JP2824497B2 - 圧着端子と電線との圧着方法および圧着構造 - Google Patents

圧着端子と電線との圧着方法および圧着構造

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、圧着端子と電線との圧着に関し、特に、圧
着接続部の電気的特性と機械的特性の双方を向上させる
技術に関するものである。
〔従来の技術〕
圧着端子は、導体圧着部に相手側の電線の導体を挿入
して加締めるだけで電気的な接続ができ、接続作業が簡
単なことから広い範囲で使用されている。
通常の圧着端子は、第7図に符号Aで示すような形状
で、金属薄板からプレス加工等により成形され、接触部
1、この接触部1に連接する導体圧着部2、およびこの
導体圧着部2に連接する被覆圧着部3とによって構成さ
れ、相互に連接した状態で形成される。
導体圧着部2および被覆圧着部3は、ともに接触部1
に連なる板状体の両端を図の上方に屈曲して相対向する
ように形成された圧着挾持腕2a,3aを有し、断面がU字
状に形成され、その内部にそれぞれ電線4の芯線である
導体4aを収容する空間、および絶縁被覆4bに覆われたま
まの電線4を収容する空間が形成されている。
以上のように構成された圧着端子Aは、端末部の絶縁
被覆を剥ぎ取った電線4と接続されるのであるが、この
とき導体4a部分は導体圧着部2上に、絶縁被覆4bのまま
の部分は被覆圧着部3上にくるように載置された後、圧
着装置における上下の圧着金型6および7の締付力によ
り加締られ、塑性変形して第8図に示すように圧着端子
Aと電線Bとを電気的に接続する。
第9図は圧着後の圧着端子の正面図であるが、同図に
示すC/H(mm)は圧着高さで、同一電線サイズであれ
ば、C/Hが小さい程塑性変形が大きいことを示す。
第10図は、この圧着高さ(C/H)と、圧着部の機械的
特性および電気的特性との関係を示す線図で、は圧着
部の電気的特性(抵抗値mΩ)、は端子圧着部の機械
的特性(圧着強度kg)を示すものである。
上記の線図から電気的特性は、C/HがIの範囲(1.55
〜1.85mmの範囲)であれば良好であることが分かる。こ
れに対し機械的特性は、C/HがIIの範囲(1.95〜2.25mm
の範囲)で良好な値となっている。したがって、従来の
圧着方法では、機械的特性と電気的特性の双方が良好な
状態となるように圧着することはできなかった。
そこで、この問題を解決するものとして、第11図〜第
13図に示す特開昭59−165390号公報記載の技術が提案さ
れている。これによれば、圧着端子A′は、第11図に示
すように導体圧着部の圧着挾持腕2bを端子の軸(電線の
長さ方向)に対してテーパを付けて形成される。一方、
圧着上金型の加締溝には、図示は省略するが、同じ向き
のテーパが設けられている。この後、前述と同様に圧着
し、第12図に示すように圧着高さ(C/H)を圧着部左側
のC−C断面では低くし、右側のD−D断面では高くし
て、圧着高さが圧着端子A′の軸(導体4aの長さ方向)
に沿って変化する構成としている。
上記のように圧着することで、電線導体の先端側では
主として電気的特性を向上させ、反対側では機械的特性
を向上させることができ、導体圧着部2全体としての電
気的特性および機械的特性双方の向上が可能になってい
る。また、圧着高さの許容範囲も、従来のものより拡が
ることとなった。
ここで、注目すべき点は、第13図に示すように圧着後
の圧着挾持腕2bの導体4aへの食い込み深さをC−C断面
でh1、D−D断面でh2とすると、圧着挾持腕2bの高さに
テーパがついているので、圧着高さH1,H2の相違に関わ
らず、h1≒h2となっていることである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記の従来技術にあっては、次のよう
な問題がある。すなわち、圧着する導体4aが太い場合に
は、第14図に示すように、圧着挾持腕2bの電線4aへの食
い込み深さが、C−C断面、D−D断面の何れにおいて
も殆ど同時に0に近づき、機械的特性、電気的特性が急
速に低下してしまう。また圧着挾持腕2bの先端の食い込
み深さを適当量確保するためには、圧着高さの許容範囲
をあまり拡げることはできない。
したがって、1種類の圧着端子は、1サイズの電線だ
けしか圧着できず、電線サイズの種類と同じ種類の圧着
端子が必要になり、圧着端子の汎用性に欠けることとな
っていた。
本発明は上記の事実に着目してなされたもので、圧着
部の機械的特性、電気的特性をともに向上させると同時
に、圧着高さの許容範囲を拡げることができ、複数サイ
ズの電線にも使用できる汎用性のある圧着端子を提供す
ることを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため本発明は、相対向する圧着挟
持腕によりU字状に形成された導体圧着部に電線の導体
を載置し、一対の圧着金型の加締溝に挟んで圧着する圧
着端子と電線との圧着方法において、前記圧着挟持腕の
先端を圧着端子の軸とほぼ平行に形成し、前記加締溝の
上底部に、左右から円弧を描いて集束した中央に先端が
刃状に尖った突起を設けると共に該電線方向にテーパを
設けた圧着金型にて圧着することにより、導体圧着部の
圧着高さと、圧着挟持腕先端の導体への食い込み深さと
を導体の長さ方向に沿って漸次変化させ、導体圧着部の
基端側における圧着高さが高く、かつ圧着挟持腕の先端
の導体への食い込み深さが小さく、導体圧着部の先端側
における圧着高さが低く、かつ圧着挟持腕の先端の導体
への食い込み深さを大きくする構成を採用している。
また、圧着端子と電線との接続構造としては、相対向
する圧着挟持腕によりU字状に形成された導体圧着部に
電線の導体を載置して圧着した圧着端子と電線と圧着構
造において、 圧着挟持腕の先端の導体への食い込み深さとを導体の
長さ方向に沿って相違させ、導体圧着部の基端側におけ
る圧着高さが高く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食
い込み深さが小さく、導体圧着部の先端側における圧着
高さが低く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食い込み
深さを大きくした構成を採用している。
〔作用〕
電線圧着部に電線の導体を載せ、圧着金型で圧着する
と、圧着金型の加締溝には勾配がついているので、圧着
高さ(C/H)は電線導体の軸方向に沿って変化し、圧着
挾持腕の先端が電線へ食い込む量も変化する。すなわ
ち、この食い込み量が、圧着高さが小さい側では大きく
なり、圧着高さが大きい側では小さくなるので、これに
よって上記食い込み量が平均化され、1つの圧着端子を
複数サイズの電線の圧着に用いても適量の食い込み深さ
を確保することができる。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を図面によって説明する。
第1図および第2図は本発明に使用される圧着装置の
実施例を示す。圧着装置は圧着上金型(以下「クリン
パ」という)10と圧着下金型(以下「アンビル」とい
う)11との上下の圧着金型を有し、図示しない駆動装置
により、これらクリンパ10とアンビル11とが相対的に接
近および離反して、アンビル11の上に載置された圧着端
子と電線端末部とを圧着接続するものである。
クリンパ10の下端からは、アンビル11が進退するため
の加締溝12が図の上方に向かって形成されているが、こ
の加締溝12は入口部分(下端部分)が、位置決めし易い
ように広がった案内部となっており、上に向かってカー
ブして徐々に挾まる形状で、上底部は左右からほぼ半円
上の弧を描いて中心に集束し、集束部分には、先端が刃
状に尖った突起13が圧着端子の軸方向(電線の軸方向)
に沿って形成されている。この突起13は、圧着時に両側
の圧着挾持腕2a間に入り、圧着挾持腕2aの先端を導体4a
内に食い込ませ、接触の確実性を図るためのものであ
る。
加締溝12の上底部には、第1図、第2図に示すように
圧着端子の軸方向に沿ってテーパが設けられている。
第3図は、本発明に使用される圧着端子Aで、第11図
に示す従来例とは異なり、圧着挾持腕2aの先端が圧着端
子Aの軸と平行で、これは、第7図の従来例に示すもの
と同じである。
かかる圧着端子Aに従来例で説明したのと同様に電線
を挿通し、第1図のアンビル11の上に載置し、クリンパ
10を接近させて圧着する。第4図は、圧着後の斜視図、
第5図は第4図のF視の図である。圧着高さは、導体圧
着部2の左側におけるH1から、右側の圧着高さH2に向か
って漸次増加するテーパが付けられている。
第6図は、導体圧着部2のC′−C′断面と、D′−
D′断面とで、圧着挾持腕2aの先端が導体aに食い込む
量が相違している状態を示す。圧着挾持腕2aの軸方向高
さは、第3図に示すように図の左右でほぼ同一であるか
ら、先端側の食い込み量h1と、基端側の食い込み量h2
の間には、h1>h2の関係が成り立つ。
そして、H1が電気的特性が良好になる範囲内(H1=1.
55〜1.95mm)であって、H2が機械的特性が良好になる範
囲内(H2=1.85〜2.25mm)であれば、圧着挾持腕2aの先
端が導体圧着部2の底部に当接しない限り、導体圧着部
全体としての電気的特性、機械的特性は双方共にほぼ良
好となるので、圧着高さの許容範囲を大幅に拡げること
ができる。
また、電線の導体サイズが太くなっても、H1,H2がそ
れぞれ上述した良好な範囲内に入っていれば、h2が仮に
0に近づいてもh1はかなりの深さが確保されるので、圧
着接続部の電気的および機械的特性な劣化を起こす心配
がなくなり、複数サイズの電線に同一種類の圧着端子を
使用することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば圧着端子の圧着
において、適正圧着高さ(C/H)の範囲が大幅に広が
り、同時に圧着高さの管理も容易になった。
また、従来は、1つの圧着端子は1種類の電線サイズ
にしか使用できなかったが、本発明の圧着によれば、複
数種類の電線サイズに1種類の圧着端子を使用すること
ができるようになり、圧着端子の汎用性が増した。した
がって、圧着端子の種類を減らすことができ、在庫の減
少や管理の容易化が図れるという格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の圧着装置の要部を示す正面図、 第2図は第1図のE−E断面図、 第3図は本発明に使用する圧着端子の斜視図、 第4図は本発明の圧着方法により圧着した後の圧着端子
の斜視図、 第5図は第4図のF視図、 第6図(a)は第5図のC′−C′断面図、(b)は第
5図のD′−D′断面図、 第7図は従来の圧着方法を示す斜視図、 第8図は従来の圧着方法により圧着した後の圧着端子の
斜視図、 第9図は第8図のB視図、 第10図は圧着端子の圧着高さ(C/H)と抵抗値および圧
着部強度との関係を示す線図、 第11図は他の従来例の圧着端子の斜視図、 第12図は第11図の圧着端子の圧着後を示す正面図、 第13図(a)は第12図のC−C断面図、(b)は第12図
のD−D断面図、 第14図(a),(b)は電線の導体が太い場合の第13図
(a),(b)に対応する図である。 A……圧着端子、1……接続部、2……導体圧着部、2a
……圧着挾持腕、3……被覆圧着部、4……電線、4a…
…導体、4b……絶縁被覆、10……圧着上金型、11……圧
着下金型、12……加締溝、H1,H2……圧着高さ、h1,h2
…圧着挾持腕先端の食い込み深さ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01R 43/00 H01R 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対向する圧着挟持腕によりU字状に形成
    された導体圧着部に電線の導体を載置し、一対の圧着金
    型の加締溝に挟んで圧着する圧着端子と電線との圧着方
    法において、前記圧着挟持腕の先端を圧着端子の軸とほ
    ぼ平行に形成し、前記加締溝の上底部に、左右から円弧
    を描いて集束した中央に先端が刃状に尖った突起を設け
    ると共に該電線方向にテーパを設けた圧着金型にて圧着
    することにより、導体圧着部の圧着高さと、圧着挟持腕
    先端の導体への食い込み深さとを導体の長さ方向に沿っ
    て漸次変化させ、導体圧着部の基端側における圧着高さ
    が高く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食い込み深さ
    が小さく、導体圧着部の先端側における圧着高さが低
    く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食い込み深さを大
    きくすることを特徴とする圧着端子と電線との圧着方
    法。
  2. 【請求項2】相対向する圧着挟持腕によりU字状に形成
    された導体圧着部に電線の導体を載置して圧着した圧着
    端子と電線と圧着構造において、 圧着挟持腕の先端の導体への食い込み深さとを導体の長
    さ方向に沿って相違させ、導体圧着部の基端側における
    圧着高さが高く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食い
    込み深さが小さく、導体圧着部の先端側における圧着高
    さが低く、かつ圧着挟持腕の先端の導体への食い込み深
    さを大きくしたことを特徴とする圧着端子と電線との圧
    着構造。
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