JP2850891B2 - 光フィルタモジュールとこれを用いた光増幅装置 - Google Patents

光フィルタモジュールとこれを用いた光増幅装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、アイソレータ機能
を有する偏光無依存型光フィルタモジュールおよびこれ
を用いた光増幅装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】光ファイバを用いた大容量の光通信シス
テムに於いて、近年伝送途中で減衰する光信号を電気信
号に変換することなく光のまま増幅する光ファイバ増幅
器が用いられている。「石尾他、“光増幅器とその応
用”１１１項、オーム社、（１９９２）」による光ファ
イバ増幅器の構成例を図６に示す。このような光ファイ
バ増幅器の出力光は信号光だけでなく、自然放出光によ
るノイズや励起用レーザー光の成分を含むため、信号光
以外の光を抑圧する光フィルタが必要であり、戻り光に
よる光ファイバの発振を防止するためアイソレータも必
要である。図７に従来のフィルタモジュールの構成例を
示す。
【０００３】従来の光フィルタモジュールでは偏光依存
性を解消するため、偏光分離プリズム、及び１／２波長
板を用いて光フィルタへの入射光を単一の偏光状態にし
ている。従って、透過中心波長の調整のために光フィル
タを入射光に対し傾けて実装しているが、偏光依存性は
発生しない。このような光フィルタモジュールは特開平
４−３５８１１５に記載されている。図８に「石尾他、
“光増幅器とその応用”、１５３項、オーム社、（１９
９２）」による従来のアイソレータの構成例を示す。従
来のアイソレータでは、複屈折プリズムと偏波回転子、
ファラデー回転子を用いて、偏光状態に関わらず逆方向
の光が、順方向の入射ファイバに結合しないようにして
いる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】光ファイバ増幅器はエ
ルビウムなどの希土類元素を添加した光ファイバに励起
用レーザー光を注入し、増幅する光信号を導いて元の光
信号を増幅する装置である。光ファイバ増幅器に於いて
励起用レーザー光源に戻り光が生じると、レーザー光源
内部の発振が乱されてノイズが発生する。発生したノイ
ズは希土類添加ファイバ内部で増幅され信号光に干渉す
るために、光ファイバ伝送系では逆方向の光を阻止する
光アイソレータは不可欠であり、励起光、及び自然放出
光によるノイズを除去する光フィルタも必須の要素とな
っているが、従来の光フィルタモジュールはアイソレー
タ機能を持っていないため、光フィルタと光アイソレー
タを個々に構成しなければならず、そのため接続、調整
作業が繁雑であり、装置も大型化してしまっていた。ま
た、従来の光フィルタモジュールでは、Ｐ偏光の光とＳ
偏光の光で光路長が異なり偏波分散が発生するという問
題もある。
【０００５】本発明は上記した背景に折りみてなされた
もので、その目的は、偏光依存性、偏波分散の発生しな
い簡単な構成のアイソレータ機能付き光フィルタモジュ
ールを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明の光フィルタモジ
ュールは、上述の欠点を除去するために、光を出射する
第１の光入出力端子と、第２の光入出力端子と、第１の
光入出力端子と第２の光入出力端子の間に配置される光
フィルタとを備えている。さらに、第１の光入出力端子
と光フィルタの間に配置され光を互いに平行でかつ偏光
面が互いに直交する第１の直線偏光と第２の直線偏光に
分離する偏光分離部と、偏光分離部と光フィルタの間に
配置され第１の直線偏光の偏光面を９０度回転させ第１
の回転光を光フィルタに出力する第１の偏光回転部と、
光フィルタと第２の光入出力端子の間に配置され光フィ
ルタを透過した光を９０度回転させ第２の回転光を出力
する第２の回転部と、光フィルタと第２の光入出力端子
との間に配置され第１の回転光と第２の回転光を合成し
て第２の光入出力端子に出力する偏光合成部とを備えて
いる。
【０００７】本発明の光フィルタモジュールは、上記構
成において、第１の回転部が、第１の直線偏光の偏光面
を第１の方向に４５度回転させる第１の旋光子と、第１
の旋光子から出力される光をさらに同一方向に４５度回
転させる第１のファラデー回転子とを含み、また、第２
の回転手段が、第２の直線偏光の偏光面を４５度回転さ
せる第２の旋光子と、第２の旋光子から出力される光を
さらに同一方向に４５度回転させる第２のファラデー回
転子とを含んでいることを特徴としている。
【０００８】また、本発明の光フィルタモジュールは、
偏光分離部及び偏光合成部が、それぞれ偏光分離プリズ
ムを有する偏光分離プリズム、又は複屈折結晶板から構
成されていることを特徴としている。
【０００９】一方、光フィルタは、誘電体多層膜が蒸着
された透明板、又はファブリペロー干渉板、又は複屈折
結晶板、又はグレーティングにより構成されていること
を特徴としている。また、第１の光入出力端子と第２の
光入出力端子は、それぞれ光ファイバであることを特徴
とする。
【００１０】また、本発明の光増幅装置は、信号光が入
力される信号入力端子と、信号光を光増幅する光増幅用
光ファイバと、励起光を出力する励起光源と、励起光を
光増幅用光ファイバに入射する光合波器と、光増幅用光
ファイバにおいて光増幅された信号光を出力する信号出
力端子とを備えた光増幅装置であって、さらに、上記本
発明の光フィルタモジュールが、第１の光入出力端子を
信号入力端子に向けて、第２の光入出力端子を信号出力
端子に向けて、信号入力端子と信号出力端子の間に接続
配置されていることを特徴としている。
【００１１】入力端子から出射された順方向の光は旋光
子とファラデー回転子を通過することにより、それぞれ
偏光面が同一方向に４５度ずつ回転するため、偏光面が
９０度回転するが、逆方向の光はファラデー回転子と旋
光子を通過する際にそれぞれ偏光面が逆方向に４５度ず
つ回転するため、偏光面は結果として元に戻るため、入
力側光ファイバには結合しない。従ってアイソレータと
して機能する。
【００１２】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面を参考に
して詳細に述べる。図１は本発明の実施例構成図を示
す。本発明の光フィルタモジュールは、入出力端子１
０，１１、偏光分離素子１２、旋光子１３，１６、ファ
ラデー回転子１４，１７、光フィルタ１５、合波素子１
８で構成される。偏光分離素子１２は任意の偏光状態の
光を互いに直交する二つの偏光成分に分離し、合波素子
１８は直交する偏光成分を偏波合成する光部品である。
旋光子１３，１６、及びファラデー回転子１４，１７は
光の偏光面を回転させる光部品であるが、ファラデー回
転子による回転方向は非可逆的なものになる。
【００１３】次いで図１を用いて順方向の光の挙動につ
いて述べる。入力端子１０ａから出射した光は偏光分離
素子１２に導かれ、偏光分離素子１２により、光路ａを
通る紙面に垂直な偏光（Ｐ偏光）と光路ｂを通る紙面に
平行な偏光（Ｓ偏光）に分離される。光路ａの光は光フ
ィルタ１５を透過し、旋光子１６で偏光方向が４５度回
転し、ファラデー回転子１７でさらに偏光方向が４５度
回転し、合波素子１８で偏波合成され出力端子１１に導
かれる。
【００１４】一方、光路ｂの光は旋光子１３で偏光方向
が４５度回転し、ファラデー回転子１４を通過すること
でさらに偏光方向が４５度回転し、Ｐ偏光となって光フ
ィルタ１５を透過し、合波素子１８を透過して出力端子
１１に導かれる。従って、光フィルタに１５にはＰ偏光
の光のみが入射するため、光フィルタ１５を斜めに傾け
て実装しても偏光依存性損失が発生しない。また、光路
ａと光路ｂの光路長が等しいために偏波分散は発生しな
い。
【００１５】次いで図２を用いて逆方向の光に対する本
光フィルタモジュールの特性を述べる。出力端子２０ｂ
から出射された光は合波素子２８により、Ｐ偏光とＳ偏
光に分離される。光路ｂの光は、光フィルタ２５を経由
してファラデー回転子２４で４５度偏光方向が回転する
が４５度旋光子２３を通る際にファラデー回転子２４と
は逆方向に４５度偏光方向が回転し、偏光状態は元のＰ
偏光のまま偏光分離素子２２に入射し、入力端子２０ａ
には結合しない。一方、光路ａの光は、ファラデー回転
子２７で偏光方向が４５度回転するが、４５度旋光子２
６でファラデー回転子とは逆方向に４５度偏光方向が回
転し偏光状態は元のＳ偏光のままである。４５度旋光子
２６から出射した光は光フィルタ２５を経由して偏光分
離素子２２に到達し、入力端子２０ａとは結合しない。
従って本光フィルタモジュールは光アイソレータとして
も機能する。
【００１６】図中においては光路ｂ上光フィルタの前段
に旋光子１３及びファラデー回転子１４を、光路ａ上光
フィルタ後段に旋光子１６、及びファラデー回転子１７
を配置して、光フィルタ１５にＰ偏光の光のみが入射す
るようにしているが、光路ａ上光フィルタの前段に旋光
子及びファラデー回転子を、光路ｂ上光フィルタ後段に
旋光子、及びファラデー回転子を配置して、光フィルタ
にＳ偏光の光のみが入射するようにしてもよい。
【００１７】図３に本発明の実施例構成図を示す。入出
力端子には光ファイバ３０ａ，３０ｂ、非球面レンズ３
１，３９を用いた。偏光分離素子、合波素子としてＰＢ
Ｓプリズム３２，３８、旋光子には１／２波長板３３，
３６を、ファラデー回転子３４，３７としてはイットリ
ウム・鉄・ガーネット単結晶体を用いた。図中には記載
していないが、ファラデー回転子の近傍には永久磁石に
よる磁界印加手段を設けており、図中のイットリウム・
鉄・ガーネット単結晶体であるファラデー回転子３４、
３７は磁気飽和されている。また、そのファラデー回転
角は４５度である。また、光フィルタには誘電体多層膜
フィルタ３５を用いた。
【００１８】誘電体多層膜フィルタの特性を図４に示
す。図４は垂直入射での特性であり、中心波長１５７０
ｎｍであるが、中心波長を１５５０ｎｍに調整した。こ
のときのフィルタ入射角度は約１５度となった。従来の
光フィルタモジュールとアイソレータを組み合わせた場
合には挿入損失１．２ｄＢ、アイソレーション３０ｄ
Ｂ、偏光依存性損失０．２ｄＢ、偏波分散０．５ｐｓで
あった。本実施例においては挿入損失１．０ｄＢ以下、
アイソレーション３０ｄＢ以上、偏光依存性損失０．１
ｄＢ以下、偏波分散０．１ｐｓ以下の特性が得られ、偏
光依存型のアイソレータ機能付き光フィルタモジュール
を作製することができた。また、従来の光フィルタモジ
ュールとアイソレータを別個に組み合わせた場合に比べ
体積占有率において１５％の小型化を図ることができ
た。
【００１９】上記実施例では、光フィルタに誘電体多層
膜を用いているが、ファブリペロー干渉板や複屈折板、
グレーティング等の他の光フィルタを用いても、同様な
効果が得られるのは明らかである。また、上記実施例で
は偏光分離手段にＰＢＳプリズムを用いているが、複屈
折結晶板等の他の偏光分離手段を用いても同様の効果が
得られることは明らかである。
【００２０】次に、本発明の光フィルタモジュールを用
いた光増幅装置について説明する。
【００２１】図１は、本発明の光フィルタモジュールを
光増幅装置に用いた一実施例の構成を示す図である。
【００２２】基本的な光増幅装置の構成は、図６に示さ
れる従来の光増幅装置の構成と共通している。ここで
は、図６に示される光増幅装置に用いられている光アイ
ソレータ７３と光バンドパスフィルタ７５の代わりに、
上述した光フィルタモジュールが用いられている。な
お、本実施例では、前方励起の例を示したが、後方励起
の光増幅装置であっても、光フィルタモジュールを励起
光を合波する光合分波器７０よりもより光信号出力側に
配置すればよい。
【００２３】すでに説明したように、本発明の光フィル
タモジュールでは、偏光依存性がなく、また偏波分散が
生じることもなく、しかも、光アイソレータと光フィル
タの機能を合わせ持つので、光増幅装置の性能の向上と
ともに、装置全体の構成の簡易化、小型化にも寄与す
る。
【００２４】
【発明の効果】第一の効果は光フィルタモジュール自体
がアイソレータ機能を持つことである。本発明の光フィ
ルタモジュールでは、旋光子、ファラデー回転子を用い
ることで、逆方向の光が入力端子に結合しないからであ
る。
【００２５】また、第二の効果は本光フィルタモジュー
ルでは、分離した二つの光路長が等しくなるようにして
いることにより、偏波分散が発生しないことである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光フィルタモジュールの構成図であ
る。
【図２】本発明のアイソレータ機能を示す図である。
【図３】本発明の光フィルタモジュールの実施構成例で
ある。
【図４】本発明実施例の誘電体多層膜フィルタの特性を
示す図である。
【図５】本発明の光フィルタモジュールを用いた光増幅
装置の一実施例の構成を示す図である。
【図６】光ファイバ増幅器の構成を示す図である。
【図７】従来の光ファイバモジュールの一例を示す図で
ある。
【図８】従来の光アイソレータの一例を示す図である。
【符号の説明】
１０ａ 入力端子 １０ｂ 出力端子 １１，１９ 集光手段 １２ 偏光分離素子 １３，１６ 旋光子 １４，１７ ファラデー回転子 １５ 光フィルタ １８ 合波素子 ２０ａ 入力端子 ２０ｂ 出力端子 ２２ 偏光分離素子 ２３，２６ 旋光子 ２４，２７ ファラデー回転子 ２５ 光フィルタ ２８ 合波素子 ３０ａ，３０ｂ 光ファイバ ３１，３９ 非球面レンズ ３２，３８ ＰＢＳプリズム ３２ａ，３８ａ 偏光分離膜 ３２ｂ，３８ｂ 全反射膜 ３３，３６ １／２波長板 ３４，３７ ファラデー回転子 ３５ 誘電体多層膜フィルタ ５０，５４ 偏光分離プリズム ５１，５３ １／２波長板 ５２ａ，５２ｂ 平板状部材 ５５，５７ 偏光分離膜 ５６ａ，５６ｂ，５６ｃ 複屈折結晶 ５８ 複屈折フィルタ ５９ フィルタアセンブリ ６０，６１ ファイバ ６２，６７ レンズ ６３ 複屈折プリズム ６４ 偏波回転子 ６５ ４５度ファラデー回転子 ６６ 複屈折プリズムＢ ７０ 光合分波器 ７１ 光アイソレータ ７２ 励起光源 ７３ 光アイソレータ ７４ エルビウム添加光ファイバ ７５ 光バンドパスフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) G02B 27/28 H01S 3/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 光を出射する第１の光入出力端子と、 第２の光入出力端子と、 前記第１の光入出力端子と前記第２の光入出力端子の間
    に配置される光フィルタと、 前記第１の光入出力端子と前記光フィルタの間に配置さ
    れ、前記光を互いに平行でかつ偏光面が互いに直交する
    第１の直線偏光と第２の直線偏光に分離する偏光分離手
    段と、 前記偏光分離手段と前記光フィルタの間に配置され、第
    １の直線偏光の偏光面を９０度回転させ第１の回転光を
    前記光フィルタに出力する第１の偏光回転手段と、 前記光フィルタと前記第２の光入出力端子の間に配置さ
    れ、前記光フィルタを透過した光を９０度回転させ第２
    の回転光を出力する第２の回転手段と、 前記光フィルタと前記第２の光入出力端子との間に配置
    され、前記第１の回転光と前記第２の回転光を合成して
    前記第２の光入出力端子に出力する偏光合成手段とを備
    えた光フィルタモジュールであって、 前記第１の回転手段は、 前記第１の直線偏光の偏光面を第１の方向に４５度回転
    させる第１の旋光子と、 前記第１の旋光子から出力される光をさらに同一方向に
    ４５度回転させる第１のファラデー回転子とを含み、 前記第２の回転手段は、 前記第２の直線偏光の偏光面を４５度回転させる第２の
    旋光子と、 前記第２の旋光子から出力される光をさらに同一方向に
    ４５度回転させる第２のファラデー回転子とを含んでい
    ることを特徴とする光フィルタモジュール。
  2. 【請求項２】 前記偏光分離手段及び前記偏光合成手段
    は、 それぞれ偏光分離プリズムを有する偏光分離プリズムを
    含むことを特徴とする請求項１記載の光フィルタモジュ
    ール。
  3. 【請求項３】 前記偏光分離手段及び前記偏光合成手段
    は、 それぞれ複屈折結晶板を含むことを特徴とする請求項１
    記載の光フィルタモジュール。
  4. 【請求項４】 前記光フィルタは、 誘電体多層膜が蒸着された透明板を含むことを特徴とす
    る請求項１から請求項３までのいずれかの請求項に記載
    の光フィルタモジュール。
  5. 【請求項５】 前記光フィルタは、 ファブリペロー干渉板を含むことを特徴とする請求項１
    から請求項３までのいずれかの請求項に記載の光フィル
    タモジュール。
  6. 【請求項６】 前記光フィルタは、 複屈折結晶板を含むことを特徴とする請求項１から請求
    項３までのいずれかの請求項に記載の光フィルタモジュ
    ール。
  7. 【請求項７】 前記光フィルタは、 グレーティングを含むことを特徴とする請求項１から請
    求項３までのいずれかの請求項に記載の光フィルタモジ
    ュール。
  8. 【請求項８】 前記第１の光入出力端子と前記第２の光
    入出力端子は、 それぞれ光ファイバを含むことを特徴とする請求項１か
    ら請求項７までのいずれかの請求項に記載の光フィルタ
    モジュール。
  9. 【請求項９】 信号光が入力される信号入力端子と、 前記信号光を光増幅する光増幅用光ファイバと、 励起光を出力する励起光源と、 前記励起光を前記光増幅用光ファイバに入射する光合波
    器と、 前記光増幅用光ファイバにおいて光増幅された前記信号
    光を出力する信号出力端子とを備えた光増幅装置であっ
    て、さらに請求項１から請求項８までのいずれかの請求
    項に記載される前記光フィルタモジュールが、前記第１
    の光入出力端子を前記信号入力端子に向けて、前記第２
    の光入出力端子を前記信号出力端子に向けて、前記信号
    入力端子と前記信号出力端子の間に接続配置されている
    ことを特徴とする光増幅装置。
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