞを形成するものとすることにより、製造
容易で、安価、且つ寸法精度にも優れ同心度が維持でき
る動圧みぞ付軸受及びその製造方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の動圧みぞ付軸受は、外筒の軸方向における2
個所において、その内周面にそれぞれ矩形のシートが接
着され、各シートの内面に動圧発生用のみぞが形成さ
れ、各シートが該シートの円周方向のシート端の間で軸
方向に連続するすきまを有して接着されている。
また、本発明の動圧みぞ付軸受の製造方法は、外筒の
内周面に樹脂よりなるシートを接着した動圧みぞ付軸受
の製造方法であって、前記シートは矩形をしていて一方
の面に動圧発生用のみぞが塑性加工によって形成される
と共に、当該シートにおける前記外筒内面の円周方向の
寸法が前記外筒内面の円周より短い長さであり、該シー
トをシートの他方の面が外筒の内周面に接着剤を介して
対向するように巻装し、このシートの巻装は外筒の軸方
向における2個所において行い、前記両シートの内面に
一本の円筒体を挿入して当該円筒体により前記各シート
を圧迫し、この圧迫により当該各シートを外筒の内周面
及び円筒体の外周面になじませ、前記接着剤の硬化後に
前記円筒体を除去することによって、動圧みぞ付軸受を
製造する。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明において、使用される樹脂、特にPTFEを主成分
とする熱可塑性樹脂は、PTFEに摩耗特性向上物質を混合
したものである。PTFEの含有量は50〜90wt%のものが好
ましい。50wt%より少ないとPTFEの特性である摩耗特性
が低下する。一方、90wt%より多いと摩耗性向上物質の
添加量が過少となり、耐摩耗性が向上しない。しかしな
がら、上記の範囲に必ずしも限定されるものではなく、
50wt%より少なくてもよく、また90wt%を越えてもよ
い。
混合される摩耗特性向上物質としては、例えばグラフ
ァイト,炭素繊維,二硫化モリブデン,ポリイミド,エ
コノール,ガラス繊維等を用いることができる。
本発明に関するPTFEを主成分とする樹脂のシートは、
上記PTFE樹脂と摩耗特性向上物質との混合材料を用いて
周知の樹脂シート製造法により形成されたものでよく、
例えば、ナフサなどの有機溶媒を加えてペースト状に
し、カレンダでシート状にした後、溶剤を揮発させてか
ら加熱炉中で焼成したものとか、混合材料の分散液を金
属面上に流し出したのち焼成し、形成されたフィルムを
剥離したものとか、成形した円柱ブロックから切削した
もの等が利用できる。シートの厚さは0.1〜2.0mmのもの
が好ましい。
このPTFEを主成分とする樹脂のシートを外筒の内径面
に接着する際には、シートの被接着面に、常法に従って
あらかじめ化学処理(脱フッ素処理)を施す。これは、
シートの接着性を改善するための処理であり、フッ素樹
脂専用のプライマを用いた表面処理とか、いわゆるナト
リウム処理法等が適用できる。
接着剤としては、ゴム系接着剤を溶剤で適正粘度に溶
かしたもの、あるいは熱硬化性接着剤等が使用できる。
これらの接着剤をPTFEを主成分とする樹脂シートの前記
化学処理を施した被接着面に均一に塗布したのち半乾燥
させる。または前記シートに塗布する代わりに、外筒の
内径面に接着剤を塗布するようにしてもよい。
なお、動圧発生用のみぞの深さは、適正な動圧効果を
得るためには5〜60μmが好ましい。しかし、PTFEを主
成分とする樹脂のシートの内面に形成された動圧発生用
のみぞの深さは、シートの外筒への接着前においては5
〜60μmより多少深い方が好ましい。この動圧発生用の
みぞは、PTFEを主成分とする樹脂のシートの一方の面に
塑性加工によって予め成形される。例えば他方の面であ
る被接着面に接着のための化学処理を施した後、化学処
理されない面に転造機により動圧発生用のみぞを転造す
るとともに、シート厚みを均一にする。この転造時の加
熱温度は100〜200℃が好ましい。もっとも、接着のため
の化学処理は、上記の動圧発生用のみぞの塑性加工後に
行ってもよい。
なお、このみぞの塑性加工は、転造ではなくてプレス
加工でもよい。
被接着面に接着剤が塗布された後(接着剤を外筒側に
塗布する場合は、被接着面に接着のための化学処理を施
しただけとなる)、他方の面に上記動圧発生用のみぞが
塑性加工されたPTFEを主成分とする樹脂シートは、必要
長さに切断され、被接着面を外側にし、丸めて外筒内に
挿入される。
なお、この時、本発明の直線運動用及び回転運動用動
圧みぞ付軸受の製造方法においては、樹脂シートにおけ
る前記外筒内面の円周方向の寸法を、前記外筒内面の円
周より短い長さにする。すなわち本発明にあっては、外
筒の内周面に接着される樹脂シートは、シート端を突き
合わせることなく円周方向にすきまを有して接着され
る。その理由は、軸体を軸受に挿入し、直線運動及び回
転運動の動圧みぞ付軸受として実使用する場合には、軸
受面が軸体から受ける負荷荷重は一方向となることが多
く、反荷重側まで負荷圏がくることは殆どないから、反
荷重側は動圧発生用みぞがなくとも実用上問題がないた
めである。このように負荷荷重に影響のない部分を切除
してシート端にすきまを設ければ、突き合わせが不用と
なり製造が極めて容易で、安価な軸受が得られる利点が
ある。
外筒の内周面と動圧発生用みぞのある軸受面との同心
度が維持されるためには、動圧発生用みぞが形成された
上記シートの接着範囲が円周角240゜以上であればよ
い。換言すれば、前記接着されたシート端のすきまは、
外筒の内周面での中心角度で120゜以下とするのがよ
い。
また、動圧みぞ付軸受の製造方法においては、シート
を丸めて外筒内に挿入した後、この丸めたシート内面
に、最終的に形成される動圧みぞ付軸受の内周面直径よ
りいくらか大きい直径となる金属製またはプラスチック
製の円筒体からなるロッドを軽く圧入する。
そのロッドを挿入したままで、接着剤の硬化のために
加熱する。接着剤として例えばゴム系接着剤を使用した
場合は、60〜150℃の温度に10〜60分間加熱すればよ
い。
この加熱時に、シートの内面がロッドに圧迫されて多
少の塑性変形を伴うようにすると、外筒の内周面と動圧
発生用のみぞのある軸受面との同心度が確保し易く好ま
しい。そこで、外筒よりロッドの線膨張係数を大きくし
たり、また外筒よりシートの線膨張係数を大きくした
り、更に外筒よりロッドとシートとの線膨張係数をいず
れも大きくしたりして、外筒とロッドとシートとの線膨
張係数を選定すると、はじめロッドを比較的に楽に挿入
できて、しかも加熱時には熱膨張してシートの内面がロ
ッドに圧迫され、所望の塑性変形を伴うようにすること
ができる。それには、アルミニウムは鋼より線膨張係数
が大きく、PTFEを主成分とする樹脂はアルミニウムより
更に線膨張係数が大きいことを利用して、ロッドと外筒
との材質を適宜に選定すればよい。
また、外筒とロッドとシートとの線膨張係数を選定す
ると、シートの内面にロッドを隙間を隔てて挿入して
も、加熱時にはシートの内面がロッドに圧迫されて、多
少の塑性変形を伴うようにすることができる。
なお、常温硬化型の接着剤を使用した場合は加熱しな
くてもよく、シートの内面にロッドを圧入した状態のま
まで、硬化に必要な時間常温放置すればよい。
接着剤が硬化しシートが外筒内周面に接着された後、
シートの内面からロッドを抜き取る。
上記の丸めたシートは、複数枚を外筒に軸方向に間隔
をおいて挿入し、それぞれ接着した構成としてもよい。
その場合も各シートは共通にロッドの圧迫を受けて多少
の塑性変形を伴って外筒内径面に接着され、優れた内径
寸法精度、同軸度が得られる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
動圧みぞ付軸受は、軸体と軸受とが相互のすべり面を
介して、一方向の回転運動,正逆回転運動または軸方向
の直線運動を相対的に行うものである。したがって、動
圧発生用のみぞのパターンも、それらの相対運動の態様
に応じて定められる。
第1実施例を、第1図及び第2図に示すが、同実施例
は、動圧みぞ付軸受20が軸体10に対して、相対的に軸方
向の正逆の直線運動を行う軸受である。
この動圧みぞ付軸受20は、金属製の外筒21の内径面
に、PTFEを主成分とする樹脂のシート22が軸方向に間隔
をおいてそれぞれ接着され、該シートの内面には、例え
ば、第1図(b),(c)および(d)に示すようなや
じり状の動圧発生用のみぞ60,70が形成されている。
同図(b)に示すみぞは、矢先方向が軸方向右向きの
みぞ60と、軸方向左向きのみぞ70とを軸方向にほぼ同一
の間隔で交互に配設するとともに、円周方向に適宜の間
隔をおいて配列してある。
同図(c)に示すみぞは、矢先方向が軸方向右向きの
みぞ60と、軸方向左向きのみぞ70とを菱形状に向い合わ
せに接続して、軸方向にほぼ同一の間隔で、円周方向に
適宜の間隔をおいて配列してある。
同図(d)に示すみぞは、矢先方向が軸方向右向きの
みぞ60と、軸方向左向きのみぞ70とを軸と直角方向に波
形状に接続して、軸方向にほぼ同一の間隔で配列してあ
る。
なお、上記のみぞ60,70の深さは数μm〜数十μmの
範囲で適宜に選定されている。
また、上記の軸受の潤滑剤としては、油,グリース,
水および空気等のうち何れかが使用される。
そして、軸体10が矢符号A方向に直線運動した場合、
この運動方向Aに矢先が一致する軸方向右向きのみぞ60
のポンピング作用によって矢先部分の流体の圧力が高く
なり、軸受すきま23に流出した潤滑剤の流体膜によって
軸体10を支持する。軸体10が反対の矢符号B方向に直線
運動した場合は、矢先方向が運動方向Bに一致する軸方
向左向きのみぞ70のポンピング作用によってこのみぞ70
の矢先部分から軸受すきま23に流出した潤滑剤によって
流体膜が形成される。
上記の動圧みぞ付軸受20は以下のようにして製造した
ものである。
先ず、PTFEを主成分とし、これに摩耗特性向上物質と
しては、例えばガラス繊維を混合してなる樹脂シート22
の一方の面に、接着の前処理である脱フッ素処理を施
す。この実施例では、フッ素樹脂専用のプライマを用い
て常法通りに行った。その後、転造機にかけてシート22
を加圧加熱しつつ、脱フッ素処理しない他方の面に動圧
発生用のみぞ60,70を成形した。次にシート22の脱フッ
素処理した面に溶剤で適正粘度に調整したゴム系接着剤
を均一に塗布し、溶剤を揮発させて半乾燥させた後、シ
ート22を所要の寸法に切断した。2枚のシート22を、接
着剤塗布面が外側になるように丸めて金属製(又はプラ
スチック製)の外筒21内に、軸方向に間隔をへだてて挿
入し、第2図(a)に示す状態に取付けた。その状態の
シート内径をdとする。その後、挿入した前記シート22
の内面に外径Dの、円筒体たるロッドRを圧入する。こ
のロッド外径Dはシート内径dより若干大きいが、シー
ト22は弾性変形可能であり、且つまた、この挿入時点で
シート22と外筒21の摩擦係数が大きくなっているから、
ロッドRの挿入は可能である。その後所定温度に加熱す
ると、シート22は外筒21より線膨張係数が大きいのでロ
ッドRより受ける圧迫力はロッドRのシート22の内面へ
の挿入時以上となる。
なお、外筒21としてアルミニウムを使用し、ロッドR
として鋼を使用すると、外筒21とロッドRとの線膨張係
数の差が小さく、またシート22は外筒21より線膨張係数
が数倍大きいので、加熱時にシート22がロッドRより受
ける圧迫力はロッドRのシート22の内面への圧入時以上
となる。
このロッドRの圧迫による塑性変形を利用して、シー
ト22を外筒21の内面およびロッドRの外径面になじませ
る。所定時間経過して接着剤が硬化したら、ロッドRを
シート22の内径面から抜き取る。
このようにして、軸方向に間隔lをおいて接着された
2枚のシート22を、1本のロッドRで共通に圧して塑性
変形せしめることにより、優れた内径寸法精度と、軸方
向両端部の同軸度が保証された動圧みぞ付軸受20が得ら
れる。
第3図は動圧発生用のみぞの変形例を示している。こ
れは、軸体10と動圧みぞ付軸受20とが、相対的に回転運
動を行うラジアル動圧みぞ付軸受の場合のみぞパターン
である。
同図(a)は一方向回転の場合で、矢先方向が回転方
向に合わせた下向きのみぞ60がランド部80を介して円周
方向にほぼ同一の間隔で配列している。
同図(b)は正逆回転の場合で、矢先方向が下向きの
みぞ60と上向きのみぞ70とを軸方向に波形に接続して交
互に配設したものを、ランド部80を介して円周方向にほ
ぼ同一の間隔で配列している。
同図(c)は、シート22の軸方向の両端部分は除い
て、同図(a)のパターンと同様のパターンを形成して
いる。
次に第2実施例を、第4図に基づいて説明する。な
お、この実施例は、樹脂シート22のみぞパターンが直線
運動用、回転運動用のいずれの場合にも適用できる。
同図(a),(b)に示すように、外筒21の内周面に
接着される樹脂シート22の円周方向のシート端23a,23b
は、円周方向にシート端すきま24を有して接着されてお
り、突き合わせにされてはいない。そして、そのシート
端すきま24は、外筒21の内周面での中心角度θが120゜
以下に調整されている。
ここで、動圧発生用のみぞ60,70は、軸受面が実質的
に軸体10から負荷荷重をうける範囲のみに形成されてい
ればよい。その範囲は、通常外筒21の内周面における円
周角240゜以上の任意に範囲に限定されるために、シー
ト22のシート端すきま24は120゜以下が好適である。ま
た、たとえ負荷条件次第で円周角360゜近くを必要とす
る場合があっても、シート22の円周方向の両端面で動圧
発生用のみぞ60,70のパターンが連続する必要はない。
その他の構造及びその製造方法は、第1実施例と同様
であるために、説明を省略する。
なお、このように本実施例においては、シート22の外
筒21への接着の際にそのシート端を突き合わす必要はな
いため、シート22を次に述べる方法により形成すること
ができる。
すなわち、PTFEを主成分とし、これに摩耗特性向上物
質として例えばガラス繊維を混合してなる大型の樹脂シ
ート22Aの一方の面に、接着の前処理である脱フッ素処
理を施す。この実施例では、フッ素樹脂専用のプライマ
を用いて常法通りに行った。その後、転造機にかけて上
記大型樹脂シート22Aを加圧加熱しつつ、脱フッ素処理
しない他方の面に、例えば第1図(d)又は第3図
(a)に示すパターンを有する動圧発生用のみぞ60,70
を成形して、第5図(a)ないし(d)に示すような動
圧みぞ付大型シート22Aを形成した。
次にこの動圧みぞ付大型シート22Aの脱フッ素処理し
た面に溶剤で適正粘度に調整したゴム系接着剤を均一に
塗布し、溶剤を揮発させて半乾燥させた後、第5図
(a)ないし(d)のように所要の寸法を有する複数枚
のシート22に切断した。
第5図(a)及び(c)は、動圧みぞ付大型シート22
Aから複数枚のシート22を切り出すのに、各シート22の
上下端を突き合わせると動圧発生用のみぞ60,70のパタ
ーンが厳密に連続するようにした場合であり、第5図
(b)及び(d)の方はこれとは対照的に、動圧発生用
のみぞ60,70のパターンが上下端で連続しない任意の個
所で切断した場合である。
従って、幅や内径寸法の異なる動圧みぞ付軸受20の製
造に際して、転造法で作成した幅広の動圧みぞ付大型シ
ート22Aから、切断長さ及び切断幅を変えるだけで、所
要の単位のシート22を容易に切り出すことができるか
ら、極めて効率が良く、生産性に富むという利点があ
る。
さらに第3実施例を第6図に基づいて説明する。
この実施例は、一方向回転の軸体10の片側に荷重Fが
負荷されてモーメント荷重となっており、軸体10は負荷
側に向かって僅かに下り勾配に傾斜している。このた
め、軸受20のシート22の軸受面と軸体10の外面との間の
軸受すき間23は、軸方向に変化している。この場合も軸
受面が実質的に軸体10から負荷荷重をうける範囲は定ま
っているから、動圧発生用のみぞ60は負荷荷重をうける
範囲のみとされ、シート22の円周方向のシート端は突き
合わせにされず、シート端すきま24を設けてある。ただ
し、両シート22のシート端すきま24の位相は、180゜ず
らしてある。
第7図には、第4実施例示す。
この実施例は、外面が非円筒状の外筒30の内周面に、
動圧発生用のみぞを有し、そしてPTFEを主成分として摩
耗特性向上物質を混合してなる樹脂のシート22を組み込
んだものである。動圧みぞ付軸受としての作用・効果に
おいて上記実施例と異なる点はない。このように、外筒
体の外面については円筒状に限らず、角型その他必要に
応じて任意の形状のものを用いることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の動圧みぞ付軸受は、動
圧発生用のみぞを内面に形成した樹脂のシートが外筒の
内周面に接着された構成であるから、軸受の内径寸法精
度が十分に高精度となり、且つ極めて良好な摩擦特性が
得られる。また、樹脂のシートが外筒の内周面に円周方
向のシート端の間で軸方向に連続するすきまを有して接
着されるものであるから、シートを外筒内周面に接着す
る際にシート端の突き合わせをする必要はないため、組
み立てが容易であるという効果がある。
また、本発明の前記軸受では、シートの動圧みぞのパ
ターンやシートの幅に厳密な要求がなされないために、
シートの動圧発生用のみぞを塑性加工で形成した大型の
樹脂シートから、上記みぞの連続性を考慮せずに切断
幅,切断長さを変えて単体のシートを切り出し、そのシ
ート端を突き合わせる必要なしに外筒内に接着すること
ができ、よって、複数種類の軸受内径と軸受幅に自在に
対応できるために、量産が容易で安価に動圧形すべり軸
受を得ることができる効果もある。
特に、外筒への樹脂シートの接着位置を、外筒の軸方
向における2個所としたために、外筒内面の樹脂シート
の内側から円筒体により樹脂シートを圧迫して樹脂シー
トと外筒との間のなじみをよくする作業を、両シートに
対して同一の円筒体で同時に行うことができるから、こ
の作業を効率よく実行することができるとともに、両シ
ートにおける同軸度が高くなる効果もある。
また、本発明の製造方法によれば、外筒内周面に配設
されて接着剤が硬化する前にシートの内面に円筒体を挿
入して前記シートを圧迫するために、シートが外筒の内
周面と円筒体の外周面によくなじむことから、軸受すき
まを任意にコントロールすることができて、軸及び軸受
の振れを抑制でき、高精度の軸受とすることができるば
かりか、前記樹脂のシートを軸方向の2個所に組み込ん
でユニット化するから、複数個のシートの内径の同軸度
を出すことが容易になって、摩擦特性及び摩耗特性に優
れ、しかも寸法精度にも優れた前記軸受を製造すること
ができる効果もある。
【図面の簡単な説明】 第1図(a)は本発明の第1実施例の動圧みぞ付軸受の
縦断面図、第1図(b),(c),(d)はそれぞれ動
圧発生用のみぞのパターンを表した平面図、第2図
(a),(b)は本発明の動圧みぞ付軸受の製造工程を
説明する縦断面図、第3図(a),(b),(c)はそ
れぞれ動圧発生用のみぞの他のパターンを表した平面
図、第4図(a),(b)は第2実施例の動圧みぞ付軸
受の縦断面図、第5図(a),(b),(c),(d)
は第2実施例におけるシートを切り出す大型の樹脂シー
トの平面図、第6図は第3実施例の動圧みぞ付軸受の縦
断面図、第7図は第4実施例の動圧みぞ付軸受の縦断面
図である。 図中、20は動圧みぞ付軸受、21は外筒、22はシート、23
は軸受すきま、24はシート端すきま(すきま)、60,70
は動圧発生用のみぞ、lは間隔、Rはロッド(円筒体)
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 29/02 F16C 17/00 F16C 33/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外筒の軸方向における2個所において、そ
    の内周面にそれぞれ矩形のシートが接着され、各シート
    の内面に動圧発生用のみぞが形成され、各シートが該シ
    ートの円周方向のシート端の間で軸方向に連続するすき
    まを有して接着された動圧みぞ付軸受。
  2. 【請求項2】外筒の内周面に樹脂よりなるシートを接着
    した動圧みぞ付軸受の製造方法であって、前記シートは
    矩形をしていて一方の面に動圧発生用のみぞが塑性加工
    によって形成されると共に、当該シートにおける前記外
    筒内面の円周方向の寸法が前記外筒内面の円周より短い
    長さであり、該シートをシートの他方の面が外筒の内周
    面に接着剤を介して対向するように巻装し、このシート
    の巻装は外筒の軸方向における2個所において行い、前
    記両シートの内面に一本の円筒体を挿入して当該円筒体
    により前記各シートを圧迫し、この圧迫により当該各シ
    ートを外筒の内周面及び円筒体の外周面になじませ、前
    記接着剤の硬化後に前記円筒体を除去することを特徴と
    する動圧みぞ付軸受の製造方法。
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