JP2824791B2 - 広帯域ループアンテナ - Google Patents

広帯域ループアンテナ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は広帯域ループアンテナに係り、特に自動車用
窓ガラスアンテナとして用いて好適なものである。
〔発明の概要〕
絶縁面上に設けた多重ループアンテナの導体間を短絡
し、寄生閉ループを高次共振によるインピーダンスの劣
化が使用帯域内に生じないようにした広帯域ループアン
テナである。
〔従来の技術〕
自動車の窓ガラスにアンテナ導体を付設して車載のAM
ラジオ受信機、FMラジオ受信機及びテレビ受像機等に受
信信号を供給するようにした自動車用ガラスアンテナが
知られている(例えば実公昭50−33951号、特開昭52−4
4541号等)。このようなアンテナ導体は、面積が大きい
リアー窓ガラスに設けられることが多い。しかし、リア
ー窓ガラスの中央部分は運転者が自動車の後方を視認す
るのに使用されるので、そこにアンテナ導体を付設する
のは好ましくない。また、一般に、上記中央部分には窓
ガラス面上に発生する曇りを除去するための加熱用導体
が設けられていることが多く、アンテナ導体を付設する
ことができない。このため、リアー窓ガラスにアンテナ
導体を設ける場合はその上部または下部の狭い位置に設
けていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
したがって、アンテナ導体を複雑に引き回して広帯域
化したり、あるいは八木−宇田アンテナのように無給電
素子アレイを設けて広帯域化したりすることが困難であ
る。このため従来のガラスアンテナは、例えばFM放送帯
の全域にわたって良好な周波数特性を得ることができな
かった。
ところで、簡単な構成である割には比較的帯域が広い
アンテナとしてループアンテナが知られている。しか
し、ループアンテナの場合も共振周波数は1つなので単
一ループでは所要の帯域特性を満足させることはできな
い。そこで、所要帯域内において異なる共振周波数を有
する複数のループアンテナを並列に接続し、広帯域化す
ることが考えられる。
ところが実際には、複数のループアンテナを並列に接
続すると、所要の帯域内にインピーダンスの劣化点が生
じ、理論的に予測した程の広帯域性能が得られなかっ
た。
本発明は上述の問題点にかんがみ、多重ループアンテ
ナのインピーダンス劣化を補償して広帯域の周波数特性
が得られるようにすることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の広帯域ループアンテナは、絶縁面(窓ガラス
1)上に多重ループを成すように設けられていると共
に、共通給電点4に並列接続された複数のループ状アン
テナ導体2、3と、各ループ状アンテナ導体2、3を上
記並列接続以外の位置において短絡結合する短絡線10、
11とを具備している。
〔作用〕
共振周波数が異なる複数のループアンテナ2、3をガ
ラス面上に並列に設け、周波数特性を広帯域化する。ま
た、隣接するループアンテナ2、3同志を短絡線10、11
によって短絡し、隣接するループアンテナ2、3間に形
成される閉ループ7を分断して、その高次共振点を使用
帯域外に移動させる。これによりインピーダンス特性を
劣化させる共振電流が使用帯域内において発生するのが
阻止される。
〔実施例〕
第1図は本発明の一実施例を示す自動車の後方窓ガラ
スの正面図である。この後方窓ガラス1の内面上にアン
テナ導体が付設され、FM放送受信用のガラスアンテナと
して用いられる。実施例では、後方窓ガラス1の縁部に
ほぼ沿って印刷配線を行ない、後方窓ガラス1と相似形
状のループアンテナ2、3を二重に付設している。すな
わち、実施例の後方窓ガラス1は横長の長方形に近い形
であり、外側ループアンテナ2及び内側ループアンテナ
3は両方共これに相似した長方形ループとなっている。
外側ループアンテナ2及び内側ループアンテナ3で誘
起される受信電力を外部に取り出すための給電点4を後
方窓ガラス1面上に設けている。なお、日本国内におけ
るFM放送波は水平偏波なので、給電点4を長辺の中央に
設けて受信電力の取り出し効率を上げている。
なお、このようにガラス面上に印刷配線してガラスア
ンテナを構成した場合、アンテナ導体を流れる高周波電
流の伝播速度はガラスの誘電率の影響で低下する。した
がって、外側ループアンテナ2及び内側ループアンテナ
3を流れる高周波電流の波長は、真空中に置かれた導体
を流れる同一周波数の高周波電流の波長に比べて短くな
っている。したがって、ガラスアンテナを設計する場合
には短縮率を考慮する必要があるが、説明を容易にする
ために真空中の導体の長さに換算した数種で実施例を説
明する。
第1図において、外側ループアンテナ2の各部の長さ
は、長辺a=1,250mm、短辺b=625mmとなっている。ま
た、内側ループアンテナ3の各部の長さは、長辺c=1,
130mm、短辺d=505mmに形成されている。各アンテナ
2、3は給電点4の両側、すなわち、各ループアンテナ
2、3の両端部において短絡されていて、給電点4にお
いて共通の給電線8に接続されている。
外側ループアンテナ2と内側ループアンテナ3とをこ
のように短絡した場合、第2図の閉ループ説明図に示す
ように、外側ループアンテナ2による主ループ5及び内
側ループアンテナ3による副ループ6の他に、これら2
つのループアンテナ2、3の間に第3の閉ループ7が寄
生的に生じていることが分った。この第3の閉ループ7
のループ長は、主ループ5及び副ループ6の合計にほぼ
等しく、約7140mmである。したがって、この第3ループ
7が第2高調波アンテナとして動作した場合の計算上の
共振周波数は84MHzとなり、この高次共振により主ルー
プ5の共振周波数と副ループ6の共振周波数との間にイ
ンピーダンス特性の劣化点が生じる。
このような不都合を防止するために、実施例では第1
図に示すように、短絡線10、11により外側ループアンテ
ナ2と内側ループアンテナ3との間を短絡し、第3のル
ープ7のループ長を短くしている。これにより、第3の
ループ7の共振周波数が高くなり、その第2高調波が受
信帯域外に移動する。したがって、受信帯域内において
第3ループ7の第2高調波共振によるインピーダンス特
性の劣化がなくなり、ガラスアンテナの周波数特性を良
好に広帯域化することができる。
実験の結果、給電点4から短絡点までの距離eを312.
5mmにすることにより、良好な広帯域化が実現された。
このように構成した短絡二重矩形ループアンテナを、特
性インピーダンスが200(Ω)の給電線8に接続して入
力反射の周波数変化を測定した結果を第3図に示す。第
3図において、実線で示す特性曲線Aは第1図に示した
実施例のガラスアンテナの特性を示し、破線で示した特
性曲線Bは第2図のアンテナパターンで構成したガラス
アンテナの特性を示している。
第3図の曲線Bにおける谷部f5、f6は、第2図の主ル
ープ5及び副ループ6の共振点であり、山部f7は第3ル
ープ7の第2高調波共振によって生じたインピーダンス
の劣化部分である。この山部f7では、反射が異常に大き
く、電圧定在波比VSWRが2以上となってアンテナとして
使用することができない。
第3図の曲線Aにおける谷部f5′、f6′は、曲線Bの
f5、f6に対応する主ループ5及び副ループ6の共振点で
ある。短絡線10、11を設けたために、第3ループ7の第
2高調波共振点が帯域外に移動した結果、谷部f5′、
f6′の間のVSWRは2以下となっている。
従って第1図の構成の短絡二重ループアンテナによる
と、73〜100MHz以上の帯域でVSWRが2以下の広帯域特性
が得られた。比帯域の実測値は30%であり、これは単一
ループアンテナの比帯域5.3%の約6倍である。従って
実施例の短絡二重ループアンテナは、FM放送帯の受信ア
ンテナとして十分な性能を有している。
次に、本発明をUHF帯TV放送受信用アンテナに適用し
た例を第4図のアンテナパターン図に示す。UHF帯では
波長が短いのでアンテナを小型に構成することができ、
設置に必要な面積が小さくて済む。第4図の例はサイド
窓ガラス上に設けるようにした例を示し、短絡二重三角
ループアンテナとして構成している。この場合、外側ル
ープアンテナ15は一辺の長さL1=250mmの正三角形であ
り、内側ループアンテナ16は一辺の長さL2=166mmの正
三角形である。単独では、外側のループアンテナ15は40
0MHzの電波に共振し、内側のループアンテナ16は600MHz
の電波に共振する。
各ループアンテナ15、16に共通の給電点4を、第4図
において下側に位置する頂点に設けている。また、給電
点4と対向する辺の両端と、給電点4の両側の辺の中央
部の合計4個所において、外側ループアンテナ15と内側
ループアンテナ16とを短絡線17〜20により短絡してい
る。
このように構成した短絡二重三角ループアンテナの入
力入射は、第5図に示すようになっていて、470MHz〜77
0MHzのUHF帯のテレビ放送帯域の略全域にわたって良好
な性能が得られた。
上述の実施例では矩形及び正三角形ループアンテナに
ついて説明したが、例えば円形などのような他のループ
形状にすることもできる。
また、第6図のアンテナパターン図に示すように、外
側ループアンテナ22及び内側ループアンテナ23を、1/10
0波長よりも狭い一定の間隔の2本の線で構成してもよ
い。この場合、外側及び内側の各ループアンテナ22、23
の各内側導体を無給電閉ループとし、各外側導体の端部
を給電線8に並列接続する。短絡線10、11は各アンテナ
22、23の外側導体どおしを結合する。このようにする
と、2本の線の間隔を選択することにより、単一線でル
ープを構成したものと異なる入力インピーダンス値が得
られ、例えば50Ωの給電線8を用いても良好な帯域特性
が得られる。
なお、給電点はアンテナを使用する状態に合わせて種
々選択すればよい。例えば、長方形ループアンテナの場
合は、第7図(a)〜(c)の長方形ループアンテナに
おける給電点説明図に示すように、給電位置は第7図
(a)の短辺給電、第7図(b)の頂点給電、第7図
(c)の長辺給電の3種類あるので、この中から最適な
給電位置を選択すればよい。なお、他の形状のループア
ンテナの場合についても、入力インピーダンスの周波数
特性が最適となるように給電点の位置を決定することが
できる。
〔発明の効果〕
本発明は上述した如く、多重ループアンテナに形成さ
れる寄生ループを分断する短絡線を設けたので、寄生ル
ープの高次共振点を使用帯域外に移すことができる。し
たがって、上記高次共振によって使用帯域内のアンテナ
インピーダンスが劣化するのを軽減して広帯域の多重ル
ープアンテナが得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す自動車窓ガラスの正面
図、第2図は隣り合う2つのループアンテナによって形
成される種々の閉ループを説明するためのアンテナパタ
ーン図、第3図は第1図のガラスアンテナのFM放送帯に
おける反射特性図、第4図は第1図と異なる実施例を示
すアンテナパターン図、第5図は第4図のアンテナパタ
ーンに形成されたガラスアンテナのUHF帯のテレビ放送
帯域における反射特性図、第6図は一定間隔の2本線を
用いて1つのループアンテナを構成した例を示すアンテ
ナパターン図、第7図は給電点説明図である。 なお図面に用いた符号において、 1……後方窓ガラス 2……外側ループアンテナ 3……内側ループアンテナ 4……給電点 5……主ループ 6……副ループ 7……第3のループ 8……給電線 10……短絡線 11……短絡線 である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁面上に多重ループを成すように設けら
    れていると共に、共通給電点に並列接続されている複数
    のループ状アンテナ導体と、 各ループ状アンテナ導体を上記並列接続以外の位置にお
    いて短絡結合する短絡線とを具備する広帯域ループアン
    テナ。
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