JP2851277B2 - 車輌用無段変速機の制御方法 - Google Patents

車輌用無段変速機の制御方法

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JP2851277B2
JP2851277B2 JP62313872A JP31387287A JP2851277B2 JP 2851277 B2 JP2851277 B2 JP 2851277B2 JP 62313872 A JP62313872 A JP 62313872A JP 31387287 A JP31387287 A JP 31387287A JP 2851277 B2 JP2851277 B2 JP 2851277B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、車輌用無段変速機の制御方法に係わり、特
に、不整地走行用車輌に用いて好適な無段変速機の制御
方法に関するものである。 [従来の技術] 従来、車輌用無段変速機の制御方法として、例えば、
特開昭57−161346号公報に示される技術が提案されてい
る。 この技術は、第1図のフローチャートに示すように、
制御系の初期化を行ったのちに(ステップS1)、エンジ
ン回転数Ne、車速V、変速比Rを読み込み(ステップS
2)、読み込んだエンジン回転数Neに対する目標変速比R
Mを設定し(ステップS3)、計測された変速比Rと前記
目標変速比RMとが一致しているか否かの判断を行い(ス
テップS4)、R=RMである場合には現在の変速比Rを保
持し(ステップS5)、また、両者が一致していない場合
にはさらに両者の大きさの比較を行い(ステップS6)、
計測された変速比Rが目標変速比RMよりも大きい場合に
は、両者を一致させるべく変速機をTOP側へ変速調整し
(ステップS7)、計測された変速比Rが目標変速比RM
りも小さい場合には、両者を一致させるべく変速機をLO
W側へ変速調整し(ステップ8)、前記ステップS2以降
を継続して行うことにより、変速比Rが適正な値となる
ように調整するようにしている。 ところが、この従来の技術では、次のような問題点が
あった。 すなわち、前述した従来の技術においては、エンジン
を適切な回転数領域内に保持するように、変速比の調整
を行っているが、このような変速制御であると、意図的
な変速比調整を行いずらいといった問題点である。 詳述すれば、従来の技術においては、車輌の発進時に
は、エンジンの使用回転数が低いこと、また、駆動輪に
大きな駆動力を伝達する必要があること等の理由によ
り、変速比がLOW側へ調整される。 しかしながら、例えば、泥濘地等の摩擦係数が低い路
面上での発進時において、前述したように変速比がLOW
側へセットされていると、駆動輪へ伝達される駆動力が
駆動輪と路面との間に生じる摩擦力に勝ってしまい、こ
の結果、駆動輪にスリップ等による過回転が生じて駆動
力を効率よく路面に伝達することができず、発進時の円
滑性が損なわれるといった問題点である。 また、走行中における路面状況の変化に対応するため
に、あるいは、好みに応じた走行状態を得るために、変
速比を意図的にTOP側あるいはLOW側へ調整する必要が生
じるが、前述した従来の技術においてはこのような細か
な変速比の調整に対応できないといった問題点である。 このような問題点を解決するものとして、たとえば、
特開昭61−115733号公報に示される技術がある。同公報
には、運転者の手動変速(マニュアル変速モード)と自
動変速(オートマチック変速モード)の切換えが行える
のに加え、手動により無段変速機のトルク比可変範囲を
無段階、もしくは多段階に設定できるトルク比可変範囲
設定手段を設けることにより、運転者の意志に応じて細
かな無段変速制御することができるようにした車輌用動
力伝達装置の制御装置が記載されている。 [発明が解決しようとする問題点] ところが、上記特開昭61−115733号公報に示される技
術においても、次のような問題点を有している。 例えば、運転者の好みに応じたマニュアル変速の調整
を行った後、再び(オートマチック変速モード)に復帰
させる場合等の自動化がなされておらず、この点におい
て、自動変速の持ち味が失われて部分的に良好な操作性
が実現できないといった問題である。 [問題点を解決するための手段] 本発明は、前述した従来の技術における問題点を有効
に解消し得る車輌用無段変速機の制御方法を提供するこ
とを目的とし、この目的を達成するために、本発明に係
わる車輌用無段変速機の制御方法は、特に、無段変速機
の変速比を前記車輌に設けられたチェンジスイッチから
の出力信号に基づき、他の制御に優先して現変速比から
TOP側あるいはLOW側へ向けて変速調整して保持する形式
の無段変速機の制御方法において、エンジン回転数と無
段変速機の変速比との関係が設定範囲に復帰した時点で
前記変速比の保持を解除するものであり、前記設定範囲
に復帰したか否かは、現変速比に基づき、エンジン回転
数との変速比とのマップで定められる上限エンジン回転
数と下限エンジン回転数とで設定される範囲に、現エン
ジン回転数が入っているか否かで判断することを特徴と
する。 [作用] 本発明に係わる車輌用無段変速機の制御方法は、走行
状況の変化によってエンジン回転数と変速比とが設定範
囲内に復帰した時点で変速比の保持を解除することによ
り、自動変速制御へ移行させるものであり、手動変速モ
ードから自動変速モードへ復帰するためのモード切換え
スイッチを特に設ける必要がない。 [実施例] 以下本発明の一実施例を第2図ないし第25図に基づき
説明する。 まず、本実施例が適用される車輌用無段変速機につい
て、第2図ないし第13図に基づき説明する。 この無段変速機Tは、車輌としての自動二輪車に搭載
されるもので、第2図および第3図において、自動二輪
車に搭載されたエンジンEのクランク軸1から出力され
る動力が、チェーン式1次減速装置2によって入力さ
れ、また、この入力された動力をチェーン式2次減速装
置3を経て、後述する駆動輪Wr(自動二輪車に適用した
場合にあっては後輪)へ出力するようになっている。 詳述すれば、無段変速機Tは定容量型の斜板式油圧ポ
ンプ(以下、油圧ポンプと略称する)Pおよび可変容量
型の斜板式油圧モータ(以下、油圧モータと略称する)
Mからなり、前記エンジンEのクランク軸1を支承する
クランクケース4をケーシングとして、その内部に収容
されている。 前記油圧ポンプPは、1次減速装置2の出力スプロケ
ット2aが3本のリベット14…で結合されたカップ状の入
力部材5と、この入力部材5の内周壁にニードルベアリ
ング6を介して相対回転自在に嵌合されるポンプシリン
ダ7と、このポンプシリンダ7にその回転中心を囲むよ
うに形成された環状配列の複数かつ奇数のシリンダ孔8
…内に摺動自在に装着されたポンププランジャ9…と、
これらのポンププランジャ9…の外端に当接するポンプ
斜板10とから構成される。 前記ポンプ斜板10は、ポンプシリンダ7の軸線と直交
する仮想トラニオン軸線O1回りに所定角度の範囲内で傾
動し得るように保持され、かつ、その背面(すなわち、
前記ポンププランジャ9…が当接させられた側と反対側
の面)において、前記入力部材5の内端壁にスラストロ
ーラベアリング11を介して相対回転自在に支承されてい
る。 そして、前記入力部材5の前記ポンプ斜板10を支承す
る面は、第2図に示すように、前記ポンプシリンダ7の
軸線に対し、所定角度傾斜した状態で形成されており、
これによって、前記入力部材5の回転時、前記ポンプ斜
板10を往復傾動させて、このポンプ斜板10に当接させら
れている各ポンププランジャ9…をポンプシリンダ7の
軸線方向に沿って往復動させて、各シリンダ孔8におい
て作動油の吸入および吐出を繰返させるようになってい
る。 ここで、前述したようなポンププランジャ9…のポン
プ斜板10に対する追従性を良くするために、ポンププラ
ンジャ9…とポンプシリンダ7との間に、ポンププラン
ジャ9…をポンプ斜板10へ押し付ける方向に付勢するば
ねを介装するようにしてもよい。 前記入力部材5は、その背面(第2図および第3図の
右側に位置する外端面)をスラストローラベアリング12
を介して支持筒13に支承される。 一方、油圧モータMは、ポンプシリンダ7と同軸上で
その左方(第2図および第3図の左側)に配置されるモ
ータシリンダ17と、このモータシリンダ17にその回転中
心を囲むように形成された環状配列の複数かつ奇数のシ
リンダ孔18…と、これらシリンダ孔18…に摺動自在に装
着されたモータプランジャ19…と、これらモータプラン
ジャ19…の外端に当接するモータ斜板20と、このモータ
斜板20の背面(すなわち、前記モータプランジャ19…が
当接させられている側と反対側の面)をスラストローラ
ベアリング21を介して支承する斜板ホルダ22と、さらに
この斜板ホルダ22を支承する斜板アンカ23とから構成さ
れている。 前記モータ斜板20は、モータシリンダ17の軸線に対し
直角となる直立位置と、或る角度で傾倒する最大傾斜位
置との間を傾動し得るようになっており、その傾斜位置
では、モータシリンダ17の回転に伴いモータプランジャ
19…をモータシリンダ17の軸線に沿って往復動させるこ
とにより、シリンダ孔18…において作動油の吸入および
吐出を繰り返させるようになっている。 これら各モータプランジャ19…のモータ斜板20に対す
る追従性を良くするために、油圧ポンプPと同様に、モ
ータプランジャ19…とモータシリンダ17との間にばねを
介装するようにしてもよいものである。 一方、前記ポンプシリンダ7およびモータシリンダ17
は、これらの対向する端部間が相互に連結されて一体の
シリンダブロックBを構成しており、このシリンダブロ
ックBの軸線に沿って出力軸25が貫挿されている。 そして、この出力軸25の外周にはフランジ25aが一体
に形成されており、このフランジ25aに前記モータシリ
ンダ17の外端が突き当てられ、また、ポンプシリンダ7
が出力軸25にスプラインによって嵌合させられるととも
に、このポンプシリンダ7の外端に、前記出力軸25に係
止されているサークリップ26が当接させられることによ
り、前記シリンダブロックBが出力軸25に、その長さ方
向および周方向のいずれの方向においても相対移動が拘
束された状態で固定される。 前記出力軸25は入力部材5をも貫通するとともにこの
入力部材5をニードルベアリング27を介して回転自在に
支承する。 また、出力軸25の右端部(第2図および第3図の右側
部)外周には前記支持筒13が嵌合され、この支持筒13は
出力軸25に取り付けられたキー28によって出力軸25との
相対回動が拘束されているとともに、出力軸25に螺着さ
れたナット30により固定され、さらに、この支持筒13が
ローラベアリング31を介してクランクケース4に回転自
在に支承されることにより、前記出力軸25の右端部がク
ランクケース4に回転自在に支持されている。 一方、この出力軸25は、前記モータ斜板20、斜板ホル
ダ22および斜板アンカ23の中心部を貫通しており、その
左端部には、斜板アンカ23の背面をスラストローラベア
リング32を介して支承する支持筒33がスプライン嵌合さ
れ、この支持筒33が前記2次減速装置3の入力スプロケ
ット3aとともにナット34で固着され、前記支持筒33がロ
ーラベアリング35を介してクランクケース4に取り付け
られることにより、前記出力軸25の左端部がクランクケ
ース4に回転自在に支承されている。 さらに、出力軸25の前記ポンプ斜板10と対向する位置
には、ポンプ斜板10の内周面と相対的に全方向傾動可能
に係合する半球状の調心体36が摺動自在にスプライン嵌
合されている。この調心体36は、出旅軸25との間に介装
された複数枚の皿ばね38の弾発力を受けて前記ポンプ斜
板10をスラストローラベアリング11へ向けて押圧し、こ
れによりポンプ斜板10に調心作用を常に与えている。 一方、出力軸25の前記モータ斜板20と対向する位置に
は、モータ斜板20の内周面と相対的に全方向傾動可能に
係合する半球状の調心体37が摺動自在にスプライン嵌合
されている。この調心体37は、出力軸25との間に介装さ
れた複数枚の皿ばね39の弾発力を受けて前記モータ斜板
20をスラストローラベアリング21へ向けて押圧し、これ
によりモータ斜板20の調心作用を常に与えている。 前記各斜板10・20には、これらの調心作用を強化し、
しかもポンプ斜板10とポンププランジャ9…群、モータ
斜板20とモータプランジャ19…群の間の回転方向に滑り
を防止するために、対応するプランジャ9・19の球状端
部9a・19aが係合させられる球状凹部10a・20aがそれぞ
れ形成されている。 前述した油圧ポンプPおよび油圧モータM間には、次
のようにして油圧閉回路が形成される。 シリンダブロックBには、ポンプシリンダ7のシリン
ダ孔8…群とモータシリンダ17のシリンダ孔18…群との
間において、出力軸25を中心にして同心的に並ぶ環状の
内側油路40および外側油路41と、両油路40、41間の環状
隔壁および外側油路41の外周壁を放射状に貫通し、前記
各シリンダ孔8…・18…とそれぞれ同数の第1弁孔42…
および第2弁孔43…と、相隣るシリンダ孔8…と第1弁
孔42…とを相互に連通する多数のポンプポートa…と、
相隣るシリンダ孔18…と第2弁孔43…とを相互に連通す
る多数のモータポートb…とがそれぞれ設けられる。そ
の際、前記内側油路40は、シリンダブロックBと出力軸
25との対向周面間に形成され、また前記外側油路41は、
シリンダブロックBと、その外周に嵌合して溶接される
スリーブ44との対向周面間に形成され、内側油路40が低
圧油路となされ、また、外側油路41が高圧油路となされ
ている。 前記各第1弁孔42…には第1分配弁45…が、また前記
第2弁孔43…には第2分配弁46…がそれぞれ摺動自在に
装着される。 この無段変速機Tにおいては、これらの分配弁により
分配機構が構成されている。 前記各第1分配弁45は第9図に示すようなスプール型
に形成されていて、第3図の上方および第4図に示すよ
うに、第1弁孔42の半径方向外方位置を占めるときに、
対応するポンプポートaを外側油路41に連通するととも
に内側油路40と不通にして、対応するシリンダ孔8を外
側油路41のみに連通し、第3図の下方および第4図に示
すように、第1弁孔42の半径方向内方位置を占めると、
対応するポンプポートaを内側油路40に連通するととも
に外側油路41と不通にして、対応するシリンダ孔8を内
側油路40のみに連通し、また、第2図に示すように第1
弁孔42の中央位置を占めるとポンプポートaと両油路40
・41とを不通にする。 このような動作を各第1分配弁45に与えるために、第
2図および第3図に示すように、第1偏心輪47が第1分
配弁45…群を囲んでそれらの外端に係合され、また、こ
の偏心輪47と同心関係に配設された追従輪47′が、各第
1分配弁45…の内端に形成された係合溝45a…に係合さ
れている。そして、前述した追従輪47′と第1分配弁45
…との係合によって各第1分配弁45…の回転が阻止され
ている。 一方、前記追従輪47′は鋼線から成形されていて、第
1分配弁45…を第1偏心輪47の内面に当接させる方向に
弾発すべく配設されており、好ましくは、この追従輪4
7′には、その直径の製作誤差を吸収するために、周方
向の一部に1つの切り口が設けられる。 前記第1偏心輪47は、入力部材5に連結される第1制
御環51にボールベアリング48を介して回転自在に支承さ
れ、そして通常は第4図に示すように、前記ポンプ斜板
10の仮想トラニオン軸線O1に沿って出力軸25の中心から
一定距離εだけ偏心した第1偏心位置eに位置され
る。したがって、入力部材5とポンプシリンダ7間に相
対回転が生じると、各第1分配弁45…は、その弁孔42内
で第1偏心輪47の偏心量εの2倍の距離をストローク
として前記外方位置および内方位置間を往復動させられ
る。 第2図ないし第4図において、前記第1制御環51は、
入力部材5に前記スプロケット2aを結合するリベット14
…のうちの1本の一端を延長して形成した枢軸14aを介
して入力部材5に揺動可能に連結されている。すなわ
ち、この第1制御環51は第4図に示すようなクラッチオ
ン位置gと、第4A図に示すようなクラッチオフ位置hと
の間を、前記枢軸14aまわりに揺動させられるものであ
って、前者のクラッチオン位置gでは、第1偏心輪47
を、出力軸25の中心から仮想トラニオン軸線O1に沿って
距離εだけ偏心させた第1偏心位置eに制御し、後者
のクラッチオフ位置hでは、第1偏心輪47を、第4A図に
示すように出力軸25の中心から仮想トラニオン軸線O1
垂線Lに沿って距離εだけ偏心させた第2偏心位置f
に制御する。 このような第1制御環51の揺動範囲を規制するため
に、第6図および第7図に示すように、制御環51に固着
されてその内周面から突出する案内ピン52が、入力部材
5の外周にその周方向に沿って所定長さに形成されてい
る案内溝53に摺動自在に係合される。 そして、第1制御環51と入力部材5との間には、第5
図に示すように、前記第1制御環51を常時クラッチオン
位置gの方向へ弾発する板ばね54が介装されている。こ
の板ばね54はその中央部を第1制御環51の内面にリベッ
ト55で固着され、かつ、その両端部が、前記入力部材5
の外面に当接させられており、これによって、第1制御
環51を前述した方向へ弾発するようになっている。 前記案内ピン52には、第3図、第5図〜第7図に示す
ように、ローラ56が取付けられており、このローラ56に
は、作動環57の一側に突設された押腕58が係合される。 この作動環57は、第3図に示すように、前記出力スプ
ロケット2aを挟んで第1制御環51と反対側で入力部材5
外周面に摺動および回転可能に嵌合され、その押腕58が
出力スプロケット2aに穿設された透孔59を貫通して、前
記案内ピン52へ第1制御環51の周方向において対向させ
られている。 前記押腕58には、第7図に示すように、第1制御環51
がクラッチオン位置gに位置させられた状態において、
前記ローラ56が係合させられる凹部60が形成されてお
り、また、この押腕58は、同図に示すように、作動環57
に向かって漸次幅広となるように山形に形成されてお
り、その山形を形成する一方の斜面58aは前記凹部60に
連なり、他方の斜面58bは前記透孔59の内壁に形成され
ている案内斜面59aに摺動可能に係合されている。 また、前記作動環57の外周には、第2図、第3図およ
び第7図に示すように、レリーズベアリング61を介して
リレーズ環62が回転自在に取付けられ、このレリーズ環
62には、クランクケース4に軸63を介して揺動自在に支
持されかつ前記入力部材5を囲繞する環状のクラッチレ
バー64の押圧突子64aが当接させられている。 このクラッチレバー64の揺動端には、第3図および第
8図に示すように、クランクケース4に軸65によって揺
動自在に支持されたベルクランク66の内側レバー66a
が、クラッチレバー64をリレーズ環62側へ押動し得るよ
うに当接されているとともに、クラッチレバー64をレリ
ーズ環62と反対側へ弾発する戻しばね67が接続されてい
る。 前記ベルクランク66は、第8図に示すように、クラン
クケース4内に配置される前述した内側レバー66aと、
同ケース4の外側に配置される外側レバー66bとを有
し、その外側レバー66bには、操作者により操作される
後述するクラッチレバー141がワイヤ68を介して接続さ
れている。 ここに示す無段変速機Tにおいては、前述した第1分
配弁45、第1偏心輪47、第1制御環51、作動環57、押腕
58、レリーズ環62、クラッチレバー64、および、ベルク
ランク66によってクラッチ機構が構成されている。 前記各第2分配弁46も、第9図に示すような第1分配
弁45と同様のスプール型に形成されていて、第2弁孔43
の半径方向外方位置に占めるとき、対応するモータポー
トbを外側油路41に連通するとともに内側油路40と不通
にして、対応するシリンダ孔18を外側油路41のみに連通
し、また第2弁孔43の半径方向内方位置を占めるとき、
対応するモータポートbを内側油路40に連通するととも
に外側油路41と不通にして、対応するシリンダ孔18を内
側油路40のみに連通し、さらに上記両位置間の中央位置
を占めるとき、対応するモータポート6を内側および外
側油路40・41のいずれとも不通にする。 このような動作を各第2分配弁46に与えるために、第
2図、第3図および第10図に示すように、第2偏心輪49
が第2分配弁46…群を取り囲んでそれらの外端に係合さ
れ、また、この第2偏心輪49と同心関係の追従輪49′が
第2分配弁46…群の内側に配設されてそれらの内端に形
成されている係合溝46a…に係合されている。 そして、各第2分配弁46…と追従輪49′との係合によ
って各第2分配弁46の回転が阻止されている。 また、上記追従輪49′は鋼線から成形されていて、第
2分配弁46…を第2偏心輪49との係合方向に弾発すべく
配設される。そしてこの追従輪49′にも、好適には前記
追従輪47′と同様に1つの切り口が設けられる。 前記第2偏心輪49は、第10図に示すように、モータ斜
板20の傾動軸線すなわちトラニオン軸線O2に沿って出力
軸25の中心から一定距離εだけ偏心した偏心位置l
と、出力軸25と同心になる同心位置mとに制御される。 しかして、第2偏心輪49が第1偏心位置lを占めると
き、モータシリンダ17が回転すると、各第2分配弁46
は、その弁孔43内で第2偏心輪49の偏心量εの2倍の
距離をストロークとして前記外方位置および内方位置間
を往復動し、また同心位置mを占めるときは、モータシ
リンダ17の回転にかかわらず、全第2分配弁49…が前記
中央位置に留められる。 第3図において、前記斜板ホルダ22の両端には、モー
タ斜板20のトラニオン軸線O2上に並ぶ上下一対のトラニ
オン軸70・70′が一体に突設され、これらトラニオン軸
70・70′は、ローラベアリング71・71′を介して、クラ
ンクケース4と一体の筒状モータハウジング72の両側壁
に回転自在に支承される。換言すればこれらトラニオン
軸70・70′によって前記トラニオン軸線O2が規定され
る。そして、モータハウジング72は、モータシリンダ17
をもニードルベアリング73を介して回転自在に支承す
る。 また、前記一方のトラニオン軸70には、第2図、第11
図および第12図に示すように、前記モータ斜板20の傾斜
角度を制御する傾斜角制御機構80が連設されている。 この傾斜角制御機構80は、前記トラニオン軸70に回転
可能に支承されるセクタギヤ81と、このセクタギヤ81を
トラニオン軸70に弾力的に連結するダンパ82と、クラン
クケース4にボルト79で固着されたブラケット板83にベ
アリング84・84′を介して支承されるとともに、前記セ
クタギヤ81と噛合するウォームギヤ85と、このウォーム
ギヤ85に駆動軸86aが連結された正逆転可能な直流電動
モータ86とから構成されており、この電動モータ86はそ
のステータ86bがクランクケース4の適所に固定される
ことによってクランクケース4に装着されている。 このような構成において、セクタギヤ81およびウォー
ムギヤ85は、駆動軸86aの回転を減速してトラニオン軸7
0へ伝達し得るが、トラニオン軸79から逆負荷を受ける
とロック状態となる減速装置Rを構成する。 前記ダンパ82は、トラニオン軸70を中心とする扇形の
緩衝室87を有し、前記トラニオン軸70にボルト88で固着
されるダンパ本体89と、前記緩衝室87に装填された一対
のゴム製緩衝部材90・90′とを備え、この両緩衝部材90
・90′間には、前記セクタギヤ81の一側面に突設した伝
導片91が挿入されている。 このような傾斜角制御機構80においては、電動モータ
86を正転または逆転させれば、その回転はウォームギヤ
85からセクタギヤ81へ減速されて伝達され、さらに伝導
片91、緩衝部材90または90′および、ダンパ本体89を介
してトラニオン軸70へ伝達されて、このトラニオン軸70
に取り付けられているモータ斜板20を起立方向または傾
倒方向へ回転させる。 その際、モータプランジャ19…群からモータ斜板20へ
加えられるスラスト荷重に脈動が生じれば、その脈動は
緩衝部材90・90′の弾性変形により吸収され、それによ
りウォームギヤ85およびセクタギヤ81の負担が軽減され
る。 また、電動モータ86を停止してモータ斜板20を任意角
度に保持したとき、モータ斜板20がモータプランジャ19
…群から起立または傾倒方向のモーメントを受け、その
モーメントがトラニオン軸70を介してセクタギヤ81に伝
達しても、セクタギヤ81によってウォームギヤ85を駆動
することはできないから、両ギヤ81・85はロック状態と
なりトラニオン軸70の回転が拘束されて、モータ斜板20
がそのときの位置に確実に保持される。 そして、電動モータ86によるモータ斜板20の起立位置
および傾倒位置を規制するために、セクタギヤ81にはそ
れと同心の円弧状の規制溝92が穿設されるとともに、こ
の規制溝92に摺動自在に係合する規制カラー93が前記ブ
ラケット板83にボルト94で固着される。 さらに、第3図および第10図において、前記第2偏心
輪49はベアリング50を介して第2制御環95に回転自在に
支承される。この第2制御環95は前記トラニオン軸線O2
の方向の両側部に一対の耳部96・96′を有し、一方の耳
部96にはトラニオン軸線O2の方向へ延びるU字状の案内
溝97が形成されており、この案内溝97に、前記クランク
ケース4に固定された案内ピン98が摺動自在に係合され
ている。また、他方の耳部96′には第2の案内ピン99が
固設され、この案内ピン99が、前記クランクケース4の
内壁に突設された支持部材101に形成された、トラニオ
ン軸線O2の方向へ延びるU字状の案内溝100に摺動自在
に係合させられている。 このような構成により、前記第2制御環95は、トラニ
オン軸線O2に沿って変位可能となっており、この変位に
より第2偏心輪49を前記偏心位置lと同心位置mとに制
御し得るようになっているとともに、第2制御環95と一
体の前記案内ピン99とクランクケース4との間に介装さ
れた板ばねからなる戻しばね102によって、第2偏心輪4
9とともに偏心位置lへ向けて常時弾発されている。 さらに前記他方の耳部96′にはカム孔103が形成さ
れ、前記トラニオン軸70′に固着された制御レバー104
が挿入されている。 このカム孔103は、前記戻しばね102側の内面が、前記
クランクケース4に摺動自在に取り付けられた制御レバ
ー104が摺接するカム面103aとなされていて、ほぼ第2
制御環95の周方向に沿って移動させられる前記制御レバ
ー104との協働により、第2制御環95を戻しばね102の力
に抗して変位させて、前記第2偏心輪49を偏心位置lを
同心位置mとの2位置間の範囲内で変位させ得るように
なっている。 これらの第2分配弁46、第2偏心輪49、第2制御環9
5、案内ピン98、第2の案内ピン99、支持部材101、戻し
ばね102、カム孔103、および、制御レバー104によって
流量調整機構が形成されている。 そして、第2偏心輪49が同心位置mに達すると、全て
の第2分配弁46…は、第10A図に示すように、閉状態と
なり、外側(高圧)油路41および内側(低圧)油路40の
いずれも油圧モータMに対し遮断される。その結果、油
圧ポンプpに連通する低圧回路容積が油圧モータMの容
積分だけ減少するので、作動油に気泡が多少含まれてい
ても、油圧ポンプPによる作動油の圧縮量を極めて少な
く、したがって、入力部材5および出力軸25の相対回転
が極少に抑えられ伝達効率が高められる。また、この同
心位置に至る中間位置においては油圧モータMの各ポン
プポートbの開度を調節して、これらのポンプポートb
からの作動油の流量を調整し得るようになっている。 前記第2偏心輪49の同心位置mへの変位は、カム孔10
3のカム面103aの作用により、制御レバー104の作動に連
動して無段階に行われて閉弁状態、すなわち、前述した
同心位置mに達する。したがって伝動効率の向上は、そ
の閉弁状態に到達する前から徐々に始まるので、その閉
弁時における変速ショックが防止される。 一方、前記クラッチ機構、傾斜角制御機構80、およ
び、流量調整機構には、これらの作動を制御する制御手
段Uが連設されている。 この制御手段Uについて、第13図に示す油圧回路との
関係において説明すれば以下のとおりである。 ここで前記油圧回路について説明する。 図において符号Fは前記エンジンEによって駆動され
るオイルポンプ、Cはクラッチ機構、Qは流量調整機
構、Wrは前記出力軸25によって回転駆動される駆動輪、
Wfは従動輪をそれぞれ示し、油圧ポンプPと油圧モータ
Mとの間に油圧閉回路Gが形成されている。 この油圧閉回路Gは、高圧油路を形成する前記外側油
路41と、低圧油路を形成する前記内側油路40とを備えて
いる。 これらの内側油路40と外側油路41には、前記オイルポ
ンプFが補給油路120および逆止弁121を介して接続され
ており、オイルタンク122から汲み上げられる作動油が
前記補給油路120および逆止弁121を介して供給されるよ
うになっている。また、前記補給油路120の途中には供
給する作動油の圧力を一定に調整するためのリリーフ弁
123が設けられている。 前記クラッチ機構Cは、クラッチ弁としての第1分配
弁45の作動位置を検出するクラッチセンサ124を備えた
アクチュエータ125によって構成されており、前記流量
調整機構Qは、第2偏心輪49の作動位置、すなわち、第
2制御環95の作動位置を検出する流量センサ126を備え
たアクチュエータ127によって構成され、さらに、前記
傾斜角制御機構80は、アクチュエータとしての前記電動
モータ86とモータ斜板20の傾動位置、すなわち、変速位
置を検出するためのレシオセンサ128とによって構成さ
れている。 そして、前記制御手段Uは、前記クラッチ機構C、流
量調整機構Qおよび傾斜角制御機構80を構成する各アク
チュエータ125・127および電動モータ86と、クラッチセ
ンサ124、流量センサ126およびレシオセンサ128に電気
的に接続されているとともに、前記エンジンEの回転数
Neを検出する回転数センサSa、エンジンEのスロットル
開度を検出するスロットルセンサSb、前記駆動輪Wrの回
転速度を検出する車速センサSc、車輌のブレーキレバー
等の制動機構の作動状態を検出するブレーキセンサSd
従動輪Wfの回転速度を検出する車速センサSe、および、
チェンジスイッチSfがそれぞれ接続されており、常時、
これらの各センサからの情報が入力されている。 次いで、前述した構成を有する静油圧式無段変速機T
の作用について説明する。 まず、通常の変速操作における各構成部材の作動につ
いて説明する。 前述した構成において、第1制御環51がクラッチオン
位置gを占めることにより第1偏心輪47を第1偏心位置
eに制御し、一方、第2偏心輪49が第1偏心位置eを占
めるとき、1次減速装置2から油圧ポンプPの入力部材
5が回転されることにより、ポンプ斜板10によりポンプ
プランジャ9…に吸入および吐出行程が交互に与えられ
る。この油圧ポンプPの吸入行程領域Sおよび吐出行程
領域Dを第4図に示す。 そして、吸入行程領域Sに存する第1分配弁45は第1
偏心輪47および追従輪47′の協働により内方方向へ移動
させられ、吐出行程領域Dに存する第1分配弁45は第1
偏心輪47および追従輪47′の協働により外方位置へ移動
させられる。したがって、各ポンププランジャ9は、吸
入行程において内側油路40からシリンダ孔8に作動油を
吸入し、吐出行程においてシリンダ孔8から外側油路41
に作動油を圧送する。 外側油路41に送り込まれた高圧の作動油は、油圧モー
ターMの膨脹行程領域Ex(第10図参照)に存するモータ
ポートbに、第2偏心輪49および追従輪49′により外方
位置に制御される第2分配弁46を介して給送される。一
方、収縮行程領域Sh(第10図参照)に存するモータポー
トbから排出される作動油は、第2偏心輪49および追従
輪49′により内方位置に制御される第2分配弁46を介し
て内側油路40へ誘導される。 この間に、ポンプシリンダ7が吐出行程のポンププラ
ンジャ9を介してポンプ斜板10から受ける反動トルク
と、モータシリンダ17が膨脹行程のモータプランジャ19
を介してモータ斜板20から受ける反動トルクとの和によ
って、シリンダブロックBが回転され、その回転トルク
は出力軸25から2次減速装置3へ伝達される。 この場合、入力部材5に対する出力軸25の変速比Rは
次式によって与えられる。 したがって、油圧モータMの容量を零から或る値に変
えれば、変速比を1から或る必要な値まで変えることが
できる。 ところで、油圧モータMの容量はモータプランジャ19
のストロークにより決定されるので、モータ斜板20の直
立位置から或る傾斜位置まで傾動させることにより変速
比を1から或る値まで無段階に制御することができる。 このような運転中に、後述するクラッチレバー141の
操作により、ワイヤ68およびベルクランク66を介してク
ラッチレバ64を戻しばね67の力に抗してレリーズ環62側
へ揺動させれば、レリーズ環62へ加えられる押圧力がレ
リーズベアリング61を介して作動環57に作用し、これを
第7図の矢印74のように左方へ摺動させて、押腕58を出
力スプロケット2aの透孔59に深く押し入れる。すると、
押腕58の斜面58bに対する透孔59の案内斜面59aの押圧作
用、および、ローラ56に対する押腕58の斜面58aの油圧
作用により、作動環57の軸方向変位74が僅かでもローラ
56に大きな周方向変位75(第7図参照)を与えることが
でき、これにより第1制御環51をクラッチオン位置gか
らクラッチオフ位置hへ板ばね54の力に対して揺動させ
る。 その結果、第1偏心輪47は第1偏心位置eから第2偏
心位置fへ移行され、第4A図に示すように、油圧ポンプ
Pの吸入行程、吐出行程の各領域S・Dにおいて、第1
分配弁45…によりポンプポートa…群の半分が内側油路
40に、また他の半分が外側油路41にそれぞれ連通される
ため、油圧ポンプPは短絡状態となり、したがって油圧
ポンプPの吐出行程領域Dのポンプポートaから吐出さ
れる高圧の作動油は直ちに吸入行程領域Sのポンプポー
トaへ吸入されて、油圧ポンプPおよび油圧モータM間
での作動油の授受は停止され、油圧ポンプPから油圧モ
ータMへの動力伝達を遮断したクラッチオフ状態とな
る。 油圧ポンプPおよび油圧モータMの作動中、ポンプ斜
板10はポンププランジャ9…群から、またモータ斜板20
はモータプランジャ19…群からそれぞれ反対方向のスラ
スト荷重を受けるが、ポンプ斜板10が受けるスラスト荷
重はスラストローラベアリング11、入力部材5、スラス
トローラベアリング12、支持筒13およびナット30を介し
て出力軸25に支承され、またモータ斜板20が受けるスラ
スト荷重はスラストローラベアリング21、斜板ホルダ2
2、斜板アンカ23、スラストローラベアリング32、支持
筒33、入力スプロケット3aおよびナット34を介して同じ
く出力軸25に支承される。したがって、上記スラスト荷
重は、出力軸25に引張応力を生じさせるだけで、この出
力軸25を支持するクランクケース4には全く作用しな
い。 そして、このように構成された無段変速機Tは、第14
図および第15図に示すように、自動二輪車に搭載され
る。 すなわち、この自動二輪車は車体フレーム130、この
車体フレーム130に支持されたエンジンE、このエンジ
ンEの後段に配された無段変速機Tとを備えている。 この場合の無段変速機Tは、油圧式のものであり、第
15図に示すように、その出力軸25が、エンジンEのクラ
ンク軸1と平行になるよう車体の左右方向に向けて配設
されている。 また、信号Wfは従動輪、WrはエンジンEから駆動力が
伝達される駆動輪をそれぞれ示し、車体フレーム130の
前部上方には燃料タンク131、また後部のシートレール1
30a上にはシート132が固定されている。 前記従動輪Wfは、車体フレーム130の前部のヘッドパ
イプ133に取り付けられたフロントフォーク134の下端に
回転自在に支持され、ヘッドパイプ133の上方にはフロ
ントフォーク134に取り付けられたハンドル135が配設さ
れている。 一方、前記駆動輪Wrは、第15図に示すように、車体フ
レーム130に対して、クッションユニット136の反力を受
けながら揺動するように取り付けられたスイングアーム
137の揺動側の端部に回転自在に支持されており、第14
図に示すように、車体の左側に配した2次減速装置3に
より、無段変速機Tの出力軸25へ連結されている。 そして、前記無段変速機Tおよびクランク軸1等の回
転系の質量中心が、第14図に示すように、車体の幅方向
中央に位置するように配設され、かつ、無段変速機Tの
入出力軸およびクランク軸1の回転方向が駆動Wrの回転
方向と一致するように配設されている。このような配置
構造とするのは、アクセル操作によりこれらの回転系の
回転速度を変えることにより、その慣性反力を利用して
車輌に対し左右方向ヨーイングモーメントを発生させる
ことなく、ピッチング方向のモーメントを生じさせ、前
後輪に加わる荷重を任意に変更し得るようにするためで
ある。 また、符号138はエアクリーナ、139は排気管、140は
アクセルグリップ、141はクラッチレバーであり、142は
マニアル操作用のチェンジペダル、143はブレーキペダ
ルである。 この場合、前記チェンジペダル142は、前記チェンジ
スイッチSfに連設されて、その操作方向の向きに対応し
て2種類の信号を出力するようになされており、その一
つが変速比をTOP側へ変更させるためのシフトアップ信
号であり、また、他の一つが変速比をLOW側へ変更させ
るためのシフトダウン信号である。 次いで、前述した構成の無段変速機Tに適用した本実
施例の制御方法について第16図のフローチャートに基づ
いて説明する。 本実施例に係わる制御方法は、自動二輪車に設けられ
たチェンジスイッチSfからの出力信号に基づき、他の制
御に優先して無段変速機Tの変速比Rを現変速比からTO
P側あるいはLOW側へ向けて変速調整して保持し、エンジ
ンEの回転数Neと変速比との関係が設定範囲内に復帰し
た時点で、前記変速比の保持を解除することを基本フロ
ーとしており、以下にその詳細について説明する。 (ステップS1) 制御系の初期化を行いステップS2へ移行する。 (ステップS2) エンジンEの回転数Ne、スロットル開度θ、車速V、
変速比R等の各値を読み込みステップS171へ移行する。 (ステップS171) チェンジスイッチSfが操作されて、マニアルによる変
速比制御(以降チェンジコントロールと称す)中である
か否かを判断し、チェンジコントロール中である場合
(換言すれば、チェンジコントロールが解除されてない
場合)にはステップS179へ移行し、チェンジコントロー
ル中でない場合にはステップS172へ移行する。 (ステップS172) チェンジスイッチSfからシフトアップ信号が出力され
たか否かを判断し、シフトアップ信号の出力があった場
合にはステップS173へ移行し、それ以外の場合にはステ
ップS175へ移行する。 (ステップS173) 変速比Rを現在値よりαだけTOP側へ調整しステップS
174へ移行する。 (ステップS174) チェンジコントロールを保持状態として、ステップS2
へ戻る。 (ステップS175) チェンジスイッチSfからシフトダウン信号が出力され
たか否かを判断し、シフトダウン信号の出力があった場
合にはステップS176へ移行し、それ以外の場合、すなわ
ち、チェンジスイッチSfが操作されずチェンジコントロ
ールの指示がなされていない場合にはステップS178へ移
行する。 (ステップS176) 変速比Rを現在値よりβだけLOW側へ調整しステップS
177へ移行する。 (ステップS177) チェンジコントロールを保持状態としてステップS2へ
戻る。 (ステップS178) 予めプログラムされた変速比Rの制御パターンに基づ
きエンジンEの回転数Neとの関係を適正範囲内とすべく
変速比Rを調整しステップS2へ戻る。 (ステップS179) チェンジコントロール中において再度チェンジスイッ
チSfが操作されて、このチェンジスイッチSfから信号が
出力されたか否かを判断し、チェンジスイッチSfからの
出力信号があった場合にはステップS172へ移行し、チェ
ンジスイッチSfからの出力信号がない場合にはステップ
S1710へ移行する。 (ステップS1710) 現変速比R(ステップS173あるいはステップS176にお
いて変速調整された後の変速比)に基づき、前記ステッ
プS178において用いられるエンジン回転数−変速比マッ
プ(Ne−Rマップ)から、上限エンジン回転数(NeU
と下限エンジン回転数(NeL)とを読み込み、ステップS
1711へ移行する。 (ステップS1711) 現エンジン回転数NeがステップS1710において読み込
んだ上限エンジン回転数NeUと下限エンジン回転数NeL
で設定される範囲内にあるか否かを判断し、範囲内にあ
る場合にはステップS1712へ移行し、範囲外である場合
にはステップS1714へ移行する。 (ステップS1712) チェンジコントロールを解除しステップS1713へ移行
する。 (ステップS1713) ステップS178と同様に、予めプログラムされた制御パ
ターンに基づく変速制御へ移行してステップS2へ戻る。 (ステップS1714) 現変速比R(ステップS173、あるいは、ステップS176
において変速調整された後の変速比)を保持してステッ
プS2へ戻る。 このような制御により、例えば、泥濘地等の摩擦の低
い路面上で発進を行う場合に、運転者が路面の状況に応
じてチェンジスイッチSfを操作してシフトアップ信号を
出力することにより、ステップS172およびステップS173
において、変速比RがTOP側、例えば、多段変速機の2
速あるいは3速相当の変速比に調整される。 したがって、駆動輪Wrへ伝達される駆動力が低く抑え
られるとともに、この駆動輪Wrのスリッによる過回転が
防止されて円滑な発進が可能となる。 この場合、エンジンEの回転数Neと変速比Rとの関係
が、ステップS178やスプS1713の変速制御に用いられるN
e−Rマップによって設定された適正関係から離脱させ
られた状態に保持される(すなわち、エンジンEの回転
数Neが低い場合、変速比RはLOW側に調整されるが、前
記制御により変速比RがTOP側へ調整されている)が、
この状態は、発進後においてエンジンEの回転数Neが上
昇し、調整後の変速比Rに対する適正範囲内に入るまで
継続して保持される(ステップS1710〜ステップS171
4)。 したがって、発進後において十分な車速に達し、スリ
ップが発生しないと想定されるまで前述したチェンジコ
ントロールが行われる。 そして、エンジンEの回転数Neが、調整後の変速比R
との関係において適正範囲内に入った時点でチェンジコ
ントロール制御が解除され(ステップS1710〜ステップS
1712)、以降、前記Ne−Rマップに基づく変速制御が行
われることにより、エンジンEの回転数Neに基づき変速
比Rが制御される。 一方、前記制御により、例えば追い越しやドリフト走
行を行うために、急激な駆動力の増加を必要とする場合
等には、チェンジスイッチSfを操作してシフトダウン信
号を出力することにより達成される。 すなわち、前記操作によってステップS175〜ステップ
S177の制御が行われて、変速比RがLOW側へ調整されて
伝達される駆動力の増加が得られる。 また、チェンジコントロール中に再度チェンジスイッ
チSfを操作すると、ステップS171、ステップS179、ステ
ップS172〜の制御により、変速比Rが前回調整された値
からさらに変速調整される。 したがって、任意の変速比への調整が可能となる。 次いで、この制御を自動二輪車における他の制御と組
み合わせた場合について、第17図に示す全体フロー参照
して説明する。 この全体フローは、制御の前段において行われる初期
制御Iと、この初期制御Iが不要と判断されたことを条
件として行れる特殊制御IIと、この特殊制御IIが不要と
判断されたことを条件として行われる通常制御IIIとか
らなり、前記初期制御Iは、制御系の初期化を行うステ
ップS1と、このステップS1のあとに各センサ値を読み込
むステップS2とに続いて、次の手順により行われる。 《初期制御I》 (ステップS3) 車輌に装着された各デバイスの作動状態を検出し、こ
れらの作動に異常がある場合にはステップS4へ移行し、
総てのデバイスの作動が正常である場合にはステップS5
へ移行する。 (ステップS4) 例えば、TOP側へ変速比Rを調整するなどのフェイル
セーフ制御を行いステップS2へ戻る。 (ステップS5) 前記エンジンの回転数Neが設定値以下か否かの判断を
行い、設定値以下と判断された場合にはステップS6へ移
行し、設定値以上と判断された場合には、ステップS16
へ移行する。 (ステップS6) 無段変速機TをTOPとLOWとの間の変速比に調整しステ
ップS2へ戻る(押しがけ制御)。 (ステップS16) チェンジコントロールは解除されているか否かを判断
し、解除されていない場合には、ステップS17へ移行
し、解除状態にある場合には、ステップS7へ移行する。 (ステップS17) 第16図に示したチェンジコントロールを行い、ステッ
プS2へ戻る。 ここで、第16図に示すステップS171は、その上流側を
第16図に示すステップS2に代えて、第17図の前記ステッ
プS5へ連絡され、また、通常Neコントロールの場合に
は、それぞれ第16図のステップS175およびステップS171
2は、その下流側をそれぞれステップS178およびステッ
プS1713に代えて第17図に示すステップS7へ連絡される
ことにより、第16図に示したチェンジコントロールが全
体フロー中に組み入れられる。 (ステップS7) 車速Vが設定値以上か否かの判断を行い、設定値以下
と判断された場合にステップS8へ移行し、設定値以上と
判断された場合には、特殊制御IIのステップS9へ移行す
る。 (ステップS8) 無段変速機Tの変速比RをLOWに調整したのちにステ
ップS2へ戻る(発進制御)。 《特殊制御II》 (ステップS9) 駆動輪Wrが接地しているか否かの判断を行い、接地し
ていないと判断された場合には、ステップS10へ移行
し、接地していると判断された場合にはステップS11へ
移行する。 (ステップS10) 無段変速機Tの変速比Rを、駆動輪Wrが路面から離間
する直前の値に保持するか、この値を基準として設定し
た最適値に調整したのちにステップS2へ戻る(ジャンプ
制御)。 (ステップS11) 駆動輪Wrの回転速度VRRの変化量が設定範囲内である
か否かの判断を行い、設定範囲外と判断された場合には
ステップS12へ移行し、設定範囲内と判断された場合に
はステップS13へ移行する。 (ステップS12) 無段変速機Tの変速比Rを、前記変化量が設定範囲外
となる直前の値に保持するか、あるいは、適正値に調整
したのちにステップS2へ戻る(ロック・スリップ制
御)。 (ステップS13) 車輌のクラッチ機構Cの断続の判断を行い、クラッチ
機構Cが切られて駆動輪Wrへの動力伝達が遮断されてい
ると判断された場合にステップS14へ移行し、クラッチ
機構Cが接続されて駆動輪Wrへ駆動力が伝達されている
と判断された場合には通常制御IIIのステップS15へ移行
する。 (ステップS14) クラッチ機構Cによる駆動輪Wrへの動力伝達遮断の経
過時間ΔTと車速Vの変化量に応じて、無段変速機Tの
変速比Rを調整したのちにステップS2へ戻る(慣性走行
制御)。 《通常制御III》 (ステップS15) スロットル開度θ、エンジン回転数Ne、車速V等の諸
制御因子に基づき無段変速機Tの変速比Rを調整したの
ちにステップS2へ戻る。 次いで、各制御の詳細について説明する。 なお、以下の説明中、対象とする制御の前後のステッ
プを適宜併記する。 まず、押しがけ制御(ステップS6)について第18図に
基づき説明する。 この押しがけ制御は、ステップS2において、エンジン
Eの回転数センサSa、スロットルセンサSb、車速センサ
Sc、および、レシオセンサ128により、エンジンEの回
転数Ne、スロットル開度θ、車速V、変速比Rをそれぞ
れ読み込み、これに基づいて、各デバイスの作動が正常
であり、かつ、エンジンEの回転数Neが設定回転数Ne1
より小さいと判断されたことを条件として、次の手順で
行われる。 そして、前記設定回転数Ne1は、例えば、エンジンE
が停止していると見なせる上限の回転数であり、アイド
リング回転数を基準としてその何割か小さい値に設定さ
れている。 (ステップS61) 読み込まれた実際の変速比RがTOP側に設定された変
速比RTよりも大きいか否か(変速比RTよりもLOW側にあ
るかTOP側にあるか)を判断し、TOP側にあると判断され
た場合にはステップS62へ移行し、LOW側にあると判断さ
れた場合にはステップS63へ移行する。 (ステップS62) 無段変速機TをLOW側へ変速して、ステップS61へ戻
る。 (ステップS63) 変速比RがLOW側に設定された変速比RLよりも小さい
か否か(変速比RLよりもTOP側にあるかLOW側にあるか)
を判断し、大きい場合(LOW側にある場合)にはステッ
プS64へ移行し、小さい場合(TOP側にある場合)にはス
テップS65へ移行する。 (ステップS64) 無段変速機TをTOP側に変速して、ステップS63へ戻
る。 (ステップS65) 無段変速機Tの変速操作を停止して変速比Rを保持し
ステップS2へ戻る。 以上のステップS61からステップS64までの制御によ
り、エンジンEが停止したと見なされると、無段変速機
Tの変速比Rが、LOWとTOPとの間に調整されて、押しが
けに際し、エンジンEのクランク軸1にクランキングに
必要な最適なトルクを与え得る値に保持される。 押しがけに最適な変速比Rとしては、例えば、5速の
多段変速機における2速あるいは3速に相当する値が挙
げられる。 次いで、発進制御(ステップS8)について、第19図に
基づき説明する。 この発進制御は、ステップS2において読み込まれた各
種の情報に基づき、ステップS5においてエンジンEの回
転数Neが設定回転数Ne1よりも大きいと判断され、か
つ、ステップS16においてチェンジコントロールが解除
されていると判断されているとともに、ステップS7にお
いて車速Vが設定値V1よりも小さいと判断されたことを
条件として以下の手順で行われる。 (ステップS81) 無段変速機Tの変速比RをLOW側へ調整しステップS82
へ移行する。 (ステップS82) 無段変速機TがLOWまで変速されたか否かを判断し、L
OWまで至ってない場合にはステップS81へ戻り、LOWまで
変速された場合にはステップS83へ移行する。 (ステップS83) 変速操作を停止し変速比Rを保持してステップS2へ戻
る。 このような制御により、車速Vが小さく発進状態にあ
る場合に、無段変速機Tの変速比RがLOWに保持され
て、エンジンEの回転数が大きくとも発進に最適な変速
比Rに調整され、これによって円滑な発進操作が得られ
る。 かつ、この発進制御が前述した押しがけ制御の後段に
おいて行われることにより、何等かの原因でエンジンE
が停止した場合には、押しがけ制御が優先して行われ
て、変速比RがLOWからTOP側へ調整されて押しがけに最
適な状態にセットされ、円滑な操作が行われる。 また、この発進制御が、前記マニアル制御(チェンジ
コントロール)の後段に設けられることにより、泥濘地
等、摩擦の低い路面での発進においてはチェンジコント
ロールが優先され、かつ、マニアル制御に基づく発進が
行われたのちにおいては、ステップS7において車速Vが
設定値以上と判断されるから、この発進制御は行われな
い。 特殊制御IIの最初に設けられたジャンプ制御(ステッ
プS10)は、車輌が前記初期制御Iを経て走行状態にあ
る場合に行われるもので、ステップS7に続くステップS9
において、駆動輪Wrが走行路面から離間したことを条件
として、第20図に示す手順で行われる。 そして、前記駆動輪Wrの走行路面からの離間を検知す
る手段としては、例えば前述した自動二輪車において
は、クッションユニット136に、このクッションユニッ
ト136が伸び切った場合に一定の信号を出力するクッシ
ョンスイッチを設けておくような構成が考えられる。す
なわち、車輌がジャンプ状態に至った場合には、前記ク
ッションユニット136が完全に伸び切った状態となるこ
とから、前記クッションスイッチからの出力信号を検出
することにより、ジャンプ状態にあるか否かの判断が行
われる。 (ステップS101) ジャンプの継続時間(例えば、前記クッションスイッ
チからの出力信号の継続時間)が一定時間T1を経過した
か否かを判断し、未経過である場合にはステップS102へ
移行し、経過後であるならばステップS103へ移行する。 (ステップS102) 変速比Rを、ジャンプ直前の変速比を保持してステッ
プS2へ戻る。 (ステップS103) ジャンプ直前の変速比例を基準として最適変速比R1
算出しステップS104へ移行する。 (ステップS104) 実際の変速比RがステップS103において求めた最適変
速比R1と一致しているか否かを判断し、一致していない
場合にはステップS105へ移行し、一致している場合には
ステップS106へ移行する。 (ステップS105) 変速比Rを最適変速比R1へ近付ける方向へ無段変速機
Tを作動させステップS104へ戻る。 この制御により、実際の変速比Rと最適変速比R1が一
致するまで無段変速機Tの変速操作が継続して行われ
る。 (ステップS106) 変速操作を停止したのちにステップS2へ戻る。 このような制御において、ステップS101でジャンプの
継続時間が一定時間T1を経過したか否かを判断して、移
行の変速比Rの調整を行うことにより、例えば、車輌が
凹凸路面を走行して、駆動輪Wrが小刻みにジャンプを繰
り返してジャンプの継続時間が短い場合には、ジャンプ
中における車速Vの変化が小さく変速比Rの調整が殆ど
不要であるから、ジャンプ直前の変速比に保持して駆動
輪Wrへ伝達される駆動力を適切なものとし、また、ジャ
ンプの継続時間が長い場合には、例えば、上り坂におけ
る車速Vの落ち込み現象や、下り坂における車速Vの増
加現象が生じるが、このようなジャンプ中における車速
Vの変化に対応した変速比Rの調整を行って、着地時に
駆動輪Wrへ適正な駆動力を与え、あるいは、エンジンE
の過回転を防止することができる。 前記ロック・スリップ制御(ステップS12)は、ステ
ップS11において駆動輪Wrの回転速度の変化量が設定範
囲外と判断されたのちに、第21図に示す手順で行われ
る。 なお、以下の説明では、説明を明確なものとするため
に、ステップS11の詳細な手順も含めた状態で説明す
る。そして、このステップS11に関連する手順をステッ
プS11Xとして示す。 (ステップS111) 駆動輪Wrの回転速度VRRと、前回測定した駆動輪Wrの
回転速度VFとの差(VRR−VF)すなわち変化量を算出
し、その変化量が零か正かの判断を行ない、零または正
であることを条件として、ステップS112へ移行し、負で
ある場合には、ステップS113へ移行する。 (ステップS112) ステップS111において算出した駆動輪Wrの回転速度の
変化量(VRR−VF)が、この変化量に対して制御条件と
して設定された範囲の上限値C1を越えたか否か(すなわ
ち、駆動輪Wrが設定値よりも多く加速されたか否か)を
判断し、越えた場合には、駆動輪Wrにスリップによる過
回転が発生したとしてステップS121へ移行し、越えてい
ない場合にはステップS113へ移行する。 (ステップS121) 駆動輪Wrの回転速度VRRと従動輪Wfの回転速度VFRとの
差(VRR−VFR)を算出し、この差が両者の回転速度差に
ついての制御条件として設定された範囲の上限値C3を越
えたか否か(すなわち、駆動輪Wrが従動輪Wfの回転より
設定値を越えて回転させられているか)を判断し、越え
ていない場合にはステップS113へ移行し、越えた場合は
駆動輪Wrにスリップによる過回転が発生したとしてステ
ップS122へ移行する。 (ステップS113) 駆動輪Wrの回転速度VRRの変化量(VRR−VF)が、この
変化量について制御条件として設定された範囲の下限値
C2(この値は負である)を下回っているか否か(すなわ
ち、駆動輪Wrが設定値よりも多く減速されたか)を判断
し、下回っている場合には駆動輪Wrがロック状態に至っ
たとしてもステップS123へ移行し、下回っていない場合
には、ステップS124へ移行する。 (ステップS123) 駆動輪Wrの回転速度VRRと従動輪Wfの回転速度VFRとの
差(VRR−VFR)を算出し、この差が両者の回転速度につ
いての制御条件として設定された範囲の下限値C4(この
値は負である)を下回っているか否か(すなわち、駆動
輪Wrの回転が従動輪Wfの回転より設定値以上に低いか否
か)判断し、下回っている場合にはステップS125へ移行
し、下回っていない場合にはステップS124へ移行する。 (ステップS125) 駆動輪Wrの回転速度VRRと従動輪Wfの回転速度VFRとの
差(VRR−VFR)が、前記下限値C4を下回っている状態
が、ある一定時間以上経過したか否かを判断し、経過し
ていない場合は、ステップS126へ移行し、経過した場合
にはステップS127へ移行する。 (ステップS126) 無断変速機Tの変速比Rを、スリップによる駆動輪Wr
の過回転の開始直前の変速比に維持すべく電動モータ86
へ信号を出力しステップS2へ戻る。 (ステップS127) 従動輪Wfの回転速度VFRに基づき推定車速を計算し、
ステップS128へ移行する。 (ステップS128) ステップS127において推定された車速に応じ、最適な
無段変速機Tの変速比Rを算出し、ステップS129へ移行
する。 (ステップS129) 無段変速機Tの変速比RをステップS128において算出
した値とすべく、電動モータ86により変速比RをLOW側
に必要量調整したのちに、ステップS2へ戻る。 (ステップS124) 前回の駆動輪Wrの回転速度VFを今回検出した駆動輪Wr
の回転速度VRRと同値に更新し、ステップS13へ移行す
る。 (ステップS122) 従動輪Wfの回転速度VFRと、前回測定した従動輪Wfの
回転速度VFと(VFR−VF)すなわち変化量を算出し、そ
の変化量の絶対値(|VFR−VF|)が、制御条件として設
定された範囲の設定値C5を越えたか否か(すなわち設定
値よりも多く加速されたか、あるいは多く減速された
か)を判断し、越えていない場合にはステップS1210へ
移行し、越えた場合には加速あるいは減速状態となった
と判断してステップS1211へ移行する。 (ステップS1210) 無段変速機Tの変速比Rを、スリップによる駆動輪Wr
の過回転の開始直前の変速比に維持すべく、電動モータ
86へ信号を出力してステップS2へ戻る。 (ステップS1211) ステップS122において算出した従動輪Wfの回転速度の
変化量が、正か負かの判断を行い、負である場合にはス
テップS1212へ移行し、正である場合にはステップS1213
へ移行する。 (ステップS1212) 従動輪回転速度VFRに基づき推定車速を計算し、ステ
ップS1214へ移行する。 (ステップS1214) ステップS1212において推定された車速に応じ、最適
な無段変速機Tの変速比Rを算出し、ステップS1215へ
移行する。 (ステップS1215) 無段変速機Tの変速比RをステップS1214において算
出した値とすべく、電動モータ86により変速比RをLOW
側に必要量調整したのち、ステップS2へ戻る。 (ステップS1213) 従動輪Wfの回転速度VFRに基づき推定車速を計算し、
ステップS1216へ移行する。 (ステップS1216) ステップS1213において推定された車速に応じ、最適
な無段変速機Tの変速比Rを算出し、ステップS1217へ
移行する。 (ステップS1217) 無段変速機Tの変速比RをステップS1216において算
出した値とすべく、電動モータ86により変速比RをTOP
側に必要量調整したのちに、ステップS2へ戻る。 ここで、この制御の作用を、ぬかるんだ箇所のある走
行路面において前記自動二輪車を走行させた場合を例に
とって説明する。 走行中ぬかるんだ箇所に到達し、急にスロットルを開
いた駆動輪Wrがスリップしたとすると、駆動輪Wrは空転
に近い状態になり、エンジン回転数および駆動輪Wrの回
転速度が急上昇する。すると、駆動輪回転速度VRRの上
昇にしたがって、スリップによる駆動輪Wrの過回転が始
まったことが判断され、無段変速機Tの変速比Rが、ス
リップ開始直前の値に保持される。 また、走行路面が傾斜しており、その路面を登ってい
てぬかるんだ箇所に到達した際、急にスロットルを開い
たことにより駆動輪Wrがスリップしたとすると、駆動輪
Wrは空転に近い状態になるとともに、登り坂であるため
に、車速Vが急激に低下する。すると、駆動輪回転速度
VRRの上昇にしたがって、スリップによる駆動率Wrの過
回転が始まったこと、および従動輪回転速度VFRの低下
が判断され、無段変速機Tの変速比Rが、スリップ開始
直前の変速比RよりもLOW側に調整される。 また、これとは逆に、傾斜した走行路面を下っていて
ぬかるんだ箇所に到達した際、急にスロットルを開いて
駆動輪Wrがスリップしたとすると、駆動輪は空転に近い
状態になるが、下り坂であるため、スリップが始まった
ときより車速が増した、すなわち加速された状態にな
る。すると、従動輪回転速度VFRの増加したと判断され
無段変速機Tの変速比RがTOP側に調整される。 以上により、駆動輪Wrと走行路面との間の摩擦力が回
復したときに、実車速に適合した変速比Rが確保される
こととなり、駆動力が落ちることなく充分な加速性を維
持することができる。 一方、ぬかるんだ路面を走行中に急制動をかけて駆動
輪Wrをロックさせた場合、この駆動輪Wrの回転速度VRR
の急速な減少にしたがって、前述したロック状態が検出
され、無段変速機Tの変速比Rがロック直前の値に保持
される。 したがって、走行路面と駆動輪Wrとの間の摩擦力が回
復したときに、実車速に適合した変速比Rが確保され、
適切なエンジンブレーキが得られ、あるいはエンジンの
過回転が防止される。 一方、前述したスリップによる駆動輪Wrの過回転状態
や、ロック状態からの脱出の検出が、駆動輪Wrの回転速
度VRRと従動輪Wfの回転速度VFRとの比較によって行なわ
れる。そして、この従動輪Wfの回転速度VFRは実車速に
近いものであるから、前述したスリップによる駆動輪Wr
の過回転状態や、ロック状態からの脱出の検出が精度よ
く行なわれ、かつ、実車速に即した変速比Rの調整作業
が得られる。 また、このロック・スリップ制御(ステップS12)を
前記ジャンプ制御(ステップS10)の後段において行う
ことにより、ジャンプ中における駆動輪Wrの過回転や減
速やロックやスリップと判断されることがなくなり、ジ
ャンプ制御が確実に行われる。 前記慣性走行制御(ステップS14)は、ステップS11に
おいて、ロックおよびスリップが生じていないこと、な
らびに、ステップS13においてクラッチ機構Cによる動
力伝達が遮断されたことを条件として、第22図に示す手
順によって行われる。 (ステップS141) 制御系の1サイクル前におけるクラッチの状態が今回
と同様にクラッチOFFであるか否か、すなわち、今回初
めてクラッチOFFの状態となったか否かを判断し、初め
てクラッチが切られた場合にはステップS142へ移行し、
前回もクラッチOFFであった場合、すなわち、クラッチO
FFの状態が継続状態にある場合には、ステップS143へ移
行する。 (ステップS142) クラッチOFFとなった時点における車速VFならびに変
速比RFを、車速センサSc(Se)およびレシオセンサ128
からの信号に基づき読み込む。ここで、既に車速VFなら
びに変速比RFが読み込まれている場合には、新しい車速
VFおよび変速比RFに更新しステップS143へ移行する。 (ステップS143) 所定時間Tsを通過したか否かを判断し、この所定時間
Tsを経過したことを条件として、ステップS144へ移行す
る。 (ステップS144) 前回の経過時間ΔTにTsを加算する演算を行い、加算
後の値を新しい経過時間ΔTとして更新してステップS1
45へ移行する。 ここで、ΔT=0の場合には、初めてクラッチOFFの
状態に入ったこととなるから、経過時間ΔTはTsであ
り、クラッチOFFの状態が継続されている場合には、所
定時間Tsが順次加算されてクラッチOFFの継続時間が算
出される。 (ステップS145) 経過時間ΔT後の車速VTを読み込みステップS146へ移
行する。 (ステップS146) ΔV=VT−VF、すなわち、クラッチOFFの状態に至っ
た時点の車速VFと、クラッチOFFの状態の継続後の車速V
Tとの差を算出し、ステップS147へ移行する。 (ステップS147) ステップS144において算出した継続時間ΔTと、ステ
ップS146で算出した速度差ΔV、および、ステップS142
において読み込んだクラッチOFF時の変速比RFに基づ
き、あらかじめ作成されているマップから、目標変速比
RMを求めたのちにステップS148へ移行する。 (ステップS148) 現在の変速比RとステップS147において求めた目標変
速比RMとの比較を行い、R=RMである場合にはステップ
S149へ移行し、R≠RMである場合にはステップS1410へ
移行する。 (ステップS149) ステップS148において現在の変速比Rが目標変速比RM
と一致していると判断された場合には、無段変速機Tの
変速操作を停止してステップS2へ戻る。 (ステップS1410) 現在の変速比Rが目標変速比RMよりも大きいか(LOW
側にあるか)否かを判断し、目標変速比RMよりも大きい
場合には、ステップS1411へ移行し、小さい場合にはス
テップS1412へ移行する。 (ステップS1411) 現在の変速比Rが目標変速比RMよりも大きいと判断さ
れた場合には、現在の変速比Rを目標変速比RMへ一致さ
せるべく電動モータ86へ駆動信号を出力して無段変速機
TをTOP側へ作動させ、両者が一致した時点で変速操作
を停止し、しかるのちにステップS2へ戻る。 (ステップS1412) 現在の変速比Rが目標変速比RMよりも小さい場合(TO
P側にある場合)には、ステップS1411における操作と逆
の操作を行い、無断変速機TをLOW側へ作動させたのち
にステップS2へ戻る。 一方、ステップS13においてクラッチONと判断された
場合には、ステップS131において、ステップS144で算出
されたΔTをクリヤしたのちにステップS15へ移行す
る。 このような制御に基づき無段変速機Tの変速制御を行
うと、ある速度で走行中にクラッチ機構Cを切り、この
クラッチ断の状態をある時間継続したのちに再度クラッ
チをつなぐような運転操作を行った場合、例えば、コー
ナの手前までTOPに近い変速比を繊維し、コーナに進入
すると同時にクラッチを切りかつブレーキをかけて減速
し、コーナの頂点に至った時点で再度クラッチをつない
で駆動輪Wrへ駆動力をかけてコーナを脱出するような場
合、ステップS13ないしステップS1412により、クラッチ
OFFの継続時間ならびにその間の車速Vの変化に応じて
目標変速比RMが設定され(前述した例の場合、減速操作
を行っていることから負の車速変化となり、ステップS1
47において、目標変速比RMがクラッチを切った時点にお
ける変速比RFよりもLOW側へ測定され)、実際の変速比
Rがこの変速比RMへ調整される。 これによって、無段変速機Tが適切な変速比R(RM
に調整されることとなり、クラッチを再接続した場合に
おいて、駆動輪Wrに適切な駆動力が与えられる。 したがって、スロットル操作に即応した加速操作が得
られる。 また、前記コーナーが若干下り勾配であって、減速操
作を必要としない場合にあっては、逆にクラッチを切っ
ている間に車速が上昇し、再駆動時にはクラッチを切っ
た直前の値よりもさらにTOP寄りの変速比Rに調整され
る。 また、この慣性走行制御を前述したジャンプ制御なら
びにロック・スリップ制御の後段において行うことによ
り、車輌のジャンプ中あるいはロック・スリップ中にク
ラッチ機構Cを遮断した場合においても、車輌の操作性
に大きく影響するジャンプ制御およびロック・スリップ
制御を優先して行い、円滑な操作性を確保することがで
きる。 以上の特殊制御IIに続いて行われる通常制御IIIは、
本実施例では第23図に示す手順で行われる。 (ステップS151) ステップS2において検出されたエンジン回転数Ne、ス
ロットル開度θ、車速V、および、変速比Rに基づき、
あらかじめ入力されている「エンジン回転数(Ne)−変
速比(R)マップ」から、第23図に示すように、適性エ
ンジン回転数領域Aを区画する境界線B上の、実際の変
速比Rに対応する目標エンジン回転数Nemを読み込み、
この目標エンジン回転数Nemと実際のエンジン回転数Ne
との比較を行い、実際のエンジン回転数Neの方が高い場
合にはステップS152へ移行し、それ以外の場合にはステ
ップS153へ移行する。 ここで、前記目標エンジン回転数Nemは、境界線Bと
見なすことができる。 (ステップS152) 現在の変速比Rすなわちモータ斜板20の傾斜角に基づ
き、あらかじめ設定されているマップからモータ斜板20
の傾動速度を求めてステップS154へ移行する。 (ステップS154) ステップS152において求めた傾動速度でモータ斜板20
を傾動させるべく、電動モータ86へ駆動信号を出力して
TOP側へ変速を行いステップS2へ戻る。 これによって、実際のエンジン回転数Neが前記境界線
Bへ向けて低下させられる。 (ステップS153) 実際のエンジン回転数Neが目標エンジン回転数Nem
りも低いか否かを判断し、低い場合にはステップS155へ
移行し、それ以外の場合にはステップS156へ移行する。 (ステップS155) 現在の変速比Rすなわちモータ斜板20の傾斜角に基づ
き、あらかじめ設定されているマップからモータ斜板20
の傾動速度を求めてステップS157へ移行する。 (ステップS157) ステップS155において求めた傾動速度でモータ斜板20
を傾動させるべく、電動モータ86へ駆動信号を出力して
LOW側へ変速を行いステップS2へ戻る。 (ステップS156) このステップS156に至るまでに、実際のエンジン回転
数Neと目標エンジン回転数Nemとが一致していると結果
的に判断されていることから、即座に変速操作を停止し
て、ステップS2へ戻る。 以上の手順を繰り返すことにより、実際のエンジン回
転数Neが、前記境界線Bと一致した時点、あるいは、こ
の境界線Bを若干量越えて前記適正エンジン回転数領域
Aの内側に収まった時点で、変速操作が停止させられ
る。 このような制御手順で、実際のエンジ回転数Neが適正
エンジン回転数領域Aよりも高い状態にある場合を例に
とって具体的に説明すれば、以下のとおりである。 第24図に示すように、エンジン回転数Neが適正エンジ
ン回転数領域Aよりも高いNe1であり、そのときの変速
比RがR1であるとする。 ここでまず、実際のエンジン回転数Ne1と実際の変速
比R1との関係から得られる適正エンジン回転数Nem1を基
準にして、適正エンジン回転数領域Aよりも高いと判断
され、変速比RがTOP側へ調整される。 このような調整により変速比RがR2へ低下させられる
とともに、エンジン回転数Neも、Ne1からNe2へ低下させ
られる。 次いで、低下させられたエンジン回転数Ne1と変速比R
2との関係から得られる適正エンジン回転数Nem2を基準
にして、前記エンジン回転数Ne2が適正エンジン回転数
領域Aよりも高いと判断され、変速比RがTOP側へ調整
される。 以上の操作が順次行われて、最終的には第24図に示す
ように、実際のエンジン回転数Neが境界線B上を含めて
適正エンジン回転数領域A内のエンジン回転数Nem0とな
されるとともに、そのときの変速比RがR0となされる。 そして、前述した最終的な変速比R0は、一連の制御操
作によって結果的に得られるもので、最終的な目標値で
はなく、かつ、エンジン回転数Neの高低の判断基準とな
るNemも、制御途中の目標値ではない。 したがって、前述した制御操作においては、目標変速
比RMの変化量を考慮することなく、実際の変速比RのTO
P側への調整量を制御するのみによって制御が行われる
こととなり、制御が極めて簡素化される。 また、変速比Rの調整に際し、目標変速比RMを設定し
てこの目標変速比RMへ向けて変速比の調整を行う場合に
比して、最終的に到達する変速比R0までの調整量が少な
くて済み、この結果、変速速度の向上が図られる。 一方、実際のエンジン回転数Neが、適正エンジン回転
数領域Aよりも低い場合には、前述した制御において、
境界線を、第24図に示すように、適正エンジン回転数領
域Aの下限を区画する下方の境界線Dとし、また、変速
比Rの調整方向をLOW側とすることによって、同様の制
御が行われる。 さらに、図示例においては、ステップS152およびステ
ップS155において、変速比Rに対応して変速速度を変化
させるようにしている。 この制御により、エンジンEの回転上昇の速度と無段
変速機Tの変速速度とを適切な関係に保持することがで
きる。 例えば、通常の車輌においては、第25図に示すよう
に、曲線P1で示すように、エンジンから駆動輪に与えら
れる駆動力が大きいために、同図に曲線Ne1で示すよう
に、エンジンの回転の上昇速度が速く、かつ、変速機が
TOP側にセットされている場合には、同図に曲線P5で示
すように、エンジンから駆動輪に与える駆動力が小さい
ために、同図に曲線Ne5で示すように、エンジンの回転
の上昇速度が緩やかになる特性を有し、また、同図に曲
線Jで示すように、変速比がTOP側にいくにしたがい、
駆動力のピーク間の間隔が狭まる特性を有している。 ここで、エンジンEの特性を全回転域において最大限
に引き出すには、曲線Jに沿った変速制御を行うことが
有効であるが、図示例では、モータ斜板20の傾動速度が
変速操作の初期において速く終期において緩やかとなる
ように、すなわち、LOW側において速くTOP側において緩
やかとなるようにマップを作成しておくことにより、ほ
ぼ曲線Jに沿った制御を得ることができる。 これによって、エンジンEの回転上昇の速度と無断変
速機Tの変速速度とを適切な関係に保持して、LOW側に
おけるエンジンの吹き上がりや、TOP側におけるエンジ
ンのハンチングが抑制される。 なお、第25図においては、理解を容易にするために、
変速機の変速比をLOWとTOPとを含め5段階として示し、
それぞれにLOWからTOPへ向けて1〜5の添え字を付して
あり、曲線Pnは各変速比における駆動力の変化曲線を示
し、また、Nenは各変速比におけるエンジン回転数の変
化曲線を示している。 そして、このような通常制御IIIを前記特殊制御IIの
後段において行うことにより、特殊な走行条件に至った
際に、走行条件の変化に即座に対応した制御が行われ
る。 また、これらの特殊制御IIや通常制御IIIの前段に本
実施例のチェンジコントロールが設けられているから、
必要に応じ運転者の意志により、特殊制御IIや通常制御
IIIを回避して、エンジンEの回転数Neと変速比Rとの
関係を任意に変更することができ、この結果、駆動系を
好みに応じた状態とすることができる。 なお、前記実施例は一例であって、適用する車輌の種
類等に基づき種々変更可能である。 例えば、前記チェンジコントロールを全体の制御フロ
ー中に組み入れる場合の一例として、押しがけ制御と発
進制御との間に組み入れる場合を示したが、これに限定
されるものではなく、発進制御の後段に設けるようにし
てもよく、また、各制御ステップからステップS2へ戻る
経路の途中に組み入れるようにしてもよい。 この組み入れる箇所の選定は、全体フローの1サイク
ルに要する時間、あるいは、適用する車輌に要求される
特性等に基づき行われる。 [発明の効果] 以上説明したように、本発明に係わる車輌用無段変速
機の制御方法は、車輌に搭載されたエンジンと駆動輪と
の間に設けられた無段変速機の変速比を、前記車輌に設
けられたチェンジスイッチからの出力信号に基づき、他
の制御に優先して現変速比からTOP側あるいはLOW側へ向
けて変速調整して保持する形式の無段変速機の制御方法
において、エンジン回転数と無段変速機の変速比との関
係が設定範囲に復帰した時点で前記変速比の保持を解除
するものであり、前記設定範囲に復帰したか否かは、現
変速比に基づき、エンジン回転数との変速比とのマップ
で定められる上限エンジン回転数と下限エンジン回転数
とで設定される範囲に、現エンジン回転数が入っている
か否かで判断することを特徴とするもので、走行状況の
変化によってエンジン回転数と変速比とが設定範囲以内
に復帰した時点で、変速比の保持を解除することによ
り、自動変速制御へ移行させ、これによって、車輌の走
行性を大幅に向上させるとともに、手動変速モードから
自動変速モードへ復帰するためのモード切換えスイッチ
を特に設ける必要がないので、それに応じて部品数を増
やす必要がなくなってコストアップが抑えられるといっ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 図面中、第1図は従来の車輌用無段変速機の制御方法を
説明するためのフローチャート、第2図ないし第25図は
本発明の一実施例を示すもので、第2図は自動二輪車の
動力伝達系に介装した静油圧式無段変速機の縦断面平面
図、第3図は同変速機の縦断背面図、第4図は第3図の
IV−IV線断面図、第4A図は第4図の作動図、第5図、第
6図、第7図および第8図は第3図のV−V線、VI−VI
線、VII−VII線およびVIII−VIII線に沿う矢視断面図、
第9図は第1分配弁および第2分配弁の外観斜視図、第
10図は第3図のX−X線断面図、第10A図は第10図の作
動図、第11図および第12図は第3図のXI−XI線およびXI
I−XII線に沿う矢視断面図、第13図は油圧回路を示す概
略図、第14図は前記静油圧式無段変速機が搭載された車
輌としての自動二輪車を示す平面図、第15図は第14図に
示す自動二輪車の側面図、第16図は一実施例のフローチ
ャート、第17図は一実施例を組み込んだ無段変速機の制
御の全体を示すフローチャート、第18図は押しがけ制御
の詳細を示すフローチャート、第19図は発進制御の詳細
を示すフローチャート、第20図はジャンプ制御の詳細を
示すフローチャート、第21図はロック・スリップ制御の
詳細を示すフローチャート、第22図は慣性走行制御の詳
細を示すフローチャート、第23図は通常制御の詳細を示
すフローチャート、第24図は通常制御におけるエンジン
回転数と変速比との関係を示す図、第25図は通常制御に
おけるエンジンと変速機との関係を説明するためのエン
ジン性能曲線図である。 a……ポンプポート、b……モータポート、 e……第1偏心位置、f……第2偏心位置、 g……クラッチオン位置、h……クラッチオフ位置、 D……吐出行程領域、E……エンジン、 M……油圧モータ、P……油圧ポンプ、 S……吸入行程領域、T……無段変速機、 Ex……膨脹行程領域、Sh……収縮行程領域、 C……クラッチ機構、Q……流量調整機構、 G……油圧閉回路、U……制御手段、 1……クランク軸、5……入力部材、 7……ポンプシリンダ、9……ポンププランジャ、 10……ポンプ斜板、17……モータシリンダ、 19……モータプランジャ、20……モータ傾板、 25……出力軸、 40……(低圧油路)内側油路、 41……(高圧油路)外側油路、 45……第1分配弁、46……第2分配弁、 47……第1偏心輪、49……第2偏心輪、 51……第1制御環、57……作動環、 62……レリーズ環、64……クラッチレバー、 66……ベルクランク、80……傾斜角制御機構、 104……制御レバー、124……クラッチセンサ、 125……アクチュエータ、126……流量センサ、 127……アクチュエータ、128……レシオセンサ、 142……チェンジペダル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 勝実 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 中島 芳浩 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−115733(JP,A) 特開 昭62−110054(JP,A) 実開 昭60−16042(JP,U)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.車輌に搭載されたエンジンと駆動輪との間に設けら
    れた無段変速機の変速比を、前記車輌に設けられたチェ
    ンジスイッチからの出力信号に基づき、他の制御に優先
    して現変速比からTOP側あるいはLOW側へ向けて変速調整
    して保持する形式の無段変速機の制御方法において、 エンジン回転数と無段変速機の変速比との関係が設定範
    囲に復帰した時点で前記変速比の保持を解除するもので
    あり、前記設定範囲に復帰したか否かは、現変速比に基
    づき、エンジン回転数と変速比とのマップで定められる
    上限エンジン回転数と下限エンジン回転数とで設定され
    る範囲に、現エンジン回転数が入っているか否かで判断
    することを特徴とする車輌用無段変速機の制御方法。
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