JP2825779B2 - ゴム補強用短繊維の製造方法 - Google Patents
ゴム補強用短繊維の製造方法Info
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Description
造方法の改良に関し、特に均一な長さの短繊維を得る対
策に関するものである。
に、製品主要部を占める製品本体がゴムで構成されてい
るゴム製品には、上記製品本体の補強を目的として短繊
維が混入されている。この短繊維を製造する方法とし
て、トウ状繊維物(10万〜100万デニール)を接着
熱処理した後、所定長さにカットして短繊維を得る方法
(特開平4−146221号公報参照)や、ロープ状
(1000〜10000デニール)のものを接着熱処理
した後、所定長さにカットして短繊維を得る方法、さら
には、紡績糸や混紡糸を経糸としてスダレ織物を形成
し、このスダレ織物を接着熱処理した後、所定長さにカ
ットして短繊維を得る方法(特開平3−287827号
公報参照)等がある。
の方法によって得られる短繊維は、長さに大きなバラツ
キがあり、ゴムに混入した場合に分散性が悪くなるとと
もに、このゴムで伝動ベルトのベルト本体を構成した場
合、短繊維とゴムとの界面から亀裂が入ってベルトが早
期寿命に至るおそれがある。
あるため接着剤が含浸しにくく、生産性が悪くなってコ
ストアップになる嫌いがある。
成するフィラメントが紡績糸や混紡糸であることから、
フィラメントには上撚りおよび下撚りがかかっており、
しかも強撚されているため、接着剤が内部にまで均一に
含浸せず、カット後に処理されていないフィラメントが
多量に存在するという不具合が生ずる。また、このスダ
レ方式では、経糸に打ち込まれた緯糸の向きが経糸のカ
ット方向と同じであるため、緯糸がカット時に経糸のよ
うには短くカットされずに長い状態で残り、ゴム中に混
入した際にこの長い緯糸が異物となって亀裂等が生ずる
ことがある。したがって、この緯糸の打ち込み本数はで
きるだけ少ない方が好ましい。
率が大き過ぎる場合には、短繊維をゴム中に混入して加
硫した際にゴムと短繊維との界面に歪が生じ、耐摩耗性
が低下することになる。逆に、短繊維を構成する糸の乾
熱時収縮率が小さ過ぎる場合には、接着処理時のテンシ
ョンがかなりダウンし、加工性が悪くなる。
ぎる場合には、短繊維をゴム中に混入した際に短繊維が
ばらけにくく分散性が悪くなる一方、少な過ぎる場合に
は、短繊維とゴムとが一体化せず耐摩耗性が低下する。
あり、その目的とするところは、上記の3番目のスダレ
方式を採用し、かつスダレ織物の経糸を構成するフィラ
メントの素材およびその撚り方、経糸の乾熱時収縮率、
さらには緯糸の密度や接着剤の目付量等を特定すること
により、経糸を所定長さに均一にカットするとともに異
物の発生をなくし、ゴムに対する分散性および伝動ベル
トに使用した場合の亀裂を防止せんとすることにある。
さらには、経糸に対する接着剤の含浸性を良くし、含浸
ムラをなくすとともに生産性を高めんとすることにあ
る。また、短繊維の乾熱時収縮率や接着剤の目付量に起
因するゴムの耐摩耗性を改善せんとすることにもある。
め、本発明は、ゴムに補強のために混入される短繊維の
製造方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
ィラメントヤーンを撚り回数4〜9回/10cmの甘撚り
でかつ片撚りして経糸を形成し、この経糸を所定幅に複
数本揃えた状態で緯糸を長手方向に密度1〜3本/5cm
で打ち込んでスダレ織物を形成する。その後、このスダ
レ織物を接着剤で目付量2〜5%になるようにかつ乾熱
時収縮率1〜4%を有するように接着熱処理した後、所
定長さにカットして短繊維を得ることを特徴とする。
ダレ織物を構成する経糸がマルチフィラメントヤーンで
あることから、該マルチフィラメントヤーンは切れ目な
く1本に連続しており、したがって、カットした際に短
い繊維を集束した紡績糸や混紡糸等のようには長さが不
揃いにならずに均一な長さにカットされ、ゴム中に万遍
なく分散する。しかも上記経糸は適正な撚り回数の甘撚
りでかつ片撚りされていることから、接着剤が含浸し易
くなり、含浸ムラがなくなって生産性が高まる。
この緯糸がカット時に長い状態で異物として残るのが少
なくなり、ゴム中に混入しても亀裂が発生しない。
熱時収縮率により、短繊維をゴム中に混入して加硫した
際にゴムと短繊維との界面に歪が生じず耐摩耗性が良く
なるとともに、接着処理時のテンションを適正に確保し
て加工性が良くなる。
理されることから、カットされた短繊維がゴム中にばら
け易くなって分散性が良くなるとともに、短繊維とゴム
とが一体化して耐摩耗性が良くなる。
維製造方法を図面に基づいて説明する。
成する。このスダレ織物1は、複数本の経糸2,2,…
を所定幅に揃えた状態で緯糸3,3,…を長手方向に打
ち込んで形成されている。
脂肪族ナイロン、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維
やカーボンファイバー等の無機繊維からなるマルチフィ
ラメントヤーンで構成され、このマルチフィラメントヤ
ーンでもって例えば840de(デニール)の2本撚り
糸のように撚糸加工し易い構造にする。
ヤーンを甘撚りでかつ片撚りして形成されており、上記
甘撚りの撚り回数としては4〜9回/10cmである。こ
のように甘撚りの撚り回数を4〜9回/10cmに設定し
たのは、撚り回数が4回/10cm未満であると、スダレ
製織時にトラブルが生じ易くなるからである。一方、撚
り回数が9回/10cmを超えると、製織性は良くなる
が、接着処理時に経糸2の表面のみ接着剤が付着して内
部にまで含浸し難くなるとともに、所定長さにカットし
てもばらけ難くてゴム中での分散性が悪くなり、この固
まったものが異物として作用しゴムの物性が低下するか
らである。
処理加工が可能な最少の密度(打込み本数)でよく、密
度1〜3本/5cmで打ち込むことが好ましい。このよう
に緯糸3の密度を1〜3本/5cmに設定したのは、1本
/5cm未満ではスダレの製織が難しく、しかも接着処理
時に目割れが生じてトラブルが多発する一方、3本/5
cmを超えるとカットにより得られる短繊維に異物として
混入される量が多くなり、不適当である。つまり、緯糸
3の向きが経糸2のカット方向と同じ方向になっている
ので、緯糸3はカット時に経糸2のようには短くカット
されずに長い状態で残り、これが異物として作用して亀
裂等を誘発するからである。
1を接着処理する。この際、接着剤の目付量を2〜5%
にする。このように接着剤の目付量を2〜5%に設定し
たのは、目付量が2%未満ではカット時のマルチフィラ
メントヤーンの束の固定が不十分となり、カッターが位
置ズレして長さにバラツキが生じたり、ゴム中への分散
も悪くなって固まることが多く、さらには、接着力不足
で補強効果が少なくなってベルト走行中の亀裂促進にも
なるからである。一方、目付量が5%を超えるとマルチ
フィラメントヤーン同士が固まり過ぎてばらけ難くゴム
中での分散性が悪くなるからである。
ルシン−ホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの混合
液にスダレ織物1を浸漬して行う,いわゆるディップ処
理である。
ンの仕込みモル比が1.0/1.0〜3.0の範囲で塩
基性触媒下で反応させ、この反応物であるレゾルシン−
ホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの重量比が10
〜30/100となるように両者を混合させるのが通常
である。
着ゴムと同類のもの、例えば天然ゴム、スチレン・ブタ
ジエン共重合体ゴムに対してはビニルピリジン・スチレ
ン・ブタジエン3元共重合体ゴムラテックス、スチレン
・ブタジエン共重合体ゴムラテックス、天然ゴムラテッ
クスを、また、クロロプレンゴムに対しては上記以外に
クロロプレンゴムラテックスを用いることもあるが、こ
れらに限定されるものでない。
4%になるように熱処理する。このように経糸2の乾熱
時収縮率を1〜4%に設定したのは、1%未満では接着
処理時のテンションをかなりダウンさせる必要があって
トラブルが発生し易くなる一方、4%を超えるとゴム中
に混入した際にゴムと短繊維との界面に歪が生じ、耐摩
耗性が低下するからである。
済のスダレ織物1を筒状に丸め、図3に示すように、こ
の丸めたスダレ織物1をカッターで所定長さにカット
し、カットファイバーとしての短繊維4を得る。
ためにゴムに混入され、このゴムで成形されたゴム製品
を補強するようにしている。
各種のスダレ織物1の構成、これらのスダレ織物1の物
性および加工性、スダレ織物1から得られた短繊維4を
混入したゴムで成形したベルトの走行寿命の評価を示
す。なお、比較例1で用いたスダレ織物1の経糸2はマ
ルチフィラメントヤーンではなく紡績糸である。
は、図4に示すようなVリブドベルトAであり、該Vリ
ブドベルトAは、ポリエステル繊維のロープからなる心
線5,5,…が埋設された接着ゴム層6を備えてなり、
該接着ゴム層6の上側にはゴム付綿帆布7が一体に被着
されている。また、上記接着ゴム層6の下側には、ベル
ト長手方向に延びる3個のリブ8a,8a,8aを有す
る圧縮ゴム層8が一体に形成されている。このVリブド
ベルトAは、RMA規格による長さ975mmのK型3リ
ブドベルトであり、リブピッチ3.56mm、リブ高さ
2.9mm、ベルト厚さ5.3mm、リブ角度40°であ
る。VリブドベルトAの圧縮ゴム層8の配合を表2に示
す。
屈曲疲労性の試験要領は次のようにして行った。つま
り、図5に示すように、VリブドベルトAを直径120
mmの駆動プーリ9、同じく直径120mmの従動プーリ1
0、直径55mmのアイドラープーリ11および直径70
mmの背面アイドラープーリ12に掛け渡し、ベルトの初
期張力を85kgf として上記駆動プーリ9を回転数49
00rpm で回転させ、従動プーリ10に負荷16PSを与
えて雰囲気温度85℃でVリブドベルトAを走行させ、
リブ8aにクラックが発生するまでの時間を測定した。
また、耐摩耗性の試験要領は上記の耐屈曲疲労性の試験
におけるベルト側面の状態から判断した。
例はスダレ織物1の物性および加工性共に優れていた。
また、このスダレ織物1からなる短繊維4のゴム中での
分散性が良く、このゴムで成形したVリブドベルトAは
耐摩耗性および耐屈曲疲労性が共に優れていた。
る経糸2が紡績糸で構成されていることから、カットさ
れて形成された短繊維4の長さが不揃いで、しかも下撚
りおよび上撚りがかかっているためマルチフィラメント
ヤーンで構成した場合に比べて撚りが強く、したがっ
て、ゴム中に対する分散性が悪かった。このように分散
性が悪いのは、経糸2の撚り回数が36回/10cmと多
いことにも起因しているものである。したがって、この
短繊維4を混入したゴムで成形したVリブドベルトAは
本発明例に比べて耐摩耗性および耐屈曲疲労性が共に悪
かった。また、比較例4も経糸2の撚り回数が10回/
10cmとこれに次いで多いことから、その傾向がある。
0.5本/5cmと少なく、スダレ織物1の製織加工性が
悪かった。逆に、比較例3は緯糸3の打ち込み本数が1
0本/5cmと多く、スダレの製織加工性は良かったが、
スダレカット時に短くカットされずに長い状態で残って
いる緯糸3が多く、VリブドベルトAに亀裂が発生する
おそれがある。
大きく、VリブドベルトAの耐摩耗性が悪かった。この
ことは、乾熱時収縮率の大きい経糸2からなる短繊維4
を混入したゴムでVリブドベルトAの圧縮ゴム層8を構
成すると、ベルト走行中における発熱および雰囲気温度
(70〜120℃)で短繊維が収縮し、ベルト側面への
短繊維4の露出度が急減してVリブドベルトAの摩耗が
激しくなり、短寿命となるからである。また、ゴムと短
繊維との界面にズレが発生し、ベルト走行中の亀裂開始
点となる可能性があるからである。逆に、比較例6は経
糸2の乾熱時収縮率が0.5%と小さく、スダレ織物1
の接着処理加工性が悪かった。
が8%と多く、また、比較例1もこれに次いで7%と多
いことから、経糸2がばらけ難く、これをカットした短
繊維4はゴム中において分散性が悪かった。したがっ
て、VリブドベルトAの耐摩耗性および耐屈曲疲労性も
芳しくなかった。一方、比較例8は接着剤の目付量が0
%でカット時のカッターズレにより短繊維4の長さのバ
ラツキが大きく、また、短繊維4がゴム中で固まりとな
って分散性が悪かった。
経糸2が不安定となってスダレカットの生産性が悪く、
しかもカット後の長さのばらつきが大きかった。
スダレ織物を切れ目のないマルチフィラメントヤーンか
らなる経糸で構成したので、均一な長さにカットされた
短繊維を得ることができ、かつ短繊維をゴム中に万遍な
く分散させることができる。また、上記マルチフィラメ
ントヤーンを4〜9回/10cmの甘撚りでかつ片撚りに
したので、接着剤の含浸性を良くして生産性を高めるこ
とができる。さらに、経糸の乾熱時収縮率を1〜4%に
したので、ゴムと短繊維との界面に歪が生じないように
することができ、良好な耐摩耗性を得ることができると
ともに、接着処理時のテンションを適正に確保して加工
性を良くすることができる。また、緯糸の密度を1〜3
本/5cmにしたので、緯糸がカット時に長い状態で異物
として残るのを少なくすることができ、ゴムの亀裂発生
を防止することができる。さらにまた、スダレ織物に対
する接着剤の目付量を2〜5%にしたので、短繊維のゴ
ム中での分散性を良くすることができるとともに、短繊
維とゴムとの一体化によって耐摩耗性を良くすることが
できる。
ある。
を示す製造工程図である。
る。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】 ゴムに補強のために混入される短繊維の
製造方法であって、 マルチフィラメントヤーンを撚り回数4〜9回/10cm
の甘撚りでかつ片撚りして経糸を形成し、この経糸を所
定幅に複数本揃えた状態で緯糸を長手方向に密度1〜3
本/5cmで打ち込んでスダレ織物を形成し、このスダレ
織物を接着剤で目付量2〜5%になるようにかつ経糸が
乾熱時収縮率1〜4%を有するように接着熱処理した
後、所定長さにカットして短繊維を得ることを特徴とす
るゴム補強用短繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7139513A JP2825779B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-06-06 | ゴム補強用短繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12383394 | 1994-06-06 | ||
JP6-123833 | 1994-06-06 | ||
JP7139513A JP2825779B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-06-06 | ゴム補強用短繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0853552A JPH0853552A (ja) | 1996-02-27 |
JP2825779B2 true JP2825779B2 (ja) | 1998-11-18 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7139513A Expired - Fee Related JP2825779B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-06-06 | ゴム補強用短繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2825779B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101900166B1 (ko) | 2014-04-17 | 2018-09-18 | 아사히 가세이 가부시키가이샤 | 고무 보강용 단섬유, 상기 단섬유 함유 고무 조성물 및 동력 전동 벨트 |
JP2018145533A (ja) * | 2017-03-01 | 2018-09-20 | 帝人株式会社 | ゴムまたは樹脂補強用短繊維の製造方法 |
-
1995
- 1995-06-06 JP JP7139513A patent/JP2825779B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0853552A (ja) | 1996-02-27 |
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