JP2827710B2 - 自動車用乗員拘束装置 - Google Patents

自動車用乗員拘束装置

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JP2827710B2
JP2827710B2 JP4160468A JP16046892A JP2827710B2 JP 2827710 B2 JP2827710 B2 JP 2827710B2 JP 4160468 A JP4160468 A JP 4160468A JP 16046892 A JP16046892 A JP 16046892A JP 2827710 B2 JP2827710 B2 JP 2827710B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車衝突時等にお
ける乗員の拘束性能を向上させる自動車用乗員拘束装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車用乗員拘束装置としては、
例えば図14に示すようなものを本出願人は提案してい
る。
【0003】この装置は、自動車の衝突検知によりエア
バッグ101を点火展開させると同時に該エアバッグ1
01が展開した場合にのみステアリングコラム103を
車体前方へ設定ストロークだけ引込み、乗員を拘束する
ように構成したものである。すなわち、この装置はイグ
ニッションスイッチ105、診断回路107、フロント
スイッチ109、センタースイッチ111,コラムスイ
ッチ113、バッテリ115および水銀スイッチ117
を備え、エアバッグ101を作動させる直列のエアバッ
ク系回路とステアリングコラム103を作動させる直列
のコラム系回路とを並列に結合構成している。
【0004】そして、自動車衝突等によりフロントスイ
ッチ109およびセンタースイッチ111が作動し、こ
れを診断回路107が自動車衝突であると判断した場合
にのみエアバッグ101の図示しないインフレータが点
火され、エアバッグ101が展開されるものである。
【0005】このとき、衝突によりコラムスイッチ11
3が作動し、ステアリングコラム103が車体前方へ引
き込まれるようになっている。このステアリングコラム
103の引き込みによって乗員とステアリングコラム1
03との間に十分な間隔が形成され、例えば、図15に
示すように、通常のエアバッグ101の軸長LA よりも
引き込み分LB だけ軸長を大きく形成したエアバッグ1
19を載置することができる。
【0006】これにより、エアバッグ101によるエネ
ルギ吸収ストロークが拡大し、ソフトに乗員Mを拘束す
ることが可能となる(特願平3−64166)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなエアバッグ
は、一般にその展開時において、展開開始直後は軸方向
(乗員方向)に向かって細長く伸びて最大軸長となり、
その後外周方向に向かって広がり軸長が減少して全展開
状態に達するという挙動を示す。
【0008】ところが、従来の自動車用拘束装置にあっ
ては、エアバッグの展開過程における軸長の変化と無関
係にステアリングコラムの移動を行っていたので、乗員
をよりソフトに拘束するためには大きなストローク量を
確保しなければならず、装置が大型化するという問題点
があった。
【0009】本発明は、このような従来の課題を解決す
るためになされたもので、その目的とするところは、小
型、軽量で、かつエアバッグの軸長を大きく形成してエ
ネルギ吸収ストロークを拡大でき、しかもよりソフトな
拘束性能を得ることができる自動車用乗員拘束装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、車室内に装備され移動機構によ
って座席に対する接近、離反方向へ所定ストローク移動
可能な車室内装備品と、この車室内装備品に取付けられ
自動車の衝突検知セセンサによる衝突検知で点火するイ
ンフレータにより最大軸長後の全展開状態へ展開して前
記車室内装備品の移動後の位置で座席に着座する乗員を
拘束可能なエアバッグとを備えた自動車用乗員拘束装置
であって、前記エアバッグの軸長を検出する手段を設
け、前記車室内装備品の移動量を検出する手段を設け、
前記車室内装備品のエアバッグ取り付け位置に対する前
記乗員の顔面位置で決まる限界ラインを設定し、前記両
検出手段の検出に基づいて前記エアバッグの展開開始時
から最大軸長時までの展開過程において前記エアバッグ
の先端が前記限界ラインを越えないように前記移動機構
を制御する制御手段を設けた構成としてある。
【0011】また、請求項2の発明は、車室内に装備さ
れ移動機構によって座席に対する接近、離反方向へ所定
ストローク移動可能な車室内装備品と、この車室内装備
品に取付けられ自動車の衝突検知センサによる衝突検知
で点火するインフレータにより最大軸長後の全展開状態
へ展開して前記車室内装備品の移動後の位置で座席に着
座する乗員を拘束可能なエアバッグとを備えた自動車用
乗員拘束装置であって、前記エアバッグの軸長を検出す
る手段を設け、前記車室内装備品の移動量を検出する手
段を設け、前記車室内装備品のエアバッグ取り付け位置
に対する前記乗員の顔面位置で決まる限界ラインを設定
し、前記両検出手段の検出に基づいて前記エアバッグの
展開開始時から最大軸長時までの展開過程において前記
エアバッグの先端が前記限界ラインを越えない一定位置
に到達させた後、全展開時までこの位置を維持させるよ
うに前記移動機構を制御する制御手段を設けた構成とし
てある。また、請求項3の発明は、車室内に装備され移
動機構によって座席に対する接近、離反方向へ所定スト
ローク移動可能な車室内装備品と、この車室内装備品に
取付けられ自動車の衝突検知センサによる衝突検知で点
火するインフレータにより最大軸長後の全展開状態へ展
開して前記車室内装備品の移動後の位置で座席に着座す
る乗員を拘束可能なエアバッグとを備えた自動車用乗員
拘束装置であって、前記エアバッグの軸長を検出する手
段を設け、前記車室内装備品の移動量を検出する手段を
設け、前記車室内装備品のエアバッグ取り付け位置に対
する前記乗員の顔面位置で決まる限界ラインを設定し、
前記両検出手段の検出に基づいて前記エアバッグの展開
開始時から最大軸長時までの展開過程において前記エア
バッグの先端が前記限界ラインを越えない一定位置に到
達させるように前記車室内装備品を前記座席に対して離
反させた後、全展開時までこの位置を維持させる前記車
室内装備品を前記座席に対して接近させるように前記移
動機構を制御する制御手段を設けた構成としてある。
【0012】
【作用】請求項1の自動車用乗員拘束装置によれば、自
動車の衝突検知でインフレータが点火してエアバッグが
展開を開始する。エアバッグの展開開始後、制御手段
は、エアバッグの展開開始時から最大軸長時までの展開
過程において、エアバッグの先端が車室内装備品のエア
バッグ取り付け位置に対する乗員の顔面位置で決まる限
界ラインを越えないように移動機構を制御する。
【0013】また、請求項2の自動車用乗員拘束装置に
よれば、制御手段は、エアバッグの展開開始時から最大
軸長時までの展開過程においてエアバッグの先端が限界
ラインを越えない一定位置に到達した後、この位置を維
持させるように移動機構を制御する。請求項3の自動車
用乗員拘束装置によれば、制御手段は、エアバッグの展
開開始時から最大軸長時までの展開過程においてエアバ
ッグの先端が限界ラインを越えない一定位置に到達させ
た後、この位置を維持させるように移動機構を制御し
て、車室内装備品を座席に対して離反させた後、接近さ
せる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図面に基づいて
説明する。
【0015】図1は、この発明の第1実施例に係る自動
車用乗員拘束装置の概略を示す平面図、図2は、図1の
側面図である。
【0016】この実施例の自動車用乗員拘束装置は、図
1および図2に示すように、自動車の衝突検知により即
座に点火展開するエアバッグ1と、このエアバッグ1を
取付けたステアリングコラム3と、このステアリングコ
ラム3を車室外方向である車体前方へ瞬時に移動させる
移動機構5と、前記エアバッグ1の点火展開開始時期と
移動機構5の作動開始時期及び作動速度を調整する制御
手段として制御部7とを備えている。
【0017】車室内装備品としてのステアリングコラム
3のアッパーコラム9には、ステアリングホイー11ル
が取り付けられ、ステアリングホイール11中央部のベ
ースプレート13には、エアバッグ1が固着されてい
る。エアバッグ1にはインフレータ15が設けられ、ベ
ースプレート13には取付金具17を介してエアバッグ
用ポテンショメータ19が取り付けられている。ポテン
ショメータ19から引き出された糸部材21の先端はエ
アバッグ1軸心の内側面に接続され、糸部材21の引き
出し量を計測することによりエアバッグ1の軸長LA が
検出される。
【0018】すなわち、インフレータ15が作動してガ
スが発生すると、エアバッグ1が膨脹して展開し、この
展開過程におけるエアバッグ1の軸長LA がポテンショ
メータ19によって逐次検出される。
【0019】ステアリングコラム3には移動機構5が設
けられ、これらはアッパーブラケット23を介して車体
側のステアリングメンバ25に取り付けられている。
【0020】移動機構5は、火薬27と一対のシリンダ
29とをジョイント部31を介してアッパーブラケット
23に固定し、ピストンロッド33の先端部をブラケッ
ト35に連結したもので、火薬27からシリンダ29の
アッパーブラケット23側(伸長側)室内への連通部3
7には、連通部37の開度を調節するバルブ39が設け
られ、またシリンダ29のストロークは所定ストローク
に予め設定されている。
【0021】すなわち、火薬27が点火されてガスが発
生すると、連通部37からシリンダ29の伸長側室内に
ガスが流入してピストンロッド33が伸長し、ブラケッ
ト35を介してアッパーコラム9がステアリングコラム
3を縮める方向(車室外方向)へ所定ストローク移動す
る。このときの移動速度は、バルブ37の開度に応じて
変化し、開度を大きくすると速度が速くなり、小さくす
ると遅くなる。
【0022】制御手段としての制御部7は、例えばマイ
クロコンピュータで構成されており、制御部7の入力側
ポートには、診断回路45を介して自動車の衝突を検知
する衝突検知センサ45と、エアバッグ用ポテンショメ
ータ19及びコラム用ポテンショメータ41とが接続さ
れ、出力側ポートには、インフレータ15と、移動機構
5の火薬27及びバルブ39とが接続されている。
【0023】前記診断回路45は、衝突検知センサ45
からの信号を入力してエアバッグ1および移動機構5を
作動させる必要がある衝突か否かを判定し、作動させる
必要があると判断したとき制御部7へ信号を出力する。
【0024】制御部7には、移動機構5の作動前におけ
るエアバッグ1の取り付け位置、すなわちベースプレー
ト13の初期位置に対するシート49に着座した乗員の
顔面位置が限界ラインとして予め設定されている。制御
部7は、診断回路45からの信号によりインフレータ1
5へ点火信号を出力し、これ同時に又は所定時間だけ遅
らせて移動機構5の火薬27へ点火信号を出力した後、
エアバッグ1の先端が設定された限界ラインを越えない
ように、エアバッグ用ポテンショメータ19及びコラム
用ポテンショメータ41からの検出信号に応じてバルブ
39へ信号出力して連通部37の開度を増減し、アッパ
ーコラム9の移動速度を調節する。
【0025】この実施例では、インフレータ15の点火
時期は、乗員の初期拘束を良くするため衝突検知センサ
45および診断回路45が衝突を判断できる最も早いタ
イミングとし、火薬27の点火時期、すなわちステアリ
ングコラム3の移動開始時期は、エアバッグ1が展開過
程で乗員と接触する前としている。
【0026】このようなエアバッグ1およびステアリン
グコラム3は、例えば3点式シートベルト47を有する
運転席側シート49の前方車室内に位置する。
【0027】次に、上記第1実施例の作用を図3及び図
4に基づいて説明する。図3は、この実施例の作動チャ
ートであり、チャートの横軸はエアバッグ1及びアッパ
ーコラム9の軸方向の変位であり、横軸は時間である。
【0028】図3中のラインAは移動機構5を作動して
展開過程したときのエアバッグ1の先端位置を、ライン
A’は移動機構5を作動せずに展開したときのエアバッ
グ1の先端位置を、ラインBはエアバッグ1の取り付け
られたアッパーステアリング9のベースプレート13の
移動位置を、ラインCはベースプレート13の初期位置
を、ラインDはエアバッグ1が乗員をソフトに支持でき
る限界ラインをそれぞれ示している。
【0029】従って、ラインAとラインBとの間隔は展
開過程におけるエアバッグ1の軸長LA を、ラインBと
ラインCとの間隔はアッパーコラム9の移動距離LC を
表している。この実施例では、自動車が衝突してからエ
アバッグ1が全展開するまでが短時間であるため乗員の
顔面の位置をほぼ一定と考えて、ラインCとラインDと
の間隔を、アッパーステアリング9を移動していない状
態でのステアリングホイール11から乗員の顔面までの
距離LD に設定している。
【0030】また、t0 は自動車の衝突時を、t1 はエ
アバッグ1の展開開始時を、t2 はアッパーコラム9の
移動開始時を、t3 は移動機構5が作動しない場合にエ
アバッグ1が乗員に最初に接触するときを、t4 はエア
バッグ1の最大軸長時を、t5 はエアバッグ1の全展開
時をそれぞれ示している。
【0031】図4は、作動チャートの各時間におけるエ
アバッグ1とステアリングコラム3の挙動図であり、
(a)はt2 における挙動を、(b)はt4 における挙
動を、(c)はt5 における挙動をそれぞれ示してい
る。
【0032】自動車が衝突すると(t0 )、衝突検知セ
ンサ45から衝突検知信号が診断回路45へ入力され、
診断回路45はエアバッグ1およびステアリングコラム
3の移動機構5を作動させる必要がある衝突か否かを判
断する。そして、作動させる必要があると判断したとき
制御部7へ信号を出力する。
【0033】制御部7は、診断回路45からの信号を受
けて、即座にエアバッグ1のインフレータ15へ点火信
号を出力し、エアバッグ1が展開を開始する(t1 )。
このエアバッグ1の展開開始時においては、エアバッグ
1は軸方向に細長く膨脹し、エアバッグ1の先端が乗員
の顔面へ向かうという挙動を示す。
【0034】エアバッグ1の展開開始から所定時間経過
した後に、制御部7は移動機構5へ点火信号を出力する
(t2 )。これにより火薬27が点火し、シリンダ29
内にガスが流入し、ピストンロッド33が伸長して、ア
ッパーコラム9がステアリングコラム3を縮める方向へ
移動し始める。
【0035】移動機構5の作動時t2 は、図3中のライ
ンA’とラインDとが交叉するt3よりも前となるよう
に設定してある。このため、t1 〜t2 では、常にLA
<LD となり、図4(a)に示すようにエアバッグ1が
乗員Mに接触する恐れがない。
【0036】エアバッグ1の展開及びアッパーコラム9
の移動が開始すると、制御部7は、エアバッグ用ポテン
ショメータ19から検出されたエアバッグ1の軸長LA
と、コラム用ポテンショメータ41から検出されたアッ
パーコラム9の移動距離LCとから、移動機構5作動前
の初期位置に対するエアバッグ1の先端位置までの距離
LA ’をLA ’=LA −LC によって求める。制御部7
は、エアバッグ1の最大軸長時t4 までのどの時点でも
LA ’≦LD となり、最大軸長時t4 にLA ’がLD と
略同一となり、かつ最大軸長時t4 以前にアッパーコラ
ム9が停止するように、バルブ39の開度を増減又は閉
鎖してアッパーコラム9の移動速度を調節する。
【0037】このように、t2 〜t4 では、常にLA ’
≦LD としたので、図4(b)に示すようにエアバッグ
1が乗員Mに接触する恐れがない。
【0038】最大軸長時t4 以後のエアバッグ1は、幅
方向に向かって膨脹し、軸長LA が減少するという挙動
を示した後全展開状態となる(t5 )。
【0039】ここで、全展開時t5 におけるエアバッグ
1の先端位置と乗員の顔面との距離SA ’は、図4
(c)に示すように、SA ’=LC +LD −LA によっ
て求めることができる。このため、図3に示すように、
仮にアッパーコラム9の移動距離をラインB”のように
LC ”と大きくすると、エアバッグ1の先端位置と乗員
の顔面との距離もSA ”と大きくなる。しかし、この実
施例では、エアバッグの最大軸長時t4 にLA ’がLD
と略同一となるようにしたので、エアバッグ1の全展開
時t5 におけるエアバッグ1の先端位置と乗員の顔面と
の距離SA ’が小さくなり、乗員をより早期に初期拘束
することができる。
【0040】次に、この発明の第2実施例について説明
する。
【0041】図5は、第2実施例に係る自動車用乗員拘
束装置の概略を示す平面図、図6は、第2実施例の作動
チャート、図7は、図6の各時間における挙動図であ
り、図6、7は図3、4に対応している。
【0042】この第2実施例は、第1実施例の最大軸長
時t4 から全展開時t5 までの間において、エアバッグ
1の先端位置を一定の位置に維持させたものであり、図
5に示すように、移動機構5の連通部51及びバルブ5
3以外は第1実施例とほぼ同一の構成である。
【0043】連通部51はバルブ53で分岐し、連通部
51の一方51aはシリンダ29のアッパーブラケット
23側(伸長側)室内と連通し、他方51bはブラケッ
ト35側(収縮側)室内と連通している。バルブ53
は、連通部51a,51bへの開度配分を所定の割合に
設定する。
【0044】すなわち、火薬27が点火されてガスが発
生すると、バルブ53の開度配分に応じてシリンダ29
の伸長側室内及び収縮側室内へガスが流入する。伸長側
室内へより多量のガスが流入すると、ピストンロッド3
3が伸長し、アッパーコラム9がステアリングコラム3
を縮める方向(車室外方向)へ移動する。一方、収縮側
室内へより多量のガスが流入すると、ピストンロッド3
3が収縮し、アッパーコラム9がステアリングコラム3
を伸ばす方向(車室内方向)へ移動する。アッパーコラ
ム9の移動速度はバルブ53の開度配分によって調節さ
れ、伸長側の開度配分を増大するとアッパーコラム9の
収縮速度が増加し、収縮側の開度配分を増大するとアッ
パーコラム9の伸長速度が増加する。
【0045】次に、上記第2実施例の作用について説明
する。
【0046】図6中のラインAとラインDとは、第1実
施例と同様に,移動機構5を一方向のみに作動してエア
バッグ1を展開したときのエアバッグ1の先端位置と、
エアバッグ1が乗員Mをソフトに支持できる限界ライン
とを表している。また、ラインEとラインFとは、この
実施例におけるアッパーステアリング9のベースプレー
ト13の移動位置と、移動機構5を前後両方向に作動し
てエアバッグ1を展開したときのエアバッグ1の先端位
置を表している。
【0047】また、t0 は自動車の衝突時を、t1 はエ
アバッグ1の展開開始時を、t2 はアッパーコラム9の
移動開始時を、t4 はエアバッグ1の最大軸長時を、t
5 はエアバッグ1の全展開時をそれぞれ示し、図7の
(a)はt4 における挙動を、(b)はt4 〜t5 の挙
動を、(c)はt5 における挙動をそれぞれ示してい
る。
【0048】自動車が衝突すると(t0 )、第1実施例
と同様に、制御部7が診断回路45からの信号を受けて
インフレータ15へ点火信号を出力し、エアバッグ1が
展開を開始する(t1 )。
【0049】エアバッグ1の展開開始から所定時間経過
後に、制御部7は、伸長側の開度配分が大きくなるよう
にバルブ53へ信号出力し、移動機構5へ点火信号を出
力する(t2 )。これにより火薬27が点火し、伸長側
室内により多量のガスが流入して、アッパーコラム9が
車体側へ移動し始める。
【0050】エアバッグ1の展開及びアッパーコラム9
の移動が開始すると、制御部7は、第1実施例と同様
に、エアバッグ1の軸長LA とアッパーコラム9の移動
距離LC とから、初期位置に対するエアバッグ1の先端
位置までの距離LA ’=LA −LC を求め、エアバッグ
1の最大軸長時t4 までのどの時点でもLA ’≦LD と
なり、かつ最大軸長時t4 にLA ’がLD と略同一とな
るようにバルブ53の開度配分を調節する。これによ
り、図7(a)に示すように、t2 〜t4 ではエアバッ
グ1が乗員Mに接触する恐れがない。
【0051】最大軸長時t4 から全展開時t5 におい
て、制御部7は、図7(b)に示すように、LA ’がほ
ぼLD に維持されるようにバルブ51の開度配分を調節
する。
【0052】具体的には、最大軸長時t4 以後のエアバ
ッグ1は、幅方向へ拡がって図6中のラインAのように
ラインDから離れる挙動を示すので、制御部7は、初期
位置に対するエアバッグ1の先端位置までの距離LA ’
=LA −LC を求め、LA ’とLD とをほぼ一致させる
べく収縮側の開度配分を所定量だけ大きくし、ラインE
に示すようにアッパーコラム9を適当な速度で乗員M側
へ移動させ、図7(c)に示すように、全展開時t5
移動機構5の作動を停止する。これにより、エアバッグ
1の先端位置は、ラインFに示すようにほぼ限界ライン
に維持される。
【0053】このように第2実施例では、最大軸長時t
4 から全展開時t5 までエアバッグ1の先端位置をほぼ
限界ラインに維持するようにしたので、全展開時t5
後はもちろん、最大軸長時t4 から全展開時t5 に乗員
の初期拘束が起こった場合でも、乗員を早期に初期拘束
することができ、初期拘束性能が向上する。
【0054】次に、この発明の第3実施例について説明
する。
【0055】図8は、第3実施例に係る自動車用乗員拘
束装置の概略を示す平面図、図9は、第3実施例の作動
チャートあり、図9は図3に対応している。
【0056】この第3実施例は、図8に示すように第1
実施例とほぼ同一の構成であるが、移動機構5のバルブ
39及びコラム用ポテンショメータ41と、エアバッグ
用ポテンショメータ19とを設けず、制御部7に代えて
制御手段としてのタイミング調整部55を設け、アッパ
ーコラム9の移動速度を予め設定したものである。
【0057】移動機構5は、火薬27と一対のシリンダ
29とをジョイント部31を介してアッパーブラケット
23に固定し、ピストンロッド33の先端部をブラケッ
ト35に連結したもので、火薬27からシリンダ29の
伸長側室内への連通部の開度と、シリンダ29のストロ
ークとは、所定開度と所定ストロークに予め設定可能と
なっている。
【0058】すなわち、火薬27が点火されてガスが発
生すると、連通部からシリンダ29内にガスが流入して
ピストンロッド33が伸長し、ブラケット35を介して
アッパーコラム9がステアリングコラム3を縮める方向
(車体前方)へ所定速度にて所定ストロークLC だけ移
動する。
【0059】タイミング調整部55は、診断回路45か
らの信号によりインフレータ15へ点火信号を出力し、
これと同時に又は所定時間だけ遅らせて移動機構5の火
薬27へ点火信号を出力する。
【0060】この実施例では、インフレータ15の点火
時期は、乗員の初期拘束を良くするため衝突検知センサ
45および診断回路45が衝突を判断できる最も早いタ
イミングとし、火薬27の点火時期、すなわちステアリ
ングコラム3の移動開始時期は、インフレータ15の点
火時期と同時としている。
【0061】アッパーコラム9の設定ストロークLC
は、エアバッグ1の全展開時における軸長をLA とし、
移動機構5を作動せずに全展開時での乗員拘束性能と展
開過程での乗員へのソフトな支持とを確保するように形
成したエアバッグの全展開時における軸長をMA とし
て、これらの軸長LA ,MA から求めた軸長差MC =L
A−MA と略同一に設定されている。また、アッパーコ
ラム9の移動速度は、エアバッグ1の最大軸長時前に前
記設定ストロークの移動が完了するように設定されてい
る。
【0062】次に、上記第3実施例の作用について説明
する。
【0063】第1実施例と同様に、図9中のラインCは
ベースプレート13の初期位置を、ラインDはエアバッ
グ1が乗員Mをソフトに支持することができる限界ライ
ンをそれぞれ示し、また、ラインGはステアリングコラ
ム3を固定した状態で全展開時での乗員拘束性能と展開
過程での乗員Mのソフトな支持とを確保するように形成
したエアバッグの先端位置を、ラインHはアッパーステ
アリング9のベースプレート13の移動位置を、ライン
Iは、移動機構5を作動してエアバッグ1を展開したと
きのエアバッグ1の先端位置をそれぞれ表している。
【0064】また、t0 は自動車の衝突時を、t1 はエ
アバッグ1の展開開始時を、t2 はアッパーコラム9の
移動開始時を、t4 はエアバッグ1の最大軸長時を、t
5 はエアバッグ1の全展開時を、tE はアッパーコラム
9の移動完了時をそれぞれ示している。
【0065】自動車が衝突すると(t0 )、衝突検知セ
ンサ45から衝突検知信号が診断回路45へ入力され、
診断回路45はエアバッグ1および移動機構5を作動さ
せる必要があるか否かを判断し、必要があると判断した
ときタイミング調整部55へ信号を出力する。
【0066】タイミング調整部55は、診断回路45か
らの信号を受けてインフレータ15へ点火信号を出力す
ると共に、移動機構5へ点火信号を出力する。これによ
り、エアバッグ1が展開を開始し(t1 )、軸方向に向
かって展開し最大軸長状態となった後(t4 )、幅方向
に展開して全展開状態となる(t5 )。一方アッパーコ
ラム9は、エアバッグ1の展開開始と同時に車体側へ移
動を開始し(t2 )、所定速度で設定ストロークだけ移
動し、全展開時t5 までに移動を完了する(tE )。
【0067】このとき、アッパーコラム9の設定ストロ
ークLC は、エアバッグ1の全展開時における軸長LA
と、仮にステアリングコラム3を初期状態で固定したま
まで全展開時での乗員拘束性能と展開過程での乗員Mの
ソフトな支持とを確保するようにエアバッグを形成した
場合の全展開時におけるエアバッグの軸長MA との軸長
差MC =LA −MA と略同一としてある。
【0068】従って、図9中のラインIに示すように、
1 (t2 )〜t5 におけるエアバッグ1の先端位置
は、最初はラインGよりもやや小さくなる挙動を示す
が、その後はラインGと略同一曲線をたどるので、全展
開時での乗員拘束性能を確保し、展開過程での乗員Mを
ソフトに支持すると共に、良好な初期拘束性能を得るこ
とができる。また、全展開時におけるエアバッグ1の軸
長LA を、ステアリングコラム9を固定した場合よりも
MC だけ大きく設定することができ、乗員拘束時のエネ
ルギの吸収量を増大させることができる。
【0069】このように第3実施例では、特に制御部や
ポテンショメータ等を設けることなく、エアバッグ1の
軸長とアッパーコラム9の設定ストローク及び移動速度
を所定値に設定するだけで第1実施例とほぼ同一の効果
を得ることができ、非常に簡単な構成によって乗員拘束
性の向上を図ることができる。
【0070】次に、この発明の第4実施例について説明
する。
【0071】図10は、第4実施例に係る自動車用乗員
拘束装置の概略を示す側面図、図11は、第4実施例の
作動チャートであり、図11は図3に対応している。
【0072】この第4実施例は、着座姿勢や体格によっ
て変わる乗員Mの初期位置に合わせてアッパーコラム9
の移動速度と移動距離とを設定するもので、第1実施例
とほぼ同一の構成に加えてレーザレーダ57が設けられ
ている。
【0073】レーザレーダ57は、アッパーブラケット
23に取り付けられ、自動車の衝突時にエアバッグ1の
取り付け点であるベースプレート13から乗員Mの顔面
までの距離を測定し、これを乗員Mの初期位置として制
御部7に出力する。制御部7は、入力された初期位置に
基づき限界ラインを設定し、エアバッグ用ポテンショメ
ータ19及びコラム用ポテンショメータ41からの検出
信号に応じて、バルブ39へ信号出力して連通部37の
開度を増減し、アッパーコラム9の移動速度及び移動距
離を調節する。
【0074】次に、上記第4実施例の作用について説明
する。
【0075】図11中のラインCはベースプレート13
の初期位置を、ラインJは図10中破線で示すように乗
員Mが標準位置に着座した場合の乗員Mの顔面位置を、
ラインKは図10中実線で示すように乗員Mがシート4
9を前方にスライドさせて着座した場合の乗員Mの顔面
位置である限界ラインを、ラインLは乗員Mが標準位置
に着座した場合のエアバッグ1の先端位置を、ラインM
は乗員Mが前方に着座した場合のベースプレート13の
移動位置を、ラインNは乗員Mが前方に着座した場合の
エアバッグ1の先端位置を、ラインOは乗員Mが標準位
置に着座した場合のベースプレート13の移動位置をそ
れぞれ表している。
【0076】従って、ラインLとラインOとの間隔及び
ラインOとラインCとの間隔とは、乗員Mが標準位置に
着座した場合のエアバッグ1の軸長LA とアッパーコラ
ム9の移動距離LC とを表し、ラインNとラインMとの
間隔及びラインMとラインCとの間隔とは、乗員Mが前
方に着座した場合のエアバッグ1の軸長LA 2 とアッパ
ーコラム9の移動距離LC 2 とを表している。ラインJ
とラインCとの間隔及びラインKとラインCとの間隔と
は、乗員Mが標準位置に着座した場合のベースプレート
13から乗員Mの顔面までの距離LD と、乗員Mが前方
に着座した場合のベースプレート13から乗員Mの顔面
までの距離LD 2 とを表しており、この実施例では、自
動車の衝突時からエアバッグ1の全展開時までが短時間
であるため、乗員Mの顔面位置がほぼ一定位置に保持さ
れるものとしている。
【0077】また、t0 は自動車の衝突時を、t1 はエ
アバッグ1の展開開始時を、t2 はアッパーコラム9の
移動開始時を、t4 はエアバッグ1の最大軸長時を、t
5 はエアバッグ1の全展開時をそれぞれ示している。
【0078】自動車が衝突すると(t0 )、制御部7
は、診断回路45からの信号を受けて、即座にエアバッ
グ1のインフレータ15へ点火信号を出力し、エアバッ
グ1が展開を開始する(t1 )。このエアバッグ1の展
開開始時においては、エアバッグ1は軸方向に細長く膨
脹し、エアバッグ1の先端が乗員Mの顔面へ向かうとい
う挙動を示す。また、インフレータ15の点火と同時
に、レーザレーダ57がベースプレート13から顔面ま
での距離LD 2 を測定し、制御部7へ出力する。
【0079】エアバッグ1の展開及びアッパーコラム9
の移動が開始すると、制御部7は、エアバッグ用ポテン
ショメータ19から検出されたエアバッグ1の軸長LA
2 と、コラム用ポテンショメータ41から検出されたア
ッパーコラム9の移動距離LC 2 とから、移動機構5作
動前の初期位置に対するエアバッグ1の先端位置までの
距離LA 2 ’をLA 2 ’=LA 2 −LC 2 によって求め
る。制御部7は、エアバッグ1の最大軸長時t4 までの
どの時点でもLA 2 ’≦LD 2 となり、最大軸長時t4
にLA 2 ’がLD 2 と略同一となり、かつ最大軸長時t
4 以前にアッパーコラム9が停止するように、バルブ3
9の開度を増減又は閉鎖してアッパーコラム9の移動速
度と移動距離を調節する。
【0080】ここで、乗員Mが前方に着座しているにも
かかわらず、標準位置に着座した場合と同様にアッパー
コラム9を移動させたとすると、LD >LD 2 であるの
でラインKとラインLとが交叉し、エアバッグ1の先端
が乗員Mの顔面に接触してしまう。この接触は、実用上
乗員Mに対する安全性を損なうものではないが、この接
触により乗員Mは不快感を強く感じる恐れがある。これ
に対し本実施例では、標準位置でのアッパーコラム9の
移動距離LC よりも乗員Mが前方に移動した分(LD −
LD 2 )だけアッパーコラム9を大きく移動させて、常
にLA 2 ’≦LD 2 としているので、エアバッグ1が乗
員Mに接触せず、乗員に不快感を与えることがない。
【0081】最大軸長時t4 以後のエアバッグ1は、幅
方向に向かって膨脹し、軸長LA が減少するという挙動
を示した後全展開状態となる(t5 )。このとき、エア
バッグ1の最大軸長時t4 にLA 2 ’がL2 D と略同一
となるようにしたので、エアバッグ1の全展開時t5
おけるエアバッグ1の先端位置と乗員Mの顔面との距離
が小さくなり、第1実施例と同様に、乗員Mを早期に初
期拘束することができる。
【0082】このように、第4実施例では、衝突時の乗
員の初期位置に応じてアッパーコラム9を移動するよう
にしたので、乗員の着座位置、体格、及び運転姿勢等に
かかわらず、よりソフトな乗員拘束性が得られる。
【0083】次に、この発明の第5実施例について説明
する。
【0084】図12は、第5実施例に係る自動車用乗員
拘束装置の概略を示す側面図、図13は、第5実施例の
作動チャートであり、図13は図3に対応している。
【0085】この第5実施例は、乗員Mの顔面とエアバ
ッグ1の先端位置との距離を常時計測しながらアッパー
コラム9の移動を行うもので、その構成は前記第4実施
例とほぼ同一である。
【0086】アッパーブラケット23に取り付けられた
レーザレーダ57は、自動車の衝突時より作動を開始
し、衝突以後エアバッグ1の取り付け点であるベースプ
レート13から乗員Mの顔面までの距離を連続的に測定
して制御部7に出力する。制御部7は、入力されたベー
スプレート13から顔面までの距離に基づき逐次限界ラ
インを設定し、エアバッグ用ポテンショメータ19及び
コラム用ポテンショメータ41からの検出信号に応じ
て、バルブ39へ信号出力して連通部37の開度を増減
し、アッパーコラム9の移動速度を調節する。
【0087】次に、上記第5実施例の作用について説明
する。
【0088】図13中のラインCはベースプレート13
の初期位置を、ラインPは図12中破線で示すように衝
突前の初期状態における運転姿勢での乗員Mの顔面位置
を、ラインQは図12中実線で示すように衝突後の車体
減速度により乗員Mが前傾姿勢となり顔面が前方に移動
した場合の乗員Mの顔面位置である限界ラインを、ライ
ンRは乗員Mの運転姿勢が変化せず初期状態を維持した
場合のエアバッグ1の先端位置を、ラインSは乗員Mが
前傾した場合のベースプレート13の移動位置を、ライ
ンTは乗員Mが前傾した場合のエアバッグ1の先端位置
を、ラインUは乗員Mの運転姿勢が変化せず初期状態を
維持した場合のベースプレート13の移動位置をそれぞ
れ表している。
【0089】従って、ラインRとラインUとの間隔及び
ラインUとラインCとの間隔とは、乗員Mが初期状態を
維持した場合のエアバッグ1の軸長LA とアッパーコラ
ム9の移動距離LC とを表し、ラインTとラインSとの
間隔及びラインSとラインCとの間隔とは、乗員Mが前
傾した場合のエアバッグ1の軸長LA 3 とアッパーコラ
ム9の移動距離LC 3 とを表している。ラインJとライ
ンCとの間隔及びラインKとラインCとの間隔とは、初
期状態でのベースプレート13から乗員Mの顔面までの
距離LD と、乗員Mが前傾した場合にレーザレーダ57
が連続的に測定したベースプレート13から乗員Mの顔
面までの距離LD 3 を表している。
【0090】また、t0 は自動車の衝突時を、t1 はエ
アバッグ1の展開開始時を、t2 はアッパーコラム9の
移動開始時を、t4 はエアバッグ1の最大軸長時を、t
5 はエアバッグ1の全展開時をそれぞれ示している。
【0091】自動車が衝突すると(t0 )、制御部7
は、診断回路45からの信号を受けて、即座にエアバッ
グ1のインフレータ15へ点火信号を出力し、エアバッ
グ1が展開を開始する(t1 )。このエアバッグ1の展
開開始時においては、エアバッグ1は軸方向に細長く膨
脹し、エアバッグ1の先端が乗員Mの顔面へ向かうとい
う挙動を示す。また、インフレータ15の点火と同時
に、レーザレーダ57がベースプレートから顔面までの
距離LD 3 の測定を開始し、測定値を制御部7へ連続的
に出力する。
【0092】エアバッグ1の展開及びアッパーコラム9
の移動が開始すると、制御部7は、エアバッグ用ポテン
ショメータ19から検出されたエアバッグ1の軸長LA
3 と、コラム用ポテンショメータ41から検出されたア
ッパーコラム9の移動距離LC 3 とから、移動機構5作
動前の初期位置に対するエアバッグ1の先端位置までの
距離LA 3 ’をLA 3 ’=LA 3 −LC 3 によって求め
る。制御部7は、エアバッグ1の最大軸長時t4 までの
どの時点でもLA 3 ’≦LD 3 となり、最大軸長時t4
にLA 3 ’がLD 3 と略同一となり、かつ最大軸長時t
4 以前にアッパーコラム9が停止するように、バルブ3
9の開度を増減又は閉鎖してアッパーコラム9の移動速
度と移動距離を調節する。
【0093】ここで、衝突後に乗員Mが前傾しているに
もかかわらず、乗員Mが初期状態を維持した場合と同様
にアッパーコラム9を移動させたとすると、LD −LD
3 が時間の経過と共に増大してラインQとラインRとが
交叉し、エアバッグ1の先端が乗員Mの顔面に接触して
しまう。この接触は、実用上乗員Mに対する安全性を損
なうものではないが、乗員Mが不快感を強く感じてしま
う恐れがある。これに対し本実施例では、衝突後ベース
プレート13から顔面までの距離LD 3 を連続的に検出
し、逐次LA 3 ’≦LD 3 となるようにベースプレート
13を移動させるので、エアバッグ1が乗員Mと接触せ
ず、乗員Mに不快感を与えることがない。
【0094】最大軸長時t4 以後のエアバッグ1は、幅
方向に向かって膨脹し、軸長LA が減少するという挙動
を示した後全展開状態となる(t5 )。このとき、エア
バッグ1の最大軸長時t4 にLA 2 ’がL2 D と略同一
となるようにしたので、エアバッグ1の全展開時t5
おけるエアバッグ1の先端位置と乗員Mの顔面との距離
が小さくなり、第1実施例と同様に、乗員Mを早期に初
期拘束することができる。
【0095】このように、第5実施例では、衝突後の乗
員の着座姿勢に応じてアッパーコラム9を移動するよう
にしたので、車体減速度により乗員が前傾姿勢となり顔
面が前方に移動した場合でも常によりソフトな乗員拘束
性が得られる。
【0096】なお、この発明は上記実施例に限られるも
のではなく、前席助手席側や後席側に適用することもで
きる。この場合に車室内部材としては、例えばインスト
ルメントパネルやドア等が用いられる。
【0097】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明の請
求項1に係る自動車用乗員拘束装置によれば、エアバッ
グの展開、過程における最大軸長を、車室内装備品が移
動しなければその先端が限界ラインを越えるようにエア
バッグを大きく形成しても、車室内装備品が移動するこ
とでエアバッグの先端を限界ライン内とすることがで
き、その分、全展開状態におけるエアバッグ容量を拡大
することができ、乗員拘束ストロークを長く設定し、エ
ネルギ吸収ストロークを拡大し、乗員をソフトに拘束す
ることができる。しかも、展開過程においてエアバッグ
が乗員に対し限界ラインを越えないので、よりソフトな
拘束性能を得ることができる。
【0098】また、請求項2に係る自動車用乗員拘束装
置によれば、上記効果に加えて、最大軸長時から全展開
時までの展開過程でエアバッグの先端位置を限界ライン
を越えない一定位置に維持することができ、よりソフト
で安定した拘束が可能となる。請求項3に係る自動車用
乗員拘束装置によれば、上記効果に加えて、座席に対し
て車室内装備品を離反させた後、接近させるようにし
て、最大軸長時から全展開時までの展開過程でエアバッ
グの先端位置を限界ラインを越えない一定位置に維持す
ることができ、しかも乗員とエアバッグとの距離を常に
一定に保つことが出来るため、よりソフトで安定した拘
束が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る自動車用乗員拘束
装置の概略を示す平面図である。
【図2】図1の自動車用乗員拘束装置の側面図である。
【図3】第1実施例の作動チャートである。
【図4】図3の作動チャートの各時間におけるエアバッ
グとステアリングコラムの挙動図であり、(a)はt2
における挙動図、(b)はt4 における挙動図、(c)
はt5 における挙動図である。
【図5】第2実施例に係る自動車用乗員拘束装置の概略
を示す平面図である。
【図6】第2実施例の作動チャートである。
【図7】図6の作動チャートの各時間におけるエアバッ
グとステアリングコラムの挙動図であり、(a)はt4
における挙動図、(b)はt4 〜t5 の挙動図、(c)
はt5 における挙動図である。
【図8】第3実施例に係る自動車用乗員拘束装置の概略
を示す平面図である。
【図9】第3実施例の作動チャートである。
【図10】第4実施例に係る自動車用乗員拘束装置の概
略を示す側面図である。
【図11】第4実施例の作動チャートである。
【図12】第5実施例に係る自動車用乗員拘束装置の概
略を示す側面図である。
【図13】第5実施例の作動チャートである。
【図14】従来例に係る自動車用乗員拘束装置のブロッ
ク図である。
【図15】ステアリングコラムの動きを示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 エアバッグ 3 ステアリングコラム(室内装備品) 5 移動機構 7 制御部(制御手段) 15 インフレータ 55 タイミング調整部(制御手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60R 21/16 - 21/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内に装備され移動機構によって座席
    に対する接近、離反方向へ所定ストローク移動可能な車
    室内装備品と、この車室内装備品に取付けられ自動車の
    衝突検知センサによる衝突検知で点火するインフレータ
    により最大軸長後の全展開状態へ展開して前記車室内装
    備品の移動後の位置で座席に着座する乗員を拘束可能な
    エアバッグとを備えた自動車用乗員拘束装置であって、
    前記エアバッグの軸長を検出する手段を設け、前記車室
    内装備品の移動量を検出する手段を設け、前記車室内装
    備品のエアバッグ取り付け位置に対する前記乗員の顔面
    位置で決まる限界ラインを設定し、前記両検出手段の検
    出に基づいて前記エアバッグの展開開始時から最大軸長
    時までの展開過程において前記エアバッグの先端が前記
    限界ラインを越えないように前記移動機構を制御する制
    御手段を設けたことを特徴とする自動車用乗員拘束装
    置。
  2. 【請求項2】 車室内に装備され移動機構によって座席
    に対する接近、離反方向へ所定ストローク移動可能な車
    室内装備品と、この車室内装備品に取付けられ自動車の
    衝突検知センサによる衝突検知で点火するインフレータ
    により最大軸長後の全展開状態へ展開して前記車室内装
    備品の移動後の位置で座席に着座する乗員を拘束可能な
    エアバッグとを備えた自動車用乗員拘束装置であって、
    前記エアバッグの軸長を検出する手段を設け、前記車室
    内装備品の移動量を検出する手段を設け、前記車室内装
    備品のエアバッグ取り付け位置に対する前記乗員の顔面
    位置で決まる限界ラインを設定し、前記両検出手段の検
    出に基づいて前記エアバッグの展開開始時から最大軸長
    時までの展開過程において前記エアバッグの先端が前記
    限界ラインを越えない一定位置に到達させた後、全展開
    時までこの位置を維持させるように前記移動機構を制御
    する制御手段を設けたことを特徴とする自動車用乗員拘
    束装置。
  3. 【請求項3】 車室内に装備され移動機構によって座席
    に対する接近、離反方向へ所定ストローク移動可能な車
    室内装備品と、この車室内装備品に取付けられ自動車の
    衝突検知センサによる衝突検知で点火するインフレータ
    により最大軸長後の全展開状態へ展開して前記車室内装
    備品の移動後の位置で座席に着座する乗員を拘束可能な
    エアバッグとを備えた自動車用乗員拘束装置であって、
    前記エアバッグの軸長を検出する手段を設け、前記車室
    内装備品の移動量を検出する手段を設け、前記車室内装
    備品のエアバッグ取り付け位置に対する前記乗員の顔面
    位置で決まる限界ラインを設定し、前記両検出手段の検
    出に基づいて前記エアバッグの展開開始時から最大軸長
    時までの展開過程において前記エアバッグの先端が前記
    限界ラインを越えない一定位置に到達させるように前記
    車室内装備品を前記座席に対して離反させた後、全展開
    時までこの位置を維持させる前記車室内装備品を前記座
    席に対して接近させるように前記移動機構を制御する制
    御手段を設けたことを特徴とする自動車用乗員拘束装
    置。
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