JP2847519B2 - 摺動部材を成形する方法およびこの方法に使用する鋳型 - Google Patents
摺動部材を成形する方法およびこの方法に使用する鋳型Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金型プレス等の摺動面に使用されるウエア
プレート等に代表される摺動部材の成形方法、およびこ
の成形方法に使用するのに好ましい鋳型に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、鋳鉄中に晶出した黒
鉛の偏析部を備えた摺動部材の成形方法、および晶出黒
鉛を鋳込空所の特定の部分に捕捉するための構造を備え
た鋳型に関するものである。
プレート等に代表される摺動部材の成形方法、およびこ
の成形方法に使用するのに好ましい鋳型に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、鋳鉄中に晶出した黒
鉛の偏析部を備えた摺動部材の成形方法、および晶出黒
鉛を鋳込空所の特定の部分に捕捉するための構造を備え
た鋳型に関するものである。
(従来の技術) 摺動部材として、上記のようなウエアプレートにおい
ては通常鋳鉄が用いられており、その摺動面の潤滑性を
向上させる目的で、黒鉛に代表される固体潤滑剤がその
摺動面に配置されている。この固体潤滑剤、例えば黒鉛
をウエアプレートの摺動面に配置するために、一般に次
のような方法が採用されている。すなわち、例えば実開
昭60−195125号公報に開示されているような、ウエアプ
レートの摺動面に多数の孔を形成し、これらの各孔内
に、予め一定の形状に成形しておいた黒鉛の塊を埋設す
る方法、あるいは粉末冶金法によって、ベース金属粉末
と固体潤滑剤を混合し、加圧成形、焼結させるようにす
る方法である。しかしながら、これらの方法は作業が煩
雑で製造費用が高いという問題がある。
ては通常鋳鉄が用いられており、その摺動面の潤滑性を
向上させる目的で、黒鉛に代表される固体潤滑剤がその
摺動面に配置されている。この固体潤滑剤、例えば黒鉛
をウエアプレートの摺動面に配置するために、一般に次
のような方法が採用されている。すなわち、例えば実開
昭60−195125号公報に開示されているような、ウエアプ
レートの摺動面に多数の孔を形成し、これらの各孔内
に、予め一定の形状に成形しておいた黒鉛の塊を埋設す
る方法、あるいは粉末冶金法によって、ベース金属粉末
と固体潤滑剤を混合し、加圧成形、焼結させるようにす
る方法である。しかしながら、これらの方法は作業が煩
雑で製造費用が高いという問題がある。
このような問題点の生じない方法としては、例えば特
公昭61−46533号公報に記載されているように、金属あ
るいは合金の溶融物内に黒鉛粉末を混合し、黒鉛の比重
差により上部に黒鉛粉末を移動させ、この状態で硬化さ
せて黒鉛粉末を多く含んでいる表面層を潤滑層として用
いる方法が提案されている。
公昭61−46533号公報に記載されているように、金属あ
るいは合金の溶融物内に黒鉛粉末を混合し、黒鉛の比重
差により上部に黒鉛粉末を移動させ、この状態で硬化さ
せて黒鉛粉末を多く含んでいる表面層を潤滑層として用
いる方法が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記のように金属溶融物内に黒鉛粉末
を混入することによって潤滑層を形成する方法において
は、相溶性のない金属溶融物内に黒鉛粉末を混入させて
いるため、黒鉛粉末を金属溶融物内に均一に分散させる
ことが困難であり、場合によっては黒鉛粉末が溶融物内
で相互に集まって大きな塊となってしまい、望ましい潤
滑層が形成できないことがある。また、黒鉛粉末を均一
に金属溶融物内に分散することができたとしても、溶融
物の粘性の程度によっては、分散した黒鉛粉末の比重差
による溶融物内での移動が好適に行われず、この結果形
成された潤滑層における黒鉛の含有量にばらつきが生じ
てしまう。
を混入することによって潤滑層を形成する方法において
は、相溶性のない金属溶融物内に黒鉛粉末を混入させて
いるため、黒鉛粉末を金属溶融物内に均一に分散させる
ことが困難であり、場合によっては黒鉛粉末が溶融物内
で相互に集まって大きな塊となってしまい、望ましい潤
滑層が形成できないことがある。また、黒鉛粉末を均一
に金属溶融物内に分散することができたとしても、溶融
物の粘性の程度によっては、分散した黒鉛粉末の比重差
による溶融物内での移動が好適に行われず、この結果形
成された潤滑層における黒鉛の含有量にばらつきが生じ
てしまう。
本発明の目的は、このような点に鑑みて、常に望まし
い特性の潤滑層を形成することの可能となった摺動部材
の成形方法および、この方法に用いるのに適した鋳型を
実現することにある。
い特性の潤滑層を形成することの可能となった摺動部材
の成形方法および、この方法に用いるのに適した鋳型を
実現することにある。
(課題を解決するための手段) 上記の問題を解決するために、本発明の摺動部材の成
形方法においては、過共晶成分の鋳鉄を材料として用い
て、この鋳鉄の溶湯を、その中に晶出した晶出黒鉛を比
重差を利用して特定の部分に移動させながら、凝固させ
て、黒鉛偏析部分を形成し、この部分を摺動面として利
用するようにしている。
形方法においては、過共晶成分の鋳鉄を材料として用い
て、この鋳鉄の溶湯を、その中に晶出した晶出黒鉛を比
重差を利用して特定の部分に移動させながら、凝固させ
て、黒鉛偏析部分を形成し、この部分を摺動面として利
用するようにしている。
すなわち、本発明は、鋳鉄からなる摺動部材を成形す
る方法において、鋳鉄材料としてその共晶線以上の炭素
当量を有するものを調製し、この鋳鉄材料の初晶温度以
上の温度で、この鋳鉄材料の溶湯を鋳込む鋳込工程と、
前記溶湯を冷却させることによって晶出した晶出黒鉛
を、比重の差を利用して、鋳型内の特定の部分に偏在さ
せる凝固工程とから成り、鋳造された摺動部材に、黒鉛
の偏析部を形成するようにしたことを特徴としている。
る方法において、鋳鉄材料としてその共晶線以上の炭素
当量を有するものを調製し、この鋳鉄材料の初晶温度以
上の温度で、この鋳鉄材料の溶湯を鋳込む鋳込工程と、
前記溶湯を冷却させることによって晶出した晶出黒鉛
を、比重の差を利用して、鋳型内の特定の部分に偏在さ
せる凝固工程とから成り、鋳造された摺動部材に、黒鉛
の偏析部を形成するようにしたことを特徴としている。
さらに詳細に説明すると、鋳鉄の状態図はほぼ第1図
に示すようになり、炭素当量がxの点において共晶点が
得られ、この共晶点よりも高い炭素当量となっている過
共晶成分の鋳鉄における初晶温度はAで示す曲線とな
り、共晶温度はBで示す線分となる。なお、図における
共晶点x、曲線Aおよび共晶温度を示す線分Bは、Siの
含有量に応じて、以下の式によって表すことができる。
に示すようになり、炭素当量がxの点において共晶点が
得られ、この共晶点よりも高い炭素当量となっている過
共晶成分の鋳鉄における初晶温度はAで示す曲線とな
り、共晶温度はBで示す線分となる。なお、図における
共晶点x、曲線Aおよび共晶温度を示す線分Bは、Siの
含有量に応じて、以下の式によって表すことができる。
A=389.1CE−505.8 CE=(%C)+1/3(%Si) B=1154.4+6.5(%Si) x=4.26−0.317(%Si) 次に、本発明の凝固工程においては、過共晶成分の鋳
鉄材料を使用し、この鋳鉄材料を曲線A以上の温度まで
加熱後、線分Bに温度が下がるまでの範囲の温度で鋳込
みを行う。加熱後、冷却される溶湯が曲線Aの温度以下
になると、溶湯中に初晶黒鉛が晶出し始める。初晶黒鉛
はその比重差により溶湯中をその表面にまで浮上でき
る。溶湯温度が線分Bに達するとオーステナイト−黒鉛
の共晶、凝固が始まる。溶湯粘度が高まって初晶黒鉛の
浮上は抑制される。この結果、凝固した溶湯中の上方
に、初晶黒鉛の偏析部が形成されることになる。
鉄材料を使用し、この鋳鉄材料を曲線A以上の温度まで
加熱後、線分Bに温度が下がるまでの範囲の温度で鋳込
みを行う。加熱後、冷却される溶湯が曲線Aの温度以下
になると、溶湯中に初晶黒鉛が晶出し始める。初晶黒鉛
はその比重差により溶湯中をその表面にまで浮上でき
る。溶湯温度が線分Bに達するとオーステナイト−黒鉛
の共晶、凝固が始まる。溶湯粘度が高まって初晶黒鉛の
浮上は抑制される。この結果、凝固した溶湯中の上方
に、初晶黒鉛の偏析部が形成されることになる。
ここに、例えばMgを鋳込んだ溶湯内に添加して急激に
ガス化させることにより、ガス化したMgは溶湯内におい
て気胞となって溶湯中を浮上する。溶湯は、Mgの気化熱
あるいは鋳込まれることによって冷却され、これに伴っ
て溶湯の粘度が高まり、この結果気胞の浮上速度が低下
することになる。ここに、溶湯の炭素当量が上記の共晶
点x以下の場合には、黒鉛が晶出するまえにオーステナ
イトの初晶が始まり、溶湯の粘度が充分に高くなった後
の共晶点温度(第1図において線分Bで示す温度)以下
になった以降に、初晶黒鉛の晶出が開始する。従って、
この時点で気胞中に晶出した黒鉛は、既に粘度の高くな
った溶湯内を浮上することが出来ず、凝固した溶湯中に
分散したままの状態となってしまう。これに対して、本
発明においては、炭素当量がxよりも多く、しかも溶湯
温度が曲線Bで示す共晶温度よりも高く設定されるの
で、この状態の溶湯中に添加されたMgはガス化した後
に、粘性の低い溶湯中を迅速に浮上する。この後に、溶
湯温度が初晶温度(曲線A)以下になると、気胞中に黒
鉛の初晶ができる。この時には、いまだ溶湯の粘度は低
く、したがって気胞中に形成された球状黒鉛は、その比
重差によって、溶湯中をその表面にまで浮上できる。こ
の結果、凝固した溶湯中の上方に球状黒鉛の偏析部が形
成されることになる。
ガス化させることにより、ガス化したMgは溶湯内におい
て気胞となって溶湯中を浮上する。溶湯は、Mgの気化熱
あるいは鋳込まれることによって冷却され、これに伴っ
て溶湯の粘度が高まり、この結果気胞の浮上速度が低下
することになる。ここに、溶湯の炭素当量が上記の共晶
点x以下の場合には、黒鉛が晶出するまえにオーステナ
イトの初晶が始まり、溶湯の粘度が充分に高くなった後
の共晶点温度(第1図において線分Bで示す温度)以下
になった以降に、初晶黒鉛の晶出が開始する。従って、
この時点で気胞中に晶出した黒鉛は、既に粘度の高くな
った溶湯内を浮上することが出来ず、凝固した溶湯中に
分散したままの状態となってしまう。これに対して、本
発明においては、炭素当量がxよりも多く、しかも溶湯
温度が曲線Bで示す共晶温度よりも高く設定されるの
で、この状態の溶湯中に添加されたMgはガス化した後
に、粘性の低い溶湯中を迅速に浮上する。この後に、溶
湯温度が初晶温度(曲線A)以下になると、気胞中に黒
鉛の初晶ができる。この時には、いまだ溶湯の粘度は低
く、したがって気胞中に形成された球状黒鉛は、その比
重差によって、溶湯中をその表面にまで浮上できる。こ
の結果、凝固した溶湯中の上方に球状黒鉛の偏析部が形
成されることになる。
次に、本発明の方法において、例えば第5図あるいは
第6図に示すような鋳造品のように、その上面が水平で
ない場合には、単に球状黒鉛をその比重差によって浮上
させただけでは傾斜した上面に沿って球状黒鉛の偏析部
が形成されない。従って、このような傾斜した鋳造品の
上面に沿って球状黒鉛の偏析部を形成するためは、第7
図あるいは第8図に示すように、鋳型の鋳込空所内に、
球状黒鉛を捕捉するための部材として、上面側から平行
に複数のプレート13、14を吊りさげ、溶湯内で浮上する
球状黒鉛をこれらのプレートでそのまま上方に向けて案
内することによって、傾斜面に沿ってほぼ一定の厚さの
球状黒鉛の偏析部を形成するようにすればよい。別の球
状黒鉛の捕捉部材の例としては、第14図に示すような、
円柱形状の鋳造品における外周面に沿って球状黒鉛の偏
析部を形成するためのリング状の捕捉部材を挙げること
ができる。
第6図に示すような鋳造品のように、その上面が水平で
ない場合には、単に球状黒鉛をその比重差によって浮上
させただけでは傾斜した上面に沿って球状黒鉛の偏析部
が形成されない。従って、このような傾斜した鋳造品の
上面に沿って球状黒鉛の偏析部を形成するためは、第7
図あるいは第8図に示すように、鋳型の鋳込空所内に、
球状黒鉛を捕捉するための部材として、上面側から平行
に複数のプレート13、14を吊りさげ、溶湯内で浮上する
球状黒鉛をこれらのプレートでそのまま上方に向けて案
内することによって、傾斜面に沿ってほぼ一定の厚さの
球状黒鉛の偏析部を形成するようにすればよい。別の球
状黒鉛の捕捉部材の例としては、第14図に示すような、
円柱形状の鋳造品における外周面に沿って球状黒鉛の偏
析部を形成するためのリング状の捕捉部材を挙げること
ができる。
(実施例) 以下に、本発明の方法による具体的な実施例を説明す
る。
る。
実施例1 第2図に示すように、発砲ポリスチレンで成形した直
方体形状のウエアープレート模型1を、摺動面とすべき
面の側2を上に向けて、水平に保って砂型3の中に埋設
した。一方、溶湯として次の組成のものを調製した。
方体形状のウエアープレート模型1を、摺動面とすべき
面の側2を上に向けて、水平に保って砂型3の中に埋設
した。一方、溶湯として次の組成のものを調製した。
C 4.5 重量% Si 2.7 重量% Mn 0.2 重量% Cu 0.7 重量% Mg 0.05重量% Fe 残 部 この溶湯を約1400℃に加熱して、上記の砂型3の湯口
4から注入した。凝固後に、鋳物を取出て破断し、断面
の黒鉛偏析状態を調べた。第3図(A)は鋳物の上面側
の断面の組織状態を示す写真であり、この写真から分か
るように、黒鉛偏析層5はかなりの厚みをもち、この部
分の炭素量は約6重量%であり、潤滑性のある摺動面と
して適していることが確認された。
4から注入した。凝固後に、鋳物を取出て破断し、断面
の黒鉛偏析状態を調べた。第3図(A)は鋳物の上面側
の断面の組織状態を示す写真であり、この写真から分か
るように、黒鉛偏析層5はかなりの厚みをもち、この部
分の炭素量は約6重量%であり、潤滑性のある摺動面と
して適していることが確認された。
なお、第3図(B)には、ウエアープレート模型1の
上下面に冷やし金を当てて鋳造した場合における、鋳物
の上面側の同一部分の断面の組織状態を示す写真であ
る。冷やし金を使用した場合には、注湯から凝固までの
所要時間は僅か数秒間であり、冷やし金を使用しない上
記の場合の所要時間である20秒間に比べてかなり短かっ
た。このように凝固までの時間を短くした場合には、す
なわち、凝固速度を早めた場合には、注湯前および注湯
時に晶出した僅かの黒鉛のみで黒鉛偏析層が形成され
る。従って、写真から分かるように、黒鉛偏析層5′の
厚みも薄く、またそこに含有される炭素量も、約4.5〜
4.7重量%と、低く、ウエアープレート素材としては不
適当であることが確認された。
上下面に冷やし金を当てて鋳造した場合における、鋳物
の上面側の同一部分の断面の組織状態を示す写真であ
る。冷やし金を使用した場合には、注湯から凝固までの
所要時間は僅か数秒間であり、冷やし金を使用しない上
記の場合の所要時間である20秒間に比べてかなり短かっ
た。このように凝固までの時間を短くした場合には、す
なわち、凝固速度を早めた場合には、注湯前および注湯
時に晶出した僅かの黒鉛のみで黒鉛偏析層が形成され
る。従って、写真から分かるように、黒鉛偏析層5′の
厚みも薄く、またそこに含有される炭素量も、約4.5〜
4.7重量%と、低く、ウエアープレート素材としては不
適当であることが確認された。
実施例2 実施例1と同様の方法でのウエアプレートの鋳造を行
った。本例では、ウエアープレート模型を、通常よりも
大径の発砲ポリスチレンビーズを用いて成形した。すな
わち、一般的にはこのポリスチレンビーズの径は約1mm
であるが、本例では約8mmのビーズを使用した。第4図
には、このような大径のビーズによって成形したウエア
ープレート模型6の表面付近の断面を拡大して示してあ
る。図に示すように、大径のビーズを使用したことによ
って、模型6の表面には、各ビーズ8の間に比較的大き
な溝9が形成されている。
った。本例では、ウエアープレート模型を、通常よりも
大径の発砲ポリスチレンビーズを用いて成形した。すな
わち、一般的にはこのポリスチレンビーズの径は約1mm
であるが、本例では約8mmのビーズを使用した。第4図
には、このような大径のビーズによって成形したウエア
ープレート模型6の表面付近の断面を拡大して示してあ
る。図に示すように、大径のビーズを使用したことによ
って、模型6の表面には、各ビーズ8の間に比較的大き
な溝9が形成されている。
この模型を用いて鋳造を行って得られた鋳物において
は、その表面部分に、模型のビーズ間の溝9に相当部分
に溝が形成された。このように鋳物の表面に形成された
溝は、この鋳物を摺動部材として使用する場合におい
て、その摺動面に潤滑油を供給するための溝として利用
することがきる。
は、その表面部分に、模型のビーズ間の溝9に相当部分
に溝が形成された。このように鋳物の表面に形成された
溝は、この鋳物を摺動部材として使用する場合におい
て、その摺動面に潤滑油を供給するための溝として利用
することがきる。
実施例3 実施例1と同様の方法によってウエアープレートを鋳
造した。本例において鋳造したウエアープレートは、第
5図および第6図に示すように、摺動面が中央において
谷あるいは尾根となるような傾斜面となっている形状の
ものである。このような傾斜した摺動面に沿って黒鉛偏
析層を形成するために、本例において使用した鋳型は、
第7図および第8図に示すように、発砲ポリスチレンの
模型11、12内において、形成した上面11a、12aから垂直
に複数の鉄板13、14を吊り下げた構造のものを使用し
た。
造した。本例において鋳造したウエアープレートは、第
5図および第6図に示すように、摺動面が中央において
谷あるいは尾根となるような傾斜面となっている形状の
ものである。このような傾斜した摺動面に沿って黒鉛偏
析層を形成するために、本例において使用した鋳型は、
第7図および第8図に示すように、発砲ポリスチレンの
模型11、12内において、形成した上面11a、12aから垂直
に複数の鉄板13、14を吊り下げた構造のものを使用し
た。
この構成の鋳型を使用した結果、溶湯中において晶出
した黒鉛は、鉄板13あるいは14に案内されてそのまま比
重の差によって上方に浮上して、それぞれ第9図および
第10図に示すように、鋳造された鋳物15、16の上面の傾
斜面に沿って偏在して、好ましい黒鉛偏析層15a、16aが
形成されたことが確認された。
した黒鉛は、鉄板13あるいは14に案内されてそのまま比
重の差によって上方に浮上して、それぞれ第9図および
第10図に示すように、鋳造された鋳物15、16の上面の傾
斜面に沿って偏在して、好ましい黒鉛偏析層15a、16aが
形成されたことが確認された。
実施例4 第11図に示すように、鋼板をトリムおよびプレス成形
して、一方の側に向けて大径となったリング部材を複数
固形成した。このリング部材21を、発砲ポリスチレン模
型の成形用金型内に上下に等間隔でしかも小径の側が下
に向く状態で複数個設置し、これらのリング部材が埋設
された円柱形のガイドポスト模型を成形した。第12図に
は成形されたガイドポスト模型22の縦断面を示してあ
る。
して、一方の側に向けて大径となったリング部材を複数
固形成した。このリング部材21を、発砲ポリスチレン模
型の成形用金型内に上下に等間隔でしかも小径の側が下
に向く状態で複数個設置し、これらのリング部材が埋設
された円柱形のガイドポスト模型を成形した。第12図に
は成形されたガイドポスト模型22の縦断面を示してあ
る。
次に、この模型を垂直に立てた状態で、鋳造用のフラ
スコ内に配置し、砂をフラスコ内に充填した。この後、
次の組成からなる溶湯を鋳込み、凝固後取り出した。
スコ内に配置し、砂をフラスコ内に充填した。この後、
次の組成からなる溶湯を鋳込み、凝固後取り出した。
C 4.5 重量% Si 2.4 重量% Mn 0.2 重量% Cu 0.7 重量% Mg 0.05重量% Fe 残 部 このように鋳造したガイドポストの断面を調べたとこ
ろ、第13図に示すように、このガイドポスト23の外周部
分23aには、リング部材21によって浮上を妨げられた黒
鉛24が層状に偏析していることが確認され、良好な摺動
特性を備えたガイドポストが得られたことが確かめられ
た。
ろ、第13図に示すように、このガイドポスト23の外周部
分23aには、リング部材21によって浮上を妨げられた黒
鉛24が層状に偏析していることが確認され、良好な摺動
特性を備えたガイドポストが得られたことが確かめられ
た。
実施例5 第14図および第15図に示すように、コップ形状に絞り
成形した鍔部を有する遮蔽板31を製作した。この遮蔽板
31を、遠心鋳造位置の鋳型32内に、第16図に示すように
セットした。次に、鋳型を矢印で示すように回転させな
がら、次の組成を備えた鋳鉄溶湯を鋳込だ。
成形した鍔部を有する遮蔽板31を製作した。この遮蔽板
31を、遠心鋳造位置の鋳型32内に、第16図に示すように
セットした。次に、鋳型を矢印で示すように回転させな
がら、次の組成を備えた鋳鉄溶湯を鋳込だ。
C 4.5 重量% Si 2.4 重量% Mn 0.2 重量% Cu 0.7 重量% Mg 0.05重量% Fe 残 部 凝固後に、鋳型32から取り出した鋳物33第17図に示す
ように、遮蔽板31の鍔部の外径よりも僅かに小さな外径
φとなるように切削した。このようにして得られた円筒
ブッシュ34は、第18図に示すその部分断面から分かるよ
うに、遠心成形時に、比重の小さな黒鉛が回転軸の内側
に向けて移動しているために、遮蔽板31の外側に黒鉛偏
析層34aが形成されていると共に、内周面の部分にも黒
鉛偏析層34bが形成された構造となっている。従って、
本例のようにして遠心鋳造を行うことがよって、外周お
よび内周面の双方が共に良好な摺動特性をもった円筒ブ
ッシュを得ることができる。
ように、遮蔽板31の鍔部の外径よりも僅かに小さな外径
φとなるように切削した。このようにして得られた円筒
ブッシュ34は、第18図に示すその部分断面から分かるよ
うに、遠心成形時に、比重の小さな黒鉛が回転軸の内側
に向けて移動しているために、遮蔽板31の外側に黒鉛偏
析層34aが形成されていると共に、内周面の部分にも黒
鉛偏析層34bが形成された構造となっている。従って、
本例のようにして遠心鋳造を行うことがよって、外周お
よび内周面の双方が共に良好な摺動特性をもった円筒ブ
ッシュを得ることができる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の摺動部材の成形方法に
おいては、過共晶成分の鋳鉄溶湯を、その初晶温度以上
の温度で鋳込み、晶出した黒鉛をその比重差を利用して
偏析させるようにしている。したがって、本発明によれ
ば、溶湯内で晶出した黒鉛が溶湯の粘度が低いうちにそ
の比重差によって移動して、望ましい黒鉛偏析部分を形
成することができる。また、本発明では、特に鋳込後か
ら共晶温度までの間の溶湯の冷却速度を、砂型等を使用
することによって遅くし、これによって溶湯内に晶出し
た黒鉛の比重差による移動が速やかに行われるようにし
ているので、黒鉛の含有量が高く、しかも晶出黒鉛が均
等に分散された黒鉛偏析層を形成することが可能であ
る。
おいては、過共晶成分の鋳鉄溶湯を、その初晶温度以上
の温度で鋳込み、晶出した黒鉛をその比重差を利用して
偏析させるようにしている。したがって、本発明によれ
ば、溶湯内で晶出した黒鉛が溶湯の粘度が低いうちにそ
の比重差によって移動して、望ましい黒鉛偏析部分を形
成することができる。また、本発明では、特に鋳込後か
ら共晶温度までの間の溶湯の冷却速度を、砂型等を使用
することによって遅くし、これによって溶湯内に晶出し
た黒鉛の比重差による移動が速やかに行われるようにし
ているので、黒鉛の含有量が高く、しかも晶出黒鉛が均
等に分散された黒鉛偏析層を形成することが可能であ
る。
さらに、本発明においては、このような鋳造方法に用
いる鋳型に、晶出した黒鉛を溶湯内の一定の箇所に捕捉
する捕捉部材を配置するようにしているので、鋳物内の
必要とする場所に黒鉛偏析部分を形成することが可能と
なる。
いる鋳型に、晶出した黒鉛を溶湯内の一定の箇所に捕捉
する捕捉部材を配置するようにしているので、鋳物内の
必要とする場所に黒鉛偏析部分を形成することが可能と
なる。
第1図は鋳鉄溶湯の晶出状態を示す状態図、第2図は本
発明の実施例の砂型を示した構成図、第3図(A)およ
び(B)は鋳造された鋳物の断面の金属組織を示す図面
に代わる写真、第4図は本発明の実施例で使用可能な鋳
物模型の部分断面を示す拡大断面図、第5図および第6
図は鋳物の例を示す斜視図、第7図および第8図はそれ
ぞれ第5図および第6図に示す鋳物を鋳造するために使
用可能な鋳型模型を示し構成図、第9図および第10図は
それぞれ第5図および第6図の断面を示す断面図、第11
図は本発明に実施例で使用可能な晶出黒鉛の捕捉部材と
してのリング部材を示す斜視図、第12図は第11図のリン
グ部材を配置した鋳型模型を示した縦断面図、第13図は
第12図の鋳型模型を使用して鋳造した鋳型を部分的に切
断して示す図、第14図は本発明の実施例で使用可能な晶
出黒鉛の捕捉部材としての遮蔽板を示す斜視図、第15図
は第14図の遮蔽板の断面図、第16図は遠心鋳造装置を示
す構成図、第17図は第16図の装置によって鋳造された鋳
物を示す断面図、第18図は第17図の鋳物の部分断面を示
す断面図である。 符号の説明 1……鋳型模型 3……砂型 5……黒鉛偏析層 13、14……プレート(捕捉部材) 15a、16a……黒鉛偏析層 21、31……リング部材(捕捉部材) 34a、34b……黒鉛偏析層
発明の実施例の砂型を示した構成図、第3図(A)およ
び(B)は鋳造された鋳物の断面の金属組織を示す図面
に代わる写真、第4図は本発明の実施例で使用可能な鋳
物模型の部分断面を示す拡大断面図、第5図および第6
図は鋳物の例を示す斜視図、第7図および第8図はそれ
ぞれ第5図および第6図に示す鋳物を鋳造するために使
用可能な鋳型模型を示し構成図、第9図および第10図は
それぞれ第5図および第6図の断面を示す断面図、第11
図は本発明に実施例で使用可能な晶出黒鉛の捕捉部材と
してのリング部材を示す斜視図、第12図は第11図のリン
グ部材を配置した鋳型模型を示した縦断面図、第13図は
第12図の鋳型模型を使用して鋳造した鋳型を部分的に切
断して示す図、第14図は本発明の実施例で使用可能な晶
出黒鉛の捕捉部材としての遮蔽板を示す斜視図、第15図
は第14図の遮蔽板の断面図、第16図は遠心鋳造装置を示
す構成図、第17図は第16図の装置によって鋳造された鋳
物を示す断面図、第18図は第17図の鋳物の部分断面を示
す断面図である。 符号の説明 1……鋳型模型 3……砂型 5……黒鉛偏析層 13、14……プレート(捕捉部材) 15a、16a……黒鉛偏析層 21、31……リング部材(捕捉部材) 34a、34b……黒鉛偏析層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉本 和幸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−131336(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 3/00 C21C 1/08 C22C 1/10,33/08,33/10
Claims (3)
- 【請求項1】鋳鉄からなる摺動部材を成形する方法にお
いて、前記鋳鉄としてその共晶点以上の炭素当量を含有
するものを調整し、この鋳鉄溶湯の共晶点以上の温度
で、この鋳鉄溶湯を鋳込む鋳込工程と、前記溶湯を冷却
させることによって晶出した晶出黒鉛を、比重の差を利
用して、鋳型内の特定の部分に偏在させる凝固工程とか
ら成り、鋳造された摺動部材に、黒鉛の偏析部を形成す
るようにしたことを特徴とる摺動部材の成形方法。 - 【請求項2】請求項1記載の摺動部材の形成方法におい
て、前記鋳込工程と同時に、溶湯中に黒鉛形成用の気胞
を形成する球状化処理工程を含んでいることを特徴とす
る摺動部材の成形方法。 - 【請求項3】請求項1記載の摺動部材の成形方法におい
て使用する鋳型であって、この鋳型の鋳造空所内には、
前記凝固工程の間に溶湯内に晶出して、比重の差によっ
て溶湯内を移動する晶出黒鉛を前記鋳込空所内の特定の
部分を捕捉するための捕捉部材が配置されていることを
特徴とする鋳型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27588788A JP2847519B2 (ja) | 1988-10-31 | 1988-10-31 | 摺動部材を成形する方法およびこの方法に使用する鋳型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27588788A JP2847519B2 (ja) | 1988-10-31 | 1988-10-31 | 摺動部材を成形する方法およびこの方法に使用する鋳型 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02121751A JPH02121751A (ja) | 1990-05-09 |
JP2847519B2 true JP2847519B2 (ja) | 1999-01-20 |
Family
ID=17561822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27588788A Expired - Lifetime JP2847519B2 (ja) | 1988-10-31 | 1988-10-31 | 摺動部材を成形する方法およびこの方法に使用する鋳型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2847519B2 (ja) |
-
1988
- 1988-10-31 JP JP27588788A patent/JP2847519B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02121751A (ja) | 1990-05-09 |
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