JP2827439B2 - 面状発熱成形品およびその製造方法 - Google Patents

面状発熱成形品およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は暖房便座、シヤワートイレの温水タンク、防
霜、防曇、雨滴除去用のドアミラー、自動車の軽油の凍
結防止の予備加熱のオイルフイルタなどの面状発熱成形
品およびその製造方法に関する。
(従来の技術) 従来より、面状発熱成形品として、前述したように暖
房便座や雨滴除去ドアミラーなどあらゆる民生機器で、
その応用展開が図られつつある。このような面状発熱成
形品は、カーボンブラツクと金属繊維を熱可塑性樹脂に
て充填した通電発熱材料を射出成形法にて発熱体を形成
し、そのまわりに外被層にて覆う製品であつた。このよ
うな製品は、なんらかの理由で外被層にクラツクが発生
し、破壊にいたると、通電発熱させているため、破壊部
分に水等が侵入すると漏電を起こすという欠点があつ
た。そのために発熱体の全周を絶縁層で覆い表皮体が割
れても発熱体の絶縁が効くように絶縁体を一体となつて
割れない絶縁層を設ける必要がある。このような欠点を
解決するものとして特開平1−300914号公報があつた。
これは、第5図に示すようにカーボンブラツクと金属
短繊維を熱可塑性樹脂にて充填した通電発熱を射出成形
法にて発熱体12に形成し、前記発熱体を前記発熱材料に
使用した同じ熱可塑性樹脂13にて包被して暖房便座を形
成し、暖房便座の着座側と前記発熱体との間に絶縁層14
を設けた面状発熱式暖房便座であつた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記技術は上記絶縁層として、テープ
を貼る方法は生産性が極めて悪いことがあり、コストが
大幅にアツプする欠点があつた。また射出成形の面状発
熱体は複雑形状なものに適用できるのがメリツトである
ので、一般に発熱体自体も複雑形状である。複雑形状品
であるため、表皮体と異なる材質で例えば加流ゴムシー
トで覆つてしまうことは極めて難しいという問題点があ
つた。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明は上記問題点を解決するものであつて、この技
術的手段は、カーボンブラツクと金属短繊維を熱可塑性
樹脂にて充填した通電発熱材料を射出成形法にて発熱体
を形成し、該発熱体の表面にクロロプレン樹脂被膜が形
成され、次に該クロロプレン樹脂被膜の表面にウレタン
樹脂被膜が形成され、さらにこのウレタン樹脂被膜の表
面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の外被層にて包被
したことにある。
また、カーボンブラツクと金属短繊維を熱可塑性樹脂
にて充填した通電発熱材料を射出成形にて発熱体を形成
し、該発熱体の表面にクロロプレンラテツクス樹脂を塗
布し、乾燥後、該クロロプレン樹脂被膜表面に水系ウレ
タンデスパージヨン樹脂を塗布し、乾燥後、該ウレタン
樹脂被膜表面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂にて包
被することにある。
(作用) 上記の構成からなる面状発熱体に埋設するクロロプレ
ン樹脂被膜とウレタン樹脂被膜からなる絶縁層は発熱体
の複雑形状に対応でき、しかも積層化でき、耐水性、耐
洗剤性に優れた面状発熱成形品となるのである。
(実施例) 以下本発明の実施例について暖房便座を実施例として
詳細に説明をする。
暖房便座はABS樹脂などの熱可塑性樹脂で成形されて
おり、成形工程の中で便座に必要な部品として電極、セ
ンサー等をインサートする必要があり、ロータリ式成形
又は単色成形のマルチ成形によつて行うものである。
第1図〜第5図において、1は暖房便座の本体で、2
は発熱体でアルミ合金、黄銅又はステンレス等の太さ20
〜150μmで、10mm以下の金属短繊維と、カーボンブラ
ツク、及びABS樹脂等の合成樹脂を適宜混合して形成し
たものである。3は発熱体2を被覆したABS樹脂よりな
る外被層で、4は前記発熱体と座着側本体を絶縁層であ
り、4aはクロロプレンラテツクス樹脂の塗布によつて30
μmの厚さを有するクロロプレン樹脂被膜、4bは水系ウ
レタンデイスパージヨン樹脂の塗布により200μmの厚
さを有するウレタン樹脂被膜である。
この絶縁層4は発熱体と便座の表面とを完全に絶縁す
るものである。
5は発熱体2の電極で6はコードを示し、7は発熱体
の下面に設けた絶縁粘着テープであり、8はサーモセン
サーで便座の温度を感知し、9はサーマルプロテクター
で、いずれも発熱体下側に設けられてある。
なお本発明の実施例においては暖房便座について説明
したがこれに限定されるものでなく、シヤワートイレの
温水タンク、防霜、防曇、雨滴除去用のドアミラー、自
動車の軽油の凍結防止の予備加熱のオイルフイルタなど
の発熱成形品の絶縁構造にも利用できるものである。
つぎに上記絶縁層であるクロロプレン樹脂被膜および
ウレタン樹脂被膜の具体的な形成方法について以下に説
明する。
これは、面状発熱体にクロロプレンが乳化重合された
クロロプレンラテツクスを30μm塗布し、乾燥後、この
上に水系デイスパージヨンウレタン樹脂を200μm塗布
して絶縁層を形成させ、次にこの上に熱可塑性樹脂また
は熱硬化性樹脂を包被した面状発熱成形品となるのであ
る。この面状発熱成形品は、絶縁性に優れ、耐水性、耐
洗剤性が優れた面状発熱体である。
以下本発明に至つた経緯について説明する。
まず、シリコーン樹脂であると発熱体に対する密着力
はよいが、それがため破断引張長が小さくなる。
次にエチレン酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−エ
チレンアクリレート共重合体は密着力が悪いため材料自
体の伸びも大きいので、破断引張長が大きいが、この材
料は融点が低く、溶剤使用が問題となる。
また、熱可塑性ウレタンは溶剤タイプであり、発熱体
の腐食がある。
さらに、スチレン−ブタジエン共重合体は、密着力が
下記のクロロプレンより良好なため、破断引張長が小さ
い。
また、クロロプレンラテツクスは密着力が悪く、材料
自体の伸びも大きいので、破断引張長は大きいが、未加
流では耐水性に問題がある。
以上のように溶剤、無溶剤タイプの各種液状絶縁材料
を検討したが、本発明者等は、表皮が何らかの原因で破
断しても安全性の確保できるように、破断引張長が長く
保持でき、耐水性、耐溶剤性が良好であり、更に発熱温
度80℃まで溶融しない絶縁体を発明したのである。
本発明者等は積層化を図るため検討絶縁材料の中でク
ロロプレンが耐水、耐溶剤性以外の項目を満足してお
り、上記の他の絶縁樹脂材料は融点が低い、とか破断引
張長が小さい等の問題点がある。従つて本発明者等は、
発熱体にクロロプレンラテツクスの塗布したものベース
にし、耐水性、耐洗剤性の向上を図るためトツプコート
の検討を行なつた結果、そのトツプコートの材料とし
て、水系ウレタンデイスパージヨン樹脂を塗布した。こ
の構造にすることにより、絶縁材料は複雑形状に積層化
でき、耐水性、耐洗剤性に優れた面状発熱成形品を得る
ことできる。
(実施例) 実施例−1 カーボンブラツクと金属短繊維を所定の割合でABS樹
脂に混練したコンパウンドを用い、テストピース(100m
m×100mm×2mm)を射出成形にて形成した。次にクロロ
プレンが乳化重合されたクロロプレンラテツクス(昭和
電工・デユポン株式会社、商標名:ネオプレンラテツク
ス400)をデイツプコート法(液中にテストピースを完
全に浸し、一定の引き上げ速度で引き上げる方法)によ
つて均一にテストピースの回りに、70℃で乾燥し、約30
μmの膜厚を形成した。
このクロロプレンラテツクスはブタジエンと塩素を主
原料とし、苛性ソーダを副原料として製造され、乳化重
合によつて作られるものである。
これに微粒子分散体である水系デイスパージヨンウレ
タン樹脂(大日本インキ株式会社、商標名:ハイドラン
HW−920)にアクリル系31%エマルジヨンの増粘剤(大
日本インキ株式会社、商標名:ボンコートHV)を添加し
て粘度を上げエアレススプレーにて吹きつけて、乾燥後
約200μmの膜厚を得た。
この増粘剤は増粘剤エマルジヨンを水系デイスパージ
ヨンウレタン樹脂に混合し、直ちにアンモニア水を添加
して増粘させ、アンモニア水の添加量はPH9程度となる
ようにする。この増粘剤は通常水系ウレタンデイスパー
ジヨン樹脂に対して0.5〜1部である。このとき増粘剤
を添加するときは撹拌しながら作業を行う。
このように得られた絶縁層を500Vの絶縁抵抗計で水中
浸漬した状態で測定した結果無限大オームを指示した。
次にこの絶縁層をつけたテストピースを曲げ破断後、引
張試験機で30mm引つ張つた。その破談したものを再度水
中に浸漬し、絶縁抵抗を測定した。その結果同じ無限大
オームが得られた。この水系デイスパージヨンウレタン
樹脂に増粘剤を入れることにより数10万cpsまで上げる
ことができるため約500μmまでワンコートできる。
実施例−2 実施例−1と同様クロロプレンラテツクスとの水系デ
イスパージヨンウレタン樹脂で約200μmの膜厚をつけ
た。この実施例−2は、増粘剤は用いなかつた。
その結果、この場合も同様絶縁性は良好であつた。
次に実施例−1と同様な方法で破断させたところ、ピ
ンホールらしきもので発生したがこれを引つ張つていく
と約10mmで絶縁膜破れが生じた。その破断したものを再
度水中に浸漬し、絶縁抵抗を測定した。その結果同じ無
限大オームが得られた。
比較例−1 実施例−1のクロロプレンラテツクスを用い重ね塗り
約200μmの膜厚を形成した。これを水に浸し絶縁抵抗
を測定したところ、初期は無限大オームであつたが、約
2時間後には針が動き出し、約3時間後には1Mオーム以
下となつた。
このようにクロロプレンラテツクスのみであると長時
間、水中に浸漬した場合、絶縁性が確保できない欠点が
ある。
この原因はラテツクスが水により膨潤し、再ラテツク
ス状となつたためである。
比較例−2 実施例−1で用いた水系デイスパージヨンウレタン樹
脂をクロロプレン樹脂被膜を形成していない発熱体に直
接吹きつけ約200μmの膜厚を形成したものは、曲げ破
断時に発熱体と一体となつてウレタン樹脂被膜が破れ
た。これはウレタン樹脂被膜と発熱体の密着力が良いた
めである。
〔発明の効果〕
以上のように本発明は、カーボンブラツクと金属短繊
維を熱可塑性樹脂にて充填した通電発熱材料を射出成形
法にて発熱体を形成し、該発熱体の表面にクロロプレン
樹脂被膜が形成され、次に該クロロプレン樹脂被膜の表
面にウレタン樹脂被膜が形成され、さらにこのウレタン
樹脂被膜の表面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の外
被層にて包被しているため、上記クロロプレン樹脂被膜
とウレタン樹脂被膜からなる絶縁層は発熱体の複雑形状
に対応できて積層化でき、耐水性、体洗剤性に優れた面
状発熱成形品となるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す暖房便座の平面図、第
2図は第1図のA−A線に沿う断面図、第3図は第1図
のB−B線に沿う断面図、第4図は第1図のC−C線に
沿う断面図、第5図は第4図B部の拡大断面図、第6図
は従来の暖房便座の断面図。 2……発熱体、4……絶縁層、4a……クロロプレン樹脂
被膜、4b……ウレタン樹脂被膜、5……外被層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A47K 13/30 A47K 13/30 A B32B 25/08 B32B 25/08 E03D 9/08 E03D 9/08 C (56)参考文献 特開 昭64−32826(JP,A) 特開 昭62−51184(JP,A) 特開 昭57−64021(JP,A) 特開 昭51−116439(JP,A) 特開 平1−300914(JP,A) 実開 昭63−103397(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 3/14 H05B 3/20 B29C 45/14 H01B 3/30 H01B 3/44 E03D 9/08 A47K 13/30 B32B 25/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンブラツクと金属短繊維を熱可塑性
    樹脂にて充填した通電発熱材料を射出成形法にて発熱体
    を形成し、該発熱体の表面にクロロプレン樹脂被膜が形
    成され、次に該クロロプレン樹脂被膜の表面にウレタン
    樹脂被膜が形成され、さらにこのウレタン樹脂被膜の表
    面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の外被層にて包被
    したことを特徴とする面状発熱成形品。
  2. 【請求項2】カーボンブラツクと金属短繊維を熱可塑性
    樹脂にて充填した通電発熱材料を射出成形にて発熱体を
    形成し、該発熱体の表面にクロロプレンラテツクス樹脂
    を塗布し、乾燥後、該クロロプレン樹脂被膜表面に水系
    ウレタンデスパージヨン樹脂を塗布し、乾燥後、該ウレ
    タン樹脂被膜表面に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に
    て包被することを特徴とする面状発熱成形品の製造方
    法。
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