JP2829938B2 - 粉体搬送方法 - Google Patents

粉体搬送方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は粉体を搬送する方法に関する。
[従来の技術] 従来、粉体を搬送する方法として最も一般的な技術は
スクリューを用いたものであり、あらゆる粉体搬送手段
に用いられている。これは例えばパイプ内の粉体をパイ
プ内部に設けられたスクリューを回転することによって
搬送するものである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来例はパイプ内のスクリューを
モータによって回転させなければならないため、消費電
力が大きくなり回転音も比較的大きくなるという問題点
があった。
構成もスクリューという比較的複雑な部材とモータが
必要となりスペース的にも大きくなりコスト的にも高く
なってしまう。
また、パイプ内壁とスクリューの隙間が大きいと搬送
効率が落ちてしまい、逆にスクリューとパイプ内壁との
隙間が小さいと搬送効率は上がるが、スクリューとパイ
プ内壁との摩擦によってスクリューの回転トルクが大き
くなるという問題点も有していた。
さらに、内壁とスクリューの摩擦等により粉体が劣
化、破壊、あるいは摩擦熱によって溶融してしまうこと
がある。また、一般に粉体は帯電しやすいため、搬送中
に粉体が帯電し、スクリューに付着することが多く、ひ
どい場合は搬送不良が発生するという問題点もあった。
本発明は上記問題点を解決し、低消費電力、低騒音で
あって搬送効率が良い粉帯搬送方法を提供することを目
的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明によれば、上記目的は、 粉体を長手方向へ搬送する粉体搬送部材の一端部に振
動発生手段によって搬送方法と直交する方向への振動を
与え、該振動によって長手方向に進行波を発生させ、他
端部に向けて該進行波を減衰させることにより、上記粉
体搬送部材内で所定方向に粉体を搬送する、 ことにより達成される。
[作用] 本発明によれば、振動発生手段によって、粉体搬送部
材の搬送方向と直交する方向に振動を発生させ、進行波
を発生させる。進行波は、上記粉体搬送部材の端部へと
進むが、この際、進行波は徐々に減衰しているので、端
部において、反射波を発生させない。かくして、進行波
は安定した状態となり、進行波の進行方向と逆方向に粉
体が搬送される。
[実施例] 本発明の第一実施例ないし第三実施例を添付図面に基
づいて説明する。
<第一実施例> 先ず、本発明の第一実施例について第1図ないし第9
図を用いて説明する。
第1図に本発明の第一の実施例を示す。この装置は本
発明を利用した粉体搬送装置である。
第1図中1は、粉体搬送部材たるアクリルの中空パイ
プである。内部には粉体(図示せず)が充填してある。
中空パイプ1の長手方向手前端部には振動発生手段たる
超音波振動発生用圧電素子2が設けてあり交流電源3に
よって交流電圧が印加されている。圧電素子2は第2図
に示すように、中空パイプ1の断面外壁が二点鎖線のよ
うな振動(r方向)を起こすような超音波振動を発生す
る。圧電素子2によって励振されて中空パイプ1は第3
図のような進行波が発生する。中空パイプ1はアクリル
製なので比較的大きな減衰特性を示し、第3図のように
進行波は減衰していく。したがって、端部にて反射波が
ほとんどなく進行波が反射波によって乱されることがな
い。
このような構成によって中空パイプ内の粉体は進行波
の方向とは逆方向(第1図中A)に搬送されることにな
る。
また、振動モードは第2図のモードに限られることな
く例えば第4図の(A)あるいは(B)の中空パイプ断
面図(外壁のみ図示)の二点鎖線のごとく励振させても
よい。
以上のような本実施例装置に基づいて以下のような実
験を行なった。中空アクリルパイプには外径15mm、内径
10mmのものを用い、圧電素子を取り付けた側の逆端部に
粉体供給用ホッパーを接続した。また、粉体として一成
分磁性トナー平均粒径12μmを用いた。実験の結果、こ
の粉体の搬送力は500g/minであった。
さらに粉体をガラスビーズ平均粒径60μm及びフェラ
イトキャリア平均粒径60μm及び非磁性トナー平均粒径
8μmの粉体及びこれらの混合体を用いても磁性トナー
と同様の搬送力を得ることが判った。
このとき粉体搬送量は圧電素子に印加する電圧に比例
して変化し、粉体搬送量の制御が可能となった。
また、電圧の印加時間をパルス的に変化させてもよ
い。
上記圧電素子2は第5図に示すごとく厚み2mmのセラ
ミックPZTを両面から電極で挟み込むタイプである。
電極間に電圧を印加することでセラミックの伸縮力に
より内径及び外径方向つまりr方向に伸び縮み振動が励
起され、その振動が中空パイプ1に進行波として伝達さ
れる。また、ピーク対ピーク電圧100V、周波数50KHzの
交流電圧を印加してい、これは圧電素子の形状による共
振モードから算出された値であり、圧電素子の厚み及び
形状を変えることで共振周波数は変化させうる。また、
本実施例では圧電素子は一層のみであるが第6図に示す
ように多数個サンドイッチタイプ(多積層型)にすれば
さらに励起振動量は大きくでき、中空パイプに伝わる進
行波も大きくなるため粉体搬送力も増加する。また、第
7図のように圧電素子の円周部に電極を設けても良い。
さらに、圧電素子の電極を細分化し、印加電圧の極性を
変えることで種々の振動モードを得ることが可能とな
る。具体的には第8図の電極配列により第4図(A)に
示す((1,1))モードと呼ばれる1軸対称型の振動を
励振することができる。
またさらに第9図に示すように電極分割を細分化する
と第4図(B)のように((2,1))モードと呼ばれる
中心軸の平行振動を励起できる。さらにこれらの電極に
印加する交流電圧の位相を90゜ずらすことで振動の回転
モードも可能となる。
このように電極分割の細分化及びそれぞれの電極への
印加電圧の位相をずらすことで多くの振動モードを励起
できる。これらの種々のモードを活用することで、さま
ざまな粉体の特性に合せた最適な励起モードを選択し、
それぞれの粉体に合せて十分な搬送力を得ることができ
る。
粉体の質量、比重、すべり性、粘着性、帯電性はさま
ざまであり、中空パイプが同一でも、粉体の搬送性はそ
の粉体自身の特性に強く依存するためである。
本実施例はアクリル中空パイプを用いているが、この
構成は粉体搬送部材であるアクリル中空パイプの一部に
与えられた振動の振幅がその部材、つまりアクリル中空
パイプ自身の振動の吸収により減衰されている。本発明
は励振された粉体搬送部材の振幅が、進行波方向端部に
おいて減衰しているよう構成し、進行波を発生させ、粉
体を搬送させるものであるが、本実施例のごとき構成に
ても効果がありかつ簡易、安価にて実現できる。
構成は減衰の大きな材質を用いる他にも減衰の小さい
材質、たとえば金属パイプの一部に減衰の大きな材質を
はりつける、あるいは金属パイプ自身の形状を溝をつけ
る等ほどこして減衰を大きくすることが挙げられる。
前記したように、本発明の特徴は入射した波の端部に
おける反射波が進行波と重なり粉体の搬送を妨げること
を抑えたものであるが、第1表に示すごとく、様々な形
状の搬送部材、はアクリル製中空パイプ直径20mm、
はアクリル製中空パイプ直径10mm、はアルミニウム製
中空パイプ直径18mmに1mmのアクリルをかぶせて直径20m
mにしたものである。使用したパイプの長さは10cmから1
mまで変えて実験を行なった。
実験の結果、入射振幅に対する端部振幅の割合をパラ
メータとすれば長さによらず同じ結果となることが判か
った。
また、これらの結果より振動発生手段により励振され
た粉体搬送部材の振幅がその端部において1/2以下にな
ることが望ましいことが判かる。
材質としてはアクリル、ナイロン、POM、ABS、ポリプ
ロピレン、ポリスチロール等が適している。
<第二実施例> 次に本発明の第二実施例を第10図及び第11図に基づい
て説明する。なお、第一実施例との共通箇所には同一符
号を付して説明を省略する。
本実施例は第10図に示すように中空パイプ2の代わり
に溝状の搬送部材1を用いたところが第一実施例と異な
る。本実施例においても搬送部材にはアクリルを適用し
ている。
搬送原理は第一実施例と同様で交流電源3から圧電素
子2に電圧を印加しそれぞれの圧電素子の進行波を減衰
させて長い溝内の粉体を搬送するものである。
これは中空パイプではなく上部が開放されているため
この溝開口部より粉体の補給等が簡単に行なえる利点を
もつ。
また、第11図に示すように粉体搬送部材1を樋状にし
ても同様の効果を奏することができる。
<第三実施例> 次に、本発明の第三実施例を第12図及び第13図
(A),(B)を用いて説明する。なお、第一実施例と
の共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例は第12図に示すように圧電素子2を中空パイ
プ1の下部に固定したところが第一実施例と異なる。こ
れは積層圧電素子等の板状の圧電素子を第13図(A),
(B)に示すように振動させ中空パイプの一部を圧電素
子により叩くことで進行波を一部から発生させ粉体の搬
送を行なう方法であり他の実施例と同様に十分な搬送力
が発生する。
このような構成にすれば簡易コンパクトに粉体搬送が
実現できパイプの交換、コスト等に有利である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、粉体搬送部材
に、振動発生手段によって搬送方向と直交する方向への
振動を与えて進行波を発生させ,該進行波を端部に向け
て減衰させるので、少ないエネルギーで効率良く粉体を
長距離搬送することができる。
また、粉体が劣化、破壊、溶融することがなく、か
つ、円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第一実施例装置の概略構成を示す斜視
図、第2図は第1図装置における粉体搬送部材の外壁の
振動を説明する図、第3図は第1図装置に発生する進行
波を示す図、第4図(A)は第1図装置における粉体搬
送部材の1軸対称型の振動を示す図、第4図(B)は第
1図装置における粉体搬送部材の非軸対称型の振動を示
す図、第5図は第1図装置の振動発生手段の概略構成を
示す図、第6図は第5図手段を積層した場合の概略構成
を示す図、第7図は第5図手段の円周部に電極を設けた
場合の概略構成を示す図、第8図は第5図手段の((1,
1))モードの電極配列を示す図、第9図は第5図手段
の((2,1))モードの電極配列を示す図、第10図は本
発明の第二実施例装置の概略構成を示す斜視図、第11図
は第10図装置の粉体搬送部材を樋状にした場合の概略構
成を示す斜視図、第12図は本発明の第三実施例装置の概
略構成を示す斜視図、第13図(A)は第12図装置の振動
発生手段の振動形態を示す図、第13図(B)は第12図装
置の振動発生手段の他の振動形態を示す図である。 1……粉体搬送部材(中空パイプ) 2……振動発生手段(圧電素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 廣明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 伊東 展之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65G 27/00 - 27/34 G03G 15/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉体を長手方向へ搬送する粉体搬送部材の
    一端部に振動発生手段によって搬送方向と直交する方向
    への振動を与え、該振動によって長手方向に進行波を発
    生させ、他端部に向けて該進行波を減衰させることによ
    り、上記粉体搬送部材内で所定方向に粉体を搬送する粉
    体搬送方法。
  2. 【請求項2】進行波の減衰は、粉体搬送部材自身の振動
    の吸収により行なわれることとする請求項(1)に記載
    の粉体搬送方法。
  3. 【請求項3】粉体搬送部材の進行波方向端部における進
    行波の振幅は振動発生手段取付け位置における振幅の半
    分以下になるように設定することとする請求項(1)に
    記載の粉体搬送方法。
  4. 【請求項4】振動発生手段には圧電素子を用いることと
    する請求項(1)ないし請求項(3)に記載の粉体搬送
    方法。
  5. 【請求項5】粉体搬送部材は中空パイプであることとす
    る請求項(1)ないし請求項(4)に記載の粉体搬送方
    法。
  6. 【請求項6】振動発生手段は、超音波振動することとす
    る請求項(1)ないし請求項(5)に記載の粉体搬送方
    法。
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