JP2851380B2 - 押付部材の振動低減機構 - Google Patents

押付部材の振動低減機構

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、押付部材の振動低減機構に関するものであ
る。
(従来の技術) 例えば特開昭58−64156号公報に記載されるように、
下塗り工程又は中塗り工程を終了した自動車のボディ等
の塗装面に、押付機構により研磨ブラシを当接させ、給
水装置より研磨ブラシに水を供給しつつ、自動的に水研
を行う自動水研装置は知られている。
(発明が解決しようとする課題) ところが、上記のような装置においては、押付機構に
よってスプリング等を介して常に一定の押付力でもって
研磨ブラシを回転させつつ塗装面に弾性的に押付けるよ
うにしているので、凹凸のある自動車等の塗装面の形状
によっては研磨ブラシが共振点で大きく振動し、均一な
研磨作業(水研作業)を行うことができない。そこで、
共振点を実用上無害な周波数に設定することが考えられ
るが、そのようにすると押付制御が難しくなる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、ワークに
対して均一な押付力でもって研磨作業が行え、品質の向
上が図れる押付部材の振動低減機構を提供することを目
的とする。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、請求項1の発明の解決手
段は、研磨ツールが先端部に取付けられた回動部材と、
該回動部材を回転可能に支承するハウジングとの間に弾
性部材が介設されて押付部材が構成され、上記研磨ツー
ルをワークに弾性的に押付けて研磨作業を行うものにお
いて、上記回動部材の振動を検出する振動検出手段と、
該振動検出手段にて検出される回動部材の振動振幅に応
じて、上記回動部材の回動を規制する摩擦手段とを備え
る構成とする。
ここで、請求項2の発明では、上記請求項1における
振動検出手段は、回動部材の回転角変動を振動として検
出するものとする。また請求項3の発明では、上記請求
項1又は2において、研磨作業が位置決め動作、押付動
作、研磨動作及び研磨逃し動作の順に行われるに際し、
押付部材の押付力は、位置決め動作時には零で、押付動
作時に徐々に高められ、研磨動作時に最大値となり、研
磨逃し動作時には徐々に零にまで減少するよう制御され
るものとする。さらに、請求項4の発明では、上記請求
項3において、摩擦手段は、回動部材に対してブレーキ
力を付与するブレーキ手段を有し、該ブレーキ手段は、
ブレーキ力が位置決め動作時は最大値で、押付動作時に
は徐々に低下し、研磨動作時には零で、研磨逃し動作時
には再び最大値にまで徐々に高められるよう制御される
ものとする。また、請求項5の発明では、上記請求項4
において、研磨動作時に振動検出手段により押付力の外
乱が検出された際、ブレーキ手段は回動部材の自由な回
動を規制すべくブレーキ力が所定値に高められるよう補
正されるものとする。
(作用) これにより、請求項1〜5の発明では、研磨ツールが
先端部に取付けられた回動部材の振動を振動検出手段が
検出し、該振動検出手段にて検出される回動部材の振動
振幅に応じて、取付部材の回動部材の回動が摩擦手段に
よって規制される。それによって、共振点は変化しない
が、摩擦手段による規制によって回動部材の振動振幅
(共振振幅)は減少せしめられる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に沿って詳細に説明す
る。
研磨ツールとしての研磨用ブラシが用いられる自動車
の車体の塗装ラインにおける水研ステーションの研磨ロ
ボットに適用した例を示す第1図及び第2図において、
1は車体Bの搬送ラインに沿って移動する天井走行型の
研磨ロボットで、図示しない地上走行型の研磨ロボット
と共に、下塗り、又は中塗り工程を終了して作業位置に
搬入された車体Bの塗装面を水研するものである。
この研磨ロボット1のアーム2の先端部には、押付部
材3を介して研磨用ツールユニット4が取付けられてい
る。この研磨用ツールユニット4は、放射状に研糸が配
設されてなる研磨用ブラシ5が駆動手段であるエアモー
タ6にて回転駆動されるようになっている。
しかして、研磨ロボット1には、作業位置に搬入され
た車体Bの外板に対してその研磨用ブラシ5が略直角方
向に所定の押付圧力で付勢されつつ、その外板の接線方
向に移動するようなティーチングが予め施されており、
各車体Bに対して、その教示内容の水研動作が繰り返し
て行われるように構成されている。
上記研磨用ブラシ5の回転駆動機構は、第3図及び第
4図に示すように、ケーシング11と、該ケーシング11の
一側に回転可能に支承され下端部に研磨用ブラシ5が取
付けられてなるシャフト12と、該シャフト12の上端部付
近に固設された第1のスプロケット13と、上記ケーシン
グ11の他側に取付けられたエアモータ14と、該エアモー
タ14の回転軸14aに固設された第2のスプロケット15
と、上記両スプロケット13,15を連係する歯付ベルト16
とにより構成されている。
また、上記ケーシング11は長手方向の中間部分が押付
部材3に連結されている。押付部材3は、円筒状のハウ
ジング21と、該ハウジング21内にベアリング22a,22bを
介して回転可能に収納された回動部材23と、該回動部材
23とハウジング21との間に介装され、一端がハウジング
21に、他端が回動部材23にそれぞれ連結され互いに反対
方向に付勢する弾性部材としての1対のコイルスプリン
グ24A,24Bとにより構成されている。研磨用ツールユニ
ット4のケーシング11は、回動部材23の下端フランジ23
aに連結固定されており、両スプリング24A,24Bによって
回動部材23、つまり研磨用ツールユニット4が中立位置
となるようになっている。また、回動部材23の上端部に
は、回動部材23の回転角の変動を振動として検出する振
動検出手段としての回転角検出器25が適用されており、
その下側位置で、回動部材23に対して直線的に変化する
ブレーキ力を付与する摩擦手段としてのパウダーブレー
キ手段26に連係されている。
上記パウダーブレーキ手段26は、回動部材23に取付け
られたロータ26aと、該ロータ26aの外側でハウジング21
側に取付けられた励磁コイル26bと、該励磁コイル26bを
囲む鉄製の環状部材26cとを備え、ロータ26aの外周面と
環状部材26cの内周面との間に鉄粉(図示せず)が介装
されており、励磁コイル26bへの電流量を制御すること
により回動部材23に対するブレーキ力を直線的に変化さ
せることができるものである。
しかして、上記回転角検出器25からの変動信号に基づ
いて、第5図に示すように、微分回路31、整流回路32、
積分回路33、加算回路34及び電流増幅回路35を介してパ
ウダブレーキ手段26が制御されることになる。すなわ
ち、上記回転角検出器25よりの変動信号S1(第6図
(a)参照)は、微分回路31にて微分されてフィルタが
かけられて信号S2となり(第6図(b)参照)、整流回
路32にて整流されて絶対値が取られて信号S3となり(第
6図(c)参照)、積分回路33にて積分されたピーク値
が検出されて信号S4となり(第6図(d)参照)、その
積分された信号S4が、加算回路34において、予め設定さ
れているブレーキ制御信号Eに加算され、しかしてその
加算された信号E+S4が、電流増幅回路35にて増幅され
てパウダーブレーキ手段26の励磁コイル26bに励磁信号
Iとして作用するようになっている。
上記のように構成すれば、研磨ロボット1は、通常時
は、第7図の上側部分に示すように、研磨作業に際し、
位置決め動作T1、押付動作T2、研磨動作T3及び研磨逃し
動作T4が順に行われ、押付け力θは、位置決め動作T1
のときは零で、押付動作T2のときに徐々に高められ、研
磨動作T3のときに最大値となり、研磨逃し動作T4のとき
には徐々に零にまで減少せしめられる。
このとき、パウダーブレーキ手段26へ送られるブレー
キ値に対応するブレーキ制御信号Eは、第7図の下側部
分に示されるように、位置決め動作時はブレーキ値が最
大値を取り、押付動作時にはブレーキ値が徐々に低下
し、研磨動作時にはブレーキ値が零で研磨用ブラシ5が
フリーな状態となる。それから、研磨逃し動作によりブ
レーキ値が徐々に高められて最終的に再び最大値となる
ように変化する。
ところで、研磨動作中に、押付外乱が発生すると、第
8図に示すようになる。すなわち、回転角検出器25によ
って押付力の外乱Δθが検出されると(第8図の上側部
分参照)、ブレーキ制御信号Eに対して補正信号S4が加
算されたブレーキ制御信号E′によって制御されること
となり、本来零である研磨動作T3のときのブレーキ値
(ブレーキ制御信号E′)が高められて回動部材23の自
由な回動が規制されるので(第8図の中間部分参照)、
スプリング24A,24Bによる弾性的な押付けではなくな
り、補正信号S4がないときの場合(第8図の下側部分破
線参照)に比べて押付力θ′が安定し、回動部材23の回
転振動が抑制され、押付力θ′は略均一なまま保持さ
れ、ほとんど変動しない。
これによって、外乱Δθによる影響を受けることな
く、略均一な押付力でもって研磨作業を行うことができ
る。
(発明の効果) 以上のように、請求項1〜5の発明によれば、振動検
出手段にて検出される回動部材の振動振幅に応じて、該
回動部材の回転を摩擦手段によって規制するようにした
から、外乱による影響を受けることなく、ワークに対し
て均一な押付力でもって研磨作業を行うことができ、品
質の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を例示するもので、第1図及び第
2図はそれぞれ天井型研磨ロボットの概略正面図及び側
面図、第3図は研磨用ブラシの回転駆動系の横断面図、
第4図は押付動作の縦断面図である。第5図はパウダー
ブレーキ手段の制御系のブロック図、第6図(a)〜
(d)はそれぞれ上記制御系における信号S1,S2,S3,S4
の波形の説明図である。第7図は押付力と、ブレーキ制
御信号の変化を示すタイムチャート図、第8図は押付外
乱と、ブレーキ制御信号と、押付力の変化を示すタイム
チャート図である。 B……車体(ワーク) 1……研磨ロボット 3……押付部材 4……研磨用ツールユニット(研磨ツール) 5……研磨用ブラシ 21……ハウジング 23……回動部材 24A,24B……スプリング(弾性部材) 25……回転角検出器(振動検出手段) 26……パウダーブレーキ手段(摩擦手段)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】研磨ツールが先端部に取付けられた回動部
    材と、該回動部材を回転可能に支承するハウジングとの
    間に弾性部材が介設されて押付部材が構成され、上記研
    磨ツールをワークに弾性的に押付けて研磨作業を行うも
    のにおいて、 上記回動部材の振動を検出する振動検出手段と、 該振動検出手段にて検出される回動部材の振動振幅に応
    じて、上記回動部材の回動を規制する摩擦手段とを備え
    ることを特徴とする押付部材の振動低減機構。
  2. 【請求項2】振動検出手段は、回動部材の回転角変動を
    振動として検出するものである請求項1記載の押付部材
    の振動低減機構。
  3. 【請求項3】研磨作業が位置決め動作、押付動作、研磨
    動作及び研磨逃し動作の順に行われるに際し、押付部材
    の押付力は、位置決め動作時には零で、押付動作時に徐
    々に高められ、研磨動作時に最大値となり、研磨逃し動
    作時には徐々に零にまで減少するよう制御される請求項
    1又は2記載の押付部材の振動低減機構。
  4. 【請求項4】摩擦手段は、回動部材に対してブレーキ力
    を付与するブレーキ手段を有し、該ブレーキ手段は、ブ
    レーキ力が位置決め動作時は最大値で、押付動作時には
    徐々に低下し、研磨動作時には零で、研磨逃し動作時に
    は再び最大値にまで徐々に高められるよう制御されるも
    のである請求項3記載の押付部材の振動低減機構。
  5. 【請求項5】研磨動作時に振動検出手段により押付力の
    外乱が検出された際、ブレーキ手段は回動部材の自由な
    回動を規制すべくブレーキ力が所定値に高められるよう
    補正される請求項4記載の押付部材の振動低減機構。
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