JP2847601B2 - 低速陽電子ビーム発生装置 - Google Patents
低速陽電子ビーム発生装置Info
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Description
の分析装置、陽電子再放出顕微鏡、あるいは、欠陥デプ
スプロファイル等に利用できる低速陽電子ビーム発生装
置に関し、特にラジオアイソトープ(以下、RIと称す
る)を用いた低速陽電子ビーム発生装置に関する。
低速陽電子ビーム発生源と、発生したビームを低速陽電
子利用部に導く低速陽電子輸送部とを有している。この
種の低速陽電子ビーム発生源として、従来は、長寿命R
Iや電子線線形加速器(以下、電子線LINACと称す
る)が用いられていた。
RIによる場合は、研究室レベルで長時間使用するた
め、必然的に強度に限界があり、高強度のビームが得ら
れない欠点があった。他方、電子線LINACによる場
合は、高強度のビームは得られる反面、装置が大型且つ
極めて高価なものとなる欠点があった。
ので、その目的とするところは、小型で汎用性に優れる
高強度低速陽電子ビーム発生装置を提供することにあ
る。
明の構成は、低速陽電子ビーム発生源と、発生した低速
陽電子ビームを低速陽電子利用部に導く低速陽電子輸送
部とを有する装置において、前記低速陽電子ビーム発生
源は、陽子又は重陽子を一定周期で連続放出するサイク
ロトロンと、放出された陽電子又は重陽子の照射により
RIを生成するターゲットと、このRIから放出される
高速陽電子を減速する減速手段と、減速した陽電子をビ
ームとして取り出す引出し電極とを含むことを特徴とす
る。
るβ+ 崩壊性RIであり、前記陽子又は重陽子の前記タ
ーゲットへの照射時間は、前記RIの半減期よりも十分
長いものとする。
陽電子ビームを収束させる静電レンズ又は磁気レンズ、
あるいは、前記低速陽電子ビームを前記低速陽電子利用
部まで輸送する輸送管とこの輸送管内の低速陽電子ビー
ムをサイクロトロン運動させる磁場形成手段とを有して
いる。この輸送管は、その途中が屈曲している。
をターゲットに照射すると核変換によってβ+ 崩壊性R
Iが生成される。このβ+ 崩壊性RIの寿命は短いが、
サイクロトロンをオンラインで使用し、ターゲットへの
照射時間をRIの半減期よりも十分長くすることで、高
強度の放射能飽和RIが生成される。この放射能飽和R
Iから放出される高速陽電子は減速手段によって低速陽
電子に変換され、引出し電極でビームとして取り出され
た後、静電場あるいは磁場によって低速陽電子利用部ま
で輸送される。磁場による場合には、輸送管の途中を屈
曲することにより高エネルギー成分が除去されて輸送さ
れる。
する。
ビーム発生装置の要部構成図であり、1はサイクロトロ
ン、2は低速陽電子発生部、3は低速陽電子輸送部、4
は低速陽電子利用部を表す。サイクロトロン1と低速陽
電子発生部2とで低速陽電子ビーム発生手段を構成して
いる。
サイクロトロンをそのまま転用したもので、加速粒子に
は、エネルギー10〜20[MeV]程度の電流値、5
0〜100[μA]の陽子pまたは重陽子dを使用す
る。
に、陽電子放出性RIとなるターゲット部材21、陽電
子を低速化する減速材(減速手段)22、これらターゲ
ット部材21及び減速材22を冷却する冷却金属ホルダ
ー23、ビーム引出し電極24を有している。
dが照射されたときに核変換により短寿命のβ+ 崩壊性
核種を生じさせる部材であり、具体的には、アルミニウ
ムやホウ素、窒素、フッ素、炭素、酸素、ナトリウム等
の単体あるいはその化合物が用いられる。
して、アルミニウムが使用された場合、陽子電流が70
μAでは、4.5x1011e+ /sの高速陽電子が発生
し、他方、ターゲット物質として、窒化硼素(BN)が
使用されたとき、8.5x1011e+ /sの高速陽電子
が発生する。
仕事関数を持ち、効率良く陽電子を減速させる物質から
成り、具体的には、タングステン、ニッケル等の単結晶
箔を真空中で焼鈍し、欠陥を取り除いた上使用する。な
お、単結晶に代え、多結晶でも多少効率は落ちるが使用
可能である。これらターゲット部材21及び減速材22
は、例えば水冷されている冷却金属ホルダー23上にセ
ットされ、He(ヘリウム)ガスによる冷却と併用して
熱除去される。なお、ターゲット21部材がそれ自身負
の仕事関数を持っている場合には減速機能を併有するの
で、減速材22を省略しても良い。
低速陽電子への変換効率が10-4以上であれば良い。こ
のような減速材22を用いた場合、減速材22から放出
される低速陽電子はアルミニウムターゲットのとき、
4.5x107 e+ /s、窒化硼素のターゲットのと
き、8.5x107 e+ /sのビーム強度を有する。こ
のようにして、減速材22から放出された陽電子は、引
出し電極24によりビームとして取り出される。
る。図1は静電場輸送の例であり、陽電子ビームを静電
レンズ31a、bを用いて収束させながら後続の低速陽
電子利用部4まで輸送する。なお、静電レンズ31a,
bに代え、磁気レンズを用いることもできる。また、必
要に応じてエネルギー選別装置32や輝度強化装置3
3、あるいはパルス化装置(図示省略)等を静電レンズ
31a,b途中に挿設する。更に、必要に応じて輸送途
中に設けた加速器34で陽電子ビームを100[ke
V]程度に加速する。このときは、低速陽電子発生部2
と低速陽電子輸送部3の一部を、斜線で示すように、絶
縁碍子35a,bにて他の部分と電気的に絶縁する必要
がある。なお、低速陽電子ビーム位置の微調整は、偏向
コイル36や偏向電極により行う。
ーム発生装置の構成図であり、磁場輸送の例を示す。図
3の例では、低速陽電子ビームをヘルムホルツコイル3
7a,bやソレノイドコイル38等の磁場中をサイクロ
トロン運動をさせながら低速陽電子利用部4まで輸送す
る。途中輸送管39は、高エネルギー成分を除去するた
めに屈曲してある。また、必要に応じてパルス化装置等
を導入する。
縁碍子35a,bで他の部分と電気的に絶縁する点、及
び微調整を偏向コイル36等で行う点は第一実施例と同
様である。
イクロトロン1で発生した陽子p又は重陽子dをオンラ
インでターゲット21に打ち込み、打ち込みによって生
成される生成核種の半減期より十分長くターゲット21
を照射することにより、高強度の放射能飽和RIを生成
することができる。例えば、生成核種の半減期をTとし
たとき、陽子p又は重陽子dの照射時間を6T以上にす
れば、生成放射能はほぼ飽和する。
電子は、減速材22により低速陽電子に変換され、引出
し電極24でビームとして取り出された後、静電場ある
いは磁場によって低速陽電子利用部4まで輸送される。
低速陽電子ビームは、輸送途中、必要に応じて、加速、
エネルギー選別、輝度強化、パルス化、位置補正等の線
質改良が行われる。
子は、種々の物性分析装置に応用される。例えば、この
低速陽電子輸送部4にビームモニタ又は陽電子利用分析
装置を設けることができる。ビームモニタは、マイクロ
チャンネルプレートやチャンネルトロン等を用いる。ビ
ームの定量測定は、ファラデーカップによる電流直接測
定あるいは電離箱による陽電子からの消滅γ線測定によ
り求める。陽電子利用分析装置は、反射高速陽電子線回
折や陽電子再放出顕微鏡等の新しい分析装置を装備す
る。
は、サイクロトロンから陽子又は重陽子を一定周期でタ
ーゲット部材に連続照射し、放射能飽和RIを継続的に
生成するようにしたので、従来、高強度であるが短寿命
であるために十分にその機能を活用できなかった短寿命
β+ 崩壊性RIを、高強度の陽電子ビーム発生源に用い
ることが可能となった。このサイクロトロンやターゲッ
ト部材等は、小型、汎用のものを用いることができ、し
かも、低速陽電子輸送は静電場又は磁場のいずれによっ
ても可能なので、コンパクト且つ汎用性に優れた高強度
低速陽電子ビーム発生装置を実現することができる。
は、前記反射高速陽電子線回折や陽電子再放出顕微鏡以
外に、陽電子消滅誘起オージェ電子分光、陽電子消滅誘
起質量分析、陽電子消滅寿命測定による欠陥デプスプロ
ファイル測定、低速陽電子回折、透過型陽電子顕微鏡、
陽電子トンネル顕微鏡等の分析手段に幅広く利用するこ
とができる。
の構成図。
置の構成図。
Claims (6)
- 【請求項1】 低速陽電子ビーム発生源と、発生した低
速陽電子ビームを低速陽電子利用部に導く低速陽電子輸
送部とを有する装置において、前記低速陽電子ビーム発
生源は、陽子又は重陽子を一定周期で連続放出するサイ
クロトロンと、放出された陽子又は重陽子の照射により
ラジオアイソトープを生成するターゲット部材と、この
ラジオアイソトープから放出される高速陽電子を減速す
る減速手段と、減速した陽電子をビームとして取り出す
引出し電極とを含んでいることを特徴とする低速陽電子
ビーム発生装置。 - 【請求項2】 前記ラジオアイソトープは、核変換によ
り生成されるβ+ 崩壊性ラジオアイソトープであること
を特徴とする請求項1記載の低速陽電子ビーム発生装
置。 - 【請求項3】 前記陽子又は重陽子の前記ターゲットへ
の照射時間は、前記ラジオアイソトープの半減期よりも
長いことを特徴とする請求項1又は2記載の低速陽電子
ビーム発生装置。 - 【請求項4】 前記低速陽電子輸送部は、前記低速陽電
子ビームを収束させる静電レンズ又は磁気レンズを有す
ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の
低速陽電子ビーム発生装置。 - 【請求項5】 前記低速陽電子輸送部は、前記低速陽電
子ビームを前記低速陽電子利用部まで輸送する輸送管
と、この輸送管内の低速陽電子ビームをサイクロトロン
運動させる磁場形成手段とを有することを特徴とする請
求項1乃至3のいずれかに記載の低速陽電子ビーム発生
装置。 - 【請求項6】 前記輸送管は、屈曲した輸送経路を有す
ることを特徴とする請求項5記載の低速陽電子ビーム発
生装置。
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JP2001056307A (ja) * | 1999-08-19 | 2001-02-27 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | 陽電子再放出顕微鏡及び陽電子ビームを用いた観察方法 |
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1992
- 1992-10-27 JP JP4288335A patent/JP2847601B2/ja not_active Expired - Fee Related
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1996
- 1996-09-19 US US08/716,046 patent/US5737376A/en not_active Expired - Fee Related
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