JP2833795B2 - ナデシコ属植物のプロトプラスト調製方法及び植物体再生方法 - Google Patents
ナデシコ属植物のプロトプラスト調製方法及び植物体再生方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ナデシコ属植物のプロトプラスト調製方法
及び該方法により得られたナデシコ属植物のプラトプラ
ストからの植物体再生方法に関する。
及び該方法により得られたナデシコ属植物のプラトプラ
ストからの植物体再生方法に関する。
プロトプラストからの植物体再生方法は、体細胞変
異、細胞融合、遺伝子組換え等のバイオテクノロジーを
応用した植物新品種の開発等に必須な、あるいは重要な
技術である。
異、細胞融合、遺伝子組換え等のバイオテクノロジーを
応用した植物新品種の開発等に必須な、あるいは重要な
技術である。
プロトプラストからの植物体再生技術は、ペチュニア
等のナス科植物では効率的方法が報告されている。しか
し、カーネーション等の経済的に重要な花卉を含むナデ
シコ科植物では、カーネーションの胚軸組織片(Petru
and Landa,1974,Biol.Plant.16.:450−453)あるいは葉
肉組織片(Takeda,1974,Special Rep.Shiga Pref.Agr.E
xp.Sta.No.11:1−124)からの茎葉再生の例が見られる
ものの、プロトプラスト培養からの効率的植物体再生の
報告はない。
等のナス科植物では効率的方法が報告されている。しか
し、カーネーション等の経済的に重要な花卉を含むナデ
シコ科植物では、カーネーションの胚軸組織片(Petru
and Landa,1974,Biol.Plant.16.:450−453)あるいは葉
肉組織片(Takeda,1974,Special Rep.Shiga Pref.Agr.E
xp.Sta.No.11:1−124)からの茎葉再生の例が見られる
ものの、プロトプラスト培養からの効率的植物体再生の
報告はない。
本発明は、これまでプロトプラストからの植物体再生
が極めて困難とされていたナデシコ属植物において、高
い分化能を有し、植物体再生が可能なプロトプラストを
調製し、そのプロトプラストから効率的に植物体を再生
する方法の提供を目的とするものである。
が極めて困難とされていたナデシコ属植物において、高
い分化能を有し、植物体再生が可能なプロトプラストを
調製し、そのプロトプラストから効率的に植物体を再生
する方法の提供を目的とするものである。
上記目的は、子葉、本葉、花蕾または胚軸をプロトプ
ラスト調製材料とすることにより、あるいは子葉、本
葉、花蕾または胚軸をプロトプラスト調製材料とし、こ
れらの材料を細胞壁分解酵素処理する前に、無機塩を含
む培地で一定時間酵素前培養することにより達成され
る。
ラスト調製材料とすることにより、あるいは子葉、本
葉、花蕾または胚軸をプロトプラスト調製材料とし、こ
れらの材料を細胞壁分解酵素処理する前に、無機塩を含
む培地で一定時間酵素前培養することにより達成され
る。
すなわち、本発明は、ナデシコ属植物のプロトプラス
トの調製方法において、子葉、本葉、花蕾または胚軸を
プロトプラスト調製材料とするか、あるいは子葉、本
葉、花蕾または胚軸をプロトプラスト調製材料としてこ
れを細胞壁分解酵素で処理する前に、無機塩を含有する
培地で酵素前培養することを特徴とするものである。
トの調製方法において、子葉、本葉、花蕾または胚軸を
プロトプラスト調製材料とするか、あるいは子葉、本
葉、花蕾または胚軸をプロトプラスト調製材料としてこ
れを細胞壁分解酵素で処理する前に、無機塩を含有する
培地で酵素前培養することを特徴とするものである。
さらに、本発明は、上記方法で得られたナデシコ属植
物のプロトプラストを培養して植物体を再生させること
を特徴とするナデシコ属植物の植物体再生方法である。
物のプロトプラストを培養して植物体を再生させること
を特徴とするナデシコ属植物の植物体再生方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明によるプロトプラストの調整方法につい
て具体的に説明する。
て具体的に説明する。
本発明においては、ナデシコ属植物の子葉、本葉、花
蕾または胚軸をプロトプラストを調製する。ここで、ナ
デシコ属植物とは、ナデシコ科ナデシコ属の範疇に分類
されるものであれば良く、例えば、カーネーション(Di
ahthus caryophyllus L.)、ヒゲナデシコ(D.barbatus
L.)、セキチク(D.chinensis L.)、カワラナデシコ
(D.superbus L.)、フジナデシコ(D.japonicus Thun
b.)、タツタナデシコ(D.plumarius L.)、ナッピー
(D.knappii Aschers.)などの他に、これらの種間雑種
などであっても良い。
蕾または胚軸をプロトプラストを調製する。ここで、ナ
デシコ属植物とは、ナデシコ科ナデシコ属の範疇に分類
されるものであれば良く、例えば、カーネーション(Di
ahthus caryophyllus L.)、ヒゲナデシコ(D.barbatus
L.)、セキチク(D.chinensis L.)、カワラナデシコ
(D.superbus L.)、フジナデシコ(D.japonicus Thun
b.)、タツタナデシコ(D.plumarius L.)、ナッピー
(D.knappii Aschers.)などの他に、これらの種間雑種
などであっても良い。
上記のようなナデシコ属植物から花蕾を採取するに
は、例えば温室、圃場またはグロースチャンバーなどで
植物体を育成し、必要に応じて日長処理等により花蕾を
分化させ、これより、花蕾を採取する。
は、例えば温室、圃場またはグロースチャンバーなどで
植物体を育成し、必要に応じて日長処理等により花蕾を
分化させ、これより、花蕾を採取する。
花蕾としては、花芽に分化し、まだ未熟なものから、
開花に近づいた状態のものまでいずれの時期のものも使
用できる。本発明でプロトプラストの調製材料として使
用できる花蕾としては、がく片を除去したものでも、除
去していないものでも良く、また、花弁だけではなく雌
しべ、雄しべ等の組織が含まれたものでも良い。
開花に近づいた状態のものまでいずれの時期のものも使
用できる。本発明でプロトプラストの調製材料として使
用できる花蕾としては、がく片を除去したものでも、除
去していないものでも良く、また、花弁だけではなく雌
しべ、雄しべ等の組織が含まれたものでも良い。
また、本葉、子葉または胚軸を採取するには、例えば
無菌的に継代培養している植物体の本葉、あるいは無菌
的に発芽させた種子由来の子葉、胚軸などを用いること
ができる他、グロースチャンバー内で育成した植物体の
子葉、本葉などを用いることもできる。
無菌的に継代培養している植物体の本葉、あるいは無菌
的に発芽させた種子由来の子葉、胚軸などを用いること
ができる他、グロースチャンバー内で育成した植物体の
子葉、本葉などを用いることもできる。
上記のような方法で採取した子葉、本葉、花蕾または
胚軸を、必要により次亜塩素酸ソーダ等で殺菌処理した
後、細断し、細胞壁分解酵素液に浸して、細胞壁分解酵
素処理することによりプロトプラストを単離する。ある
いは、細胞壁分解酵素処理の前に、無機塩を含む培地で
一定時間酵素前培養しておく。酵素前培養とは、プロト
プラスト調製材料を細胞壁分解酵素処理前に行う培養で
あり、これによって酵素処理後のプロトプラストの分裂
能を高めることができる。酵素前培養に用いる培地は、
無機塩を含んでおり、また、マンニトール等の浸透圧調
節剤を加えたものでもよい。用いる調製材料の種類、生
育ステージおよび材料育成条件によりさらにビタミン
類、植物生長調節物質、ショ糖、緩衡剤等を添加したも
のでもよい。
胚軸を、必要により次亜塩素酸ソーダ等で殺菌処理した
後、細断し、細胞壁分解酵素液に浸して、細胞壁分解酵
素処理することによりプロトプラストを単離する。ある
いは、細胞壁分解酵素処理の前に、無機塩を含む培地で
一定時間酵素前培養しておく。酵素前培養とは、プロト
プラスト調製材料を細胞壁分解酵素処理前に行う培養で
あり、これによって酵素処理後のプロトプラストの分裂
能を高めることができる。酵素前培養に用いる培地は、
無機塩を含んでおり、また、マンニトール等の浸透圧調
節剤を加えたものでもよい。用いる調製材料の種類、生
育ステージおよび材料育成条件によりさらにビタミン
類、植物生長調節物質、ショ糖、緩衡剤等を添加したも
のでもよい。
無機塩としては、通常の組織培養に用いる培地の無機
塩と同種の種類のものが使用できる。使用できる浸透圧
調節にには、マンニトール、ソルビトール等が例示でき
る。ビタミン等の有機添加物としてはニコチン酸、塩酸
ピリドキシン、塩酸チアミン、ミオイノシトール、グリ
シン等が、植物生長調節物質として2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)、インドール3−酢酸(IAA)、
1−ナフタレン酢酸(NAA)、6−ベンジルアデニン(B
A)、ゼアチン等が、緩衡剤としては2−(Nモルホリ
ノ)エタンスルホン酸(MES)等が例示できる。培養条
件は、移動後及び使用する部位によって異なるが、通
常、培養温度4−30℃、好ましくは暗黒下で1〜200時
間培養する。
塩と同種の種類のものが使用できる。使用できる浸透圧
調節にには、マンニトール、ソルビトール等が例示でき
る。ビタミン等の有機添加物としてはニコチン酸、塩酸
ピリドキシン、塩酸チアミン、ミオイノシトール、グリ
シン等が、植物生長調節物質として2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)、インドール3−酢酸(IAA)、
1−ナフタレン酢酸(NAA)、6−ベンジルアデニン(B
A)、ゼアチン等が、緩衡剤としては2−(Nモルホリ
ノ)エタンスルホン酸(MES)等が例示できる。培養条
件は、移動後及び使用する部位によって異なるが、通
常、培養温度4−30℃、好ましくは暗黒下で1〜200時
間培養する。
細胞壁分解酵素処理に用いる細胞壁分解酵素として
は、マセロチームR−10、ペクトリアーゼY−23等のペ
クチナーゼ、セルラーゼオノヅカR−10、セルラーゼオ
ノヅカRS等のセルラーゼ等、プロトプラスト調製に通常
用いられる酵素が例示できる。ペクチナーゼ、セルラー
ゼは、順に作用させても良いが、同時に作用させるのが
好ましい。該酵素はマンニトール、ソルビトール等の浸
透圧調節剤とともに蒸留水、緩衝液等に溶解し、酵素処
理液とする。酵素処理液の具体例としては、例えば0.5
−5%セルラーゼオノヅカR−10またはRS、0.1−2.0%
マセロチームR−10、0.001−0.5%ペクトリアーゼY−
23、0.1−1.0%ドリセラーゼおよび1−100mMMESを含む
0.4−0.8Mマンニトール水溶液(pH5.0−6.5)の組成の
ものが挙げられる。酵素処理は20−30℃で静置または低
速振盪条件下、3−16時間行なうのが好ましい。
は、マセロチームR−10、ペクトリアーゼY−23等のペ
クチナーゼ、セルラーゼオノヅカR−10、セルラーゼオ
ノヅカRS等のセルラーゼ等、プロトプラスト調製に通常
用いられる酵素が例示できる。ペクチナーゼ、セルラー
ゼは、順に作用させても良いが、同時に作用させるのが
好ましい。該酵素はマンニトール、ソルビトール等の浸
透圧調節剤とともに蒸留水、緩衝液等に溶解し、酵素処
理液とする。酵素処理液の具体例としては、例えば0.5
−5%セルラーゼオノヅカR−10またはRS、0.1−2.0%
マセロチームR−10、0.001−0.5%ペクトリアーゼY−
23、0.1−1.0%ドリセラーゼおよび1−100mMMESを含む
0.4−0.8Mマンニトール水溶液(pH5.0−6.5)の組成の
ものが挙げられる。酵素処理は20−30℃で静置または低
速振盪条件下、3−16時間行なうのが好ましい。
酵素処理終了後、濾過して未消化物を除いたものに、
0.4−0.8Mマンニトール溶液を加え、遠心分離により細
胞残滓などを分離除去し、さらにマンニトール溶液洗浄
あるいはショ糖溶液での浮遊処理等によりプロトプラス
トの精製を行なう。
0.4−0.8Mマンニトール溶液を加え、遠心分離により細
胞残滓などを分離除去し、さらにマンニトール溶液洗浄
あるいはショ糖溶液での浮遊処理等によりプロトプラス
トの精製を行なう。
本発明のプロトプラスト調製方法によれば、1g生重の
材料からプロトプラストが1−2×106個程度調製でき
る。得られたプロトプラストには細胞分裂能力などの生
物活性の高いものが高率で含まれる。
材料からプロトプラストが1−2×106個程度調製でき
る。得られたプロトプラストには細胞分裂能力などの生
物活性の高いものが高率で含まれる。
このようにして得られたプロトプラストを培養すれ
ば、細胞分裂、茎葉分化を経て植物体を再生させること
ができる。
ば、細胞分裂、茎葉分化を経て植物体を再生させること
ができる。
以下に、本発明による植物体再生方法について具体的
に説明する。
に説明する。
プロトプラストの細胞壁再生およびこれに続く細胞増
殖のための培養には、無機塩、ビタミン類、植物生長調
節物質、炭素源等を含む、通常の組織培養に用いられる
培地に、浸透圧調節剤を加えた培地が使用できる。無機
塩、ビタミン類については、これらを含む培地として、
例えばKao and Michayluk(KM)培地(Planta,126,105
−110(1975))あるいはMurashige and Skoog(MS)培
地(Physiol.Plant.,15,473−497(1962))、あるいは
これらの培地の無機塩組成を1/2−1/4にした培地が挙げ
られる。植物生長調節物質としては、例えばNAAを、0.5
−10mg/の割合で、あるいはこれらにさらに0.01−5.0
mg/の割合で2,4−Dを加えて用いることができる。ま
たはゼアチンを0.1−5mg/の割合で用いることができ
る。炭素源としてはショ糖、ブドウ糖等を1−50g/の
割合で用いることができる。浸透圧調節剤として、例え
ばマンニトール、ソルビトールを用いることができ、こ
れらを添加して、培地全体の浸透圧を300−1000m 0smol
/kgとすることができる。培地のpHは5.0−6.5とするの
が好ましい。
殖のための培養には、無機塩、ビタミン類、植物生長調
節物質、炭素源等を含む、通常の組織培養に用いられる
培地に、浸透圧調節剤を加えた培地が使用できる。無機
塩、ビタミン類については、これらを含む培地として、
例えばKao and Michayluk(KM)培地(Planta,126,105
−110(1975))あるいはMurashige and Skoog(MS)培
地(Physiol.Plant.,15,473−497(1962))、あるいは
これらの培地の無機塩組成を1/2−1/4にした培地が挙げ
られる。植物生長調節物質としては、例えばNAAを、0.5
−10mg/の割合で、あるいはこれらにさらに0.01−5.0
mg/の割合で2,4−Dを加えて用いることができる。ま
たはゼアチンを0.1−5mg/の割合で用いることができ
る。炭素源としてはショ糖、ブドウ糖等を1−50g/の
割合で用いることができる。浸透圧調節剤として、例え
ばマンニトール、ソルビトールを用いることができ、こ
れらを添加して、培地全体の浸透圧を300−1000m 0smol
/kgとすることができる。培地のpHは5.0−6.5とするの
が好ましい。
細胞壁再生および細胞増殖のための培養は、上記のよ
うな組成の液体培地にプロトプラストをサスベンドし、
液体培養を行なうことによって、あるいは同種組成の固
形培地において行なうこともできる。該培養はプロトプ
ラスト由来細胞塊が形成されるまでは、好ましくは暗黒
下、15−30℃の条件下で行なう。培養期間は1−10週間
である。
うな組成の液体培地にプロトプラストをサスベンドし、
液体培養を行なうことによって、あるいは同種組成の固
形培地において行なうこともできる。該培養はプロトプ
ラスト由来細胞塊が形成されるまでは、好ましくは暗黒
下、15−30℃の条件下で行なう。培養期間は1−10週間
である。
本発明方法により調製されたプロトプラストは、常に
高い細胞分裂能を有しており、上記増殖培養により、高
率に細胞塊を形成することができる。
高い細胞分裂能を有しており、上記増殖培養により、高
率に細胞塊を形成することができる。
このようにして得た細胞塊を以下のような方法によっ
て緑色細胞塊化することができる。
て緑色細胞塊化することができる。
培地としては、細胞塊の形成に用いた培地と同じ組成
で、マンニトール等の浸透圧調節剤の濃度を減じたも
の、あるいは浸透圧調節剤を除いたものが用いられる。
例えば、MS培地等の無機塩、ビタミン類および0.5−10m
g/のNAA、0.1−5.0mg/のゼアチンまたはBA等の植物
生長調節物質、1−50g/のショ糖等の炭素源を含むpH
5.0−6.5の培地が例示される。このような培地に前記細
胞塊を移植し、例えば連続照明下あるいは16時間日長下
(例えば1000−20000lux)、15−30℃の条件下で培養す
ると、細胞塊は緑色細胞塊化する。
で、マンニトール等の浸透圧調節剤の濃度を減じたも
の、あるいは浸透圧調節剤を除いたものが用いられる。
例えば、MS培地等の無機塩、ビタミン類および0.5−10m
g/のNAA、0.1−5.0mg/のゼアチンまたはBA等の植物
生長調節物質、1−50g/のショ糖等の炭素源を含むpH
5.0−6.5の培地が例示される。このような培地に前記細
胞塊を移植し、例えば連続照明下あるいは16時間日長下
(例えば1000−20000lux)、15−30℃の条件下で培養す
ると、細胞塊は緑色細胞塊化する。
得られた緑色細胞塊は、次のような方法によって茎葉
分化あるいは植物体の再生を行なうことができる。
分化あるいは植物体の再生を行なうことができる。
茎葉分化あるいは植物体再生の際に通常用いられる培
地において、例えば連続照明下または16時間日長下、15
−30℃で培養する。培地の具体例としては、MS培地等の
無機塩、ビタミン類、0−10mg/のNAA、またはIAA、
1−10mg/のゼアチン等の植物生長促進物質、1−50g
/のショ糖等の炭素源を含むpH5.0−6.5の培地が挙げ
られる。またガゼイン加水分解物などの有機物を添加し
た培地も用いられる。あるいはこれに、1−60g/のマ
ンニトールを添加したものも使用できる。本発明による
プロトプラスト由来の細胞塊は、高い茎葉分化能を有
し、その5−50%以上から植物体再生ができる。
地において、例えば連続照明下または16時間日長下、15
−30℃で培養する。培地の具体例としては、MS培地等の
無機塩、ビタミン類、0−10mg/のNAA、またはIAA、
1−10mg/のゼアチン等の植物生長促進物質、1−50g
/のショ糖等の炭素源を含むpH5.0−6.5の培地が挙げ
られる。またガゼイン加水分解物などの有機物を添加し
た培地も用いられる。あるいはこれに、1−60g/のマ
ンニトールを添加したものも使用できる。本発明による
プロトプラスト由来の細胞塊は、高い茎葉分化能を有
し、その5−50%以上から植物体再生ができる。
緑色細胞塊化、植物体再生の方法は、上記方法に限定
されるものではなく、種々の変更が可能である。
されるものではなく、種々の変更が可能である。
本発明によるプロトプラストからの植物体再生系は、
細胞融合あるいは遺伝子組換え等による品種改良や新品
種開発に利用できる。
細胞融合あるいは遺伝子組換え等による品種改良や新品
種開発に利用できる。
実施例1 (花蕾プロトプラストの単離、培養と植物体の再生) カーネーション(c.v.ユーロー)の温室栽培植物体の
未熟な花蕾(長径5−15mm)を採取し、中性洗剤で洗浄
後、70%エタノールに30秒浸し、さらに1%次亜塩素酸
ソーダに10分間浸し花蕾を殺菌した。さらに、減菌水で
3回洗浄した後、がく片を除去し、1−2mm幅に細断
し、細胞壁分解酵素液(1%セルラーゼオノヅカRS、0.
5%マセロチームR−10、0.05%ペクトリアーゼY−2
3、0.5%ドリセラーゼ、0.7Mマンニトールを含み、pHを
5.8に調整した溶液)に移して、30spmの往復振盪をしな
がら、27℃暗黒下にて、5−8時間酵素処理した。
未熟な花蕾(長径5−15mm)を採取し、中性洗剤で洗浄
後、70%エタノールに30秒浸し、さらに1%次亜塩素酸
ソーダに10分間浸し花蕾を殺菌した。さらに、減菌水で
3回洗浄した後、がく片を除去し、1−2mm幅に細断
し、細胞壁分解酵素液(1%セルラーゼオノヅカRS、0.
5%マセロチームR−10、0.05%ペクトリアーゼY−2
3、0.5%ドリセラーゼ、0.7Mマンニトールを含み、pHを
5.8に調整した溶液)に移して、30spmの往復振盪をしな
がら、27℃暗黒下にて、5−8時間酵素処理した。
酵素処理液を60μmのメッシュにて濾過した後、遠心
分離法を利用して、0.7Mマンニトール溶液、0.7Mショ糖
溶液でプロトプラストを洗浄し、精製されたプロトプラ
ストを得た。この方法により、1g生重あたり1×106個
以上のプロトプラストが得られ、かつこれらのプロトプ
ラストは、二酢酸フルオレスセイン(FDA)染色で調査
したところ、90%以上が生存していた。
分離法を利用して、0.7Mマンニトール溶液、0.7Mショ糖
溶液でプロトプラストを洗浄し、精製されたプロトプラ
ストを得た。この方法により、1g生重あたり1×106個
以上のプロトプラストが得られ、かつこれらのプロトプ
ラストは、二酢酸フルオレスセイン(FDA)染色で調査
したところ、90%以上が生存していた。
このようにして得たプロトプラストを培地A(KM培地
の無機塩およびビタミン類、5.0mg/NAA、1.0mg/ゼ
アチン、20g/ショ糖、0.5Mマンニトールを含み、pHを
5.8に調整した培地)にサスペンドし(1×105個プロト
プラスト/ml)、27℃暗黒下で培養した。培養開始後3
−7日で分裂を開始し、2週間後の細胞分裂頻度は8−
15%であった。
の無機塩およびビタミン類、5.0mg/NAA、1.0mg/ゼ
アチン、20g/ショ糖、0.5Mマンニトールを含み、pHを
5.8に調整した培地)にサスペンドし(1×105個プロト
プラスト/ml)、27℃暗黒下で培養した。培養開始後3
−7日で分裂を開始し、2週間後の細胞分裂頻度は8−
15%であった。
また、細断した花蕾を、酵素処理前に主要無機塩濃度
を1/2にしたMS培地(5mM MES、1mg/ NAA、1mg/ BA
を含み、pH5.8に調整した培地)にて、16−20時間、4
−15℃暗黒下で酵素前培養した後、プロトプラストを単
離、培養した場合の2週間後の細胞分裂頻度は20%以上
であった。
を1/2にしたMS培地(5mM MES、1mg/ NAA、1mg/ BA
を含み、pH5.8に調整した培地)にて、16−20時間、4
−15℃暗黒下で酵素前培養した後、プロトプラストを単
離、培養した場合の2週間後の細胞分裂頻度は20%以上
であった。
プロトプラスト由来細胞塊は、細胞前培養の有無にか
かわらず分裂増殖を繰り返し、さらに2カ月後には直径
2−3mmのフロニーが形成された。このコロニーを培地
B(MS培地の無機塩およびビタミン類、5.0mg/ NAA、
1.0mg/ゼアチン、20g/ショ糖を含み、pHを5.8に調整
し、0.2%ゲルライトで固化させた培地)に移して27℃
連続光下で培養したところ、さらに1−2カ月後には濃
緑色でコンバクトなカルスが形成された。このカルスを
培地C(MS培地の無機塩およびビタミン類、1.0mg/ N
AA、5.0mg/ゼアチン、10g/ショ糖を含み、pHを5.8に
調整し、0.2%ゲルライトで固化させた培地)に移し、2
7℃連続光下で培養を続けたところ、移植後1−3カ月
で茎葉分化を経て植物体再生が認められた。この時の再
分化は高頻度で起こり、10%以上のカルスから再生植物
体が得られた。再生植物体はすべて馴化後、温室及び圃
場で健全に成育した。
かわらず分裂増殖を繰り返し、さらに2カ月後には直径
2−3mmのフロニーが形成された。このコロニーを培地
B(MS培地の無機塩およびビタミン類、5.0mg/ NAA、
1.0mg/ゼアチン、20g/ショ糖を含み、pHを5.8に調整
し、0.2%ゲルライトで固化させた培地)に移して27℃
連続光下で培養したところ、さらに1−2カ月後には濃
緑色でコンバクトなカルスが形成された。このカルスを
培地C(MS培地の無機塩およびビタミン類、1.0mg/ N
AA、5.0mg/ゼアチン、10g/ショ糖を含み、pHを5.8に
調整し、0.2%ゲルライトで固化させた培地)に移し、2
7℃連続光下で培養を続けたところ、移植後1−3カ月
で茎葉分化を経て植物体再生が認められた。この時の再
分化は高頻度で起こり、10%以上のカルスから再生植物
体が得られた。再生植物体はすべて馴化後、温室及び圃
場で健全に成育した。
実施例2 (本葉プロトプラストの単離、培養と植物体再生) セキチク(c.v.ゴスンセキチク)、ヒゲナデシコ(c.
v.美色ナデシコ矮性混合)、ミカドナデシコ(c.v.切花
用)およびタツタナデジコの種子を殺菌処理した後、無
機塩およびビタミン類を1/2濃度にしたMS寒天培地(3
%ショ糖、0.8寒天を含む)に播種し、得られた無菌植
物体の本葉を1−2mm幅に細断し、CPW0.5M溶液〔CPWの
無機塩(Frearson et al.,1974,Dev.Biol.33:130−13
7)、0.5Mマンニトールを含み、pHを5.8に調整した溶
液〕に浸漬し、27℃にて1時間酵素前培養した後、酵素
液(CPWの無機塩、2%セルラーゼオノヅカRS、0.1%ペ
クトリアーゼY−23、1.0%ドリセラーゼ、0.5Mマンニ
トールを含み、pHを5.8に調整した溶液)に移して、27
℃暗黒下にて静置し、4時間酵素処理した。
v.美色ナデシコ矮性混合)、ミカドナデシコ(c.v.切花
用)およびタツタナデジコの種子を殺菌処理した後、無
機塩およびビタミン類を1/2濃度にしたMS寒天培地(3
%ショ糖、0.8寒天を含む)に播種し、得られた無菌植
物体の本葉を1−2mm幅に細断し、CPW0.5M溶液〔CPWの
無機塩(Frearson et al.,1974,Dev.Biol.33:130−13
7)、0.5Mマンニトールを含み、pHを5.8に調整した溶
液〕に浸漬し、27℃にて1時間酵素前培養した後、酵素
液(CPWの無機塩、2%セルラーゼオノヅカRS、0.1%ペ
クトリアーゼY−23、1.0%ドリセラーゼ、0.5Mマンニ
トールを含み、pHを5.8に調整した溶液)に移して、27
℃暗黒下にて静置し、4時間酵素処理した。
酵素処理液を60μmのメッシュにて濾過した後、遠心
分離法を利用して、CPW 0.5M溶液、CPW 0.5S溶液(CPW
の無機塩、0.5Mショ糖を含み、pHを5.8に調整した溶
液)でプロトプラストを洗浄し、精製されたプロトプラ
ストを得た。この方法により、1g生重あたり約105−106
個のプロトプラストが得られ、かつこれらのプロトプラ
ストは、FDA染色で調査したところ、90−93%が生存し
ていた。
分離法を利用して、CPW 0.5M溶液、CPW 0.5S溶液(CPW
の無機塩、0.5Mショ糖を含み、pHを5.8に調整した溶
液)でプロトプラストを洗浄し、精製されたプロトプラ
ストを得た。この方法により、1g生重あたり約105−106
個のプロトプラストが得られ、かつこれらのプロトプラ
ストは、FDA染色で調査したところ、90−93%が生存し
ていた。
このようにして得たプロトプラストを培地Aにサスペ
ンドし(1×105個プロトプラスト/ml)、27℃、暗黒下
で培養した。培養開始10日で分裂を開始し、2時間後の
細胞分裂頻度は8−12%であった。なお、酵素前培養を
行なわない場合のプロトプラストからの細胞分裂頻度は
1%以下であった。
ンドし(1×105個プロトプラスト/ml)、27℃、暗黒下
で培養した。培養開始10日で分裂を開始し、2時間後の
細胞分裂頻度は8−12%であった。なお、酵素前培養を
行なわない場合のプロトプラストからの細胞分裂頻度は
1%以下であった。
酵素前培養を施したプロトプラストからは、1−2カ
月後には直径2−3mmのコロニーが形成された。このコ
ロニーを培地Bに移して27℃連続光下で培養したとこ
ろ、1−2カ月後には濃緑色でコンパクトなカルスが形
成された。このカルスを培地Cに移して27℃連続光下で
培養を続けたところ、移植後1−4カ月で茎葉分化を経
て植物体再生が認められた。この時の再分化は、高頻度
で起こり、品種により異なったが、実施例2記載のすべ
ての植物種において20−50%以上のカルスから再生植物
体が得られた。また、酵素増培養を施さない調整材料の
プロトプラストからも、同様の手法で低率ながら再生植
物体を得ることができた。再生植物体はすべて馴化後、
温室及び圃場で健全に成育した。
月後には直径2−3mmのコロニーが形成された。このコ
ロニーを培地Bに移して27℃連続光下で培養したとこ
ろ、1−2カ月後には濃緑色でコンパクトなカルスが形
成された。このカルスを培地Cに移して27℃連続光下で
培養を続けたところ、移植後1−4カ月で茎葉分化を経
て植物体再生が認められた。この時の再分化は、高頻度
で起こり、品種により異なったが、実施例2記載のすべ
ての植物種において20−50%以上のカルスから再生植物
体が得られた。また、酵素増培養を施さない調整材料の
プロトプラストからも、同様の手法で低率ながら再生植
物体を得ることができた。再生植物体はすべて馴化後、
温室及び圃場で健全に成育した。
実施例3 (本葉プロトプラストの単離、培養と植物体の再生) カーネーション(c.v.スカーレットルミネット)の種
子を殺菌処理した後、MS培地の無機塩及びビタミン類を
含む寒天培地(0.8%寒天を含む)に播種後、2−3週
間で得られた無菌植物体の本葉を0.5Mマンニトール溶液
中にて1−2mm幅に細断し、主要無機塩濃度を1/2にした
MS培地(5mM MES、1mg/ NAA、1mg/ BAを含み、pHを
5.8に調整した培地)にて、16−20時間、4−15℃暗黒
下で酵素前培養した後、酵素液(2.0%セルラーゼオノ
ヅカRS、0.5%マセロチームR−10、0.05%ペクトリア
ーゼY−23、0.05%アスコルビン酸、0.5%ポリビニル
ピロリドン、0.5Mマンニトール、5mM MESを含み、pHを
5.8に調整した溶液)に移して、28℃暗黒下にて静置
し、3−4時間酵素処理した。
子を殺菌処理した後、MS培地の無機塩及びビタミン類を
含む寒天培地(0.8%寒天を含む)に播種後、2−3週
間で得られた無菌植物体の本葉を0.5Mマンニトール溶液
中にて1−2mm幅に細断し、主要無機塩濃度を1/2にした
MS培地(5mM MES、1mg/ NAA、1mg/ BAを含み、pHを
5.8に調整した培地)にて、16−20時間、4−15℃暗黒
下で酵素前培養した後、酵素液(2.0%セルラーゼオノ
ヅカRS、0.5%マセロチームR−10、0.05%ペクトリア
ーゼY−23、0.05%アスコルビン酸、0.5%ポリビニル
ピロリドン、0.5Mマンニトール、5mM MESを含み、pHを
5.8に調整した溶液)に移して、28℃暗黒下にて静置
し、3−4時間酵素処理した。
酵素処理液を70μmのメッシュにて濾過した後、遠心
分離法を利用して、0.7Mマンニトール溶液でプロトプラ
ストを洗浄し、精製されたプロトプラストを得た。
分離法を利用して、0.7Mマンニトール溶液でプロトプラ
ストを洗浄し、精製されたプロトプラストを得た。
このようにして得たプロトプラストをD培地(主要無
機塩濃度を1/4にしたMS培地で、0.5mg/=2,4−D、2.
0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、10g/ショ糖、0.5Mマ
ンニトールを含み、pHを5.8に調整した培地)にサスペ
ンドし、28℃、暗黒下で培養した。この時のプロトプラ
ストの培地密度は1×105プロトプラスト/mlであった。
培養開始後7−10日で細胞分裂を開始した。
機塩濃度を1/4にしたMS培地で、0.5mg/=2,4−D、2.
0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、10g/ショ糖、0.5Mマ
ンニトールを含み、pHを5.8に調整した培地)にサスペ
ンドし、28℃、暗黒下で培養した。この時のプロトプラ
ストの培地密度は1×105プロトプラスト/mlであった。
培養開始後7−10日で細胞分裂を開始した。
プロトプラスト培養7−10日後にE培地(主要無機塩
を1/2濃度にしたMS培地に、4.0mg/=NAA、2.5mg/ゼ
アチン、30g/ショ糖、5mM MESを含み、pHを5.8に調整
した培地)を等量加え、浸透圧調節剤の濃度を減じ、16
時間日長弱光下で培養した。プロトプラストからの細胞
分裂頻度は培養14日目で15−20%であった。なお、酵素
前培養を行なわない場合のプロトプラストからの細胞分
裂頻度は2%以下であった。
を1/2濃度にしたMS培地に、4.0mg/=NAA、2.5mg/ゼ
アチン、30g/ショ糖、5mM MESを含み、pHを5.8に調整
した培地)を等量加え、浸透圧調節剤の濃度を減じ、16
時間日長弱光下で培養した。プロトプラストからの細胞
分裂頻度は培養14日目で15−20%であった。なお、酵素
前培養を行なわない場合のプロトプラストからの細胞分
裂頻度は2%以下であった。
酵素前培養を施したプロトプラスト由来コロニーの生
長の度合いを見ながら7−10日毎に上記の浸透圧調節剤
の希釈操作を繰り返し、16時間照明下で培養した。プロ
トプラスト単離1カ月半−3カ月後に、直径2−3mmに
生長した緑色かつコンパクトなカルスをF培地(MS培地
の無機塩及びビタミン類のうち、硝酸アンモニウムの濃
度を300mg/に減じた培地に、300mg/塩化アンモニウ
ム、80mg/硫酸アデニン、1100mg/カザミノ酸、1.0mg/
NAA、5.0mg/ゼアチン、20mg/ココナッツウォー
ター、10g/のマンニトール、10g/ショ糖、5mM MES
を加え、pHを5.8に調整した後、8g/の寒天を加え固化
させた培地)に移植して、28℃16時間日長下で培養した
ところ、移植後1−2カ月後には茎葉分化を経て植物体
再生が認められた。この時の植物体再生は高頻度で起こ
り、F培地に移植したコロニーの10−15%から再生植物
体が得られた。また、酵素前培養を施さない調製材料の
プロトプラストからも、同様な手法で低率ながら再生植
物を得ることができた。再生植物体はすべて馴化後、温
室及び圃場で健全に生育した。
長の度合いを見ながら7−10日毎に上記の浸透圧調節剤
の希釈操作を繰り返し、16時間照明下で培養した。プロ
トプラスト単離1カ月半−3カ月後に、直径2−3mmに
生長した緑色かつコンパクトなカルスをF培地(MS培地
の無機塩及びビタミン類のうち、硝酸アンモニウムの濃
度を300mg/に減じた培地に、300mg/塩化アンモニウ
ム、80mg/硫酸アデニン、1100mg/カザミノ酸、1.0mg/
NAA、5.0mg/ゼアチン、20mg/ココナッツウォー
ター、10g/のマンニトール、10g/ショ糖、5mM MES
を加え、pHを5.8に調整した後、8g/の寒天を加え固化
させた培地)に移植して、28℃16時間日長下で培養した
ところ、移植後1−2カ月後には茎葉分化を経て植物体
再生が認められた。この時の植物体再生は高頻度で起こ
り、F培地に移植したコロニーの10−15%から再生植物
体が得られた。また、酵素前培養を施さない調製材料の
プロトプラストからも、同様な手法で低率ながら再生植
物を得ることができた。再生植物体はすべて馴化後、温
室及び圃場で健全に生育した。
実施例4 (子葉プロトプラストの単離、培養と植物体の再生) カーネーション(c.v.スカーレットルミネット)、セ
キクチ(c.v.ニューブラボー、姫衣、西洋ナデシコ美色
混合)、雑種ナデシコ(c.v.テルスターミックス、ピン
クフラッシュ、ファイヤーストーム)の種子を殺菌処理
した後、MS培地の無機塩及びビタミン類を含む寒天培地
(0.8%寒天を含む)に播種後、1−2週間で得られた
無菌芽生えの子葉を0.5Mマンニトール溶液中にて1−2m
m幅に細断し、0.5Mマンニトール溶液中にて1時間の原
形質分離の後、実施例3の手法で細胞壁分解酵素処理お
よびプロトプラスト精製を行なった。
キクチ(c.v.ニューブラボー、姫衣、西洋ナデシコ美色
混合)、雑種ナデシコ(c.v.テルスターミックス、ピン
クフラッシュ、ファイヤーストーム)の種子を殺菌処理
した後、MS培地の無機塩及びビタミン類を含む寒天培地
(0.8%寒天を含む)に播種後、1−2週間で得られた
無菌芽生えの子葉を0.5Mマンニトール溶液中にて1−2m
m幅に細断し、0.5Mマンニトール溶液中にて1時間の原
形質分離の後、実施例3の手法で細胞壁分解酵素処理お
よびプロトプラスト精製を行なった。
このようにして得たプロトプラストを実施例3の手法
でD培地およびE培地を用いて培養することにより、実
施例4記載のすべての植物種で、プロトプラスト単離後
1カ月で、培養したプロトプラストの10%以上から細胞
塊が形成された。また細断した子葉を、酵素処理前にG
培地(Nitch&Nitch培地(Planta,1967,72:355−370)
の無機塩、ビタミン類および1mg/ NAA、1.0mg/ゼア
チン、30g/ショ糖、0.5Mマンニトールを含み、pHを5.
8に調整した培地)に移し、4−10℃にて一晩酵素前培
養した後、プロトプラストを単離、培養した場合には、
プロトプラストからの細胞塊形成頻度は15−20%以上で
あった。
でD培地およびE培地を用いて培養することにより、実
施例4記載のすべての植物種で、プロトプラスト単離後
1カ月で、培養したプロトプラストの10%以上から細胞
塊が形成された。また細断した子葉を、酵素処理前にG
培地(Nitch&Nitch培地(Planta,1967,72:355−370)
の無機塩、ビタミン類および1mg/ NAA、1.0mg/ゼア
チン、30g/ショ糖、0.5Mマンニトールを含み、pHを5.
8に調整した培地)に移し、4−10℃にて一晩酵素前培
養した後、プロトプラストを単離、培養した場合には、
プロトプラストからの細胞塊形成頻度は15−20%以上で
あった。
これらのプロトプラスト由来細胞塊をF培地に移植
し、実施例3の手法で培養したところ、(酵素前培養の
有無にかかわらず)実施例4記載のすべての植物種で、
移植後1−2カ月後には茎葉分化を経て植物体再生が認
められた。この時の植物体再生は高頻度で起こり、F培
地に移植した細胞塊のうち、カーネーションでは10%以
上から、また、セキチク、雑種ナデシコでは15−50%以
上から再生植物体が得られた。再生植物体はすべて馴化
後、温室及び圃場で健全に生育した。
し、実施例3の手法で培養したところ、(酵素前培養の
有無にかかわらず)実施例4記載のすべての植物種で、
移植後1−2カ月後には茎葉分化を経て植物体再生が認
められた。この時の植物体再生は高頻度で起こり、F培
地に移植した細胞塊のうち、カーネーションでは10%以
上から、また、セキチク、雑種ナデシコでは15−50%以
上から再生植物体が得られた。再生植物体はすべて馴化
後、温室及び圃場で健全に生育した。
実施例5 (子葉および胚軸プロトプラストの単離、培養と植物
体の再生) セキチク(c.v.ゴスンセキチク)、ミカドナデシコ
(c.v.切花用)、ビジョナデシコ(c.v.矮性混合)、タ
ツタナデシコ、カワラナデシコ(c.v.花壇用)、カーネ
ーション(c.v.アンファンドニース、ジャイアントジャ
ボーエロー)の種子を殺菌処理した後、主要無機塩濃度
を1/2にしたMS寒天培地(2%ショ糖、0.8%寒天を含
む)に播種後、1−2週間で得られた無菌芽生えの子葉
および胚軸をそれぞれ1−2mm幅に細断し、実施例2記
載のCPW 0.5M溶液中に浸漬し、27℃にて1時間酵素前培
養した後、酵素液(CPWの無機塩、2%セルラーゼオノ
ヅカRS、0.1%ペクトリアーゼY−23、1.0%ドリセラー
ゼ、5mM MES、0.5%デキストラン硫酸カリウム、0.5マ
ンニトールを含み、pHを5.8に調整した溶液)に移し
て、27℃暗黒下にて静置し、4−8時間酵素処理した。
体の再生) セキチク(c.v.ゴスンセキチク)、ミカドナデシコ
(c.v.切花用)、ビジョナデシコ(c.v.矮性混合)、タ
ツタナデシコ、カワラナデシコ(c.v.花壇用)、カーネ
ーション(c.v.アンファンドニース、ジャイアントジャ
ボーエロー)の種子を殺菌処理した後、主要無機塩濃度
を1/2にしたMS寒天培地(2%ショ糖、0.8%寒天を含
む)に播種後、1−2週間で得られた無菌芽生えの子葉
および胚軸をそれぞれ1−2mm幅に細断し、実施例2記
載のCPW 0.5M溶液中に浸漬し、27℃にて1時間酵素前培
養した後、酵素液(CPWの無機塩、2%セルラーゼオノ
ヅカRS、0.1%ペクトリアーゼY−23、1.0%ドリセラー
ゼ、5mM MES、0.5%デキストラン硫酸カリウム、0.5マ
ンニトールを含み、pHを5.8に調整した溶液)に移し
て、27℃暗黒下にて静置し、4−8時間酵素処理した。
酵素処理液を実施例2の手法により濾過し、プロトプ
ラストを洗浄、精製した。この方法により、1g生重あた
り約105−106個のプロトプラストが得られ、かつこれら
のプロトプラストは、FDA染色で調査したところ、86−9
3%が生存していた。
ラストを洗浄、精製した。この方法により、1g生重あた
り約105−106個のプロトプラストが得られ、かつこれら
のプロトプラストは、FDA染色で調査したところ、86−9
3%が生存していた。
このようにして得た子葉および胚軸のプロトプラスト
をそれぞれ培地H(主要無機塩濃度1/2にしたKM培地
に、5.0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、20g/ショ糖、0.
5Mマンニトールを加え、pHを5.8に調整した培地)にサ
スペンドし(1×105個プロトプラスト/ml)、27℃、暗
黒下で培養した。培養開始後5−7日で分裂を開始し、
2週間後の細胞分裂頻度は5−15%であった。プロトプ
ラスト培養20日目に培地I(主要無機塩濃度1/2にしたK
M培地に、5.0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、20g/シ
ョ糖を加え、pHを5.8に調整した培地)を等量加え、浸
透圧調整剤の濃度を減じて287℃、連続光下で培養し
た。
をそれぞれ培地H(主要無機塩濃度1/2にしたKM培地
に、5.0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、20g/ショ糖、0.
5Mマンニトールを加え、pHを5.8に調整した培地)にサ
スペンドし(1×105個プロトプラスト/ml)、27℃、暗
黒下で培養した。培養開始後5−7日で分裂を開始し、
2週間後の細胞分裂頻度は5−15%であった。プロトプ
ラスト培養20日目に培地I(主要無機塩濃度1/2にしたK
M培地に、5.0mg/ NAA、1.0mg/ゼアチン、20g/シ
ョ糖を加え、pHを5.8に調整した培地)を等量加え、浸
透圧調整剤の濃度を減じて287℃、連続光下で培養し
た。
1−2カ月後には実施例5記載のすべての植物種にお
いて、プロトプラスト単離材料を子葉とした場合でも、
また胚軸とした場合でも、、培養したプロトプラストの
5〜12%以上から直径2−3mmのコロニーが形成され
た。このコロニーを培地Bに移して27℃、連続光下で溶
媒したところ、1−2カ月後には濃緑色でコンパクトな
カルスが形成された。このカルスを培地J(主要無機塩
濃度1/2にしたMS培地に、1.0mg/ NAA、5.0mg/ゼア
チン、20g/ショ糖を含み、pHを5.8に調整し、0.2%ゲ
ルライトで固化させた培地)に移して27℃、連続光下で
培養を続けたところ、下記植物においてプロトプラスト
単離材料を子葉とした場合でも、また胚軸とした場合で
も移植後2−4カ月で茎葉分化を経て植物体再生が認め
られた。ミカドナデシコ、ビジョナデシコ、タツタナデ
シコにおいては5−12%のカルスから植物体が再生し、
セキチクでは40%以上のカルスから再生植物体が得られ
た。再生植物体はすべて馴化後、温室及び圃場で健全に
生育した。
いて、プロトプラスト単離材料を子葉とした場合でも、
また胚軸とした場合でも、、培養したプロトプラストの
5〜12%以上から直径2−3mmのコロニーが形成され
た。このコロニーを培地Bに移して27℃、連続光下で溶
媒したところ、1−2カ月後には濃緑色でコンパクトな
カルスが形成された。このカルスを培地J(主要無機塩
濃度1/2にしたMS培地に、1.0mg/ NAA、5.0mg/ゼア
チン、20g/ショ糖を含み、pHを5.8に調整し、0.2%ゲ
ルライトで固化させた培地)に移して27℃、連続光下で
培養を続けたところ、下記植物においてプロトプラスト
単離材料を子葉とした場合でも、また胚軸とした場合で
も移植後2−4カ月で茎葉分化を経て植物体再生が認め
られた。ミカドナデシコ、ビジョナデシコ、タツタナデ
シコにおいては5−12%のカルスから植物体が再生し、
セキチクでは40%以上のカルスから再生植物体が得られ
た。再生植物体はすべて馴化後、温室及び圃場で健全に
生育した。
本発明のプロトプラスト調製方法によれば、高い細胞
分裂能を有し、植物体再生が可能なプロトプラストを調
製することができる。
分裂能を有し、植物体再生が可能なプロトプラストを調
製することができる。
また、本発明の植物体再生方法によれば、再現性良
く、しかも高頻度で植物体を再生することができる。
く、しかも高頻度で植物体を再生することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 正愛 栃木県塩谷郡喜連川町大字早乙女字申塚 3377 麒麟麦酒株式会社植物開発研究所 内 (72)発明者 福川 英司 栃木県塩谷郡喜連川町大字早乙女字申塚 3377 麒麟麦酒株式会社植物開発研究所 内 (56)参考文献 特開 昭63−313579(JP,A) 特開 昭62−275631(JP,A) 九州農業研究,第50号(1988),p. 219 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01H 4/00 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)
Claims (5)
- 【請求項1】ナデシコ属植物の花蕾を調製材料として、
プロトプラストを調製することを特徴とするナデシコ属
植物のプロトプラスト調製方法。 - 【請求項2】ナデシコ属植物の花蕾を調製材料とし、細
胞壁分解酵素処理により、プロトプラストを調製する際
に、該調製材料を細胞壁分解酵素処理前に、無機塩を含
有する培地で酵素前培養を行うことを特徴とするナデシ
コ属植物のプロトプラスト調製方法。 - 【請求項3】培地がさらに浸透圧調節剤を含有する請求
項2記載のプロトプラスト調製方法。 - 【請求項4】請求項1記載の方法により調製したプロト
プラストを培養して植物体を再生させることを特徴とす
るナデシコ属植物の植物体再生方法。 - 【請求項5】請求項2または3記載の方法により調製し
たプロトプラストを培養して植物体を再生させることを
特徴とするナデシコ属植物の植物体再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1255441A JP2833795B2 (ja) | 1989-09-30 | 1989-09-30 | ナデシコ属植物のプロトプラスト調製方法及び植物体再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1255441A JP2833795B2 (ja) | 1989-09-30 | 1989-09-30 | ナデシコ属植物のプロトプラスト調製方法及び植物体再生方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03119939A JPH03119939A (ja) | 1991-05-22 |
JP2833795B2 true JP2833795B2 (ja) | 1998-12-09 |
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ID=17278815
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---|---|---|---|
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---|---|
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---|---|---|---|---|
CN108949665B (zh) * | 2018-07-12 | 2022-03-04 | 北京林业大学 | 百合花瓣原生质体的制备方法 |
CN109628376B (zh) * | 2019-01-20 | 2021-05-07 | 华中农业大学 | 一种香石竹叶片原生质体的制备方法 |
CN112931200B (zh) * | 2021-01-05 | 2022-09-13 | 华中农业大学 | 一种利用石竹子叶的组织培养方法及其在石竹遗传转化中的应用 |
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九州農業研究,第50号(1988),p.219 |
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