JP2826346B2 - 耐放射線性多孔質高分子膜及び膜分離装置 - Google Patents

耐放射線性多孔質高分子膜及び膜分離装置

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JP2826346B2 JP1202808A JP20280889A JP2826346B2 JP 2826346 B2 JP2826346 B2 JP 2826346B2 JP 1202808 A JP1202808 A JP 1202808A JP 20280889 A JP20280889 A JP 20280889A JP 2826346 B2 JP2826346 B2 JP 2826346B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、液体、気体または固体の分離精製または濃
縮に用いる多孔質高分子膜を用いた膜分離装置及び膜分
離方法に関するものであり、特に放射線環境下で用いる
のに最適な膜分離装置及び方法に関する。
〔従来の技術〕
膜を用いた分離操作は、液体−固体、気体−固体、気
体−液体などの濾過装置、ガス分離装置や膜蒸留(サー
モパーベーパレーションとも言う)装置など工業的に広
く用いられている。これらの分離操作には、金属焼結体
やセラミックスの多孔質体が一部で用いられる他は、主
に高分子膜が用いられる。また、膜の形状としては平膜
型、スパイラル型または中空糸膜型など種々の形状のも
のが実用化されている。高分子膜の成分もポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリサルフォ
ン、ポリテトラフルオルエチレンなど種々の膜が実際に
用いられている。さらに特開昭58−8510号公報に記載さ
れたもののように、高分子膜上に金属あるいは金属化合
物の薄層を設けてガス流体の選択性を付与する複合膜も
考案されている。
膜蒸留装置は、気体は透過させるが、水溶液は透過さ
せない疎水性多孔質高分子膜の一面側に高温の原液を流
通させる原液部と、原液から発生し、上記高分子膜を透
過した蒸気を膜の他面側で冷却して凝縮させる凝縮部を
有するもので、高分子膜の一面側において原液を濃縮
し、他面側において凝縮液を得る装置である。気体は透
過させるが、水溶液は透過させない疎水性多孔質高分子
膜としては、例えば特開昭57−113801号公報に記載され
たもののように、ポリテトラフルオルエチレン(ポリ四
弗化エチレン)やポリプロピレンなどが用いられる。
膜蒸留装置の凝縮部の構造は、特公昭49−45461号公
報に記載されたもののように、多孔質高分子膜を通過し
た蒸気が拡散する空間(蒸気層)と、膜面と平行し鉛直
方向に延びる低温伝熱壁から構成されるものが一般的で
ある。この場合、多孔質高分子膜を通過した蒸気は、低
温伝熱壁面上で凝縮し流下する。また、特開昭60−6460
3号公報に記載されたもののように、凝縮部に蒸気空間
をもたず、気体は透過させるが、水溶液は透過させない
疎水性多孔質中空糸膜の中空部と外部に液体を存在せし
め、揮発成分の蒸気圧差を利用して蒸留操作を行う膜蒸
留装置も考案されている。
このように膜を用いた分離装置は、種々の分野に適用
されており、放射線照射環境下や放射性物質の分離、濃
縮にも適用されるようになってきた。原子力発電所の放
射性廃液からの固形物の濾過分離に中空糸膜フィルタが
用いられ、放射線廃液の濃縮に膜蒸留装置の適用が検討
されている。
しかしながら、一般に高分子膜は放射線照射により分
子鎖の切断が生じ、強度が低下する。特に、膜蒸留装置
に用いる、疎水性多孔質高分子膜の代表的素材であるポ
リテトラフルオルエチレン(PTFE)は、放射線照射によ
る分子の壊変の影響が大きい。このため、膜の交換頻度
が高くなるほか、膜にピンホールが形成されやすくな
り、分離精製物の純度低下をまねく恐れがある。とくに
放射性廃液の処理の場合には、装置性能に対し高い信頼
性が求められ、膜の強度低下は大きな課題であった。ま
た、膜面に金属またはセラミックスなどの層を持つ多孔
質高分子膜では、耐放射線は若干良くなるものの、使用
後の膜を焼却処理する際に金属酸化物などが放射性二次
廃棄物として残存し、放射線環境下での膜分離装置のメ
リットを失ってしまうという、大きな問題点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、放射線環境下で用いるまたは放射性物質の
分離、濃縮に用いる、膜を有する分離装置において上記
したような従来技術における問題点を解決し、前記装置
に用いられる多孔質高分子膜の寿命を長くすることを目
的とし、そのために、多孔質高分子膜への放射線の照射
が少なくなるような装置構造の膜分離装置及び方法を提
供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、原液を導入する原液部と、原液から分離し
た分離液を回収する分離液部と、前記原液部と分離液部
との間に多孔質高分子膜を有する膜分離装置において、
原液部内にあって原液からの放射線が多孔質高分子膜に
及ぼす影響を軽減する保護部材を多孔質高分子膜に剥離
容易に接合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配置
したことを特徴とする膜分離装置である。保護部材は例
えば放射線の照射を受けて架橋する高分子を含有する多
孔質膜であり、具体的には例えば、ポリエチレン、パラ
フィン、ポリスチレン、ナイロン、天然ゴム、グッタペ
ルカ、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル
酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルアリルエステル、ポリビニルメチルケトン及びポ
リジメチルシロキサンのうち少なくとも一つ以上を含有
するものである。
又本発明は、保護部材が、金属元素若しくはカーボン
を含有し気体若しくは液体を透過する層状体、又は、セ
ラミックスから成る多孔質体である。
さらに本発明は、保護部材が、その体積により原液部
内の原液の量を少なくするものである。
又本発明は、放射線を含む原液を導入して多孔質高分
子膜を透過させて原液から分離した分離液を回収する膜
分離方法において、原液からの放射線が多孔質高分子膜
に及ぼす影響を軽減する保護部材を多孔質高分子膜に剥
離容易に接合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配
置したことを特徴とする膜分離方法である。
多孔質膜の基材として用いられる疎水性高分子として
は、主として弗素系疎水性樹脂、具体的には例えばPTFE
(ポリテトラフルオルエチレン)を挙げることができ
る。
放射線の照射を受けて架橋する高分子としては、ポリ
エチレン、パラフィン、ナイロン、天然ゴム、グッタペ
ルカ、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル
酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルアリルエステル、ポリビニルメチルケトン及びポ
リジメチルシロキサンなどがある。
原液部内にあって原液からの放射線が多孔質高分子膜
に及ぼす影響を軽減する保護部材としては種々の構成の
ものが考えられるが、例えば金属の薄膜層、放射線の照
射を受けて架橋する多孔質高分子に金属微粒子を分散さ
せた層状体、金属多孔質板、セラミックス多孔質板、ま
たはカーボンを主成分とする多孔質板などが適用でき
る。上記した多孔質板に代え、同様の構成からなる網状
体も適用することができる。この場合用いる金属として
は、水素の例外を除いて原子番号が大きいほど放射線の
遮蔽効果が大きいので、鉄、バリウム、鉛などの重い元
素を含む密度の大きい物質がより有効である。
上記した原液からの放射線が多孔質高分子膜に及ぼす
影響を軽減する保護部材は、原液部内に配置されるが、
配置の状態は膜と離れた状態、膜に接する状態、あるい
は容易に剥離できる程度に膜に接合された状態等いずれ
でもよい。
原液部の原液中に装填する内挿物としては、具体的に
は例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチッ
ク、炭素繊維またはその他の高分子等が用いられ、その
形状も球状体、板状体、棒状体等特には限定されない。
本発明の膜分離装置に用いて好適な多孔質高分子膜の
例として、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)の片側
の表面にポリスチレンからなる多孔質層を形成した多孔
質高分子膜の、応力−ひずみ曲線に放射線の照射が及ぼ
す影響について実験した結果を第15図に示す。
PTFEは放射線の照射により壊変を起こし、非常に脆く
なるもので、104rad.以上の照射を受けると分子鎖の切
断が顕著になり、溶融粘度が低下する。さらに相当量の
照射を受ると粉末状に砕ける。
しかしながら、表面にポリスチレンからなる多孔質層
を形成したPTFEは、第15図から明らかなように、放射線
の照射を受けなかったもの(第15図のnon)よりも放射
線の照射を受けたものもののほうがヤング率が大きくな
り(すなわち応力−ひずみ曲線の傾きが大きい。)、強
度が増していることがわかる。
本発明の膜分離装置は膜蒸留に用いる外、固形物を含
有する液体から固形物を多孔質高分子膜で分離する膜分
離に適用することもできる。この場合には、放射線遮蔽
層を設けること、内挿物を装填することにより膜分離を
より精密にすることができるしかつ多孔質高分子膜の強
度劣化を防ぐことができる。
〔作 用〕
本発明の膜分離装置は、原液部内にあって原液からの
放射線が多孔質高分子膜に及ぼす影響を軽減する保護部
材を多孔質高分子膜に剥離容易に接合して、又は、多孔
質高分子膜とは別体に配置したから、該保護部材が、放
射線照射に弱い基材からなる多孔質高分子膜に対する放
射線の影響を軽減する。
放射線の遮蔽効果は、水素の例外を除いて原子番号の
大きいほど大きい。実用の面では、鉄、バリウム、鉛な
どの重い元素を含む密度の大きい物質が放射線遮蔽材と
して有効であるが、金属元素の層や金属酸化物から成る
層を放射線環境下で用いる膜分離用多孔質高分子膜面上
に形成すると、使用後の膜を焼却処理する際に金属酸化
物などが放射性二次廃棄物として残存してしまう。しか
し本発明の保護部材は、多孔質高分子膜に剥離容易に接
合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配置したか
ら、多孔質高分子膜だけを焼却処理することができ、二
次廃棄物が生ずることがない。
ポリフルオルエチレン、ポリイソブチレン、ポリメチ
ルアクリル酸などは、放射線の照射を受けると分子鎖の
切断が生じ壊変する高分子であるが、ポリスチレン、ポ
リエチレン、パラフィン、ナイロン、天然ゴム、グッタ
ペルカ、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリ
ル酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポ
リビニルアリルエステル、ポリビニルメチルケトン及び
ポリジメチルシロキサンなどは、放射線の照射を受けて
架橋しヤング率が大きくなる。したがって、これらの高
分子を形成させた場合、放射線遮蔽効果のほかに、放射
線の照射を受けた際に強度を増す作用を有する。
また本発明の膜分離装置においては、原液部内に保護
部材として、金属元素を含有し気体ないしは液体を透過
する層状体、またはセラミックスから成る多孔質体、ま
たは放射線の照射を受けて架橋する高分子を含む多孔質
膜を設置したから、該保護部材が、多孔質高分子膜への
放射線の照射を少なくするような放射線遮蔽作用を行
う。
この際、多孔質高分子膜は前記層状体、多孔質体、及
び多孔質膜と別体或いは剥離容易に接合してあるから使
用後の膜の焼却になんら障害をもたらす恐れはない。
さらに本発明の膜分離装置は原液部の原液中に、金属
板、セラミックス板、プラスチック板、金属ボール、セ
ラミックスボールなどの内挿物を装填したので、内挿物
自体が疎水性高分子膜に対して放射線遮蔽材として作用
するほか、原液部内の原液(被処理液)量が少なくな
り、疎水性多孔質高分子膜に照射される放射能量が少な
くなる。これは、疎水性多孔質高分子膜に照射される放
射能量は、放射性物質を含む被処理液量に比例するため
である。したがって膜分離装置の疎水性高分子膜を長持
ちさせる作用を有する。
前記した遮蔽物や内挿物は、多孔質高分子膜と異な
り、取り替える必要がないため、二次放射性廃棄物とは
ならない。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例について詳述する。
まず、第1図から第8図に本発明に用いて好適な多孔
質高分子膜の具体例を示す。
第1図に示すものは、気体は透過させるが水溶液は透
過させない疎水性多孔質高分子基材1の片面に、放射線
遮蔽層2を形成した多孔質高分子膜である。
放射線遮蔽層として、ポリエチレン、パラフィン、ポ
リスチレン、ナイロン、天然ゴム、グッタペルカ、ポリ
プロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、
ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアリ
ルエステル、ポリビニルメチルケトン及びポリジメチル
シロキサンなどの放射線の照射を受けて架橋する高分子
のうち一つ以上を含有する多孔質層を形成した場合、放
射線遮蔽層自体が放射線照射により強度を増し、多孔質
高分子膜の耐放射線性を高める。
第2図に示すものは、疎水性多孔質高分子基材1の両
面に放射線遮蔽層2を形成した多孔質高分子膜の断面で
ある。放射線遮蔽層としては、第1図のものと同様のも
のである。
第3図に示すものは、疎水性多孔質高分子基材1の片
面に放射線遮蔽層2を形成した多孔質高分子膜の他面
に、疎水性多孔質高分子基材1とは別体の金属の薄膜層
3を配置したものの断面図である。
第4図に示すものは、疎水性多孔質高分子基材1の片
面に、第1図に示したものと同様の放射線遮蔽層2を形
成した多孔質高分子膜の上に前記金属の薄膜層3を配置
したものの断面図である。
第5図は、5層からなる多孔質高分子膜の断面を示し
たものである。疎水性多孔質高分子基材1と同様の放射
線遮蔽層2を交互に積層した構造を有し、表面は放射線
遮蔽層2からある多孔質高分子膜である。
第6図に示すものは、疎水性多孔質高分子基材1の片
面に、放射線の照射を受けて架橋する高分子に放射線の
照射を受けて架橋する多孔質高分子に金属微粒子が分散
した層4を配置させた多孔質高分子膜の断面である。
第7図に示すものは、2層構造を有する中空糸膜の断
面であり、中空状の疎水性多孔質高分子基材1の外表面
に、第1図と同様の放射線遮蔽層2を形成したものであ
る。
第8図に示すものは、3層構造を有する中空糸膜の断
面である。中空状の疎水性多孔質高分子基材1の外表面
および内表面に、第1図と同様の放射線遮蔽層2を形成
したものである。
〈実施例1〉 本発明の膜分離装置の実施例を説明する。
第9図に示すものは、本発明の膜分離装置の流路図で
ある。
原液部である蒸発室5には、濃縮液タンク16から加熱
器15により加熱された被蒸発液が蒸発液入口11より供給
される。被蒸発液は、蒸発室から蒸発液出口12を通って
濃縮液タンクに戻る循環系を構成している。
分離液部である凝縮室6には、疎水性多孔質高分子膜
8を透過してきた蒸気が流入し、蒸気は、疎水性多孔質
高分子膜に並行する冷却伝熱面7の表面で凝縮、流下し
凝縮水出口10から凝縮水タンクに流入する。
冷却水は、冷却水入口13から膜蒸留装置本体内に入
り、冷却水出口14から出る。
蒸発室5において、被蒸発液と疎水性多孔質高分子膜
8との間には、放射線遮蔽効果を有し、気体または液体
を透過させる放射線遮蔽多孔質板9を配置する。放射線
遮蔽多孔質板としては、金属多孔質板、セラミックス多
孔質板、またはカーボンを主成分とする多孔質板を使用
する。
第10図は、第9図と同様の膜分離装置の本体部分を示
す構成図である。
蒸発室5において、疎水性多孔質高分子膜8の近傍
に、液体を透過する網状または多孔質状の高分子膜保護
板19を設置し、セラミックス(ガラスを含む)、金属、
または高分子からなる球状の内挿物20を充填する。該球
状の内挿物は、それ自体が放射線遮蔽物として作用する
ほか、蒸発室内の被蒸発液量を少なくし、疎水性多孔質
高分子膜へ照射する放射線量を低減する効果を有する。
第11図は、第9図のものと同様であるが、第10図に示
すものとは異なる仕様の膜分離装置の本体部分を示す構
成図である。
凝縮室6は冷却水で満たされ、疎水性多孔質高分子膜
8を透過してきた蒸気は冷却水により直接冷却されて凝
縮し、冷却水とともに冷却水および凝縮水出口22より流
出する。
蒸発室5には、第10図と同様に液体を透過する網状ま
たは多孔質状の高分子膜保護板19を設置し、セラミック
ス(ガラスを含む)、金属、炭素繊維または高分子から
なる板状の内挿物21を設置する。
第12図は、第10図に示すものと同様の蒸留部を複数個
有する膜分離装置の本体部分を示す構成図である。
冷却水室29、冷却伝熱面7、凝縮室6、疎水性多孔質
高分子膜8、凝縮室、冷却伝熱面と順次複数個が構成さ
れた装置であり、蒸発室には、第10図に示したものと同
様に高分子膜の近傍に液体を透過する網状または多孔質
状の高分子膜保護板19を設置し、セラミックス(ガラス
を含む)、金属、高分子などの球状の内挿物20を充填す
る。
〈実施例2〉 第11図に示したものと同様に、凝縮室に蒸気空間およ
び冷却伝熱面を持たず、疎水性多孔質高分子膜を透過し
てきた蒸気と冷却水とが直接接触し凝縮する方式の膜分
離装置である。
このような方式の膜分離装置において使用する疎水性
多孔質高分子膜としては、中空糸膜が、接触面積が大き
い点で効率的である。
第13図は、本発明による中空糸膜モジュールの構成図
を示すものである。
疎水性多孔質高分子からなる中空糸膜26は、両端をモ
ジュールの上下で固定され、中空部を冷却水が流れる。
モジュールの側面の被蒸発液入口11から蒸発液がモジ
ュール内に流入し、蒸発液出口12から流出する。
蒸気は中空糸膜の外表面から中空部へ透過し、中空部
を流れる冷却水と直接接触し凝縮する。
中空糸膜外表面の近傍には、第10図に示したものと同
様に液体を透過する網状または多孔質状の高分子膜保護
板19を設置し、モジュール内にはセラミックス(ガラス
を含む)、金属、高分子などの球状の内挿物20を充填す
る。
中空糸膜を用いる本実施例における膜分離の他の方式
としては、中空部に被蒸発液を流し、蒸気を中空部から
外表面へ透過させる方法がある。この場合、蒸発室とな
る中空糸膜の中空部に内挿物として、セラミックス(ガ
ラスを含む)、金属、高分子などの球体を充填するほ
か、第14図に示すように中空糸膜26の中空部へ、金属、
高分子、炭素繊維またはセラミックスからなる棒状の内
挿物27を設置することができる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明の膜分離装置は、原液部内
にあって原液からの放射線が多孔質高分子膜に及ぼす影
響を軽減する保護部材を多孔質高分子膜に剥離容易に接
合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配置したか
ら、該保護部材が、放射線照射に弱い基材からなる多孔
質高分子膜に対する放射線の影響を軽減することができ
る。
また、保護部材が、放射線の照射を受けて架橋する高
分子を含有する多孔質膜、例えば、ポリエチレン、パラ
フィン、ポリスチレン、ナイロン、天然ゴム、グッタペ
ルカ、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル
酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルアリルエステル、ポリビニルメチルケトン及びポ
リジメチルシロキサンのうち少なくとも一つ以上を含有
するものであるから、該保護部材が、放射線照射により
強度が低下するPTFEなどの疎水性多孔質高分子膜に対
し、放射線遮蔽層を形成することになり、放射線照射環
境下での疎水性多孔質高分子膜の使用を有利なものと
し、また放射性液体の処理に用いる多孔質高分子膜の信
頼性を上げるとともに該膜の寿命を延ばす効果がある。
また、保護部材は多孔質高分子膜とは別体もしくは剥
離容易に接合されているから、使用後の多孔質高分子膜
の焼却処理の際にも二次廃棄物を出す等、何らの支障も
もたらすことなく、つねに安全な膜分離を容易に行うこ
とができる効果を有している。
そして原液中に内挿物を装填することにより、内挿物
自体を放射線遮蔽物として作用させるほか、原液部内の
原液量を減らすことにより、放射性液体を処理するにあ
たり、疎水性多孔質高分子膜へ照射される放射線量を低
減し、膜寿命を延ばすという効果を有することができ
る。
さらに放射性廃液を膜分離装置もしくは膜分離装置で
処理する場合、処理に使用した高分子膜も放射性廃棄物
になるが、本発明の耐放射性多孔質高分子膜のようにす
ることにより使用後は焼却処分をすることができ、二次
廃棄物を出すことがなく、また本発明の膜分離装置で
は、膜の寿命が延びることにより膜の交換頻度が少なく
なり、放射性廃棄物量を著しく低減することができると
いう大きな効果を得ることができるとともに、作業者の
放射線被爆量をも大幅に低減することができ、安全に作
業を行うことができるという効果をも併せもつものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第8図は多孔質高分子膜の断面図、第9図は膜
分離装置の流路図、第10図〜第12図は膜分離装置の構成
図、第13図は中空糸膜モジュール型膜分離装置の構成
図、第14図は中空糸膜の断面図、第15図は表面にポリス
チレン多孔質層を形成したPTFEの応力−ひずみ曲線に及
ぼす放射線照射の影響を示す図である。 1:疎水性多孔質高分子基材, 2:放射線遮蔽層, 3:金属の薄膜層, 4:放射線の照射を受けて架橋する高分子に金属微粒子が
分散した層, 5:蒸発室(原液部),6:凝縮室(分離液部), 7:冷却伝熱面, 8:疎水性多孔質高分子膜, 9:放射線遮蔽多孔質板, 11:蒸発液入口,12:蒸発液出口, 13:冷却水入口,14:冷却水出口, 15:加熱器, 16:濃縮液タンク, 17;ポンプ, 18;凝縮水タンク, 19:高分子膜保護板, 20:球状内挿物,21:板状内挿物, 22:冷却水および凝縮水出口, 23:凝縮水流路, 24:被蒸発液流路,25:冷却水流路, 26:中空糸膜, 27:棒状内挿物, 28:原液入口, 29:冷却水室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G21F 9/06 521 G21F 9/06 521M (56)参考文献 特開 昭61−164195(JP,A) 特開 昭63−4804(JP,A) 特開 平1−224006(JP,A) 特開 平3−13896(JP,A) 特開 平2−120698(JP,A) 特開 昭61−286798(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/44 G21F 9/06 G21F 9/02 B01D 53/22 B01D 61/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原液を導入する原液部と、原液から分離し
    た分離液を回収する分離液部と、前記原液部と分離液部
    との間に多孔質高分子膜を有する膜分離装置において、
    原液部内にあって原液からの放射線が多孔質高分子膜に
    及ぼす影響を軽減する保護部材を多孔質高分子膜に剥離
    容易に接合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配置
    したことを特徴とする膜分離装置。
  2. 【請求項2】保護部材が、放射線の照射を受けて架橋す
    る高分子を含有する多孔質膜であることを特徴とする請
    求項1記載の膜分離装置。
  3. 【請求項3】放射線の照射を受けて架橋する高分子が、
    ポリエチレン、パラフィン、ポリスチレン、ナイロン、
    天然ゴム、グッタペルカ、ポリプロピレン、ポリアクリ
    ル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリルアミド、ポ
    リ塩化ビニル、ポリビニルアリルエステル、ポリビニル
    メチルケトン及びポリジメチルシロキサンのうち少なく
    とも一つ以上を含有するものであることを特徴とする請
    求項2記載の膜分離装置。
  4. 【請求項4】保護部材が、金属元素若しくはカーボンを
    含有し気体若しくは液体を透過する層状体、又は、セラ
    ミックスから成る多孔質体であることを特徴とする請求
    項1記載の膜分離装置。
  5. 【請求項5】保護部材が、その体積により原液部内の原
    液の量を少なくするものであることを特徴とする請求項
    1乃至4いずれかに記載の膜分離装置。
  6. 【請求項6】放射線を含む原液を導入して多孔質高分子
    膜を透過させて原液から分離した分離液を回収する膜分
    離方法において、原液からの放射線が多孔質高分子膜に
    及ぼす影響を軽減する保護部材を多孔質高分子膜に剥離
    容易に接合して、又は、多孔質高分子膜とは別体に配置
    したことを特徴とする膜分離方法。
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